絵本童話集『あやかしまぼろし』のご紹介です。
この本は平成14年に自費出版しました。出版といえば何か大掛かりなようで
恐縮ですが、実際は、「とにかく製本した!」と言ったほうがニュアンス的には
近いと思います。今では自費出版というコトバもよく耳にするようになりましたが
僕が製本した時分はまだそういう波が訪れてなかったように思います。
当時から原稿はパソコンで作って持ち込む時代でありましたが、あの頃の
僕は、デザインを手描きし、台紙に原稿を張り、トンボマークを貼り付け、
トレーシングペーパーをかぶせて色指定をする、そんな丸ごと手作業的な制作をしてみたかったのでした。
勿論そうやって本を作る以前に作品がなければお話にならないのですが、
当時は良し悪しは別にして創作意欲は旺盛で、作品なるもの(?)は結構ありました。
童話や詩や絵や、とにかく模索した痕跡はかなりありました。
で、そんな中から「今の自分が模索しようとしているのは何なんだろう?もう少し詰めれば何か
分かるかもしれない・・」ということから、ちょうど本の手作業的制作の興味と相まって
その散らばった痕跡を深化させていこうとしました。
今読み直すと、随分と手ぬるい作品ばかりなので思わず苦笑いしてしまうのですが、
勿論あの当時は真剣でしたから、作品の良し悪しは問わず、当時の僕はそれらを掘り下げて
作品化していく過程で一体何を見つけたかったのかということに焦点があてると
あの頃の自分も多少は救われるのかもしれません。

 このような観点から今読み返すと、当時と今と変わらぬところがひとつあります。作品の良し悪しは別にして、
これはプロフィールにも書きましたが、とにかく「何かを探している状況」であるということ。
これは間違いないようです。少なからず創作を試みる人間はゴール無きゴールを
目指すようなところがありますから、当たり前のことには違いないのですが。
探す理由としては、世界は思うようにうまくいかない、大団円にはどうやら事はおさまりそうにない、
多分そういう予感のほうがリアルに感じられていたからだと思います。ですから、
とどのつまり「どうなるか分からない」そういう不安を抱えていた頃に、
「決して払拭されること無い不安感も含めた答え」を模索しながら作られた作品ということになります。
勿論不安感に満ち満ちた(変な言い方ですが)作品ばかりではないし、
一見明るいような作品もあります。逆に暗いなかでも少しの夢を持ちたいという気持ちを顛末に
表した作品もあります。ただ、根本的に、疑い深い、そうはうまくいかないぜ、みたいな悪意も
確かに作品中に散らばっていたと思います。

 目次は以下のようになっています。

 
  1 .青い目の犬
  2 .白ばら
  3 .あのときあの窓から
  4 .届かなかった招待状
  5 .若い旅で
  6 .すばらしき昼食
  7 .極楽行き
  8 .こどもの城
  9 .散った花びら
 10 .荒地

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