園庭の石段からみた情景〜2月の書き下ろし3〜 2012.2.18
<本番前の楽しみ方>
 今週は『ばら・たん組』にも風邪の嵐が吹きすさび、多くのお休みを出しつつ過ごした一週間となりました。そう言う僕も子ども達の『風邪菌攻撃』についにダウンしたと言うべきなのか、『燃え尽き症候群』でノーガードになってたるんでいた隙を突かれたと言うことなのか、火曜日は卒園記念写真だけ撮ったあと半日お休みをもらって寝込んでおりました。心配だったので検査もしてきたのですがインフルエンザは陰性、もらったお薬で熱も下がり翌日から復帰出来たのですが、体力が落ち込んでいる所に風邪菌が供給されると『てきめん』なのは大人も子どもも同じことのようです。子ども達もぐずぐず言うのは精神的・肉体的に弱ってきている兆候。そんな時はよくよく様子を見守りながら、調子が悪そうな時には大事を取ってゆっくりお休みさせてあげてください。特に今のこの時期、インフルエンザにはご用心。いま無理するより本番に向けて調子を徐々に上げてゆければ、それが一番いいはずだから。

 来週に迫った音楽会に向けて『ばら・たん組』の子ども達、今週は本番をよりイメージしながら練習に励みました。『やる気プロジェクト』のもう何弾だったか分からなくなってしまいましたが、今週は舞台に使う特大の『てぶくろ』もお目見えしました。100円で売っている大きな大きなフェルトを7枚縫い合わせ『てぶくろ』の形に切り抜けば、子ども達は驚嘆の溜息で「てぶくろだぁ!」。これまでウレタンマットや体操マットで練習していた時にはイマイチだったモチベーションが一気に高まりました。子ども達、それぞれの動物になりきって登場し『てぶくろ』の中に寄せ合って入ってゆくのですが、『ジャンボてぶくろ』が導入されてからはお行儀よく『てぶくろ』の上に鎮座してくれるようになりました。それまでマットの外をうろうろぐずぐずしていた子やマットの上でごろごろ寝っころがっていたりした子達が、「ここがわたしたちのすみかなの」とばかりに譲り合いながら上手に座っている様子を見ていると「イマジネーションってだいじなんだなぁ」と改めて思った次第。不思議な『てぶくろマジック』、子ども達のやる気に一役買ってくれました。潤子先生も手縫いで大きな縫物をしたかいがあったと言うものです。汚したりもみくちゃにしたりしないようにお行儀良くシューズも脱いで使ってます。このみんなのお気に入りの『てぶくろくん』、いいお仕事をしてくれています。
 今週は入れ代り立ち代わりお休みの子の出入りがあったので、練習の方も中々ままなりませんでした。でも不思議なことにお休みが多かった時の方が残ったメンバーのがんばりに気合が入っている感じ。他の子がお休みで『ひとり』になった子などかえってしっかりと「わたしは×××!」と大きな声で言ってくれておりました。でもそんなものなのかもしれません。この『てぶくろ』の劇、繰り返し劇なのでそう難しいセリフとか覚えなければいけない段取りはありません。どちらかと言うと複数人いる子ども達のセリフの息を合わせることや、タイミングを取ることの方が難しいのでしょう。パートナーがお休みで『ひとり』になった女の子に向かって潤子先生が「○○ちゃん、今日はあなただけだからがんばってね」と期待を込めて声をかければ意気に感じた○○ちゃん。大いにのって朗々とその役を一人で演じてくれたものでした。それがまたまたたんぽぽちゃんだったりして。「この子らのひと学年などたいしたアドバンテージではない。要はモチベーションなんだなぁ」と僕らに改めて教えてくれたものでした。
 そんな頼もしい子ども達ですが、相棒が治ってきた途端にぐずぐずになってしまったり、集中力もなくなった『あだあだちゃん』に戻ってしまうのだから本当に面白いものです(面白がっている場合ではありませんが)。まあ僕も同じような性格なので分からんでもないのですが。やっぱり「自分でなくっちゃ!」と感じることが最大の『やる気モチベーション』の源となるのでしょう。ホールでの練習も始まりましたが他のクラスの子ども達や先生がいただけで、いつもなら『シャウト!』しながら歌いまくる子達がこれまた意気消沈。「こんなんでだいじょうぶかなぁ」と言った体たらくです。でもこれも舞台に慣れ、先生やお客さんの目線を跳ね返すだけのモチベーションを持たせてやることで支え励ましてゆくことしか僕らにはどうにも出来ません。それがまたなかなか難しいのですけれど。子ども達への声掛けを中心に、日々どうしたらこの子達の『やる気モード』に火がつくか、思い巡らせながらあれこれ手立てを考えているところです。おうちでも「○○ちゃん、やって!見せて見せて!」と上手に子ども達のやる気スピリットをくすぐってあげてください。

 さあ、みんなでお面を作り背景を作り、『てぶくろ』を作り音楽を作りしながら挑戦してきた僕らの『てぶくろ』も来週本番です。おうちから「たのしそうに歌ってます」なんて声もこぼれ聞こえてくるので導入は十分OK、のはず。あとは子ども達のやる気モードのインジケーターが振りきれてくれることを願うだけ。僕らにまだ出来ることがあるでしょうか。いえ、きっとまだまだ子ども達の心を震わせるトリガーが隠させているはずです。それを探しながら本番までの一週間を楽しんでいきたいと思っています。それが見つかったなら、またもうひとつ「この子達のことが分かった」と言える教師になれるはず。この子達ともっと分かり合えるはず。子ども達の成長を導いてあげられるはずです。でもそれはお母さん達もきっと同じこと。子ども達との日常の中で、「これは!」と思える事象を把握出来たなら、きっと子ども達のことをよくよく分かったと自負出来るお母さんになれるはず。そんな想いで、そして楽しみながら音楽会への最後の道のりを一緒に見つめていてください。


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