この世の果てで恋を唄う少女
YU-NO人物辞典_現世編09
龍蔵寺 幸三

PS4版
CV:楠大典
セガサターン版
CV:大塚明夫

境町学園の学園長であり、たくやの父親、有馬広大の古くからの友人。
現在は、学園前の「武家屋敷」に引っ越してきて死んだ広大の研究素材を引き継ぎ、その研究に没頭する毎日を過ごしている。

龍蔵寺 幸三


 有馬広大の共同研究者でたくや達が通う境町学園の理事長でもある。温厚篤実な人柄の紳士だが、広大が行方不明になった時期と前後して「何処か人が変わったようになった」と秘書の美月は心配そうに語るのであった。深夜の剣ノ岬にたくやと亜由美を呼び出し拳銃を突き付けながらリフレクターデバイスと宝玉を差し出すように脅した彼は、やはり別次元の彼であることに変わりはないのだが、たくやが次元を行き来する中でも度々その行く手に現れてはたくやの持つ宝玉とリフレクターを手に入れようと様々に画策を巡らす。

【美月編】

 美月と共に龍蔵寺の秘密を探るシナリオでは彼の正体を垣間見る事が出来る。学園からすぐの距離にある、タタリ騒動の元凶ともなった武家屋敷の捜索で様々な不審が浮き彫りになる。半年しか経過していないのにまるで何年も経ったかのように朽ち果てた蔵、破り捨てられた日記の切れ端、痴呆を装う母親・梅・・・美月や絵里子と共に屋敷を捜索するうちに、蔵の壁の中に埋め込まれた白骨死体を発見する。それこそが龍蔵寺本人の死骸であった。

 タタリ騒動と時期を同じくして人が変わった龍蔵寺。龍蔵寺の身体に乗り移り、彼を殺害した「何者か」は絵里子が次元を越えて追跡する犯罪者であったのだ。彼は絵里子の追跡を交わし別の次元に逃亡するために広大の研究に目を付け、その研究の成果である宝玉とリフレクターを持つたくやを狙い続けていた。ナイアーブ症状と呼ばれる強烈な催眠状態に陥らせた美月を犠牲にしながら、彼は蔵の中に隠してあった次元移動装置で別次元へ逃亡。更なる追跡を試みる絵里子の言葉を背にしながら、たくやは美月の死を悲しむ間もなく、またしても次元を移動していく。

【神奈編】

 北条の雇い主はおそらく龍蔵寺。かつて広大の保護を受けていた神奈に目を付けて何かを譲り受けていないかを執拗に調べさせていた。神奈編ラストで北条が発狂したように神奈に斬りつけたのも、龍蔵寺に成り代わった次元犯罪者の手による催眠の手によるものである。

【亜由美編】

 香織とコンタクトを取っていた理由は基本的には北条と同じ理由だと思われる。広大の後妻である亜由美もマークの対象であったのだろう。超念石の件は、香織はジオ社のライバル社からの依頼を遂行したような雰囲気ではあるが、その存在の確認くらいは同じように龍蔵寺も示唆していたのではないだろうか。勿論その両者も含めて香織に亜由美をマークさせていたはず。


【再録】talkの独断偏見コメント


 スマートな悪役としてなかなかいいポジションを確立しているような感じのする龍蔵寺教授。ダンディな格好もさることながら、美月編でのワンシーン以外にこれといった18禁シーンが無い事がその一番の要因かもしれません。大抵エルフ作品の悪役ってのは片っ端から女の子を手篭めにしたりするもんですが、そういうのとはちょっと無縁というのもある意味独特。ま、個人的に言わせて貰えばスマートな悪役と感じる一番の要因は声が大塚明夫だって以外の何物でもないんですけどねえ。格好良すぎではっきり言って惚れます。ステキーー!!

 美月曰くの「人が変わったようになった」という部分はちょっとした言動や仕草といった部分もありますけど、生活習慣や態度が明らかにおかしくなったという部分もあるのが面白いです。例えば部屋に家具を全く置かず固い床の上で寝るようになったとか、今まで嫌煙家だったのにいきなり葉巻をスパスパ吸うようになったとか。絵里子センセも「次元を移動していると固い物の上で寝たくなる」とか言ってますし(次元移動中って何か身体が不安定になるのかしら?)、タバコに関しては「もう病み付きだよ」とのこと。龍蔵寺もその二つに見事に当てはまっている所なんかもポイントかと。

 異世界編での出番は、幽閉の身なので終盤も終盤になってからのごく僅かな間のみになってしまいますから、たくやの前に立ちはだかる悪役としての彼を堪能出来るのは現世編のみ。ほぼ全てのルートで悪役としての立場をきちんと果たしている名脇役とも言えるキャラですね。

20年越しのキャラデザ変遷+名字の元ネタ


 スーツ姿のおっさんキャラなので大きなデザインの変更はありませんが、リメイク版ではスーツの色がオシャレなワイン色になっています。ポケットチーフも身に着けていますのでスマートな悪役感がいっそう出て来た印象ですね。また、新しいキャラデザの方が体格的にもややがっしりとした雰囲気で描かれていますし、目付きも鋭くなっていますので、絵的にもわかりやすい悪役として再デザインされたのかもしれません。

 声の方はサターン版の大塚明夫のダンディさが半端なかったのですが、リメイク版の楠大典の声は、大好きな海外ドラマ『CSI:NY』の検死官兼捜査官のホークス役のイメージもあってどちらかと言えば知的でスマートな印象を受けますので、結構龍蔵寺の印象は変わっていますね。しかしこれに関しては流石に大塚明夫の存在感が勝ち過ぎていたような気もしますが(笑)。サターン版YU-NOは男性声優陣も相当豪華な面子でしたからねえ。

 名字の元ネタは肥前の戦国大名・龍造寺氏。

 1530年、水ケ江城主龍造寺家兼が田手畷の戦いで周防の大内氏を破ってから少弐氏からの自立が進み戦国大名としての道を歩み始めた。この龍造寺氏の勃興は、九州ではほとんど見られなかった下克上の数少ない例と言えよう。しかし、1544年に馬場頼周を中心とする少弐氏重臣達の調略に敗れ、一族の多くを殺害されて、龍造寺氏の勢力は一時的に壊滅した。再起した隆信の時代に龍造寺氏は肥前を制圧し、北九州に勢力を広げ、さらに大友氏が日向の耳川の戦いで島津氏に大敗するや、大友氏の混乱に乗じて大友氏の勢力圏の筑後に侵攻するなど、短期間に戦国大名としての最盛期を築き、九州北東の雄である大友氏を圧倒するに至る。(Wikipediaより)

 『信長の野望』では島津、大友と並ぶ九州三大勢力の一角。「四天王なのになぜか五人いる」ことで有名な龍造寺四天王をはじめ戦闘向きの家臣が多く、後に鍋島藩の祖となった鍋島直茂という優秀な家臣もいるため、俗に言う「九州三国志」を存分に味わうことが出来ます。史実では島津家との沖田畷の戦いで当主・隆信が戦死して没落。後に秀吉によって国政を任された鍋島家に龍造寺家は乗っ取られる形となり、主家は断絶してしまいます。怪談で有名な「鍋島藩の化け猫騒動」はこの鍋島家と龍造寺家の確執を背景に描かれており、「乗っ取られる」とか「怪談」なんかのキーワードはまさにYU-NOの龍蔵寺そのもの。剣乃氏も龍蔵寺に関してはかなり意識して名前を付けたのではないでしょうか。


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