・・・・・・闇より暗い黒
沈黙
・・・・・・・無・・・・・・
神無き世界よ・・・・・・
光など、無い
永遠に俺に、光は、無い・・・・・・・
・・・・・・・・・・
おおおおおおおい
おぉぉぉおお・・・・・・・いぃ・・・・
ぉぉぉぉお・・・・・・ぃぃ・・・
(・・・・・・うるさい・・・・・)
おおおぃぃ
おおおおいい・・・・
(黙れ)
ぉぉぉおおぉぃ・・・・
(やめろ)
(うるさい、お前は・・・・・)
おおぉぉ・・・ぃぃぃ・・・
(お前は誰だ)
おぉおおおぃぃぃぃ・・・・
声は、遠くから・・・・あるいは時に自分の中からと思えるほど近くから
聴こえる
聴こえるはずなどないのに



俺はもう死んだはずだ
あのとき、あの戦場でやつに狂気の目を向けられたときに
nに、死と恐怖を与えられたときに・・・・・・
あのときに俺は、死んだのだ・・・・・・
あの時すでにもう、俺は死んでいたのだ・・・・・・・・
おおお・・・ぉぉおいいぃ・・・・・・・
聴こえる・・・・・・
(うるさい)
(黙れ)
(お前は・・・・)
おおおぉぉおいぃ・・・・・
(お前は誰だ・・・・)
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
(やめたか・・・・)



「俺のことを」
「あなたは知らない・・・」
誰だ?お前は・・・
青い服を着た・・・・お前は?
何故、俺を呼ぶ?お前は・・・・・
一体誰だ・・・・
なぜ俺を起こそうとする
俺は死んだ
nへの憎悪だけで動いていた生きる屍を
もう闇に葬るのを
引き止めようとするのは誰だ・・・・
俺は俺にふさわしい闇へ向かう
・・・・・邪魔だ・・・・・何もかも
声も、感情も、心も、記憶も、全て・・・・
俺にはもう、何も必要無い
全ては無、だ
俺は俺の力で全てを超えた、nも、俺自身も。全てだ。全てに、俺は勝った・・・・・・・
「・・・・・・無?」
そうだ、俺はそこへ向かう。俺にふさわしい世界へ。闇の中へ。
「・・・・俺には」
「・・・・・好きな人がいる」
しったことか
「その人のことを思うと」
「本当は・・・・・あなたをこのままにしたほうが、
このままあなたを起こさないほうがその人にとっては、幸せかもしれない・・・・」
うるさい、もう、しゃべるな
「あなたは、弱い」
・・・なんだと?
「・・・・・あなたも、俺も、そのnという人も、誰も、かれもみんな・・・・・・」
うるさい
「死?」
しゃべるな
「生きる屍?」
しゃべるなと言っている
もう俺の中でしゃべるな
「あなたは逃げている」
やめろ
「ここでいればもう何も考えなくてすむから」
黙れ
「俺がラインに逃げたように」
うるさい
「後悔しないなら」
・・・・
「どうして、目を閉じてしまった?狂気の世界から・・・・・」
「nという男を殺し、また自身もその男に心を殺されて」
「この弱さからも抜けることが出来ずに」
黙れ
「見えるのに」
「傍にいるのに」
「もう二度と触れられない・・・・・」
うるさい
「このまま何も出来ず、永遠に何も変わらないことが」
・・・・・・・・・・
「どれほど辛いか・・・・・・・あなたは知らない」
・・・・・・・・・・
どうして黙っている?
どうして・・・・・・
お前はどうして泣いている・・・・
誰の為に・・・・・
何故泣いている・・・何故
自分以外の誰かの為に・・・・・・・・





・・・・?何だ・・・・・
光が・・・・・
声が・・・・・・
声が聴こえる・・・・・・
懐かしい・・・・・・
声が・・・・・・
『・・・・シキ』
・・・・?
『・・・・ごめん、守れなくて・・・・ごめん・・・・・』
誰だ?お前は?
あの青い服の男は、どこだ?
・・・・・それに、どうしてそんなにか細い声を出す?
『・・・・いつまでも一緒だ・・・・シキ・・・・・』
なぜ、泣く・・・・・お前も・・・・
『・・・・・好きだよ・・・』
何故泣いている
何故・・・・・・・・・・・・・・・・・
青い男を、抱きしめてお前は・・・・
・・・いや・・・・お前が抱きしめているのは・・・・俺自身か・・・・・・?


お前は血を流しながら、生きているのか・・・・・
それでも生きることを、選んでいるというのか・・・自分の意思で
無様にもがき、血を流して苦しみの中で
それでも生きることのほうが・・・・・・・・・
本当は強いことなのだと・・・・・・
弱さを知っているからこそ・・・・強くいられるのだと
nは言った
あの意味が今・・・・・解るように思う
そうだ・・・・・
・・・・・・・・
そうだ、俺は負けた
俺は自らの精神に負けた
nは俺を、戦わないことで、殺した
やつは戦わずして、俺に勝ったのだ
けれど・・・・・・・・・
それが一体なんだ
何故その事に執着する必要がある
俺は負けた、しかしそれが一体どんな意味を持つというのだ
苦しみを感じる続けることのほうが
ただ「勝つ」ことよりも、俺が求めていたことでは無かったのか?
それが苦しみであるからこそ
それさえもねじ伏せる<己>をひたすら求めていたのでは無かったのか・・・・・・・・・・・・
救うことも、救われることも無く
それでも
生きるということは誰にも与えられはしないのだと
与えられて生きているのではないのだと
そう思ったのではなかったか・・・・・
苦しみがそこにあるのなら
俺は信じよう
まだ血があたたかいということを
そうして再び目を開いたら
もう決して
目を逸らさしたりはしない
もう一度俺は生まれよう
そして今度こそ目が覚めたら
死の瞬間まで、俺は見続けてやろう
お前が生きる様を・・・・・・俺が、生きる様を
このまぶしい・・・・・・・光と共に・・・・・・・・・・・・
お前が苦しみと共にそれを、選んだように・・・・・・



「・・・・・・・・・・・・アキラ・・・・・・・・・・・」














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