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九百弐拾  生ごみ処理(2019/8/25)
九百拾九  刀補修完了(2019/8/17)
九百拾八  表現の自由(2019/8/10)
九百拾七  禁煙挫折中(2019/8/3)
九百拾六  Windows10 設定ぼちぼち(2019/7/27)
九百拾五  偉大なり、マニー・パッキャオ(2019/7/21)
九百拾四  村田選手復権(2019/7/13)
九百拾参  「このミス」名作備忘録(2019/7/7)
九百拾弐  家のつくりようは夏を旨とすべし(2019/6/29)
九百拾壱  Windows10 アップデート失敗(2019/6/22)
九百拾   2019ル・マン迫る(2019/6/15)
九百九   絶賛公開中『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019/6/9)
九百八   無敗王者を圧倒した井上選手と無残な伊藤選手(2019/6/1)
九百七   季節外れのトンボ(2019/5/25)
九百六   リアリストを自認する方々の危うさ(2019/5/18)
九百五   体重管理成功(2019/5/11)
九百四   アメリカ、史跡事績の旅(2019/5/4)
九百参   アメリカ、アートの旅(2019/4/27)
九百弐   アメリカ出立前夜(2019/4/13)
九百壱   令和の世(2019/4/4)




九百弐拾  生ごみ処理(2019/8/25)
 生ごみ処理は頭の痛いテーマであり、家庭それぞれが工夫を凝らしていることでしょう。

 その昔、米農家時代の我が家では農耕牛がすべて片づけてくれました。ガキの頃の私は土日に世話をしていました。飼い葉桶に稲わらを切って入れ、糠と水でかき混ぜ、仕上げに残飯をトッピングします。人間の食べ残しならなんでも食ってくれました。稲わらだけに比べ、残飯をトッピングした場合の食いつきはひと味違っていました。

 動力農機具を導入すると同時に牛は居なくなり、残飯を別途処分する必要が生じました。特に営農を放棄し、田圃を貸してからは勝手に田圃に捨てることもできません。昔は普通に川へ捨てていたものの、それもできなくなりゴミ処理が求められるようになりました。

 やがて自治体が生ごみ処理容器や生ごみ処理機の設置を推進し、補助制度も始められました。これを利用しようかと何度も悩みました。しかし、家庭菜園がありますから、これを利用すべしとスルーし続けています。生ごみ処理機で生成された堆肥には魅力を感じるものの、そういうのは大地の営為に任せればいいのです。

 下図は今朝がた堀った穴です。


 今朝までは、奥側に穴があって生ごみを捨てていました。ほぼ満杯になったので、埋めて手前に掘ったのです。この穴は下図の指示エリアです。菜園全体では右から3番めの畝になります。右の畝から順番に、穴を掘っては埋めを繰り返しています。なお、左側の畝には、それ以前に埋めました。


 生ごみが堆肥に返るには時間がかかります。一番右側の畝には、一昨年の生ごみが埋まっています。すでに土中での分解を終えているでしょう。おかげで、蒔いた花の種がウザいくらいに育っています。また、左側の畝に今年植えたトマトやキュウリ、ナスは育ちすぎるくらい育ち、特にキュウリは馬鹿でかサイズになりました。

 とても食いきれないので、収穫したところで市街地住まいの親戚に届けました。貰った方もあまりの大量キュウリに困ったことでしょう。余ったら近所にあげてねとは言いましたけど。
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九百拾九  刀補修完了(2019/8/17)
 八百六拾六   刀装一新(2018/8/2)で鞘交換を記しました。模造刀の鞘を刀身に合うよう調整しました。その後、居合に使用していると、予想されたことながら徐々に鯉口が弛んできました。刀身が滑り出すので極めて危険だし、居合動作にいらぬ気遣いが必要とあって放置できないところまできました。

 そこで、刀屋さんを訪ねてハバキそのもののやり替えを依頼しました。その際、模造刀でなく本来の鞘に合わせ込むこととしました。当然ですけど。
 となると、鞘の内刳の長さが足りません。そこで、鞘の先端部を開いて削り出し、刀身が収まるよう調整しました。作業にほぼ一か月かかり、盆前に仕上がりました。下図がそれです。費用は意外に安かったです。



 最初は安物の金属を注文したものの、工作職人から銀が変形が少ないとアドバイスを受けました。抜き差しを繰り返すことによって、徐々に鯉口が弛むものです。鞘の木口の変形とハバキの延びによるものです。できるだけ変形を少なくするため、あえて高額な銀製に変更しました。

 正解でした。見た目の高級感が全然違っています。刀身の白い輝きとハバキのマット調の輝きとに一体感があります。



 鞘の内刳もきつめで調整されています。使用目的が居合とあって、緩くなるのを想定してきつくしています。さらに、漆のタッチアップで完璧を期してくれました。

 やはり、模造刀の鞘と違って江戸時代の拵えは違います。当時の刀は実用品なので、使用のための強度が確保されています。鞘の先−鐺(こじり)もガッチリした金物で覆われています。また、鯉口での嵌合具合が完璧で、刀身全体が固定されてビクともしません。鞘師の技というか、まさに“いい仕事していますねえ〜”です。

 おかげで、完璧な感触です。そんじょそこらの刀では味わえない上物の味わいです。
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九百拾八  表現の自由(2019/8/10)
 あいちトリエンナーレ2019における「表現の不自由展・その後」が物議を醸しています。世上賑わわせているので、ことの経緯は省略します。

 結論から言うと、“表現の自由”といえど、公的施設が扱う場では公序良俗から外れないよう制限がかかるのは仕方ないです。正確には、イベントの趣旨やコンセプトがあり、それに適うものでなければ当然のこと拒否されます。場合によっては、「公序良俗に反しない」旨が明記されていたりします。仮に記されていなくても、相応しくないと考えられる場合に拒否されるのは、何に拠らず通常の取扱いでしょう。大村知事の言う、憲法で保障されている“表現の自由”に抵触するとかでもないでしょう。

 今回の件だと、民族、歴史、国家、人権などをモチーフにしていて、作家さんの主張というのが特定方向を指向していて政治的な色彩を帯びています。普通に公的施設で扱うには不適切でしょう。

 その許容される境界は一定でなく、世間の空気にも左右されます。その空気を制して変更を加えようと運動するのもまた自由です。抗議したり、マスコミを動かしたり、動員したりで声を届けようとするのも民主主義のあり様です。そうやって“表現の自由”の境界ハードルに変更を加えようと挑むのも、また自由というものです。
 ただし、威力業務妨害にまで至ると違法となるし、騒音だとか、脅迫だとか、肖像権を侵したりすると問題です。まして、暴力を伴ったりすると、これはもう反社会的行動となります。
 そのように多方面からのせめぎ合いのなかで、やがては収斂するものなんでしょう。今回の展示物は、現状では許容されないし、大多数の理解を得られないでしょう。

 津田氏が訴求するように、“アートと公序良俗との軋轢(自己規制や検閲)”をテーマにするなら、数多の事例があります。ファインアートだけでなくデザイン関係も含めたら、それこそ枚挙に暇がありません。いろいろ興味深い話があるんですが、津田氏たちは、狭隘な特定テーマにのみ拘っています。そのあたりの意図が透けて見えるだけに拒否反応も仕方ないと思います。

 ところで、その公序良俗そのものが時代とともに変転します。例えば、性関係なんか複雑な様相を帯びています。開けてきた面がある一方で、逆行している面もあろうかと思います。
 その昔、セミヌード程度でさえアカデミックから排除された時代がありました。それが緩和されてゆき、アメリカでは70年代に入ってポルノ解禁が為されましたし、日本でも90年代にヘア解禁が為されましたね。
 逆に厳しさが増した面もあります。かつてはTVのプライムタイムでコント55号がストリップ番組をやってました。今なら絶対に許されません。また、性差を扱うことは、極めてセンシティブで、ひたすら不自由さを増しています。ミスコンやらLGBTなんか物議を醸していますもんね。

 昨今は、公共の福祉、プライバシー保護、人権保護などなど多方面で取り扱いが難しくなっていて、今回のように“表現の自由”を安易に貶める行為は、逆に表現の自由を狭めかねません。言ってみれば、表現者自身が表現の自由を貶めているのです。この出品者たちは、他者の権利を尊重する気がないのでしょう。自己主張がすべてなのでしょう。

 河村市長:公共的な事業では、芸術作品に無制限な自由があるとは思わない。最低限の規制は必要
 大村知事:市長の行為は検閲
 吉村知事:辞職相当だと思う
 大村知事:憲法21条の表現の自由についてまったく理解していないのではないか。公権力を持っている人がこの内容はよくて、この内容はだめだとずっと言っている。(吉村知事が常任役員を務めている)日本維新の会は表現の自由はどうでもいいと思っているのではないか

 憲法第21条:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 大村知事は県政に責任を負うものとして、いささか見苦しいです。事業内容に瑕疵があると指摘を受けたなら、真摯に受け止めるべきです。なんだか恰好をつけようと足掻いているやに見えます。その行きつく先が、河村市長による次の突っ込みです。

 河村市長:それなら『ああいう展示はいいんだ』と堂々と言うべきだ

 これに対して、「公的な場においても、表現の自由=公序良俗を問うべきでない」と回答したら、今後困ったことになります。いえ、ご本人はいいとして、現場の職員が頭を抱えますよ。また、愛知県だけでなく、他所も大迷惑です。「憲法で保障された云々」は、お門違いじゃないですか。

 何度も繰返しますが、表現の自由とこれを掲示なり上演なりすることは区別しなければいけません。
 どんなエロ小説を書こうが、どんな絵を描こうが自由です。しかし、これを出版したりで人の目に触れさせるとなると制限が生じます。まして、公的な施設を利用する公的事業なら厳しい目が向けられるのも当然です。
 あるいは、報道の自由は当然としても、そのために取材の自由があるかといえば、それは違います。取材を受けるかどうかは受け手側の自由であり、当然のように制限を受けるものです。
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九百拾七  禁煙挫折中(2019/8/3)
 2年足らず前から成功していた禁煙に挫折しています。禁煙成功の経緯は、 七百九拾九  禁煙と喫煙(2017/4/29)のとおりです。その後、禁煙中であっても旅先では煙草を楽しみました。せっかくの旅情を味わうに、煙草なしでは勿体ないからです。
 今年の2月に上野を訪ねた際にも煙草を喫い、帰宅後も残っていた煙草を喫ったのが間違いでした。本数は少ないながら、煙草が手放せなくなりました。

 特に、アメリカ旅行では遠慮なく喫ったものです。初めてのアメリカという刺激的体験に際し、煙草なしなんて考えられません。それはいいのですが、やはり禁煙は必要です。禁煙を2年近く続けていたこともあり、1箱を3日くらいで消費しています。なので、身体への負担は小さく、それだけに再びの禁煙に取り組むのが難しいのです。

 そこで、加熱煙草を併用することにし、先月から PLOOM TECH を使用しています。本製品は日本たばこ産業なので、慣れた煙草に通じる味わいがあるんです。各種煙草フレーバーに「メビウス」なんて馴染みブランドも準備しているくらいです。また、本製品はいずこのコンビニ、あるいはスーパーにも置かれていて、消耗品であるカートリッジを入手しやすくて助かります。

 私の身体はニコチンを必要としていません。ですから、喫い心地の弱いレギュラータイプで十分なのです。PLOOM TECHの使用感は、必要にして十分なものです。

 さすがに煙草葉を使用する加熱煙草とあって、FLEVOのような無害物ではありません。そこで、八百六拾四  電子タバコと加熱タバコ(2018/7/25)から愛用しているFLEVOと併用し、できるだけ身体への負担を小さくしつつ、煙草の本数を抑えながら再度の禁煙にチャレンジしています。

 この一か月の間、電子タバコに扶けられながら、何度か禁煙に挑みました。で、その都度挫折しているんです。2年余り前、よくぞ禁煙に成功したものと自分を褒めたくなります。あのときは、退職という生活の転換期とあって我慢しきったものです。
 苦しいながら、なんとかもう一度、心を強く持って足掻いてみます。
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九百拾六  Windows10 設定ぼちぼち(2019/7/27)
 不満はあるものの、Windows10 への移行は仕方ないものと諦めました。幸いオーディオドライバも適用され、外部スピーカーが利用できるようになりました。

 もう一点重要な課題があります。i1によるハードウェア・キャリブレーションが必須とあって、i1用ソフトが動作するかがポイントでした。OSのバージョンが違っても、CMSの仕組みは同じです。なので、さほど心配はしていませんでした。
 インストールはすんなり進み、キャリブレーター認識もすんなり為され、当然のことキャリブレーションもすんなり終えました。おかげで見慣れたRGBバランスと諧調が再現されました。あるべき色温度、適正な色域で構成された画面を見ていると、ほっとするとともに、なんだか勇気が湧いてきます。

 なお、Windows10 には、標準でカラーキャリブレーション機能があります。ハードウェア・キャリブレーターを所有していない方は、是非にもやるべきです。
 Macにも標準で備わっていますが、Macは設定が細か過ぎます。目視でとなると、却って誤差を積み重ねてしまいます。私も職場のMacで試してみて、設定の細かさが却って問題を呼び込むだろうとか危惧しました。目視であるなら、ある程度大ざっぱな調整で済ませるのが安全です。

 Windows7 関連旧ファイルはゴミとあって、残骸のすべてを削除しました。もはや旧環境に戻せないので、すべて不要です。

 なお、購入したWindows10 ライセンスは未使用の状態です。現時点では、未だ無料アップデートが生きています。私の場合は、ノートPCのWindows7 ライセンスに対するアップデートとして構成されました。未使用ライセンス分は取り敢えず残しておきます。多分、必要になることもないでしょう。

 Office2013も問題なくインストールできました。以前、アクティベーションした際のプロフィール情報がMSのサーバに残っているのでしょう。今回はなにごともなく終了しました。Office2013を最初にインストールした際は、電話アクティベーションを行った憶えがあります。あんなの、もうご免です。

 Adobe Design Premium CS4もなにごともなくインストールできました。簡単な動作チェックを行い、今のところ問題は起きていません。得てしてAdobeのソフトは、品質というか信頼性が高いです。なにせ、業界標準として長く愛されたPhotoshop5.5やIllustrator8.1は、私自身Windows7環境で2012年くらいまで使いましたもの。最初はWindowsNT4.0 環境下、2000年辺りから使い始めたはずです。その間、WindowsNT4.0、Windows2000、WindowsXP、WindowsVista、Windows7すべてで問題は起こりませんでした。あっ、Windows98やWindowsMEもOKでしたね。

 iCloudでスマホとデータを共有しています。といっても、スマホで撮った写真を取り込むくらいですけど。一枚二枚ならメールで送るところですが、大量に撮影した場合はサーバを経由するしかありません。デスクトップマシンは32bitなので、メモリに余裕がなく入れたくないんです。で、ノートの方をiCloudアクセスに使っています。

 Windows10 を使っての感想は、いろいろ言いたいこともあります。まず、起動が遅いです。Windows7 の爆速が嘘みたいです。クリーンインストールした方なら、また違った起動具合なのでしょうか。

 画面の表示品質について、Windows8 時代にタブレットでの全画面表示への対応が為されました。これに伴って古いアプリケーションの表示がよろしくありません。Adobe ソフトのメニューとか対応できていません。かといって、新しいバージョンに変えるつもりはさらさらありません。ライセンス使用料契約なんぞ係りたくもありません。

 私は昔から自分の使い勝手がよいよう、デスクトップを徹底的にカスタマイズしてきました。また、そのような要望に対して、Windows は痒いところにも手が届けとばかり応えてくれました。それが、Windows7 で少しばかり融通が利かなくなり、Windows10 でカスタマイズほぼ不可となりました。

 以前のWindowsは、ウインドウ各所のサイズと色、書体とサイズまで個別にカスタマイズできました。私は、タイトルバーやらスクロールバー、はてはメニューサイズまで納得いくまで調整したいのです。さらにはアイコンの間隔、ウィンドウの境界ドット幅まで気になるんです。それを、アイコンサイズは大中小からの選択しかできません。

 劣化仕様としか言いようがありません。納得できないインターフェイスだと、日々ストレスが溜まります。Windows10 はストレス満載OSです。諦観で以って向き合うべきOSです。
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九百拾五  偉大なり、マニー・パッキャオ(2019/7/21)
 本日、ラスベガスにおいてWBAウェルター級王座統一戦が行われました。王者のマニー・パッキャオ選手とスーパー王者のキース・サーマン選手との一戦です。結果は 2-1の判定でパッキャオ選手が勝ちました。

 また、前座でWBCバンタム級のシルバータイトルとかいうでっち上げタイトルマッチが行われ、王者のルイス・ネリ選手(メキシコ)に4位のファン・カルロス・パヤノ選手(ドミニカ)が挑みました。結果は9回KOでネリ選手の勝利です。

 この2試合を見ると位置関係の大切さが理解できます。ネリ選手(左構え)を相手にしてのパヤノ選手の動き、サーマン選手(右構え)を相手にしてのパッキャオ選手の動きが対照的でした。どちらも左に動いてのボクシングでしたが、意味が違います。

 パヤノ選手はネリ選手が左構えですから、右に動くべき(左回り)なんです。それを左右に動きながらも、攻めて出る際には左に動きました(右回り)。すると、左構えのネリ選手からすると、左クロスを捻り込んだり、右フックをぶつけたりがやり易くなります。わざわざ対戦相手に有利な位置で闘ったわけです。
 想像ですが、左構えの相手との試合やスパーリングが不足していたのではないでしょうか。あるいは、ネリ選手が左フックをロングで外側からぶつけるのを嫌ったものでしょうか。いずれしても、怖い位置関係を自ら選んで打ち合いました。

 対して、パッキャオ選手はサーマン選手が右構えなので、左に動きながら(右回り)攻めました。そうするとサーマン選手はやり辛そうでした。乱打戦ともなると、そのような定型位置も崩れましたけど。
 また、パッキャオ選手が左構えなので、サーマン選手からすると角度的にボディへの左フックを効果的に打つことができません。ところが、ロープに詰めた際に左ボディフックを効果的に打つことができました。パッキャオ選手が右半身を引いた角度になることがあり、その際には右脇腹が抉られる角度になるので見てて怖かったです。


 パッキャオ選手は40歳です。40歳でこのボクシングはあり得ないものです。さすがに若い頃のスタミナは失われていて、終盤以降はステップワークを抑えた省エネボクシングに徹しました。そこを突かれてサーマン選手にかなりパンチを当てられました。こればっかりは仕方ありません。むしろ、前半に見せた前後の出入りに左右の動きを混ぜたエネルギッシュさに感心するばかりです。

 40歳以上での戴冠といえば、45歳9カか月でヘビー級を戴冠したジョージ・フォアマン選手、40歳3か月でL.ヘビー級を戴冠したボブ・フィッシモンズ選手、46歳4カ月でL.ヘビー級を戴冠したバーナード・ホプキンス選手以来です。しかも、下した相手が無敗のキース・サーマン選手ですから、その価値もまたひときわ輝いています。

 すでにレジェンドと呼ばれて久しいものの、その輝きのステージがさらにワンランク押し上げられました。ここまでくると、もうパッキャオ選手がリングに立つだけで伏し拝みたくなります。
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九百拾四  村田選手復権(2019/7/13)
 昨夜、村田諒太選手がブラント選手に2回TKOで劇的な復権を果たしました。

 いい試合でした。しかし、戦前には心配していました。公開されたスパーリング映像を見ると、従来のボクシングと変わりなかったですから。近間でのボクシングができず、左腕で相手をプッシュして距離をつくろうとしていました。また、左フックが相も変わらず手打ちでした。ですから、前戦と同じ結果になるかと心配したのです。以前の試合で、相手の右脇腹がよい角度で晒されたことがありました。普通だったらKO必至ながら、効かせることもできませんでした。

 ブラント選手に油断がありました。前戦ではいっときも正面で止まらず、打った瞬間に離れたり、ダッキングで躱したりで、一切の手抜きなしで忙しく動きました。今回は正面で足が止まる瞬間があり、村田選手はその機をのがさずに打ち込みました。ブラント選手は自信もあって攻撃的に出てきたのでしょう。本人にとっては悔いの残る試合プランだったことでしょう。

 一度だけながら、村田選手が上体を沈めてパンチを頭上に逸らしたシーンには感心しました。あの動きをもっと確実なものとして身につければ、今後のボクシングに有効でしょう。ダニエル・ジェイコブズ選手やジャーモール・チャーロ選手の右クロス、あるいはサウル・アルバレス選手のフックとやり合うには、ウィービングやダッキングが必須かと思います。今の棒立ちブロッキングで通用する相手ではありません。
 下図がそれで、初回2分30秒あたりです。
(C)フジTV


 勝利の喜びは当然でしょうが、それでも相手に敬意を払っていただきたかったです。拳四郎選手も村田選手も、敗者を労うとともにリスペクトすることこそを優先すべきでした。
 拳四郎選手はリングに寝転んでポーズを取っていましたが、そんな暇があるなら対戦相手の健闘を称えろよとか思いました。
 村田選手もマイクで長々と喋る暇があるなら、正面から打ち合いに来たブラント選手のスピリットを称えなきゃ嘘です。こういうのは、見てるこっちが恥ずかしくなります。譬えるなら、告別式に参列しながら喪主を無視するようなものです。マナーの問題だと思います。

 今後は他団体王者や無冠の強豪たちとの対戦が期待されます。
 IBF、WBAスーパー王者のサウル・アルバレス選手、WBC王者のジャーモール・チャーロ選手、WBO王者のデメトリアス・アンドラーデ選手、元IBF、元WBA王者のダニエル・ジェイコブス選手、元統一王者のゲンナジー・ゴロフキン選手らがそれで、なかなかに厳しい面子です。勝ち負けはともかく、上記名のある選手たちとの闘いをファンは待ち望んでいます。正直、勝てる相手じゃないものの、勝ち負けじゃないんです。ボクシングファンは、魂をぶつけ合うような闘いが見たいのです。
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九百拾参  「このミス」名作備忘録(2019/7/7)
 断舎利を進めながらも、後回しにしていた小説類も少しずつ処分したところです。好きな作家についても、将来にわたって手に取ることもなさそうな作品をかなり捨てました。で、ついに名作類も処分の対象にしました。
 危惧するのは、誤って再度買ってしまうことです。そうならないように、処分品を備忘録として記しておきます。

ハヤカワ文庫
ロバート・パーカー:『約束の地』『ユダの山羊』『初秋』『儀式』
ジェイムズ・クラムリー:『さらば甘き口づけ』『酔いどれの誇り』 早川ハードカバー『ダンシング・ベア』
コリン・デクスター:『キドリントンから消えた娘』
ピーター・ラブゼイ:『猟犬クラブ』『偽のデュー警部』
ウィリアム・L・デアンドリア:『ホッグ連続殺人』
ジョン・ディクスン・カー:『火刑法廷』
エド・マクベイン:『警官嫌い』『10プラス1』
ロアルド・ダール:『あなたに似た人』
アガサ・クリスティ:『アクロイド殺し』
ジョン・ダニング:『死の蔵書』
アリステア・マクリーン:『女王陛下のユリシーズ号』
デズモンド・バグリー:『高い砦』
マイクル・クライトン:『緊急の場合は』
ジョン・ルカレ:『寒い国から帰ってきたスパイ』
F・ポール・ウィルソン:『密閉病室』
ロビン・クック:『コーマ -昏睡-』
ジャック・ヒギンズ:『鷲は舞い降りた』『死にゆく者への祈り』
ギャビン・ライアル『深夜プラス1』
新潮文庫
ルシアン・ネイハム:『シャドー81』
ブライアン・フリーマントル:『消されかけた男』
角川文庫
フレデリック・フォーサイス:『ジャッカルの日』
トニー・ケンリック:『三人のイカれる男』『暗くなるまで待て』『リリアンと悪党ども』
F・ポール・ウィルソン:『城塞(ザ・キープ)(上下)』
扶桑社ミステリー
ロバート・R・マキャモン:『奴らは渇いている(上下)』『スティンガー(上下)』
創元推理文庫
ヘレン・マクロイ:『幽霊の2/3』
文春文庫
ピエール・ルメトール:『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』

 上記作品は、「このミス」や内藤氏の「読まずに死ねるか」で選抜された名作群です。でもね、もういいんです。多分、再読することもないでしょうから。その他の有象無象については、迷うこともありません。すっきりさせました。

新堂冬樹本もすべて処分します。
祥伝社文庫
『炎と氷』『黒い太陽(上下)』
徳間文庫
『毒蟲vs溝鼠』
幻冬舎文庫
『闇の貴族』『無間地獄(上下)』
講談社ノベルス『ろくでなし』
徳間ハードカバー『カリスマ』

 さらに、大藪春彦本、平井和正本、北方謙三本、司馬遼太郎本についても、永久保存版を除いて処分します。
 いやあ気持ちいいです。本棚がすっきりしてきました。っても、まだまだ復列収納で、奥側が見えないんですけどね。
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九百拾弐  家のつくりようは夏を旨とすべし(2019/6/29)
 Windows 10へのアップデートでしくじったノートを立ち上げたところ、音声ドライバが適用されていました。ちゃんと外部スピーカーからサウンドが響いたのです。なんじゃこりゃです。これなら、Windows 7に戻す必要もなく、必然的に旧環境へ戻そうとしてすべてを喪失することもなかったのです。
 辛いわ。本当に辛い。音が出ることもあり、Windows 10でいこうかとも思うものの悩ましいところです。Intelのビデオチップ用ドライバが糞で、表示品質が最悪です。悲しくて哀しくて、もはや涙も乾いています。


 四拾  暑い夏(2002/8/25)に、夏向きの家を採り上げました。温暖化は止まるところを知らず、昨今は4月であってさえ真夏日が珍しくありません。そして、ついには12月に夏日を記録しました。ここまでくると家のありようとして、北国以外で冬を考慮する必要なんてないでしょう。

 昨年のこと、旧屋を解体撤去して更地にし、ガレージとガレージ兼倉庫を建てました。母屋の東側と北(裏)側に拵えたもので、これは同時に目隠しも兼ねています。台所、風呂場、洗面所などは隠したいところです。目隠しとして重用される高塀や樹木は、使いたくありませんでした。せっかくガレージを設置するのですから、それで隠せばいいのです。

 そこで問題になるのは採光です。八百七拾   リフォームもう一息(2018/9/2)3枚目写真のとおり、屋根を切り欠いて半透明のポリカーボネートを敷設しています。実は、この切欠きでは採光面積が足りないだろうと覚悟していました。昼なお暗いことが予想されたものの、照明でカバーすればいいとOKを出しました。
 採光より、むしろ夏場の西陽を恐れたのです。冬場の暗さは不満ながら、夏の暑さを思えばどうってことありません。暑さを凌ぐことこそが大切で、合理的判断であったと納得しています。6月末ともなると暑さが厳しくなり、陽光の差し込みを最小に抑えたのは大正解であったと自画自賛しています。

 八百八拾   ガレージの備品取付終了(2018/11/10)の3枚目写真をご覧ください。東西方向に素通しとなっていて、これが工夫の一手です。これによって風がよく通るんです。理屈は分かりませんが、この構造だと空気が動かされるんです。周囲が無風に近い状況でも、ひんやりと風が肌を撫でてくれます。

 近所の元棟梁から、「夏に涼しいぞ」とお褒めをいただいています。本格的な夏を迎える前に縁台を買おうかなとか考えています。
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九百拾壱  Windows10 アップデート失敗(2019/6/22)
 Windows 7のサポート期限は来年の1月までです。デスクトップの方は、TV番組のキャプチャの関係もあって永久使用するつもりです。録画済みMPファイルは、著作権の関係からキャプチャカードがアクティブでないと再生できないのです。このカードはPCI接続なので、新しい機器では対応できません。また、メーカーが動作保証しているOSはVistaであり、Windows 7まではなんとか動作するものの、Windows 10での動作は期待できません。

 しかし、ノートの方は問題もなかろうと、USBメモリで提供されるパッケージ版を購入しました。32ビット版と64ビット版の両方に対応でき、アップデートと新規インストールのどちらでもセットアップできます。

 作業にかかって頭が痛くなりました。BIOSのブートシーケンスが設定変更できないのです。買って7年も経っているので故障なのでしょう。ちなみにバッテリーも故障しています。外部電源でばかり使用するとあって、買ってすぐに外していたのです。機器というのは、何によらず使わないと壊れますね。

 そこで、エクスプローラからセットアップを起動してアップデートしました。以前の環境がそっくり維持されていました。ソフトの動作を確認したところ、Adobe関係は問題なしで、MSオフィスが駄目でした。新しいOffice2013ながら、WordもWxcelも起動した瞬間に落ちるという哀しいものでした。

 仕方なく、以前の環境に復帰させました。コントロールパネルの「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」→「Windows 7に戻す」です。
 MSのドキュメントを読んでいると、ソフトの動作可否については、更新ファイルを適用してから判断すべしの一文があり、再度アップデートをかけました。更新をかけて最新の状態にしたところ、オフィスも問題なく動作できるようになりました。

 ここで満足していればよかったんです。音声用ドライバ未対応くらい我慢すればよかったんです。外部スピーカーから音が出ないのに納得がいかず、元の環境に戻そうとして致命的な失敗に至りました。「回復」項目に「Windows 7に戻す」が表示されなかったのです。焦りましたよ。多分、更新ファイルをどんどん上書きしたために回復対象が失われたものと想像します。
 そこで、更新ファイルを片端からアンインストールしてアップデート後の最初の状態にまで戻しました。しかし、変わらず「回復」に表示されません。そこでさらに、初期状態にするコマンドを適用しました。これが最悪の判断だったのです。ここで言う初期状態というのは、新規インストールの状態を指していたんですね。見事に以前のWindows 7のアプリや設定がすべて削除されました。

 今は脱力して何もする気が起きません。ノートPCは放置したままです。できたら以前のWindows 7の環境を構成したいのですが、BIOSの設定変更ができないとあって、それも一筋縄でいきません。さて、どうしたもんかなあ。
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九百拾   2019ル・マン迫る(2019/6/15)
 今年もル・マンの季節がやってきました。昨年のトヨタ総合優勝には興奮させられました。
 2016年、2017年ともに、トヨタのHVマシンが本命と見られ、本戦でも下馬評通り圧倒的なパフォーマンスを発揮しました。それを劇的ともいえるトラブルで勝利を逃してしまいました。

 昨年は2年連続の悲劇を振り払うような勝利でした。チェッカーフラグを受けた8号車の車載映像を見ながらウルウルきました。最大の強敵であるポルシェがLMP1から撤退したこともあって、関係者すべてがトヨタを本命と看做しています。実力からして当然の予想であり、連覇はトヨタに厳しく課された十字架でもあります。

 今年の出走数は歴代最多と言われています。内訳は次のとおりです。
 LMP1クラスは8台で、トヨタの2台が出走します。7号車に小林可夢偉選手、8号車に中嶋選手が乗車し、トヨタは車載カメラで昨年同様のリアルタイム実況をするものと思われます。
 LMP2クラスは20台です。
 LM GTE Proクラスは17台で、メーカーがワークス体制で競うカテゴリーです。市販車シルエットながら、逆に自由度が高いともいえます。
 プライベーターな LM GTE Amクラスが17台です。合わせて60台強となっています。

 性能調整の影響により、トヨタのTS050は最低重量に10kgの負荷増が求められたものの、やはり優勝候補筆頭であり、順当にいけば総合優勝最右翼です。
 トヨタ車は予選を1-2フィニッシュでクリアし、7号車がポールポジションを獲得しました。位置的にも有利ですね。史上最多の出走数とあって混雑が予想されます。すると、周回遅れのマシンを躱す場面が多くなり、HVの瞬発力がモノをいうことでしょう。昨年の追越場面でHVが見せた速度差は半端なかったですから。

 なお、GTE-Pro 出走メーカーのなかでも、ミッドシップ化の完成度が高まったポルシェ911RSRに期待が高まります。LMP1から撤退しただけに、このカテゴリー制覇を悲願としていることでしょう。対するフォード、BMW、アストン、コルベット、AF(フェラーリ)ら競合メーカーも、メーカーの威信に懸けて頭を取りにくるでしょう。

 今夜10時から明日の10時にかけて24時間のレースです。予断を許しません。性能限界ぎりぎりでの勝負を24時間も続けるとあって、その間になにが起こるか誰にも分かりません。「ル・マンには魔物がいる」の台詞を関係者の誰もが実体験していることでしょう。最近だとトヨタが地獄を見ました。まさに24時間、眼を放すことができません。

 なお、ルマン本戦に際して東京のMEGA WEBと神奈川県のトレッサ横浜でパブリックビューイングが実施される予定だそうで、近場の方が羨ましいです。
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九百九   絶賛公開中『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019/6/9)
 初日に観ました。ハリウッドがギドラをクリエイトすると、いかなる映像に仕上げるか興味津々でした。で、結果は想像以上の冴えたものでした。

 本作、怪獣バトルは見応えたっぷりです。未だ未見の方のためにネタバレは避けますが、一点だけ紹介させてください。公式予告編でラドンとギドラが空中戦をやってたでしょう。実は、ラドンとモスラも空中戦をやります。いかがでしょうか、東宝特撮ファンの皆さん、観たくてたまらなくなったでしょう。

 怪獣バトルは文句なしながら、家族がどうしたこうしたのサイドストーリーがウザい。例によってというか、アメリカ映画特有のスタイルでひたすらウザい。とにかくウザい。制作者たちを正座させ、小一時間説教したくなるくらいウザいです。

  主人公の一人でもあるマッドサイエンティストの学者さんが、とにかく神経をささくれ立たせてくれました。アメリカの観客というか制作者たちは、ああいうのを問題なく受け入れるんですかね。
 ヒトラーやスターリン、あるいは毛沢東さえ可愛く見える悪逆非道ぶり。ナチスの優生思想さえ矮小に見える究極の環境原理主義かぶれ。いくらなんでもやり過ぎというか、話の整合性がとれないでしょう。大方の方々は、嫌悪感まみれの感想を持つだけでしょう。

 怪獣たちの生い立ちや振舞いがオカルト路線なんだから、いっそのこと、あの女性科学者にも角や鉤爪シッポを生やしてやれとか思います。で、口角が耳まで裂け、手爪の翼が上着を破って展張すれば、その所業に似合ったビジュアルですよ。そのくせ、ラストで娘を救おうと腐心する展開が、どうにもわざとらしくて耐えられませんでした。

 BGMの一部に伊福部楽曲を使っていて嬉しくなります。ただ、もうひとこえ使ってほしかったです。ギドラが覚醒するシーンには、「キングギドラ出現!」が必須なんだけどなあ。紹介曲は、井上誠氏がシンセサイザー主体に再現したものです。2分20秒あたりからの山場がいわせません。
 また、ラドンとラプターの空中戦には「ラドン追撃せよ」を充てるしかないんだけどなあ。私は脳内で勝手に伊福部サウンドに変換して観劇しました。

 渡辺謙氏が「ゴジラ」と発声してくれたおかげで、本作の東宝テイストが保証されたものと評価します。渡辺氏までが「ガッジィーラ」なんて発声した日にゃ、世界中のゴジラファンが「ケッ」とばかり顔を背けるんじゃないですか。なんか救われた思いです。
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九百八   無敗王者を圧倒した井上選手と無策の伊藤選手(2019/6/1)
 先月後半に印象的なボクシング試合が二試合ありました。
 まずは、5月19日の早朝、イギリスのグラスゴーにおいて開催された「WBSS」バンタム級準決勝戦です。WBA王者 井上尚弥 vs IBF王者 エマヌエル・ロドリゲスの一戦です。ロドリゲス選手も文句なしの強豪です。ハンドスピードも速くコンビネーションも多彩、上体が柔らかく、目が良くてカウンターも鮮やかという全勝王者です。

 結果は予想どおりでした。初回こそ、ロドリゲス選手が攻勢を取り、互角とも思わされる内容でした。ただ、初回終盤には、井上選手がすべてを見切った風でした。2回に入るや一転して井上選手が攻勢を強め、圧倒的なパフォーマンスで世界中を震撼させました。
 戦慄的な2回TKO勝ちを収め、その内容の素晴らしさからPFPランキングが上がりました。リング誌選定では、ワシル・ロマチェンコ、テレンス・クロフォード、サウル・アルバレスに次ぐ4位となっています。また、WBN(World Boxing News)では、ワシル・ロマチェンコ、サウル・アルバレスに次ぐ3位です。

 トップ・ランクとの契約が噂されていて、今後は文字どおり世界の井上です。ファイトマネーも試合ごとに1億円近くが保証されるかもしれません。

 井上選手の強さのポイントはいろいろあります。最も目を引くのは、フェザー級クラスをさえ想起させる強打です。しかも、その強打が速い連打で打ち出されるのです。普通、連打の回転を上げようとしたら、腕を速く戻さなければいけないので軽打となります。レナード選手がハグラー選手を叩いた連打が典型です。子供のイヤイヤのように身体を左右に捻って左右の連打を打ちます。西岡選手やリナレス選手もやってましたね。速い連打を打つのと強打とは、トレードオフの関係にあります。

 しかし、例外はあるもので、パッキャオ選手は速い連打でありながら、強く打っています。パッキャオ選手がライト級のディアス選手に挑んだとき、さすがにライト級には通じないだろうし、ディアス選手は打たれ強いのでなかなか効かないだろうと思っていたところ、確実に効かせて最後は失神KOとなりました。とてもフライ級上がりのパンチではありません。
 その後、デ・ラ・ホーヤ選手と闘ったとき、ロープに詰めて速い連打を叩き込みました。直後の休憩中にリプレイされたスロー映像を見ると、手首を返して捻り込んでいました。あんな速い連打でありながらも、ひとつひとつが強打だったんですね。井上選手も速い連打を上下に打ちながら、その一打一打を丁寧に強く打っています。相手側はたまったもんじゃないでしょう。


 先週の日曜日、フロリダにおいてWBO S.フェザー級タイトルマッチが行われました。王者の伊藤雅雪選手に9位のジャメル・へリング選手が挑んだものです。結果は王者が大差判定で敗れました。

 試合内容は哀しくなるものでした。相手が左構えなのに、まったく対策が為されていなかったのです。おかげで、ヘリング選手は右構え相手に自在なボクシングができてラッキーでした。長い距離を利してジャブで組み立てる際には、右に回り込んでいました。右に回る方がジャブが出し易いからでしょう。これは伊藤選手にとって、むしろ助かる話です。相対的に伊藤選手が右に位置できますから。

 問題はヘリング選手が左に回り込んだ場合です。ヘリング選手には有利な安全圏とあって、踏み込んで強く左クロスを打ち込んできました。あれは伊藤選手とって危険でヒヤヒヤしました。左構え対策をいうなら、伊藤選手が右に回って右クロスを打ち込むべきなんです。それをヘリング選手にばかりいいようにやられていました。

 面白かったのは、解説の飯田氏が上のことに触れたことです。某解説者が隣にいると遠慮するのに、今回は不在とあって本音で語りましたね。なにせ某解説者は、「サウスポーに対しては、左に回り込むのがセオリー」なんてトンデモ説を唱えていますから。西岡選手が初めて解説陣に加わったとき、某解説者が上の自説を開陳しました。アナウンサーが続けて西岡氏に振ると、西岡氏は瞬時沈黙し、間をおいて足のステップ方向がどうたらで誤魔化しました。気を使ったんでしょうね。

 ヘリング選手のように距離の長い左構えを相手にするなら、ホプキンス選手のボクシングが最高のお手本です。他に類を見ないサウスポー殺しですから。

 そのような対策を一切せずにリングに上がれば、よからぬ結果が出るのも仕方ありません。申しわけないけど、相手チームを褒めるしかありません。最初に「試合内容は、哀しくなるものでした。」と記したのも、残念というより空しさを覚えたからです。
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九百七   季節外れのトンボ(2019/5/25)
 5月に入ってからも定まらぬ天候でした。暑くなって夏布団を出せば、いきなり涼しくなって夜中に冬布団を引っ張り出したこともありました。また、春用の服を仕舞ったり出したりで、はっきりしろよとか言いたくなります。

 そんな中、本日のこと玄関前にトンボの死骸がありました。最近はトンボを見ることもなかったので、珍しくもあって回収しました。大型だったので、なんか捨て難くもあったのです。



 サナエトンボの仲間なんかな。体長が70mmで翼幅は110mmほどと文句なしの大型です。5月あたりでトンボというのも珍しいです。まして、農業用水路をコンクリートに突き替えて50年も経っているので、周辺からトンボは消滅していました。
 石垣時代には水辺には草木が繁茂していて、蛍もそこら中で飛んでいました。蛍がいなくなるのと同じくしてトンボも見かけなくなりました。

 私がガキの頃は、庭の泉水目当てにトンボがたくさん飛び交っていました。それも夏から秋にかけてで、春は珍しいです。まして、今や泉水もなく、樹木もわずかな我が家にです。これも、なにかの縁かと死骸を捨てられずにいます。


 今週は麦刈りの時節でした。ご近所さんも今日でほぼ終えることでしょう。麦刈りが進むに従って、雲雀が騒がしくなっています。近年は減っていたものの、今年はかつてのように「ピチピチ」の囀りが喧しいです。

 麦畑に巣をつくり、小さな卵を産み育てます。ガキの頃、麦刈りによって露出した巣を探して、卵を投げ遊んだ記憶があります。今なら、迷わず料理に使います。きっと美味いんじゃないでしょうか。鶏卵より黄身が濃厚なんですよ。食ったことないけど。
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九百六   リアリストを自認する方々の危うさ(2019/5/18)
 先日のこと「「改憲しなくても別に大丈夫じゃね?」って層に読んで欲しいスピーチがこちら。 」のツイートが話題になりました。
 ウクライナからの留学生のスピーチであり、本国の置かれている事情を考慮すると、気持ちは理解できます。疑問というか危惧を覚えるのは、書き込んでいる大勢の方々の意識のあり方です。俗にネトウヨとか称されていますが、実に浮ついた言説です。おそらく彼らは、リベラル的なものを揶揄したり軽蔑したりの態度に疑問を感じないのでしょう。まるで戦時中の愛国少年の再現です。いえ、少年ならともかく、青年やらいい歳をした大人までもが右へ倣えをしていて、痛々しい限りです。

 そして100万人の軍隊を20万人に。つまり5分の1まで軍縮しました。しかも大国の対立に巻き込まれないようNATOのような軍事同盟にも一切加盟しませんでした。

 ウクライナの実勢からすると、徹底的な軍縮は不可欠でした。なにせ、当時のGDPはバングラデシュ以下です。加えて同じく苦境のロシアから、好意的ともいえるエネルギー支援を受けていたので、親ソ路線は当然であり、ロシアに敵対するような軍事同盟への加盟もない話です。
 それを無法な暴力闘争で親ソ政権を倒し、ロシア語を公用語から外すとかやったわけでしょう。ここまでやれば、東部のロシア系住民保護を名目にロシアが介入することもまた自明かと思います。

 アンドリー氏も、“自称平和主義者”などと侮蔑的に論難するのでなく、むしろウクライナ側の省みるべき点をこそ分析すべきです。キエフ主導による対ロ敵対路線のやり口は、まさに好戦的なものであり、戦乱を敢えて呼び込む暴挙でした。平和を希求する趣旨でウクライナの経緯に言及するなら、もっと別の論点を語るべきかと思います。

 それでも、上で書いたように、祖国を蹂躙されたナザレンコ・アンドリー氏にとっては許し難いことであり、反ロ対決的な態度になるのも仕方ないかと思います。問題なのは、書き込んでいる方々が実態を知ってか知らずか、ウクライナ側の問題に気づいていない点です。
 得てして彼らはリアリストを自認していて、透徹した観察眼で国際関係を俯瞰しているとか自負しているのでしょう。私が書いていることなんか、有事に対する備えのないお花畑とか指弾の対象なのでしょう。
 っても、私も頑固なので他人のことは言えませんけどね。
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九百五   体重管理成功(2019/5/11)
 下腹と脇腹が贅肉で弛んで体重も増えたため、昨年年初から筋トレを始めました。経緯は、八百参拾五  スレンダートーン使用開始(2018/1/5)、八百参拾九  贅肉落としの難しさ(2018/2/4)、八百五拾弐  筋トレ成果あり(2018/5/5)に書いたとおりです。
 腹筋中心の筋トレで、今やシビアな腹筋を連続100回くらい軽くこなせています。それなのに、昨年の人間ドックで体重も腹囲もむしろ増えていました。先生が「筋肉がついたからじゃない」と言ってはくれましたが、腹回りの贅肉が落ちていないのは、自分が一番分かっています。

 さらに、昨年末あたりからは、NHKの「ためしてガッテン」で紹介された、えごま油も毎日スプーン1杯飲んでいます。こちらの効果はまったく分からずです。オメガ3脂肪酸は身体にいいのが間違いないとあって、取り敢えず続けています。

 腹囲が減らないのに業を煮やし、ついに今年に入ってから流行の糖質制限を開始しました。ご飯を小さなお茶碗2杯食べていたのを1杯に抑え、おかずを増やしました。で、効果覿面の-1kgですよ。そこからは変化なしで、きっと運動量を増やさないと好転しないのでしょう。退職してからというもの食っちゃ寝の生活で、これが諸悪の根源です。

 この点を実感したのがアメリカ旅行です。帰国後に体重を測ったら、嬉しい 64.5kg → 61.5kg でした。アメリカはいずこも広いですから、観光するとなると必然的に長く歩きます。セントラルパーク沿いを歩いたときは、脚が棒のようになりましたもの。なにせ、セントラルパークは南北4km、東西0.8kmですから。
 もう一点、アメリカの食い物が不味かったってこともあります。念のため。

 今も62kgほどを維持してはいます。しかしながら、腹囲に変化はありません。炭水化物を控えたところで、運動量が絶対的に足りないんですね。居合の稽古は毎日続けていますが、脂肪を燃焼するには全然足りません。ジョギングやウォーキングが有効なのは判っているものの、面倒だし、他人に見られるのが恥ずかしいやらでやれていません。なんか考えんといかんなあ。
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九百四   アメリカ、史跡事績の旅(2019/5/4)
 初日夕刻、ニューヨークに着いて投宿した後、夜のタイムズスクエアを散策しました。ホテルそのものが、ミッドタウンに位置するニューヨーク・ヒルトンなので、眼と鼻の先なんです。
 復活祭とあって、全米からお上りさんたちが詰めかけていました。ただでさえ混み合うシチュエーションに加え、連休前夜の高揚した空気が横溢していました。もう、広場すべてがすし詰め状態でした。

 広場を見下ろす形で、世界中の大手企業の電光掲示板が並んでいます。正面に工事中の細い高層塔があり、高額な広告スペースだそうです。以前はここに東芝の広告があり、年間出稿料が60億円だったそうです。



 待ち合わせ場所に立っていると、黒人青年から話しかけられました。英語が話せないと言うと、なんか手を差し伸べてきたので握手しました。笑顔で手を振って離れてゆきましたけど、なんだったのかなあ。言葉が話せないと、コミュニケーションも叶いません。

 翌日はマンハッタン観光ということで、リバティ島を訪ねました。その後、美術館やハイラインと呼ばれる廃線を利用した観光エリアを見て、チェルシーマーケットで現地の方々に混じっての買い物をしました。といっても、私は荷物になるお土産を一切買いませんでしたけどね。



 3日目は地下鉄でセントラルパークを北上し、メトロポリタン美術館を見学しました。その後、他のメンバーはバスを利用して5番街を周遊したそうです。私は皆から離れてグッゲンハイム美術館を訪ねた次第です。
 そこからホテルまで延々歩いて散策しました。人が多いのと路面が傷んでいるのとで歩きにくいんです。おかげでホテルに帰り着いたときには、脚が棒のようになっていました。鈍った身体には堪えましたよ。

 夜はオプションのディナーということで、マンハッタンの夜景が見えるレストランで腹を起こした後、ロックフェラー・ビルの展望台から夜景を堪能しました。


 4日目はボストンに移動し、市内観光を楽しみました。ボストンは落ち着いた街で、同時に庶民には住み難い街でもあります。ニューヨークほどでないにしろ、高給取りでもない限り、とても住めないでしょう。

 ハーバード大学を見学した際、世界の現実を知らされました。空き時間に、敷地内にある本屋を覗きました。アジアコーナーを見ると、日本関係書籍は数冊だけで、その他諸国もほんの僅か、あとのすべては中国関係でした。これが世界の趨勢なのでしょう。


 5日目は、ボストン空港からフィラデルフィア空港に飛び、独立記念館や自由の鐘などの独立関係史跡を見学しました。
 空港から市内への移動中、デラウェア川沿いある閉鎖された旧海軍工廠あたりにタイコンデロガ級駆逐艦3隻が係留されていました。フェイズドアレイ・レーダーの特徴的なカバーから当該艦と思われます。兵装がすべて外されていたので除籍艦なのでしょう。タイコンデロガ級のネームシップを始めとした初期製造艦でしょう。


 6日目こそがメインエベントです。ワシントンに移動し、政治の街に相応しい事績の数々に深く感じ入りました。
 まずは、ペンタゴンです。左面のセンター辺りが改築されたところです。テロによって旅客機が突入して壊された部分ですね。



 アーリントン墓地です。故ケネディ大統領や家族の墓は、スペシャルな装いでした。



 一番見たかったワシントン記念塔です。記念写真に興味のない私でも、欲しい一枚でした。添乗員さんに構図を指定してお願いしました。添乗員さんは一時期ホテルでウェディング写真係を務めていたそうで、こちらの意図をすぐに理解してくれました。
 『フォレスト・ガンプ』などと重なります。私はなんといっても、ワシントン大行進での「I have a dream」です。



 ホワイトハウスですよ。数日遅かったら、日米首脳会談で近づけなかったでしょう。



 連邦議会議事堂ですよ。左右の翼棟それぞれが上下議員会館だそうです。



 その他、リンカーン記念堂、ルーサー・キング記念碑も訪ね、向かい側にあるトマス・ジェファーソン記念堂も望見しました。ワシントンの桜は3週間前が満開だったそうで、桜並木は緑に覆われていました。

 ナショナル・ギャラリーで名画を堪能したのは先週書いたとおりです。問題はスミソニアン航空宇宙博物館です。肝心の両大戦関係、黄金期、大型機、ジェット機及び海空作戦といった目玉がすべて今年初めから閉鎖されているんですよ。文句を言っても仕方ないけど、肩透かしにもほどがあります。


 行きの機中は夜だったのでなにも見えませんでしたが、帰途は昼間とあって五大湖やらアラスカの雪原氷原を眼下に望むことができました。
 なにぶん不眠症気味なので、機内で眠るのは無理でした。12〜3時間の暇つぶしだけは耐え難いものがありました。幸いビジネスクラスとあって、周囲に対する遠慮がないのだけが救いでした。

 アメリカ東海岸を巡ることは、私にとって義務的な旅でもありました。国際関係を語るくせ、ワシントンに行ったこともないのでは淋しい話です。ようやっと解放された気分です。
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九百参   アメリカ、アートの旅(2019/4/27)
 今回はツアー旅行ながら、期せずしてアート鑑賞旅行となりました。

 まずはフリックコレクションです。ここではターナーが目を楽しませてくれました。今回のアート巡りの前座といったところです。

 次がメインとなるメトロポリタン美術館です。セントラルパークに食い込む形で設えられた世界三大美術館のひとつです。その広さと展示数はかなりのもので、京都国立博物館の新しい平成館を6棟併せたくらいの巨大さです。歴史の浅いアメリカらしい新しい美術館ながら、圧倒的な民間経済力をベースに300万点の所蔵数を誇っています。

 現地は復活祭の連休中とあって、とんでもない見学客でした。現地ガイドさんも見たことがないほどの行列だったそうです。幸い予約団体客とあって、別口からダイレクトに入場できました。
 館内マップをいただいて、その広さと展示数に驚きました。見学時間が2時間弱とあって、ガイドさんの案内から離れて直で印象派(19世紀から20世紀ヨーロッパ)コーナーを訪ねました。

 小部屋多数が充てられていて、もう吃驚しました。なにせ最大のお目当てであるモネだけで3部屋分ほどの展示数でした。脚を踏み入れていきなり「サンタドレスの庭」ですよ。



 印象派だけで時間が潰れてしまい、日本コーナーも観ておきたかったので解散後も皆から別れて残りました。ところが、「源氏物語」をテーマにした企画展が行われていて、所蔵されている尾形光琳の「八橋図屏風」などが見当たりませんでした。「八橋図屏風」は7年前に根津美術館が開催した五百六拾壱  尾形光琳展(2012/5/19)で観ているのでかまわないのですが。

 メトロポリタン美術館を出た後、すぐ北近くに建つグッゲンハイム美術館を訪ねました。ここは見学ルートになかったものの、400mくらいしか離れていないので、訪ねないわけにはいきません。添乗員さんや現地ガイドさんにも、事前に別行動を申し出ていました。

 ご存じフランク・ロイド・ライトの設計です。晩年のライトが幾度目かのスキャンダルから社会復帰を果たしての作品です。外形からも窺われるように、螺旋状の見学路に従って作品鑑賞するスタイルとなっています。
 残念ながら内部の見学は諦めました。下図からも分かるとおり、入場待ちの行列が街路区画をぐるりと一周していて、とても並べるものではありませんでした。代わりにあらゆる角度から写真を撮っておきました。



 3日目にマンハッタンの夜景を楽しむオプションがあり、ディナー後にロックフェラー・ビルからの眺望を堪能しました。ガイドさんに“クライスラー・ビル”を見ることはできるのかと尋ねると、もちのろんと答えてくれました。
 もうね、感動でしたよ。他のツアー客たちは、エンパイア・ステート・ビルにばっか夢中でしたけどね。



 バーンズコレクションはそれなりでした。独特の展示スタイルで、印象派の作品が中心となっています。

 最終日はワシントンを舞台に見どころが詰まっていて、その白眉が ナショナルギャラリー です。ここもまた1時間余しかなく、到底足りるものではありません。
 予備知識なしで見学していたものだから、モネ、フェルメール、そしてレンブラントの傑作に出会って吃驚しました。さりげなく「日傘の女」が展示されているんだもの。

 さすがに絵と一緒に収まりたくなり、貴重な記念写真となりました。私は自分の肖像が欲しいなんてナルシストではありません。しかしながら、この絵とだけは一緒に写りたかったのです。
 「日傘の女」はオルセーにも所蔵されていて、そちらの方は9年前に国立新美術館で開催された 四百六拾九  オルセー美術館展2010(2010/7/31)ですでに実見しています。



 また、フェルメールも充実していて、例の真贋論争の対象になっている「赤い帽子の女」もあるんですね。



 とにかく、いずれの美術館も時間が足りません。特にメトロポリタンが、もうまったく観ることができていません。ツアーだと諦めるしかありません。かといって、英語力ゼロの私に個人旅行は無理です。今回の旅行中も、まったく通じませんでした。間違いのない単語を発していても、発音が悪いみたいで理解してくれないんです。なにせ、日本語を喋っていてさえ方言訛りで最悪ですから。
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九百弐   アメリカ出立前夜(2019/4/13)
 来週から一週間のアメリカ旅行に出かけます。東海岸各所を巡るツアーです。
 アメリカは世界の中心だし、特にニューヨーク、ワシントンは文字どおり世界の臍です。タイムズスクエア、ウォール街、ブルックリン地区、さらにボストンまで足を運んでハーバード大学を見学します。
 そして空路フィラデルフィアへ飛んで独立記念館などを見学後にワシントンへ移動します。アーリントン墓地、ホワイトハウス、リンカーン記念堂、国会議事堂、スミソニアン博物館などのメインディッシュを堪能して帰国する予定です。

 ホテルは3か所で、3泊、1泊、2泊と連泊します。おかげで途中で洗濯もできるとあって荷物を省略できます。また、マンハッタンとボストンで夜景のきれいなレストランでのオプション・ディナーが設定されており、迷わず申し込みました。田舎者の私には似合わない高級レストランながら、旅情を味わってもらおうと代理店が設定したディナーです。参加しなきゃもったいないというものです。ただ、参加人数が少ないと取りやめになるそうで、そこが心配です。

 昨年の台湾は近いうえ、漢字の国なのでなんの心配もありませんでした。いざともなれば筆記で意思疎通も可能ですしね。しかし、アメリカともなると、英語がさっぱりの私は陸に上がった河童も同然です。なにかと心配なもので、準備に余念がありません。

 セキュリティ用の南京錠も準備しました。貴重品を常に身につけていられるよう大き目のポーチも買いました。台湾のホテルは日本とほぼ同じ体制で、バス用具や洗面用具すべてが部屋に備え付けられています。アメリカのホテルはドライヤー以外無いそうで、自前で準備しなければいけません。

 スーツケースを預ける予定はなく、あくまで機内に持ち込めるバックパックのみで済ませたいのです。そこで、機内持ち込みできるよう、液体類を100ml以下のボトルに詰め替えます。歯磨き粉のような練り物も小さなチューブを用意しました。
 台湾旅行もそうでしたが、大型のスーツケースを引きずって歩くのはまっぴらご免です。女性だと、衣装を取り揃える関係から仕方ないでしょうが、男性には無用でしょう。困るのは、帰国時の土産物の収納です。で、今回は土産なしを宣し、あくまで軽装で済ませます。

 ツアーとあってベテラン添乗員がいるものの、初めてのアメリカとあって、やはりドキドキします。自宅との連絡はメールに依ることとしました。国際電話は時差がありますし、金額が見当もつかないので敬遠しました。メールなら、なんの気兼ねもありません。危惧するのは、アメリカのホテルが無料WiFiサービスでなく有料が多いことです。今日び有料ってのも、辛いものです。台湾のホテルはすべて無料でした。ホテルで常連ともなっているブログに散々書き込みましたから。

 オプションのディナー代を添乗員がドルで集金するそうなので、両替も終えています。キャッシュカードもアメリカで心強い VISA と mastercard の両方を携行します。さて、まだまだ忘れていることがありそうで心配です。
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九百壱   令和の世(2019/4/4)
 新元号が「令和」に決まりました。私は一聴気に入りました。30年前に「平成」を眼にしたときは、がっかりしたものです。どうしても「平静」が被ってくるものだから、つまらないイメージでした。
 令和は初出の「令」と聞き慣れた「和」の組み合わせが巧みです。そして、なんといっても語感が心地よいです。発表とともに、令和の典拠や語意が散々語られました。そこで、私は世上語られていない点について、「令」を分析してみます。

 新元号に対する批判的な言辞があります。加えて中国からも批判がありました。「令」という字は、中国人からすると「零」と音が同じで、どちらも「リン」と発音するため、「令和」すなわち「零和」、平和がゼロで、平和な日がないとあって縁起がよくないとの指摘です。

 上の説明は当たっていません。「令」の意味の大部は跪伏する形に拠っています。また、「レイ」の音は「キョウ」であり、「教」「叫」を意味するため、跪く者に対して教える意味となります。「令嬢」や「令名」などのよい意味は、「霊」からの借用であり、「零」と同じとするのは不適当です。

 そのような他国文化との差異はあるものです。元の漢字の出自経緯は同じでも、それぞれの国において違った歴史を辿るものでしょう。ふとしたことで、そのような違いに気づかされるのが異文化交流というものです。日本の元号なのですから、他国への斟酌は不要でしょう。双方の捉え方の違いが話のネタになったりで、微笑ましくもありますから。

 他国に展開するブランドであったり、他国向けのメッセージを考える際には、そりゃあ相手国の歴史や文化、あるいは意味性を調べるべきです。タブーに触れたら大ごとですからね。故田中角栄氏の「北京空晴」なんてのも悪しき事例かと思います。ニュースで聞いたとき、「北京は空しく晴れて」はなかろうとか思いました。

 それと、衒学的に掘り起こして、ことさらあら捜しする向きは、心根が卑しいタイプだと思います。そんなことを言い出したら、使用頻度の高い「安」もえぐい出自です。女性がアノ日とあって、オムツをして家の中で座っているのを象った字形で「やすんじる」意を表しているんですからね。そんな風にけちをつけようと思えば、いろいろ言えるものです。

 「令和」で危惧するのは、異体字が多いことです。心配していたところ、すべて許容するとかアナウンスされて安心しました。
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