「神さまを信じたエリヤさん」(子どもメッセージ) 


 列王記上17章24節
 2005年8月21日
 高知伊勢崎キリスト教会 牧師 平林稔



 おはようございます。昨日から教会の修養会でこの馬路温泉に来て、川遊びをしたりして、とても楽しく過ごせましたね。今日のお話はイエスさまがお生まれになったよりもまだ800年以上前のイスラエルの国のことです。だから今から2,800年以上前のお話です。

 その頃のイスラエルにはアハブという名前の王さまがいましたが、この王さまは神さまがお喜びにならないようなことをいっぱいしました。中でも神さまが一番悲しく思われたのは、イスラエルの神さま(この神さまの名前は「ヤハウェー」と言いますが)以外の神さまを拝んでお祈りさせたことです。王さまにはたくさん家来がいますから、その家来に命令して、木や石でバアルやアシェラの神さまの像を作らせて、国の人たちみんなにその像に向かってお祈りをさせたのです。像とは人形のようなもので、仏像って知ってる? その像を作って拝ませました。

 人間を造ったのは誰ですか、そうだね、神さまだよね。その人間に神さまをつくることなんかできません。しかしアハブ王さまは木や石で神さまの像をつくってそれにお祈りさせて、その命令に従わない人を捕まえていじめたり、神さまのお仕事をしている預言者さんたちを次々に殺したりしたのです。

 エリヤさんも預言者の一人でした。ある時、ヤハウェの神さまのお告げを受けて、アハブ王の前に出てエリヤさんはこう言いました。

「王さま、神さまはあなたのしていることをとても怒っておられます。だからこれから何年もの間この国には雨を降らさないと、神さまは言っておられます」

 これを聞いたアハブ王はすごく怒ってエリヤさんを殺そうとしましたが、神さまはいつもエリヤさんと共にいて守って下さいました。そして言われました。

 「ヨルダンの東のケリテ川のある山の中に隠れなさい。そこには水があります。わたしは毎日、カラスに食べ物を運ばせます。安心しなさい」

 エリヤさんは神さまの言われた通りその山に行って隠れていました。そうすると、朝になるとカラスが口にパンと肉をくわえて持って来てくれました。また夕方にも山の向こうから、カラスはパンと肉とを運んできてくれました。次の日もまた朝と夕方に、そしてまた次の日も、そのまた次の日もカラスは食べ物を運んできました。晴れた日も、風の日もカラスに食べ物を運ばせて、神さまはエリヤさんを養って下さいました。

 でもそれからも何ヶ月もの間、雨は全く降らなかったので、ケリテ川の水もなくなってしまいました。そんな時にまた神さまがエリヤさんに言われました。

「エリヤよ、今度はサレプタの町に行きなさい。そこに一人の貧しい女の人がいます。その人があなたのために毎日食事を用意してくれます」

 エリヤさんが神さまの言われるままにサレプタにやって来ると、町の入り口のところで一人の女の人がたきぎを拾っていました。神さまのおっしゃっていたのはこの人だと思ったエリヤさんが、その女性に「水を一杯下さい」と頼むと、彼女はすぐに水を持って来てくれました。エリヤはまた言いました。「今度はパンを一つ下さい」

 女の人は悲しそうな顔をして言いました。「もう私の家には小さなパンを二つ作るだけしか粉と油が残っていません。こうしてたきぎを拾って帰り、小さなパンを二つ焼いて、私と息子の二人でそれを食べて、それが最後の食事のつもりでした。とてもあなたにパンを差し上げることは出来ません。粉も油ももうないのですから」

 それを聞いたエリヤは言いました。「心配いりません。まず私のために小さいパンを作りなさい。それからあなたと子どものために二つパンを作りなさい。恐れることはありません。神さまはいつも共にいて、守って下さいます。ヤハウェの神さまは、次に雨が降るまで甕の中の粉もビンの油もなくなることはないとおっしゃっています」

 女の人はエリヤに言われた通り、家に帰ってすぐにパンをつくりました。エリヤと彼女と子どもと三人分の小さなパンを三つ作るために甕の粉もビンの油も全部使ったので、彼女はとても不安になりました。

「エリヤ先生はああ言われたけど、本当に明日からどうしたらよいだろうか」

 次の日の朝になって、その女の人は朝食のためのパンを作ろうとして、甕の中をみました。するとどうでしょう、エリヤの言った通り、昨日全部使ってしまったはずの粉が甕の中に残っているではありませんか。とてもびっくりした彼女がビンを見ると、何とビンの中にも油が少し残っています。それで三人分のパンを作ることが出来ました。次の日もまた次の日も、粉と油はなくならず、三人は食べ物に困ることはありませんでした。神さまはお言葉に従って生きる者をどんなときにも守って下さいます。

 さて、アハブ王は相変わらず、バアルやアシェラの神さまを拝むことを止めませんでした。だからイスラエルの国に雨は降らず、国中の人はみんなとても困っていました。エリヤさんはカラスや貧しい女の人に守ってもらってアハブ王から隠れていました。そして三年がたちました。三年間イスラエルには雨は一しずくも降りませんでした。山も野もからからになって、食べ物はなくなるし、木も枯れてしまいました。

 やがて神さまがエリヤに言われました。

「わたしはもうすぐイスラエルに雨を降らせる。あなたはアハブ王の前に行って、木や石で作ったバアルとアシェラを拝むのを止め、ただひとりの神であるわたしだけを拝まなければならないと言いなさい」

 そこでエリヤはその言葉に従ってアハブ王のところに行って言いました。「王さま、私とあなたとどちらが正しいかを確かめましょう。私の信じている神さまか、あなたの拝んでいるバアルか、どちらが雨を降らすことが出来るかをはっきりさせましょう」

 アハブ王の命令でカルメル山にバアルの預言者450人、アシェラの預言者400人が集められました。他にも国の人たちがたくさんやって来ましたが、それらの人の前で、エリヤさんは言いました。

「あなたたちはいつまで二つのものの間で迷っているのですか。これからどちらが本当の神さまかはっきりと見せてあげましょう。早く本当の神さまを信じて、バアルなんか捨ててしまいなさい。そうすれば神さまはきっと雨を降らせて下さいます」

 エリヤはこう言うと、牛を二頭連れてこさせてそれぞれ祭壇の上に置き、バアルとアシェラの預言者たちに言いました。

「さあ、これからお祈りをし、天から火を降らせて、この牛を焼いて下さった方が本当の神さまであると決めましょう」

 そこでバアルの預言者たちはみんなで大声で、バアルの神に祈りました。「バアル、バアル、火を降らせて下さい」

太鼓を叩いて、ラッパを鳴らして、何時間もずっと大声で頼みました。

「アシェラの神よ、天から火を」

800人以上が声を合わせて祈るのですから、その様子はすごいものでした。朝から祈り始めて昼になっても「バアル、アシェラ、火を降らせてください」と叫び続けました。しかし一向に火は降ってきません。夕方になっても何のしるしもありませんでした。みんな朝からずっと大声で叫び続けましたから、もうへとへとです。

 その時エリヤが立ち上がって言いました。

「さあ、今度は私の番です。火がすぐに燃え尽きないように、祭壇にたっぷり水をかけなさい。牛の上にもかけておきなさい」

 そしてエリヤは静かな声でお祈りをしました。

「神さま、あなたが本当の神さまであることをみんなに教えて下さい。みんながバアルを捨ててあなたに帰り、イスラエルの国があなたを信じ、あなたに祈って、良い国になるようにして下さい」

 するとすぐ、突然天から火が降って来て、祭壇の牛はあっというまに焼けてしまいました。あれだけたくさんかけた祭壇の水もすぐにかわいてしまいました。

イスラエルの人々は「これこそ本当の神さまだ、バアルもアシェラもにせものだ、エリヤが言っていたことが本当だった」と言いました。そこでエリヤは人々を集めて言いました。

「さあ、みんなで神さまに祈りましょう」

そしてみんな跪きました。

「神さま、あなただけが本当の神さまです。イスラエルの人たちはみんな悪い王さまにだまされてバアルやアシェラを拝んでいたのです。みんな謝っています。どうかお赦し下さい。そしてどうか、雨を降らせて下さい」

みんなでそのようにお祈りしました。何度も何度も繰り返して、「神さまお赦し下さい」とお詫びしました。

 そのときです。エリヤさんについて来ていた子どもが言いました。

「先生、海の向こうの方に、人間の手くらいの小さな雲が見えます」

 すると間もなく、その小さな雲がみるみるうちに大きくなり、風も吹いてきて、空が真っ暗になり雨が降り出しました。雨はなかなかやまずに大雨となりました。こうしてイスラエルの人たちは、バアルやアシェラの像を拝むことを止めて、本当のヤハウェの神さまを信じるようになりました。

 

最初に読んだ聖書の箇所は、はじめのお話の貧しい女の人がエリヤさんの言うとおりにパンを作ったら、粉も油もなくならずいつまでも残った時に言った言葉です。神さまの言葉は真実です。その神さまのお言葉を忘れることなくいつも覚え、信じてその通りに従う時、神さまは本当に不思議なみわざを行なって下さいます。僕たち、私たちも生きて働かれる神さまを覚えて従っていきたく思います。アーメン。お祈りします。


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