建白TOPへ

六百八拾   京大の色覚理論が意味不明(2014/11/16)
六百七拾九  どうなってる日本の外交(2014/11/8)
六百七拾八  最近の世相(2014/11/2)
六百七拾七  巨編『凍てつく世界』(2014/10/26)
六百七拾六  普天間閉鎖の嘘(2014/10/19)
六百七拾五  ノーベル賞こもごも(2014/10/12)
六百七拾四  アメリカの短視眼的対応の罪(2014/10/5)
六百七拾参  大規模災害避難訓練(2014/9/28)
六百七拾弐  中村美里大復活(2014/9/20)
六百七拾壱  有効求人倍率に関するまじめな考察(2014/9/13)
六百七拾   中高年の星(2014/9/6)
六百六拾九  日米貿易摩擦の中国版再来(2014/8/31)
六百六拾八  『銀翼のイカロス』堪能すべし(2014/8/24)
六百六拾七  まさかのキエフ市長(2014/8/16)
六百六拾六  日露友好の細道(2014/8/10)
六百六拾五  決して芸術論争ではない(2014/8/3)
六百六拾四  海兵隊の一体的運用の嘘(2014/7/27)
六百六拾参  本物の輝き(2014/7/20)
六百六拾弐  日本の国防はなんなの(2014/7/13)
六百六拾壱  懐メロにメロメロ(2014/7/5)




六百八拾   京大の色覚理論が意味不明(2014/11/16)
 京大霊長類研究所の正高信男教授グループによる論文が2011年9月に発表されました。次にリンクしています。

 なぜ人間と高等サル類のみで色覚は進化したのか

 人間が高度に色覚を発達させたのは、視覚によって蛇を素早く見つけるためとか主張しています。本当かよ、です。むしろ、人間の色覚が一番役立っているのは、青い果実と熟して赤みを帯びたのを判別するためじゃないかと思いますけど。食事のための収穫目的ってのが妥当だと思いますけど。

 ところで、上の研究グループが上の研究結果を以って、最近は別のことを主張しています。

 ダーウィンは正しかった、恐怖は人の強み

 恐怖感情を抱くことは、認知情報処理を妨げるという心理学の知見を覆すものだそうです。
 一方で、ダーウィンの「恐怖を抱くことは人間の強みになる」との考えを検証したそうです。3原色を構成する赤、緑、青各色の蛇と花の写真を見せ、その際の写真の色の回答を求めたところ、蛇の色を答える方が回答が早かったそうです。この実験結果から「恐怖は理性的判断を行うに当たって良くないという定説は覆った」と結論づけています。

 なんか変な話です。同じ実験結果を以って、以前は危険回避のために色覚が発達したといい、今回は全く別な知見に結びつけています。
 危険物に対して優先的に注意が向くのは、当然というか何の不思議もないでしょう。その話が何で「恐怖は理性的判断を行うに当たって良くないという定説は覆った」なんてことになるのか理解できません。

 以前の色覚発達の目的にも首を傾げましたが、今回の恐怖心が理性的判断を行う際に問題なしとする結論づけもおかしな話です。
目次




六百七拾九  どうなってる日本の外交(2014/11/8)
 安倍首相が壊れ始めました。日中首脳会談を望んでいる国民なんて一部でしょう。大方の希望は、そつ(口卒
啄同時でしょう。機が熟し、必要となれば両者が必然的に歩み寄ることを期待していることと思います。無理して譲歩することなんて望んでいないはずです。

 日中首脳会談の下拵えとして、事務方が会談実現のための前提として合意文書を作成しました。これが物議を醸しています。問題視されているのは、4項目のうちの一つです。

 尖閣諸島など東シナ海の海域で近年緊張状態が生じていることに異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態を回避する。

 この「異なる見解」についての外務省見解というのが次の言い訳です。

 「『緊張状態が生じている』にかかっている」
 「尖閣の領有権をめぐるものではない」
 「日本の立場が後退したとか損なわれたとかは一切ない」


 どう取り繕おうと日本外交の敗北です。つい最近までの日本の公式見解が変更されたのですからね。諸外国からすれば、日本の言い分というのは峻然としたものでなく、適当に変更されうるものだと解されるでしょう。
 この件はきっと悪しき前例となり、今後の日中間の各種係争案件を談じる際、中国側のよきお手本となるでしょう。どんどん圧し込めばいい、そのうち日本側が日和ってくれるってね。

 安倍首相のせいなのか、外務省のせいなのかは知りません。しかしながら、野田前首相が領土係争案件について示したよきお手本もぶち壊してくれました。
 クリントン氏もまた、聞けば脱力するでしょう。民主党大敗で、今はそれどころじゃないでしょうが。せっかくリップサービスとはいえ、尖閣の施政権が日本にあることをアナウンスしてくれたのに、肝心の日本側が後退していちゃ、もはや知らん顔されても仕方ないんじゃないですかね。

 中国側は今頃祝杯を上げていることでしょう。まさに外交的大勝利というやつです。あげくにAPECで予定されている会談を、首脳会談に位置づけないとか言いたい放題です。一体誰が、こんなぶざまな方策を描いたのか。私ゃ国士に縁遠い人間ですけど、こういうのは許せません。朝から若干血圧が上がり気味です。

 あげくに昼間のNHKニュースのえぐいこと。上のニュースに接した中国市民のインタビューだけを流していました。この編集はおかしいでしょう。今さらですけど。
目次




六百七拾八  最近の世相(2014/11/2)
 アベノミクスに対する批判それなりに行われています。なかでも赤旗さんには香ばしいものがあります。なんか赤旗さんは怖そうなので、引用はしません。

 赤旗さんはリーマンショックから円高不況に連なる時期に、政府の政策を非難していたのではないですかね。そうであるなら、現況はむしろ褒めていいはずなんですけどね。
 私ゃ、経済の門外漢なので、景況についてはよく分かりません。しかしながら、円安に振れたおかげで曙光が射してきたとの感想に間違いはないと思うのですが。

 輸出量は増えなくても、ドル建て高価格効果は極めて大きいんじゃないでしょうか。専門家が言うには、輸出の際の数量増加効果より価格効果の方が利益寄与は3倍も大きいそうです。
 円安による輸入価格高騰で中小企業が音を上げているとか報道されていますけど、円高の際に中小が廃業を余儀なくされた事例に比べれはまだしもでしょう。マスコミさんには当時の映像を並べて報じていただきたいです。そもそも倒産件数が大幅に減少していますしね。
 それに、輸入価格高騰によって、国内事業者への生産転化も起こり始めているそうです。こういうポジティブな面も報じていただきたいです。

 私ゃ、円高/円安は行って来いの関係だと思っていますが、雇用確保の観点から円安であるべきと考えます。円安に振れて以降の景況は好ましいもので、今後大切なのは円安傾向が確実に維持されることです。幸いなことにドル高が当面保障されそうですし、原油価格も下落傾向だし、事業者には投資マインドと好条件雇用を指向していただきたいです。


 本日のNHKニュースで、ウクライナ情勢を伝えていましたが、随分偏った内容でした。
 東部で実施された独自選挙の正統性に疑義が呈されていました。それを言うなら、そもそも現ウクライナ政権が非合法手段によって樹立されたものであることを常に指摘しなきゃおかしいでしょう。
 また、キエフの現況というのが、ナチ時代の突撃隊による言論制圧状況のまんまでした。このような状況をもたらしたのが、欧米による支援であったことを忘れないようにしましょう。

 メルケルさんがプーチンさんに東部への干渉を止めるよう繰り返し伝えていたそうです。しかし、プーチンさんの立場からしたら、とても知らん顔をできんでしょう。メルケルさんは引き続き経済制裁を強めるそうですけど、輸出側であるドイツは、自国経済にダメージを重ねているようですね。こんなものにつき合わなきゃならん日本は大迷惑です。
 日露間でガス取引の重要案件が控えているというのに、ロシア側待望の外務大臣訪露も見送らなけりゃならない模様のようで、欧米側は本当にいらんことをしでかしてくれたものです。
目次




六百七拾七  巨編『凍てつく世界』(2014/10/26)
 今年の2月頃に購入していたケン・フォレットの『凍てつく世界』を読了しました。あまりの大作のため、手をつけるのが躊躇われ、秋の読書シーズンまで放っておいたのです。

 本作は、フォレットが自身の集大成として構想している“百年三部作”の続編に当たります。前作『巨人たちの落日』から3年を空け、満を持しての発売でした。20世紀を横断する大河小説で、ちょうどアーチャーの『ケインとアベル』と似たような構成となっています。
 前作は第一次世界大戦前夜から戦後の混乱までを描いています。イギリス、ロシア、ドイツ、アメリカの4か国が舞台の中心となり、時代を生き抜く数多の男女の半生が活写されています。その他、オーストリアやフランスも対象となっています。
 面白いのは、フォレットがイギリス(ウェールズ)生まれなので、いきおいイギリス事情が詳細なのものになっています。そのため、イギリスの登場人物たちは、イングランド、スコットランドそしてウェールズ各地の人士が重要な役割を果たしています。

 また、各国ともに実在の人物もまた数多登場し、歴史を動かせていきます。フォレットもまた、アーチャーやゴダート同様に歴史を得意としています。『大聖堂』『大聖堂 果てしなき世界』『ピラスター銀行の清算』『自由の地を求めて』など、いずれも歴史に材を採った大作です。

 そして、『凍てつく世界』です。これは、前作の登場人物に加え、その子供たちが中心に据えられています。第二次世界大戦前夜から戦後までを描いています。
 ドイツにおけるナチの台頭を前章として、イギリスの政治的混迷。ファシズムのスペインへの波及、ファシズムとコミュニズム、あるいは西側世界それぞれの陣営で、主人公たちがもがき苦しみます。悲劇が続き、やがて大戦へのカタストロフィへと突入していきます。

 完結篇は来年の刊行でしょうか。戦後の冷戦構造の中、本作の登場人物とその子供たちが主人公となるそうです。多分、本シリーズはフォレットのライフワークに位置づけられることと思います。
目次




六百七拾六  普天間閉鎖の嘘(2014/10/19)
 アメリカ政府は、「2019年に普天間を閉鎖するって、なにそれシラネ」って言ってますね。そのような協議は為されていない、辺野古が完成するのはずっと先なんだから、勝手なこと言うなってことですね。

 日本政府が辺野古移設の反対勢力を静めるため、なんの目算もないスケジュールを一方的に発表したわけです。で、本格的に工事が進捗さえすれば、あとは適当に誤魔化せばいいという考えなのでしょう。これは明らかに沖縄知事選を睨んでの配慮なのでしょう。

 こういう嘘がまかり通るのは、ほかでもない日本人そのものが許容しているからです。多分諦めの境地なのでしょう。日米安保という牙城には、国民の声を届けることが不可能という諦観が染みついていることでしょう。

 誤魔化しはそれだけではないと思われます。政府は、辺野古に軍港は建設しないと公言しています。しかし、絶対に嘘です。辺野古に予定されている滑走路は、極めて短いのです。普天間に比べても1,000m近く短いかと思います。これでは輸送機の発着が難しいのではないでしょうか。
 その上、軍港なしだとまともな運用ができないはずです。物資の搬入・搬出をどうするのか。大量の人員集積の際に、別の港から陸路移動してくるのか。素人にはとうてい理解できません。
 辺野古基地の運用開始に伴って、そのような不備を言い立て、必ずや軍港建設にかかることと思います。

 それもこれも、取りあえず嘘でもいいから世論を静めておけ、という姑息な手法なのでしょう。これが日本の国防政策なんですね。昔からこんなのばっかりです。
目次




六百七拾五  ノーベル賞こもごも(2014/10/12)
 マララ嬢には平和賞受賞おめでたいことです。17歳の娘さんなのに、立派なメッセージを発しています。
9条で受賞などと、他人の褌で相撲を取ろうなんて輩は恥入るべきです。マララ嬢の言うとおり、教育こそが第一歩かと思います。

 子供の養育に責任を持つことや、虐待を唾棄すべきものとする感情は、世界共通の認識でしょう。また、マララ嬢は女性への教育付与もまた訴えてきました。そのために銃撃さえされたのですから。
 イスラム社会のことは知りませんが、女性の人権を大幅に制限することを当然のこととしたり、子供を洗脳して兵士に仕立て上げたりが伝えられています。そのイスラム社会、特にタリバン相手に発信するのは自殺行為にさえ等しいことです。
 マララ嬢の志は本物かと思います。

 村上氏はまたまた不発でした。村上氏もいいかげんに己を知ればいいのに。いえ、村上氏の小説を読んだことはありません。私のこれもまた、嫌らしい因縁づけですけど。
 村上氏については、小説以外の面で抜き難い嫌悪感があるからです。そのあたりの事情は、五百七拾八  卑しき村上春樹  (2012/9/29) で書いています。

 化学賞の受賞者の中村氏、ニュース吠えていました。米国内でのインタビューだったでしょうか、日本を罵倒していましたね。一方、アメリカは十分に報いてくれるとも。

 ふ〜ん、ってなもんです。アメリカの方がよりシビアなんじゃないですかね。企業内研究者だけでなく、大学研究者でもアメリカは厳しいものです。高名であるとか、実力があるとかでないとあっさり頸を切られるそうですから。
企業や軍とかから研究が依託され、そのための研究費が大学に支払われます。ですから、大学側はどれだけ研究費を外から引っ張れるかを査定するそうです。引き合いのない研究者は、すっぱり契約を打ち切られるそうです。ポスト・ドクとして在籍していた方の本に、契約時期のシビアな人間模様が描かれていました。

 最先端で地歩を固めているような研究者は心配ないでしょう。しかし、有象無象の人間は、いきおい自分を大きく見せるためなのでしょう、やたら主張したりのメンタリティが頷けます。謙譲なんてメンタリティだと、食えなくなるんでしょうね。OBOさんを見ていると、見事に体現しているかと。
 中村氏は成功組としての面からだけで語っているのではないでしょうか。
目次




六百七拾四  アメリカの短視眼的対応の罪(2014/10/5)
 中東がイスラム国の浸食に揺れています。この勢力の根源は、シリアの反政府勢力です。反アサド武装闘争への支援が、巡り巡って中東に混乱をもたらせているわけです。

 なんだかなあ、でしょう。この構図はこれまでにも嫌というほど見せられています。一番大きな問題になったのは、イランの反米機運に対抗するため、アメリカはイラクを支援しました。その結果、イラン・イラク戦争を惹起し、7年の長きにわたって両国は疲弊し尽くしました。
 日本も無縁ではありませんでした、三井だったかがイランに建設した石化プロジェクトは灰燼に帰しました。あの完成間近だったプラントは本当に残念でした。日本とイラン双方にとっても意義深いものでしたから。
 そのフセイン政権を崩壊させ、イラクに未だ終わりなき混乱をもたらし、今回のイスラム国の浸食も招いているのです。まったくアメリカは過去に学びません。そのために、そこに住む国民は大迷惑です。責任を取るべきは、まぎれもなくアメリカであるべきです。

 アフガニスタンの混迷もまた似たような構図です。ソ連によるアフガン侵攻を奇禍として、アメリカはアフガンゲリラに支援を行い、それが今日まで続く混乱の元となっています。アフガン再生の責任も果たさず、日本なんかいい迷惑です。

 混乱の続くウクライナも同様ですね。ウクライナの件は現在進行中で、誰でもが呆れたことでしょう。キエフの連中は選挙を嫌って暴力で政権を奪取し、自分たちに都合の良い政権をでっち上げ、ロシア語を公用語から外そうと画策しました。ここまでやれば、そりゃあ反発を食らうのは自明のことです。ここまでの出鱈目を仕出かしたのは、EUやアメリカの支持を得ていたからでしょう。

 EUにしろアメリカにしろ、自分たちの仕出かしたことなのですから、きっちり責任を取るべきです。しかし、現実にキエフ政権に手を差し伸べたのはロシアですね。ウクライナ政府軍が実力の限界を晒し、打つ手なしの状況で、両者の調停役を果たしました。

 実際の構図はこのようなものですが、ニュースで伝えられる内容は違っていたかと思います。明らかにEU、あるいはアメリカ寄りの報道であり、なにを言ってやんでえ、ってなもんでした。

 アメリカは必ずしも悪意でやらかしたものではないでしょう。東西冷戦下での冷徹な判断であったり、対イランを睨んでの均衡を狙ったり、あるいは民主主義の布教であったのかもしれません。しかしながら、結果は最悪でした。短視眼的な戦略がもたらしたものは悲劇でしかありません。そこに住んで、生活する人々が血と涙を流すばかりです。アメリカはインドシナに引き起こした悲劇からなにも学んでいません。
目次




六百七拾参  大規模災害避難訓練(2014/9/28)
 南海トラフ大地震が今後数十年間の間に70%の確率で起こることが提起されています。各府県や市町は、地震に備えた体制づくりや訓練を実施しているところです。
 本日、当地の自治会もモデルケースとして訓練が行われました。今回の眼目は、避難行動要支援者に対する支援を含む避難訓練でした。早朝から昼までの半日がつぶれまして、あ〜あな休日になりました。

 行政側関係者にはご苦労なことであり、お気の毒なことですが、いち参加者としては勘弁してくれよってなものです。いえ、避難通報、避難経路安全確認、要介護者支援などの訓練は有用だと思いまし、やるべきではありましょう。
 しかしねえ、行政側としても世間から求められているから、やらざるを得ない面があります。震度6以上の震災ともなれば、その際に何が起こるかなんて見当もつきません。多分、ご近所さんの安否確認が必要になるでしょうし、救護活動も必要かもしれません。
 今回の訓練のような集合・移動手順は通用しないでしょう。まして、私にしてみれば大震災があった場合には、市主導の避難行動に加わるわけにはいきません。仕事関係の役割があるからです。

 この件は、非常に重大な問題を孕んでします。近所間の救護避難活動も重要ですし、仕事関係ではより大きな枠組みでの役割分担があります。どちらも重要案件で、果たして選択でき得るものなのか。この件に関する答えは誰も示してくれません。もしものときに、一体どうせいちゅうんじゃ。

 御嶽山の噴火がニュースになっています。噴火予測は不可能に近いらしいですね。その一方で、地震予知については、東大の名誉教授の方が国土地理院の電子基準データによる変異観測で、見事に予測していますね。仮にこの方の研究が正しいのだとすれば、有意な予知が可能になりますね。
 しかしながら、地震学会はよそ者の成果を認めるのを嫌がるでしょう。認知されるにはまだまだ時間がかかりそうです。
目次




六百七拾弐  中村美里大復活(2014/9/20)
 仁川アジア大会初日が行われました。女子柔道52kg級に出場した中村美里選手が、見事な復活劇を演じました。
 ロンドン五輪後、靭帯再建手術を受け、再始動していたところですが、コンディションに一抹の不安がありました。昨年だったかの大会で、西田選手に敗れていますから。本来であれば、今の中村選手はもはや西田選手には追いつけない存在ですから。

 初戦は不戦勝で、これは喜べません。一回戦を闘うのは意味があります。大会の空気に慣れたり、身体を暖めるのに重要ですから。

 ロンドン五輪の初戦で北朝鮮の安選手に敗れたのは、まさにこの故でした。試合開始直後、投げを仕掛けたところを逆に返されたのは記憶に新しいところです。あのとき、まだ暖まっていないなかでの仕掛けとあって、キレが足りませんでした。技ありを取られてからの中村選手の攻めは圧巻でした。実力者の安選手が躱すのに精一杯でしたから。

 あの敗戦から見事に復活しました。以後の試合を、まったく危なげなく下して見せました。特に、準決勝、決勝共に相手に何もさせないという横綱相撲で、女王の貫録でした。
 下図は決勝の小外刈りの瞬間です。流れるような左足の動きです。相手の踝に自身の足を吸着させたようにコントロールしています。
(C)TBS


 足の仕掛けと上体のコントロールが一体となって、相手は為すすべもなく背中から落ちました。


 試合に臨む態度がいつものことながら美しいものでした。道着に一切の乱れがないのです。今大会の女子選手は、全般的に道着の始末に気を使っていました。駄目だったのは韓国の男子選手です。まるで、道着を正すのが損だとばかりにはだけていました。

 中村選手が女王として君臨するのは、世界の柔道界全体にとってもよきことです。彼女の佇まいが、すべての柔道家のお手本となるからです。本当にいい娘です。
目次




六百七拾壱  有効求人倍率に関するまじめな考察(2014/9/13)
 週刊ポストのWeb版にとんでもない記事が書かれていたので俎上に上げます。

 アベノ不況 正規社員1か月で17万人減少し求人倍率は0.68倍(2014.09.10)

 7月の有効求人数は前月比0.5%減と4か月ぶりに減少。新規求人倍率も前月から悪化し、新規求人数も前月比マイナス1.5%と減少した。こうした統計データを見るだけでも、雇用情勢が厳しいことは明らかである。

 そして、より深刻なのが、「雇用の中身」だ。雇用者全体の数を見ると、7月は5613万人。1年間で約50万人増えている。ただし内訳を見ると、7月の正規社員数は3,307万人で、6月の3,324万人から1か月で17万人も減少している。第一生命経済研究所の首席エコノミスト・熊野英生氏がいう。

 「財務省の法人企業統計を見ると『人員数(従業員+役員)』は減少傾向が続いています。ところが、総務省の労働力調査では『雇用者数』は増えている。なぜこんなギャップが出てくるのか。それは『人員数』の中に派遣社員が含まれないからだと考えられます。つまり、この差こそが非正規社員の増加を示している。『雇用者数』を押し上げているのは派遣労働者の増加なのです」

 7月の有効求人倍率は1.1倍だが、正規社員の求人倍率に限れば0.68倍に過ぎず、求人統計を押し上げているのもパートなどの非正規雇用なのだ。労働運動総合研究所の藤田宏・事務局次長はこう解説する。

 「第2次安倍政権が発足した2012年12月、正規社員数は3330万人でしたが、今や3307万人と20万人以上減っている。一方、1843万人だった非正規は1939万人と約100万人増えています」

 政府と御用新聞が伝える「雇用回復」は、正規が減って非正規が増えている現象に過ぎないのだ。


 この記事は統計データを恣意的に扱っている典型かと思います。ただし、嘘のつき方が下手で、元データに当たられると嘘が丸分かりというお粗末な文章です。

 7月の有効求人数は前月比0.5%減と4か月ぶりに減少。新規求人倍率も前月から悪化し、新規求人数も前月比マイナス1.5%と減少した。こうした統計データを見るだけでも、雇用情勢が厳しいことは明らかである。

  有効求人倍率は景況にリンクしています。ここ数年の有効求人倍率の推移の原因は、おおざっぱに言って、対中ミニバブル → リーマンショック → 震災 → 超円高 → そして回復の流れです。特にここ2年間の回復基調は実に明確です。でありながら、前月比較で減少したからといって、“アベノ不況”のレッテル貼りを行っています。

 厚生労働省の元データ「求人・求職及び求人倍率の推移」をご覧ください。7月の減少なんて微減でしかありません。普通であれば、好調な状況が続いているんだなあの感想でしょう。きっとポスト誌は、正規、非正規の格差特集を企画した関係から、無理やりに景気減退を印象づけたかったのでしょう。
 その非正規問題についても、同じ手口を使っています。

 7月の有効求人倍率は1.1倍だが、正規社員の求人倍率に限れば0.68倍に過ぎず、求人統計を押し上げているのもパートなどの非正規雇用なのだ。

 「正規社員の求人倍率に限れば0.68倍に過ぎず」なんてのは、悪印象を与えるためのわざとらしい表現です。正規社員の求人倍率については、以前は非常に悪かったものを、ここ2年の間に徐々に上昇し続け、今や7割近くまで向上しているのです。

 有効求人倍率の全数分、パートを除く分のいずれもが、極めて良好な状況にあるものを、あえて悪印象を与えようとする恣意的な記事です。こんなのは元データを確認されたら、嘘が分かっちゃうのにね。編集者も何を考えているのでしょうか。
目次




六百七拾   中高年の星(2014/9/6)
 昨日、中日ドラゴンズの山本昌投手が、阪神戦でプロ野球史上最年長記録を更新する49歳0か月での勝利を収めました。この記録はまさにレジェンドというべきものです。
 かつて“中年の星”とかのキャッチが流行りました。しかしながら、49歳ともなれば中年でなく、中高年齢者の範疇になります。身体能力がベースであるスポーツ、それも最強の舞台であるプロの世界で成し遂げた山本選手には、レジェンドの称号がぴったりです。

 ところがですね、上には上がいるものです。ボクシングIBF世界L.ヘビー級王者のバーナード・ホプキンスは、49歳4か月でWBA王者との統一戦に勝っています。ホプキンス以前だと、ジョージ・フォアマンの45歳での戴冠が最長記録です。ホプキンスは数年前からその記録を大幅に塗り替えています。

 今後、果たして50歳過ぎまで王者として君臨するのでしょうか。世界中のボクシングファンが注目しています。私ゃ、十分に可能ではないかと期待しています。スタミナ面以外に死角はないでしょう。スピード、パンチ力、ディフェンス能力、位置取りの駆け引きなど、すべてにおいて全盛期に遜色がありません。

 対戦相手がファイタータイプの場合は厳しいでしょう。ゴリゴリと距離を詰めての打ち合いとなれば、否応もなくスタミナの消耗を余儀なくされますから。
 一方で、ボクサータイプの場合は大いに有望です。たまのチャンスにハードヒットでポイントを奪い、あとは主導権を執っているように見せかけながら、流して判定勝利をものします。まことに巧みです。

 しかも、相手がサウスポーでも苦にしません。むしろ、お得意さまにしているくらいです。アントニオ・ターバーから3度のダウンを奪っての大差判定勝利、ジョー・カルザギには惜しい判定で敗れたものの、やはりダウンを奪っています。彼らサウスポーに対し、右回りにステップした瞬間に右クロスを打ち込んで大きな効果を上げています。憎いまでにボクシングを知り尽くしています。

 ホプキンスのライバルであったロイ・ジョンズJrもまた、復権を狙って再起動しています。45歳になるロイは5階級制覇を狙ってクルーザー級挑戦に虎視眈々の構えです。
 こちらの方は難しいのではないでしょうか。そもそも復帰の理由が税金滞納のためらしいともっぱらの噂ですから。
目次




六百六拾九  日米貿易摩擦の中国版再来(2014/8/31)
 SAPIO誌に次のような大前研一氏の寄稿があったそうです。

 集団的自衛権の行使容認によってアメリカとの関係は改善したものの、中国を刺激したことでアジアの緊張感は一段と高まっている。安倍首相はアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドやフィリピンなどの東南アジア諸国と仲良くやっていれば中国の膨張主義に歯止めをかけることができると考えているようだが、それは浅はかすぎる。実際は中国を硬化させ、火に油を注いでいるだけだ。

 これ本当ですかね。具体的に硬化した事例ってありますかね。海洋進出、ガス田開発、領土領海問題、尖閣国有化への反発、いずれも安倍政権とは関係ない話だと思いますけど。
 むしろ、以前の歴史をネタに日本に膝下従属を迫るような場面がなくなって平和なことです。そもそも政治が不通なものだから、迫る場がないので大助かりです。下手に交流の場があると、売国政治家が何をしでかすか知れたもんじゃないですから。それもこれも尖閣の衝突事件のおかげです。あれは日本にとって本当に有益でした。

 その点、日本のライバル国はもっと戦略的に動いている。ドイツはメルケル首相が大勢の経済人を同行して7回も訪中している。フォルクスワーゲンは7つの工場で300万台体制を築き上げ、GMを抜いて圧倒的占有率を誇っている。韓国も朴槿恵大統領が習近平国家主席と緊密な関係を築いている。ドイツや韓国は自国企業が中国で仕事がやりやすい環境を、国家元首自身が懸命に醸成しているのだ。

 ロイターによると

 中国国家発展改革委員会(NDRC)は20日、日本の自動車部品メーカー12社に価格操作などで独占禁止法違反があったと発表した。調査に協力した企業を除く10社に対し、計約12億元(約200億円)の制裁金を科した。
 NDRCの発表によると、制裁金額は、住友電気工業が約2億9,040万元(約48億円)、デンソーが1億5,056万元(約25億円)、ジェイテクトが1億936万元(約18億円)、古河電工が3,456万元(約5億7,000万円)。
 三菱電機は4,488万元(約7億5,000万円)、矢崎総業は2億4,108万元(約40億円)、愛三工業は2,976万元(約5億円)、ミツバは4,072万元(約6億8,000万円)。
 日立オートモティブシステムズは独禁法違反行為があったとして通知を受けたものの、調査への全面的な協力などにより、制裁金などの行政処罰はすべて免除された。
 19日にはNTN、日本精工、不二越も、中国当局から独禁法違反行為があったとの通知を受けたと発表した。NTNが1億1,916万元(約19億円)、日本精工が1億7,492万元(約29億円)の制裁金をそれぞれ支払ったという。不二越は調査協力により、全額免除だった。

 中国の独禁法の最初の適用はVWになりそうとのことでしたが、後回しのようです。ただし、VWへの制裁金の予想は300億円とかで、別格ともなっています。もちろん日本の自動車メーカー本体も狙われていますから、気をつけなければいけません。
 ただし、大前氏自身が書いているように、VWのシェアは別格だけに巨額の制裁金が科される見込みです。ドイツが特別扱いを受けているわけでもありません。
 大前氏って、いつも中途半端なことを書いてくれます。きっと自身の主張に都合のいいように切り貼りするから、こういうことが起きるのでしょう。


 で、このような日本叩きというか、むしろ外資叩きを見ていると、昭和50年代から60年代にかけての日米貿易摩擦を想起させられます。あの時期の難しさを知っているだけに、特段の危機感も覚えません。スーパー301条での報復関税、ITCの恣意的訴訟、議会人による感情的反発など、未だ記憶に新しいところです。また、同様の貿易摩擦はヨーロッパでも起こりました。

 その結果として、アメリカやヨーロッパに生産拠点を移してゆきました。中国に対しては、為替の問題と人件費の問題から、すでに現地生産が進んでいます。その現地で稼働している企業を苛めても、自分の頸を締めるようなものです。やり過ぎれば、撤退のベクトルがはたらくだけで、中国にしても痛しかゆしでしょう。
目次




六百六拾八  『銀翼のイカロス』堪能すべし(2014/8/24)
 先月刊行された池井戸潤氏の『銀翼のイカロス』には、感心させられました。私も大ファンである“半沢直樹シリーズ”の最新作です。

 前作『ロスジェネの逆襲』では出向させられていた主人公が、無事古巣に戻っていました。半沢は営業本部で従来どおりの審査業務に当たっていました。それが中野頭取直々の依頼で、審査部預かりになっていた業績不振の帝国航空を所管するよう指示されました。

 ここから物語は一気に突き進んでゆきます。帝国航空はどうみても日本航空を模しています。かつて半官半民故に長く政治の介入に苦しんだ経緯が反映されています。
 これまた民主党を模した進政党の女性政治家が国交省大臣に就任し、野望に燃え、手っ取り早い成果を上げようと介入してきたことから、半沢の苦闘が始まります。

 大臣が組織したタスクフォースは経営立て直しのため、銀行に債権放棄を迫ってきます。世論だけなく、銀行内部の勢力も敵に回して、半沢は原理原則を貫こうとします。
 変わらずの半沢節、たっぷり堪能できます。そして、物語の確信を形づくるのは、半沢の勤務する東京中央銀行の成り立ちにまで遡ります。二つの銀行が合併した経緯と旧銀行出身者同士の軋轢がここでも地下水脈として噴出してきます。

 融和をテーマとする中野頭取は、物語の最後にある選択を提示し、このシリーズの今後を予感させます。これで当分は、本シリーズを楽しめそうです。TVドラマも話題になったそうですが、私は見ていません。小説空間の絶妙さを再現できているとはとても思えないからです。半沢を演じる堺氏は、キャラが合っていません。残念な配役です。
目次




六百六拾七  まさかのキエフ市長(2014/8/16)
 本日、喫茶店で週刊文春を読んで驚きの記事に出会いました。あのビタリ・クリチコ氏がキエフ市長になっていたのです。紹介されていたのは、佐藤優氏のコラムです。
 ボクシングを引退した後、政治家に転身したのは聞き知っていましたが、まさかこんな大物になっていたとはね。

 なんか極右団体の党首でもあるそうです。それもネオナチどころの騒ぎでなく、暴力そのものを売りにしているそうです。ナチでさえ別途突撃隊を組織していたのを、クリチコの党は、党そのものが暴力組織だそうです。
 こんな為政になんの見識も実務能力もない連中が、ウクライナの中心で力を持っているのですから救いようがありません。日本もウクライナにはできるだけ係わらないのが正解でしょう。

 欧米も大変なことをしでかしてくれたものです。ロシアにしてみれば、ロシア系住民がいる以上、見て見ぬ振りもできないでしょう。東部や南部のロシア系住民は、暴力で政権奪取を図ったキエフの政治状況を受け入れ難いでしょう。いえ、むしろ恐怖をおぼえているのかもしれません。
 キエフ市長のことを知って、ウクライナのどうしようもなさをあらためて確信しました。

 クリチコは弟のウラジミールとともにボクシングヘビー級を制覇しました。主要4団体からアメリカ人王者を駆逐してしまったのです。レノックス・ルイスの引退が残念でした。統一王者であるルイス最後の試合がクリチコ戦で、ヘビー級史上最高といっていいモンスター対決でした。両者ともに2mの巨漢で、人間離れした豪打をぶつけ合いました。

YouTubeで見ることができるので、参考までにご紹介しておきます。ど迫力でっせ。
http://www.youtube.com/watch?v=7vchqCFmOe4

 この試合の前、2mをはるかに超える巨人ボクサー、ニコライ・ワルーエフとクリチコとの対戦が計画されました。残念なことにこの試合は流れましたが、替わりに本試合が実現したのです。本試合はヘビー級史上最強対決といっていいものでしたが、ワルーエフ戦も見たかったです。

 プーチンもサンボを修めているそうですが、クリチコとやれば鎧袖一触で殴り殺されるでしょう。まさに史上最強、無敵の政治家です。
 ちなみに、2m級ボクサーのデオンテイ・ワイルダーがアメリカの復権を成し遂げるかもしれません。1RKOを続ける期待の超ハードパンチャーです。
目次




六百六拾六  日露友好の細道(2014/8/10)
 8月7日に配信された時事通信から

 ロシアのメドベージェフ首相は7日、ウクライナ情勢をめぐる対ロ経済制裁の報復措置として、米国と欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダ、ノルウェーからの青果物、肉類、魚、乳製品の輸入禁止を発表した。期間は1年。制裁発動国の一つである日本は対象外だった。
 日本は、ロシアが編入したウクライナ南部クリミア半島からのワイン輸入禁止など経済制裁を科している。ただ、ロシアとの関係への影響を最小限にとどめる思惑から、日本の制裁は限定的だったため、プーチン政権は欧米とは異なる対応を取ったとみられる。
 7月17日のウクライナ東部のマレーシア機撃墜事件を受け、欧米はエネルギー、防衛、金融の基幹産業をターゲットに本格制裁を発動した。ロシアの報復措置は、安価な外国産品を輸入禁止とすることで国内価格高騰やインフレを招くとの懸念もあるが、特にEUへの打撃と揺さぶりを狙ったもようだ。
 メドベージェフ首相は、ウクライナ航空各社のロシアの空港経由アゼルバイジャン、ギリシャ、アルメニア、トルコ行きの飛行を禁止すると発表。欧米航空各社のロシアの空港を経由する便の運航停止も「検討中だ」と述べた。また、シベリア上空通過料などの条件を見直す用意があると明らかにした。 


 欧米の経済制裁に対する報復措置が本気モードです。経済制裁で効くのは、むしろ輸入禁止です。そのあたりのことを、ロシアはよく分かっています。ロシアには有意な輸出産業がありませんから、強い立場といえます。もちろんEUがガス輸入を拒否すれば、これは致命的ともいえる効果が生じるでしょう。しかしながら、ガスはEUにとって必需品ですから、手出ししようもありません。

 おもしろいのは、乳製品や農産物の禁止から日本を対象外にしていることです。プーチン大統領は、相当日本に気を使っています。また、アメリカとEUを名指しで、ロシア飛行場の利用制限まで言い出しました。ロシアは欧米の制裁に対して、正面きって引かない構えです。

 EUもアメリカもウクライナにちょっかいを出したことを激しく後悔していることでしょう。アメリカはこれまでにも、散々ぱら他国に謀略を仕掛けてきました。プーチンは引かずに正面から受けて立っています。私ゃ、プーチンを密かに応援しています。

 ところで、ロシアがフランスに発注したミストラルを横から購入するアイデアを広言する向きがあります。こういう無駄使いは止めましょう。揚陸艦が1〜2隻ウラジオに居留していたところで、特段の脅威と捉える必要もありません。放っておけばいいのです。どうせ近い将来、ウラジオで朽ち果てるのが目に見えています。

 なんとか欧米との協調路線を採りながら、その実、ロシアとの友好関係を壊さないでいただきたいです。プーチンとの協議の中で、念願の北方2島返還は可能と考えられます。この2島を足場にし、サハリンから液化不要のパイプライン構築を目指すのが日本の重要課題です。この路線を捨てることのないよう、政府には腐心していただきたいです。ロシアとの友好路線を強く希望します。
目次




六百六拾五  決して芸術論争ではない(2014/8/3)
 先日、怪しい事件がありました。漫画家のろくでなしこ氏が趣味の彫塑の素材販売で逮捕されました。素材というのが自身の性器なわけで、その3Dデータを販売したの問題となりました。

 逮捕に対して、弁護士がいろいろ反論しました。
 「女性器は現代美術ではありふれたモチーフですし、これを取り締まるのは表現の自由の侵害に当たると思います」

 これって嘘ですね。女性器を“ありふれたモチーフ”とする事実はどこにもありません。あくまでキワモノですよ。氏の作品を見ると、素人のお遊び程度のシロモノでした。それも趣味の悪い作品です。

 さらに、弁護士は「それなのに、メディアでは『自称芸術家』などと報道され」と憤慨していました。
 芸術は個の表現ですから、“表現者”あるいは“アーチスト”には違いないでしょう。問題は、作品が他者に感動を与える得るかどうかです。氏の作品はなにものでさえなく、これでアーチストを称するのは、厚かましいというか、自身を客観的に見つめることができないというか、哀れを催します。

 で、保釈されたろくでなしこ氏、やはり単なるお騒がせ人間でした。弁護士さんは赤っ恥ですね。

 ろくでなしこ氏「一人ひとりがま○こを使った面白い作品を作って欲しいという考えからでした。」
 記者「裁判で戦ったり、あるいは選挙に出て訴える気とかはありますか?」
 弁護士「不起訴になるかもしれません。選挙に出る気があるか?」
 ろくでなし子「ま○こ党…ですか?」
 英訳「Ma*ko Party?!」

 こんなのを指して、“自称芸術家”がけしからんとか怒っても、まったく説得力がありません。でもね、私ゃ、芸術性は否定しますけど、氏のアナーキーさは大好きですよ。
目次




六百六拾四  海兵隊の一体的運用の嘘(2014/7/27)
 朝日新聞デジタル から

 安倍政権は22日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の新型輸送機オスプレイについて、佐賀空港(佐賀市)への移転に向けた検討を佐賀県に要請した。沖縄の基地負担軽減の一環として、普天間飛行場の名護市辺野古への移設が完了するまでの間としている。ただ、地元の同意のめどが立っているわけではなく、米軍が受け入れるかどうかも不透明だ。

 武田良太防衛副大臣が佐賀県庁での古川康知事との会談で、自衛隊が来年度から導入するオスプレイの佐賀空港への配備を正式要請。その上で、「米海兵隊に佐賀空港を利用させることも政府としては視野に入っている」と述べ、自衛隊が配備するオスプレイに加え、普天間飛行場のオスプレイが佐賀空港に常駐する計画への理解を求めた。

 武田氏は会談後の会見で、「(移設予定の)辺野古完成までの間の暫定使用」とし、来年度政府予算の概算要求に関係予算を盛り込むため、今年8月末までに地元の理解を得たいとの希望を示した。



 なにを言っているのか、さっぱり理解できません。辺野古完成までの間の暫定使用だそうです。であるなら普天間にオスプレイは常駐しないのでしょう。

 「海兵の一体的運用は不可欠」と散々ほざいたのは一体どこの誰だったのか。それが故の辺野古移設だったはずです。沖縄にオスプレイが常駐しなくていいなら、「辺野古移設が唯一の解である」とする防衛省の論拠が自ら否定されるじゃないですか。

 せっかく米側には海兵隊を米本土やグアム、ハワイ、オーストラリアに後退ローテーションさせる案があるのだから、辺野古に飛行場なんて必要ありません。そこを無理押ししてまでして、沖縄に海兵隊を駐留させようと企図しています。そのために、わざわざ高額な税金や交付金を投入しています。辺野古に基地を建設するのに1兆円かかるそうです。きっと、それが飯のタネになる人士が存在し、またそれに群がる政治家や防衛幹部が居るのでしょう。私には、そのような人士が国賊にしか見えません。

 海兵隊の駐留が抑止力などと主張する方々、日本の国防の最優先課題は制空権確保でしょう。そちらはお寒い状況で、F15やF2の近代化なんかそっちのけで、オスプレイだの辺野古移設だのと、私には理解できません。
 さらに次期制空戦闘機なんかほったらかしです。現防衛大臣は、F35でいいんでないとか放言しています。なんかもうね、悲しくなります。
目次




六百六拾参  本物の輝き(2014/7/20)
 昨日、プロ野球オールスター第2戦で刺激的なドラマがありました。結論から言います。大谷翔平選手、この子一体なんなの。160kmを連発し、あげくに日本球界史上最速の162kmを放りました。

 最速記録は元横浜のクルーン選手が打ち立てていたのでしたっけ。彼は抑え専門の、速さが求められる役割でした。一方の大谷君は先発投手でっせ。しかも、野手としても一流で、先日はクリーンアップを打ってました。で、1試合2ホーマーの長打力を見せつけたばかりです。

 恵まれた体躯を駆使する天才ではありましょうが、同時に研究心の塊なのでしょう。でなければ、ここまでの成長は得られないでしょう。高卒2年目のルーキーでっせ。つい先日誕生日を迎えたばかりの20歳です。まったく信じられない存在です。

 かれこそ本物のヒーローですね。ただ一球で甲子園球場4万人の観客を沸かせ、どよめかせるのですから。ついついワールドカップ代表選手たちと比較してしまいます。「自分たちのプレーができなかった」「力を出せなかった」だのの恥ずかしい世迷言はもうたくさんです。「自分たちの力が世界に届いていなかった」「自分たちの今のプレーでは世界に通用しない」でしょう。この当たり前の台詞がなぜ言えない。彼らのメンタリティが理解できません。

 大谷選手は言葉でなく、162kmというピッチング、あるいは広い札幌ドームの逆方向にフォロースルーしなる打撃で放物線を描いて見せます。しかも大人になりたてのルーキーです。
 彼の成長を見ていると、多分NPB至上最高のプレーヤーに到達しそうな気がします。ダルビッシュ選手や田中選手さえ上回る成長ぶりです。これからのNPBは大谷選手を中心に盛り上がることでしょう。
目次




六百六拾弐  日本の国防はなんなの(2014/7/13)
 昨日のTBS報道特集で、開発中のステルス戦闘機のレポートが放映されました。一番興味深かったのは、前脚の付け根の辺りにずっとボカシが入っていたことです。きっと、なんらかのステルス対策が為されているのでしょう。

 番組の最後に、国産でいくか共同開発でいくかの決着が難関であるとの趣旨の発言がありました。ここが問題です。現在のプロジェクトが実施されている経緯については、元事務次官の守屋氏から説明がありました。独自開発に係る研究部分についてのみ、アメリカの了解を得たとしていました。実戦配備はまた別の話というわけです。

 であるから、政治家には頑張ってもらわにゃならんのです。それなのに現大臣は馬鹿というか、おつむが軽いというか、悲しくなります。今からF-35絶賛に勤しんでどうするの。
 制空戦闘の優勢確保こそが国防における最優先事項だというのに、腰が引けているというか、他人ごとというかね。外務省なんかも、アメリカ様の言うことを聞いておけ、なんでしょう。

 試験機を完成させるには、さらに膨大な開発費がかかるでしょう。でもね、その原資はたっぷりあるみたいですよ。辺野古に1兆円かけて、いらん飛行場をつくるくらいですから。あの広大で美しいビーチを潰すのは愚挙です。あげくに、米軍兵士専用のリゾート施設になりそうじゃないですか。それを日本の税金でやろうってんですよ。
 もう言い飽きましたけど、嘉手納にヘリポートをつくれば済む話です。


 共同通信から

 在沖縄米軍トップのウィスラー沖縄地域調整官は11日、ワシントンで記者団に対し、沖縄県・尖閣諸島が中国に占拠されても奪還できるとの認識を示した。

 ウィスラー氏は「脅威を取り除くために(兵士を)上陸させる必要すらないかもしれない」と述べ、在日米軍が持つ海と空からの攻撃能力に自信を見せた。


 米軍が動くかどうかは別にして、海空での攻撃で殲滅できるのは軍事常識でしょう。この当たり前のことを米軍が言明したわけです。さあ防衛省様、オスプレイでの強襲だの、敵前上陸のためのAAVだの、弾道弾による着弾牽制だのの理由づけで整備しようとしている装備を見直してもらおうじゃないの。
 従来の要求理由がありもしない嘘ってことになりますからね。


 本来であれば、こういう点についてマスコミが報じるべきです。でも期待できないし、してもいません。むしろ、期待したいのは安全保証委員会、外交防衛委員会です。ところが、これが機能していないんですね。アメリカ上院の軍事委員会だと、グアム移転の事前評価や見積もりが甘いと指摘し、予算を凍結しましたね。あれがあるべき相です。辺野古移設案なんか、問題点だらけですから。

 先日来、世間を騒がせていた憲法解釈の問題と同じです。いいかげんな事業内容であろうと、みんなで渡れば怖くない式に、うやむやのまま誤魔化しを押し通す姿勢です。
 私も、こうやって愚痴らんとやってらんないです。
目次




六百六拾壱  懐メロにメロメロ(2014/7/5)
 久しぶりに懐メロディスクを購入しました。にしきのあきらと野村真樹のカップリングものです。こういう懐かしい曲は You Tube で聴いていますが、原曲が聴きたくなったのです。

 両者それぞれ6曲ずつの構成で、40数年前の名曲揃いです。一番聴きたかったのは、にしきのあきらの『熱い涙』と野村真樹の『歌舞伎町の女』です。どちらも私が中学2年の頃に流行った曲です。



 録音は可もなく不可もなくで、歌謡曲らしい素直なものです。ボーカルものなので、歌唱を生かすような録音です。いんじゃないでしょうか。

 それにしても、今のアイドルの子供っぽいことか。にしきのにしても野村にしても、この当時20代前半のはずです。思い出すに、ずいぶん大人びていたかと思います。いえ、今の若者が子供っぽいのでしょう。当時の歌手の卵というのは、作曲家とかに弟子入りして、私的な雑用係をこなしながら修行とかしていたと仄聞しています。
 下積み時代を経たからといってデビューできるわけもなく、この両者は運がよかったのでしょう。いっときとはいえ、輝くことができましたから。そして、私のように今になってもディスクを買う奇特な人間もいるわけですからね。

 懐かしい曲を聴きながら、次にカラオケへいく機会があったら『熱い涙』や『歌舞伎町の女』を歌ってみようかなとか考えています。
目次