この世の果てで恋を唄う少女
YU-NO人物辞典_現世編08
豊富 秀夫

PS4版
CV:江口拓也
セガサターン版
CV:三木眞一郎

ジオテクニクス社の社員で、海岸工事プロジェクトの主任・亜由美の直属の部下。

豊富 秀夫


 ジオ・テクニクス社員。亜由美の部下にあたる。「上に弱く、下に強い」の人物で、上司の亜由美に対しては慇懃な言動を取るが部下や部外者に対しては尊大に振る舞う。海岸で行われている地質調査の現場監督でもあり、実際の指示を出しているのは彼。落雷事故が頻発しているにも関わらず工事を敢行しておいて、やはり事故が起きるとそれを責任者の亜由美に背負わせるという変わり身の術が得意。亜由美の前で優しい言動を取るのは、彼女を我が物にしようとする考えからであり、夫を亡くして後、それを忘れる為に仕事に忙殺される毎日を送っている亜由美の目には、それが見え透いたものであっても好ましく映っていたのではないだろうか。

【亜由美編】

 高台から見える公園で豊富らしい人物を見かけたたくやは、そこで彼が柄の悪そうな連中と何やら打ち合わせをしている事を知る。それから数日後、夜の公園で亜由美は例の連中に襲われ、機密書類を奪われそうになった。そこに豊富が駆けつけ暴漢を撃退。亜由美にアピールし、同時に機密書類も手に入れる事が出来る・・・という豊富の筋書きだったのだ。彼はジオ社とライバル関係にある社と取引をし、亜由美が研究している「超念石」と呼ばれる物についてのデータを持ち込むことで、高額の報酬と高い地位を得る事になっていた。そのために亜由美の信頼を得て、彼女からデータを引き出そうと色々と裏で画策していたのである。

 たくやは胡散臭い豊富の存在を度々亜由美に忠告するが、彼のことを頼りに思っている亜由美は耳を貸そうとしない。豊富に詰め寄った所で「証拠を出せ」の一点張りで歯痒い思いを続けることになる。が、産業スパイである朝倉香織
と取引をし、証拠を握ることで彼を問い詰める事に成功。彼の目論見は失敗に終わった。

【亜由美編以外】

 後半、ホテル前で亜由美と共に居る場面を目撃する事があるので、彼の画策通りに事が運んだものと推測。機密書類を入手しジオ社を出奔。ライバル社に高く売りつけた挙げ句、書類紛失の責任を亜由美独りに負わせる・・・と言ったところか。


【再録】talkの独断偏見コメント


 誰もが認める、剣乃作品でも1,2を争うトップレベルのムカつく人物。思考や存在的にはEVEの二階堂との共通点が多いんですが、二階堂の方は結構本気で弥生に惚れていた事や、「以前は小次郎の事をセンパイ、センパイと慕っていた」という記述があるので、あの行動の理由の中に確かに探偵事務所を我が物にしようとする欲などもあったでしょうけど、おそらくは「小次郎を見返してやるんだ!」って部分も強く存在していたはずで、そのあたりがあるからあまりヤなヤツという印象を受けないんですよね(作中で結局殺されるので、スカッとする部分も大きいと思われますが)。

 対してのこちらは理由が欲そのもので、しかもそのために亜由美との肉体関係を利用しようとするなど、もう弁解の余地が無いわけであります。「証拠を出せ」とか「責任者は主任だ」を連発するあたりも見事なまでにヤなヤツ全開。ここまでパーツが揃うとなかなかどうして立派に見えたりも・・・しませんわな。それにしても暴漢に襲われている所に颯爽と登場だなんて、かなり古典的な方法を考えるもんです。何だかそんなあたりもムカつく理由の一つだったりするのかも。しかし主人公のオモチャ代わりにされる事も多かったりするし、逆にそんな古風な悪企みをしてしまう所なんかが返ってマヌケに見えたりもして、「もう絵を見るのもイヤ!出てこないで!」ってほどには嫌われない存在だったりします。宝玉やアイテムが揃ってストーリーを進めるとちゃんと溜飲の下がる結末も迎えられますし、そういう所を考えるとなくてはならない憎まれ役ということで上手く作られた人物だとも思いますね。

20年越しのキャラデザ変遷+名字の元ネタ


 サターン版の方は目元もはっきりしている甘いマスクの好青年風だったのですが、キャラデザの変遷を受けて顔の輪郭や目付きがシャープになり、以前よりも少し悪人面が表に出て来たようなキツめの印象を受けます。ただしスーツ姿の男キャラなので衣装のデザイン変更はほとんど無し。スーツだけでなくご丁寧にネクタイの色まで20年前と同じなのでキャラから受ける印象は少しも変わっていません。昔のままのイヤなヤツなので、PS4番でも安心してムカついてあげると良いでしょう(笑)。

 名字の元ネタはご存知太閤秀吉公の豊臣氏。

 秀吉ははじめ平氏を称していた。氏素性のはっきりしない秀吉であるから、これは主君であった織田信長の氏を模倣したものであると考えられている。そして天正13年(1585年)7月、秀吉は関白に就任するにあたり、前関白近衛前久の猶子となり、平氏から藤原氏に改めている。藤原氏でなければ関白にはなれないからである。その後、秀吉はさらに「豊臣」氏に改める。理由については諸説あり、秀吉が自らの右筆である大村由己に執筆させた『任官之事』(別名『関白任官記』)では「古姓を継ぐは鹿牛の陳跡を踏むがごとし」と単純な前例踏襲は拒否することを述べ「われ天下を保ち末代に名あり。ただ新たに別姓を定め濫觴たるべし」として、秀吉は特別に傑出した人物であるから源平藤橘にならぶ第五の新しい氏を創始できるのだ、と高らかに宣言している。(Wikipediaより)

 『信長の野望』で大名勢力としての豊臣氏がプレイ出来るのは信長が本能寺で死亡して後の年代、いわゆる中国大返しの時から選択が可能になります。既に織田家臣団の中では随一の一大勢力となっており、家臣も精鋭揃い。普通にプレイすれば史実同様何の問題もなく天下統一への道を邁進出来るでしょう。というわけで自勢力として遊ぶよりは、他勢力でプレイして「強大な豊臣(羽柴)家に如何に対抗するか」が『信長の野望』後半シナリオの醍醐味とも言えます。YU-NOの彼は「豊富」で字が違うので要注意。日本史史上でも類を見ない英傑と彼とでは比較になりませんが、口八丁手八丁なところは「人蕩し」の名人たる秀吉に通じるところがあるのかも。


<<prev 人物事典07 朝倉 香織

>>next 人物事典09 龍蔵寺 幸三