建白TOPへ

七百弐拾   佐野氏どこまで続くぬかるみぞ(2015/8/30)
七百拾九   佐野研二郎氏火だるま(2015/8/22)
七百拾八   佐野研二郎氏あかんでしょう(2015/8/15)
七百拾七   不信:安保タダ乗り論(お盆特別回)(2015/8/8)
七百拾六   大丈夫なのか、東京五輪(2015/8/2)
七百拾五   『高い城の男』(2015/7/26)
七百拾四   新国立競技場のデタラメ(2015/7/19)
七百拾参   サントリーCM回顧(2015/7/12)
七百拾弐   最近の世相(2015/7/5)
七百拾壱   『ドクター・スリープ』読了(2015/6/28)
七百拾    『ドクター・スリープ』購入(2015/6/21)
七百九    今のデザイナーはどうなっているのか(2015/6/14)
七百八    年金機構の困ったちゃん(2015/6/7)
七百七    前のめりの安保関連法案(2015/5/30)
七百六    大阪はどうなるのか(2015/5/23)
七百五    大阪都構想の帰趨(2015/5/17)
七百四    世紀の一戦雑感(2015/5/9)
七百参    世紀の一戦(2015/5/3)
七百弐    寒い春U(2015/4/26)
七百壱    寒い春(2015/4/19)




七百弐拾   佐野氏どこまで続くぬかるみぞ(2015/8/30)
 五輪組織委員会が佐野氏の原案を公表するとともに、発表版への移行経緯を説明しました。
 大会組織委員会の公式アナウンスとして、エンブレムのコンセプトを次のように説明しています。

 オリンピックエンブレムは、TOKYO、TEAM、TOMORROWのTをイメージし、パラリンピックエンブレムは、普遍的な平等の記号=をイメージしたデザインとなっています。

 “T”を主モチーフにすることの是非はさておき、そのような課題はデザイナーにとってやり甲斐のある仕事かと思います。
 タイポグラフィそのものの持つ力を追求したのが田中一光氏で、氏の強烈ともいえるオリジナリティとクリエイティブマインドは、世界中のデザイナーの尊崇を集めました。
 それも遠い話で、日本のグラフィックデザインも落ちぶれたものです。田中氏が生きていれば、怒り狂ったことでしょう。というか生きていれば、間違いなく審査委員になっていて、佐野氏案は絶対に受け入れなかったでしょう。

 佐野氏の当初案がヤン・チヒョルト氏のものに酷似しているとかネットで報じられていますね。私は不明にして、このことを知りませんでした。来週、職場の冊子でヤン氏の作品を調べてみます。
 ヤン氏のエディトリアル・デザインを拝見すると、一目でバウハウスの影響というか類似性が見てとれます。後年は幅広いタイポグラフィを受け入れていたみたいですけど。
目次




七百拾九   佐野研二郎氏火だるま(2015/8/22)
 先週に続いて佐野氏や五輪シンボルがらみの話題が続いています。
 まずは、セブンイレブンの「おでんのPOP」に対して、東京五輪組織委員会が遠慮がちながら、使用禁止の通告をしています。

 具の配置がエンブレムを容易に想起させるものと思われます。仮にこれが個人的な利用に止まるのであれば問題ありませんが、店舗に掲示や配置するということになりますと商業利用にあたってくるので、お控えいだたくことになります。

 セブンイレブンのおでんPOPは、おでんの具を五輪エンブレムと同位置に配したものです。類似の是非について、法曹関係者のご意見をお伺いしたいところです。
 「意匠権」「著作権」「商標権」「不正競争防止法」の4法が関係するわけですが、どこに抵触するのでしょうか。混同のしようもないと思うのですが。ベルギーのデザインとの類似性を否定しておきながら、他者に対して随分な態度です。
 あからさまなパロディ、それもおでんの具をモチーフにしているというのに、忌避を求めるセコさです。


 さらに、佐野氏制作の群馬県太田市の美術館ロゴと愛知県の東山動物園のロゴが外国の施設ロゴと酷似している指摘され、問題化しています。
 佐野氏、往生際が悪すぎます。仮に参考にするにしても、自分なりの別解釈くらいすればいいのに、まんま使用するなんて脇が甘すぎます。

 全国の地方自治体のシンボル/ロゴには、波型の曲線で以って、地名や地域特性をシンボライズしたものが非常に多いです。手法は同じながら、それぞれがオリジナルとして成立しています。佐野氏作には、そのオリジナリティがありません。

 ちなみに、某市章選考に係わった際、他の委員たちは上で書いたような、地名を曲線で構成した応募作を推しました。対して、私は図象性の高い応募作を推しました。
 「波型曲線で構成したシンボルは、全国に溢れているので、埋没してしまう」との説明は説得力があったみたいで、皆さん賛同してくれました。


 スペイン在住の日本人デザイナーが五輪シンボルとして、扇モチーフのエンブレムを発表しました。別に採用される採用されるわけでもないのに、手間暇かけてこういうものを制作するのは、きっと皆さん怒っているのでしょう。

 扇をモチーフに採用した理由は
 ・扇は末広がりで縁起がいい
 ・古くから応援するときの道具として使われてきた
 ・『和』も感じられる
 また
 ・「多くの人で支えられている日本(日の丸)」を扇の中で表現
 ・歴代オリンピックロゴと並んだとき、日本だと一目で判る
 とのことです。

 このデザインは、デザイナー自身が懐かしくなるデザインです。基礎を学ぶ際の必須である「点の構成」を髣髴させます。しかも洒落た感性だと思います。少なくとも、私にゃ佐野氏作より、こちらの方がクールに見えます。
 五輪組織委員会は、競技場の件といい、シンボルといい、五輪の顔に泥を塗りまくりです。もう日本には、五輪を開催するのに必要なガバナンスが欠けていると看做すべきです。耳の痛い話ですが、この事実を認めるべきです。
目次




七百拾八   佐野研二郎氏あかんでしょう(2015/8/15)
 先日も書いた五輪シンボル作者の佐野研二郎氏、あかんことになっています。佐野氏の仕事がパクリだらけとネットで指摘され続けています。

 もっぱらサントリーのノベルティ品のデザインがやり玉に挙がっています。なかには完全にアウトのケースがあります。他人の撮影したパンをそのまま流用するなんて、普通あり得ないです。フランスパン使うなら、魅力的に見える角度はどうかとか、パンの質感をどんな風に表現しようかとか、実際にパンを買ってきて試すものです。それさえ省略するなんて、素人以下です。

 また、海外の有名商品ロゴをそのまま使用するという、まさに盗用を為しています。これはもう完全に損害賠償案件に至るでしょうね。

 無断使用はもちろん言語道断ですが、フリー素材使用は問題なしです。ただし、問題なしとはいえ、下流臭フンプンの安物になり下がります。仮にも知名度のあるデザイン賞受賞デザイナーが、名のあるクライアントの仕事で安っぽいフリー素材を使用する神経が理解できません。よほど廉価な仕事だったのでしょうか。

 佐野氏、オリジナリティへの拘りがないデザイナーとして分類されちゃうでしょうね。オリジナリティへの拘りがない方に、クリエイターの仕事を語っていただきたくないです。なんの説得力もないですから。今後、大学の授業でデザインをどう語ろうっていうのでしょうか。

 数日前には、スタッフのしでかしたことで、自分のデザインではないと言い出しました。なんなんでしょうかね、この往生際の悪さは。スタッフだろうが、自身であろうが、佐野デザイン事務所の仕事が問われているというのに。経営者としても失格ですね。

 ところで、佐野氏オリジナルの仕事を拝見しました。なんていうか、学生の習作レベルでした。デザイナーはイラストレーターでもないし、画家でもないし、カメラマンでもありません。いくらディレクターといっても、デザインを学んだ人間の描く絵ではありません。
 それも、いかにも Mac で、Illustrator で制作しました、の絵柄です。しかも、Mac 初心者がお遊びで触ったようなレベルです。

 まさに、キジも鳴かずば撃たれまいに、を地でいっています。全国に、いえ、世界に恥をさらしたお馬鹿さんです。
目次




七百拾七   不信:安保タダ乗り論(お盆特別回)(2015/8/8)
 今年前半における日本の論点は、安保法制論議に尽きるでしょう。今回はその是非を論じません。この論議の中でさかんに語られた点に疑問があり、書かずにおれなくなったのです。数年ぶりの“お盆特別回”としてアップします。

 私が問題と考えるのは、専守防衛と日米安保の片務性について、共に血を流すのが同盟関係であるとする論です。威勢のいい言説ですが、半可通の匂いが拭えません。

 日米安保を下敷きにした軍事同盟は、たしかに片務性を内在しています。しかしながら、私の謂う片務性は、安保タダ乗り論とは大きく違っています。

 日本と旧西ドイツが冷戦時代に果たした役割は、極めて大きなものであったと思います。極東正面とNATO正面という、冷戦の最前線を第一級の工業国としてサポートしました。日独両国の貢献がなければ、東西冷戦の構図は描けなかったかと思います。
 現在のドイツの事情は知りませんが、少なくとも日本が果たしている役割は、変わらず大きなものでしょう。過去のベトナム戦争支援もそうでしたが、最近も中東までサポートしていました。アメリカの世界戦略そのものが、日本なしでは成立しないほどのものでしょう。

 片務性について、“安保タダ乗り論”で語るのでなく、実態を理解すべきです。米軍基地を無料で提供し、住民への補償も日本側が行い、首都圏空域を占有され、日本の国内法規無視を公式に認めてもいます。“タダ乗り”どころか、大変な負担貢献です。この状況を示す良い言葉があります。「戦後70年が経っているのに、未だに占領軍そのものである」この主権無視こそが片務性でしょう。他国の主権を踏みつけにする片務性です。

 基地の無料提供とはいえ、その経緯はひどいものです。戦後、陸海軍が解体され、米軍が占領軍として進駐してきて、まったく米軍の都合だけで以って、勝手気ままに接収したものです。日本が独立した以上、基地運用については、米軍が補償すべきものです。それを日本が責任を持って提供する契約となっています。撤退の際の無毒化作業も日本持ちです。日本って、未だに被占領国なんですよ。

 在日米軍が占領軍であるなら、さぞかし頼もしい存在かといえば、随分な話なのです。その強力米軍を日本国が護るよう、自衛隊構築が為されてきました。私にゃ、まったく理解できません。ここまで強いられながら、「日本を護ってくれる米軍を、日本は助ける義務を負っていない」とする片務性の説明がです。

 それもこれも、日本が主権国家たりえていないからでしょう。清水幾太郎氏の『日本よ国家たれ』のタイトルは、30数年経っても1ミリも変わっていないという虚しさ。
目次




七百拾六   大丈夫なのか、東京五輪(2015/8/2)
 先週のこと、東京オリンピックのエンブレムが発表され、そのデザインが問題になっています。ベルギーだったかの劇場のシンボルと酷似しているというものです。

 デザイナーは該当シンボルを見ていないと釈明しています。しかし、こういうのは結果を問われるものであり、知ってたかどうかは関係ないでしょう。

 意匠の類似の問題は、「商標の外観類似」と意匠権の両者が係わってきます。その商標の外観類似の判断は、私には判りません。普通に考えると、拙いんじゃないかと思いますけど。

 NHKのニュースで、弁護士の方が許容とか語っていましたが、むしろ弁理士の方の判断を訊きたいところです。ベルギーの劇場のシンボルは登録していないともいわれています。
 しかし、そういう問題ではないかと。国家的なイベントにケチをつけたことが問題かと思います。
 組織委員会は承知していた模様です。類似とならないよう、微妙な調整をしたとか説明していましたから。

 審査委員会の代表を務めたのは、永井一正氏です。なんとなく永井氏の好み風が窺われます。きっと、強くプッシュしたのでしょう。
 いえ、私ゃ、永井氏の昔のデザインの大ファンなんです。学生時分には、勝手に師匠と仰いでいましたもん。

 でもね、五輪のシンボルに相応しいかと聞かれたら、違うんじゃないでしょうか。日本の、あるいは東京のイメージが伝わるかといえば、苦しいところです。

 シンボル選定のための組織運営が知りたくて、五輪組織委員会のサイトを調べたものの、なにも記されていません。世間の誤解を招かないよう、常に公開を心がけていただきたいです。取りあえず、JAGDAが係わっているみたいで安心していたのですが。
目次




七百拾五   『高い城の男』(2015/7/26)
 フィリップ・K・ディックの『高い城の男』がTVドラマ用に制作されているそうです。制作はamazonとのことなので、どうやらNET配信の模様です。地上波では見られないのでしょう。地上波用なら、いずれBSとかでも見ることができるでしょうが。

 この小説、何度か読もうとして、その都度挫折しました。一種の仮想戦記なのですが、戦闘を描いているのでなく、戦後の人間模様をテーマにしているようです。なにぶん、最初のあたりしか読んでいないので、よく分かりません。
 第二次世界大戦が枢軸の勝利で終わり、ドイツと日本が東西を分割占領しているそうです。それもあって、作中で翔鶴がサンフランシスコに寄港しているとかの記述がありましたっけ。

 予告編のトレーラーを見た方の感想に笑っちゃいました。

 「今俺たちが暮らしてる世界とまったく同じじゃん。ただ広告に鉤十字が多いってだけ。俺には違いがまったく分からない」(カナダ)  


 イタリア版仮想戦記の『枢軸万歳』も読みたかった小説です。「もし日本参戦後も、ドイツとイタリアがアメリカに宣戦布告をしなかったら」をテーマにしているそうです。結果として、アメリカがヨーロッパとアフリカに参入できなため、枢軸側が勝利するそうです。
 30年数年前、読みたくて我慢できず、しつこく探したものです。結局、入手できませんでした。絶版前の時期でさえ、河出書房に注文しても、「在庫なし、刷りの予定なし」の返答でした。

 仮想戦記の中でも、この両作は世界的な評価を得ている作品かと思います。結局、どちらも読んでいないんですけどね。

 ところで『枢軸万歳』ですけど、仮にアメリカが参戦しなくとも、最終的にはドイツは壊滅したでしょう。イタリアは単なるお荷物ですから関係ありませんしね。

 アメリカは参戦しなくとも、イギリスとソ連に対して、史実どおり膨大な援助をしたでしょう。いえ、参戦しないとなると、史実をはるかに上回る兵器と物資を投入したでしょう。
 また、義勇兵の名目で英軍に参加したでしょうし、大西洋では参戦前からUボートを攻撃していましたから。そのために、海戦法規を都合の良いように変更までしています。

 それと、英空軍は4発の重爆でドイツの生産インフラと都市を壊滅させてもいます。アメリカの支援というのは、直接の参戦でなくても、英ソの戦争遂行を強力すぎるくらいバックアップしました。最終的にドイツがどうこうできる話じゃないでしょう。
目次




七百拾四   新国立競技場のデタラメ(2015/7/19)
 新国立競技場の建設プランが揉めに揉めています。先週、安倍首相の判断で根本的な見直しが行われることになりました。まずは、結構なことです。しかし、この案件をめぐるデタラメ話もまた、日本の縮図ですね。

 まずは、安藤忠雄氏を委員長としたデザイン決定委員会がデタラメでした。仄聞するところでは、委員各氏からザハ案に対して問題点が多々指摘されたそうです。それを無視し、安藤氏が強引にザハ案決定を慫慂したと聞いています。

 それを受け入れた委員たちも無責任なら、先日の安藤氏の会見内容もまた無責任でした。予算枠が示されていながら、経費は関係ない、デザイン決定だけを求められたものである、ってのは、国民各層の怒りを買ったのではないでしょうか。私は無能なんです、と弁明した方がまだしも納得できます。

 事務方も頼りなことです。安藤氏の権威には逆らえないのでしょうかね。ザハ氏のプランは、公募要件を満たしていない点があり、再提出させたって報道もあります。これって不正じゃないですか。

 一連の騒動から、辺野古をめぐる海兵隊の配備問題との類似が見て取れます。私は嘉手納統合派です。国立競技場についても、同じ合理的な方策があります。

 五輪用会場として、東京スタジアムや横浜国際総合競技場を利用すればいいじゃないですか。有効活用というのは、そういうことでしょう。陸上、サッカー、野球、ラグビーとなんでもござれじゃないですか。7万人とかの収容もできそうですし、わざわざ3,000億円の負の遺産をつくりださずにすみます。
 横浜国際総合競技場は、五輪会場として機能することを考慮して設計されています。それを、わざわざ新設しようなんて、辺野古飛行場建設と同じ構図です。

 ただ、有効活用案は、政治家にとって唾棄すべき方策でしょう。仮に3,000億円の建設費なら、その5%の150億円くらいが政治家の懐に入ってくるんじゃないですかね。そらまあ血道を上げるはずです。現に、森さん必死ですもん。

 旧施設は解体され、跡地はほぼ更地になりました。ここには数十億円くらいかけ、公園にすればいいんです。後々、公園管理費がかかりますけど、これなら皆が納得できるでしょう。
目次




七百拾参   サントリーCM回顧(2015/7/12)
 ひょんなことでサントリーのCM集を見つけました。どこかのまとめサイトにあったもので、サントリー歴代傑作CM集【日本最高のセンス】です。懐かしさとともに、もう一度見たかったCMが収録されていて参考にもなりました。

 トップにあるのは、柳原良平氏のキャラデザインになるアンクルトリスです。50年ほども前のトリスバーとトリスウイスキーです。当時、宣伝部に在籍していた開高健氏らの手になるものですね。寿屋からサントリーへとブランドアップした契機ともなった記念すべき一品です。

 昔のサントリーの広告は輝いていました。なかでも、同じ頁にある「雨と子犬」は、日本CM史上の金字塔かと思います。宮川一夫氏がハンディカメラで子犬を追ったものです。すでに大映もなく、映画から離れていた時期に撮られたものでしょう。

 当地でローカルTV番組制作を個人で請け負っている方がいまして、たまたま飲み屋で一緒になりました。話を聞くと、写真専門学校で宮川氏の指導を受けたとのことでした。宮川神の私と意気投合し、数時間も宮川マンセーで盛り上がりました。宮川氏が亡くなって数年後のことでした。

 大原麗子氏を起用した「すこし愛して、ながく愛して」は、コピーそのものが秀逸でした。このシリーズは市川昆氏演出とかで、やはり本格的な映像です。

 下の方にある「ガウディ編」は傑作との評価でしたが、私にゃ理解できませんでした。私の感性がしょぼいのでしょう。
 しかし、当時の宣伝部の部長だったかも、このCMのよさがさっぱり分からないとか言ってました。皆さまはいかがなものでしょうか。
 ただ、グエル公園の細部を見ることができたのは、嬉しかったです。雑誌広告に使われていたカラー写真は、グエル公園の資料に利用させていただきました。

 この頁を制作した方には感謝します。おかげで、懐かしいCMに再会することができました。
目次




七百拾弐   最近の世相(2015/7/5)
 世界遺産登録

 もう、こういうの止めたらいいんじゃないですか。世界遺産なんて、だれかに認めてもらわなけりゃならんことでもないでしょう。
 軍艦島は世界の遺跡マニアにも知られていることですし、それでいいんじゃん。ユネスコなんて、手を切ればいいんですよ。脱退して、拠出金も停止すればすっきりしますよ。


 西ノ島

 着々と成長しています。マグマのエネルギーは、まだまだ溜まっているのでしょうね。このまま延々とマグマが流出し続け、大きな島ができ上がることを妄想しています。
 気象観測施設だけでなく、港湾や飛行場まで整備すれば、中部太平洋における拠点施設となるでしょう。

 エネルギーは自前でね。その際には、太陽光でなく、地熱発電を導入しましょう。島を利用できるのは、ずっと先の話で、そのときは休火山でしょう。バイナリ―発電なら浅い深度でも湯脈利用が可能でしょうしね。小山もやがて陥没し、雨水が溜まれば水道にも利用できるかな。


 安保法制

 本来、戦争とか国際紛争とかは、「勝つために、でき得ることすべてを為す」でしょう。ただ、国際法やら国内法、さらには国際情勢やらを踏まえ、「これをやっちゃあいけない」を定めるべきものではないでしょうか。

 今の安保関連法案の議論は、「これをやってもよい」を論じるという、歪な形になっているやに感じられます。それもそのはずで、ベースとなる自国防衛についてさえ、なんの法整備も為されていない状態なのですから。その自国防衛の法整備を十全に為すには、やはり9条改正が必須でしょう。今の安保関連法案制定が躓いているのは、順序が間違っている故ではないでしょうか。


 沖縄独立

 沖縄が独立国となると、駐留米軍との間で新たな協議が行われるでしょう。言ってみれば、沖米安全保障条約ですね。従来の日米安保の反省を踏まえ、真っ当な権利を主張することと思います。現在の日米地位協定なんぞは糞ですから。

 海兵隊は米側の判断でも撤退でしょう。日本政府の手厚い支援なればこその海兵隊ですから。撤退するときは、責任を持って無毒化作業を完遂していただきましょう。今は、日本側に放り投げという、舐めた真似をしくさってますから。

 日本政府による交付金も、借地料も、基地整備費もすべて無しになりますから、基地利権に寄生する連中は唖然茫然でとなります。

 周辺の島嶼部は、日本のままを選択するでしょうから、防衛や海保施設はそちらに移しましょう。沖縄はもはや外国ですから、那覇の空自は撤退し、嘉手納の米空軍に一任しましょう。米軍が表に出ることとなりますから、むしろその方が対中の睨みは強力でしょう。

 翁長知事は否応もなく沖縄振興に向き合わなけりゃならんでしょう。誰かのせいにする言説は、もはや通用しません。観光振興を柱に据えるでしょうから、関税とか、那覇空港使用料とか、ビザ発給とかについては、従来どおりの取り扱いを提供するしかないでしょう。日本側にとって、なんぞ不都合があるのかなあ。

 住民投票をしたら、沖縄県民はどんな選択をするのでしょうか。米軍に蹂躙されてきた歴史は、そのような不都合をさえ受け入れる覚悟を示すかもしれません。であるなら、認めてもいいんじゃないですか。

 そして、日本国民自身が沖米安保協定と本土の安保体制とを比較し、「日米安保って変じゃない」と気づかされ、「沖縄に倣うべし」になるかもしれません。
目次




七百拾壱   『ドクター・スリープ』読了(2015/6/28)
 昨夜、読み終えました。十分な満足感と読後感です。先週書いたように、今年の『このミス 海外編』の栄冠は、本作で決まりでしょう。もし、違っていたら、世の読書人の見識を疑います、いえ、私の感性が世間からずれているのでしょうね。

 物語はいつものキング・ワールドです。善なるものと悪しきものの対立構図を描いています。実は、その点が不満なのです。先週書いた通り、執筆中の情報での内容と若干というかかなり違っています。

 輝く力(本作では“かがやき”としています)を持つダニー少年は、成長してホズピスに勤め、終末医療においてその力を発揮している。ある日、吸血鬼が訪れてダニーに悩みを打ち明け、そこから吸血鬼との戦いに巻き込まれてゆくとかでした。

 こちらの方が期待値が高いです。例えば、不死に飽き、静謐なる死を願う吸血鬼が、ダニーの力を頼ってきた。事情を訊く中、吸血鬼の実態を知ることとなり、ダニーの存在に危機感を抱く吸血鬼との戦いに巻き込まれるというのはいかがでしょうか。
 吸血鬼にもいろいろな人士が存在しているでしょうし、死を願う吸血鬼にシンパシーを持つ者もいるでしょう。人間との平和共存を第一義とする者もいるでしょう。いろいろな吸血鬼との交歓や諍いのなか、多彩なドラマを語ることが可能でしょう。

 そのような内容を期待していたのです。実際は、いつものキング・スタイルでした。よく言えば、安心のキング本です。決してけなしているのではありません。十分な満足感が得られます。しかも、読みやすい語り口です。

 もし興味を持たれた方、まずは『シャイニング』を読んでからにしてください。『シャイニング』の続編であり、ダニー少年の過去の克服を描いているからです。
 ただし、さすがに『シャイニング』の筆致には及びません。『シャイニング』はすべてが別格です。ホラー小説というのは、あくまでキワモノでしょう。しかしながら、数多のホラー小説の中でも、『シャイニング』だけは、文学にまで昇華されているかと思います。

 まずは、『シャイニング』を堪能し、『ドクター・スリープ』で軽い余韻を味わうくらいの気持ちでね。
目次




七百拾    『ドクター・スリープ』購入(2015/6/21)
 本日、スティーブン・キングの『ドクター・スリープ』を購入しました。
 最近の本屋の売り場スペースは、小説に対して厳しいものになっています。特に甚だしいのは、ノベルスと海外ものです。近所の本屋も例外でなく、海外小説コーナーは半間の淋しさです。

 週刊誌の書評で、スティーブン・キングの『ドクター・スリープ』が採り上げられていて、すぐに本屋へ走りました。本作は、数年前から心待ちにしていたものです。
 店頭で検索していただいたところ、某系列店においては、県内に上下1セットのみが入荷していただけでした。すぐに該当店に連絡を入れていただき、見事ゲットしました。

 数年前のキングの近況では、『シャイニング』の続編を執筆中である。“輝く力”を持つダニー少年は、成長して力を生かしてホスピス勤めをしている。そんなある日、吸血鬼がカウンセリングに訪れ、事件に巻き込まれてゆく、というものでした。
 もう、ワクワクする内容ですね。しかし、完成品はかなり違っています。文芸春秋の惹句は、次のとおりです。

 冬季閉鎖中のリゾートホテルの管理人一家を、ホテルに巣食う悪霊たちが襲う。その恐怖と惨劇をおそるべき筆力で描ききった20世紀史に残るホラーの金字塔『シャイニング』。あれから36年、巨匠キングは「その後の物語」を書く。超能力“かがやき”を持つ少年ダニーは、どんな人生を歩んだのか?そして大人になった彼を、宿命は新たなる惨劇へと導くのだ。迫る邪悪と、彼と似た能力を持つ少女の誕生―誰も予想しなかった名作の続編が幕を開ける!

 ちょっと期待はずれですが、これはこれでありです。今日からボチボチ読み始めます。きっと素晴らしい読書体験を提供してくれるでしょう。
 今年の『このミス 海外編』第1位は、キングで決まりでしょうね。
目次




七百九    今のデザイナーはどうなっているのか(2015/6/14)
 「マイナビニュース」に面白い記事がありました。『お気に入りのフォント(和文)はなんですか? -現役美大生に聞いてみた!』というものです。

 都内の美術大学に通う現役学生20名に、「好きなフォント(和文)」を尋ねています。挙がったフォント名は、中ゴシックBBB、明石、A1明朝、はんなり明朝、MS Pゴシック、しねきゃぷしょんです。
 MS Pゴシックを挙げた方の意見です。

 「元々PCに入っているフォントの中ではこれが一番好きです。全ての文字がカチッと決まっていて安定感があり、パッケージデザインの裏面表記や、キャプションなどでよく使います」(20歳/男性)

 時代が変わったのでしょうか。普通だと、商業印刷前提でプロが使うことはありえないと思うのですが。もちろん、個人レベルでなにを使おうが、それはご本人の勝手です。しかし、この記事だと、プロの卵も使っているみたいです。

 多分、指導者がきちんと指導していないのではないでしょうか。あるいはプロでも、若い方だと文字に深く触れていない方がいるのかもしれません。今日びだと、業界関係者でも手描きレタリングを経験していない方がいるのかしらん。

 いくらパソコンを使おうが、文字そのものの成り立ちや構造を知っておくべきです。そのためにも、レタリングやら書道やらは必須だと思います。

 いずれにしても、DTP時代の難しい課題ではあります。散々論議されていて、あらためて語ることでもないのですけど。横組みの難しさ、特に本文のフォント選択は、昔から難しい問題です。で、商業印刷レベルでMS Pゴシック(明朝)は、ありえません。

 それもこれも、写研がフォントを単体で販売してくれないからです。写研フォントが汎用として販売されれば、すべてが解決するんですけどね。
 これまでも、期待させては裏切ってくれました。写研さえその気になれば、Open Typeでいつでも発売できるでしょう。

 In DesignはOpen Typeにアクセスできるので、石井明朝/ゴシックやナールをリリースしてくれたら、本文組は一発で決まりです。もう、生きている間は見ることができないのかなあ。
目次




七百八    年金機構の困ったちゃん(2015/6/7)
 日本年金機構から個人情報約125万件が流出した問題で、ウイルスメールに添付されていた.exeファイルを職員が実行していたそうですね。

 メールに添付されたexeファイルを開くなんて、あり得ないですよ。私用と業務とでは、意識を完璧に切り分ける必要があり、組織のセキュリティ管理者は、職員に上記旨を徹底しているはずです。
 当方の組織では、「なにがあっても開くな」です。もし必要なものであれば、相手から確認がくるだろうの考えです。そもそも、exeファイルをメールに添付すること自体が不適切なことなのですから。

 年金データを扱うPCと通常事務用PCの2台が配布されているでしょう。この両者は別のネットワークに所属していて、ファイルを混在させての業務遂行は、絶対やっちゃならんことです。年金機構職員の意識の低さは、どもならんですね。それと気になるのは、職員のアカウントは、権限を大幅に制限していたのでしょうか。

 USBメモリ(リムーバブル・メディア)の取り扱いについても、組織と家庭とでは別物の運用方法です。
 当方では、鍵付保管庫に入れている指定メディアを、使用簿に記載の上、承認を得て初めて使用できます。
 外部からのデータ持ち込みの場合も、使用簿で承認を得たうえで、初めて接続できます。その場合も、ウィルス・ティチェックをしたうえで、アクセスを開始します。で、ウィルス・チェックに引っかかることが多々あります。USBメモリに内蔵されているツール類がウィルスと混同されますから。その場合は直ちにケーブルを抜き、セキュリティ管理部門に報告(始末書)を提出しなければいけません。
 ちなみに所属が使うUSBメモリは、真っ先にフォーマットしています。でないとウィルス・チェックに引っかかる可能性が高いですから。

 来年度からは、USBメモリの接続が一切禁止されます。他に方法がない場合に限ってのみ、独自自動暗号化機能を実装した指定機種のみに制限されます。
 当方の所属では、全庁システムとは別に独自PCネットワークシステムをたくさん運用しており、データのやり取りが日常的に発生します。で、これは鬱陶しいことになるので、この5月から、独自ドメインを取得し、独自メールシステムの運用を開始し、全庁メールシステムとメールでのやり取りができるようにしました。

 全職員に運用方法を周知したり、設定を手伝うのは煩わしかったですけど、従来のUSBを使う手間に比べればすっきりし、皆にも喜ばれています。

 年金機構内部でどのようなセキュリティ体制がとられていたのでしょうか。怪しい話がいろいろありそうで、腹立たしいことです。
目次




七百七    前のめりの安保関連法案(2015/5/30)
 中国が南シナ海の南沙諸島に埋め立てた人工島に武器を持ち込んだとかで、アメリカも厳しい非難を向けています。また、中谷防衛大臣も名指しで非難しました。それはいいのですが、自衛隊が南シナ海までパトロールの対象にするとかの話が出ています。いくらなんでも、これはないでしょう。

 仮に日本が常任理事国なら、周辺事態への責も負うべきだし、また、そのための戦力や作戦遂行能力も保持していることでしょう。また、法整備も為されているでしょうし、経験値も積んでいることでしょう。

 ところが、現実の日本に何が備わっているのか。何もない状態で、出張ってどうしようっていうのでしょうか。海自関係者のご意見をお伺いしたいところです。

 南シナ海で中国の不法行為を目にしても、眺めるだけしかできないでしょう。それは、黙認行為です。それなら、行かない方がまだしもです。
 あるいは、東南アジア諸国と協同パトロールを実施していて、不測の事態が生じたとき、どちらかに肩入れするのか。いえ、とてもとてもできないでしょう。

 私には、海自が南シナ海をパトロールする意味がさっぱり理解できません。かつての旧海軍みたいな海軍力があるなら、極東を睥睨し、プレゼンスを誇示することも可能でしょう。ハワイ沖にまで出張って、ハワイ独立派を鼓舞したこともありますし。

 海自が南シナ海を遊弋したところで、なにもできないのは見透かされています。それどころか、同じことを中国が尖閣でやり返す大義名分を与えることになるでしょう。愚かな行為です。今の政権は、前のめりにいき過ぎていますよ。

 アメリカは南沙に本腰を入れそうな気配を漂わせています。日本政府もこれに同調する方向で舵取りを進めているやに思われます。しかし、海自が介入し、日中対立が先鋭化したとき、アメリカは中国に強硬な対応をするでしょうか。むしろ、中国の肩を持ちかねません。事態を鎮静化するため、むしろ日本側に譲歩を迫る公算が高いと考えます。ホイホイとアメリカの口車に乗るのは、国を誤らせる危険なことに思われます。

 むしろ、日本が極東で打つべき手は、対露宥和路線じゃないですかね。北方領土2島返還とサハリンガス輸入は喫緊の課題かと思います。ロシアとこの交渉をまとめるには、強力なプーチン政権下でないと無理でしょう。プーチンが下野した時点で終わりの話でしょうから。

 安倍首相は、この点をよく理解していることと思います。アメリカのしょむないウクライナ介入が、ことを難しくしてしまいました。残念ですけど、なんとか対露政策が潰されない方向で進めていただきたいです。
目次




七百六    大阪はどうなるのか(2015/5/23)
 大阪市解体を問う住民投票は、僅差で否決されました。
 結果を受けての橋下市長の会見は、疲れ切っていましたね。単に住民投票に向けての説明活動に疲れたというより、5年間にわたって精力を注いだ府市統合事業が頓挫したとの感懐でしょう。
 ただ、会見中での最後っ屁がお洒落でした。
 「自民党が都構想の対案として出してきた調整会議総合区制度を、今後しっかり進めてくれると思っています」
 きっと自民党は次の市長選に新提案を実行する市長候補を担ぎ出し、新都市構想実現に向け、維新の会みたく全精力を注いでくれるでしょう。

 週明け後、橋下市長は早速動き出しました。
 自民党を中心にした反対勢力は、都構想の対案として総合区案を推進すべしと主張していました。橋下市長は住民投票の意向を受け、対案たる総合区案を進めるべく協議を開始しました。任期中に筋道をつけ、後任に引き継ぐ考えです。

 で、自民党はさっそく総合区案に難色を示し始めました。もうね、大阪の既得権益連中の腐っていること。維新以外の市議団は、とにかく現状維持、選挙区を触らせてなるものかの構えですね。

 市職員もまた皆ではないにしろ、全国最悪のシロアリ集団です。全国の自治体では、現業職の大幅見直しが進められています。当方の組織では、現業職は最小にまで減員しています。もちろん首にはできませんから、行政職に職種転換し、職員数大幅削減への充当としています。しかし、大阪市はなにも変わろうとしませんね。

 橋下氏は労組や市議団、補助金受益団体らと正面から喧嘩しながら行財政改革を進めました。その辺りのことはメディアでもよく報じられ、急進的改革と認識されているでしょう。でもね、橋下改革ってのは、他の自治体に比べれば、まだまだぬるい状況なのです。
 大阪市があまりにひどいものだから、橋下改革が刺激的に見えるだけで、実は大した内容ではありません。その点を知らないのが大阪市民でしょう。気の毒といえば気の毒です。

 しかし、住民投票の結果ということであれば、それが住民の意志なのでしょう。他人がとやかく言えることでもありませんね。
目次




七百五    大阪都構想の帰趨(2015/5/17)
 本日、大阪市を解体し、5特別区の設置の可否を問う住民投票が実施されています。所謂、大阪都構想ですね。
 今夜反には結果が確定するでしょう。昨年末に協定書が確定し、2月議会で住民投票が決定して以降、刺激的な日々が続きました。私は大阪都構想の意義は極めて大きいものと考えています。しかし、決定するのはあくまで大阪市民です。

 共同通信だったかの調査で、大阪都構想:に対する反対47%、賛成39%でした。また、産経新聞の世代別(男女別)賛否が興味深かいものでした。

 反対の先鋒は、20代、特に女性です。子育て世代とあって、組織改編に危惧を抱いていると思われます。実際には、橋下市政により塾の受講クーポン配布という、経済格差に対する有効な支援を行っています。また、待機児童緩和のために大幅な保育園拡充に取り組んでいます。
  その財源は、老人福祉優遇の見直しです。老齢者世代に対する無料パスを有料にするなどです。それもあって、70代以上(特に男性)が都構想反対の強力な勢力となっています。
賛成世代は30代〜50代の男性です。将来展望を気にかける世代が賛成で、既得権益世代が反対という、実に分かりやすい構図となっています。

 しかし、大阪自民党議員がよ〜分かりません。彼らは過去に、地下鉄民営化を公約にして選挙戦を闘ったのに、昨年だったかの議会で民営化案を反対否決しました。で、今の都構想反対意見の中で「大阪市を廃止しなくても民営化は可能なのだから、都構想は必要ない」と主張しているのです。もう、なにを言っているのか理解できません。

 住民投票の結果が出てから、もう一度考えてみたいと思います、取りあえず、ここまでにしておきます。
目次




七百四    世紀の一戦雑感(2015/5/9)
 後日、村田選手が世紀の一戦を分析しています。そのなかでメイウェザーの試合ぶりに苦言を呈しています。

YHOO!ニュース(5月4日(月))より引用

 でも、メイウェザーの勝ちでいいのかな?これが正直な今の気持ちです。攻めて観客を沸かせたのはパッキャオだけ。逃げて、当たったかどうかはっきり分からないようなパンチを放つメイウェザーにポイントが流れる。沸かせなかった方が勝ってしまう。

 う〜ん、気持ちは分かります。しかし、どもならんでしょう。最終的には顧客ニーズが決定する話ですから。ギジェルモ・リゴンドーもタッチ・ボクシングで、彼はニーズがないものだから試合枯れしています。ところが、メイウェザーには巨大なニーズがあります。また、あのスタイルを完遂できる極点能力を持っています。

 再戦を期待していたものの、無理の模様です。パッキャオの右肩が重傷で、手術が必要とのことです。復帰に1年はかかるだろうし、調整試合を重ねていたら、メイウェザーは40歳になっちゃいます。
 そのうえ、最初は再戦に応じるとか言ってたのが、パッキャオの敗戦の弁が卑怯とかで、やらないと断言までしました。
 想像ですが、完調のパッキャオとはやりたくないだろうなとか邪推してしまいます。

 ところで、メイウェザーが嫌われる理由として、苦戦しそうな相手を避けてきた点です。今回のパッキャオ戦なんか、やっとですもん。5年前にやれよなです。

 私が一番見たかったのは、S.ライト級でのコンスタンティン・ズーです。ズーも危険な相手であったかと思います。メイはS.ライト級をそそくさと通り過ぎましたもん。ちなみにズーはハットンに敗れましたが、あれはハットンが組みつきレスリングを仕かけたためです。レフェリーは一度も注意しませんでした。ああいうレフェリングだと、試合が壊れてしまいます。

 もう一人、S.フェザー級でのホエル・カサマヨルが難敵であったかと思います。サウスポーで、回り込みながらのボクシングでした。カウンターを取るのも絶妙でした。

 村田選手、他人の心配なんかしてらんないでしょう。観客が喜ぶとかでなく、まずは自分のボクシングをちゃんとするのが先です。プロ入り後、固いブロッキング、パンチ力強化、スタミナ増強をテーマに進めているのは、試合を見ていれば分かります。
 一方で近間のボクシングができなくなっています。これは明らかな劣化です。五輪の試合では、相手のパンチを潜(くぐ)っていました。

 しかし、プロ入り後、潜る防御が失われています。ブロッキングを磨くのはよいのですが、潜れないと世界レベルでは通用しません。つまり、近間のボクシングができないのです。
 相手との間に距離(間合い)かあると普通に強いパンチが打てます。そこで、距離をつくるため、相手を突き放しています。これは反則です。年末の試合なんかひどかったです。レフェリーが注意しなかったのも、なんだかなあです。世界戦なら、当然のこと注意されます。繰り返せば減点を取られます。

 近間で強いパンチをぶつける練習をしていないのでしょう。自分が気持ちよく打てる距離での練習ばかりやってるんじゃないですかね。
 近間で強いパンチを打つには、近間での防御が必要で、潜る動作が必須なのです。潜る動作は防御であると同時に、強いパンチを打つための予備動作をも兼ねているのです。

 ちなみに、山中選手も同じことをやっています。距離が欲しいがため、しつこくプッシングを繰り返しています。レフェリーも早めに注意すればいいのに、中盤当たりでやっとですもん。観ててしらけます。王者らしく、フェアに闘えよなって。

 完調のパッキャオとメイウェザーとの再戦を観たかったけど、諦めます。
目次

百参    世紀の一戦(2015/5/3)
 すべてが異例づくめでした。
 リングサイドのチケット価格は、最終的に3,000万円にまで至ったそうです。また、前々日の計量自体が、巨大アリーナ満席というあり得ない興業でした。

 本試合のVIPゲストもスペシャルです。NBLのスーパースターたち、アクターたち、ボクシング関係者は当然のこと超豪華です。
 シェーン・モズリー、ルシアン・ビュテ、マイク・タイソン、バーナード・ホプキンス、ション・ポーター、ロイ・ジョーンズjr、フリオ・サセル・チャベスjr、リカルド・ロペス、ファン・マヌエル・マルケス、アミール・カーン、イベンダー・ホリフィールド、ホルセ・アルセ 等々

 VIPたちは忙しいので、プライベート・ジェットで当日ラスベガス入りします。数が多すぎて、本日、空港が閉鎖されたそうです。入れなかった方々は、近くの空港に回されたそうです。

 リング・コールもまた、ルイスvsタイソン戦に倣い、マイケル・バッファ氏とジミ・レノン・ジュニア氏の両者が行いました。HBOとSHOWTIMEの2局同時中継のためです。

 両者のスパーリング・パートナーもまた凄すぎです。メイはザブ・ジュダーを迎えて仮想パックとし、パックはアミール・カーンを仮想メイとしました。両陣営ともに、考え得る最高の相手を準備したかと思います。

 試合結果は、メイウェザーの判定勝ちです。
 まさにボクシング史上最高レベルの試合でした。両者ともに、他者と違った異次元空間で闘っていました。オフェンス、ディフェンスともに、フルラウンド通じて剃刀を斬り結ぶような達人の技の連続です。メイの俊速左フック、右クロスをパックがなんなく躱したのは、流石としか言いようがありません。
 勝敗の差異は、やはりリーチ差ですね。パックが届かない部分でメイが届くとあっては、不利極まりないです。
 また、予想どおり、パックの左クロスをメイは右ダックで躱しきりました。

 メイの攻撃やカウンターを避けるため、パックは低い姿勢で迫りました。当然、メイの右クロスは打ち下ろし気味になります。この構図とあって、期待していたパックのカウンターは見られませんでした。
 あと、パックが左に回らなかったの残念です。これをやっていれば、違った結果が得られたかもしれないのですが。

 パックの負けは残念ですが、素晴らしい試合を観ることができ、幸せな時間でした。
目次

七百弐    寒い春U(2015/4/26)
 先週、私が設えた巣の土台が無視されたかと思っていたのが、違っていました。すでに巣作りにかかっていました。下図のように、1週間で完成させやがりました。
 唾の粘り気で固めるのでしょうか、濡れています。藁屑なんかで築きあげています。



 本日、メスとの番いで納屋にやってきました。多分、数日後には、メスは巣に腰を落ち着けるでしょう。卵を産み、雛が孵るまで温め続けることと思います。

 産まれれば、そりゃあもう五月蝿いことになります。餌を欲しがる雛は我先にと餌をねだり、親は親とて1日中餌を運び続けます。

 すでに母が巣の直下に新聞紙を広げています。やがて糞がてんこ盛りになるでしょう。車も糞の直撃で汚されるだろうな。昔はそれが嫌で嫌で、土台を取っ払っちゃったんですけどね。
 燕の営為を身近に感じるのもいいものです。これから半年近く、燕とつき合ってゆきます。

 台湾に出かけるときは、知らぬ間でしょう。ある日、燕の気配がなくなっていることに気づくのが常です。


平成27年5月4日 追加
 前回撮影時から8日後の様子です。巣の構造を成す土が乾いています。メスはひたすら大人しく座り続けています。
 産んだ卵を温めているのだと思われます。産まれれば、さあ五月蝿いことでっせ。

目次




七百壱    寒い春(2015/4/19)
 ここ10年ほど、ツバメの巣を取っ払っていました。糞の被害が煩わしかったためです。で、先月末、日曜に納屋で作業をしていたら、ツバメが帰ってきました。5分ほど納屋を飛び回って巣を探していましたが、なにもなくて出て行きました。

 そこで気が変わって、梁に巣づくりのための土台を作成しました。さて、ツバメが巣づくりするかと楽しみにしていたものの、相手にしてくれませんでした。本日もまた納屋で作業していたところ、再びツバメがやってきました。
 今日もまた、5分間ほど納屋内を飛び回っていたものの、やはり出ていきました。土台が気に食わなかったのでしょうか。あるいは、いちからの巣づくりを嫌ったのでしょうか。いずれにしても、4月下旬近くでの巣づくりは遅いかと思います。今からの巣づくりでは、子育てが遅くなりますから。

 もっとも、最近は残暑が長く厳しいので、子育てを2回行ったりしますから、今からでも問題はないと思うのですが。

 歳を取ると、ツバメが身近で暮らすのもいいもんだと優しい気持ちになれます。車を糞で汚すくらい大した話でもないしね。

 ツバメの生態に変化が生じたのは、温暖化のせいでしょう。また、今年は偏西風の変動とかで、寒気が日本列島を覆ったりしています。今日も今日とて、肌寒い一日でした。そのような気候変動がツバメに変化を生んだのでしょうか。2度の子育てといい、この時期に巣を渉猟することといい、過去にはなかったことです。

 ツバメは好きな鳥です。子供の頃から親しんできたことと、あのツンデレ具合がいいのです。ツバメは人間が近づくと、極端に警戒します。そのくせ、人間の近くに生活の拠点を置こうとします。人間の近くにいれば、他の鳥から襲われないとの安心感からです。
 私が納屋に入ると、ピチピチ鳴きわめいて煩いこと。そんなに嫌なら、うちにくんな、とかガキの頃はうざかったものです。大人になって、ツバメの生態を知るにつけ、許せるようになりましたけど。

 せっかく巣の土台を作ったのですからカップルに住んでいただきたいです。それで、しっかり周辺の虫を捕食してくれたらWin-Winなんですけどね。
目次