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ジャンル別


百九拾八   NHK大河三題 (2025/3/10)New
百九拾七   必見、「異端の奇才 ビアズリー展」 (2025/3/3)
百九拾六   高校同窓会 (2025/2/24)
百九拾五   ドラマ三題 (2025/2/17)
百九拾四   日産迷走する (2025/2/10)
百九拾参   最近の世相 (2025/2/3)
百九拾弐   過疎と地方再生のお題 (2025/1/27)
百九拾壱   法政大ハンマー傷害事件の疑問 (2025/1/15)
百九拾    歪な例でウクライナ戦争を語るな(2025/1/8)
百八拾九   ANAマイレージ利用が面倒(2025/1/1)
百八拾八   井上選手のチャレンジ路線はないみたい(2024/12/26)
百八拾七   南海トラフ大地震防災訓練に震える(2024/12/19)
百八拾六   ウスター美術館アメリカの印象派(2024/12/12)
百八拾五   医事マイナカード利用本番(2024/12/4)
百八拾四   踏み間違い事故の多発(2024/11/26)
百八拾参   井上選手が難敵に挑むのを見たい(2024/11/19)
百八拾弐   やっちゃた「やっちゃえNISSAN」(2024/11/12)
百八拾壱   五大浮世絵師展(2024/11/5)




百九拾八   NHK大河三題 (2025/3/10)
 1月という旧聞に属する PRESIDENT Online 「「全裸遺体」への視聴者の反応ではっきりした…真田広之の「SHOGUN 将軍」にできてNHK大河にできないこと」の記事です。

 2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」が初回から話題になりました。病死、餓死した女郎たちの遺体が積み重ねられた裸体を放送した件です。ここから話を膨らませています。
  • 一方で「ハリウッドならでは」とも言われたのが、史実ではなく史実にインスパイアされた外国人作家による小説(ジェームズ・クラヴェル『将軍』)をベースにした創作であるが故に、ストーリーや表現の飛躍的なエンタメ性が可能となっている点だった。
  • ここにNHK大河が囚われている創作上の足かせ、しがらみも見て取ることができる。
  • 日本国内で、日本国内の視聴者を第一の対象としているために、史実や繊細な視聴者の「お気持ち」への忠誠を誓わされている。それゆえに冒険がしづらく、ブレイクスルーが起こしづらい。
  • 日本人の、日本語による創作を小粒に、無味乾燥でつまらないものにしている
 いろいろ大河に注文をつけていますけど、コラムを書いている河崎氏は、歴史小説と時代小説の違いを弁えていません。大河は歴史劇で、『SHOGUN 将軍』は時代劇なんですね。いえ、『SHOGUN 将軍』を観ていないし、原作も読んでもいませんけど。少なくとも、歴史小説じゃないでしょう。
 昔からNHKは、歴史小説ベースが日曜大河で、時代小説ベースを金曜時代劇へと分けて扱ってきました。歴史小説は史実に拘束され、作者の創作部分が制限されます。時代小説はというと、史実についてはアウトラインだけ抑え、それ以外は作者のイマジネーションが自在に横溢します。
 河崎氏は両者を混同し、比較批評してるんですね。誰か指摘してあげればいいのに。

 先月の讀賣新聞オンラインの「ドラマ『坂の上の雲』が描く日本海海戦…勝敗を分けた「丁字戦法」と「密封命令」の真実」です。

 原作者の司馬遼太郎(1923〜96)は、「視覚的なものに翻訳されたくない」と映像化を許可しなかった。

 これは違うでしょう。ご本人は認めたくなくて、綺麗な弁解を考えたものと邪推します。

 谷寿夫氏の『機密日露戦史』の旅順戦解説を写したのが拙かったと自覚してたものと邪推します。発表後に大批判を受け、、ご本人も忸怩たるものを抱えていたんじゃないでしょうか。
 それと、朝鮮半島支配の野望(日清戦争)がロシアの介入と満州関東州支配に繋がり、中国に多大の苦難をもたらしたわけで、これを明治の先人たちの素晴らしい偉業と讃えた小説ですから、そのままじゃ中韓の厳しい反発を招くのは自明でした。ドラマ化を避けた理由はこれしか考えられません。大河は観てませんけど、その辺りをボカしたシナリオだったってことはないでしょうか。観てないので判りませんけど。

 日本海海戦で日本が完勝した最大の理由は、連合艦隊司令長官の東郷平八郎の巧みな采配と、作戦参謀の秋山 真さね之ゆき が立案した完璧な戦略にあるとしており

 パーフェクト勝利の理由としては、ロジェストウェンスキー提督が肝心なことを周知していなかったからでしょう。艦隊をウラジオに届けるのが目的だったのですから、「艦隊戦に敗けた際は、各個ひたすらウラジオを目指せ」と徹底しておくべきでした。さしずめ、「津波てんでんこ」と同じ対応です。
 それを、前走艦に随って迷走するばかりで、日本側のいい餌食になりました。

 NHKのサイトから、「2027年 大河ドラマ「逆賊の幕臣」主人公・小栗忠順役は松坂桃李さん!」です。

 再来年のNHK大河は小栗忠順氏だそうです。
 しっかし、明治政府の偏向性を強調しているのでしょうが、ひどい字面のタイトルだこと。「悲運の幕臣」とか「消された巨人」とか、印象面に留意してほしところです。

 “勝海舟のライバル”と言われた男

 小栗氏のライバルというには、勝氏では役不足かと思います。
 正面から小栗氏を描くなら、外交、経済、殖産興業、軍事、内務関連で、国難及び幕府(日本)再生に取り組む姿を描くこととなります。まさにスーパーマンの如き姿です。また、封建制から郡県制への転換を構想していたおり、勝氏に相談したところ、勝氏にとっては埒外の話だったので、戸惑ってなにも答えられなかったそうです。格が違うとしか言えません。

 シナリオを担当する安達氏には、気張っていただきたいです。特に慶喜から罷免されるシーンは、江戸開城、隠棲、斬首に繋がるポイントであり、クライマックスシーン扱いで演出していただきたいです。おそらく徳川幕政下、将軍から直接任を解かれたのは、小栗氏だけでしょう。私の慶喜観は、「悲劇の人」とか「後れてきた人」とかでなく、「覚悟のない人」です。小栗氏はまさにそこを突いたものだから、嫌われちゃったんですね。

 どのようなドラマになるのか楽しみでありますが、実のところ危惧しかありません。果たして今のシナリオライターに日本が未体験であった方面の国家運営物語を描き出せるか疑問です。
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百九拾七   必見、「異端の奇才 ビアズリー展」 (2025/3/3)
 先週のこと、三菱一号館美術館を訪ね、[異端の奇才 ビアズリー展」を鑑賞しました。
 飛行機で往復し、これが格安でした。百八拾九   ANAマイレージ利用が面倒(2025/1/1)に書いたとおり、早割座席とあって新幹線より安いんです。仮に少々高くても、時間節約と腰の負担を考えると飛行機しか考えられません。

 東京駅近くなので、久々の丸の内散策ともなりました。さすがに皇居周辺とあって、変わらず整然たる趣ですね。ほんの少し歩くと、三菱一号館美術館がありました。古い建物で、美術館の雰囲気ではありません。広くもない部屋多数を階を変えて鑑賞するスタイルとなっていました。下図が入口で、美術館に見えないでしょう。



 基本的に撮影禁止で、許可されていたのは上階の一画だけでした。撮影の可否は、書籍中の絵について版権上の取り扱いがあるからでしょうか。撮影可の中には没作品が多く、没の理由は性的な表現に対する駄目出しだそうです。

 この絵が駄目なのは、一目瞭然ですね。


 腰から延びた房が、なにかを連想させて駄目みたいです。


 出世作ともなった「イエローブック」の表紙です。


 「イエローブック」の季刊誌とのタイトルでしょうか。本屋店頭での女性が描かれています。


 オスカー・ワイルド「サロメ」の挿絵で、女性器を連想させるので出版社から拒否されました。


 「サロメ」の挿絵で、右手の人物はワイルドに似せています。ビアズリーは各所でワイルドの似顔絵を入れていて、ワイルドがひどく嫌ったそうです。


 「サロメ」の表紙案で、没になったものです。一見、この裳裾は孔雀を図案化している風ですが、実は性器や性的結合を暗示しているそうです。


 孔雀柄の裳裾は、サロメの傲慢さを表しているそうです。


 雑誌「The STUDIO」の宣伝ポスターです。


 児童文学書の宣伝ポスターです。「妖精ブラウニー」「小公女」「ロビンソン・クルーソー」などの書名があります。ところが、ビアズリーが描いたのは、児童書に不適切な豊満な女性なんですね。こういうところが、ビアズリーの人気と同時に問題視された点でもあります。


 アヴェニュー劇場の演目ポスターです。紗越しに透けた表現は浮世絵を参考にしたと言われ、「日本かぶれのロセッティ風少女」と揶揄されたそうです。


 知っている絵ですが、これがエドガー・アラン・ポーの挿絵だったんですね。
 左から「黒猫」「モルグ街の殺人」「赤死病の仮面(だったっけ?)」という著名な小説ばかりです。
  

 「イエローブック」に掲載された「ワーグナー崇拝者」です。ヴィアズリーが自作中最も優れているとした作品です。劇場が富裕層の世俗的社交の場になっているのを苦々しく感じての構成だそうです。


 これまた出世作「アーサー王の死」で、あまりに有名な一作ですね。これもねえ、細部まで観察すると、怪しいというか性的な表象があちこちに見られます。


 今回の展示鑑賞でいろいろ知ることができました。ビアズリーとワイルドは悪所通いの心許した仲間かと思っていたのが、実はワイルドはビアズリーの挿絵に満足していなかったそうです。むしろ他の作家を希望していたというのも初耳でした。その作家さんの名前を憶えていませんが、たしかに繊細な作風で「サロメ」に合っているなと納得させられました。

 この展覧会が地元であれば、いろいろ確認したいこともあって再訪するところです。こういうとき、田舎暮らしが恨めしくなります。
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百九拾六   高校同窓会 (2025/2/24)
 昨日、高校の同窓会に出席してきました。県内在住者が決して多くないため、学年全体の同窓会でした。
 20数年前にも同様に開催されたことがあり、そのときは欠席しました。クラスならともかく学年全体ともなると、果たして見知った人間と出会えるかも分かりませんから躊躇いがありました。ゲーム的なお遊びをするとか書いてあったので、幹事の一人が知った男だったので、ゲームの景品にと自作の小品(絵)を提供しておきました。迷惑あるいは不要であれば捨ててちょうだいと。

 今回はさすがに最後の同窓会にもなるでしょうから出席しました。担任はすでに80歳手前となっていましたから、顔を会わせるのも最後のチャンスでしたし。
 全体で90名ほどで、まずは盛況でした。私のクラスからは、わずか11名の淋しさでした。他クラスも似たようなものではありましたが、会いたかった人間に会わずじまいで残念でした。
 総勢で以下の具合でした。こうして見ると、大勢が揃ったとも言えますね。なお、画像が小さいのでプライバシー云々は要らないでしょう。



 クラスの人間10名ほどと久闊を叙したものの、多分二度とは会わないだろうしで、なんとなく無常感もありました。是非にも会いたかった人間は来ずで、けっこう寂しかったです。
 一人だけ、高校時代に囲碁の県大会で優勝した者がいまして、囲碁の話で盛り上がったのは当然で、碁会所に誘われ連絡先交換となりました。しかしねえ、訊くとアマ6段だそうで、私みたいなヘボ碁ととてもつき合えるものではないでしょう。ご本人からは、棋力の差と関係なしに楽しめるんだと力説されましたが、丸ごと信用するわけにもいきません。

 取りあえず、止めていた囲碁ソフトでお勉強を再開すると伝えておきました。今使っているソフトは、Deep Learning の手法を取り入れて一気にアマ6〜7段の棋力になっています。それまでのバージョンは、せいぜいアマ2〜3級程度だったので、私でも勝つことができました。で、日々対戦して楽しんだ時期もありました。
 それが、いきなりアマ高段者レベルにアップしたものだから、私なんかどう逆立ちしても勝てません。というか、もはやゲームとして楽しめないレベルなのです。ソフトのバージョンアップ後、しばらくして囲碁ゲームは止めました。

 なので、ゲームを再開したところで、私の棋力がどうこうなるわけでもありません。強くなるには、真面目に勉強しなきゃ無理ですから。とはいえ、勉強の成果があるか怪しいんです。若い頃囲碁に取り組んだとき、自分がセンスなしの凡人だというのは嫌というほど自覚しましたからね。なので、彼からのお誘いにどう応じるか悩んでいます。
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百九拾五   ドラマ三題 (2025/2/17)
 先週 togetter で見かけた「Netflixで配信されるリブート版『新幹線大爆破』はJR東日本全面協力、監督が樋口真嗣ということで「妙に納得した」などと期待が集まる」です。

 邦画の傑作『新幹線大爆破』が、つい先日WOWOWで放映され、またしても観てしまいました。
 運転子役の千葉真一氏、司令室長の宇津井健氏より、犯人役の高倉健氏が畢生の役どころでした。海外逃亡を試みる犯人を捕らえるため、搭乗口で息子を連れて待ち受けるラストシーンが切ないです。

 リブート版は、犯人が主役じゃないとのことで、まったく違ったテイストの映画に仕上がっているのでしょう。多分、劇場で観ることはないでしょう。オリジナルを上回るとは、とても思えませんもの。

 PRESIDENT Online の記事「「全裸遺体」への視聴者の反応ではっきりした…真田広之の「SHOGUN 将軍」にできてNHK大河にできないこと」です。

 ここにNHK大河が囚われている創作上の足かせ、しがらみも見て取ることができる。
 日本人の、日本語による創作を小粒に、無味乾燥でつまらないものにしている


 いろいろNHK大河に注文をつけていますけど、コラムを書いている河崎氏は、歴史小説と時代小説の違いを弁えていません。NHK大河は歴史劇で、『SHOGUN 将軍』は時代劇です。いえ、『SHOGUN 将軍』を観ていないし、原作も読んでもいません。しかし、少なくとも歴史小説じゃないでしょう。

 昔からNHKは歴史小説ベースを日曜大河で、時代小説ベースを金曜時代劇へと分けて扱ってきました。歴史小説は史実に拘束され、作者の創作部分が制限されます。時代小説はというと、史実についてはアウトラインだけ抑え、それ以外は作者のイマジネーションが自在に横溢します。
 河崎氏は、両者を混同して比較し、批評をしています。申しわけないけど、ネット時代の記事には、こういう劣化記事が溢れています。

 先週のYAHOO!ニュース「松重豊「孤独のグルメ」を却下したフジテレビのキラキラ¢フ質」です。
 明らかにフジTV受難に併せての取扱いですね。それはともかく、フジTVでなく、TV東京が採用したのは正解でしょう。原作の素朴で、淡々とした日常の一コマを描くスタイルが再現されていますもの。

 松重氏も本作主人公役が見事にはまり、氏の代表作ともなりました。ただ、原作イメージとはずいぶん違っています。原作だとがっちりしたスポーツOBの風貌なので、細身ですぼまり顔の松重氏には違和感があります。TV版はTV版で別ものということで文句はありませんけど。

 個人的には、TV版主人公がときどき不愉快になります。他客の食事をじっと凝視する演技に嫌悪感を催してしまうんです。原作だと普通に店内や他客の食事メニューに視線を投げる程度の案配ですから。

 一度、次のような演出を見てみたいです。
 他客「おっさん、なに見とんや」
 五郎「アッ、いえ済みません」
 他客「ジロジロ見くさって、飯が拙う〜なるんや」

 私と同じ感想を持つ方が、必ずいるものと想像します。
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百九拾四   日産迷走する (2025/2/10)
 NHKのニュース「ホンダと日産 経営統合協議 来週打ち切り決定へ」です。

 ホンダと日産の経営統合が破談の模様です。とにかく日産は貴重な時間を無駄にしてきました。業界のモータージャーナリストたちも昔から要望や提言をモノ申してきました。日産経営者に声が届いたのかどうか、ついぞ応えることができませんでした。市場を見据えることより、社内政治を読むのが優先されたのでしょうか。

 百八拾弐   やっちゃた「やっちゃえNISSAN」(2024/11/12)にも書きましたが、さらに思いつくことを再度まとめてみます。これらは、傍から見ての勝手な想像です。日産にしてみれば、緻密な商品企画の末の決定なのでしょうから、余計な雑音かも知れませんけど。。

 トヨタがアル/ベルで一人勝ちの大儲けしているのを横目に、元祖高級ミニバンのエルグランドは14年間モデルチェンジなしで指を咥えて見ているだけでした。エルグランド開発は焦眉の急だったはずです。

 セレナは5ナンバーと3ナンバーがありますが、これを別ブランドとして所謂個別ブランド戦略を採った方がシェア総数を増やせたのではないでしょうか。

 コンパクトSUVにジュークとキックスがあり、どちらも若者向け商品です。ここは一般向け(ファミリー)シティランナーの趣きの方が売れたものと想像します。

 ギガファクトリー構築で失敗し、高級EVで世界的高評価も得られただろうアリアが1年半以上も受注停止で売り時を逃しました。大人気Zも2年弱も受注停止で儲け時を失いました。Zが受注停止したとき6,000台のバックオーダーを抱えていたそうです。
 アリアもZも利幅が大きい高額車種だけに無念だったでしょう。なお、塗装工程に不備があったとかの噂がありますが、日産から正式なアナウンスはありません。
 テスラもギガファクトリー稼働が上手くいかず、マスク氏自らが長く工場に泊まり込んで現場指揮を執ったとか伝えられました。日産の幹部はその時期どう過していたのでしょう。まさか、クラブ活動に精を出していたなんてことはないでしょうね。

 e-Power は惜しいです。シリーズ式とパラレル式を比べると、それぞれ長所短所が際立っています。長所を延ばし、短所を緩和しなければいけません。
 トヨタはその点をまさに突き詰めています。パラレル式は状況に応じて動的にエンジン駆動とモーター駆動を協調するものです。当然、効率が最大化され、最高の燃費性能が得られます。一方で、エンジン駆動のためのミッション、デフ、ドライブシャフトが必要だし、エンジン単体での十全な性能も求められます。制御も含め、複雑なシステムとなり、高コストにならざるを得ません。

 対してシリーズ式はその逆で、低中速で定速回転するだけの発電エンジン、あとは純粋なモーター駆動というシンプルなシステムとあって低コストで作れます。

 トヨタはパラレル式高コストシステムを大資本をバックに低価格で提供し、多車種に展開してひたすらコスト低減を進めました。その間のノウハウ蓄積も凄かったです。なにせ、ルマン連覇まで達成しましたもの。

 日産のシリーズ式はというと、やるべき余地がまだまだあるかと思います。以前にも書きましたが、セレナに搭載されているHR14DDe3気筒は、ノートとキックスに搭載されているHR12DEのストロークを伸ばしたものでしょう。ボア×ストロークが78.0×100.0mmという超ロングストロークで低回転域から高トルク発揮を狙ったものと想像します。こんな具合に長所を生かす路線を進めていただきたいです。エクストレイルに搭載されているKR15DDT3気筒のVCターボエンジンは疑問です。商品力アップにはなるでしょうが、こんな複雑で高コストエンジンを発電用に使うのは場違いでしょう。e-Power の長所とすべき低コストシステムから外れています。

 それと、低中回転域だけしか回しませんから、OHVでいいんです。すれば、シンプル、軽量、コンパクトとあって低コストのエンジンで済みます。しかも、重心が低いですし。日産にもかつて、OHVのA型という元気なエンジンがありました。チェリーの速さを知る者は、60代以上のジジイかな。

 回転数を2段階でなく3段階くらいに細分化し、低燃費と発電効率を両立させる余地もあろうかと思います。例えば、1,900/3,900回転を1,700/2,800/3,900回転とかにすれば、運転状況に合わせてより効率化が図れるでしょう。いくら1.2〜1.5Lの小排気量といえ、3,900回転も回せば燃費が悪くなります。高速道路上でも、運転状況に応じて2,800/3.900回転を使い分ければ、低燃費に資するでしょう。

 それと、日産の回生ブレーキは無駄が多いと聞いたことがあります。小さなバッテリーなので、充電は満充電を目指し、高速走行では満充電を維持しようとするそうです。聞いた話なので本当かは知りませんが、回生ブレーキで充電する余地がなく無駄に捨てているそうです。バッテリー入出力の制御にもまだまだ改良の余地ありということでしょうか。

 素人が勝手なことを書いています。とにかく日産を見ていると、もっとこうすべきとかいらんことを考えてしまうんです。適当で無責任なことを書くなのお叱りは甘受します。
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百九拾参   最近の世相 (2025/2/3)
 日本気象協会のサイトが、1月9日頃からDDoS攻撃で閲覧できなくなっていました。その障害も1月末から復旧して一安心しました。使えない間、気象庁のサイトをりようしましたが、提供情報が使いものにならなくて困りました。
 気象協会の提供情報なら、地域エリアごと1時間単位での天候、気温、降雨量などの予想情報が示されていて重宝するんです。気象庁ときたら、大ざっぱなエリア単位のみで、時間経過ごとの予報なんてのもなく、役に立ちません。気象庁の中の方、手間暇かけるのが嫌なんでしょう。反省しる。

 1月末の日経新聞「『消えたコメ』茶わん26億杯分 在庫分散、国も把握できず」です。

 日経さん一体どうしちゃったんでしょう。昨年の米収量を巡る問題には、注視すべき点があるのに、こんなイエロージャーナリズムみたいな見出しをつけました。さっそくネットで突っ込みが入ってました。「17万トン把握できず」とか、「年間国内需要の2.4%」とか、分かり易い単位で表わせよとの注文です。天下の日経も、記者の劣化が隠せなくなったものでしょうか。

 当県では、ついに昨年米収量が消費量を下回りました。こんな日が来るとはと感慨深いです。末端自治体に奉職していたとき、減反の転作実施確認で検地したこともあります。その頃は、少しでも作付け面積を確保しようと農家の方も必死だったのに、隔世の感があります。
 近所の同級生で仕事に精出すやつがいて、昨秋の米売り払い額がついに2,000万円に届いたと喜んでいました。本人の田圃は5反ほどながら、今は貸し手が大勢いるので選び放題です。田圃が一箇所にまとまっている遠方の家と契約しています。農作業や水入れに余計な手間がかかりませんから。農機具もその家の空いた納屋に置かせてもらっているので無駄な移動もありません。
 加えて、高価買取あっての2,000万円です。こんな風に、やる気のある人間にとっては、美味しい時代でもあります。願わくば、米価がある程度高止まりするのが好ましいです。鶏卵価格も同じで、かつての安値安定は、生産者にとって過酷です。ある程度の高値は、そうあって然るべきことです。

 それにしても、減反比率の僅かな上下や転作奨励金の僅かな多寡に目の色を変えていた過去と比べ、まったく時代が変わったものです。


 1月末の togetter の話題に「ねえ、ワ?イの出身の秋田県が2024年に生まれた赤ちゃん3309人なんだけどやばくない『もうこれじゃ30年持たない』

 先週話題にした過疎と地方再生に当てはまる話題でもあります。
 確実に見通せる将来予想があります。少子化がずんずん進行するのは間違いありませんから、現在の学校がかつての分校の位置づけに変ずるのでしょう。数十年前まで経験していた様相です。やがて、その将来分校がさらなる少子化で維持できなくなり、通学距離が遠くなる生徒については、全寮制を導入することとなるのでしょう。
 私が現役時代に務めていた施設でも、30年ほど前までは通学不自由な生徒向けに寮を運営していました。やがて利用生徒そのものが減ったために廃止となりました。

 少子化が日本のあらゆる場面に変貌をもたらすことでしょう。移民問題といい、東京一極集中といい、怖いことになるのでしょう。移民導入政策は、従来の均質な日本社会に階層を生み出すのは
確定事項と言っていいでしょう。かつてドイツで起こった現象です。トルコ移民導入政策がドイツの教育システムを変えちゃいました。あれと同じことが起こるのは、既定路線というべきです。

 同じく1月末の朝日新聞の記事「栄東・開成… 中国にルーツ持つ受験生が中学入試に 入学者の1割も」です。

 優秀な中国の方を間近に見たことがあるので、ちっとも不思議に思いません。40年近く前に中国からの海外研修生を受け入れたことがあります。私の担当でなく、電子系での受入れでした。

 20代前半の武漢市幹部子弟で、来日時には日本語が話せなかったのが、1年後の修了時には論文風の研修レポートを書き上げました。常用漢字以上の漢字を過不足なく交え、同年代の大卒に引けを取らない文章でした。担当同僚から、ちょっとこれを読んでみろよと渡され、驚きました。なお、研修中は日本語講座のカリキュラムがありました。

 本人の望むレベルの研修を当方施設では提供できないため、某国立大学に話を通し、そちらで研修継続となりました。そのような融通が利いたのは、幹部子弟だったこともあるでしょう。帰国後は、いきなり武漢市研究所の所長ポストに就く予定だったそうです。
 とにかく優秀でした。時事問題―特に政治的色合いの話題を微妙に避ける聡明さがありました。彼の日本社会に対する感想が秀逸でした。
 曰く「日本の方が中国より社会主義を実現している」
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百九拾弐   過疎と地方再生のお題 (2025/1/27)
 2週間ほど前、「地方は車がないと生活できないというのは9割甘え。自転車があればなんとかなる。要するに便利さを手放せないだけだ」とのY氏のツィートがネットを騒がせました。

 昔は田舎でも地域内で経済の相当部分が循環していました。在住地内及び周辺エリアにあらゆる店舗事業所が存在していて、衣食住はもちろん、医療から趣味まであらゆるサービスが提供されていました。おかげで車が無くても自転車か徒歩でなんとかなりました。どんな田舎にも規模の大小はあるものの、街(村)の中心街があったでしょう。その道筋に個人商店が軒を連ねていて、用があれば財布を持って訪ねるエリアです。当地のようなド田舎でさえ、映画館が2館あったくらいです。

 バスや電車で遠出するのは、特別なハレ目的でした。百貨店、海水浴、盛り場、温泉などへめかして出かけるイベントです。。

 そんな昔の生活が可能であるか、現代人には難しかろうと悲観的なります。不便と我慢を強いられる生活ですものね。基本的に貧しい生活ですから、営農しないにしろ自家菜園は必須だし、いろんな修繕関係も相当部分を自前でやらざるを得ないでしょう。アメリカの田舎人は、車庫や納屋に大小取り混ぜた工具を備えていたりしますね。あんな生活です。我が家でも、ガキの頃は大工道具から発動機までありました。
 地域内でかなり完結でき、自家内でもある程度完結させることが求められます。不便を自分の手間暇でカバーしなければいけません。衣服なんて継ぎはぎ、お下がり、捨てずに雑巾や他服にリフォームしたりは当たり前にやることです。

 我慢したところで、はたしてそんな昔の生活が可能かどうか疑問です。実現するには周辺人口が相当数いなきゃ無理です。過疎気味では商売生活が成り立たちません。中央や拠点都市の大資本が衣食住に渡るサービスを展開している現状では、個人や小規模営業の再生はまず以って無理です。

 関連して、一昨日のテレ朝news「日本各地に生まれ続ける“ゴーストタウン”企業の撤退で人口激減、街が沈没 都内一等地でも起きる理由とは」です。

 企業の雇用が地域存続に果たす役割は大きいです。プラザ合意以来の円高が、いかに罪深いものであったか。過疎とか地域再生の課題は、経済問題が核心ですから。

 昨年の訪日外国人数は3,700万人ほどだそうで、消費総額が7〜8兆円とかいわれています。インバウンドによる事業収入がいかに低収益なものであるかをまざまざと表しています。円高によって失われた産業構造は、いかにも高収益で文字どおり桁違いでした。
 その収益を生む産業構造を海外に移転したことによって、海外に中産階級を生み出したのですから、大きな意義があったと評価してもよいでしょう。ただ、日本人にはきつい話です。第二次産業が盛んであれば、雇用、国内投資、人の定着、付随しての第三次産業従事者確保と地域が生き残る基盤となります。
 すべて失われた過去であり、懐かしんでも仕方ありません。
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百九拾壱   法政大ハンマー傷害事件の疑問 (2025/1/15)
 先週金曜日の午後、法政大学多摩キャンパスの教室の中で、2年生の韓国籍ユ・ジュヒョン嬢が他生徒8人をハンマーのようなもので殴って怪我をさせ、現行犯逮捕されました。

 その後の報道で容疑者の奇矯な振舞いが伝えられました。
 「シーンとしていた中、彼女が突然、『梅!』とか『桜!』とか言うんです」
 「授業後、まったく関係ないフロアの廊下を何回も行ったり来たりしていたんです」
 「ユが壁や無人の空間に向けて「死ね」「バカ」などの暴言を吐く様子は何度も目撃されていた」

 精神疾患など抱えた生徒は少なからずいて、私もこういう生徒に煩わされました。なので、ネットで書かれているような韓国人由来とかでなく、人間共通項と捉えるべきです。

 周りの男子生徒はなにしてんだとかの感想を見かけました。たしかにそうですけど、それよりもっと大きな疑問を持つべきです。先生はなにしてんのです。 授業中であれば、教室内の管理責任は先生が担っています。普通の教職員であれば、異変出来と見たら、すかさず進んで間に入って行きますよ。そりゃあ猛獣とか、それに類する人間なら躊躇うでしょう。しかし、刃物を振り回しているわけでなし、女性だというのになに他人事を決めこんでいるのでしょう。

 動画を見ると、先生は近づいてもいません。法政大学が、暴漢に襲われた際の安全確保指針を示しているのかもしれませんが、今回の対象は自身の受講生です。それで知らん顔しちゃ駄目でしょう。この先生には、職責を果たせと言いたいです。

 なにも制圧せよと言ってるんじゃありません。割って入って制止し、沈静化を求め、説得を試みるのが普通の対応です。それでも暴力を止めないとなれば、制圧を試みるべきです。手に持ったハンマーを奪うなどです。制圧スキルがないなら、躱すだけでもいいじゃないですか。それもできないなら、他生徒と一緒に逃げればいんです。
 ただ、先生ならまずは生徒を落ち着かせて説得するなどをやれよです。職責を果たす気がないなら、向いてないんだから職を辞せと言いたいです。後日、この先生は生徒にえらそうに向き合えないでしょう。いえ、こんな先生ですから恥ずかしげもなく上から目線で接するんかな。

 大学以下の学校だと、女性の先生でも生徒の正面に立つでしょう。あれ、先生は毅然としている風で、内心はガクブルなんですよ。それが仕事と心得、無理して対応しているんです。言っちゃあ悪いけど、この先生には職業意識が欠如してるんじゃないでしょうか。
 事件が報じられる中、担当先生の対応に触れたものがなく、疑問に思う次第です。
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百九拾    歪な例でウクライナ戦争を語るな(2025/1/8)
 昨年末の Newsweek 日本版の記事「真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ」です。記したのは、米海軍大学校教授のS.C.M.ペイン氏です。

 一見、もっともらしい風ですが、実は我田引水でこじつけています。今日の経済合理性で、しかも後知恵で語るならそのとおりでしょう。しかしながら、帝国主義時代にそんなのを当てはめても仕方ありません。いささか考察が浅いかと思います。

 ニコライ2世は真の敵ドイツとの戦いに備えて鉄道と武器に投資すべき時に、収益化できない満州の利権をめぐり日露戦争で日本と戦火を交えた。

 当時、ドイツがロシアの真の敵に位置づけられてたなんてことはありません。むしろこの時期、対中国で似たような権益確保のお仲間でした。それに、ニコライとヴィルヘルムは文字どおり従兄弟でしたしね。後の第一次大戦が念頭にあるのでしょうが、あれはオーストリアの後ろ盾であるドイツとセルビアの後ろ盾であるロシアという個別事情がもたらした対立です。日露戦争前夜には、ありもしない状況ですから。

 日清戦争後にドイツがロシアとフランスを語らった三国干渉の、まさにお仲間です。ロシアは大連・旅順をもぎ取ったおかげで旅順港を手に入れ、利便性の劣るウラジオから拠点を南下させることができました。これに合わせてシベリア鉄道を東進させ、加えて旅順まで南下延伸して確固たる地歩を固めました。
 当時のロシアにとっては望外の展開でした。その後のニコライの変心と朝鮮への過大な欲望が余計で、日本の宣戦布告を招いたものです。

 ロシア人には「世界で最も野蛮な国民」のレッテルが定着する。こうした負の遺産は数十年たっても消えない。ドイツ人に聞けば分かるはずだ。

 ロシアが無条件降伏し、ニュールンベルグみたいな裁判を行ってプーチン始め関係者を極刑に処し、戦争がロシアによる悪逆非道なものと認めさせればそのとおりでしょう。道義的にもロシア国民が戦争責任を負い、その責めをすべてが引き受けなければならないと認めさせれば、謂うように「ドイツ人に聞けば分かるはず」と同じ空気となるでしょう。

 しかしねえ、そんなのありえんでしょう。少なくとも、ロシアが今回の戦争で敗けることはありません。そんなで、よくもドイツの贖罪意識と並べたものです。アメリカの国際政治の捉え方って歪なんですね。イスラエルの暴虐さえ、アメリカには許容されるものなんでしょう。上智大学の前嶋先生がいみじくも言ってました。
 「アメリカにとって、イスラエルは51番目の州なんだ」
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百八拾九   ANAマイレージ利用が面倒(2025/1/1)
 現役時代に組織から、ANAとJALのマイレージ利用環境を与えられていました。退職後、引落関係が変わるので、無用とばかり両カードを処分しました。これが拙かったんですね。
 12月初旬頃のことでした。2月半ばから三菱一号館美術館で開催される「異端の奇才 ビアズリー展」を観覧したく、東京へのフライト予約をしようとして頭を抱えました。航空運賃がやたら高くなっていて、安いシートを利用しようと選択すると、申込手続きがアクティブにならず、マイレージ会員でログインしないと駄目かなと勘違いしました。後で解ったのですが、これは単なる不具合だった模様です。

 で、ログインを試みると当然のこと会員番号が求められました。会員カードを捨てたため、情報が手元になくどうしようもありません。新規申込すべきかと思ったものの、すでに会員登録済の旨が表示されました。そりゃそうだと、仕方なく会員カードの再発行を求めました。送付に2週間ほどかかるとのことで、本日郵送されてきました。

 再発行カードに記載されていた会員番号でログインし、予約手続きを進めるとWebパスワードとAMCパスワードが必要と分かりました。現役時代にそのようなパスワードを扱った憶えもなく、これまたWebパスワード再設定を試みました。すると、これまた郵送の手筈で2週間ほどかかるとのことでした。AMCパスワードは4桁なので、自分が設定した英数であれば見当がつきます。

 2週間後となると、割安提供期間を過ぎてしまいます。ヤキモキし、本当に会員のみ特典なのかと確認すると、そのような記述はどこにもありません。再度申込画面に進んで便を指定したところ、今度は申込手続きがアクティブになりました。そのまま座席も指定して入金も済ませました。羽田往復で26,260円です。もう少し日が経つと、この割安料金もなくなるので安堵しました。
 新しいWebパスワード送付されたら、その他もろもろの設定を済ませ、マイレージを有効活用しようと考えています。ややこしいパスワード設定といい、郵送手続きといい面倒です。しかし、セキュリティ面からはこれで正解なのでしょう。文句はありません。

 新幹線自由席での往復運賃30,000円強よりずっとお得です。しかも、圧倒的に速いし、新幹線駅までと駅からの運賃を考慮すると、もう完全に飛行機が勝ってます。

 正月元旦から、こんなことをやってるのも暇になったからです。かつての親戚付き合いが密な時代であれば、年始回りと応接にバタバタして腰を落ち着ける間もありませんでした。のんびり平和が一番です。
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百八拾八   井上選手のチャレンジ路線はないみたい(2024/12/26)
 井上選手は12月24日に有明アリーナで、IBF&WBO世界同級1位サム・グッドマン選手(19戦全勝8KO)の挑戦を受ける予定でしたが、グッドマン選手が練習中に瞼を切ったため、1月24日に延期されました。
 次いで来年4月にラスベガスでWBC世界同級1位のデビッド・ピカソ(30勝16KO1分)戦が計画されていて、WBA世界同級1位のムロジョン・アフマダリエフ選手との対戦は不明です。ひょっとすると、サウジ開催の運びとなるのかもしれません。

 百八拾参   井上選手が難敵に挑むのを見たい(2024/11/19)に書いたフェザー級2強による再戦が12月8日に行われました。WBO世界フェザー級王者ラファエル・エスピノサ vs 同級1位ロベイシー・ラミレス戦で、6回早々ラミレス選手が棄権しました。右クロスが顔面右辺りに打ち下ろされた際の眼のダメージでしょうか。すぐに試合放棄しました。試合後、ラミレス選手はエスピノサ選手の肘打ちを幾度も貰って安全のために放棄したとアピールしていました。
 肘打ちというわけでもなく、互いに上腕で相手を受け止めたり押しのけたりをやるんですが、エスピノサ選手の肩の高さがラミレス選手の顔面に位置してるので、普通に上腕で受け止めると肘の鋭角部が顔面に刺さるんですね。これでラミレス選手は連敗とあって、取りあえず井上選手の対戦候補から脱落しました。

 井上選手の対戦予定ロードは、いずれも各団体1位との指名挑戦試合とあって贅沢な連戦ながら、それでも嬉しくありません。見事防衛を果たしたラファエル・エスピノサ戦が遠のいてしまうからです。どうやら井上選手は再来年もS.バンタム級に止まるかもしれません。中谷選手が階級アップするのを待って対戦したいとの希望もある由です。中谷選手との対戦も楽しみですが、よりチャレンジングなエスピノサ戦の方がはるかに期待値が高いです。実現すれば、“モンスター vs 神の恩寵”ですよ。ボクシング史に残るであろうスーパーマッチ間違いなしです。しかしながら、井上選手のプランにその線はなさそうです。S.バンタム級で数戦こなす間に、エスピノサ選手はS.フェザー級に上げるでしょうから残念で仕方ありません。

 恐らく、井上陣営もエスピノサ選手には勝ち難いと看做しているのかもしれません。厳しい見方ながら、逃げているとしか思えません。S.バンタム級で防衛ロードを重ねても、もはやそこにはチャレンジ精神が存在しません。かつてプロ入りした際、強い相手と闘いたいとアピールした姿は遠いものになりました。

 グッドマン選手にしろピカソ選手にしろ、井上選手との比較だと弱い者いじめの構図です。アフマダリエフ選手にしても、井上選手が一蹴したドヘニー選手と接戦を演じて判定負けした相手です。来年以降もこんな路線でいいのでしょうか。

 中谷選手との対戦も、下の階級から上げさせる前提ですからワクワク感がありません。邪推で申し訳ないのですが、今の井上選手は億超えの高額ギャラを得られますから、ひたすら収入確保に走っているやに見えます。
 高額ファイトマネーは、チャレンジングな試みにこそ相応しいものです。かつての井上路線を知る者としては残念です。
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百八拾七   南海トラフ大地震防災訓練に震える(2024/12/19)
 日本全国の自治体で標記の避難防災訓練が実施されているでしょう。各職場でも火災避難、消火訓練を毎年実施しているはずです。また、11月には県下一斉でのシェイクアウト訓練も毎年行われています。

 そして、地域災害マップを作成し、地区ごと避難経路、集合場所や搬送手順などを定め、定期的に避難訓練を行っています。当地では大字巡回持ち回りで3年ごとです。自治会ごと集合後に指定避難所へ移動して全体集合します。地区内に高校があるため、高校生も代表が参加します。

 先日の日曜日、早朝から消防が「南海トラフ大地震生起」のアナウンスをしながら地区内を巡回して訓練開始です。押っ取り刀、いえ、のんびりと自治会員が会場に集まり、その後地区コミュニティに徒歩で集合しました。
 地区住民を3班に分け、消防署員、消防団員及び保健師さんたちの指導の下、各種訓練や体験が行われました。AEDと胸骨圧迫による心肺蘇生、土嚢の積み方、避難所で活用できるプライバシーテントの組立て収納、ジャッキを用いての救助法、緊急持ち出しリストなど盛りだくさんでした。毎度のことなので、主催側も違った切り口になるよう工夫を凝らしていました。
 高校生たちが班のプラカード掲示を担い、班員誘導を務めてくれたりで、若者たちにもお世話になりました。

 問題はこの寒さです。みんなぼやきながらも、正月の能登半島地震の被災者を想えば、なにごともなしとしました。
 コミュニティセンター横の広場を利用しての訓練です。いくつかの班に別れて指導を受けています。みんな寒そうにしているでしょう。私なんか軽装の普段着でした。



 プログラム終了後、ボランティアさんによるしっぽくうどんが振る舞われました。芯から冷えていたので、美味かったこと。なんてこともないうどんだったのですが、本当に美味かったです。
 面倒なイベントですが、こういうのを繰り返すのが大切なんですね。人間、いざとなれば判断がつかないことが多々あります。そんなとき、訓練でのあれこれが思い出され、正解に近づくことができますからね。
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百八拾六   ウスター美術館アメリカの印象派(2024/12/12)
 昨日、アベノハルカス16階にある美術館を訪ね、「印象派 モネからアメリカへ」を観覧しました。百七拾参   迷惑な足踏み台風(2024/9/4)に書いたとおり、楽しみにしていた国宝「曜変天目茶碗」と「油滴天目茶碗」を台風で見逃してしまったので、2月の島成園鑑賞以来の美術旅行となりました。

 ボストン近郊にあるウスター美術館は、アメリカ中で一番早く印象派の収集を開始した美術館だそうです。ヨーロッパの絵だけでなく、自国の印象派代表画家たちの絵画も当然収蔵しています。
 19世紀末から20世紀初頭にかけ、モネたちの影響を受けたアメリカの画家たちの仕事については、まったく知りませんでした。今回、なるほどと思わせる印象派の技法が横溢する作品群に注目しました。

 撮影可は、たった6点だけでした。ただ、そのうち4点がアメリカ印象派を見事に代表する傑作で、しっかり撮っておきました。

 アベノハルカス16階にある美術館入口です。19階で眺望を楽しみながらのバイキングを終え、本番鑑賞へと向かいました。



 チャイルド・ハッサムの「花摘み、フランス式庭園にて」です。フランスに留学して印象派に出合い、その技法を我が物としたアメリカ印象派を代表する画家です。



 フランク・ウェストン・ベンソンの「ナタリー」です。印象派の外光表現をしながも、本来のスタイルである写実主義を活かした人物像です。ヨーロッパ作家の女性像と違い、アメリカらしい独立心を主張しています。



 西部で活躍したデーウィット・パーシャルの「ハーミット・クリーク・キャニオン」です。グランド・キャニオンに通す鉄道の宣伝のため、鉄道会社が依頼したそうです。パーシャルは目隠しされたまま崖っぷちまで移動され、そこで目隠しを解かれたそうです。その感動を印象派の光を扱う技法で崖の凹凸を多彩に再現しています。



 アメリカの印象派作家なんて知りませんでした。上に紹介した作家たちは代表的な方々だけあって、その技法を見事なまでに我が物としています。こんな小さな画像であってさえ、その素晴らしさが伝わるのではないでしょうか。
 こんな作家作品が日本で公開されるのが初めてだったというのが不思議です。こうして邂逅でき、望外の感動を味わうことができました。
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百八拾五   医事マイナカード利用本番(2024/12/4)
 12月2日からマイナンバーカードが健康保険証として本格的に利用されます。移行に関し、やはりの反対意見が煩いです。なにごとによらず、メリットデメリットがあるもので、ことさらデメリットを言い募るのは後ろ向きです。
 マイナンバーカードがない方には資格確認書が交付されます。それも無駄な負担を増やすだけなんですが、認知症の入った高齢者とか仕方ないのでしょう。

 紛失によって余計な手間がかかるなんてのは言いがかりです。それは従来保険証であっても同じです。まして、顔写真もパスワードもない従来ペーパーの危険性はマイナカード紛失の比ではありません。こんな明白なことであってさえ、捻じ曲げて非難のネタにしています。
 新しいシステムへの移行ともなれば、手間がかかるのは当然です。そんな当たり前のことであっても、なんとしても文句を言おうとネタ探しに余念のない方々が多いのです。マイナンバーカードは金融サービス関係でも記載が必要なことが多く、金融資産の名寄せになることから、目の敵にする方面も多いことでしょう。

 かつて、写真を写されると魂が抜かれると言って頑なに拒否する人間がいたそうです。同じ話ですね。私は、新美南吉の『おぢいさんのランプ』が想起されました。電気敷設に反対する守旧派が、「電線を伝って狸がやって来て畑が荒らされ」でしたか。

 昨年、最大2万ポイント貰えるマイナポイント・キャンペーンがありました。マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録がスマホで紐付けでき、インセンティブが与えられました。私もこの餌に食いついて登録しました。

 近在の病院に設置されている顔認証付きカードリーダーは、パナソニック製が多かったです。お手軽に処理できて快適なんですが、昨日訪ねた近所の病院は不調とのことで、紙保険証対応となりました。院外薬局も不調で、パスワード認証が延々ループで進まず、担当者が認証プロセスを手動でスキップして「同意」に進めました。同機種で快調なケースと不調のケースを体験しました。

 不調だったのは、通信環境なのでしょうか。あるいは大元が大量アクセスで処理が追いつかないのでしょうか。メーカーの説明では、プラットホームPCのOS設定の拙さなど指摘されています。

 気になったのはお薬手帳です。データベースに記録されるそうで、もはや不要かと確認しました。
 ぬばたま 「今後、お薬手帳は用なしですか?」
 返答は、「ご本人様が確認できるシール貼付台帳です」
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百八拾四   踏み間違い事故の多発(2024/11/26)
 ブレーキとアクセルペダルの踏み間違いによる交通事故が多発しています。原因としては、想定とは異なる自動車の動きに動転し、本来の正しい操作ができなくなることで発生します。あるいは、高齢者が普通に正常な判断力を喪失するケースもあります。認知症とまでいかなくても、自分が今何をやってるか、何をすべきか曖昧模糊の状態に陥ることがあります。自分が意図せずアクセルを踏み込んでしまい、その状況さえ正しく認識できていないんですね。

 ペダル踏み間違い事故の発生件数は、2022年で3,050件、死亡者数は48人、けが者数は4,289人でした。車の技術の進化などにより事故の件数はこの10年で半減していますが、ペダル踏み間違いによる死亡事故件数は増加傾向です。
 また、年齢層を見ると、交通事故全般と同様に若年者層と高齢者層に顕著です。この傾向は交通事故に限らず、全災害に共通の傾向でもあります。若年者には精神と技能両面での未熟性向が、高齢者には劣化性向があり、当然のデータでもあります。
 高齢ドライバーには身体面でのハンデがあります。着座姿勢とペダル位置による問題です。高齢者の股関節の可動角度が加齢により小さくなるため、後方確認などで身体を捻った際に、足踏み位置がずれてしまうそうです。

 また、踏み間違い事故は、駐停車場で一番多く起きています。前進後進で意図しない動きをした際にパニックになって暴走するパターンです。その前後の動きに関係するのがシフトです。後退するはずが前進したら焦るでしょう。そこで、ブレーキに踏み変えればいいのですが、パニックとあっては正常な対応ができないのでしょう。

 そこで世上批判が多いのがプリウスです。プリウスのマン-マシン・インターフェイスが問題アリなのは、初代からずっと言われてきました。新しい電動時代をアピールしたかったのか、始動からして変態スタイルでした。そして、最大の問題点がシフト位置の変態っぷりです。
 オートマなら従来どおりの ⇔ の往復位置決めでいいのに、マニュアルみたく枝分かれ式で、しかも前方向がリバースという迷惑インターフェイスです。加えてシフト後に元位置に戻るので、シフト位置を把握しにくくなります。

 半世紀前までの日産の5速マニュアルが“ヒューランドパターン”と呼ばれる評判の悪いものでした。左上にリバース、次いで左下に1速で、あとは2速以降に充てるという変態シフトでした。あの悪評も、プリウスに比べたら可愛いものです。シフトへの評判が散々なのにトヨタは改めようとしません。あの直感から外れたシフトの危険性に気づかないはずもないでしょうに。

 なんならいっそのこと、セレナみたく前面パネルスイッチに任せた方がましです。セレナのスイッチは、P⇔R⇔N⇔D/Bで、慣れたオートマパターンのままです。さらに触感で扱えるよう、Rに大きな突起を、D/Bに小さな突起を設けています。

 これがマニュアルなら、意図せぬ動きをした場合に、取りあえずクラッチを切ると刷り込まれています。おかげでリカバリーが容易なんですね。ボケ防止のためにも、高齢者はマニュアルに乗るべしです。
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百八拾参   井上選手が難敵に挑むのを見たい(2024/11/19)
 S.バンタム級統一王者の井上尚哉選手が停滞中です。年末にIBF/WBOS.バンタム級1位のサム・グッドマン選手との防衛戦が予定されていて、来年春頃にはWBA1位で元王者のムロジョン・アフマダリエフ選手との対戦が見込まれています。これらは指名試合なので、義務としてこなす必要があります。井上サイドが統一王者であることを売りにしたり誇っているだけに、指名挑戦者との対戦を避けることはできません。

 井上選手自身が来年もS.バンタム級で3試合したい意向と伝えられています。ボクシングファンたちは、もはやS.バンタム級で勝負論を云々する相手が存在しないのだから、フェザー級に上げて欲しいと望んでいます。井上選手もファンたちの要望を承知しているものの、慎重になっているやに見受けられます。

 それも当然のことで、すでに4階級制覇していて、5階級目ともなると状況が厳しくなります。現にフェザー級には2人の難敵がいます。WBO王者のラファエル・エスピノサ選手と前王者のロベイシー・ラミレス選手です。

 ラミレス選手はロンドンとリオの五輪連覇した強豪です。リオでは、準決勝でムロジョン・アフマダリエフ選手に勝ち、決勝ではシャクール・スティーブンソン選手に勝っています。スティーブンソン選手は無敗の3階級制覇王者であり、そのアンタッチャブル・ボクシングはメイウェザー2世と呼ぶにふさわしい高精度なものです。
 ラミレス選手は強打に加えて打たれ強くもあり、スタミナも豊富です。なんといっても変幻自在のボクシングスキルがあり、攻防一体の上手さもあります。井上選手と対戦すれば、目が離せない好試合となるでしょう。スピードとパンチ力で優る井上選手が有利といえ、何が起こるか分からない危険な相手です。

<閑話休題>
 今のボクシング界には、過去にも例のない規格外の怪物が2人います。S.ウエルター級WBC/WBO王者のセバスチャン・フンドラ選手とフェザー級のラファエル・エスピノサ選手です。フンドラ選手は身長198cmリーチ203cm、エスピノサ選手が身長185cmリーチ188cmです。
 フンドラ選手の数字だけみると、まるでヘビー級それも2m級の大型かと思わせるものです。エスピノサ選手の数字もまた、S.ミドル級のそれかと見紛います。ここまで大きいと対戦相手からすると攻め手が限られます。距離が遠いのでパンチが届かず、そこを入って行こうとするとアッパーで迎撃されます。そのように、両選手ともに自分の長所を最大限生かしたボクシングを完成させていて、難攻不落の様相を呈しています。

 エスピノサ選手の戴冠試合の相手がラミレス選手で、ダウンを奪い合う接戦でした。しかし、今は力の差が開いているでしょう。初防衛戦で2位のセルヒオ・サンチェス選手と対戦し、明らかな進化が見られました。サンチェス選手は175cmの大型ボクサーでしたが、それでもやはり高さと長さの差が大きく、エスピノサ選手は見下ろすボクシングで横綱相撲を演じました。サンチェス選手からパンチが届かない距離でもパンチが届き、入ってくるところ中間距離から近間にかけ、左右アッパーで迎撃して一方的な内容でした。ラミレス選手との再戦が12月8日に予定されていますが、もはや接戦にならないと予想します。

 はたして井上選手が勝てるか難しいのではないでしょうか。井上選手の身長165cmリーチ171cmでは、いかにも厳しいです。構え方からして、上目づかいに見上げなければならず、相手の情報が得にくい形となります。一方のエスピノサ選手からは、井上選手の目付、腕の動き、脚のステップがワンセットで見下ろせます。
 さらに、井上選手は上に向かってパンチを打つ格好となり、パンチに体重が乗りません。逆にエスピノサ選手からは、体重が自然と乗ります。特にアッパーの効き具合が半端ないでしょう。今の時点では、勝ち味がないとしか言えません。
 ただ、井上選手がフェザー級に上げる頃には、エスピノサ選手もまた階級を上げるでしょうから、両者がまみえることはないでしょう。エスピノサ選手は、今でも体重をつくるのが難しそうですから。

 井上選手のフェザー級転級は、かつてない困難なチャレンジとなるでしょう。それだけにファンとしても興味深いし、勝ち負けの勝負論が初めて井上選手に適用される期待があります。

 なお、WBA王者のニック・ボール選手をクラス最強と看做す一部の見方には賛同しません。身長157cmリーチ165cmという小柄ながら、強い突進とともに左右のフック、アッパーを強振するスタイルです。フライ、スーパーフライ2階級制覇のビック・ダルチニアン選手のボクシングにも似ていて、突進力はダルチニアン選手を上回っているやに見えます。しかし、井上選手からすれば、むしろ料理しやすい相手でしょう。大振り強振するだけに顔面が空きます。そこに井上選手の速い強打が炸裂し、鮮やかに仕留める場面が目に浮かびます。
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百八拾弐   やっちゃた「やっちゃえNISSAN」(2024/11/12)
 先週7日のYAHOO!ニュース「日産、2024年度上期決算説明会 売上高5兆9842億円、営業利益329億円の減収減益 生産能力20%減や9000人削減など計画」です。
 マスコミが大々的に報じたので、誰もが目にしたでしょう。問題点と対応方針については、記事に書かれているとおりです。

 以前から言われていたことですが、アメリカでHV需要が高い中、売るタマがないんですね。e-Power は高速走行で燃費があまり良くなく、ハイウェイ走行の多い欧米に向いていないんですね。トヨタのパラレル式鬼の低燃費に差をつけられてしまいました。
 中国では国がEV普及を推進しているだけに苦境は仕方ありません。ガソリン車は登録も難しく、国内産業育成目的で、EV車が優先されていますから。また、中国メーカーのEV車と価格競争は無理です。BYDなんか、高品質な出来映えで、しかも安いとあっては太刀打ちできません。尤も、日産に限らず海外メーカーすべてが苦戦しています。中国国内で生産し、最大販売数を誇っていたテスラでさえ、BYDに抜かれたくらいですから。

 日産のe-Powerがトヨタのパラレル式と競り合うようであれば話も面白くなるとあって、いろいろ妄想してしまいます。e-Power は2,000回転弱と4,000回転弱のみで定速回転するか、回らないかです。つまり低中速回転のみを使い、高回転は無縁なのです。すると、素人としてはOHVでいいじゃないか、OHCだのDOHCだの必要ないと考えます。OHVのシンプルで軽量コンパクトなエンジンで済む話です。
 また、低中回転域だけ回すなら、超ロングストロークでトルクをできるだけ大きくすればいいと考えます。そこで、調べてみました。
 ノートとキックスに搭載されているのが、HR12DE3気筒DOHCエンジンで、ボア×ストロークが78.0×83.6mmです。
 エクストレイルに搭載されているのが、KR15DDT3気筒DOHCエンジンで、ボア×ストロークが84×90.1mmです。
 どちらも、ロングストロークエンジンです。しかし、高回転が不要なら、もっと思い切った超ロングストロークでいいのにと思っていたら、セレナが実現していました。
 HR14DDe3気筒DOHCエンジンで、ボア×ストロークが78.0×100.0mmでした。こんな内径×工程比なんて初めて見ました。私が夢見ていた超ロングストロークが当にこれです。ストロークが長いと相対的にピストンスピードが速くなるので、普通だったら無理がありますが、e-Power なら4,000回転弱までしか回さないので問題が起こりません。

 とにかく高回転が不要なので、トルクの山を低い方に持ってくればいいんです。すべてのセッティングを低中回転でトルクを大きくすることに注力するのが肝です。

 あと、日産が拙かったのは、新規構築したギガファクトリーが上手くいかなかったんですね。テスラも苦労したところです。その当時、マスク氏が工場に泊まりこんで指揮したとか伝えられました。
 EV旗幟の重要な位置づけであったアリアが1年半もまともに販売できなかったのは痛かったです。新型Zも大人気の中、受注停止がずっと続いていました。関係者にとっては、踏んだり蹴ったりでしょう。

 9千人リストラとか報じられ、国内の工場整理、中国、スペイン、インドネシア工場も閉鎖するそうで厳しい話です。とにかく、e-Power の商品性をもっと高めるしかありません。走行フィーリングはEVそのものですから評価が高いです。問題は燃費なんですね。私みたいな素人の考えることなんか、関係者にとっては周知のことでしょう。かつての「技術の日産」が、単なる懐古調お題目でなく、実車に反映されることを願っています。
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百八拾壱   五大浮世絵師展(2024/11/5)
 先週のこと、地元美術館の「五大浮世絵展」を観てきました。これは巡回展で、宮崎県や兵庫県でも開催されたようです。パンフには次の惹句が記されています。

 女性を優麗に描いた喜多川歌麿、劇的な役者絵で人気を博した東洲斎写楽、風景・花鳥・人物と森羅万象を独自に表現した葛飾北斎、名所絵を中心に浮世絵に新風を吹き込んだ歌川広重、そのユーモラスな画風で大いに存在感を発揮した歌川国芳。美人画、役者絵、風景画など各分野で人気を博した五大浮世絵師の代表作を中心に約140点を紹介します。
 江戸時代を彩った浮世絵五大スターの競演をお楽しみください。


 高松市立美術館では、歴史資料館に所蔵されている源平の合戦に関連した国芳の作品4点も展示されているそうです。
 ポスターなどの情宣ビジュアルは、各美術館ごと違っていて、そのセンスを競っています。高松市立美術館の場合は、下図入り口のとおりです。五大の“5”をデザインのポイントにしていて洒落たものです。



 歌川広重には未だ馴染めません。私は安藤広重世代です。以後、「安藤(歌川)」時代となり、次いで「歌川(安藤)」時代に変じ、今は歌川時代となっています。解釈としては歌川が適切だそうで、安藤に馴染んだ我々世代には生き辛い時代です。

 嬉しいことに撮影は自由で、ストロボさえ焚かなければOKと珍しい対応でした。浮世絵や日本画は光に弱いとあって、大抵は撮影不可なんですけどね。

 有名な絵ばかりだったので、敢えて撮影する気も起りませんでいしたが、歌川国芳の「相馬の古内裏」だけは、記念に撮っておきました。なにぶん照明が暗いのでぼんやり不明瞭なのが残念です。そこで、鮮やかな画像をリンクしておきます。



 見慣れた浮世絵ばかりながら、やはり原(版)画で鑑賞すると作者の息吹が伝わってきます。彫師や刷師が介在しているといえ、絵師の手業が感じ取れるのです。こういう感覚に浸るのが、自分を再確認するに必要なのです。忘れてはいけない大切なことです。
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