地方衰退の要因は(平成29年5月24日)

人口減がもたらすカタストロフィ

 国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の(地域別)将来推計人口」は各所に衝撃を与えました。各所というか、日本のすべての関係者が真剣に向き合うべき重大事です。
 2100年までの推計となっており、さすがに2100年時点での数字の確度は低いと考えられます。そこまでいく間に違った変数が入り込むでしょうから。しかし、2040年辺りまでの数字への信憑性というか、信頼性は高いと考えられます。これからのほぼ25年間の日本人の考え方や志向の方向性は大きく変わらないと思われます。

 そして、2040年での日本各地の人口動態の推移は、誰もが否応もなく影響を受ける大問題を孕んでいます。私は香川県に住んでおり、四国の置かれた状況の厳しさを実感しています。私の周りの人間に危機感はありません、四国の将来が、東北と同レベルの人口減と年齢構成に晒されるというのに。

 香川県の2040年での予測人口は、773千人であり、23%の減少となります。四国他県は30%減と、より厳しい状況が待ち構えています。4県中では、香川県は地勢的にまだ恵まれています。
 そして、もっと切実な数字が示されています。若年女性の減少です。これは、38%から44%減という、東北と同レベルなのです。これは、少子化ともリンクする切実な問題です。

 2040年での四国の人口は3,534,862人とされていて、これって3,564千人の横浜市並みです。四国全体でやっと横浜市同等なのです。
 四国がこのままで済むはずもありません。現行のまま4県区分の組織で運営してよいのか。道州制の導入なしに持ちこたえられるか疑問です。

 ・少子高齢化
 ・年金破綻
 ・保健医療費破綻
 ・市場大幅縮小
 ・人手不足
 ・公共路線廃線
 ・インフラ修繕破綻
 ・学校廃校と公教育崩壊
 ・自治体の財政破綻
 ・老々介護

問題は転出側だけじゃない
 地方からの人口転出が、地方を壊滅させるのはもはや既定路線です。特に若い女性の不在により、地方の出生は絶望的な見通しです。じゃあ、転入側の都会は安泰かというと、東京以外、わずか数都市しか持ちこたえられないのです。

 そして、全国から人を集めてきた、今後も集めるであろう一人勝ちの東京そのものが、とんでもない状況に追い込まれます。2010年の65歳以上人口比20%が、2040年には33%となります。比率だけを見るなら、全国平均より低い数字です。ところが、全国の一割という最大人口を母数に持っているため、30年間での65歳以上老人の増加は、およそ150万人と推定されます。これほどの老人増加に耐える方途はないでしょう。東京の将来は老人地獄としか言いようがありません。

 上に書いた問題はすでに顕在化しています。そして、年月の経過とともに、状況はひたすら悪くなってゆくばかりです。問題が顕在化するのは地方からであり、その地方の中のさらなる田舎から問題が噴出しています。

 地方の風景の中に、日本が抱える課題や問題が映じています。それらを写し取っていくのが私の目的です。

地方TOP