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六拾     ドイツも多難そうです(2022/5/25)
五拾九    『孫子』とウクライナ侵攻(2022/5/18)
五拾八    宇宙は刺激的(2022/5/11)
五拾七    LEDと演色性(2022/5/4)
五拾六    報道記者の転職先(2022/4/27)
五拾五    安易に国民性を語りすぎ(2022/4/22)
五拾四    最近の世相(2022/4/14)
五拾参    次期防衛大綱は悩ましかろう(2022/4/6)
五拾弐    ウクライナだけ特別扱いなのか(2022/3/28)
五拾壱    「メトロポリタン美術館展」行きたいんだけど(2022/3/23)
五拾     ハンディクリーナー最高(2022/3/13)
四拾九    韓国次期大統領決まる(2022/3/10)
四拾八    プーチンの蹉跌(2022/2/27)
四拾七    北京冬季五輪問題(2022/2/19)
四拾六    SONYさん、ESPRIT再び(2022/2/15)
四拾五    家の造り再考察(2022/2/10)
四拾四    ウクライナ報道の偏り(2022/1/30)
四拾参    辺野古亡国(2022/1/25)
四拾弐    イヤホンの危険性(2022/1/16)
四拾壱    新型コロナ終息のチャンス(2022/1/9)




六拾     ドイツも多難そうです(2022/5/25)
 ロシアのウクライナ侵攻以来、ドイツというかショルツ首相が迷走しました。慎重なアプローチといえば聞こえがいいものの、重火器支援に至るまで長い躊躇いがありました。
 最大要因は、ロシアが重要なエネルギー供給元であったからでしょう。ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン“ノルド・ストリーム2”の凍結から、ロシア産の石炭と石油に対するEUの禁輸措置に至るまで、ショルツ首相が決断するまでずい分間が空いたのもそのためでしょう。

 メルケル首相の前任がシュレーダー首相で、離任後にガスプロムの親会社“ノルド・ストリーム”の役員に就任しているそうです。ここまでの利益関係者による猟官活動も珍しいです。いえ、欧米とか海外では普通のことなのでしょうか。
 おかげでプーチン氏を弁護するわ、ウクライナ側に理性的対応を呼びかけるなど、ドイツ政府が迷走したのも、むべなるかなです。シュレーダー政権で外務大臣を務め、大統領に就任したシュタインマイヤー氏もプーチン氏と密接な関係があったそうで、一筋縄でいかないんですね。
 それもブチャなどでの民間人虐殺が報じられてからは、完全に風向きが変わり、対空戦車の供与へと進んだわけですね。

 ショルツ首相もSPD(社会民主党)とあって、長いロシアとの関係があって、方向転換が難しかったのでしょう。特にガス供給での経済的結びつきが手足を縛ったものと考えられます。
 ウクライナを迂回する“ノルド・ストリーム2”について、安全保障上の懸念が指摘された際にも、メルケル前首相は「ロシアはこれまでガスを外交の武器に使ったことはない」と答えていました。これは事実なんですけどね。

 バイデン大統領が「ウクライナに侵攻すれば、“ノルド・ストリーム2”は終わりだ」と警告した際も、ショルツ首相は「“ノルド・ストリーム2”は純粋に私企業の経済活動である」として、ギリギリまで“ノルド・ストリーム2”に固執しました。

 加えて、今のショルツ首相には国防大臣問題があり、さぞかし頭を悩ませていることでしょう。
 社会民主党(SPD)のクリスティーネ・ランブレヒト(弁護士)氏がそれで、法務大臣経験者だそうです。閣僚の男女均等もあって国防大臣に任命され、悲喜劇が出来しました。
  • 就任後にまずは休暇取得(前々任者は就任後2か月間レクと勉強に明け暮れた)
  • SNSで、東西統一以降の「ドイツ海軍」を西独時代の「連邦海軍(ブンデスマリーン)」と記し、後に削除
  • ベアボッグ外相(♀)とともに砂漠のマリ駐留軍を訪問した際、外相はラフなズボンと靴、国防相はハイヒール
  • レオパルド2A7V納入式で記念乗車した際、ヘルメット未装着
  • シュピーゲル家族大臣が大洪水のさ中に仏へ4週間の休暇を取り、我が身の評判を気にするメールがすっぱ抜かれ、嘘の釈明も暴かれて辞任に追い込まれる。その直後でありながら、ウクライナ戦のさ中に国防大臣は休暇取得を優先
  • お気に入りの高級リゾートであるジルト島へ素早く行けるよう、近くのレーダー部隊視察を組んで空軍ヘリを使用。この視察に息子を同乗させ、機内で息子の写真を撮ったところ、息子が写真付きでSNSにアップ。この件を掴んだ新聞が取材したところ、「書いたら法的措置を取る」と脅され、脅迫メールとともにスクープとして報道。この件でのキャッチコピーが秀逸。曰く「国防大臣は、ルフトヴァッフェをルフトハンザと勘違いしている」
 ショルツ首相は現時点で解任していません。多分、悩んでる最中なんでしょう。いずこの国も問題を抱えているものですが、ドイツの迷走ぶりは日本の及ぶところではありません。しかし、こういうことを知らず、ドイツは素晴らしいとか上から目線で語る方が多いんです。そういうのは、放っておきましょう。
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五拾九    『孫子』とウクライナ侵攻(2022/5/18)
 先週のこと、ウクライナ軍によるロシア軍のドネツ渡河阻止が大きく報道されました。
 「ウクライナ東部でのロシアの渡河作戦失敗は最大規模の損失」がそれで、戦争研究所(ISW)は、同地点での戦闘によりロシア軍人485名が死亡あるいは負傷、80台以上の機材が破壊されたと指摘しています。
 この報道に接して、最初に想い起したのが『孫子』第九篇の「行軍」です。ここでいう「行軍」は、戦場の地形に応じて利用する応変を指しています。

 敵絶水而来 勿迎之於水内
 令半済而撃之利

 敵、水を絶(わた)りて来らば、これを水の内に迎うるなかれ
 半ば済(わた)らしめてこれを撃てば利あり

 俗に謂う「河を渡る敵は半ばを撃て」がこれです。まさに、ウクライナ軍は『孫子』を実践したんですね。伝えられるウクライナ軍の見事な闘いぶりを聞くうち、『孫子』のよきケーススタディでないかとの感想を持ちました。

 まずは、第一篇「始計」の冒頭です。
 兵者国之大事
 死生之地 存亡之道
 不可不察也

 兵は国の大事
 死生の地、存亡の道
 察せざるべからず

 五拾弐    ウクライナだけ特別扱いなのか(2022/3/28)に書いたように、2014年当時のウクライナ国民も指導者も、とても「兵は国の大事」などと重大事と考えていなかったでしょう。反ロナショナリズムで噴き上がり、冷静に国家の行く末を観じていたとはいえません。しかし、2月末のロシア侵攻に対するゼレンスキー大統領の態度は「始計」冒頭の心構えを体現していたかと思います。

 ロシアの侵攻に対する備えはすでに整っていたといわれています。イギリスのSASがキエフに入っていたそうですね。また、キエフ近郊の空港を実戦経験豊富なロシアの精鋭特殊部隊が襲った際、たちまち壊滅させたそうで、ウクライナの応戦ぶりは完璧でした。

 でありながら、ゼレンスキー大統領は侵攻前に「ロシアの侵攻はない」とか、国際世論に対して「戦争を煽るな」とか、熱する空気を冷ます方向で呼びかけていました。
 これはまさに、戦争が国民の生死と国家の存亡に係る重大事であり、よほど慎重に向き合わなければならないかを繰り返し訴えていたものでしょう。

 次いで勝つために必要な5要素を述べています。
 一曰道 二曰天 三曰地 四曰将 五曰法

 「道」については、なんの問題もないでしょう。反ロナショナリズムは燃え続け、東部とクリミアを奪われた恨みは、国民を奮い立たせていましたから。
 「天」と「地」も、春を迎える時期とあって、ウクライナ国土が泥濘にまみれる直前でした。また、西欧諸国の空気もロシア許すまじで結束しました。
 「将」については、東部での長い戦闘で鍛えられていたし、表立ったアナウンスはないもののアメリカの武器支援と軍事顧問団の教育もあったことでしょう。
 「法」については不十分だったでしょう。そのため、ゼレンスキー大統領は世界に向けて支援要求を繰り返し行っています。キエフに踏み止まり、国民の団結と徹底抗戦をアピールして支援されるに相応しい姿勢を示しました。

 逆にロシア側の愚かしさも『孫子』は指摘しています。第三篇「謀攻」での戒めです。
 夫将者国之輔也
 輔周則国必強 輔隙則国必弱
 故君之所以患於軍者三
 不知軍之不可以進 而謂之進
 不知軍之不可以退 而謂之退
 是謂縻軍
 不知三軍之事 而同三軍之政者
 則軍士惑矣
 不知三軍之権 而同三軍之任
 則軍士疑矣
 三軍既惑且疑 則諸侯之難至矣
 是謂乱軍引勝


 君主と将官との間に密接な関係が必要であり、隙間があると弱体化するとしています。
 また、君主が余計な口出しをすると、軍を危機に追いやることが三点あるとしています。
 進むべきでないのに進軍を命じ、退くべきでないのに退却を命じたりすれば、君主が足を引っ張ることとなります。
 軍の事情も知らずに命令すれば混乱を招きます。
 軍権もなしに干渉すれば、不信感を持たせます。
 軍が惑ったり疑ったりすれば、周囲から攻められることとなり、勝ちを失います。

 これはまさにプーチン大統領と軍幹部との関係を表しています。ジョイグ国防省といい、ゲラシモフ参謀総長といい、まともに戦争指導ができているとは思えません。プーチン氏の命令に、一切口を差し挟めず、まともな意見具申もできていない印象です。あるいは、ナルイシキン対外情報局長官が幹部連の前で侮辱的ともいえる詰問を受ける映像が世界に流れました。
 将官たちがトップの恣意的命令に反論もできないとあっては、勝ちようもないでしょう。

 『孫子』を眺めていると、今次戦争に該当する話がたくさんあって紹介しきれないほどです。とりあえず、これで最後にします。
 第十三篇「用間」から引きます。
 故明君賢将 所以動而勝入
 成功出於衆者 先知也
 先知者不可取於鬼神 不可象於事 不可験於度
 必取於人 知敵之情者也


 衆に出でて成功する者は、先んじて知っているからです。
 先に知る者は神に拠っているのでなく、経験に頼るのでもなく、数字に任せるのでもありません。
 必ず人を使って、生の敵情報を知る者です。

 事実関係は知りませんが、アメリカが精確な戦場情報を提供しているそうですね。高度の低い偵察衛星がロシア軍の動きを逐一伝えているのでしょう。地上のロシア軍兵士は目に映る状況しか解らないのに、ウクライナ側は空からの情報を知ることができるんですね。
 情報で優位に立つことが勝利への鍵だと、2,500年前に『孫子』で喝破されているんですね。
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五拾八    宇宙は刺激的(2022/5/11)
 BS11のディスカバリー傑作選『解明・宇宙の仕組み』を楽しみにしています。宇宙は謎に満ちていて興味深く、かつ刺激的でさえあります。学生時分から宇宙の話が好きで、趣味として楽しんできました。なので、前記番組を知ってからは、毎週の放映を楽しみにしています。
 解りやすい説明ですが、込み入った内容になると否応もなく難しく、頭に入ってこないことも多々あります。そういう場面が続くと、知らぬ間に居眠りしています。子守唄になっちゃうんですね。

 宇宙の面白さというのは、時間と空間のスケールが常識の埒外なんです。いえ、想像の埒外とさえいえます。なにせ、人類が観測できるのは宇宙の一部だし、過去や未来のことも、推論に推論を重ねるしかなく、学説も多彩で、実態はなにも解っていないんですね。それだけに素人としては、安心してお気に入り学説に傾倒することができます。
 以前にも、九百六拾参  地球以外に知的生命体は存在するのか(2020/6/20)などと考察しました。

 ネットでも、いろいろな説に触れることができ、暇つぶしに役立っています。まずは、2日前のカラパイアの記事です。
 宇宙人と遭遇するにはあと40万年かかる、新たな論文が発表される

 知的生命体との邂逅をテーマにしています。しかし、この学者さんが提示している説には頷けません。

 天の川銀河には、地球外知的文明が36個存在する可能性が高いと結論づけている。

 地球要件の恵まれ具合を、『解明・宇宙の仕組み』で常連科学者さんが面白い例えをしていました。
 「ポーカーで5カードが成立したようなものだ」
 あり得ないような奇跡的偶然の重なりを例えたものです。とはいえ、宇宙には無数の銀河がありますから、地球のように豊かな生物相を育む惑星はたくさん存在しているだろうし、過去にも存在しただろうし、将来において存在することでしょう。
 でもね、知的生命体を云々するには、進化というもっと高いハードルが立ち塞がるわけで、そんな簡単な話じゃないでしょう。そんな、「天の川銀河に地球外知的文明が36個存在する可能性」なんて、甘すぎます。

 先月のGIZMODOの記事です。
 宇宙の果てには何があるの? 専門家に聞いてみた

 残念ながら、わたしたちにはまだ宇宙に果てがあるのかないのかという問いに対する妥当な答えがありません。もし果てがあるとしたら、それはずっと遠く宇宙の歴史全体という時間をかけてもなおわたしたちのもとに到達しないほど遠い場所だといえます。現段階では、観測できる宇宙の全体でなく一部を端として考えるほかないのかもしれません。

 上の引用は記事の最後の締めくくりで、現時点での解を表しています。将来においてさえ解明できるかどうか、なかなかに怪しいでしょう。まず、遠方の観測に限界があるんです。今、最も遠くまでを測る物差しとして、バリオン音響振動とかを利用するそうで、ひと目盛りが約5億光年で120万個の銀河をマッピングできているそうです。それでも宇宙の一部しか把握できないわけで、将来を考えても、宇宙の果てを見ることはできないんじゃないでしょうか。

 先々週の『解明・宇宙の仕組み』のテーマが「宇宙の果て」で、相変わらず面白かったです。これまでにも、“宇宙の起源と境界”をテーマに、「宇宙の最初の1秒間」「宇宙の終わり」「暗黒宇宙の闘い」「時空の神秘」「宇宙形成の原動力」などが放映されてきました。

 先々週、“ビッグバンとビッグクランチ説”と並び“永遠の膨張説”も提示されました。私は後者がしっくりきます。遥か未来においては、すべてが遠ざかり、加えて星を形成するガスも希薄になり、天空に星が見えなくなるという恐ろしい説です。
 きっと、宇宙の最後はこれじゃないでしょうか。
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五拾七    LEDと演色性(2022/5/4)
 自室の天井灯は39年前の建築時に購入したもので、点灯管のない安定器仕様でした。2年前から不調となり、点灯するのに時間がかかるようになりました。室温がければさほど時間がかからないものの、冬場だと大変でした。我慢しきれず、年末にLEDのコイズミBP181204Pを購入しました。もはや蛍光灯タイプは売られていないんですね。
 ただ、蛍光管の買い置きがあったので捨てるのも勿体なく、蛍光管を新しくして使い続けていました。しかし、昨日のこと、8時間経っても点灯せず、ついに痺れを切らして捨てました。

 LED天井灯はさすがに明るいものの、演色性に問題があります。蛍光管なら安くて、しかも色温度各種が売られているので好みに合わせて手軽に試すことができました。私は6,500Kに近い蛍光管を使っていました。
 LEDだと、そうはいきません。機器が一体となっていて、LEDの寿命とともに機器そのもを買い替えることとなります。そんなんでエコといえますかね。この点を厳しく問題視すべきです。

 明らかに色温度が高めです。僅かながらモニタのカラーバランスに違和感を覚え、先ほどキャリブレーションを終えました。さすがハードウェアキャリブレーションです。以前の蛍光灯環境に近いモニタ表示が再現されました。ほぼ近い再現であり、満足とまではいきません。LEDは、どうにも青に問題がありそうです。キャリブレーション結果を見ると、青について多めの補正を行っていました。やはり無理をしている印象ですね。

 調べてみると、懸念したとおり、普及品レベルのLEDは赤と青に問題があるそうです。印刷やDTP用途として、高演色性のLED管が販売されていました。エコリカの超高演色直管LEDがそれで、現時点での業界標準の模様です。私もその気なれば、ダクトレールとLED専用のレールソケットを購入すれば、取り付け可能となります。
 天井灯用の電源ローレットにアダプタを付け、直管用のダイレクトレールを取りつければいいんです。そこにレール用ソケットを嵌め込めば、直管LEDを使用できます。

 もはや隠居の身ですから、ハイレベルな演色性まで要求しません。キャリブレーションで以って、そこそこの色再現ができれば良しとします。印刷データ出稿に携わらないかぎり関係ないです。

 それと、今のPC環境では、どうにもCMSが上手くいかないんです。メインのデスクトップはWindows7で、画面とプリント物の色が合わないんです。どうやっても上手くいかず、もう諦めています。
 思い返すと、三菱のブラウン管を使っていた時期のWindows2000 が完璧でした。加えて、EPSON のスキャナとプリンタとのマッチングも良好で、元画像 → スキャナ取り込み → モニタ表示 → プリンタ出力、そのすべてで元画像と同一色が再現されました。
 ところが、Windows VISTA でずれが生じ、液晶モニタ導入で上手く合わなくなり、CANON のプリンタに換えてから、もはやどうにもこうにもCMSが破綻してしまいました。
 一体何が悪いのか、どこに問題があるのか。多分、安物ばかり使っているのが諸悪の根源なのでしょう。ということで諦めの境地です。
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五拾六    報道記者の転職先(2022/4/27)
 元TV朝日アナウンサーの富川悠太氏がトヨタに就職するそうです。
 一週間前のYAHOO! ニュース「元テレ朝・富川悠太氏「トヨタ自動車の所属ジャーナリスト」に違和感噴出 「広報ですよね」指摘に会社の見解は」です。

 富川氏はアナウンサーであり、報道記者ではありません。とはいえ、報道番組に長く携わっていた関係から、ジャーナリストの一員といっていいでしょう。番組内での取材経験も豊富なのに、世間の一部には記者経験がない、ジャーナリストを名乗るなとか煩い向きがあります。私も大概のこと狷介ながら、そこまで他人を貶めるものではありません。TV朝日時代の氏は、よくやっていたと思います。

 これからは、Eコマースといい、自社サイトでの、あるいは他メディアを通してにしろ、自ら情報発信する取り組みが求められます。富川氏のような転職も当然予想されることです。似た転職コースは、アメリカでは十数年前から当たり前に行われています。

 インターネットが身近になり、実生活への応用利便性が高まりました。その重要性が広く認識されるに従い、広告出稿量が右肩上がりで拡大しました。ここ10数年間での広告費の推移には驚かされます。マスコミ4媒体と称される既存メディアの広告費がインターネット広告にドラスティックに奪われていったのです。

 平成16年頃にラジオ広告が抜かれ、平成21年に雑誌広告、平成24年に新聞広告が逆転されました。
 インターネットの優位性もTVを超えるには時間がかかるだろうと考えられていましたが、令和元年に抜かれました。不動と思われていたTVの牙城もついに崩れたかと感慨もひとしおでした。
 そして、昨年にはインターネット広告が既存マスコミ4媒体総計をも上回ったそうで、時代は変わったのです。

 欧米では変化がもっと早く、イギリスでTV広告を上回ったのは10年以上前だそうです。アメリカでは新聞を始め紙媒体の衰退がもっと早くから顕著でした。新聞社は生き残りをかけて容赦ない合理化を推進したため、企業が製品発表会を開催しても紙媒体の記者がいないといった状況も出来しました。
 一方、企業側はネットを活用して自前の情報発信に注力するよう転換し、リストラ記者たちがそのニーズを埋めたのです。新聞記者は文章構成力が鍛えられているし、訴求表現力も水準をクリアしています。企業側にとっては、まさに重宝すべき人材なのです。

 富川氏も、報道関係者として経験値が高いし、加えてなにより知名度も高いとあって、トヨタにしても大歓迎でしょう。これまで、報道記者の再就職先として、大学教員や講師、あるいはフリー物書きが多かったものです。今後は、給料次第といえ、企業からのニーズもあろうかと思います。

 ただし、企業側に積極的な情報発信の施策あってのことです。得てして起こりがちなのは、最初の意気込みが徐々に希薄になり、ただの事務仕事を割り振られかねないことです。ありがちなんですね。そして、転職者が悔やむんです。
 「こんな筈じゃなかったのに」とか「約束が違う」とかね、
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五拾五    安易に国民性を語りすぎ(2022/4/22)
 先週のこと話題になったディリ―新潮の記事です。

 「国のために戦う」と答える人が極端に少ない日本 これからも「平和ボケ」を享受できるのか

 「平和ボケ」とかの方向に話がいくのは、設問そのものが偏っているんです。「もし戦争が起こったら国のために戦うか?」は、「戦争状況にあって、国民諸兄がいかに対処するか?」を問うべきなんです。
 「国のために戦う」は戦争協力であり、戦争資材への優先配分、エネルギー統制、食糧統制、各種徴発、物流や船舶の優先づけなど多方面に渡ります。で、災害対応事例を見ると、日本人は積極的に協力したり、分配や供出に厳格に従ったり、あくまで治安を維持したりで、むしろ優秀かと思います。もちろん、一部に不心得者がいるのは当然ですけど。

 日本の場合、戦時法制への備えがまったく為されてませんから、今般のコロナ対応みたく“お願い”が多発するでしょう。なので、余計に国民の協業意識が重要となります。
 311の際に国民がひとつになり、苦難に立ち向かったのは記憶に新しいです。あのとき、現地支援だけでなく、国民ひとりひとりが、その場で、その職をまっとうすることが、ひいては復興支援に繋がったものです。“平和ボケ”などと腐すのは、実に浅く、安っぽい考察です。
 そもそもが、愛国心を強調して戦時意識を高揚させる国は、元々がどうしようもない国民なんだと思います。日本は、むしろそうなってはいけないんです。


 同じく先週のこと、Twitter 界隈で話題なった話題です。
 日本人と外国人の考え方・交渉術の違いについて思い出したことを書き殴ってく

 ご本人がわざわざ、「ただの限定的な一例に過ぎないけど」とサジェストしているのですから、大げさに膨らませることもありません。でないと、「一部を見て、全体を語る」式の、よくある安っぽい文化論に堕してしまいます。

 ところが、皆さん好きなんですね。すぐに国民性やら国際関係やらに結びつけ、上手いこと言ってやったとばかり得々と語るんですね。
 このゲーム体験者も、ゲームの場の作法を了解したらば、次からはポカをやらんでしょう。たったそれだけの話なんです。それを国民性にまで敷衍して語るのは、大方の悪い癖です。

 先週のこと、ネットで盛り上がった2件の話題が、奇しくも国民性を語っていました。どちらも、物ごとを安易に国民性に結びつける案件でした。私はこういういいかげんな文化論が嫌いなものだから、ここでも何度も指摘してきました。昨年にも、いろいろ書きました。なお、谷本真由美氏に触れた記事は、むしろ谷本氏自身がいいかげんな民族差別を指摘しているのを紹介したものです。

九百九拾五  人種差別にもカーストがある(2021/1/31)
七      できの悪い文化論はもうたくさん(2021/5/5)
拾壱     こういうのができの悪い文化論です(2021/5/30)
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五拾四    最近の世相(2022/4/14)
 阪神タイガースが異次元の1勝15敗1分けで、勝率0.063という信じ難い負けっぷりです。単純にシーズン全体に当てはめると、シーズン8勝ということになります。もちろん、今後持ち直して勝ち数も増えるのは間違いないでしょう。しかし、シーズン勝ち数がひと桁なんて囁かれる現状はあんまりな話です。
 この勝率ってのが、史上初なんだそうです。相撲に例えると、場所を通じて1勝だけなんですね。いえ、相撲は紛れが少ないですですから、1勝はそれなりにあったかと思います。

 日曜日に3回目のコロナワクチンを接種しました。翌日の朝から全身が怠く、接種した左肩が痛みました。モデルナ初体験で、ファイザーではなかった症状です。当地ではファイザーの予約が埋まりきっていて、モデルナしか空いていませんでした。
 ファイザー接種時に下腿内側に鬱血が現れ、今回は手首近くの前腕に鬱血が出ました。下図のとおり、本日も消えていません。なんの差し障りもないので気にはしていません。



 河P直美監督の東大入学式での祝辞、国際政治学者から批判相次ぐ。「侵略戦争を悪と言えない大学なんて必要ない」

 各方面から批判が噴出しています。ひどい祝辞だとは思いますが、そんな目くじらを立てなくてもいいじゃんとも思います。
 映画監督に対して、国際関係や安全保障に係る真っ当な見識を期待しますかね。こう言うと、他の映画監督が不快感を示すでしょうけど。大学側がそういう知性レベルでよしとしているんですから、放っておけばいいんじゃないですか。きっと、入学生たちは冷静に、白けて聞いていたものと想像します。若者たちは賢明ですよ。


 村田諒太9回TKO負け「レジェンド」ゴロフキンに敗れ世界王座統一ならず

 先週末に開催された村田vsゴロフキンのミドル級統一戦は、大激闘でファンを熱狂させました。ただ、地上波で放映されなかったので、私も試合を観ていません。いえ、大きな声では言えませんが、我慢しきれずネットで違法な動画を観てしまいました。
 海外がDAZN、日本がAmazonプライムの配信で、世界200か国で視聴可能だったそうです。DAZNがゴロフキン選手(カザフスタン)、Amazonプライムが村田選手のファイトマネーを担当し、両者合わせて20億円だったそうです。ちなみに、村田選手の取り分が6億円ともいわれています。

 日本の地上波では、とても賄える額ではありません。今後のビッグマッチは、アメリカのPPVみたく日本でも配信中継に移行しそうです。前回の井上選手の試合もそうでしたし。地上波離れはボクシング離れにも繋がるだけに喜べません。コミッション解体の件といい、かつてのキックボクシング衰退と重なって哀しいものがあります。

 キック全盛期には、ネット4局で放映されていたそうです。人気の中心は沢村忠氏を要するTBS系でしたが、沢村選手引退の翌々年に深夜に移行し、翌年には放送終了となりました。TV東京系では少しの間継続していたものの、こちらは全国ネットでなく、影響力も小さかったです。TVから消えた後は、ジムの離合集散を繰り返しながら衰退していきました。

 試合内容は激闘であり、村田選手の健闘が讃えられるものでした。健闘したものの、勝ちが見えるものではありませんでした。序盤は手数も多く、ゴロフキン選手を下がらせるシーンもありました。ボディで下らせたもので、これは明らかなローブローでした。ボディ攻撃が有効だったといえ、それらはローブローが多く、決して褒められたものではありません。
 勝敗を左右したのはフックの威力違いです。えてしてゴロフキン選手のパンチの軌道の多彩さとかで、テクニックの優劣で語る向きが多いです。しかし、私はフックの強さの差こそが決定的と感じました。村田選手のフックは決して強くありません。ゴロフキン選手、アルバレス選手、チャーロ選手らの強打とはとても比べられません。ボディワークとそれに伴う体重寄せがないため、必然的に手打ちになるんです。これはプロ入り後、ずっとつきまとっていた欠点です。
 なので、有効だったのは単調なワンツーのみでした。ゴロフキン選手が中間距離や近間で打ち抜くフックを連発したのと対照的でした。とても、勝ち味の見える試合ではありませんでした。残念ではありますけど。
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五拾参    次期防衛大綱は悩ましかろう(2022/4/6)
 5年ごとに改定される防衛計画の大綱は、現行が2019年からのものです。次期大綱は2024年以降を見据えたものになります。ロシアによるウクライナ侵攻が大きな影響を与えることでしょう。というか、影響されなきゃ嘘だし、反映されない大綱なら意味がありません。

 一昨年のアゼルバイジャンとアルメニア間の紛争で、トルコ製UAV(無人機)がアルメニア軍に大打撃を与えました。アルメニア側は地対空ミサイルのS300など26基、T72が130両以上が破壊され、戦線が崩壊したそうですね。アゼルバイジャン側は、ドローン25機の損失に止まったそうで、ワンサイドキルが演じられました。
 また、2019年にイエメンの武装勢力フーシ派が自爆ドローンでサウジアラビアの石油生産プラントに大損害を与えました。先月にも同様の攻撃があり、軽微な損害ながら火災被害を被っています。

 ウクライナ紛争においても、同様にドローンが活躍しています。索敵、偵察、地上目標ピンポイント攻撃などです。一方の自衛隊には、ドローン運用がまったく足りていません。陸自がスキャンイーグル等の米製ドローンを導入中で、空自が旧式のグローバルホークを導入予定です。ただし、これらはごく少数のうえ、運用方法が迷走していると内部からも批判されているそうです。

 それ以前にも民間企業が陸自専用に作った偵察用無人機があるものの、「飛ばすと壊れる」「性能が(中国メーカーの)DJI以下」という酷評を受けているうえ、億単位の調達価格だそうで、どうしようもない状況です。加えて、これらは非武装なので運用レベルが低いんですね。武装ドローンの導入予定は、空自が最短でも2035年の配備開始を目指しているとかで、まあ気の長い話です。


 2023年度末を目途に、陸自東千歳駐屯地に新たな電子戦部隊を設置するそうです。NEWS(ネットワーク電子戦システム)を使用して、他の国の航空機や艦艇などが出す電磁波の情報を収集するほか、有事の際には、ジャミングを行うとのことです。同様の電子戦部隊は現在2カ所にあり、北海道への配備は、ロシアを念頭にしたものでしょう。

 本来であれば、戦車を始めとしたAFV(装甲戦闘車輛)の見直しが必要なはずです。私が昔から書いている「第7師団を縮小再編せよ」がウクライナ侵攻戦で明白になったのですからね。ところが、ロシアの脅威を言い募って、むしろ焼け太りを狙っているのではないでしょうか。北での電子戦強化は結構なことですが、火の出る玩具は役割を終えつつあると考えるべきです。AFVより、バイク機動と携行対空ミサイルや対戦車ミサイルを備える方が有効なのが証明されたのにね。


 プーチン大統領が戦術核の使用を匂わせて物議を醸しています。ウクライナ紛争を鳥瞰すると、従来の核抑止論が機能しないのが明白になりました。ロシアはアメリカと並ぶ核超大国で、ロシアの核威圧に対して誰も打つ手がないという事実が露呈しています。アメリカがロシアに対して相互確証破壊を持ち出すわけがありません。たとえ同盟国であっても、ロシア相手に核の傘を提供することはあり得ません。まして、NATOに加盟していないウクライナなら、もうまったく無関係ですから。

 核保有国の脅しに対して、誰も制裁できないという現実が明らかになると、ロシアでなくとも、北朝鮮のような弱小国でもアンタッチャブル扱いになってしまいます。これは、今回の紛争後の世界的テーマとなるでしょう。
 防衛大綱において、北の核脅威を記してきた日本としても、従来と異なった処方箋をつくり出さなければいけません。いえ、日本より先に韓国が方針変更や新たな方策を導入しなければいけません。

 取りあえず上の3項目を無視できないでしょう。他にも、有事の際のSNS活用、素早く整理した情報発信、発信源の多角化などもウクライナが実践してみせるとともに、世界の世論に大きく訴求するほどの成果を上げています。さて、日本にこんな芸当ができるのでしょうか。私は無理方に一票です。
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五拾弐    ウクライナだけ特別扱いなのか(2022/3/28)
 「まぐまぐニュース!」から
 プーチンの狂気を悪用する、ウクライナ紛争で“得をした”人物リスト

 特に目新しい内容ではありませんが、いろいろ整理されています。一部に陰謀論的な風もあります。私には論考の正邪は判りません。今起こっていることに対する紛争の全体像を把握するのに役立ちます。

 では、今回のウクライナ紛争で損をしたのはだれでしょうか?

 まず明らかなのは、言うまでもなくウクライナ国民です。2月24日に、予想を上回る規模でロシア軍がウクライナ全土に攻撃を仕掛け、ウクライナにおける穏やかな日常は一瞬にして失われました。

 ロシアによる“侵略”に対抗するため、法律で定められたとおり、18歳から60歳の男子は母国防衛のために戦うことを強いられ、それにより家族は引き離されました。2014年のクリミア併合問題以降、軍事訓練を受けた女性も相当数おり、男女の分け隔てなく、母国のために立ち上がり、ロシア軍と戦っています。

 結果、ある程度、子供が独り立ちできる年齢の家族では、父母共に戦いに出るという事態も多く起こっています。

 もしかしたら二度と生きては再会できないかもしれないような事態に追い込まれてしまったウクライナの人々は、損をしたというよりは、確実に被害を一方的に受けてしまった対象です。

 ロシア軍による民間施設への無差別攻撃が頻発する中、多くの市民が生命を失い、美しかった街は跡形もなく破壊されています。


 「今回のウクライナ紛争で損をしたのは」「まず明らかなのは、言うまでもなくウクライナ国民です」は、間違いなくそうでしょう。しかし、2014年の騒乱に端を発する経緯を辿ると、自ら招いた結果にも見えます。

 もちろん諸悪の根源はロシアながら、ロシアが暴戻なのはあらためていうまでもなく、軍事介入を想定しておくべきでした。クリミアはロシアの重要軍事拠点として揉めていましたから、2014年のクーデーター及び反ロ敵対行動に際してただで済むはずもありませんでした。また、チェチェン紛争において、一部で民族殲滅的な戦闘行動があったそうで、敵対は危険極まりありません。そんなロシアと長い国境を接するウクライナは、よほど付き合い方に留意すべきでした。

 まして、エネルギー供給で世話にもなっているんですから、面従腹背でロシアを立て、波風を立たせないよう心がけるべきでした。実際にはキエフや西部住民の意に沿う方向で強行したわけで、慎重さが欠けていました。抜き難い反ロ意識ゆえに仕方ないといえ悪手としかいえません。やるべきはロシアへの敵対の意図なしと融和路線を打ち出すべきでした。リップサービスなんてタダなんですから、なんとでもへつらうべきでした。実際には、反ロナショナリズムの空気の中で融和的態度は許されなかったのでしょう。2014年のキエフ騒乱の中では、難しかったと同情もしますけど。しかし、今次戦争によって市民が多数死に、都市が廃墟になった惨状を直視すべきです。

 ところで、大国による暴戻は世界に数多あります。上の記事でも、現在も国を奪われ、国を脱出して難民となった流民が記されています。それらについて、日本国は難民として受け入れていません。ウクライナだけ、なんだか別腹として特別扱いしていますね。日本だけでなく、EUも堂々と武器援助を競っています。なんか、おかしくないですか。

 ウクライナなんて、言っちゃあ悪いけどロシアに敵対してこうなったんですよ。ロシアが諸悪の根源なんだけど、ウクライナの拙劣な対応が招いた悲劇なのに、特別扱いしすぎです。西欧が協力して支援している以上、日本も歩調を合わざるを得ないんだけど、公平性を欠いています。

 台湾にはウクライナを他山の石とし、慎重な対中政策を期待します。などとあらためて言うまでもなく、台湾は理性的、実利的な方針で立ち回っていますね。一面的なナショナリズムで吹き上がって、すべてを台無しにすることもないでしょう。
 一旦ことあれば、今回のウクライナのように我が身を滅ぼすだけでなく、全世界が迷惑を蒙りますから。
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五拾壱    「メトロポリタン美術館展」行きたいんだけど(2022/3/23)
 国立新美術館で「メトロポリタン美術館展」が開催されています。大阪展はすでに終え、2月9日からの東京展が5月30日までだそうです。「西洋絵画の500年」をテーマに、メトロポリタン美術館所蔵の名品65点が展示されているそうです。15世紀の初期ルネサンスから、19世紀のポスト印象派までの500年の歴史を総覧できる企画展です。

 同じ国立新美術館で12年前に開催された「オルセー美術館展」と事情が似ていて、メトロポリタン美術館が改装中とあっての大量貸し出しだそうです。選りすぐりの傑作群との触れ込みながら、現地で実見している私からすると、もう一声気張ってほしかったです。例えば、モネだと「サンタドレスの庭」「ラ・グルヌイエール」を優先してほしかったです。
 そんな文句は贅沢なのでしょう。それに専門の学芸員さんがセレクトしたなら、私の好みなんかより適切な選択が為されているいることでしょう。

 細かい注文はともかく、見逃せない展覧会です。ただ、この展覧会だけで東京まで出張るのは厳しいです。同時期のビッグ展というと、上野の東京都美術館で「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」が開催中なんですね。こちらは、2月10日から4月3日までとあって時間的余裕がありません。

 国立博物館では、特別展「ポンペイ」が4月3日まで、「空也上人と六波羅蜜寺」が5月8日まで開催されているものの、あんまし食指が動きません。
 国立西洋美術館は4月8日まで休館です。ここはコロナがらみで、すぐ休止だの休館だのと諦めが早いんです。今回はリニューアルだそうですが、コロナを奇禍としてるものと邪推してます。

 ということで迷っています。メトロとドレスデンいずれも時間指定のチケット予約購入なんです。日にち指定の上、移動時間を計算して両者の入場時刻を調整しなきゃならんのです。なかなか気楽に申し込むのも難しいです。さて、どうしたものか。

 よく知りませんけど、ドレスデン国立古典絵画館所蔵の絵が来日するのは珍しいのではないでしょうか。オランダ絵画が中心だそうで、好きなレンブラントやメツーも見ることができるので、この機を逃したくはありません。

 これから月末にかけ、自治会長交代に係る引継ぎ処理を年度末のタイミングでやらなければならず、予定が立て辛いのです。また、同行を望むかもしれない知人もいて、日程や往復路の選択が難しくもあります。取りあえず連絡して要望を聞きたいと考えています。
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五拾     ハンディクリーナー最高(2022/3/13)
 かつて、車内清掃用のハンディクリーナーを重用していたものの、捨てたか失くしたかで見当たらなくなりました。今の車はシガーソケットがないので、どうせ使えません。清掃の際には家庭用掃除機を利用していました。
 とはいえ、ハンディクリーナーがあれば助かるのにと、いつも思っていました。車以外にも、階段や窓桟、あるいはPCなど、床用掃除機では扱いにくい場所があります。長年のことハンディタイプを欲しがりながら、バッテリー性能の限界から敬遠してきました。

 しかし、リチウムイオン電池によって容量が倍増したことと、難しい制御面も安定しただろうと、ついに購入しました。昨日、量販店店頭で比較検討し Shark ハンディクリーナー CH951J に決めました。
 手頃なサイズ、価格、クリーニングのし易さ、収納性、掃除箇所に向けたヘッドアクセサリーを考量した結果です。税込で1万円弱だったので文句ありません。仮にしょむない製品であっても悔恨に苛まれることもないでしょう。

 充電時間はカタログ表記どおりほぼ4時間でした。さっそくテストを兼ねて掃除しました。階段、トイレ、脱衣所、台所などを軽く一掃しました。透明なゴミ溜め部にみるみるほこりが集積し、気持ち良いくらいです。これはワンタッチでゴミ箱にポイしました。フィルターの水洗いは、一度の使用くらいなら必要ありません。Q&Aには、一か月に一度程度でと書かれていました。

 あまりにお手軽なので、本日も掃除に勤しみました。PCのホコリ吸い出しだの、ステレオ背後のケーブルが錯綜する床など、放置していた部分をすっきりさせました。お手軽ゆえ面倒がらず気軽に扱えるんですね。

 ミニモーターヘッド:普通に床やカーペットに
 隙間用ノズル:文字どおり狭い箇所に
 スクラビングブラシ:フラットでない個所に

 上記3点のヘッドアクセサリーが付属し、多様な用途に適応できます。特にスクラビングブラシが優れものです。上で書いたステレオ背後には、ケーブルが錯綜して床を這っていて、掃除機が上手く使えないところです。そこをスクラビングブラシはなにごともなく吸引できました。

 これで車内清掃の際、家庭用掃除機をケーブルを引き延ばして使うこともなく、鼻歌気分で作業にかかれます。充電ドックに置いてあるのを手に取るだけです。
 今思うのは、もっと早く買えばよかったのにです。リチウム電池の安定性というか、メーカーがいかに安全に制御できるかですね。中韓の製品はいざ知らず、国産ならもう大丈夫なんかな。EV車もそうですが、電池次第の状況です。発火やら爆発事故はご免蒙りたいものね。
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四拾九    韓国次期大統領決まる(2022/3/10)
 韓国の次期大統領に保守野党「国民の力」の尹錫悦氏が決まりました。与党「共に民主党」の李在明候補も意外ともいえる大接戦を演じました。得票率は尹候補が48.56%(1,639万4,815票)で、李在明候補が47.83%(1,614万7,738票)という僅差でした。今日の更新は、この結果をずっと待ってのものです。

 選挙終盤では尹氏が順調に差をつけていたものの、直前になっての中道野党「国民の党」の安哲秀代表と一本化したことが、かえって与党勢力を結集させたと見られています。これは、私もそう思います。あえて優勢な中、安候補支援に分散されていた選挙民の行き場を霧中に追い出してしまった印象です。安氏支援者には若い女性も多かったそうで、その行き場を塞いで李氏に追いやったものでしょう。加えて、与党応援者を背水の陣みたく必死にさせたことでしょう。

 日本人としては、尹氏が大統領になったことを喜ぶべきなんでしょうが、私は歓迎していません。大きな声では言えませんが、李氏勝利を願っていました。
 尹氏が大統領になれば、日韓の政治的交流は前進するでしょう。しかし、肝心の歴史認識が好転するはずもなく、下手に前向きな雰囲気が醸成されると、またもや日本側に譲歩を迫る空気が満ることでしょう。今の文政権下では、北との交流を優先するため、米韓関係も最悪となっており、アメリカ側も韓国を突き放した状況です。それを、保守政権が対米関係を重視して受け入れられたら、アメリカは日本に対韓譲歩を迫ることとなります。今までずっとそれで、オバマ政権が安倍政権に朴政権との善隣を迫ったのは記憶に新しいですものね。

 もう、ああいうのはまっぴらです。日本に譲歩を迫るばかりで、そこには真正もなく、後世の孫子に負の遺産を残すばかりです。朴政権との間に結ばれた日韓合意もあっさり白紙にされたりで、まったく信用が置けません。尹氏は昨年のこと、元慰安婦の方に対して「必ずや、日本に謝罪させますから」とか約束していたそうで、これじゃあ話が通じませんわ。

 日韓基本条約一本で無視するに限ります。ところが、韓国側に融和政権ができると、アメリカだけでなく日本内部からも譲歩すべしの意見が官民挙げて澎湃と起こるものだから堪りません。岸田首相は日韓合意の当事者とあって大船に乗った気でいられるかというと安心できません。岸田首相の立ち居振る舞いは、政権発足以来明らかになっています。人気取りに汲々するあまり、ある意見が世間に満ち始めると、すかさず乗っかっていくんですね。オミクロン株への対応がまんまそれでした。

 尹次期大統領が日韓関係をよきものにしようと声を上げ始めたら、格好づけの譲歩もやるでしょう。そして、またまた10年の後退とか足枷とかをつくり出してしまうでしょう。
 日韓関係をよきものにするには、原則を絶対にゆるがせにしないことです。日本側が緩みを見せるから、韓国側は期待してゴリ押しするんですから。ここ40年来ずっとそれでした。宮沢元首相が官房長官時代にやらかして以来、嵩にかかって圧し込んできました。今の状況は、やっとその流れに棹差した状態なのですから、大切にして頂きたいです。
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四拾八    プーチンの蹉跌(2022/2/27)
 ウクライナに侵攻したロシア軍が行き詰まりを見せ始めました。まさかの侵攻でした。私も東部進駐は予想したものの、キエフ制圧行動までは想定外でした。なにせ、その決定に合理性がありませんから。

 ウクライナ軍のブリーフィングがないため、国境を越えるロシア軍との戦闘の実態が分からないままだったのを、もっぱらSNSによる情報拡散で断片的に知られるようになりました。
 ロシア側は精密誘導による短距離弾道弾攻撃を行い、空港や対空拠点などがほぼ潰されたと報じられました。多分、これは事実なのでしょうが、地上制圧はそこからの話です。で、これが上手くいってない模様ですね。特に市街地に入ったロシア軍機械化部隊の苦戦が映像でも伝えられています。装甲車が火炎瓶で火だるまになっています。あれ、搭乗員は大丈夫なのかな。

 一部のロシア軍部隊は降伏したり、戦闘放棄したりの情報があり、本当のところはどうなのでしょうか。プーチン大統領も誤算続きかも知れません。氏が、さかんにウクライナ側の被害を留めるためにと、降伏を勧奨していることも焦りからでしょうか。また、ゲラシモフ参謀総長が、進撃停滞を理由に解任されたとかの噂が流れました。さすがに、これはデマでしょう。

 欧米側の制裁も矢継ぎ早で、ついに、SWIFT(国際銀行間の送金・決済システム)から排除する決定が数日中に下されるそうで、これは決定的です。貿易決済に支障が出るとあって、イランや北朝鮮と同じ状況となります。それも、イランや北朝鮮と違って日本をやや上回る人口規模の国家ですから、ダメージも多岐にわたるでしょう。
 資源大国ゆえに有利な面もありますが、一方で民生面がまったく足りていない国ですから、ダメージブローの効き具合もきついと考えられます。

 これまで軍事支援に慎重だったEU各国も、さすがに最新武器の供与を始めました。対戦車ミサイルとか対空ミサイルで、ロシア軍からすると悪夢でしょうね。このまま推移すると、アフガンの二の舞です。
 速戦即決を狙ったプーチン大統領も、今頃頭を抱えているでしょう。SWIFT制裁を食らったら、ロシア経済も破綻します。そのときにあっては、国民の怨嗟が迷いもなくプーチン大統領に向くでしょう。愛国闘志のイメージだけでは糊塗しきれないでしょうね。

 ウクライナ侵攻を目の当たりにして、台湾侵攻を憂慮する向きがありましたが、逆に中国に対するブレーキとなりそうです。軍事侵攻をやれば強力な制裁を食らい、その結果として国家破綻を招きかねない実例が示されようとしているからです。多分、中国は多くを学ぶのではないでしょうか。
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四拾七    北京冬季五輪問題(2022/2/19)
 今大会最大の話題は、ROC所属選手のドーピング問題です。絶対的金メダル候補とあって、ワリエワ選手の禁止薬物検出が世界に衝撃を与えました。いえ、やっぱりとの感想が多いのかな。ロシアなら不思議でもなんでもありません。問題とすべきは、禁止薬物接種が明確なら、出場停止一択なのに、出場させちゃったんですね。裁定委員会だかは、後のことは知ったこっちゃない式の無責任な対応で、IOCも大会運営に苦慮し、結果として疑惑選手を世界中の晒し者にしてしまいました。

 16歳未満の特例で以って、出場停止期間を短縮するとかなら分かります。ところが、出てもいい、ただしメダル授与はしないとか、記録の取扱いとか大会運営の整合性が取れないでしょう。

 結局、すべてが悪い方向に着地してしまいました。ワリエナ選手は、まともな精神状態ではなかったのでしょうか。まる地に足がついていないかのような滑走で、ミスを繰り返し、SPのアドバンテージも及ばず4位となりました。そのおかげで表彰式ができたなんて、冗談みたいな話です。

 裁定を考慮しての判断ながら、裁定委員会の委員長がIOCの副会長というのでは、IOCの意向と無関係とは思えません。商業主義を優先し、競技の公正さがないがしろになってるんですね。プロ興業なら、誰も文句を言いません。プロだと興行を実施するために、いろいろ妥協点を探ったりします。興業側にしても選手にしても、儲けを出すのが優先されますから。ペナルティを科したりで、できるだけ開催に向けての努力をします。もちろん、競技上生じる不公平が許容できないレベルなら、中止になりますけど。

 ボクシングだと、薬物と体重超過がポイントとなり、ケースバイケースでいろいろな対応が為されます。試合は行うが、違反者はタイトル剥奪で、勝ってもタイトルが与えられないとか、相手選手にギャラの一部を罰金として渡したりまします。
 あるいは、体重超過に対して時間を与え、再計量のための減量をさせます。試合前の大事な時間をきつい減量に費やすこととなります。これは自業自得であり、公正な試合を保証するために必要なことです。
 禁止薬物が事前に検出されたら、まずは中止になることが多いし、長期出場禁止処分を受けたりします。まれに、スポーツ後進国だと興業が強行されるケースがあります。残念ながら日本も後進国側なんですね。

 スキージャンプ高梨選手らのスーツ規定違反は、なにをかいわんかやです。これまでも違反件数が多く、特に高梨選手は2度も失格してるんですから、これはもう確信犯でしょう。記録を伸ばすため、余分な生地をギリギリまで伸ばしたもので、往生際の悪い話です。語るべきことはないですね。

 次に気になったのは、スピードスケートの小平選手やフィギュアの羽生選手の怪我です。小平選手は1月中旬右足首をね捻挫したそうです。まったく滑れない状態で北京入りしたとか報じられていて、なんでこれが問題視されないか不思議です。
 よく知りませんが、控え選手がいるんでしょう。自身のコンディションに問題があれば、控え選手に譲る手続きをしなきゃ変です。変というか不誠実な振舞いに見えます。あくまで出場するなら、不調を隠しきり、実力のなさと看做されることも受忍すべきです。

 フリースケーティング前日の練習で捻挫していた羽生選手も同様です。後で会見して「前日の4回転半の練習で足を痛めた。普通の試合だったら棄権してた」とか見苦しいことこのうえなしです。前日のことなら選手交代は無理ながら、競技の場に立つ以上、なにがあろうとも己の実力と受入れ、黙すべきなんです。ああいうのは、傍で見ててさえ恥ずかしくなります。ご本人は、恥ずかしくないんでしょうか。
 あそこまでスーパースター扱いされたら、いろいろ勘違いするのも仕方ないんかな。とはいえ、羽生選手も27歳なんですから、いい大人です。我が身の振舞いを振り返っていただきたいです。
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四拾六    SONYさん、ESPRIT再び(2022/2/15)
 先週の驚きのニュースです。ソニー、40万円の最高峰ウォークマンNW-WM1ZM2 / WM1AM2発表。5年ぶり大幅刷新
 ウォークマンを進化させ続けていたSONYが、2016年に既存フラッグシップモデルさえ超える上位製品を発売しました。無酸素銅切削筐体を採用し、高品位パーツ構成で30万円台 (WM1Z) というトンデモ価格だったそうです。

 オーディオマニアであれば、かつての ESPRIT シリーズを想起します。SONYが70年代末に高級ブランドとして展開したもので、超高級路線でした。高品位パーツと技術を惜しげもなく投入しているものの、超高価格とあって商売として成功したかは疑問です。プリアンプの TA-E900、モノラルパワーアンプのTA-N900、スピーカーのAPM-8 などがそれです。

 新型も、筐体に無酸素銅を使っています。ちょっと正気じゃないです。アルミ筐体にレジンを充填したり、亜鉛ダイキャストとかでも十分に高音質モデルとして説得力があります。無酸素同の削り出しなんて、オーディオ全盛期であってさえ、なかなかなかった話です。
 東芝が40年前に発売した銅合金のアナログPL SR-M99を髣髴させます。このPLのターンテーブルは銅合金の削り出しで、まさに狂気の沙汰でした。定価30万円は激安で、実は大赤字で売れてほしくない製品だったそうです。

 新型ウォークマンが高音質、高性能なのは間違いなく、内容を読むと40万円にも頷けます。絶対的な高音質を目指すなら、書かれているようにカップリングコンデンサ、ケーブル、コネクタ、ハンダに拘るのは必須です。さらに、基盤まで銅パネルで抑え込み、制振を徹底しています。加えて、電源部の平滑コンデンサまで特注品をカスタム製造という徹底ぶりです。おそらく、金属皮膜系のフィルムコンデサと想像します。

 いえ、マイスピーカーのウーファ用に使われていた電解(平滑)コンデンサを、金属皮膜のフィルムコンデンサに交換するという暴挙をやった私が言えることではありませんけど。百六拾六 眩しいコンデンサ群(2004/12/15)に書いたように、東一電気製メタライズドポリエステル・フィルムコンデンサ(3,307円/個)に置き換えています。手助けしてくれた電子系の同僚には、「大容量高耐圧仕様の電解コンデンサを高価なフィルムコンデンサに換えるのは馬鹿げている。まして、平滑コンデンサなら音への影響も小さかろうに」と呆れられました。しかし、効果は凄かったです。そのあたりのことは、百六拾九 スピーカー完成(2004/12/28)に詳細に記しています。

 ハードだけでなく、ソフトにも値打ちがあります。11.2MHz相当までのDSDリマスタリングは、同じ Signature Series に属する約100万円の据え置きプレーヤー DMP-Z1 で採用された機能だそうです。
 CD相当のFlacロスレス音源も機械学習処理で最大192kHz / 32bit相当にアップスケーリングするDSEE Ultimateは、低ビットレートMP3などの圧縮音源でもハイレゾ相当で聴けるそうです。この機械学習は、膨大な楽曲データを学習したAIでリアルタイムに音源を分析して自動拡張するそうです。
 さらにAndroid11採用で各社ストリーミング配信アプリ対応、WM-Portを廃したUSB-C接続で転送・充電速度向上、前モデルより最大10時間長い再生時間など、最高峰を極めた内容となっています。

 ここまで徹底した高性能高品質なら、値段にも納得させられます。さすがに若い方が買えるものでないにしろ、“いつかはWM1ZM2”とばかり、憧れを抱くに相応しい逸品です。私には縁がないといえ、こういう製品が存在するだけで嬉しくなってしまいます。
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四拾五    家の造り再考察(2022/2/10)
 夏場になると暑さをいかに凌ぐかの記事が目に留まり、冬場になると寒さをいかに凌ぐかが溢れます。ここのところ、脱CO2がらみで、家の省エネが話題になることが多く、窓がポイントとして注目されています。
 「暑さ・寒さ対策は「窓」が鍵、省エネリフォーム最前線」 などで、記事中の以下の説明がよく語られます。
 窓は家の中でも熱の出入りが一番大きな場所で、夏の冷房時に外から入ってくる熱の70%以上が、冬の暖房時に家の中から出ていく熱の60%近くが窓からというデータがあります。

 開口部が最大としていますが、開け放っているならともかく、窓で閉鎖している状態で、ここまでの割合になるかは疑問ですけどね。夏場の熱は、フライパンのごとく壁面から伝わりますものね。それはともかく、冬場の熱損失が窓のガラス面によって大きく損なわれるのは間違いないでしょう。

 最近よく見かけるのが、「YKKAP 窓の教科書」なような樹脂フレームのPRです。樹脂がアルミより熱伝導が小さいのはそのとおりでしょうが、圧倒的なガラス面積を横に置くような記事はいただけません。

 樹脂フレームもいいけど、なにより省エネに効くのはペア(複層)ガラスでしょう。北海道では昔から3重のガラス戸や窓が導入されてきました。極寒地での3重の威力は素晴らしいです。遠軽の知人宅を訪ねたとき、ガラス戸や窓が3重になっていて、これが噂のアレかと感動しました。
 上のYKKさんもガラス屋でなくフレーム屋なので、ペアガラスの利点を語らず、フレームの利点のみが強調されています。こんな記事に騙される方もいないとは思いますけど。

 また、最近のこと寒気を迎えて断熱シートが取り沙汰されています。プチプチで代用している方に、長年張りっぱなしにしてると、ボロボロになるだけでなくガラスにくっついて取れなくなるとか注意喚起されています。
 そういう方には、カーテンの有効活用を提案します。大き目のカーテンでガラス面との間に閉じられた空気室を形成すれば、断熱シート同等の保温が可能になります。カーテン自身が断熱アイテムになるでしょう。小さかったり、隙間ができるようだと効果が半減しますけどね。

 四拾  暑い夏(2002/8/25)でも触れました。当地は温暖な西日本なので、家を建てるときに心掛けたのは、兼好法師の「家の造りようは、夏を旨とすべし」です。窓を開け放った際の風の通り具合とかね。

 そこに書いた同僚と従弟がリビングに導入した床暖房は、ともにまったく使っていないそうです。想像ですが、建築士ゆえの興味からだったのでしょう。

 断熱材も夏場の炙られ対処として、南面と西面、天井裏を重視しました。冬のことなんて考えもしませんでした。予算の制約からケチったわけで、予算が潤沢であれば、なんでもアリでいいんでしょうけど。

 エアコンの冷熱能力に不満がある方は、交換のタイミングで200Vを検討してはいかがでしょうか。やや高めなのと、室外機も要交換となりますが、冷やすにしろ暖めるにしろ、早さが段違いです。アイドリングに素早く移行できるので、電気代が高くつくことはありません。

 また、エアコンの暖房は部屋全体が暖まりにくく、足元が冷える傾向があります。そこで、暖房は下向きに、冷房は上向きに吹き出せば、部屋全体を均せます。多分、みなさん実行していることと思います。
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四拾四    ウクライナ報道の偏り(2022/1/30)
 8年前のウクライナ危機に際して、 六百四拾五  ウクライナ暗雲(2014/3/8)を書きました。あらためて読んでみると、正確に実相を把握していて安心しました。ここに書いていることなんか、私にとっては常識なんですけど、どうも世間では違うみたいです。

 現在、ウクライナ国境にロシア軍が集結し、毎日のようにニュースが報じられています。また、マスコミに識者が出演し、あれこれ語っています。当然、私と同じことを語る方もいるものの、なぜか少数派です。大半は西側世界の無謬性を前提とし、ロシアを無法なものとする前提で語る方が多いです。

 ロシアの要求は“NATOの東方不拡大”であり、ロシアにとっては安全保障の最低ラインです。対するブリンケン国務長官は、「NATO東方不拡大は拒否する」とか無茶苦茶です。いえ、アメリカらしいといえばアメリカらしいです。
 かつて、黒海の対岸であるトルコにジュピターを配備し、ソ連が対抗してキューバにミサイルを配備しようとすると、世界の終りみたいに大騒ぎし、大西洋艦隊を総動員までして阻止しました。キューバ危機の際の構図にも似ています。

 3日前のYAHOO!記事 独、ヘルメット5000個供与 ウクライナから失望の声 です。

 ドイツ製の軍艦などの提供を求めてきたウクライナ側からは、「言葉を失った」(クリチコ・キエフ市長)などと失望の声が出ている。

 こういう話を聞くと、ウクライナの政治家って本当にどうしようもない屑ばっかりだというのが分かります。キエフ市長というと、あのクリチコ氏であり、キエフを暴力に染めた張本人ですね。こういう連中の無責任な要望に応じちゃ駄目です。
 ドイツ側は殺傷兵器の供与はしないという判断なわけで、冷静な対応で大正解です。その他各国ともにウクライナに兵を入れたり、最新兵器を供与することはないでしょう。

 ウクライナの国家統治といい行政統治といい、まともじゃありません。汚職と暴力が横行し、法治の大切さを放棄しています。過去の大統領たちはどうしようもない屑ばかりで、現大統領も同じく最低です。方々でいいかげんなことを言って緊張を高めたり、問題解決を難しくしたりで、なんの解決策も持ち合わせていません。ソ連も汚職と暴力の国ながら、統治機構の仕組みには厳格なものがあります。

 8年前にも書きましたが、ウクライナに係っちゃあ駄目です。西欧がウクライナに余計な介入をし、今の状況を招いたのですから、西欧が責任を持つべきです。まずは、「ウクライナさん、いらんことをせず、ロシアと密な協議をしなさい」と言い聞かせること、これに尽きます。
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四拾参    辺野古亡国(2022/1/25)
 これまで在沖海兵隊をめぐる問題を考察してきました。もう、いいかげん厭きているものの、先日の辺野古市長選の報を受け、やはり書いておかなければいけません。
 繰り返しを避けるため、これまでの考察を整理しておきます。

四百参拾壱  嘉手納統合は日米関係の新時代(2009/11/14)
五百拾    嘉手納統合への端緒(2011/5/13)
五百拾六   “普天間問題”絶望的な日本の対応(2011/6/19)
五百四拾参  議会の圧力による米軍再編(2012/1/8)
五百四拾五  しつこく嘉手納統合を(2012/1/22)
五百四拾七  新しい日米合意(2012/2/4)
五百九拾弐  辺野古茫洋(2013/1/13)
五百九拾九  辺野古移設のまやかし(2013/3/10)
六百弐    在沖海兵隊の嘘(2013/4/6)
六百参拾六  辺野古承認(2014/1/1)
六百六拾弐  日本の国防はなんなの((2014/7/13)
六百六拾四  海兵隊の一体的運用の嘘(2014/7/27)
六百七拾六  普天間閉鎖の嘘(2014/10/19)

 大浦湾の地盤が軟弱なため、地盤強化のため大規模土木工事が必要となっています。
 地盤改良が必要な面積は、計65.4ヘクタールと広範囲にわたっていて、まだ埋め立てが始まっていないキャンプ・シュワブ北東側(大浦湾側)の6割に相当するそうです。
 ここに鋼管を打ち込んで内部に砂を流し込んで杭状に固め、鋼管を引き上げます。こうして砂の杭を計約7.7万本打ち込むので、砂の量は約651万立法m(東京ドームの約5.25個分)を要し、県内の砂利採取量の数年分だそうです。

 作業船で地盤改良工事を実施できる深さは、70m程度ながら、埋め立て予定海域の東端に造る護岸周辺は、水深が30mと最も深く、さらにその下の軟弱地盤の層が60mに及ぶそうで、技術的な困難さが予見されます。加えて、強化する地盤の層が60mでは足りないという報告がすでにあるそうです。

 最初に地盤強化が報じられた際、建設費が倍額に膨れ上がるとか伝えられました。しかし、地盤強化の深さがそれでも足りていないとなると、一体いくらかかるものか現時点では試算もされていません。

 私は予言します。将来において、さらなる地盤強化の必要性が判明したとかしれっと言うんですよ。そして、さらなる建設費増額を言い出すに違いありません。最終的に2兆円くらい突っ込むことになるでしょう。

 悪質なんですよ。地盤が弱くて想定をはるかに超える深さの強化が必要との報告は、かなり前から上がっていたそうで、完全にやらずぶったくりで進める腹づもりなんですよ。一旦、事業が動き出したら、それまでに投じた予算が無駄になるとかで、強引に推し進めるという、ありがちな手法です。
 八郎潟の干拓事業が典型です。米余りで減反政策を進める一方で、農業用地拡大を目指す干拓事業を止められませんでした。
 有明海の諫早湾干拓事業なんて、最悪でしょう。水門が完成したところで、干拓地側の農業と閉門による水産事業の弊害が対立し、開門を命じる判決と開門を差し止める判決がでるという矛盾が現出しました。

 いずれも、状況の変化によって目的を喪失しながら、当初事業が動き続けた不幸です。辺野古も同じ様相を呈しています。すでに大金を投じたといえ、思い切るべきです。このまま進めても、うまくいく保証はありません。損切は勇気がいるし、まして国家事業ともなると官僚のプライドもあるし、地元業者の金蔓とあって業者の後押しを受けた議員先生も必死になるでしょう。
 関西空港も沈下が続いていて、将来的には堰堤で空港を守る必要が出てきます。まして、軟弱地盤の辺野古ともなると、取りあえず完成したところで、長持ちしないのは分明です。そのときにあって責任を取る人間はいないし、ただただ、あらためて税金に群がるだけでしょう。
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四拾弐    イヤホンの危険性(2022/1/16)
 ウォークマンからポータブルMD、次いでiPodが席巻し、今はスマホが携帯音楽プレーヤーとして若者に必須のギミックとなっています。若者はいずこであってもスマホを開き、SNSチェックかゲームに興じるか音楽を聴くかです。さすがに歩行中とか所用中にゲームは無理ですから、まずはイヤホンで音楽を聴いています。

 私はオーディオ(準)マニアなので、イヤホンの危険性を熟知しています。止めときゃいいのにとか、もう少し控えればいいのにとか心配する老人です。ヘッドフォンやイヤホンはできるだけ使わないに越したことないのですが、使うなら用法に留意しなければいけません。次の記事が参考になります。

 大きな音でなければ“ヘッドホン難聴”にはならないが間違っている理由

 記事中にあるWHOと国際電気通信連合が示した「音曝露許容量」ガイドラインが参考になります。

 ここに書かれていることは、昔から常識です。工場勤務で大音量や刺激音を聴きつづけていると、わりとすぐに難聴になります。工場などで強い刺激音に晒されると、外へ出たときキーンと耳鳴りに襲われるでしょう。これが日常になると、日を措かず難聴に突入するでしょう。また、老人と同居していると、TVの音声が聴き取れないとかで音量を上げがちでしょう。それに慣れると、同居人まで耳が大音量に慣れてしまいます。

 なお、紹介文の前回記事に次の記述があり、イヤホンの危険性がよく解ります。

 そしていまWHOが若者に向けて積極的に出しているメッセージがこれです。
     〜 中略 〜
 イヤホンの最大出力はおよそ120dB。少なくとも日本製とアメリカ製のものの仕様はそうなっています。このイヤホンでスマホの音量目盛りを60%未満にしたとき、最大値はおよそ91dBとなりますので、設定画面であらかじめ最大音量を制限しておくのが一番です。


 60%未満でさえ91dBという数字に驚かされます。91dBというのは、前方配置のスピーカーだと、大音量で鳴らしている状態です。その音量を耳至近で恒常的に使用すれば、若くして難聴に突入するのも当然です。

 弐百九拾四 オーディオ閑話休題(2007/4/7)に書いたように、私もオーディオ初購入時にヘッドフォンも購入しました。音質はコンデンサ型だったので、低音の量感が不足すること以外、設置スピーカーとは隔絶した高音質でした。気に入ったものの、外部スピーカーの迫力優先で不要と判断しました。金に困ったこともあって、友人にすぐ売りました。
 この判断は大正解で、ヘッドフォンを使用しなかったおかげで耳の寿命も少し伸びたでしょう。などといいながら、40代後半から高音の聴き取りが難しくなり、同時に音がきつく感じられ、60代で耳鳴りが始まりました。今や典型的な耳鳴り老人に成り果てています。
 若い方々には、上記危険性を認識してほしいのですが、きっと耳を貸さないでしょうね。若い時の私もそうでしたから。

 なお、ヘッドフォンと書きながら、イヤホンと書いているのは、それぞれ個人的な慣れなので無視してください。
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四拾壱    新型コロナ終息のチャンス(2022/1/9)
 1月4日にWHOがオミクロン株について見解を発表しました。翌日の日経新聞の「WHO、オミクロン型の症状「軽い」 重症化リスク低く」から引用します。

 世界保健機関(WHO)で新型コロナウイルス対策チームのマフムード氏は4日、変異型「オミクロン型」の症状に関して、他の変異型よりも軽い可能性が高まっているとの見方を示した。鼻やのどなどの炎症を引き起こしやすいものの、肺に達して重症化するリスクが低いとした。

 WHO以外からも同様の報告が世界中から届いています。

 沖縄県からは、発熱(72%)、咳(58%)、だるさ(50%)、のどの痛み(44%)などの風邪症状が中心だそうです。

 
英国インペリアルカレッジロンドンからは、オミクロン感染者はデルタ感染者より、病院にかかるリスクが20〜25%、一晩以上入院するリスクは40〜45%低いです。

 エディンバラ大学からは、11月1日から12月19日までの入院データを参考にオミクロンはデルタに比べて入院するリスクが3分の2低下しているです。

 デンマークからは、オミクロン感染者の0.6%が入院したのに対し、他の変異株の感染者の入院は1.6%であったとしています。

 香港大学からは、オミクロンは気管支内で、デルタや通常株と比べて速く増殖するのと対照的に、肺内での増殖速度は相対的に非常に遅い可能性を示唆しています。

 このとおりなら、ワクチン接種が行き渡ったこの機を捉え、むしろ積極的に罹患しておくのが正解でしょう。幸いなことに、感染力はデルタ株をもはるかに上回るそうですしね。

 英国インペリアルカレッジロンドンの研究では、新型コロナウイルス感染歴のある人にとって、デルタ株での再感染よりもオミクロンでの再感染のほうが5.4倍起こりやすい(ワクチン未接種の場合6.36倍、ワクチン接種後では5.02倍)ことが示唆されています。

 上記のような症状の説明を聞くと、完全にインフルエンザ同等と看做していいんじゃないでしょうか。インフルエンザ罹患時の対応は、学校、会社、保健所など、何処でも対応指針もあって手慣れています。
 留意事項も大多数に行き渡っていますしね。十数年前にインフルエンザ狂騒が繰り広げられ、その際に注意喚起が何度も為されました。高齢者、妊婦、基礎疾患のある方は罹患しないこと、そのために人ごみに出かけないよう自制が求められました。

 まさにこれですよ。まして、ワクチン接種が済んでいるなら、そんな恐れる必要はありません。むしろ、積極的に罹患して耐性を高めておくべきです。そのように考えれば、馬鹿な経済活動自粛などせず、これまでどおり粛々と社会生活を営むべきなんです。
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