少年探偵ポポロ
ポポロは8歳の元気な小学2年生の男の子。そして日本でただ一人の公認の少年探偵です。
どこに公認されているかって?
それは世界子供探偵協会です。
ポポロッポ、ポポロッポ、ポポロッポ、ポッポポロー
「ただいまー」
ポポロはいつものように、元気良く学校から帰ってきました。
でも家の中はしーんとしています。
ポポロの家は共働きで、お母さんも夕方5時まではパートに出ているのです。
小学校6年生のお姉ちゃんはあと3時間は帰ってこないし。
「おーい、ワトスンどこだー」
ポポロが叫ぶと
「にゃー」
ソファーのかげからネコのワトスンがすがたを見せました。
「こらダメじゃないか。ぼくが、ただいまと言ったらすぐに出てこなきゃぁ。」
「お母さんに朝いつも言われてるだろ、ポポロをお願いねって。こらっ。」
ワトスンは抱き上げられて、ポポロにどんぐり目玉でおこられましたが、きょとんとしています。
「まあいいや、しっかりしてくれよ。きみは、ぼくのたった一人の助手で、一番信頼してるんだからさ。」
そう言ってポポロは、ワトスンをそっと床におろしました。
「よし、今日も事件をかいけつに行くぞ。・・・っとその前に・・・」
そう言ってポポロは台所に行くと、イスをうんしょうんしょと移動させてその上にのぼりました。
そして冷蔵庫の上の扉を開けると、そこにはアイスがぎっしりつまっていました。
「どれにしようかな、てんのかみさまのいうとおり、てっぽううってばんばんばん。」
「よし、きょうはこれだ。」
アイスを食べながら、ポポロはネコのワトスンをつれてそとへ出かけていきます。
もちろん出かけるときの戸締りも、しっかり行います。
「どこかに事件はないかな。こまっている人はいないかな。」
あたりをきょろきょろ見まわしながら歩いていきますが、なかなかこまっている人は見あたりません。
近所の公園までやってきました。
「よし、ワトスン、ここでこまっている人をさがそう。ここならさがしながら遊ぶこともできるから一せき二ちょうだ。」
ポポロは覚えたての「一せき二ちょう」ということばが、すらすらと出てきたのでちょっと自分が大人に近づいたような、えらくなったような気がしました。
「よし、まずぶらんこだ。」
ぶらんこのところへ行きましたが、二つしかないぶらんこはあいにくふさがっていました。
ようちえんせいらしきこどもたちが5人ほど、お母さんといっしょに順番にぶらんこにのっていました。
「よし、てつぼうに行こう。」
てつぼうはだれも使っていませんでした。
ポポロは、てつぼうにぶら下がってみましたが、まだ、さかあがりもできないので、ただぶら下がってからだを前後にゆするだけです。
「どこかにこまっている人はいないかな。」
てつぼうにぶらさがったまま、あたりをきょろきょろ見まわしてみました。
そのとき、ポポロのてつぼうをにぎっていた手がつるりとすべって、どしんと地面にしりもちをついてしまいました。
いきおいよく地面に落ちたので、あたまがクラクラッとしました。
「いてててて・・・」
おしりをさすっていると、どこからともなく声がきこえてきました。
「少年探偵ポポロさん、わたしのこどもがゆくえふめいなんです。どうかさがしてください。」
ポポロはあたりをきょろきょろ見まわしました。ワトスンもいっしょにきょろきょろしています。
だれも見あたりません。
「どこにいるんだい、きみは?」
ポポロはあたりを見ながら、ふたたびたずねました。
「ここです、あなたのうしろです。」
ポポロはうしろをふりむきました。
何も見あたりません。
「どこにいるの?」
もう一度たずねました。
「あなたの目の前ですよ、ポポロさん。」
もう一度ポポロは目をこらして見ましたが、目の前には一本の木があるだけです。
「あなたは、この木なの?」
ポポロはもう一度たずねました。
「ちがいますよ。その木の枝のうえですよ。」
ポポロが見ると木の枝にコガネムシがいて、こっちを見ています。
「コガネムシさん、きみなの?」
「そうです、やっと気がついてくれましたね。」
コガネムシは、うれしそうに言いました。
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