園庭の石段からみた情景〜夏休み書き下ろし3〜 2007.8.19
 <夏の冒険実践編1> 
 この夏の初めからいろいろとこのページで書き綴ってきた子どもとの付き合い方ですが、今回は夏休みの帰省で長期滞在をしていた甥っ子(4才)、姪っ子(2才)をつかまえて実践してみたことのレポートをしてみたいと思います。
(episode1:水風呂)
 子ども達は水風呂が大好き。外遊びやお買い物など、外から帰ってくるたびに一緒に水風呂に入りました。お風呂では水の掛け合いかぶりあい、頭のてっぺんから水をかぶり、汗を流すと共にほてった身体をクールダウン。前日の残り湯が午前中はまだぬる温かい、午後になると冷た心地良い温度になり、夏の体温調整に一役買ってくれました。またお風呂の中では顔付け潜りの自主練習。大人用の大きな水中眼鏡を装着してぶくぶくぶくと潜ってみせる甥っ子。隙間から水がざんざん入ってきて用を成していないのですがお構いなし。どうも水中眼鏡とは子ども達にとって動機付けのアイテムに過ぎないようです。それでも「潜れるんだよ」と言いながら口ばっかりだった最初の頃から比べるとこのひと夏の成長には目を見張るものがありました。
 幼い身体をクーラーでキンキンに冷やすことなく、しっかり汗をかいてしっかり汗を流す。風呂上がりの縁側で吹き寄せる風を感じながら、蚊取り線香の煙をくゆらせる陶器の蚊取りぶたを眺めつつ、おやつのスイカにかぶりつく。これぞ『日本の夏』って感じの演出を用意しながら素敵な田舎LIFEを子ども達と楽しみました。もちろん縁側でのスイカの種飛ばしには子ども達も大喜び。庭先はもちろん、縁側の上までスイカの種だらけにしながら、「ぷっぷっぷっぷっ」やっていました。
 ただただ1日3セットの着替えローテーションには洗濯班は大忙しでしたし、夜のお風呂の大騒ぎ、いつもの温度が熱い熱いとごねまわり、一緒に入った母親やばーばーを閉口させていました。
(episode2:縁側キャンプ)
 次なる試みは縁側にテントを張ってキャンプをしようというものでした。キャンプのために歯ブラシを買って、キャラクターのプリントされたポケットティッシュを買って、「キャンプではこれを使うんだからね」とキャンプへの期待を盛り上げます。夕食はこれまた縁側で木桶の中の流しそうめんと焼き鳥バーベキュー。アウトドアLIFEの雰囲気作りは続きます。こちらは『縁側ビール』と称して焼き鳥片手にビールを一杯、子ども達も一緒にやっているつもりなのでしょうか、『縁側牛乳』とご機嫌に牛乳を飲み干します。楽しい夕食を終え、お風呂に入ってさあ、寝る準備です。甥っ子はテントの中に僕の寝袋を持ってきて偉そうにねっころがります。しょうがないので僕はアルミ貼りのウレタンマットに横になりまどろみモードです。甥っ子はいつまでもいつまでもごそごそごそごそ落ち着きません。こっちはお構いなしに横になっていると彼はすーっとテントから抜け出して家の中に入って行きました。別に無理強いしてさせるものでもないし、もともと臆病な甥っ子なので「今年はここまでかな」と思いましたが、まあそれでも今夜一晩、僕はここで寝ようと決めました。子どもがやめたからこっちもやめたと言うのでは格好悪いし、この夏はまだキャンプ生活をしていなかったので「星を見ながら寝るのも悪くない」なんて思ったりもして、いい大人が縁側で、一晩テントで過ごすなんて酔狂なことをやることになってしまいました。
 しばらくテントの中でうとうとしていると甥っ子は母親と一緒に戻ってきました。「一緒じゃないと眠れない」というのが彼の弁でしたが、母親にどう諭されたのか縁側に戻ってきました。そこで母親とバトンタッチ、酔狂な兄の発案に巻き込まれて、このははこは縁側のテントで寝ることとなりました。しばらくすると安心の中で眠りについたのか、甥っ子が寝たということで母親が家の中に入ってきました。眠りにつくまでの間、遠くで犬が吠えた声にもびくっとしていたらしく、彼にとってこのキャンプがどれだけの大冒険だったかをうかがわせた話でした。そこでまたバトンタッチ、2人で平行に寝ていたはずが、極端に寝相の悪い甥っ子に頭を蹴飛ばされながらテントの中で僕も眠りにつきました。
 夜中の2時ごろ、むくっと起き上がった甥っ子。あたりを見回しながらそこがテントの中だと確認した様子。入り口のファスナーをすーっと開けると家の中に入っていきました。「どこ行くの?」と尋ねると「うえ」と答えて母親の寝ている2階の部屋へ歩き出しました。後を追い、廊下の灯りをつけてやると彼はしっかりした足取りで階段を登り、2階の部屋へ到着しました。そこで今回の甥っ子の冒険キャンプは終了。まあよくやりました。よくがんばりました。東京のマンションではこんなことのほんのかけらすら体験することもなかったでしょう(こんなことを言い出す酔狂な人もいないでしょう)。
 甥っ子がいなくなったテントの脇で横になって空を見上げると、そこには満天の星空が広がっていました。日土の町もだんだんと明るくなって昔のように漆黒の夜空ではなくなって来ましたがそれでもこうして見上げる星空は見事です。東京ではすぐに星座が線で結べるほどしか星が見えませんが、日土ではどこをどう結んでよいのやらすぐにはわからないほどです。ほんの10分、縁側にねっころがって星空を見上げているうちに3個も流れ星を確認しました。甥っ子をだしにしてはじめた縁側キャンプでしたが結局は自分が楽しむキャンプとなってしまいました。
 次の朝、「えへへ」とばつの悪そうな顔で起こしに来た甥っ子。がんばったとほめてやるとうれしそうな顔で笑ってくれました。次はどこまでがんばれるでしょうか。
 〜夏の冒険実践編2へ続く〜(予定)


戻る