園庭の石段からみた情景〜園だより12月号より〜 2007.12.20
 <みんなのみんなのクリスマス>
 いよいよ今年もやってきましたクリスマス。それぞれのクラスでひとりひとりの子ども達がそれぞれの想いを胸に抱き迎えたクリスマスでした。アドベントに入りまずは製作でクリスマスに向けて盛り上がって行きます。クラス毎に壁がクリスマスの色で彩られ、クリスマスへの想いがつのります。クリスマスツリーやリース、サンタやトナカイなど子ども達の手作りのクリスマスが飾られてゆきます。こうしてクリスマスへの想いを膨らませながらクリスマスの準備が始まりました。
 たんぽぽ組は生木と生葉のクリスマスツリーを作りました。「保育雑誌や教本どおりに製作をするのはイヤだな」と僕は常々思っています。うまく見える事例の通り子ども達に製作をさせるのは、なんか結果だけを追求している現代を象徴しているようでなんか好きになれないのです。見た目はきれいだけれど誰が作ったのかわからない、オリジナリティーもアイデンティティーも感じられないものが世の中にあふれかえっています。「自分らしさを、自分の想いをこの上に表現できる場であって欲しい」、製作をするときはいつもそう思っています。いつもはわがまま気ままな男の子。『気分は風の吹くまま気の向くまま』、そんな子がひとたび葉っぱをぺたぺたやり出すと何枚も何枚もぺたぺたぺた。一番最後までぺたぺたぺたぺたやっていました。固まって同じところに何枚も貼るのが好きな子、きれいに一列に木の実を並べて貼る子、ひとりひとりの個性が垣間見れてうれしい思いでした。ニス代わりにアクリル絵の具を塗ったのですが、所詮はやっぱりたんぽぽさん、どっぷりべったり塗りつけて、絵の具の届かないところは今ではからからになってしまいました。でもそれがまたいい味を出していたりして。園庭で拾った葉っぱを集め、画用紙に張ったクリスマスツリー。他のクラスにも負けない、素敵な製作になりました。
 そこから盛り上がってしまったのが『サンタのソリ』です。たんぽぽの製作からクリスマスカードの下絵の製作を思いつき、暖炉とツリーの切り絵、貼り絵を作りました。そこに貼った淋しいサンタの連れ合いにかわいいトナカイを置いてやれば、次に欲しいのはやっぱりソリでしょう。「もうクリスマスだし、処分しましょうか」と言われたおみこし、『ノアの箱舟』。お祭りの後もあれだけみんな喜んで遊んだおみこしでしたが側はまだまだしっかりしているし、もう一花咲かしてやれないかと思っているところに『サンタ&トナカイ』。「こいつはいける!」またまた思いついてしまいました。ダンボールをそりの形に切り抜いてちょろっとぺたっと貼り付けました。正面は超大型折り紙で折ったサンタクロースとトナカイ君、裏面はたんぽぽツリーの特大版。子ども達と一緒に作りました。せっかく薄暗い積み木コーナー、電気を消せば昼間でも夜になります。「やっぱここは電飾でしょう」と『ヒャッキン』に赴き、電飾を買い求めました。ありましたありました、豆球だけかと思ったらハートにスペード、赤や緑の電飾が、「このために用意しました」とばかりに置いてありました。そんなこんなで飾りつけ、素敵なソリになりました。電飾の点灯に子ども達は大喜びしてくれました。この瞬間こそ、「やったぜ!」と天にも昇る気持ちでした。子どもが喜んでくれるのはやっぱりうれしいものです。たんぽぽさんからばらさんももさん、すみれまで、今日も子ども達はこのソリの中に潜りこんでクリスマス気分を満喫しながら遊んでいます。
そんなこんなで過したアドベント。特にすみれさんにとっては最後の幼稚園でのクリスマス、そしてやっと回ってきたページェントの晴れ舞台です。いつものへらへら君達も今回はちょっと顔つきが違いました。
 最初の1週間はみんなでかわりばんこにやりたい役をやりながら練習をやりました。ページェントはクリスマス礼拝のメインとなるもの。やらせる方も完成度を目指してあせるものです。早く役を決めて、練習、練習、また練習、そうなりがちなのもやむを得ません。でもでも今年は21人の大所帯と新人先生、「聖劇はみんなが神様に心からお捧げするものです」という園長の言葉を正面から受け止め、『みんなで取り組み、みんなでやり遂げるクリスマス』を目指してがんばってきました。最初はやっぱりむっちゃんくっちゃん。セリフは出ないし、流れも間違う。でもそんな中で「この役をやりたい」という子ども達の想いをしっかり感じ受け止めながら配役を決めていきました。セリフがすらすら出てこなくても、まじめにその役に取り組み、一生懸命先生の指導に耳を傾ける、そんな子ども達がやりたい役を射止めてゆきました。みんな一通りやりたい役をやったのでその役の難しさを知っています。だから決まった役に対してもみんなが納得し、決まった役に一生懸命取り組んでいる姿がとてもうれしかったです。終わってみれば今年のすみれ組らしい、ほんわかした暖かいページェントに仕上がったと思います。しっかり女の子が劇を締め、ほよよんくんが大奮闘、「君がここまで出来るようになったのか」と感じ入らせるほどの熱演でした。これが今年一番の神様からのプレゼントだったように思います。
 毎日子ども達のことを見ているつもりで、本当に私達は何を見ているのでしょう。この子達の予想を上回る成長に、ただただ驚きいるばかりです。『保育』なんて偉そうに言っても、子ども達は私達が想い描いた通りに成長してくれません。しかし一方で思いもよらない成長を見せてくれる時があるのです。そんなことから考えると、子どもの成長は『神のみぞ知る』ものということなのかもしれません。私達が子ども達と一緒にいないときにも、子ども達のことを見ていないときにも、目に見えないイエス様がいつも子ども達と寄り添い、いつも守っていてくれる。だから子ども達はいつも私達の所に帰ってきてくれるし、いつのまにか知らない間に大きく成長してくれている。そんな想いでこれからも子ども達を見つめてもらえたら、そう思うのです。あせらずはやらず、でもしっかりと。それではよいお正月を。


戻る