ノイバラ観察レポート  川原のノイバラ観察から

ノイバラに関する図鑑の記載と、川原の観察での画像を見比べながら、このことかな、と思う部分をまとめてみました。

ノイバラ

Rosa multiflora Thunberg
R.polyantha Sieb. et Zucc.

北海道の西南部から、本州四国、九州の平地、山地に普通で、朝鮮、中国にも分布する。

緑色の部分が引用です。
「日本に野生する種類」籾山泰一『新装バラ花譜』より。

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咲き始めがビンク色のノイバラの花

落葉低木
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枯れ草の中にこんもりと目立つノイバラの茂み

落葉低木。
茎は多物によりかかってのぼり、

ノイバラは落葉低木だそうですが、この株にはずっと緑の葉がついています。
枯れ草の中にノイバラの緑が目立つのが、こちらの冬の景色です。

他によりかかれるものがないと、こんもりと茂ります。

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実をすべて 小鳥がついばんでしまった冬の枝

(このバラは湿地にも入り、ヨシなどと混生していることがある)

たしかに水には強いようです。
水浸しでも元気で、水のたまった河川敷の低いところにも群生しています。
周りに一面に生えているのは、ヨシやオギです。

この株は落葉して、赤く色づいています。
落葉するものと、しないものとはどこが違うのでしょう。

鉤型の刺
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若い枝の刺は赤く、古い枝の刺は白い

枝には鉤形の刺がある。

刺の多いものと、まばらなものがあります。
この刺は下を向いていますが、細い枝の刺は、針のように細くて、真横を向いています。

棘も、株によって変化があるようです。

托葉は細かく裂ける
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ノイバラの特徴は鳥の羽のように切れ込んだ托葉

托葉は腺質で、羽状に深く細かく裂ける。

ノイバラと他の野バラの違いで、最も重要な決め手になるのは、この托葉です。
茎の付けあたりの部分です。

腺というのは、赤い点のように見える、液を出部粉です。
これに触ると粘ついて、樹脂のような香りがします。

葉には光沢がない
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春の若い葉は大きくてやわらかく、冬の葉は小さい

葉は7〜9小葉からなり、小葉は薄くて柔らかく、
多少皺があり、上面は浅緑色で光沢がなく、
下面と葉軸には軟毛がある。
頂小葉は側小葉より大きく、倒卵状長楕円形で、
急尖頭、長さ2〜4cm、縁には鋭鋸歯がある。

他の野バラとノイバラとの違いは、葉の形や質感にもあります。
若葉は食用になるくらい、大きくてやわらかくて光沢がなく、皺がよっています。

けれども冬の葉は、小さくて、寒さのせいか葉の縁が赤くなります。

花序は円錐形
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大きな円錐状の花房に、たくさんの花が咲くのが、イバラの名前の由来

花序は円錐形で、ふつう多数の花からなる。
小花梗は長さ1〜1.5cm、やや彎曲し上向する。

これは、特に大きな花房です。小花梗の長さが3cmくらいはあります。
もっと短く詰まっているのが普通です。
ノイバラは、同じ川原に咲いていても、花の付き方、花の色などバリエーションに富んでいます。

とはいえ、体的に見ると花数の多さ、ぐるっと丸い花房になる点などは、ノイバラの特徴のようです。

腺がある
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腺があるものも無いものもいろいろ

花序の軸、花梗、萼に軟毛と腺のあることが多い。

つぼみを守っている苞葉の部分です。左のつぼみの赤い点が腺です。
右には紅いのはありません。

このように、腺の多いものと少ないもの、やわらかい毛に覆われているもの、つるつるのものなどタイプはいろいろありました。

腺が、何を目的としているのか分かりませんが、やわらかい新芽の先のほうから、花梗、萼のあたりに密集しています。
もしかしたら、何からから身を守っているのでしょうか。
それにしてはアブラムシはぎっしり付いているのをよく見かけましたが・・・

花弁は小さく
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花の色の基本は白、でもつぼみがピンクというのも多い

花は通常小さく、径2〜2.5cm、白色。
萼筒は壺状をなし、卵状紡錘形。
萼片は卵状披針形で、縁に1〜2個の小裂片が出る。
花弁は倒卵形、凹頭。雄蕊は多数で、葯は黄色。

花は小さいけれどぎっしりとたくさんつく、それがノイバラの特徴ですね。
花びらの先がへこんで、ハート型になっています。

葯は開花当日は黄色ですが、翌日は茶色になって閉じてきます。
受粉が終わった合図では?と思っています。
ぱっと開いていたのが、めしべの先を守るようにかぶさっています。

花色は、基本は白ですが、つぼみがピンク。あるいは咲き始めもピンクで、次第に白になるというタイプもあります。

花柱は
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ノイバラの特徴、毛のない花柱の様子

花柱は柱状で毛がない。

花を見るときの一番のポイントは、この柱頭です。
めしべが束のように集まって、高く突き出しています。

そしてそこは、毛が無くてつるつるです。他の野バラは、ここに毛があります。
この部分が見分けるポイントなのですが、この川原に咲くノイバラの中には、毛があるものもありました。
何かが交雑しているのでしょうか。

花期は
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満開のノイバラ

花期は5月〜6月で、早い。

花の時期が他のノイバラに比べて早いのも特徴です。
この川原では、4月の中頃から咲き始めて、見ごろは5月はじめでした。
6月まで咲いているとしたら、おそらく高い山の上でし
ょうね。

果実は
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緑の葉と赤い実がかわいいノイバラ

果実は小さく、楕円形ないし球形で、長さ7o、秋に赤くなる。

これが一番多いタイプです。
真ん中の実が丸く、周りの小さなものが細長いのが、一般的です。

川原にあるものでは、ほとんど丸いものや、全部細長いものなど、実の形にもいくらか変化が見られました。

熟する時期は、気温と関係あるのかがよくわかりません。
この川原では、色づくのは秋というより、冬です。
クリスマスにはまだ、緑の実があります。

小鳥に食べられなければ、新芽が出るまで赤い実が楽しめます。

観察を終えて

観察して感じたことは、変化の多さでした。
わずか数百メートルの範囲なのに、まったく別のタイプに見えるものが何種もありました。

ノイバラは、自然交雑しやすく、変化にもかなりの幅が見られると、聞いてはいましたが、これほどとは思ってませんでした。
それは、ノイバラが自家受粉しにくい性質があるためだそうですね。
他のノイバラの遺伝子を受けつぐことで、より環境に適応するように進化していくのでしょうか。

この川原のノイバラは、私が観察をした年に台風による大きな被害があり、その後河川の復旧工事が行われました。
そのためこれらのノイバラは、今はもうありません。環境はどんどん変わりますね。

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