色彩」へようこそ

 絵の見方は自分の経験知によって見方、感じ方は様々です。重症児の方たちの作品に正対して、初めて分かる、キャパシティの深さ。題名は、見る人の気持ちで付けてもらって結構です、と泰然と構えています。なんと謙虚な作品でしょう。
 「生きるエネルギー」と「つくるエネルギー」が非常に接近したところで生まれてくる作品群。ストロークの特徴で、5つのグループにわけ紹介します。1点ずつ題名付けを楽しんでいただき、より深く、彼らの作品に親しんでいただければと願っています。

同心円の小宇宙


 特徴はグルグル描きです。作業の継続には、はやし言葉が必要で、少々、騒々しいグループです。絵を描き始めるのは簡単で、ペンを提示すれば、作業は始まります。終わるのが難しい。「完成です」といってくれません。

         


         


具象的な あまりにも具象的な

 写生が出来るグループです。実際、花をまえにしてスケッチをしたり、写真を見ながら描いたりしています。また、一途に自画像を描き続ける人もいます。

         
 

スナップ運動の軌跡

 手首のスナップで描いていくグループです。重症児の方の代表的な描画スタイルでしょうか?

         


         


○▽□が浮遊する

 点から点を結ぶことが出来る、四角が描ける方たちです。○が連なったり、クモの巣のような、網目状の線が描きこまれた、賑やかな形が、画面を踊っています。

         


         


文字への呪縛力

 単語に固執する方たちです。特徴のある独自のサインが繰り返し画面に描画されていきます。

          


 いかがでしたか?固定された絵の見方から解き放たれた解放感は? 四方八方へ自由に拡散していくイリュージョンの世界。 錯綜するイマジュネイション。 果ては、迷宮散歩を一人歩く快感。 これらの絵画作品と正対し、ゆっくりとした時の流れに身を任す。 至福の時間。
 私たちはもっと強く願ってもいいのではないでしょうか。 いつでも、何処でも、これらの絵画と正対できる空間を。 常設された場所がほしいのだと。