園庭の石段からみた情景〜園だより9月号より〜 2026.9.6
<僕の夏休み回顧録>
 今年の夏は久々に『季節らしさ』を感じさせる夏となりました。夏休みが始まる一週前まで涼やかな梅雨模様が続きましたが、その後ラスト一週から始まった梅雨明け・夏本番のピーカン天気。「寒い!」「冷たい!」と言っていたプールが連日心地良い『遊びの大舞台』となりまして、夏休みへのプロローグを嬉しく味わわせてもらったものでした。それはとても気持ちの良い時ではあったのですが、一週間も続くと「あついー!もういい…」となるのが僕らの心情。そんなタイミングで飛び込んだ夏休みに僕らも子ども達も「助かった」と心から思ったもの。これこそ夏休みの存在意義・面目躍如の夏休みとなりました。
 僕らは子ども達に毎日『がんばれ!』とメッセージを贈り励ましています。彼らも園ではその言葉に応えて家での姿よりもがんばっていることが伝わって来ます。でも家でも園でもフィジカル的には同じ人間・同じ成長段階。そこで『もうひとがんばり』が出来るかどうかはその時々・所々におけるメンタルによるものなのかもしれません。そんな子ども達をその気にさせているのは幼稚園と言う教育環境なのですが、その上でこの季節大きく影響して来るのが気候です。気持ち良く起きれれば気分も良い。そんな時には目の前の課題や負荷に対しても「がんばろう!」と言う気になるもの。でもしんどかったりだるかったりしたならばその『がんばろうスイッチ』にも火が入らず、人からはただただダラダラしているように見えてしまうのかもしれません。ではそんな時にはどうしたら良いか。『立ち上げセットアップ』に時間をかけてゆっくり取り組むのが有効。気分が乗らない時に「いそいで!」と急かされるとイヤになってしまうのは大人も子どもも同じ。「でもそうしないと間に合わないから」と自分に言い聞かせながらがんばっているのが僕らの日常です。登園時間・登校時間・予約時間に習い事の開始時間、世の中で行なわれている活動の大部分は『他者によって決められた約束事』(それは自分も承諾したものなのですが)に自分を合わせることで行われています。相手との同期が無ければ成り立たないのが社会生活。努力と気力によってその決め事に自分を合わせている僕らですが、そこから解放された時にちょっとほっとするのは、そのストレスから解放されるからかもしれません。

夏休みに入ってからもほとんど幼稚園に来ていた僕。それでもいつもより30分朝寝坊して、そこからゆっくりのんびり支度して、それで間に合う夏休みの預かり保育はありがたかったです。普段は7時過ぎには家を出て子ども達の受け入れ準備をしている僕らですが、出勤が一時間弱違うだけで心持ちがこんなに違うのかと言うことを実感した日々でした。またそこでは子ども達のプール遊びを見守りながら僕も頭から水を被ったり、肌を濡らして涼を取ることが出来たのも良かったよう。エアコンで体を冷やすより、気化熱によって体温調整するこの営みは、汗をかくことによって熱量をコントロールする人間本来の体の仕組みに近いのでしょう。『毎日お天気の夏休み』と言うことで、子ども達も元気に『預かりプール』を楽しむことが出来たし、僕もプールの準備や片付けで適度に体を動かすことも出来ました。長休みの際は活動量が落ちる一方、座り仕事の割合が増えて腰が痛くなることも多かった僕なのですが、この夏は調子良く元気に過ごすことが出来ました。ちょっと力と気持ちを抜いてゆったりしながらも、ルーティーンを作り守り継続する。それがこの季節のより良い過ごし方なんだなぁ…と改めて感じたものでありました。それが許される環境に感謝なのですが、日頃がんばっているみなさんにも「こう言う季節はがんばり過ぎずにほどほどに」とお勧めしたいと思ったものでありました。

今の時代、『デジタル気質』は物事の捉え方・考え方にも強く反映されています。『やるならやる』『やらないならしない』とON/OFFをはっきりとしないと気が済まない人も多い現代。メリハリがその人の達成感や自己実現につながって気持ち良さを生み出すのでしょう。『結果を出す』とよく言いますが結果は『顕れるモノ』。自分の思考と納得に基づいて物事に挑戦した結果として与えられるもの。時には過給機付き内燃機関(ターボエンジン)のように、燃料を詰め込んで負荷を課して高い出力を求めることがあっても良い。成長途中の子ども達に「がんばれ!」と言うのはそんな状態なのかもしれません。出来ないことを出来るようになるために私達は彼らに負荷をかけているのです。でもそれはワンメイクレースを全力で駆け抜けるようなもの。しばらくはそれでがんばれるかもしれませんが、今の心と体のままがんばり続けると過負荷がかかり、エンジンや車体を傷めてしまいます。そのがんばりに耐えられる心と体の成長が無ければ、結果ばかりが好成績を示しても本当の成長とは言えないのです。だからお休みは必要です。ゆっくり休みながら心と体のメンテナンスを施しつつ、ここまでのがんばりを讃えつつ、次なる自分の姿とチャレンジをイメージしてゆくのです。それが僕らの夏休み。「終わってからそんなこと言われても」とまたお叱りを受けるかもしれませんが、これがこの夏休みを過ごしてみての今年の僕の気付きと総括。秋からの二学期でも『がんばった後のほっとひと休み』はやはり必要。子ども達一人一人の顔と様子を見つめながら、その気持ちを忘れないように・がんばらせ過ぎることがないように寄り添いながら、歩んでゆきたいと思っています。所詮、僕らは子ども達に「がんばれ!」としか言えない者。そして彼らもその言葉に応えてがんばろうとしてくれる心清き無垢なる者。そうやってがんばっているこの子達に対して『借金の取り立て』のように結果を急かし求めることは、神様の御心ではないとそう信じている僕なのです。



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