建白TOPへ

百四拾   美しい日本語(2004/7/4)
百参拾九 「聖徳太子、知らない?」(2004/6/26)
百参拾八 一般化するのが好きなコメンテータ(2004/6/20)
百参拾七 皇室を考える(2004/6/12)
百参拾六 伊福部マーチ(2004/6/5)
百参拾五 ノートンさんの診察ミス(2004/5/30)
百参拾四 陥落(2004/5/23)
百参拾参 捕虜虐待(2004/5/16)
百参拾弐 ナショナリズム−このロクでもないもの(2004/5/9)
百参拾壱 金をかけずに手間をかける(2004/5/1)
百参拾  邦人保護(2004/4/25)
百弐拾九 ダイナベクター(PHA100)ユーザーに朗報(2004/4/18)
百弐拾八 意味不明(2004/4/11)
百弐拾七 どこまで続くぬかるみぞ(2004/4/4)
百弐拾六 いつのまにかの侵入(2004/3/28)
百弐拾五 ビフォーアフター承前(2004/3/21)
百弐拾四 食の安全(2004/3/14)
百弐拾参 7月4日に生まれて(2004/3/7)
百弐拾弐 浦島太郎(2004/2/29)
百弐拾壱 オーディオ再燃/2(2004/2/21)




百四拾  美しい日本語(2004/7/4)
 などといったことを考えたのは、参議院選挙がらみの政治家の演説を聞いてのことです。政治家の演説で、もっとも素晴らしいのはヒトラーのそれです。内容、格調、声調いずれをとっても最高のものでしょう。ナチス党大会の演説全篇を聞いたことがありますが、長口舌に関わらずまったく飽きさせません。あれほどの演説を聞かされたら、国民が熱狂したのも頷けます。今の政治家にしても、なぜ参考にしないのか不思議なくらいです。

 ヒトラーの名調子の理由はいろいろあります。間の作り方なんか絶妙としか言いようがありません。ときには声を落とし、ときには絶叫します。演説が白熱するや、畳み掛けるように息もつかせません。そのような声調と動作(振付け)のコンビネーションの見事さは名優といえるものです。一方で、内容がまた見事です。草稿を書いたのは、間違いなく専属のライターでしょう。ケネディも専属のライターを抱え、演説のリハーサルを納得がいくまで繰り返したそうです。

 問題はライターです。人を感動させることのできるライターがいるかどうか。コピーライターにしても、おもしろいコピーを書くライターは多くても、文語表現あるいは口語でも格調のある文章を書けるライターは限られています。
 例えば、詩人の大木淳夫氏のように日本語を操れるライターはまずいないんじゃないかな。大木氏は戦争協力をしたとかで不遇をかこったそうです。三好達治氏にも戦争協力ととられた詩があります。
 大木氏は戦後、各地の学校校歌を書いています。校歌は定型的な表現文句が要求されるので、あまり冴えたものはありません。ただ、大木氏には傑作「戦友別杯の歌」があります。
 次のようなものです。ようなというのは、私が書きとめておいた詩が見当たらないのです。Webで調べると方々に記述されていました。この詩は詩集として残っていないのです。この詩を知る者が、記憶に留めておいたものを書き起こしたものです。ですから、それぞれの記憶によって若干の違いがあります。特に漢字がこれでよいのか自信がありません。以前に書きとめておいたものの漢字がこうであったような‥‥。間違っているかもしれないので、引用はしないでください。

 「戦友別杯の歌」 大木惇夫
 言うなかれ、君よ別れを
 世の常をまた生き死にを
 海原のはるけき果てに
 今やはた何をか言わん
 熱き血を捧ぐる君の
 大いなる胸を叩けよ
 満月を杯(はい)に砕きて
 暫し唯酔いて勢(きほ)へよ
 わが往くはバタビヤの街
 君はよくバンドンを衝け
 この夕べ相離(さかる)とも
 かがやかし南十字を
 いつの夜かまた共に見ん
 言うなかれ君よ別れを
 見よ空と水搏つところ
 黙々と雲はゆき、雲はゆけるを

 私は、この詩をいっぺんで好きになりました。皆さんはいかがでしようか。
 ついでに、わが母校に連綿と伝えられている逍遥歌を紹介します。これも口伝です。どこかに正式に記載されているのかもしれませんが、私は不明にして知りません。作者も知りません。

一 旅とこそ聞け人の世は
  この旅を我 雄々しくも
  一人来たりて麗しの
  瀬戸を渡りし旅人ぞ

二 ああ南瞑の暁に
  無念の涙胸に秘め
  今永劫に散りゆきし
  旅人ありと我は聞く

三 夢にも泣くか塵の子よ
  波風いかに荒ぶとも
  海に命の帆を上げて往かん
  常世の花匂う 
目次へ




百参拾九 「聖徳太子、知らない?」(2004/6/26)
 今朝の「朝まで生TV」で、またまた面白いハプニングがありました。たまにこういうことがあるから見逃せません。
 今回のテーマは“皇室とニッポン”です。メインの議題は皇位継承問題でした。ここ数年、司会の田原総一郎氏は疲れています。やはり老いでしょう。たしかに長時間にわたる討論を仕切るのは大変だと思います。以前は5時間番組だったのが、徐々に短縮されて今は3時間です。それでも後半部分は消耗を感じさせます。
 パネリストのひとり四宮正貴氏(民族派評論家)とのやり取りの中で、四宮氏が激怒しました。天皇家のもっとも重要な仕事−祭祀−について論じたときのことです。

 田原「それはだって、聖徳太子がなに言ったか。和の精神ですよ」
 四宮「なに言ったんですか?」
 T「聖徳太子、知らない?」
 S「知ってます」
 T「知ってますね?」
 ここまでは穏やかな対話。で、四宮氏が突然形相を変え、声を荒げ
 S「当たり前でしょ !! そんなこと !!」
 T「だって、知らない、ピンとこない‥‥」
 S「なに無礼なこと言ってんだ、君は !!」
 T「そんなだからあなた人格破綻だって‥‥」
 S「人格破綻は君だよ !! 無礼な質問して !!」
 S「聖徳太子を知らないのかって、なんてことだそれは !! 無礼な質問して !!」
 T「だから、和の精神って何かと言うと、仏教がやって来たわけだ。仏教徒を日本の‥‥」
 S「君はイエス・キリストを知っているのか !? そう聞かれるとどうするんだ !!」

 いやあ、四宮氏、いいキャラだわ。私の再現文章では上記シーンのおかしみが伝えられません。VTRで見て欲しいな。しかしねえ、民族派ってこれだから駄目なんだなあ。昔、民族主義や愛国心をテーマにしたとき、右翼の大物が出演しました。このとき右翼の株を下げたとしか思えません。男尊女卑や矮小な封建主義を振りかざしていましたから。横で聞いてた小沢遼子さんがいみじくも漏らしました。
 「私、今日の右翼関係者の発言を聞いて、なぜ右翼が駄目なのかよく分かりました」
 この評がすべてでした。

 ちなみに朝生史上最高の名場面は、湾岸戦争時の舛添要一氏の馬鹿晒しです。ガザ地区を語っていたときのことで、ほぼ次のようなものでした。
 舛添「ガザ地区はパレスチナの土地なのだから‥‥」
 すかさず他の出演者一同(私もTVを見ながら同時に)が突っ込みました。
 「ガザ地区はヨルダンの領土ですよ」
 舛添氏は絶句して、眼が泳いでいました。国際政治学者を名乗っていた時期だけに悲惨でした。私なんか痛々しくて見ていられませんでしたもん。毎月の常連パネリストだった舛添氏は、この後半年くらい出演しませんでした。多分、TV朝日に抗議が殺到したことでしょう。それに、いくら舛添氏が厚顔でも、さすがに恥ずかしくて顔を出せなかったでしょう。あの件で完璧に舛添氏の底が割れました。以後、氏の扱いが色物に堕しました。まあ、自業自得というものでしょう。

 他にも姜氏による田岡俊次氏への因縁づけもよかったなあ。田岡氏はよく我慢したものです。むかついてたのが見え見えでした。また、舛添、栗本両氏の大学ドロップアウト組による、現役大学助教授への嫉妬丸出しの因縁づけなんかも印象深かったなあ。

 朝生もマンネリですけど、たまに今回のようなハプニングがあるから見逃せません。
目次へ




百参拾八 一般化するのが好きなコメンテータ(2004/6/20)
 長崎の小6同級生殺害事件はやりきれません。で、この件ではいろいろ考えされられます。

 “凶悪事件の低年齢化”を馬鹿のひとつ覚えみたいに喋るコメンテータは信用しないでください。そういう事実はありません。というか、“凶悪事件の低年齢化”は戦後ずっと唱えられ続けてきたことです。現在はむしろ沈静化しているのです。コメンテータがこれを言ったら、「じゃあ、そのデータを示してみろ」と一緒に突っ込みましょう。
 なかでも顕著なのは強姦事件です。今は性の自由化が実現したおかげで、非常に少なくなっています。昔はヘアさえも遮断されていたため、青少年のストレスは相当なものだったのでしょう。いえ、無修正ソースに自由にアクセスできる現状は大問題だと思いますけど。

 次にけちをつけたいのは、事件の背景の一般化です。例えば、「Web の世界はバーチャルな世界であり、生の触れ合いがないため相手との間にコミュニケーションのずれをきたしてしまう。しかも携帯やインターネット世界における肥大化した自己を、現実世界にそのまま持ち込んでしまっている」などの言説です。今回の事件でも、これに類することを喋るコメンテータが多々いました。事件の状況や背景がはっきりしない時点で、よくもまあ度胸があるなあと感心しました。やがて状況や経緯が明らかになってくると、違っていましたね。あくまで、加害者のパーソナリティの特異性でしょう。そんな簡単に一般化しちゃ、世の中刃物を持った小学生だらけということになります。

 高見広春氏の「バトル・ロワイヤル」を加害者が愛読していたとの報があります。ちなみに高見氏は同郷です。
 「バトル・ロワイヤル」は角川の“日本ホラー小説大賞”最終選考で落選しました。私は選考委員の見識を評価します。かつて詩人の佐藤春夫は、文学には節度が必要である旨の発言をしました。私もそのとおりだと思います。もちろん、エンターテインメント−面白ければいい、読者が望むものを提供する−もまた認めます。ただ、それはコマーシャリズムであり、文学とは区別すべきです。
 落選した「バトル・ロワイヤル」は太田出版から発行され大ベストセラーになりました。角川書店関係者の内心は穏やかでないでしょう。さて、出版・報道に関わる方々に考えて欲しいのです。売れるものを提供するのは私企業として当然でしょう。特に出版社は軒並み赤字で、売れないものを出すわけにはいかないのも納得できます。ただほんの少し配慮して欲しいのです。アメリカでは子供に対して、殺人シーンのある映画はR指定で大人同伴を義務づけています。このようなハンデくらいは設けるべきです。表現の自由は守らなければなりません。自由を守るためにも、節度が大切だと考えるのです。
目次へ




百参拾七 皇室を考える(2004/6/12)
 皇太子さんの意見表明に疑問を持ったので、浩宮さん、それは駄目でしょう−東宮による宮内庁批判 を書きました。ずいぶん、らしくないTV会見でしたから。そして先週のこと、宮内庁の職員が東宮と面会し、結果報告をしました。文書による補足説明というのもなんだか姑息です。まあ、浩宮さんに多くを期待するのは無理でしょう。

 昭和天皇に対して、明治の元勲たちは帝王学を仕込みました。私見ですが、歴代天皇中で本物の帝王学を仕込まれたのは、唯一昭和天皇だけでしょう。
 裕仁殿下の小学生時代(学習院初等科)、殿下を導いたのは院長の乃木希典でした。乃木を任命したのは明治天皇です。この国民的英雄は、殿下を紛れもなく君主へと育てました。殿下自身、乃木を英雄視しており、彼の厳しいまでの訓育を素直に受け止めています。
 初等科修了後は中等科に進むことなく、初等科選抜生6人と共に殿下用に設置された御学門所で学びました。ちなみに御学問所総裁は東郷平八郎でした。ここでの教育を担当したのは、当時の日本の学問分野第一人者ばかりです。
 歴史を担当したのは白鳥庫吉博士で、面白い逸話があります。
 「仁徳天皇は高殿にのぼり、民の竈の煙が少ないのをご覧になって、租税を三年間免除されたが、そのような民の疲弊はなにによると思うか」と、問いました。
 「飢饉のせいだったと思います」と答える生徒、分かりませんと答える者。で、指名された殿下は次のごとく答えました。
 「神功皇后の三韓征伐のためと思います」
 戦前、三韓征伐は壮挙として教えられていました。祖先の歴史に対して否定的見解を述べたことから、明らかに民草の上に立つ自覚を身につけていたのではないでしょうか。

 対して、今上陛下に帝王学が指導されたという話は聞きません。え〜と、名前を失念したけど、アメリカのご婦人が教育掛としてつきましたね。GHQに配慮しての方策だったのでしょうが、クリスチャンに皇太子の教育を任せるのは心中穏やかでなかったはずです。しかもこのご夫人、帰国後に手記を出版するという俗物ぶりを発揮しています。まあ、こんなのにかかっちゃあ帝王学も糞もないでしょう。
 それでも今上陛下には、昭和天皇という生きたお手本がありました。裕仁陛下は20世紀の激動を真正面から受けて立ちました。裕仁陛下が示した“御一人”としての振る舞いを間近で見ていたのですから、これに勝る教育もないでしょう。戦後の人間宣言や全国巡幸は、新しい天皇像を自ら創り上げようとしたものでしょうし。また、閣僚の奏上にまつわる不用意な失言から、親政が中止のやむなきに至った経緯もあります。こういった父親の公務や事件を通じ、天皇制の意義についても深く考えたことでしょう。

 ところが、現殿下は帝王学と無縁の成長をしました。それが悪いというのではありません。むしろ自然なあり様というべきでしょう。そもそも日本には貴族制がありません。戦前のような貴族制があって、はじめて君主制も成立するのではないでしょうか。天皇制も人間あっての制度です。今の天皇制は、天皇家だけによる小さな社会です。ここに無理があるのでしょう。例えば英国には、貴族社会が厳然と存在します。その中での王室だからこそ、王室の人間も息がつけるのではないでしょうか。
 次代天皇家を、普通の権利を持った国民に戻してあげるのが唯一の解だと思います。


 2ちゃんでセンスのいいAAを見つけました。笑っちゃうでしょう。
 洒落です。不敬などと言わないでね。

〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( `Д´) < ヤダヤダ!
   `ヽ_つ ⊂ノ
          ジタバタ
     _, ,_
 〃〃(`Д´ ∩ < 海外行きたい
    ⊂   (
      ヽ∩ つ  ジタバタ

〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( つД´) < ○○治療はもうイヤ
   `ヽ_ ノ ⊂ノ
          ジタバタ
   ∩
 ⊂⌒(  _, ,_) < ○○○キモィ…
   `ヽ_つ ⊂ノ
          ヒック...ヒック...
   ∩
 ⊂⌒(  _, ,_) 
   `ヽ_つ ⊂ノ  zzz…
目次へ




百参拾六 伊福部マーチ/B>(2004/6/5)
 仕事のストレスをアナログ・レコードが癒してくれています。私のレコード・コレクションは貧弱なものです。とはいえ、それで困ることはありません。昔買ったレコードを聞き返していますが、中には買ったことさえ覚えていないもの、一度しか聞いていないものもあります。雑誌などで拝見するマニアの膨大なコレクションなんか、本当に聴く暇があるのか信じられません。私の所持しているレコードで、一番多いのはプログレ関係です。ピンク・フロイドやマイク・オールド・フィールドなんかは擦り切れるまで聴き込んでいます。

 ところで、最近のこと飽きずに繰り返し聴いているのは、伊福部昭さんの東宝特撮映画音楽集です。多分20年前に買ったものです。テクノ・グループ“ヒカシュー”でキーボードを担当していた井上誠氏が演奏した伊福部楽曲集です。氏は伊福部昭さんの大ファンで、オリジナルを忠実に再現しています。下の写真がそれです。残念ながら、現在は廃盤になっている模様です。CD化もされていません。よくぞ買っておいたものです。今、これを手に入れようと苦労している方が多いそうです。
 私は東宝の特撮映画はほぼすべて観ています。シーンの細部まで記憶しています。最初にこのレコードを聴いたとき、音楽にかぶる映像が浮かんで泣けてきました。伊福部さんは作曲するとき、独自に曲を練る場合と、映像に合わせて作曲するケースの二通りあります。感慨深いのは後者です。印象深い映画の名シーンがサウンドによってまざまざと蘇ります。「キングギドラ出現!(ゴジラ伝説T)」や「轟天建武隊出撃せり!(ゴジラ伝説U)」なんかは、音楽と映像が見事にマッチしています。東宝特撮映画畢生の名シーンでしょう。
 で、上のレコード中、よく聴くのはテンポのよいマーチです。伊福部さんはマーチの名手です。マーチといえばアメリカのJ.F.スーザが第一人者です。でもねえ、私は伊福部さんのマーチの方が好きです。「怪獣大戦争マーチ」「怪獣総進撃マーチ」「メーザー光線マーチ」「地球防衛軍」「ボヤージ・トゥ・ドリーム・クエスト」なんか何度聴いても飽きさせません。井上誠氏はシンセサイザーでオリジナルを再現しています。これはこれで素晴らしいのですが、できうるならフルオーケストラ版の伊福部マーチを聴きたいです。
 伊福部さんの名前を知らない方でも、これらのサウンドを聞けば思い当たるんじゃないかな。私、きっと死ぬまで聴き続けるでしょう。
目次へ




百参拾五 ノートンさんの診察ミス(2004/5/30)
 最近のこと、ウィルスが大群で押し寄せてきます。昔からActiveXやJavaは無効にしているので、あまり縁がなかったのですがねえ。
 3月末に「Norton AntiVirus 2004」をセットアップしているので、大半はブロックしてくれます。でも、手動でスキャンしてみると、ブロックしたのと同じウィルスがすり抜けて感染しています。他の方々はどんな按配なのでしょうか。少なくとも私の環境では信頼できません。
 「Live Update」にしても、自動では遅れ気味です。私はしょっちゅう手動で確認しています。
 また、定義ファイルが間に合ってないウィルスも存在しているのでしょか。先週のことパソコンの挙動が変でした。毎日使っていると、レスポンスなどで違和感を感じることがあります。そんな場合、手動でスキャンするわけです。でも、先週の異状に関しては、なにも発見できませんでした。感染ファイルが見つからなくても安心できません。どうにもすっきりしないので復元を試みました。私はCドライブをまるごとバックアップしているので書き戻しました。するとノートンが動作しません。再インストールもできません。旧ファイルをセーフティ・モードで完全にアンインストールしても駄目でした。エーアイソフトの「DiskX Tools」は関連レジストリも掃除してくれます。それでも再セットアップができないのです。仕方なく、昨日はOSの再インストールからやり直しました。結局、復旧を試みたり、各種設定で一日が潰れました。特にDTP環境を構築するのは一仕事です。ホントに時間の無駄です。ノートンさん、もっとしっかりしてくれよ〜。

 百弐拾五 ビフォーアフター承前(TV朝日「大改造 !! 劇的 ビフォーアフター」) で予告した放映は今夜です。ナイターのおかげで3週もずれ込みました。数日前から予告も流れているので、もう匿名にする必要はありません。今夜の匠は、大野明彦氏です。多分、スタジオにも登場するはずです。実物も、若くて爽やかな建築設計士です。私と同年齢なんですけどね。← じゃあ若くもないか。
目次へ




百参拾四 陥落(2004/5/23)
 ロイ・ジョーンズ陥落
 ボクシング、L.ヘビー級チャンプ(WBA/WBC)のロイ・ジョーンズが負けました。まさかの敗戦でした。
 挑戦者のアントニオ・ターバーもまた前チャンプであり、文句なしの強豪ではあります。昨年11月の初戦では、ヘビー級から体重を落としたロイが王者のターバーに挑み、判定でタイトルを獲得しました。今回の再戦は、久々に本気モードのロイが見られると期待されていました。試合は予想通り、ロイが積極的に距離を詰める展開でした。前回の試合内容は、ロイ苦戦の場面があったため、名誉挽回とばかりの攻勢だったのでしょう。
 2R、ターバーはロイのプレッシャーを跳ね返すように前進し、ロイをコナーに詰めました。両者の速いパンチが交錯したとき、ロイにとって危険な位置関係になっていました。サウスポーのターバーの右足(前足)がロイの左前方に位置していました。これだとターバーの左ストレートがロイの正面にぶつかります。しかも重心を前にかけながらのストレートはフォロースルーたっぷりでした。いくらロイがタフでも、こんなパンチを食らったら起き上がれません。衝撃的な左ストレートでした。
 ここのところ、似たような左ストレートを幾度か見ました。コリー・サンダースがウラジミール・クリチコを倒したシーン、マニー・パッキャオがマルコ・アントニオ・バレラを倒したシーン、いずれもサウスポーが踏み込んでの左ストレートでした。
 再々戦があるのかどうか。ロイはやる気がないみたいです。タイソンとのビッグマッチを希望している模様ですが難しいでしょう。近々の引退も仄めかしていますし。幸いなことに、S.ミドル級王者ジョー・カルザゲがL.ヘビー級へ転級するそうです。ミハエルゾウスキーも捲土重来を期しているみたいですし、今後L.ヘビー級が盛り上がれば、ロイも考慮するでしょう。
 ロイ復帰を待ちましょう。私はロイ嫌いですが、彼がいないとどうにも盛り上がりません。


 浩宮さん、それは駄目でしょう−東宮による宮内庁批判
 これをTVカメラの前でやっては洒落にならないです。立憲君主制の本義は、単に“統治せず”だけではなく、その権威でものごとを左右することがないよう配慮することまで含むべきでしょう。現に、TVのワイドショーでは宮内庁叩きが行われていたそうです。東宮による宮内庁批判は一面的です。私には、むしろ宮内庁の対応は望ましいものであったと映りますけどねえ。もし、雅子さんに対して、海外訪問をたくさんセッティングしていたら逆の批判が予想されます。曰く「このように海外訪問の公務が組まれていたら、とても子供は望めない。わたくしどもも人間であり、このように利用されることはわたくしどもの人間性を否定している」とかなんとか。いかがでしょう。東宮の批判は、随分身勝手なものに思えますけど。
 で、皇族の方々に気をつけていただきたいことがあります。TVなんかでの宮内庁批判者の意見というのが、戦前の軍部の天皇の権威を笠に着た物言いに似ていることです。ロンドン軍縮条約締結の際の統帥権干犯問題なんか反吐が出そうです。昔、帝国議会議事録の該当部分を精読したことがあります。誰もが正面切って反論できない場面の中で、難癖をつける野党にはげんなりさせられました。それと同じ空気が充満しています。


 一体、拉致問題を解決したいのか
 訪朝に向かう首相に対して、記者が「総理、期待していいんですね」だとさ。馬鹿丸出し。対北問題は広範にわたっており、残された家族、北朝鮮当局が拉致を認めていない部分、はっきりしない死亡者の部分、経済援助、核開発等複雑です。これらの問題は一朝に片づく話ではありません。気長に粘り強く交渉しなければなりません。また、大きな成果を得るため、とりあえず話を先送りにすることもあるでしょう。それを馬鹿みたいな質問でニュース構成をミスリードしています。もしも交渉がうまくいかなかったら、それはお前らみたいな馬鹿が足を引っ張るからだと言いたいです。日本の世論や議論を北当局は当然のことチェックしています。「ああ、なるほど。小泉首相は今回の訪朝で成果を期待されているんだな。それならこの程度の対応で十分妥協を強いることができるな」とかいう具合に足元を見られてしまいます。
 それと理解できないのは、ジェンキンス氏の件です。なんで脱走の罪の赦免をアメリカに求めなければならないのか。そもそもジェンキンス氏が帰国(来日)するかどうかは、曽我さんとの家族間問題でしょう。曽我さんが夫と話し合うべきです。そこで「日本で家族一緒に暮らしましょう。当然、米軍の法廷に立たなければならないけど、罪を償ってください。私たちはいつまでも待っています」と説得するケースでしょう。脱走の罪を帳消しにするのが当然のような論調には納得がいきません。
目次へ




百参拾参 捕虜虐待(2004/5/16)
 米英軍による捕虜虐待のニュースには驚かされました。虐待することに、一体なんの意味があるのだろうかと。今回のコラムは微妙な問題を扱っていますが、すべて記憶のみに頼った記述です。例によって確認するのが面倒なのもので。

 捕虜虐待にはふた通りのケースがあります。ひとつは虐待の意図がないにもかかわらず、結果として虐待と取られるケースです。例えば、捕虜を収容する建造物がないため、雨露を凌げる程度のバラックに入れ、後で告発されるなどです。あるいは食料不足から十分な食事を提供できないケース。あるいは軽作業程度を割り当てながらも、恨みから虐待とみなされるなどです。これらは収容側からすれば、虐待の意図がないにもかかわらず、戦争に敗けた場合は虐待とされかねません。

 現に日本は南方戦線で英国人捕虜の取り扱いについて、戦後になって英国側から訴追され、多数の日本人がBC級戦犯として処刑されました。ちなみにシベリアでは、日本人捕虜はこれより劣悪な環境に置かれ、多くの日本人捕虜が死んだにもかかわらずソ連は訴追されていません。虐待の認定は勝者側の権利ですから。

 また捕虜虐待(民間人殺傷を含む)でA級戦犯として処刑された松井石根大将のケースは、捕虜の扱いに対する難しい問題を孕んでいました。南京での捕虜は膨大な数にのぼり、これを管理する日本人将兵は少なく、食料もない状況でした。日本側の戦闘詳報によると、長勇中佐による“捕虜の処置”が各部隊に通達されています。この処置というのは、食料もなく管理する人員も不足している状況に鑑みて、“殺せ”と暗に命じたものであるとされています。所謂「南京虐殺」のポイントです。これも難しい話です。本来は、現在の我々の感覚で裁ける話ではないでしょう。当時の日中間の感情の軋轢は半端ではありません。双方ともに陸戦法規と無縁の軍隊でしたし、そこに至るに侵略と虐殺の恨みが互いに積もりに積もっていましたから。


 今回の件の分析として、アメリカ人の外国人に対する意識が変質したとか、軍隊のモラルが低下したとかの意見を述べる方がいますが、それは間違っています。アメリカ軍は昔から捕虜虐待をやっています。対日戦でこそ日本人捕虜を丁重に扱いましたが、対独では非道なことをやっています。戦後、ドイツ人捕虜に対して行った虐待は、アメリカ現代史のタブーとなっている模様です。この歴史事実は現在のところ抹殺されています。ジャーナリストが掘り起こそうとすれば、必ず当局の妨害と圧力がかかるそうです。レポートが一度出版されましたが、それは国内でなくカナダの出版社だったと記憶しています。私もそのレポートを昔読みました。うろ覚えの概要を記します。間違いがあれば指摘してください。
 西部戦線における捕虜50万人ほど(うろ覚え)を、フランス領内で収容したそうです。収容したのは単なる原っぱで、雨風を凌ぐものは一切なかったそうです。食糧の配給もまともになされず、冬季には万を超えるドイツ人捕虜が凍死したそうです。本来であれば、ヨーロッパ軍司令官は戦犯として裁かれるべきでしょう。まあ、勝者に対して何を言っても仕方ありませんけど。

 今回の捕虜虐待はくだらない事件です。やったことは卑劣だけど、現実の殺し合いに比べたら軽い話じゃないかな。下手に騒ぐと、肝心なことが誤魔化されてしまいます。民間人殺傷の方がはるかに大きな問題であり、捕虜虐待という軽微な事案に矮小化しちゃだめなんだけどなあ。
目次へ




百参拾弐 ナショナリズム−このロクでもないもの(2004/5/9)
 些か旧聞に属しますが、先月末のこと、国連の仲介によるキプロス島再統合を問う国民投票が否決されました。誰もがこの結果を予想していたでしょう。アナン事務総長にとっての悲願であったとはいえ、マジで成立すると考えていたとは思えません。

 民族対立や宗教対立というものは、極めて根深いものです。キプロス島分離独立(自称)のそもそもの原因は、ギリシャ系政権によるトルコ系住民に対する差別が端緒です。これがトルコの軍事介入を招き、分離の道を歩んでしまったわけです。さらに遡れば、オスマン・トルコによるキプロス島支配がトルコ人の移住を招いたのが原因とも言えるでしょう。

 何故差別が起こるのか。これはまさに教育の成果というものでしょう。ナショナリズムというものは、人間が生まれながら自然に身につけているものではありません。育っていくなかで、親や大人、あるいはコミュニティや教育の場で教え込むことによって育まれていくものでしょう。しかも、人間というものは根本的に差別を好む性向があると私は考えています。
 人間は精神的平安を得るため、連帯感や帰属意識を強く欲します。これは逆を返せば、他との差別化を必要とすることでしょう。甲子園大会での郷土意識なんてえのは、罪のない微笑ましい帰属意識です。でも根っこは同じでしょう。その延長線上に民族差別、宗教対立、国家対立があるのだし。反○○を唱え、気勢を上げる人たちのなんと生き生きとしていることか。

 その点、日本人はナショナリズムが希薄です。戦後、GHQによって国家主義のクリーニングが行われました。アメリカの戦略爆撃調査団による日本の調査分析は徹底していました。これをもとにGHQは見事に日本人を骨抜きにしました。
 一億の人間をニュートラルな思想統制下に置くという人類史上初の試みは成功しました。それも戦後50年が経ち、GHQの教育ももはや破綻しています。こういうのは日本人だけがニュートラルになっても意味がありません。残念ながら、外部は相も変わらず偏狭なナショナリズムに満ち溢れています。日本人の奥に押し込められていたナショナリズムもまた噴出しています。NAVER(ヒストリー)は「この掲示板はヒストリーに関連した話題専門の掲示板です。日韓の友好を深める、意義ある掲示板になることを願います」となっていますが、日韓双方のナショナリズムのぶつかり合いとして機能しています。多分、ここに書き込んでいる若者たち(年配の方もいるかな)の意識は、人間のあり様としては自然なものなのでしょう。ことの是非はともかくとして。

 今日は早朝から田植えを前にしての“いで浚い”があり、町内総出で川や用水路の大掃除をやっていました。若い時分は掃除終了後、羽根を伸ばしに出かけたものですが、最近は全身痛(特に腰)で動く気もしません。身体が平常に復帰するのに2〜3日はかかりそう。お〜痛ぇ。
目次へ




百参拾壱 金をかけずに手間をかける(2004/5/1)
 先週完成したインシュレータ(プレーヤー・ベース)のハウリング・マージンは8〜10dBと立派なものです。これはラスク並みの数字じゃないかな。ラスク・インシュレータ(3層構造 IS-100-3 \19,950/1個)は4ヶで約8万円です。自作したやつは材料費3,000円くらいですから、コストパフォーマンスは圧倒的です。しかも重量と剛性で大幅に上回っています。

 連休に工作する予定だった作業を、一昨日のことすべて終えました。下の写真はヘッドアンプ用のベースです。


 これにTGメタル製の鉛インゴッド(FG-02)を組み合わせます。オークションで800円(1ヶ)で購入しました。新品より若干の割安です。この商品は成形に問題ありです。底面がガタガタなので♯100のペーパーである程度研磨しました。これをグラインダーで半切し、3mm厚ゴムを貼り付けました。前回書いたように、貼り付けにはクリア・ラッカーを使います。仕上げも同様です。仕上げのポイントは、充分乾燥させてから軽く研磨しておくことです。でないと機器にまで接着する惧れがあります。このときの研磨は仕上げも兼ねますので、ペーパーは♯1000を用いました。


 このようなセッティングになりました。


 さらにプレーヤーの天板にも置いてダンプします。


 これらの効果は凄いです。SN感と解像度がアップしました。そして、とにかくワイドレンジです。今まで知らなかった音がレコードに刻まれていました。音の傾向としては大人しくなりました。制振効果として歪が減ったせいでしょう。ヘッドアンプが最初に納品されたとき感じた若干のきつさも、今ならいい按配なのかもしれません。でもこの特別仕様(コンデンサ変更)の方が好きですけどね。音に陰影や翳りがありますもん。また、ボーカルに感じた違和感も解消されました。
 ここまでやって判りましたが、DL-301Uは決してシャープというほどのものではありません。むしろナチュラルといっていいバランスです。カートリッジが本来もっている素性が十全に活きているのでしょう。

 残ったインゴッドはアンプとCDPの制振に使います。研磨したうえ、機器を傷つけないように底面をクリアでコーティングしました。


 写真のように、天板の加重受けがある部分に置きました。不用意な置き方をすると、天板が沈む惧れがありますから。


 もともとアンプの上に20kg近いCDPを載せていたので、効果は少なめです。それでも聴き慣れたディスクを演奏すると、CD特有のうるささやきつさが取れていました。

 面白いことに、ここまでやった状態での音は、以前のスピーカーの音色と傾向が酷似しています。なんでかなあ。とにかく見事に私好みの音に変貌しました。


 4年前にPCに組み込んで買ったDVD-ROMドライブ(Pioneea DVD-115)が読めなくなりました。「THE MATRIX REVOLUTIONS」をレンタルしてきて、さあ見ようとして愕然。慌ててPC DEPOへ走りました。BUFFALOのCRWD-48FBが8,158円(内税)の廉さで、迷わず購入しました。
 読めないやつは、パソコン用DVDを持っていない職場の同僚に進呈しました。同僚は、その場でばらして動作不良の部分を馴染ませていました。翌日、問題なく動いたと言ってました。モノを捨てるのが惜しくて仕方ない私は、こうして余生を過ごしてくれれば嬉しいものです。
目次へ




百参拾  邦人保護(2004/4/25)
 イラク人質事件は大きなテーマを孕んでいました。先々週にも書いた亀井静香氏の発言−実力行使による捕虜救出−の是非です。何故か誰も論じようとしません。15年前までの日本であれば、亀井氏は轟々たる非難を浴びたでしょう。

 邦人保護について、相手国の警察や治安組織に一任するのが基本です。相手側からの協力要請があって初めての部隊投入でしょう。相手国の意向を無視した保護行動は主権の侵害です。この点について、日本国は歴史そのものを裁かれています。

 戦前の大陸において、抗日・排日運動が吹き荒れるなかで、済南事件や通州事件などの居留民大量虐殺事件が起こりました。万宝山事件報復暴動などという、支那人と朝鮮人の対立もありました。
 政府は隠忍自重、宥和策を採りますが、国民世論では「暴支膺懲」の声が高まり、満州居留民の安全確保が唱えられました。言論人たちは、政府の弱腰を非難しました。石原中佐の満州制圧計画は、このような国民世論の醸成を視野においてのものでした。

 東京裁判において、日本国は満州事変以降の15年間の侵略行動を、国家による共同謀議として有罪とされました。東京裁判そのものが内包する不備はともかく、日本国が犯した罪の深さと瑕疵は間違いの無いことです。
 後知恵ですが、満州侵略に及ぶ過程での居留民保護の声は極めて危険なものでした。もしあのときの国民の声が、「他人の土地を侵そうとすれば、命がけの反発を食らうのは当然である」「他国に移り住むならば、国籍を変え、その国の人間となれ」「その国の言葉も知らず、土地や水の手配もなしに入植すれば、現地人との間に血の雨が降るのは当然である。そのとき国家の支援を求めるのは間違っている」等であれば、関東軍も動けなかったでしょう。
 亀井氏の意見は、歴史に対する無知の故だと思います。


 アナログ・プレーヤー用のインシュレータが完成しました。写真のように、コンクリート・レンガ(200*100*50)に10mm厚ゴムを貼りつけています。貼りつけ方法は、クリア・ラッカーを軽く吹き、すぐに重ねます。自重できれいに接着しました。コンクリートの表面は水性パテで下地処理をした後、水性塗料で仕上げました。本当はポリパテ(2液硬化型)がベストなのですが、作業性が悪いので敬遠しました。ポリパテの長所短所は次のとおりです。
長所
 ・硬いので、表面を完璧に仕上げられる。
 ・角の成形も可能。
短所
 ・硬化剤の加減が難しい。少ないと数日間は硬化しない。多いと、混ぜるそばから硬化が始まる。
 ・硬いので研磨が大変
 特に研磨に泣かされるのが見えていたので、水性を使いました。水性パテの特徴は次のとおりです。
長所
 ・パテしごき(付け)が楽。
 ・パテの乾燥は一日程度なので、ポリのように硬化を気にしながら作業をしなくて良い。
短所
 ・厚いと、乾燥し難い。コンクリートの凹部の乾燥には数日かかる。
 ・乾燥すると痩せる。つまり、何度も処理しなければならない。
 根が雑なので、二度の処理で止めました。しかも研磨も適当です。上塗りも水性でなく、ラッカー系を使用すれば完璧です。その際にサフェッサーで下地をすれば平滑になります。吹き→研磨→吹き→研磨を繰り返せば、滑らかな表面が得られます。そこまでやれば市販品と変わらぬ仕上がりでしょう。私、とにかく面倒くさがり屋なので、とことん手抜きしました。
 実はもう1ヶ作業中でして、そちらは10mmゴムを二重に重ねてヘッドアンプのベースにする予定です。

 さらにオークションでTGメタル製の鉛インゴットを4ヶ落札しました。着々とアナログ道のゴールに近づいています。音出しが楽しみだよん。

 追加:「古代ギリシャの音楽」を聴きました。素晴らしい。ベースがしっかりするとあらゆる点でプラスに作用します。残念なのは、ONKYOのMONITOR2000は音場の広がりを再現できないことです。以前使っていたスピーカーなら、遠くの鳥の囀りが部屋の向こうから聴こえてきました。また、突然、耳元で楽器が鳴ることもありました。こればっかりはどうしようもないです。
目次へ




百弐拾九 ダイナベクター(PHA100)ユーザに朗報 (2004/4/17)
 ヘッドアンプ不調の原因は、片チャンネルのハンダの剥がれだそうです。まったくお粗末な顛末です。ところが、美味しい話に展開しました。返送の際、試聴レポートと希望音質をメールに書き添えていたら、特別仕様に改造してくれました。

 さて音質の件ですが製品のばらつきによりご希望の「繊細感」を選別提供することはむずかしいです。ただ音質は使用しているカップリングコンデンサの種類により多少は異なります。製品設計時、数種類から試聴により決定しました。
 どれが○○様のご希望に近いかは大変難しいところですが、トラブルに関してのお詫びの意味を含め、もしご希望があればフランスのSOLENというコンデンサに変えてお送りします。現在の仕様よりは多少ご希望の音に近い気がするのですが定かではありません。
 ご指示ください。元の方が良い場合は送り返していただければ、その旨対処いたします。ただその場合恐縮ですが送料はご負担ください。

 もう、喜んでこの申し出を受けました。で、音質ですが、多少の違いどころではありません。別物と言っていいほどの激変ぶりです。
 ・音場がひとまわり拡大。スピーカーの外側にも広がる。以前は片チャンネルだけの試聴だから、音場比較はできないとの突っ込みはアリです。ただ、経験的にオリジナルの音は広がるタイプじゃないです
 ・オリジナルのかっちり芯のある音から、深々とした陰影のある音に変化
 ・高域は輝くような微粒子サウンドに変貌。オリジナルはきつさを感じる
 ・低域のエネルギー感は若干後退。というか、オリジナルはガツンとした低域をつくり過ぎでは
 ・ボーカルのバランスが少し変。レコードによっては、腰高に上ずることがある
 まあ、このような感想です。音質は他の機器との相乗効果として得られるものですから、他の装置ではまた違った結果になるでしょう。少なくとも私は満足しています。私はジャズ系を一切聴きません。ジャズやフュージョンを聴く方には、オリジナルの方が適しているでしょうね。

 いやまったく、禍福はあざなえる縄の如しとはよく言ったものです。もし完調品が納品されていたら、この音を手に入れることはできなかったのですから。
 今後、エージングによってさらに音がこなれるでしょう。また、重しを載せて制振効果を狙う予定です。ボーカルの違和感については、スピーカーの改造に恃つつもりです。アッテネータ経由を直結にすれば、一気に解決すると睨んでいます。

 もし、このヘッドアンプを使っている方で、不満のある方は参考にしてください。多分、コンデンサ代、交換技術料、送料負担でやり替えてくれるのではないでしょうか。ダイナベクターにメールで問い合わせてください。断られたら、諦めてね。
目次へ




百弐拾八 意味不明(2004/4/11)
 イラクで日本人3名が囚われました。なんか話が見えません。「自衛隊を3日以内に撤退させろ」は、撤退しようにも無理な相談でしょう。むしろ日本の態度と方針を明確化させる逆効果が予想されるだろうし。3人の人命と引き替えに、日本の方針を転換させられると考えているとしたら、随分日本という国家も舐められたものです。まあ、前歴があるから仕方ありませんけど。そういえば、ハイジャック犯に金を渡したのは福田官房長官の親父さんでしたねえ。息子は踏ん張っています。ここで日和ったら、親父が親父なら息子も息子だなどと永劫に言われ続けることでしょう。

 もはやイラクの治安回復は不可能でしょう。そもそもイラクという国をひとつの国家として成立させるやり方そのものが破綻していると見るべきです。ちょうどユーゴスラビアが小国に分離したのと同じ按配です。フセイン政権がかつての東欧に対するソビエトと同じ役割を果たしていたのですから。あるいは中国が国家としての体裁を維持しているのは、共産党の一党独裁の故なのと同様です。イラクの現状は、そこで営む住民にとって不幸なものです。独裁政権時代とどちらが幸せなのでしょうか。私にはどちらがどうと言えません。かつてカンボジアが平和を取り戻すまで、二十数年を要しました。その間、内戦が続き、国が発展するためのインフラ整備や投資ができない状態が続きました。アメリカという国は、世界の警察どころか世界のウィルスとしての機能を果たしています。

 今、TVを見ていたら亀井氏(元政調会長)が「なんとしても救出しなければなりません。レンジャー部隊とか‥‥略」などとのたまっています。嗚呼、政権与党の枢要にいる人物が何たる無知。レンジャー部隊などという呼称はありえません。あれはレンジャー訓練という訓練カリキュラムのことなのです。空挺部隊を挙げるならともかく。


 ダイナベクターのヘッドアンプが届きました。早速繋いでがっかりです。出荷時、動作未チェックで発送した模様です。片チャンネルからの出力がありません。少量生産高額商品でのこのミスは、あんまりです。すぐにメールして着払いで返送しました。
 片チャンネルだけの試聴ですが、期待どおりの部分と残念な点の両面があります。
 期待(予想)どおり
 ・明るく開放的
 ・ダイナミック
 ・高解像
 落胆
 ・かっちりした音(繊細でない)
 贅沢を言っても仕方ないので、使いこなしで理想に近づけたいと思っています。多分、重し(制振処理)で緩和されるでしょう。あるいはケーブルの選択で繊細感を出そうとも考えています。
目次へ




百弐拾七 どこまで続くぬかるみぞ(2004/4/4)
 先週はオークションでプリアンプを何度か競り合いました。で、全敗です。そりゃあ高い金額を指せば落札できるでしょうが、納得のいかない高値は払えません。諦めて昨日のこと、ダイナベクターのヘッドアンプPHA100の入金をすませました。新製品が出るとかで、96,000円と若干の値下げがなされていました。多分、今週中には届くでしょう。
 あと必要なものは、プレーヤー用のインシュレーターです。さすがにヘッドアンプを使うと低域が強烈です。インシュレータは必要になるでしょう。もはやアナログ・プレーヤー用のインシュレータは製造されていません。なにかで代用しようと、DIYショップを物色しています。うまいものが無ければ、以前どおりの硬式テニスボールの出番になります。
 もう一点、制振用にヘッドアンプの重しが必要でしょう。すでに文鎮を手配ずみです。それから来月の連休を利用して、コンクリート板の工作をする予定です。表面をプラパテで仕上げ、プレーヤーの下に敷きます。
 結局、スピーカー更新が契機となって、あらゆるものの見直しをしています。面倒くさいことばかりですが、実は楽しんでいます。

 桜舞う新年度、仕事の担当が替わりました。相も変らぬ休日出勤と歓送迎会で何かを書こうにも頭が働きません。
目次へ




百弐拾六 いつのまにかの侵入(2004/3/28)
 今日のこと、IEがどうにも不調でした。検索ができないのです。念のため、symantecへ接続してウィルスチェックを行いました。すると見事に「Backdoor.Sinit」、「qpaeesv0.exe(Dialer.Target)」、「VBS.Redlof.A」に感染していました。
 「VBS.Redlof.A」は削除できました。幸いなことにレジストリ改変も免れていました。このウィルスはメール添付型のワームだそうです。あれっ、添付ファイルなんか開いたことないし、件名(差出人)不明のメールなんか即行削除なんですけど。しかも、プロバイダのウィルス・チェックサービスを受けてるし。どの段階で侵入してきたかが判らないので、どうにもすっきりしません。まあ、自分が被害を被っただけならいいのですが。他人に迷惑を掛けさえしていなければね。
 「qpaeesv0.exe(Dialer.Target)」は、モデムを利用して高額アダルトサイトに繋ぐやつです。なんでこんなのが入りこんだのかなあ。心当たりは‥‥なくもないかな。お恥ずかしい。
 もうひとつの「Backdoor.Sinit」はシステムファイルが書き換えられているので、修復が必要みたいです。該当する無償駆除ツールがないので、仕方なくWebから「Norton AntiVirus 2004」を購入しました。早速ダウンロードして駆除しました。でも、一発ではうまくいかず、二度もスキャンしました。これ、よく判らないウィルスです。System32のファイルに感染しているだけでなく、別ドライブに置いてあるバックアップ・ファイルにも感染していました。あるいは、そのドライバ類をダウンロードしたときに一緒に来たのかなあ。いえ、それは随分前のことですから関係ないでしょう。不調を来たしたのは今日のことだし‥‥。
 このウィルスはsymantecによると
「Backdoor.Sinitは、ランダムなUDPポートを開くことによって、攻撃者が侵入先のコンピュータに不正にアクセスできるようにするバックドアトロイの木馬です。Backdoor.Sinit はMicrosoft Visual C++プログラミング言語で書かれ、UPXで圧縮されています」だそうで、症例もいろいろ書かれています。こえ〜
 今日は朝からウィルス駆除に追われて疲れました。時間のかかるスキャンを二度もやったし。もうたくさんです。

 まさに予想したとおり、オーディオの泥沼でもがいています。ヘッドアンプは不要と思ったものの、職場の同僚にフォノ・イコライザー(ハイゲインのやつ)を借りて試聴したところ、低域の再現が段違いでした。やはり、MCカートリッジを活かすために何らかの手段が必要です。
 一番手っ取り早いのはダイナベクターのヘッドアンプ(11万円也)を購入することです。この音は本格的だそうで、間違いのない商品みたいです。でも高い。
 オークションでヘッドアンプを探しているものの、これというのがありません。いっそのこと、ヘッドアンプあるいは妥協してハイゲイン・イコライザー内蔵のプリアンプを購入するのも手です。ここ数日は、かつての銘機をWebでチェックしています。
 DENON  PRA-2000シリーズ
 Aurex  SY-λ88シリーズ
 Accuphaseの廉価なやつ
 ほかにもVictorやPioneea、SONYからも優れもののプリが出ていました。程度が良くて、安いものとなるとなかなか難しいです。もう20年も昔の機種なので、本来なら商品価値なんかなくて当然なのですが、これに替わるものがないために高値を維持しています。だってねえ、例えばSY-λ88Uなんて、10数年前の中古価格と今のそれが同じなんだから。まったく呆れてしまいます。
 などと言いながら、実は密かにSY-99を狙っています。
目次へ




百弐拾五 ビフォーアフター承前(2004/3/21)
 私どもの建築訓練コースのカリキュラムに「建築設計」があり、「○○楽」という設計事務所を主宰している○○先生に指導を仰いでいます。この○○先生が、テレビ朝日の人気番組「大改造 !! 劇的 ビフォーアフター」のリフォームを請負いました。
 先週のこと、施工もかなり進み、番組制作スタッフが取材に来ました。ついでに、本校の生徒にも見学を許してくれました。建築コースとグラフィックデザイン・コースの生徒たちが大挙して押しかけました。撮影の邪魔にならないように離れて見学し、終わるや屋内をじっくり見学させていただきました。
 内容はまだ書けません。5月の放映までは秘密です。先生も肝心の隠し技は説明してくれませんでした。
 「番組放映を楽しみにしてください」だってさ。放映時の“匠の技”が待ち遠しいものです。

 さて、この角地の建物にどんな技が隠されているのでしょうか



 アナログ・プレーヤーをオークションでゲットしました。VICTORのQL-A70です。一昨日届きました。この日、すでに受け入れ態勢は万全でした。DENONのDL-301U(新品)と6Nのリード線(新品)をHARD OFFで格安ゲットしていました。さらに出力ケーブルとして8Nのピン・ケーブルも購入していました。今はピンケーブルを自作するのも大変です。以前であれば、東京へ出張したときに秋葉原の「オヤイデ」を訪ね、線材を購入したものです。残念なことに今は置いていません。

 ご覧のような大型ターンテーブル(35cm)搭載機です。慣性質量は560kgです。重量2.9kgながら、径の大きさが効いています。ただ、大きいだけにアルミダイキャストはかなり鳴きます。そこで、標準シートの上に手持ちのJP-501を重ねました。写真で判るようにシートを二段にしました。普通だったら、ここまでゴムを重ねると音が鈍るものです。嬉しいことにDL-301Uがシャープに切れ込むタイプなので、いい具合にマッチしました。DL-301Uを聴くのは初めてですが、103系とは別モノです。ワイドで繊細に分解してくれます。でも、扱いにくいカートリッジです。所定の針圧をかけた状態でレコード盤に置いたとき、ヘッドシェルが完璧に水平になっていないとまともな音が出ません。シートを二重にしたので、アームの高さ調整を念入りにやりました。さらに、インサイドフォース・キャンセラーも実際に鳴らしながら慎重に決めなければいけません。私は昔から、特に必要がなければキャンセラーを無効にしていました。今回もオフで試聴したところ、明らかに片チャンネルの音が変でした。そこで音を聴きながら負荷値を決めました。こんな風に、DL-301Uはセッティングに対して敏感に反応します。それだけ優秀なカートリッジなのでしょう。
 このプレーヤの音には満足しています。当時、電子制御アームとかが流行っていたなかで、本質を追求したプレーヤーだけのことはあります。しかし、所詮のこと価格相応です。金のかかる部分は手抜きしています。ピンケーブルを交換しようとしてがっかりしました。ピン端子はありません。そこで、直接繋ぎ替えようと裏蓋を開けました。アーム内の線材は情けないほどの極細です(細くて当然ながら、細すぎ)。それが基盤で出力ケーブルに分配されていました。これを見て、高価な8Nのピンケーブルを使うのを止めました。勿体ないですもん。
 それとキャビネットの外観は立派ですが、実はフラッシュ構造です。こういうのを見ると、セメントか石膏を流し込みたくなります。セメントや石膏は経験済みです。もし今度やるとすれば、漆喰を使ってみたいものです。オーディオの世界において、漆喰は未知の素材でしょう。多分いい結果が出そうな気がするんだけどなあ。
 もう一点、インシュレータっぽい脚は、振動遮断機能がありません。単なる硬いプラスチックです。床が高剛性なので、まあ差し支えありませんけど。

 ヘッドアンプは必要ないです。カートリッジの出力電圧が0.4mvなので、MM入力でも充分いけます。出費もなんとかこれで収まりそうです。といっても、今年予定していたパソコンの新調は諦めモードですけど。
目次へ




百弐拾四 食の安全(2004/3/14)
 浅田農産の不祥事が世間を賑わせました。私の叔父が鶏卵会社に勤務しており、いろいろインサイダー情報を教えてくれました。ちくったのは従業員だそうです。早くから鶏が死に始め、毎日屍骸を埋める処理をやらされていたそうです。やがて日に千羽を超える処理が必要になりました。本来業務に加えての穴掘り作業は半端じゃありません。怒り心頭に発した従業員は、告発に踏み切ったそうです。浅田会長は日本養鶏協会の副会長であり、本来であれば業者のお手本とならなければいけません。そんななかでの身勝手な行動とあって、業界内での同情は一切ありません。当県にも出荷されており、養鶏、鶏卵業者は消毒などの対応に追われています。


 同時進行のBSE問題も困ったものです。アメリカの検査体制はどうしようもないレベルのようですね。検査頭数といい、検査方法といい、検査の主体といい、安全性は一切確保できていません。私んちは牛肉をほとんど食べないので(高いもんね)関係ないですけど。かつてのアメリカは、食品の安全性について厳しかったものです。それが今や業界の利益や意を受けた議員の為すがままになっています。


 鳥インフルエンザや狂牛病こそ話題になっていますが、食品の安全性の問題は他にもあります。かつては問題視されたものの、忘れ去られていることがあります。今も事情は変わらないにもかかわらずです。
 例えば、昭和40年代に公害が社会問題になっていた頃は、PCBなんかの魚への残留物質が関心を惹いていたものです。特に甲殻類での問題が大きいとされていました。でも、今や忘れ去られています。

 あるいは、昭和60年前後、日米貿易摩擦の一部として農産物の自由化が取り沙汰されていた頃のことです。アメリカの輸出用農産物は、農薬で保存期間を延ばしていると問題視されました。国内農業従事者を守るため、全中(全国農協中央会)がさかんにアピールしていました。私はこの件について、「なに寝言を言ってやんでぃ」と嘲笑っていましたけど。じゃあ、国内農産物の農薬はどうなんだ、と突っ込んだ方は多いでしょう。○○県の○○○栽培地域なんかでは、農薬の投与量が多くて、日常的に空気中から農薬の成分が検出されていたそうですしね。そうでなくても、農薬の怖さを一番知っているのは農家です。私んちでも、自家用菜園に対しては、農薬の投与を最小にしていました。あんな大量投与した野菜なんか怖くてさあ。私の住む自治会でも、3名が農薬で死んでいます(一人は自殺です)。あとの二人は散布時に吸引しての死亡です。皆さん、キャベツをどうやって食べています? おそらく焼肉を食うときは、生でパクパクしてるでしょう。キャベツの葉を一枚一枚洗うなんてえのはやらないでしょう。キャベツ栽培農家を訪ねて、予防散布を一度見てください。もう、怖くて洗わずにはいられませんから。


 全中の立場としては、国内農家を守るのが使命です。当然、歪な議論をするのは仕方ないでしょう。一人一人が自分で判断すればいいことです。その当時の全中側の論客は山口専務理事でした。この方の論陣というのが、論客というにはお粗末なものでした。
 農産物の国際化によって国内従事者が離農せざるを得なくなる。その結果として自給率が下がる。もし、国内農業を再生しようとしても、一度離農すると簡単にはいかない。このあたりの意見はそのとおりでしょう。しかし、水田が果たしている機能が破綻するとの意見は大嘘でした。曰く−水田には保水機能と酸素生成という自然環境維持のための大切なはたらきがある。なんで当時の識者は、この虚言に対して反論しなかったのかなあ。多分、当時のマスコミに露出していた評論家連中は非農家出身で、田圃の実態が理解できなかったのでしょうね。
 もしも農家が営農を放棄し、田圃を放っておくとどうなるか‥‥
 数年後には、丈高い草茫々になります。日本の平野部は大草原に覆われるでしょう。自然環境の獲得をいうなら、むしろ大正解でしょう。しかも年月の経過と共に腐葉土が堆積し、まさに保水能力は大幅に高まります。水田は粘土質なので保水能力は最小ですから。
 いえ、私は農作物の自給能力の維持は大切だと思っていますし、外国の農産物の安全性は信用できないと思っていますよ。ただ、嘘はいけないと言っているのです。
目次へ




百弐拾参 7月4日に生まれて(2004/3/7)
 私がこの15年前に公開された話題作を観たのは最近のことです。映画はほとんどビデオ鑑賞で、劇場に行くこともないので時期がいつもずれています。言うまでもなく、この作品はただ者ではありません。オリヴァー・ストーン監督といえば、「プラトーン」や「JFK」「ニクソン」「サルバドル」などの社会派第一人者です。この映画の観劇中、ずっと圧倒されていました。ベトナム戦争や反戦運動、当時のアメリカ若者の苦悩をリアルタイムで眺めていただけに胸に迫りました。この映画の主人公のベトナム体験はといえば、監督自身の経験と重なっています。自ら志願したのも同じです。特にオリヴァー・ストーンは大学生でありながらの志願です。で、最近話題のジョン・ケリー上院議員もまた似た経歴です。

 「7月4日に生まれて」のラスト、主人公のトムは大きな会場で反戦アピールの演説を行います。先日、このシーンと似た映像をニュースで見ました。ジョン・ケリーは大学卒業後、自ら海軍に志願し、ベトナムで英雄的兵士として活躍しました。帰国後、愛国兵士から反戦活動家に転じました。見たのは、そのケリー氏が大きな会場で粛々と為した演説です。内容は忘れましたが、実にしっかりした主張を訴えていました。当時の世相を髣髴させる長髪にカジュアルな服装でした。私は好感を覚えました。少なくとも州兵勤務による徴兵逃れをやったブッシュより、数段がとこ人間が真っ当でしょう。民主党といえば、外交・軍事面でのお粗末なチョンボが多いものですが、軍人上がりのケリー氏であるなら信頼もできそうです。

 大統領選は予断を許しません。前回の大統領選においては不備が多々あり、本当はゴアが勝っていたのではないかとの見方もあります。共和党のなりふり構わぬ運動の前には、次回も駄目かもしれません。特に次回は不利要素があります。民主党の不動地盤であるカリフォルニア州が、シュワルツェネッガー人気によって転ぶ可能性が取り沙汰されています。正当な手続きでの敗北ならともかく、前回のフロリダのような不祥事で負けたら泣くに泣けないでしょう。


 「7月4日に生まれて」のメッセージの貴重さというのは、なにもアメリカ人に対してだけものではありません。
 その前に若年者を戦場に送り出すことの是非を論じなければいけません。国家の存亡が問われる状況においては、反戦を謳っても説得力がありません。戦争そのものの正邪を問うのは大切ですが、敵が眼前に迫っている状況では先に為すべきことがあります。もし、成人兵士が不足しているならば、国家の指導者は冷酷な判断を下さざるを得ないでしょう。かつてのドイツ、日本、ソ連なんかでも最後の段階では若年者を戦場に送っています。しかし、ベトナム戦争は逼迫状況でないにもかかわらず、アメリカは他国に干渉して若年者を投入しました。

 で、アメリカよりもっと非道な現実があります。アラブのゲリラ指導者たちです。彼らは少年や娘を教唆し、自爆テロに駆り立てています。私はこの件に関して強い怒りを持っています。子供たちに対して、都合のよい極端なナショナリズムを吹き込み、反米意識を植えつけます。そして子供たちを殉教者に仕立てています。そんなに自爆テロに意義があるなら、お前が自爆しろと言いたいです。指導者たちは額に汗しての仕事などせず、アジテーションを生業にしています。「アラブの不幸は、お前らみたいのがいるからだ」との内部批判の声がもっと大きくなればなあ。
 「7月4日に生まれて」は、アラブの人々にも見せたいものです。
目次へ




百弐拾弐 浦島太郎(2004/2/29)
 ここのところ、かつてのオーディオ青年に逆戻りしています。本屋へ行けば、音楽関係のコーナーに足を運んでしまいます。残念なことにオーディオ関連書籍は見る影もありません。そのかわり、Webには趣味のサイトが花盛りです。あちこち眺めているうちに、最近の事情が飲み込めてきました。

 「船長の戯言」や「自作派ホームシアター」やらには圧倒されました。やはり世の中には凄いマニアがいるものです。かと思えば、「ジャンクAV機器修理&紹介の部屋(直リン拒否なので検索してください)」や「珍言采館趣味部屋」にはメカいじりの楽しさを堪能させていただきました。職場の同僚たちが同タイプなので、他人の気がしません。
 いろいろ読んでいるうちに、ますますアナログへの道を走りたくなってきました。「船長の戯言」内で紹介されている「M85氏」さんは、あの伝説のアナログ・プレーヤー「テラガキΣ-5000」を所持していました。一読の価値ありです。こんなのを見てしまうと、もはや逃れられません。今日は休日とあって、MCカートリッジ用のヘッドアンプを探していました。アナログ復活を目指すなら、これがないと始まりません。で、結論としては、安くて高音質のヘッドアンプは存在しません。高級機であればいくつかあるのですが、とてもそんな散財は無理です。やはりオークションで中古を気長にチェックするしかありません。


 ところで、私の所有しているカセット・デッキはVICTORの「TD-V931」です。

 ↑です。多分、14年前に買ったものだと思います。当時から評価が高く、価格を大幅に上回る実力が認められていました。買ったはいいけど、ほんの20本くらい録音しただけでほったらかしにしていました。CDダイレクトで録音したときの音質は、ソースと区別がつかないくらいの優秀録音でした。上で紹介した「ジャンクAV機器修理&紹介の部屋」での分解修理記録を読むと、アンプ並みの電源やら音質に配慮したコンデンサー類、すこぶるつきの筐体強度に管理人さんも驚いています。
 3年前、久しぶりに操作してみるとベルトが死んでいました。もはや使うこともないので修理すべきか迷ったものの、時期を逃がせば修理部品も手に入らなくなる惧れがあります。そこでキャプスタン一式ごと交換しました。で、修理後も一度も使用していません。つまり新同極上品なのです。Web情報によると、このデッキの人気はただごとでない模様です。オークションに出せば、結構な値がつくことでしょう。まあ、売りませんけど。

 これ以前はAurexの「PC-X88AD」を使っていました。これもWebで調べて評価が高いのに驚いています。いえ、驚くと言うより、やはりの感ですが。なにせ高品位の部品を惜しげもなく投入していました。ただ、当時は人気がなくて新品を半額で買ったのを憶えています。「TD-V931」購入後、スピーカー改造用の部品取りに利用しました。音は優秀ながら、世間の高評価ほどではありません。「TD-V931」に比べたら、歪感やレンジの狭さを感じました。


 エージングを進めるため、暇さえあればスピーカーを鳴らしています。どうも、かなりかかりそうです。本格的に内部をいじれるのは夏の休暇あたりの予感がします。
目次へ




百弐拾壱 オーディオ再燃/2(2004/2/21)
 この1週間、音楽三昧でした。スピーカー変更によって、聴き慣れたCDが新鮮に聴こえます。ならばと、アナログを引っ張り出しました。やっぱ、アナログはいい。私は昔からCDよりアナログの方が好きでした。ただ、レコード盤を扱うのは面倒です。CDなら曲目の指定もリモコンで操作できますしね。レコード盤だと、一々盤面や針を掃除したり、ボリュームの上げ下げに気を使ったりで煩わしいものです。そして何より店頭からアナログ・レコードが駆逐されたのが決定的でした。それでも、MONITOR2000とアナログの相性は最高です。ここ数日はアナログ三昧です。

 写真を撮影しました。エージング(ならし運転)さえ終えていない極上品です。34cmウーファは生まれたての赤子の状態です。台にしているブロックは、空隙に石膏と小砂利を詰め、表面はプラパテで仕上げています。ブロックの向きを90度替えると、低域が大幅に増強されます。セッティングに迷いましたが、慣らしがすめば低域過多が予想されるのでこうしています。


 アナログ・プレーヤーは安物です。そのかわりいろいろ手を加えています。まずはご覧ください。
 
 キャビネットはフラッシュ構造です。そこで、内部にセメントを充填しています。重量の大幅増にそなえ、インシュレータを硬式テニスボールに替えました。硬式テニスボールは内部損失が大きく、振動を完璧に遮断します。同時に剛性も高く最高のインシュレータです。ボールを支持しているのは配管用の塩ビパイプです。ボールはテニス趣味の方に不要品を頂きました。
 最大の変更点は、カートリッジ出力ケーブルをアンプに直結していることです。オーディオ・マニアの方ならご存知でしょう。江川流ノン接点接続です。これによる音質アップは譬えようがありません。まあ、皆さん効果のほどは理解していても、美観上耐えられないでしょうね。なお、シートは定番のJP-501です。
 久しぶりに使用したところ、モーターが不調でした。機器というものは、何によらず使わないと駄目になりますね。回転の変動も、使っているうちにまともになりました。アームリフターも最初は油圧が抜けたように効かなかったのが、上げ下げしているうちに正常になりました。

 あんまりアナログ・レコードとスピーカーの相性がいいものだから、アナログ機器の更新がしたくなっています。まあ、家族が許してくれないでしょうが。今回のスピーカー更新の件でも、いかに安くて、いかに買い得かを力説したけど怒ってましたから。


 これは自慢のアンプとCDプレーヤーです。アンプはSASUIのAU-X1111MOS VINTAGEです。マニア垂涎の逸品でしょう。私もこの前はセパレートを使っていましたが、MOSの高域と強力電源がもたらす芳醇な低域に魅せられて買い替えました。
 CDプレーヤーはSONYのX7ESDです。SONYのマルチビット最終モデルです。もはや15年前の機器なので、最新機種に劣るかと思っていましたが、スピーカーを購入したU-STATION21の店長に相談したところ、嬉しい返事が返ってきました。とても参考になるので、メールを公開させて下さいね。

質問頂きましたCDP-X7ESDの最近の機種との対比の件ですが、そのまま使われる事をお勧めいたします。
理由としましては
@ご指摘の解像度等では16bitで録音されたCDソフトに関しては、全く問題ありませんし、現在の製品が特に上回っている事もありません。
A逆に最近の製品はDVDやSACDとの複合機が多く、沢山所有されているCDソフトを再生される上では音質が下がっているものが殆んどなのです。つまり、CDの再生中心の製品ではなく、CD再生はオマケ程度にしか考えられていない製品が多いのも事実なのです(一部高級機は除く、爆)。
B「最近、CDプレーヤーを買い替えたけれど音が薄くなった・・・。」との声を多く聞きます。そう言った方々の殆んどが、SACD等のソフトには興味も無く、又、聴かれないのです(笑)。従って、音楽ファンにとっては逆に10年位前のしっかりした造りのCD再生専用機の人気が上がりつつあります。
CCDP-X7ESDのトランス等の高級部品を使い、音質追求した製品を現在作るとなると多分30万円以上の売価になるでしょう。しかもMade in JAPANでは無く・・・・(核爆)。

以上等々の理由で、買い替えはお勧め出来ません。もし、買い替えてみたいならば(苦笑)、処分されなく手元に置いておくべきだと考えます。私は、各オーディオメーカーがまだ力を持っており、鎬を削って競争していた時代の製品が好きです。力作が多く、CDP-X7ESDもその内の一台だと思います。


 丁寧なご説明を頂き恐縮しました。これで安心してX7ESDと心中する覚悟です。となると、アナログ機器の方をなんとかしたいんだけどなあ‥‥。プレーヤーそのものは中古の掘り出し物がいろいろあります。ネックはカートリッジとヘッドアンプ(昇圧トランス)です。私はMC型しか欲しくありません。ところが現有アンプはヘッドアンプを内蔵していません。外部ヘッドアンプは高価で(安価なヘッドアンプは良くない)、トランスはもうひとつ好みではありません。そこで、現カートリッジはMM入力でも使えるようにオーディオ・テクニカ製の高出力のものを使っています。このように制約があるため、難しいところです。金を無駄にかけるのはごめんですから。
 でも、最大のネックは家族なんだなあ。
目次へ