この世の果てで恋を唄う少女
YU-NO人物辞典_現世編05
波多乃 神奈

PS4版
CV:内田真礼
セガサターン版
CV:今井由香
B80-W55-H82

境町学園3年生。ほんの1か月前に転入してきた。家族を亡くし、独り自分を傷つけながら日々を生きている。
「あきらめるな」という母の言葉と、ある人と交わした約束を胸に秘め、その“時”が訪れるのを待つ。

波多乃 神奈


 堺町学園三年生。たくやのクラスに転校してきた少女で、そのためか友人も少なく無口。清楚な物腰とは裏腹に父親ほど歳の離れた男性とホテルから出てきた所を目撃したといった交友関係のルーズさが噂されてもいる。剣ノ岬で佇む姿を見かけられたり、海岸での工事中止を作業員に訴えたりといった不思議な行動を取ってはいるものの、その理由を尋ねてもただ一言「危険だから」とか「ここには来ない方がいい」と返事をするだけで、なかなかその胸の内を他人に明かそうとはしないようだ。

【神奈編】

 彼女の生徒手帳を拾い、自宅に届けたたくやは彼女に付きまとう北条という中年男性と出会う。北条は得意そうに彼女と肉体関係を持っている事を告げるが、当初たくやはそれを信じようとはしなかった。しかし後にこれが学校で問題になったときに彼女はそのことをあっさりと肯定してしまう。

 工事現場で発熱した彼女を介抱をしたことがきっかけで彼女の度々の発熱を看病し始めたたくやは、彼女の部屋である物を見つける。母親らしき人物と共に映っている神奈の写真と、そして広大名義の預金通帳であった。広大の居場所を知っているかもしれないと彼女に問いただそうとするが、折からの素行が問題となって彼女は学校を退学することを申し出た。折角出会えた広大との接点が今まさに自分の前から姿を消そうとしていることを知ったたくやは、彼女を付きまとう北条とコンタクトを取ってその情報を得ようとする。しかし約束の時間、夜の公園ではナイフを手に神奈を襲おうとする北条の姿があった。常軌を逸したかのような目つきで執拗に広大の居場所を聞き出そうとする北条。結局絵里子の助けもあってたくやも神奈も事なきを得るが、北条が狙い続け、神奈が「命の次に大切にしていた」ペンダントは、いざこざの際に公園の噴水に沈みその輝きを失ってしまう。

 あの石がないと生きていけない・・・彼女は、普通の人間とは異なる体質を持った自分の秘密と、そのために世間から隠れるように長い月日を送らざるを得なかったこと、母を失って後、日々を生きるために身体を売って生きて来たこと・・・そしてそんな自分に暖かい手を差し伸べた広大のこと、その広大が旅立った事をたくやに告げた。

【神奈編以外】

 剣ノ岬、工事現場などで見かける事が多い。そのいずれも落雷の危険を訴えるものであったりと何かを守っている人物のような感覚で接することになる。プロローグでは次元移動の瞬間に彼女の姿を垣間見るシーンもあったわけだし、本格的に彼女と接するまではその印象が強いと思われる。

【再録】talkの独断偏見コメント


 憂いとか儚さとか、そういう部分を押し出す人物やストーリーだけにそれなりに人気もある彼女。こういう、永遠の刻を生き続けなければならない人外の者との悲恋というのは、まあゲームに限らず物語の黄金パターンではあります。そのために心を閉ざしてしまったとかそういう話が大抵は付随してくるので、「だったらおれがその氷を溶かしてやるぜ」って気持ちを刺激されるのではないでしょうか。神奈編はそのあたりが結構ストレートでわかりやすいので純粋に感動したという御方も少なくはないかと思います。写真に写っていた母親はおそらく異世界編に登場するアマンダだと思われますが、作中ではそれと言い切る部分が無いので真偽のほどは不明。ただし写真での格好や腕輪、そして異世界編ラストでアマンダが次元の狭間に放り出された事などを考えても多分そうだと思います。

 で、問題は彼女の父親が誰かと言うこと。こっちの世界に渡ってきたアマンダがこちらの人間と結ばれたのなら何ら問題は無いんですけど、たくやが神奈の父親だって可能性もかなり高いんですよねえ、コレが。もしそうだとしたらまたエライ事になりますな。まあ異世界の自分にまで責任は持てませんが・・・まあそれくらいの設定があれば、彼女に対して抱く不思議な気持ちの説明も付きやすいんですけどね。(たくやの)母と同じ異世界の人間と言うことで、そういう部分で共感を抱いたのかもしれませんけど、やはり娘に対する無意識のシンパシィという所が説明としては最もしっくり来ます。

 ま、そんなわけでもしかしたらユーノの異母姉妹の可能性もある神奈ちゃん。現代編と異世界編の接点に立つ人物という所を考えても一番ヒロイン的な人物ではないかと思います。神奈編エンドでは父の広大と同じようにたくやも向こうの人間と結婚するという事になりますし、綺麗に収まっていいのではないでしょうか。


20年越しのキャラデザ変遷+名字の元ネタ


 幾つかのマイナーチェンジは見られますが、神奈に関してはビジュアル的にもサターン版からそれほど変わっていない印象ですね。強いて言えばぱっつん前髪が変更されているくらいでしょうか。清楚で儚げで、しかし他人との接触を拒むような冷たさも感じさせるミステリアスな美女。その陰のある大人しそうな外見とは真逆の「援交JK」というショッキングな事実が神奈というキャラのキモになりますが、その辺を助長するためか保健室で介抱するシーンのような無防備な姿にエロさを感じるというCGや描写が多いのも特徴。しかしリメイク版ではデザインのタッチが影響してかその辺のエロさはかなりマイルドになった印象です。

 20年の歳月を経て18禁ゲームからコンシューマー家庭用ゲームにリメイクされたわけですから、「表現の範囲」という垣根があるので当然なのですが、一方で20年前に「年齢制限」という独自のレーティングの下で直截な18禁CG以外はほぼそのまま18禁ゲームの雰囲気を再現したサターンというハードの特殊性に改めて脱帽する想いです。当時このサターンの攻めの姿勢にどれほどの青少年が救われたことでしょうか…勿論私もその一人として、この偉業を後世に伝えていかなければと決意を新たにしております(笑)

 名字の元ネタは丹波の戦国大名・波多野氏。

 応仁の乱で細川勝元(丹波守護)方に属した波多野秀長が、その戦功により丹波多紀郡を与えられたのが丹波に波多野氏が勢力を扶植した始まりで、政元にも仕えて以後、波多野一族は多紀郡を中心に丹波国一円へ勢力を伸ばした。秀長の子で英君といわれる波多野稙通は永正12年(1515年)、朝治山に八上城を築城し、ここを本拠として守護代である内藤氏を討ち、さらに細川氏の勢力を駆逐して、戦国大名として独立を果たした。しかし、稙通の子・波多野晴通が暗愚であったため、波多野氏は三好氏の侵攻で衰退していき、最終的には松永久秀や守護代内藤氏を継承した松永長頼らに攻められて、服属することを余儀なくされた。(Wikipediaより)

 『信長の野望』では丹波の山奥の弱小勢力。近畿勢や中国勢の狭間でいつの間にやら滅亡する影の薄さがありますが、京の二条御所が目と鼻の先なので初期戦略を一本化して早めに京を抑えてしまえば一気に近畿制圧の主導権を握ることも可能。合戦に強い「丹波の赤鬼」赤井直正という武将もいますし、プレイヤーの腕前一つで弱小勢力からの大躍進を味わえる、ゲームに慣れた中級者向けの勢力です。しかし史実では激動する近畿圏の主導権争いに翻弄されて三好や織田の間で右往左往する地方大名の悲哀が感じられます。そんな所が神奈のイメージに近い…かな?


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