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八百六拾   サッカーと他競技との違い(2018/6/30)
八百五拾九  家屋の解体、撤去完了(2018/6/23)
八百五拾八  切迫事態にどう向き合うか(2018/6/16)
八百五拾七  歪な Political Correctness(2018/6/9)
八百五拾六  危機管理、反面教師の宝庫(2018/6/2)
八百五拾五  井上尚弥選手世界へ飛翔(2018/5/26)
八百五拾四  ベビーカー漫才(2018/5/19)
八百五拾参  リナレスvsロマチェンコ(2018/5/12)
八百五拾弐  筋トレ成果あり(2018/5/5)
八百五拾壱  故宮博物院初訪問(2018/4/28)
八百五拾   ボクシング界、興業優先の自殺行為(2018/4/21)
八百四拾九  菊地秀行備忘録(2018/4/14)
八百四拾八  自動運転実現には誠実な取り組みを(2018/4/7)
八百四拾七  ソアラ復活(2018/3/31)
八百四拾六  リーガル・サスペンス備忘録(2018/3/24)
八百四拾五  こんな絵を描いてたんだ(2018/3/17)
八百四拾四  最近の世相(2018/3/10)
八百四拾参  帝拳ジムの愚かさ極まれり(2018/3/3)
八百四拾弐  公立小学校校長の劣化(2018/2/24)
八百四拾壱  自動運転の将来(2018/2/17)




八百六拾   サッカーと他競技との違い(2018/6/30)
Goal Fantasy Football から予選リーグ記事を引用します。
 ポーランドの先制点を許して一時的にグループH3位となった日本だが、その後に同時開催のセネガル対コロンビアでコロンビアがゴールを決め、フェアプレーポイントの差でセネガルを上回り2位に浮上した。日本は終盤、ポーランドに得点を決められるか、セネガルが同点に追いつけばグループステージ敗退となる中で、パス回しで時間を稼ぐことを決断。そのままスコアを維持し、セネガル対コロンビアも0−1のまま動かなかったために決勝T進出を決めている。

 このパス回しが議論を呼びました。賛否両論があり、批判的な意見は他国メディアに多いみたいです。もちろん、ルール上問題はありません。そんな中、この件に厳しい非難を浴びせたのは現地の観客です。

 時間稼ぎと分かると、観客の一部が帰り始めたそうです。ここにこそ、問題の本質があるかと思います。スタジアムの観客は高い金を払った上、遠くから足を運んで来ています。選手たちは誰のためにプレーをするのかと問われたら、第一に観客のためと答えなければなりません。しかし、どうなんでしょう。試合後のコメントを聞くにつけ、チームの面々は特に観客を意識していないみたいです。

 これがアマチュア試合であれば、どうでもいいんです。しかし、プロは金を取る興業ですから、観客に満足感を与えるよう努めなきゃならんでしょう。

 ボクシングでも似たような話があり、逃げの姿勢は嫌われます。ピンチに陥った場合は別です。その際には、足を使ったりクリンチに逃げたりは当然です。

 問題なのは、スコア優勢で勝利確実な選手が終盤を時間稼ぎで逃げるケースです。そういうときは、「逃げずに、打ち合え」のブーイングが浴びせられます。
 ボクシングファンの大勢は、「勝ち負けよりも、エキサイティングな闘いを観たい」です。もちろん、その上で勝つことが望ましいのですが、「逃げるくらいなら、潔く散れ」です。相手に打ち勝ちたい人間同士が向き合うことで、リング上にドラマが生まれるわけです。

 なお、逃げがあからさまな場合は、レフェリーが「ファイトしなさい」と注意を与えます。場合によっては減点もあり得ます。相手に後ろを見せるような逃げ方だと、「戦意なし」として試合放棄が宣せられることもあり得ます。

 オリバー・マッコール選手が試合中に拗ねたような様子で嗚咽し、まともに闘おうとせずにTKO負けとなったのが有名です。
 また、人気絶頂期のオスカー・デ・ラ・ホーヤ選手がフェリックス・トリニダード選手と闘った際、ポイント有利と考えたデ・ラ・ホーヤ選手は終盤を逃げて流しました。攻撃的に出るトリニダード選手との打ち合いを徹底的に避けたわけです。
 で、判定はトリニダード選手に振られました。これは意外でした。明らかにデ・ラ・ホーヤ選手がポイント有利と思われていたからです。しかし、ボクシングファンたちは誰も文句を言いませんでした。終盤、逃げに終始したデ・ラ・ホーヤ選手に同情できなかったからです。当時、人気絶頂のデ・ラ・ホーヤ選手であってさえです。

 サッカーファンの様子は少し違っていますね。負けていてなお、攻めない戦略を許容する方が多いと見受けられます。競技が違えば、ファン気質も違うということでしょうか。ボクシングに毒された私にとっては、遠い世界の話です。
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八百五拾九  家屋の解体、撤去完了(2018/6/23)
 6月11日から6日間かけて古い家屋の解体、撤去を終えました。2階建ての納屋、木屋、釜場、鶏小屋、物置、ひやなど計9部屋を撤去したのです。
 昨秋から8か月ほどかけ、内部の整理を進め、ほぼ空洞の状態にまで処分を終えていました。周辺の麦の刈り入れと燕の巣立ちを待って解体作業にかかりました。3名による作業で、朝早くから5時過ぎまでの熱心な仕事ぶりで、順調に終えることができました。

 下図は100年超えの頑丈な納屋です。その奥には木屋や物置が連なっています。右端に見えるのは鶏小屋です。釜場と同じく明治の頃に建てられたもので、納屋を上回る百数十年の年輪を重ねています。



 納屋の内部をここまで片づけました。本当に大変でした。



 下図は釜場です。母屋を新築して以後、釜場として使わなくなって三十数年間、広いスペースゆえに多用途に重宝しました。大物小物が山積していて、廃棄に向けての分別に苦労しました。



 さらに奥にひやがあり、内部を徹底的に片づけました。



 これは作業2日目の様子です。でかい納屋が解体され、廃材や壁土の搬出をしているところです。



 解体作業は瓦の撤去から始まります。昔の屋根は土を固めて瓦を固定しています。
 長年月の間に瓦が割れたり、土が流れて瓦がずれたりで雨漏りの原因となっていて、ガキの頃から屋根修理が私の役目でした。これでもう解放されます。



 廃材すべて撤去し、花崗土に入れ替えた更地の状態です。梅雨どきなので手出しできていませんが、梅雨明けを待って花崗土を気長に均す予定です。



 個人で工務店を営んでいる従弟に依頼しています。解体撤去、新しいカーポート及びカーポート兼物置の設計施工まですべてお任せです。解体に当たって、電気や水道を切る必要があります。その作業を担当したのは従妹の旦那でした。電気店を営んでいて、今春から息子が跡を継ぐとかで見習いで従いて来ていました。
 上図母屋の右手にカーポート兼物置を繋ぎ、手前にカーポートを設置するプランです。今は丸裸の状態なので、なんか落ち着きません。納屋や物置に収納していたあれこれの大半は処分したものの、必要なものは母屋に置いています。これが邪魔で、早く新しい物置に収めたいのです。

 大工さんのスケジュールと材料の手配が付き次第ということで、今は大人しく待つしかありません。多分、盆までには完成するものと勝手に心づもりをしています。
 解体費用の見積は、予想より安かったです。内部を空洞状態にまで空けたためでしょう。問題は廃材処分費用です。コンテナとダンプを併せて20車ほどの搬出でしたか、カウントしなかったのではっきりしません。とにかく請求額が恐いです。
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八百五拾八  切迫事態にどう向き合うか(2018/6/16)
 やりきれないようなひどい事件が連発しました。
 一週間前の9日午後9時50分頃、神奈川県内を走行中の「のぞみ265号」で乗客が刃物を振り回したため、新幹線が緊急停車し、駆けつけた警察官が殺人未遂容疑で現行犯逮捕しました。3人が刺されて小田原市内の病院に運ばれ、会社員のMさん(38)が首などを鉈のような刃物で切りつけられて死亡し、20代とみられる女性2人が頭や肩に重傷を負いました。

 通路の真ん中あたりで被害男性は仰向けになって倒れていて、加害者が馬乗りになって刃物を繰り返し振り下ろしたそうです。車掌は取り外したシートを盾に容疑者に近づいて繰り返し説得したそうですね。

 被害男性は単身で女性たちを庇い、犯人と揉み合う中で傷を負って死に至ったものと考えられます。今回のケースはいろいろなことを考えされるとともに、答えの出ない迷路に放り込まれます。
 私は十代の頃から武道に親しんできただけに、刃物の怖さを知悉しているし、刃物を扱う側の視点で物ごとを見ることができます。すると、犯人制圧に傾いたご意見にはとても首肯できません。

 先日、あるツイートが話題になりました。
 「事件を韓国の人に話したら「なんでベルトを使わないのか」と。素手で刃物を持った相手と立ち向かう手段として、当然のように兵役で教えられるとのこと。今日の「目から鱗」」

 ベルトを保護具とするのは結構なことです。ただ、それで刃物に対抗できるなどと考えるのは妄想です。このツイートの紹介に合わせ、徒手でナイフに対抗する方法などの動画が掲載されています。これらが噴飯ものなのです。
 共通しているのは、ナイフを持った側が木偶の坊の前提です。なんでか、刃物を持った人間が高度な技量と研鑽を積んでいる可能性を考えないみたいです。

 以前に読んだ十手捕縛術の師範の説明が参考になります。十手捕縄は刃物制圧に関して最右翼の武術です。
 Q:刃物を持った相手をどう制するか
   A:相手をせずに、とにかく逃げろ
 Q:逃げ場がない場合は
   A:長い得物で応じろ
 Q:長い得物がなければ
   A:周りにあるものをなんでも投げつけ、隙をついて逃げろ
 Q:周りになにもなければ
   A:唾でもなんでも吐きかけろ
 Q:唾も出なければ
   A:知らん

 また、大昔に某雑誌のインタビュー記事が物議を醸しました。極真OBの黒崎氏に対するインタビューだったのですが、黒崎氏が酔っていたため、自制が利かずに本音をぶちまけてしまったのです。
 「真剣白刃取りだと。本当にやれるものなら俺んとこへ来い。俺が日本刀でぶった切ってやる」
 また、貫き手で畳を貫く演武に対しても、「畳職人が使う鈎でさえ畳を抜くのは大変なんだ。それを人間の指でできると思うか。そういうインチキを止めろというんだ」概ねこのような内容でした。

 もともと黒崎氏は剣道を本格的に修行していた方ですから、真剣白刃取りなんて不愉快なのでしょう。剣道側視点を持っているのは私も同じです。ただ、どうでもいいというか、笑って生暖かく見守ることができます。
 しかし、そのような嘘演武で以って誤解する人間がいやしないかと心配なのです。護身術を練習しているから素手で応対できると信じ、なにかのおりに怪我したり命を落としかねないのです。

 今、真剣で居合を稽古しているだけに、その恐ろしさを実感できるのです。剣先を生身の人間に向けたら、とんでもない悲劇が生じます。そんな悲劇を予想できない鈍感さが情けないです。徒手で刃物を制圧するPRに余念のない方々、本当に無責任です。
 と同時に、そんな危険を冒してまで犯罪に立ち向かうのは立派だし、今回のように他人を救うために我が身を犠牲にすることの是非は、答えの出ない課題でしょう。
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八百五拾七  歪な Political Correctness(2018/6/9)
ミス・アメリカ 水着審査を廃止 (6月6日のNHK NEWSWEBから)

 アメリカで最も長い歴史を持つ美人コンテスト「ミス・アメリカ」は出場者が水着を着用して行う審査を廃止すると発表しました。「#Me Too」の運動が広がる中、今回の決定がほかのコンテストにも影響を及ぼすのか注目されています。

 運営団体の幹部は現在ほとんどが女性で、ABCテレビに出演したカールソン理事長は、「出場者には人としての内面を見せてほしい。それが私たちの審査基準だ」と話し、水着審査に代わって出場者が将来の目標などを審査員と話し合うセッションを設けるとしています。


 外観でなく、中身勝負を謳うなら、映画『ドリーム』の登場人物みたいな女性が出場すれば面白いことになります。あの圧倒的な頭脳でのし上がるタイプの女性たちが、美貌と肢体アピで生きている女性たちを組み伏せることとなり、コンテンツの方向性が根本的に変化してしまいます。これはもう誰得というか、TV局は見離すでしょう。

 そもそも後者の女性たちが反発して、従来タイプのミスコンを新たに開始するかもしれません。女性同士の切実な戦いが始まるかもしれません。ミスコンを世の中にでてゆく手段と捉えている女性は数多います。そんな彼女たちの途を断つ悪手とも言えます。Me-too運動でアピールしている方々にしてからが、元々は性的関心や魅力でのし上がった方もいるでしょうにね。


男は、夜道で女性を追い越してはいけない? 「200m離れて」に激論 (6且4日の J-CAST ニュースから)

 「夜間に女性の後ろを歩く男性はどうするのがベストなのか」のタイトルで議論された内容がこれまた歪なんです。
 果たして、次のような女性の投稿に説得力があるでしょうか。本来、自分が為すべきことを他人におっ被せ、他人のせいにする厚かましい言辞に思われます。

 「怖いから(横に)10メートルくらい距離をとって追い抜いてほしい」
  ↑「お前が10mくらい脇に逸れろ、他人に強いるな」
 「男は女の200メートル後ろをついてこい」
  ↑「お前が後続者から200m離れるよう急げ、それを他人に強いるな」
 「歩道の中で追い抜けないような狭い道はなるべく通らずに帰ってください」
  ↑
「お前が太い道路を選んで帰れ」

 男性から投稿された次の一文がド正論でしょう。
 「おっさんだけど夜道で後ろから来るのが男だろうが女だろうが警戒するし おあいこ様なんだから怖いならそっちが逃げろとしか思わない」

 上記の女性たちの意見は、行き過ぎたPCに毒されたものでしょう。己の望むところがあるなら、自らが為すべきです。他人に不都合を強いる話じゃないです。
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八百五拾六  危機管理、反面教師の宝庫(2018/6/2)
 日本大学アメフトトラブルは、一応の方向性が見えてきました。あとは警察による捜査の帰趨とアメフト部のガバナンス見直しです。日大の処分にしろ、関東学生アメリカンフットボール連盟の処分にしろ、本来であれば前項2点の結果を見据えて為すべきことです。

 拙速ともいえる結論に急いだのは、それまでの対応があまりにひどかったため、誰もが成果を世間に見せなければと急いだためではないでしょうか。

 反則プレーの映像が流れ、前後の経緯が漏れ始めた頃、一番に「暴力団と同じじゃないか」との印象を受けました。加害選手の振舞いは、鉄砲玉そのものです。
 「必ず、殺(と)ってこい。殺れりゃあ出世だ。あとあとの面倒もみてやるぞ」って、暴力団のやり口とまんま同じです。

 内田監督の説明は最初から矛盾を孕んでいました。
 「発奮させたつもりが、選手が誤解した」
 「責任はすべて私にある」
 この二つの発言は矛盾していて嫌らしさ満開でした。すべての責任が自分にあるというなら、こう言うべきでした。
 「選手は私の暴行指示を忠実に遂行したものである。チーム内の力関係を利用し、嫌がる選手に有無をいわせず強制した私の責任である。実行犯たる選手が責任を逃れられないのは仕方ないにしろ、酌量すべき余地がそこにはある。加害選手もまた、私の強権の被害者なのです」
 責任者が責任を任ずるなら、こう言わなきゃ嘘です。すべての責任を負うというのは、そういうことです。それを、その場しのぎの責任逃れに走るから、中途半端な言い訳の色合いを帯びてしまうのです。

 最初の日大の処分内容がお粗末でした。内田氏の常務理事の職を一時停止し、謹慎としたわけですが、これがまあ都合のいいその場しのぎでした。
 アメフト部の最高権力者、つまり最高責任者に対して、実に都合のよい処分でした。理事を解職するならともかく、職権一時停止とすると、職権が停止されているのをいいことに、「現在の自分には、なにごとかを為す権限がない」と逃げることができます。また、「謹慎中であるため、なにごとかを語るのは差し控えたい」とかの逃げ道を用意した図です。そして、ほとぼりが冷めた頃合いを見計らって復帰する目算が見え透いていました。

 そこへもってきて、田中理事長という立ったキャラが登場してくれました。いかにもな脳筋風味で、あれでは紳士然とした人間では太刀打ちできないでしょう。理事会でのし上がったのも納得です。
 なお、田中理事長って、まるで相撲協会の理事長と似た雰囲気が溢れています。野球賭博問題の際の武蔵川理事長の会見での逆切れを思い出します。ああいう方になにを言っても通じないだろうの感想です。周囲の人間は無力感に囚われるでしょうね。

 さらに会見の司会を務めた米倉氏が、これまた美味しいキャラでした。想像ですけど、米倉氏にとって報道各社の記者たちは、年の離れた後輩だったのでしょう。
 「取材のなんたるかも知らんひよっ子が囀りやがって。俺の部下なら、どやしつけてやるとこだ」くらいに思っていそうです。かといって、なんか憎めないんです。愛すべき勘違い爺ちゃんかな。爺ちゃん、もう眠かろう、早く帰って就寝しなよ、とか優しい気持ちで見守ってしまいます。
 あくまで、赤の他人として眺めている分にはです。席を同じくして、一緒に仕事するのはご免ですけどね。
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八百五拾五  井上尚弥選手世界へ飛翔(2018/5/26)
 昨夜25日(金)、WBAバンタム級タイトルマッチが東京・大田区総合体育館で開催され、ジェイミー・マクドネル(英)選手に井上尚弥(大橋)選手が挑みました。
 井上選手は3階級制覇を目指して、いきなりの世界戦です。この一戦、日本人ボクサーとしては過去に例のない注目を集めました。英のスポーツ局と米の大手であるESPNが生中継までしました。ESPNが生中継したのは、その後も見据えてのことと想像します。

 WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)のバンタム級トーナメント開催が決定していて、この試合の勝者への出場依頼もすでに来ているそうです。
 7年ほど前にもShowtime主催でバンタム級スーパー4トーナメントが実施されました。そのときは、階級の2強であるノニト・ドネア選手とフェルナンド・モンティエル選手が不出場でした。しかし、今回は違います。文句なしの最強決定戦です。その最強キャストの一翼を担うのが井上選手であり、世界のボクシングファンの期待も高いのです。

 ESPNが予定しているWBSS興業は、日本のTV局主催のボクシング興行とは桁違いです。しかも、ESPNは井上選手に最大限の敬意を払っているやに思われます。想像ですけど、WBSSをバンタム級で実施する決定は、井上選手が階級を上げてるのを見越してのことではないでしょうか。

 今や日本におけるボクシングは、マイナーなポジションにまで萎んでいます。それを跳ね返す凄い話なのです。フジTVもこの機会を逃さず、ボクシングのイメージ向上に取り組んでいただきたいです。井上選手には、それに応えるだけの実力が備わっています。うまく回せば、大きな話題となり視聴率も取れますよ。

 かつて、TBSが広い階層へのボクシングアピールに成功した事例があります。残念なことに、そこで使われたコンテンツが亀田一家という最悪ボクサーだったのです。フジには、TBSの轍を踏まないよう、本物路線を歩んでいただきたいです。世界を見渡しても、井上選手こそがパッキャオの後継に最も相応しいアスリートなんです。

 参考までに、海外の興業の凄さを紹介します。英のプロモーターであるエディ・ハーン氏が最近のこと、DAZN(パフォーム・グループ)との間で、8年で10億ドルの契約を結んでいます。この大金を背景にして、アンソニー・ジョシュアvsディオンテイ・ワイルダー戦も実現しそうです。1,000億円ですよ。井上選手には、日本のTV局のみみっちい番組プログラムに縛られてほしくありません。大チャンスなのです。

 WBBS(バンタム級)トーナメントに出場する目玉選手が出揃いました。
 WBAスーパー王者ライアン・バーネット(19戦全勝9KO)
 IBF王者 エマニュエル・ロドリゲス(18戦全勝12KO)
 WBO王者 ゾラニ・テテ(27勝3敗21KO)
 WBC 空位
 ここにWBA王者として井上尚弥選手が名を連ねました。試合は一方的なものでした。階級を上げた初戦でありながら、圧倒的な強打を振い、王者になにもさせませんでした。井上選手(165.2cm)に対して、マクドネル選手(175.5cm)は10cmも高く、リーチも170.6cmより10cm以上も長い182cmでした。でありながら、距離の優位も井上選手の前ではなんの役にも立ちませんでした。スピードと踏み込み、そしてパンチの速さはこの距離をものともしませんでした。

 心配なのはテンプルへの強打です。激しく効かせていましたが、その分拳にダメージを与えそうで気になります。井上選手に関して危惧するのは、相手の頭部を叩いて拳を痛めることだけです。

 井上選手のレコードは、16戦全勝14KOという文句なしの数字です。彼ら王者4名に上位ランカー4名を加え、8名によるトーナメントかと思われます。多分、世界中のボクシングファンの大半が、井上選手をこそ本命に挙げるでしょう。
 優勝するには3戦勝ち進む必要があります。もし井上選手が優勝した場合、3戦のファイトマネーは合計で1億円を超えるでしょう。フジTVも番組中でWBBSの紹介をしていましたから、中継を担いそうですね。番宣した以上、サポートする予定なのでしょう。

 これで井上選手も晴れて世界の檜舞台で認められそうです。そして、今夜のような闘いぶりを続けたら、世界中のボクシングファンが井上選手の試合を待ち望むようになります。それこそが、かつてパッキャオが担っていたポジションなのです。
 大谷選手が大人気ですけど、これはあくまで一部の国が対象です。世界的な認知度なら、まだしもボクシングが上回ります。井上選手にも眩しいまでの日が当たりそうで、ボクシングファンとしては嬉しいかぎりです。
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八百五拾四  ベビーカー漫才(2018/5/19)
 東武鉄道が野田線などの電車内で表示する注意喚起が波紋を広げました。
 「ベビーカーをご利用になるお客さまは周りのお客さまに配慮し、十分ご注意ください」
 これに対する賛否が喧しく、同社は、文言が一方的だったとして変更を検討しているそうです。

 ベビーカー論争は、昔から喧しい経緯がありますね。そんな中、ネットに書き込まれた一文が秀逸でした。すでに、ご存じの方もいるでしょうが、知らない方のために紹介します。なお、収まりに配慮し、改行と句読点に変更を加えています。最初に書き込んだ方の権利(同一性保持)を毀損している点についてはご容赦ください。


 昼過ぎの車両で、立ってる人がちらほらの車内で、リーマン2人連れがでかい声で話しててうざかった。俺とは席が離れてたのに丸聞こえで、かなり迷惑な感じ。内容も、片方が先輩で理想論かましててうざい感じで、世の中のここがなってないとかマナーが一般常識がとカンチガイ系。

 そこに、幼児の手を引いてベビーカー押した荷物一杯の大変そうな子連れママさんが乗ってきた。20代くらいだと思う。
 ママさんは乗ってきたのと反対側の扉にもたれて、ベビーカーから乳児抱き上げてベビーカーは畳んで、荷物を端に避けて置いてきっちり邪魔にならないようにした。その上で子供の手を引いて黙って立ってた。子供は幼児も乳児も2人とも静かだった。

 運悪く、その扉のすぐ脇がメンドクサイ系リーマンの座る席だったんだ。ベビーカーは畳んで座席と壁の手摺の間に立て掛けてた。ぶつかったりとかした訳じゃない。なのにリーマンはため息ついて、さっきみたいなでかい声で話し出す。
 「俺こういう常識ないのが信じらんね」とか
 「電車にベビーカーとか普通に迷惑なのがどうしてわかんねえかな」とか。
 ママさん、泣きそうな顔で車内見回してたけど、移動できるような場所はない。一瞬立って場所譲ろうとしたけど、俺がいた席は少し離れてて、長椅子の真ん中だし、幼児とか荷物とかがどうしようもない。
 ムズムズするうちにもリーマンの暴言はエスカレートしてる。どっかからおっさんが「おい、やめろ」とか剣呑な声だしてるけど聞こえてないのか車両内が異様な雰囲気になってた。
 するとリーマンの正面に座ってた女性2人連れが立ち上がって席を譲ったんだ。端の席だったし幼児と乳児連れて荷物一杯のママさんには丁度良かったと思う。
 女性2人連れはアラサーとアラフォーみたいでどうやら姉妹らしい。(若い方がもう1人をねーちゃんて呼んでた)2人はママさんが荷物運ぶのも手伝ってやって、ママさんは恐縮しきりで、でも嬉しそうに礼を言ってた。

 それが終わると姉妹は親子の前に立つのかと思いきやリーマン2人連れの前に、半身を互いに向けて立った。以下、姉妹のだいたいの会話。
 姉「いやー良い子だね大人しくて。やっぱ子供って良いわー ウチにはいないけどw」
 妹「ねーちゃんは良いじゃん、私が小っちゃいときを堪能したでしょw」
 姉「お前はもう可愛くないじゃんw お前がこれから産んでよ。まだ若いんだしw」
 妹「いやアンタ産めよ 旦那居るだろw」
 姉「お前も早く嫁に行けw」
 妹「嫁行って子供もほしいけど、最近の世の中が世知辛いからねー難しいねー」
 姉「そうだねー、子供でも大人しくしてる公共の電車のなかでキーキー騒いでるやつらが、学生とかならまだしも立派な社会人さんだもんねw 世も末だわw」
 妹「しかも回りの人に迷惑かけてんの気づかないかね。居酒屋じゃねーんだよっつーのw」
 姉「そうそう、なのに偉そうに子連れベビーカー批判とかはっずいw 一個も迷惑かけてないんですけど オマエラと違ってw」
 この辺でもう周り、クスクス笑い出す。
 妹「しかも世の中のベビーカー全否定w お前らの親は使ったことねーのかとw」
 姉「オマエラ乗ったことねーのかとw 生まれたその日に立って歩けたんかとw」
 妹「それ人類じゃないしw お前ら小鹿か何かかとwww」
 姉「ざっけんなそんなにかわいくねーよ 鏡見ろとw」

 ここで俺含めて何人か爆笑。他の客もほぼ全員笑ってた。
 もうね、2人とも声も通るしテンポも良いし、ひょっとして、あれ芸人なんじゃないかと思った。残念ながらテレビとかで見たことないけど。
 ここまで姉と妹のセリフが入れ替わってたりするかもだけど、内容はほぼ忠実に書いてると思う。頭から離れなくなるくらいテンポよかったんだよ。
 リーマン2人は爆笑が起きた時点で顔真っ赤で車両移ってったけど
 「あるいは馬とかwww?」
 「馬と鹿か?www」
 「なにそれ丁度良いしwww」
 ってちゃんと落としてた。ちらほら拍手起きてたwww
 俺はベビーカー連れが邪魔なのは人によると思うから決して擁護はしないけど、(ぶつかられたり嫌な思いしたことも実際あるし)
 あのママさんはあの時点で誰にも迷惑かけてなかったし、むしろ煩かったのはリーマンだし。
 あの姉妹のネタは素晴らしかったと思うし、とっさに人を助けてやろうと動けるって良いなと思った。


 実話かネタかは知りませんが、いずれにしても見事な一文です。スカッと爽やかな読後感に浸れるでしょう。私自身、備忘録的に記録しておきたくて書き込みました。
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八百五拾参  リナレスvsロマチェンコ(2018/5/12)
 明日、ニューヨークのMSGでWBAライト級タイトルマッチが開催されます。王者のホルヘ・リナレス(帝拳)選手に、WBO S.フェザー級王者であるワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)選手が3階級制覇をかけて挑みます。

 日本のジム選手が係る久々のビッグマッチとあって、ファンたちは明日を待ちきれずにそわそわしています。注目のビッグマッチではあるものの、勝敗についての興味は薄目なのが残念です。リナレス選手がどこまで健闘するかという、ちょっと情けない注目の仕方なのです。
 それもそのはずで、挑戦者のロマチェンコ選手が現役中最強の呼び声もあるくらいなのです。アマチュア戦績は397戦396勝1敗というパーフェクトなもので、北京五輪、ロンドン五輪と2連覇を果たしました。その後プロ入りし、2戦目にして世界挑戦というありえないキャリアの持ち主です。この試合は対戦相手のサリド選手が体重超過を犯したうえ、得意の身体を合わせるボクシングを挑んできたため、僅差の判定で負けました。
 ここ数戦の試合は、あまりに一方的な内容であったため対戦相手が試合放棄しました。その心を折られた選手の中にニコラス・ウォータース選手とギレルモ・リゴンドー選手が含まれているとあって、これはもうただごとではありません。

 そして、リナレス選手の番がきました。先週のWOWOWのボクシング番組で、リナレスvsロマチェンコ戦は最終決戦的カードである趣旨のコメントがありました。好カードには違いないですが、ラスボス的カードは、むしろガルシアvsロマチェンコ戦であり、そのラスボス決戦も実現が近づいているみたいです。

 ガルシア選手とロマチェンコ選手には共通点があります。両者ともに速いテンポのボクシングでありながら、常にその状況に合わせて最適なパンチを選択している点です。まるで対戦相手とは違う時間軸の中で生きているかのようです。自分だけゆっくり時間が流れているかのように的確な対応をして見せます。ですから両者ともに必然的に的中率が高くなっています。また、両者ともに放つパンチが広角で、距離の遠近に応じて肘の角度調整が完璧です。

 対して、リナレス選手は連打が速いものの、まるでサンドバッグを打ってるかのようで、必然性が乏しく感じられます。そして、なにより強打を打つ際に距離を必要とする点が気になります。短い距離だと、強打を打つための体勢づくりができていないでしょう。これで、ガルシア選手やロマチェンコ選手と闘ったら、いいようにやられてしまのではないでしょうか。

 ロマチェンコ選手は一気に距離を詰めて近間の攻防に入ります。で、これはリナレス選手が一番苦手な展開なのです。リナレス選手も典型的な帝拳スタイルなので、近間の攻防がまったくできません。リゴンドー選手でさえ持て余したくらいですから、リナレス選手じゃどうにもできないでしょう。
 リナレス選手はスェーで後ろ重心の防御姿勢を取るか、ガードを固める防御姿勢を取るかのどちらかです。相手のパンチをくぐって左右に重心を移動させて強いショートをぶつける練習をしていないやに思われます。
 いえ、練習内容は知りません。しかし、所属選手たちの試合を見る限り、近間でのそのような攻防を見たことがないのです。
 明日、試合後にあらためて感想を書くつもりです。

平成30年5月13日追加
 10R、ロマチェンコ選手が左ボディをレバーにピンポイントで決めてTKOしました。
 負けたといえ、リナレス選手も6Rにダウンも奪ったし、右クロスで脅かすシーンも多かったし、ボディへの有効な攻撃もあったしで、健闘が光りました。まさに、ボクシング史に記されるべき名勝負でした。

 ところで、ロマチェンコ選手はクレバーなだけでなく、十分ダーティです。リゴンドー選手に対してもやってたけど、今回も頭をぶつけていました。

 これでマイキー・ガルシア選手との対戦が楽しみになってきました。これぞ、ラスボス決戦です。
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八百五拾弐  筋トレ成果あり(2018/5/5)
 年末から開始したスレンダー・トーン併用による腹筋は、筋力アップをもたらしました。腹の筋肉が固くなり、明らかに筋繊維が太くなっています。

 しかしながら、ズボンを履く際の腹回りは厳しいままです。問題なのは、臍下に位置する下腹と横腹の贅肉です。ぷっくりした膨らみがズボンの収まりを邪魔してくれます。調べると、ここの贅肉落としは難しいそうです。もともと贅肉が付き難い部位で、徐々に長年月かけて蓄積されるそうです。こうして付いた贅肉とあって、取るのが難しいそうです。

 そこで、3月下旬あたりからプログラムを変更し、横腹と下腹に負荷をかけるメニュー中心に移行しました。やはり効果はありました。1か月強が過ぎ、ズボンを履くときのきつさが緩和されました。
 腹回りの贅肉落としに近道はありません。負荷をかけてひたすら脂肪を燃焼させなければいけません。で、負荷をかけるには筋力が必須です。筋力がなければどんなトレーニングもできません。

 特に年齢を重ねると坂道を転げ落ちるように筋力が低下します。高齢者こそが意図して筋力アップに努めなければならないのです。筋力がなくなると運動量が落ち、老化をより促進してしまいます。

 1年前から居合を始め、年末からは筋トレを始め、さらに下半身の鍛練不足を補うためにヒンズースクワットも行っています。これらトレーニングは、いつまで続けるべきというのでなく、健康維持のために永続しなければいけません。
 よくぞ真剣を入手したものです。よくぞスレンダー・トーンを購入したものです。スレンダー・トーンも電池の劣化とか帯電パッドの劣化とかで、いずれ使用できなくなるでしょう。いいんです、筋力さえ獲得できれば、いずれ不要になるものですから。
 今は筋力アップを下支えしてくれるツールとして役立っています。買ってよかったと思っています。世間では、役に立たない詐欺商品との評価もあります。それは、使用する側の問題なのです。自らを助けようとする人間にとっては、よきパートナーとなってくれます。自分からはなにもせず、機材にすべて任せ、それでなにごとかが成し遂げられるはずもありません。


 台湾旅行というか故宮見学から、もう一枚の写真を紹介しておきます。本来であれば一番見たいのは絵画です。しかし、今回の展示絵画は大したものではありませんでした。いえ、私がその価値を知らないだけなのでしょうけど。
 絵画と書は3か月ごとの入替えだそうで、目的の画家を狙って訪ねなければいけません。

 で、先週の記事でリンクした古代青銅器コーナーは常設展であり、いつでも見ることができます。その中の一点を紹介します。



 日本なら国宝間違いなしで、こんなのがゴロゴロしてるんです。京都国宝展で鑑賞した縄文期の「火焔土器」級の感動がそこここで味わえます。
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八百五拾壱  故宮博物院初訪問(2018/4/28)
 水曜日に中華民国国立故宮博物院を初めて訪問しました。昔から憧憬の対象であった極上文物に出会うことができ、幸せな時間を過ごすことができました。
 これまで何度も故宮訪問を検討してきましたが、なにかと都合がつかず今日まで来てしまいました。さすがに今は隠居とあって、問題もなく実現の運びとなりました。
 1月に実施が予定されていたツアーは中止されました。私しか申込み者がいなかったそうです。台湾は暑いので、1月コースが最適だったのですけど残念でした。

 今回の申込者は20数名いた模様で、現地で2グループに分かれてのツアーとなりました。私の参加グループは外れでした。現地ガイドが片言の日本語とあって、説明内容がほとんど理解できなかったのです。他のメンバーも「なにを言ってるのかさっぱり分からん。ええかげんにせい」と不満たらたらでした。

 ツアーとあって故宮見学に充てられていたのは2時間だけだったので、展示物すべてをゆっくり鑑賞することもできませんでした。でもいいんです。今回はリハーサルの位置づけです。
 海外旅行も初めてで、台湾の事情も分からなかったのが、今回の経験で慣れることができました。将来において、よい展示があったときにあらためて訪問します。



 今回の展示物でよかったのは古代青銅器です。なかでも立派な鼎の数々に驚きました。さすが歴史の厚みが桁違いです。日本なら国宝指定間違いなしです。「戦国策」に記述されているような鼎の数々を実見できて幸せでした。
 展示されていた鼎は、しっかり撮影しておきました。ちなみに故宮は撮影可です。ストロボさえ焚かなければ問題なしとしていて、さすが太っ腹です。

 あとは観光定番の名所を巡りました。取りあえず九フン(人偏に分)だけ紹介しておきます。「千と千尋の神隠し」のモデルとも言われ、今や観光名所になっています。



 なんとなく映画と同じ雰囲気でしょう。石畳の狭い階段に沿って、写真のような提灯風景が連なっています。大半の観光客が写真撮影を目的にしているものだから、通行の邪魔になって仕方ありませんでした。私はちゃんと食堂から撮影しましたよ。
 階段を埋め尽くす人波の大半は、日本人と台湾の国内旅行者です。映画のおかげで盛り上がっています。しかし、撮影者、特に自撮り馬鹿は迷惑です。人の迷惑省みずで、蹴飛ばしたくなりました。
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八百五拾   ボクシング界、興業優先の自殺行為(2018/4/21)
 先日のボクシング試合での不祥事が世間を賑わせているので、少々の解説を試みます。
 4月15日に横浜アリーナでダブルタイトルマッチが開催され、そのセミファイナルが問題の試合です。WBCフライ級タイトルマッチで、同級2位のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)選手が9回TKOで比嘉選手を破って新王者になりました。

 比嘉選手は前日計量で900gの体重超過を仕出かし、再計量も放棄したため王座を剥奪されました。
 「当日8時の計量で55.3kg以内(フライ級より5kg増)であれば試合OK」というJBCの急造ルールで試合そのもは行われました。
 比嘉選手は54.7kgでクリアしたわけですが、これは先日のルイス・ネリvs山中戦の先例に倣ったものです。試合を中止すべきだったものを、興行のための特例として強行されたのです。今回の比嘉選手の不始末に対しても、JBCはTV放映の有力プログラムであることから興業優先の決定を下したものです。体重制競技を否定する決定であり、ボクシングそのものの価値を損なうものです。

 JBCは半年の出場停止を命ずるみたいですが、これではケジメがつかないでしょう。ルイス・ネリ選手を永久追放したことと整合性が取れていません。公正な処分を科すなら、比嘉選手も永久追放すべきです。
 ただ、永久追放そのものが前例無視の恣意的処分だったわけで、JBCの行き当たりばったりの対応があからさまになりました。

 比嘉選手が戴冠した試合では、相手側が体重超過を仕出かしました。その際、具志堅会長は相手選手の不始末に対する怒りを強くアピールしました。お前が言うな、ですね。比嘉選手は練習とともに身体が大きくなっていて、減量が難しい実態がありました。具志堅会長はその厳しい現実を無視し、フライ級路線を強制しました。その結果としての減量失敗だったのに、他人ごとみたいなコメントを発していました。
 なお、罰金は1万ドルぽっちで、安いというかやったもん勝ちです。

 ロサレス選手が比嘉選手を9回TKOで破って新王者になりました。ロサレス選手は立派でした。不利な体重ハンデを抱えながら、真向からの打ち合いを挑み、見事に打ち勝ちました。立派な新王者です。また、若いのに紳士然とした佇まいで、日本人アスリートお手本にすべきです。


 当日のメインイベントがWBAミドル級タイトルマッチで、王者の村田選手が8回TKOで同級10位のエマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)選手を退けました。

 世間には、村田選手の強さが際立ったとかの評価が多く見られます。どうなんでしょう。私には物足りなさが目につきました。
 近間でブランダムラ選手の右脇腹によい角度で左フックを打ち込める機会が何度もありました。本来ならKOできるくらいおいしい場面でしたが、手打ちの左フックとあって効きませんでした。
 体重を乗せたパンチを近間で打てないんですね。ワンツーの後、距離が詰まってフック、アッパーに繋ぐタイミングでも、左腕を延ばしてプッシングしていました。あれは近間で強いパンチが打てないものだから、プッシングで距離をつくろうとしているのです。

 何度も書いていますが、帝拳のトレーナーは気持ちよく打ち込める練習しかさせていないのでしょう。これは村田選手だけでなく、山中選手もそうでしたし、最近だと尾川選手や五十嵐選手もそうでした。近間の攻防に関して、村田選手は五輪の試合からむしろ退歩しているやに思われます。
 このままでは、ゴロフキン選手、アルバレス選手、チャーロ選手などにはとても勝てないでしょう。特に、ジャーモール・チャーロ選手が自在な距離で強打を振り抜くのを見ると感心するばかりです。村田選手も見習えばよいのですが。
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八百四拾九  菊地秀行備忘録(2018/4/14)
 断舎利大作戦は順調です。台所用品類の整理が一段落し、肩の荷の幾分かが下りました。いずこの家庭でも台所用品が溢れていることでしょう。食器類、フライパン、鍋、盆などなどです。

 どんぶり、茶碗、湯飲み茶碗、コップ、皿などの食器類が食器棚で収まらず、戸棚や押し入れのスペースにも浸食していることでしょう。田舎では寄合や法事が各家々で行われてきました。大勢に食事を振る舞うため、食堂かと見紛うくらいの数量を備えてきたものです。
 しかし、法事の振舞いも料亭に出向くのが一般的になり、各家庭の食器類は不要になりました。我が家も例に漏れず、膨大な食器類が不要になったものです。今週、大幅な整理を終えました。


 小説の整理第3弾は菊地秀行氏のホラー関係です。菊地氏の小説のタイトルも紛らわしく、記録しておかないと後で分からなくなります。というか、今時点でもうまったく判別できません。

光文社文庫
「妖魔淫獣」
「妖魔淫獄T兇闘編」
「妖魔淫獄U鬼宝編」
「妖魔淫獄V冥帝編」
「妖魔淫獄W呪王編」
「妖魔軍団」
「妖魔戦線」

祥伝社
「魔界都市ブルース 魔王伝 1双鬼編」
「魔界都市ブルース 魔王伝 2外道編」
「魔界都市ブルース 魔王伝 3魔性編」
「夢幻舞踏会」

講談社文庫
「魔人学園」
「淫蕩師 鬼華情炎編」
「淫蕩師 呪歌淫形編」

徳間文庫
「影歩む港」

角川文庫
「妖夢特急」
「魔界医師 黒天女」

竹書房文庫
「妖魔の宴 ドラキュラ編(1〜2)」菊地氏編によるアンソロジー

 なお、講談社文庫短編集の「怪奇城」だけは手元に残しておきます。所収の『領海侵犯』『人でなし』は傑作の誉れ高く、私もお気に入りです。

 上のタイトルは混乱の元でしょう。もうどれがどれやら見当もつきません。今後、菊地本を買う際、それが既読かどうか、こうやって記録しておかないと判別できません。

 あと、東野圭吾氏の文庫本も処分しました。こちらはタイトルから内容が類推できますから心配ありません。ついでに池波正太郎氏の“剣客商売シリーズ”全巻もです。
 そしてついにジェムズ・エルロイも捨てました。LA4部作とアンダーグラウンドUSA3部作をのみ残すだけです。これで気が大きくなります。なにせエルロイでさえ処分の対象にしたのですから、凡百の小説なんぞもう惜しくもありません。
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八百四拾八  自動運転実現には誠実な取り組みを(2018/4/7)
 3月18日の夜間にUberテクノロジーズの自動運転車がアリゾナ州で歩行者をはね、死亡させる事故が起こりました。そのドライブ映像は世界に衝撃を与えました。

 これが人間の運転であれば、典型的な前方不注意事故です。車内カメラ映像を見ると、監督役ドライバーは完全に油断していました。当初言われていた「急な飛び出し」でなく、ごく普通のありふれた横断でした。夜間のロービーム60km強走行なので、相当な前方注視が必要です。車内映像のような気の抜けたドライバーだと、少なからず事故に繋がるでしょう。

 夜間自動運転には難しい問題があるものだから、現時点でレベル4は昼間のみの対応と勘違いしていました。だって、自動ブレーキひとつとっても夜間対応は困難なのですから。
 急ブレーキを多用してもよいのであれば問題ないのですが、急ブレーキそのものが危険行為なので、緊急時に限定する必要があります。夜間走行の大部はロービームなので、低い部分の映像を認識して判断しなければいけないのです。人間の全身を認識した時点では間に合わないのです。今回の事故映像でそのタイミングの難しさが理解できるでしょう。
 小動物なんかの映像は低い位置にあり、急ブレーキの対象から外さなければならず、ロービーム下での判断が難しい理由です。夜間自動ブレーキを可能にしたボルボやトヨタがどのような仕組みなのか興味があります。

 ところで、ハンドルやアクセルから解放された状態から、いきなり運転を指示されても対応できるものでしょうか。レベル3とかでも、自動運転システムと人間が上手く協調できるか疑問です。

 その後、詳細が伝わってきました。Uber車のセンサーは3種だそうで、そのすべてが歩行者に該当しないと判定したわけですね。想像ですが、歩行者と認定するだけの定量を満たさなかったということなのでしょうか。人間であれば、曖昧な情報、断片的な情報からでも歩行者であろうと判断できるところでしょう。ケースバイケースながら、人間の方が的確に対応できることもあろうかと思います。


 3月26日にはカリフォルニア州でテスラ Model Xが中央分離帯に激突し、近くを走行中の自動車2台を巻き込む事故を起こしました。さらに、Model Xは車体前半部が粉砕されたうえ、バッテリーから出火(爆発)してドライバーが死亡する大惨事となりました。

 該当車輛は広告でレベル4相当を実現しているとか謳われています。以前からそうですけど、いくら広告といえ、ふかし過ぎじゃないかと危惧しています。老舗車メーカーに比べ、どうにも安全への配慮が軽んじられているというか、慎重さが足りないように思われるのです。

 先日のGMの自動運転車輛のレポートからすると、同じ米車メーカーでも安全配慮に対する姿勢に差が窺われます。また、スバルのアイサイトは夜間でも自動ブレーキが機能すると噂されていますが、スバル自身は夜間対応を認めていません。車メーカーにはそこまでの慎重さが求められて然るべきかとも思います。

 テスラはIT系のノリで調子こき過ぎなんですよ。ソフトウェア アップデートにしても、「ワイヤレス アップデートで常に進化し続けます」とか広告で謳ってるけど、これは老舗車メーカーが絶対不可としている手法です。老舗メーカであれば、アップデートする際には厳密な手続きとコネクションを課しているはずです。

 テスラの今後は厳しそうです。安全面だけでなく、生産工程の問題が未だに解決していませんし、運転資金の燃焼にも厳しい現実が突きつけられています。それに伴ってパナソニックも大変なことになりそうです。
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八百四拾七  ソアラ復活(2018/3/31)
 昨年5月半ばに依頼した補修全塗装が完了し、火曜日に納車されました。10か月余待たされたわけで、正直むかついています。
 自動車税が45,400円、重量税と自賠責保険料が12か月分で3万3千円ほど、自動車保険が3万5千円ほどで、1年分の経費合計が11万円強です。完成まであまりに長くかかったため、これらの負担金が無駄になったのです。前記金額は数字を明示できる部分で、車を使えないという数字で表せない損害もあります。

 古い車なので、補修パーツもなく、いろいろ手間取るのは当然です。しかしながら、ここまで時間がかかったのは、他の依頼を優先し、ソアラを後回しにしたためでしょう。12月のコラムにも書いたように、現今は多くの業者が廃業していて、いきおい仕事が集中することとなり、私が後回しにされたものと推測します。

 12月2日にガレージを訪ね、年末での納車を約されました。しかしながら、その時点まで他の仕事を優先して放っておかれたわけですから、集中的に作業に取り組むと言われても信用できませんでした。で、危惧したとおり納車されず、年が明けても一切の連絡がありませんでした。2月に入ってから訪ねたところ、進捗状況が12月時点とほとんど変わりありませんでした。
 さすがに厳しく言いました。「いつまでかかるかしらんが、こちらも予定があるんだ。連絡なしでは困る。必ず連絡を入れてくれ」と伝えました。

 そして、3月27日に連絡が入り、納車の運びとなったわけです。前回までのやり取りでは、社会人としてそれなりににこやかに応じました。しかしながら、今回はとても愛想を振りまく気になれず、憮然とした態度で対応しました。



 仕上げは素晴らしいものです。モールやストリップ類がもはや手に入らないので、既存のパーツをそのまま利用しています。つまり、すべて個別に手作業でリペアしているのです。手間暇がかかり、工賃がかさむのは当然でしょう。また、細かいへこみや荒れが多数あり、手間のかかるタッチアップが為されています。
 早い話が旧車のレストアとあって、極めて高額な請求となりました。当初の大ざっぱな見込み金額を大きく上回っています。
 高額なのは当然であり納得しますが、維持負担金が無駄になったことについてのワビがあってしかるべきと考えています。請求書はそのまま受け取りましたが、支払いはかなり先にします。多分、しびれを切らして催促があるでしょう。そのときは、「必ず払う。ただし、時期は未定。こちらの気が済むまで待て」と返す予定です。

 冒頭に書いている無駄になった維持負担金と損害の幾ばくかを、迷惑料として出精値引きなりしていたら許せたでしょう。でもね、請求の際にそんな気配はまったくありませんでした。結局、舐められたんでしょうね。
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八百四拾六  リーガル・サスペンス備忘録(2018/3/24)
 断舎利の一環として本も処分しています。一年前、専門書や実用書千冊以上も処分しました。小説は罪がないというか、差し障りがないので取りあえず残していました。しかし、あらためて考えると、二度と読まない小説が間違いなくあります。っていうか大半がそうです。そんな小説を残していてもスペースの無駄です。そこに思いが至り、ついに小説の整理にかかりました。

 危惧するのは、処分した本を再度重ねて買うことです。そこでメモしておこうと思い立ちました。特にややこしいのは法廷ミステリです。“起訴”だの“訴訟”だの“法廷”だの“判決”だのの文言がいずれのタイトルにも使われていて、判別し難いのです。そこで、処分するリーガル・サスペンス系文庫本をここに記しておきます。

講談社文庫
「顧客名簿」 ローレンス・サンダーズ
「売名弁護」リザ・スコットランド(弁護士)
「代理弁護」  〃
「女性判事(上下)」ナンシー・テイラー・ローゼンバーグ(各州市警)
「不当逮捕」  〃
「ブレイン・ストーム(上下)」リチャード・ドゥーリング(ロースクール出)
「ドリームチーム弁護団」シェルドン・シーゲル(弁護士)
「検事長ゲイツの犯罪」 〃
「理由(上下)」ジョン・カッツェンバック(裁判担当記者経歴)
「殺人容疑」 ディヴィッド・グターソン
「背任」 ボニー・マクドゥーガル(弁護士)
「賠償責任」  〃
「逆転敗訴(上下)」ウィリアム・コフリン(判事)
「リンカーン弁護士(上下)」マイクル・コナリー
「真鍮の評決(上下)」 〃
「判決破棄(上下)」 〃
「証言拒否(上下)」 〃
「罪責の神々(上下)」 〃

ハヤカワ文庫
「暗闇の囚人」フィリップ・マーゴリン(弁護士)
「葬儀屋の未亡人」 〃
「起訴」バリー・リード(医療過誤と製造物責任専門の弁護士)
「訴訟(上下)」ジョン・マーテル(全米十傑に選ばれた弁護士、O.J.シンプソン事件のアドヴァイザー)
「最終弁護」スコット・プラット(弁護士)
「確信犯(上下)」スティーヴン・ホーン(検事補 弁護士)
「インモラル」ブライアン・フリーマン
「死刑判決(上下)」スコット・トゥロー(検事補 弁護士)

徳間文庫
「断罪弁護(上下)」ジョン・マーテル

扶桑社ミステリ
「敵意ある証人(上下)」ウィリアム・ラシュナー(弁護士)
「ダーク・サーティ」テリー・ケイ

新潮社文庫
「評決のとき(上下)」ジョン・グリシャム(弁護士)
「法律事務所(上下)」 〃
「陪審評決(上下)」 〃
「路上の弁護士(上下)」 〃
「原告側弁護人(上下)」 〃
「大統領特赦(上下)」 〃
「極秘制裁(上下)」ブライアン・ヘイグ(軍人)

文春文庫
「弁護」ダドリー・W・バッファ(弁護士)
「誓約(上下)」ネルソン・デミル
「推定無罪(上下)」スコット・トゥロー(検事補 弁護士)
「立証責任(上下)」 〃
「有罪答弁(上下)」 〃
「囮弁護士(上下)」 〃

創元推理文庫
「騙し絵の檻」ジル・マゴーン(法律事務所秘書)

角川文庫
「誤審」デクスター・ディアス(弁護士)

小学館文庫
「財産分与」ペリー・オショーネシ(弁護士 姉妹共作)

 スコット・トゥローの『推定無罪』が超ベストセラーとなったことで、法曹関係者が我も我もと小説を書き始めました。上を見ても、ほとんどが弁護士、判事、検事です。法廷を実際に体験している人間は強いものです。なかには自分が係った訴訟案件そのものを題材にしたケースもあります。

 私が最も感心したのはマイクル・コナリーです。氏は法曹関係者ではありません。でありながら、特異なプロットを発案し続けていて見事なものです。専門家たちよ、門外漢に上を越されて悔しくないんかと発破をかけたくなります。

 逆にがっかりなのは、以前から何度も書いたジョン・グリシャムです。そもそもデビュー作であると同時に出世作でもある『評決のとき』が駄作としか思えないのです。世間の評価は極めて高かったのですが、私にはとても納得いきません。グリシャムのダメさ加減については、別稿で詳述したはずなので省略します。

 駄目なのをあげつらうのでなく、よい小説を採り上げるべきですね。コナリー以外のお薦めは、ウィリアム・コフリンの『逆転敗訴』とジョン・マーテルの『断罪弁護』です。この両作については、実は未だ手元に置いています。手放せないんです。

平成30年3月29日追加
 本日、文庫本処分の第2弾を行いました。
 ディック・フランシスの“競馬シリーズ”、ロバート・ラドラム、そして、ついにロバート・ゴダートも処分しました。ただ、初期三部作+この一作のみは手元に置いています。
 あらためて言うまでもない『千尋の闇』『リオノーラの肖像』『闇に浮かぶ絵』+『さよならは言わないで』です。この傑作群だけは、何度読んでもミステリ読みの醍醐味を味あわせてくれるでしょう。決して裏切られることのない小説です。

 本棚の見通しがよくなって嬉しい限りです。一年前まで2〜3列で収納していたものを、1〜2列の並びになって書名の確認がし易くて助かります。
 本棚は本来かくあるべしと悦に入っていて、今後さらに整理を進める予定です。
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八百四拾五  こんな絵を描いてたんだ(2018/3/17)
 古い家屋を潰すため、収納されているあれやこれやの始末に追われています。寒い冬場は小休止していたものを、暖かくなってきたので再開しました。
 思いきりよく片づけに追われている中、捨て難い一品を発見しました。



 なんじゃこりゃでしょう。もう懐かしくって、涙がちょちょぎれましたよ。
 高校3年時、秋の体育大会(クラスマッチ)でクラスの応援旗として描いたものです。なんで私が描くことになったのか経緯は覚えていません。私がそれなりに絵が上手いってのを同級生たちが認めていたのでしょう。

 これはブルース・リー『ドラゴン 怒りの鉄拳』の有名なワンシーンですね。眺めているうち、いろいろ思い出されました。布地は友人が手配し、ポールに結わえる紐も縫い付けられています。
 この布地が曲者なのです。溶き絵具の水気で以って顔料が滲むのです。ですから、滲みを計算して着彩する必要があります。滲むと拙い部分については、水気なしで描画するなど水加減に気を使いました。

 幸い当時の私は、筆1本と墨のみで絵を描いていて、この手法に手馴れていました。薄墨を使わず、かすれ具合で以って陰影が表現できるのです。漫画家の小島剛夕氏が能くしていた技法で、『子連れ狼』で多用していました。また、日本画のたらし込みに相当するテクニックを独自に駆使しています。

 あらためて旗の絵を眺めてみると、モネ風の大まかな筆遣いをやってますね。滲みを避けながら、ようもやれたものと感心します。拡大図を掲載しますので、そのあたりをご覧になってください。



 問題は陰影の色合いです。この頃の私は、明暗の意味合いが理解できていません。掌や顔面の暗部表現がド素人のそれです。反省というか、色彩についてきちんと勉強していない丸出だめ夫です。
 しかし、面白いもので、なにも知らないからこそ思いっきりのよい絵が描けています。恐いもの知らずの素人の強みです。今の私に、むしろ足りないものです。
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八百四拾四  最近の世相(2018/3/10)
スポーツライターの片岡亮氏のブログ「拳論」から引用します。
ルイス・ネリ、JBCが「無期限追放」に処分を変更

 日本ボクシングコミッション(JBC)は、3月1日の山中慎介戦で体重オーバーによる計量失格となったルイス・ネリ(メキシコ)について、「契約不履行」として1年間の招へい禁止を発表していたが、昨日の臨時倫理委員会で急きょ、永久追放に等しい無期限の「以降招へい禁止」に変更された。

 ずいぶんけったいな話です。ネリ選手陣営は体重超過を隠したわけでも、嘘の申告をしたわけでもありません。すべては明らかでした。問われるべきは、不測の事態に対して公正な対処を行わなかった帝拳陣営とコミッション側でしょう。
 ウェイト競技でありながら、体重差を放置したまま試合を行った主催者側の見識や責任をこそ厳しく問うべきです。放置したまま、すべてが済んでから、後出しみたいになにをやっとんねんです。もちろん、「無期限追放」の規定もなしにです。


(株)日本ジャーナル出版のWebメディア「まいじつ」の3月5日の記事から引用します。
デヴィ夫人「日本は韓国みたいにできるの?

 2年後に迫った東京五輪についても、「平昌五輪は開会式も閉会式も素晴らしかったと思うんですよ。あれ以上のことをいま、日本は2年後に求められていますけど、日本はできるんですかね。心配しちゃいます」と案じた。

 これに対して、批判的な書き込みが相次いだそうです。昨今の嫌韓ネット厨からすれば、我慢ならなかったのでしょう。一方で、私のような年配の人間にとっては、デヴィ氏の杞憂にも頷けます。

 平昌開会式は立派なものだったし、ソチはそれ以上に見事なものでした。それに引き比べ、1988年の長野五輪の開会式なんて恥ずかしかったものです。和のテイストがどうたらで、御柱だの相撲の四股だのの独りよがりっぷりに白けました。伊藤みどりさんの聖火衣装にも、ひとごとながら照れてしましました。

 いっそのこと、東京五輪が質素路線に転換してくれれば画期的なのですけど。世界中の方々はきっと納得してくれますよ。金満五輪への反省は、かなりの方が共有しているものと想像します。
 うろ覚えですけど冬季五輪の場合、アルベールビルやリレハンメルは質素で素朴なテイストに満ちていました。そして、シンプルゆえの感動もありました。ああいうシンプルさというのは、決してチープというのでなく、むしろ本来の形であり、あるべき相です。恐れず、勇気を以って東京五輪が簡素路線に邁進してくれたら、私は拍手喝采します。


日刊スポーツnikkansports.com 3月8日の記事から引用します。
大坂なおみ、元世界1位シャラポワにストレート勝ち

 BNPパリバ・オープン◇米カリフォルニア州インディアンウェルズ◇女子シングルス1回戦
 世界ランク44位の大坂なおみ(20=日清食品)が、1回戦で初対戦の元世界ランキング1位で現在は41位のマリア・シャラポワ(30=ロシア)を6−4、6−4で下した。


 水すましのような身のこなしも含め、鮮やかなリターンでした。そいて、試合内容だけでなく、試合後のインタビューがまた見事でした。というか、大坂嬢の受け答えがスタンダードなんですけどね。さすが世界で闘っているアスリートは、対戦相手をリスペクトすることの大切さをよく分かっています。

 WBC大会で監督を務めた山本氏や小久保氏にも爪の垢を煎じて飲ませたいものです。あの両監督のインタビューって、聞いてて本当に恥ずかしかったものです。こんな世間知らずが、長年プロ競技の世界で生きてきたいい歳をした大人なんかと呆れましたもん。

 大坂嬢には、世界を舞台にのし上がっていただきたいです。その際、彼女の振舞いはきっと世界中で愛されるでしょう。期待しています。
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八百四拾参  帝拳ジムの愚かさ極まれり(2018/3/3)
 3月1日、両国国技館でWBCバンタム級の前王者ルイス・ネリ(メキシコ)と元王者山中慎介(帝拳)が対戦し、2回TKOで山中選手が敗れました。

 前回の試合はネリ選手がドーピング検査でクロとなったものの、お咎めなしで戴冠そのまま、再戦のみが指示されるといういいかげんな裁定でした。
 平昌五輪にロシアの参加が禁止されたのに比べ、ボクシング界のいいかげんさが際立ちます。ボクシングがいいかげんな競技であるとの指摘に対して反論もできません。ちなみに、ボクシングはアマチュアもひどく汚れていて、東京五輪から除外されるかもしれません。

 ネリ選手、今回は体重超過をやらかしてくれました。罰金を契約文書に盛り込んでいないという信じられない不手際です。対外的な契約を性善説でやっちゃうという情けなさ。

 計量で失格になったので、王座が剥奪されました。体重超過はときどき出来するものの、興行が優先されて試合は行われるのが一般的です。ただし、ペナルティとして罰金を科します。ミゲール・ガルシアvsエイドリアン・ブローナー戦では、1ポンド超過につき50万ドルの罰金が定めれていたそうです。

 ときどきタイトル失陥より、強敵に勝って名を上げることを優先する輩がいます。そのような不心得者と試合を組まされた相手は災難です。
 最強のリカルド・ロペスに、とにかく勝つことを狙ったロセンド・アルバレスが有名です。また、ホセ・ルイス・カスティージョとディエゴ・コラレスの泥試合なんかも記憶に残っています。第2戦目でカスティージョ選手が体重超過でコラレス選手を圧倒し、続く第3戦目でもカスティージョ選手は体重超過しました。さすがにコラレス陣営は対戦を拒否し、試合中止となって、それに伴う損害賠償訴訟を起こしました。

 山中選手は試合を拒否できなかったでしょうね。陣営そのものが興行主体であり、TV局の生中継が予定されていて、局から大金が入るとあっては、どんなに嫌でもリングに上がらざるを得ません。まったく気の毒な話です。


 ボクシングライターによると、山中選手サイドは近間で打ち合うボクシングを練習していたそうです。でも、それは無理があります。長年身体に染みついたスタイルを、短期間の練習で変えるのは難しいでしょう。
 で、山中選手のスタイルは、まったく従来と変わらぬものでした。上体の動きがなく、突っ立ったままで打ち合うスタイルでした。こんな姿勢で近間のボクシングができると考えているらしい帝拳関係者には、厳しく反省していただきたいです。

 結果は一方的な2RKO負けでした。体重差を放置したままの対戦、減量を無視した相手との対戦、その結果がどのような事態を招くのか、典型的なケーススタディです。
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八百四拾弐  公立小学校校長の劣化(2018/2/24)
 東京都中央区の銀座5丁目にあるとかいう泰明小学校が揺れています。次年度入校生から採用されるアルマーニ製の標準服が物議を醸しています。上下一式9万円也で、既存服に比して3倍とかの高額制服となっています。小学生は見る見るうちに成長するとあって、在学中に数回の買い替えが必要になり、負担は結構なものでしょう。

 文科省の「学校における補助教材の適切な取扱について」に示された通知によると、「補助教材の購入に関して保護者等に経済的負担が生じる場合は、その負担が過剰なものとならないように留意すること」とされています。
 こんなのあらためて言われなくても、学校関係者にとっては常識話です。この校長のもの知らずは異常レベルであり、その駄目さ加減は次の文言からも窺えます。

 取材に対し、「新標準服の導入は、泰明小学校の現在の教育状況を見つめ直し、泰明のよさを残しながらも、これからの時代に対応できる教育の具現化を目指し、教職員、児童の意識改変のために、学校の方針として必要であると判断して決めた。従って、校務をつかさどる校長が決定した」と説明しています。

 前段の導入に係る説明には、なんの根拠も示されていません。また、「学校の方針」を校長個人が決定できるというトンデモ勘違い。
 「学校の方針」は、学校関係者すべてが従い、あらゆる面で指針となるものです。当然のこと、決定に当たっては、手続きに従い、手順を踏んで、決定に至るものです。そこに至るには、あらゆる人間が係り、あらゆる観点からの検討が為されます。

 アルマーニに依頼した経緯からすると随意契約ですね。随意契約を結ぶなら、相当な説得力ある理由が必要です。ところが、広く意見を聴取する手続きを無視し、父兄に対する斟酌もないし、適正な価格での提供を実現するための会計手続きも無視しています。
 もちろん、制服という個人の所有になる物品は父兄負担であり、公的会計規則の埒外です。しかし、会計規則に示された考え方は援用されるべきで、父兄に課す金銭的負担が公正、適正なものとなるよう学校側は留意しなければいけません。

 オリジナル制服を製作するとなると、デザインという難しい要件が出来します。ここを重視するなら、コンセプトを公開しての提案型入札が適切でしょう。プロポーザル式あるいはコンペ方式です。

 制服検討委員会を設置し、教員、その他職員、生徒、PTAなどから委員を任命します。そして、デザインコンセプトの達成度、価格、材質や耐久性、納入実績等について議論し、最終的に点数化して決定すれば公正なものになるでしょう。私立だと、もっと好きにすればいいんでしょうけど。
 校長のトンデモはもちろんですけど、副校長や総務課長を始めとした周辺の職員も頼りないこと。

 この校長が保護者に配布したペーパーによると、学校のイメージ刷新の文脈で「VI(ビジュアルアイデンティティ)構築」とか訴えていました。学校イメージを訴求するためのVI構築を目指すとなると、大がかりなプロジェクトともなります。まず、スクール・アイデンティティを決定し、次いでそれを訴求するためのデザインコンセプトを決定します。デザインすべき対象は、校舎、看板及び標識などの表示類、色彩コーディネート、ステーショナリー類、制服などです。むしろ、制服は枝葉に位置するオマケ的アイテムですよ。

 そのようなビジュアル構築に取り組むわけでもなしに、VIとか話を盛り過ぎなんですよ。結局、制服を恣意的に変更するための口実というか、オサレなカタカナ言葉でだまくらかそうって魂胆なんでしょう。
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八百四拾壱  自動運転の将来(2018/2/17)
 自動運転の現状と課題、そして将来展望について、先月の二つの記事から多くのことを読み取ることができます。そして、ここから得られる結論は、当面の間変更なしで推移するでしょう。
 とても重要な内容を含んでいますので、リンクでなく、直接引用記述します。


 GMの自律走行車は、あまりにも「用心深すぎる」かもしれない:試乗体験レポート
 (1月19日の産経ニュースから引用)

 ゼネラルモーターズ(GM)の傘下にあるCruise Automation(クルーズ・オートメーション)が開発中の自律走行車に乗ったとき、人々のあらゆる動きが警戒の原因になった。約20分、距離にして5km弱の試乗で、2人の歩行者が車の前に飛び出してきた。自分の命がソフトウェアに委ねられていることなど知らないための行動だろう。さらに2台の自転車が予想外に大きく旋回してきたし、人が運転している複数の車が交差点で急ハンドルを切ったり、赤信号を無視したりした。

  <中略>

 クルーズの自動運転はいまのところ、人間が不要なわけではない。現時点では、2人の自律走行車トレーナーが、運転席と助手席に座っている。

1人はセーフティードライヴァーで、ブレーキペダルに足を乗せ、両手で軽くハンドルを握っている。もう1人は助手で、膝にノートパソコンを乗せている。穏やかな声で方向や警告の言葉を発したり、「Slack」で同僚にメッセージを送ったり、走行に関するメモを取ったりしている(これはグーグルの自律走行車部門のウェイモとは対照的だ。ウェイモはアリゾナ州フェニックス郊外で無人の自律走行車をテストしており、フェニックス郊外で、完全に無人のタクシーサーヴィスを立ち上げようとしている)。

 このため、すべてがとても安全に感じられた。周囲の歩行者や自転車の安全も確保されているように感じた。カーヴを曲がる自転車には十分なスペースを与えていた。車線をはみ出して追い抜くこともないし、何分間も自転車の後ろをゆっくり走っていた。さらに、チンチラは横断歩道に近づく人々に対して、とても慎重だった。道路を横断するように少しでも見えると、その瞬間、急ブレーキを踏んだのだ。

 試乗の終盤で、交差点を左折して横断歩道を横切ろうとしたとき、ベビーカーを押す女性が道路に向かって勢いよく歩いてきた。こちらに来ないでほしいと心のなかで願った結果、女性は方向転換し、別の横断歩道を渡った。そのとき、チンチラは交差点の真ん中で急ブレーキをかけた。

  <中略>

 従来のクルマを運転する人々にとっては、自律走行車によるこうした行動は迷惑に違いない。まず、自律走行車は速度が遅い。チンチラは、ほぼ時速25km〜30kmあたりを維持していた。

 次に、自律走行車は危険を察知すると停止する。急ブレーキを踏み、乗車している人間が座席から投げ出されることもあるくらいだ(もし片頭痛に苦しんでいたら、決してチンチラには乗らないだろう)。

 さらにときどき自律走行車は混乱し、文字通り凍りついてしまう。試乗中にチンチラは、一方通行の道路に停車している公共バスに近づいた。バスをよけながら進むスペースは十分あった。しかし、チンチラは危険だと判断し、ブレーキをかけた。そして、その判断を継続した。

 約2分後、セーフティードライヴァーがようやく自動運転モードを解除し、バスをよけながら前進した。幸いなことに後続車はいなかったが、もし後ろに車がいたら、クラクションを鳴らされたに違いない(クルーズのカイル・フォクトCEOは、のちに両サイドの空間を測定するLiDARセンサーに数週間前から技術的な問題が生じていると教えてくれた。つまり、通常時はさらに障害物の回避に慎重になるということだ)。

  <中略>

 フォクトCEOは、「自動運転は今世紀最大と言わないまでも、この10年間で最も困難な工学的課題です」と語った。もしサンフランシスコの静かな地区を走行した今回の試乗が何かを物語っているとしたら、おそらく彼の言う通りだろう。

 そしてGMは、自らはるかに困難な課題に挑戦しようとしている。GMは10月、マンハッタンのダウンタウンで自律走行車のテストを開始すると発表した[日本語版記事]のだ。そこはまさに、「俺がここを歩いているぞ!」が大合唱されている場所だ。


 テスラの「半自動運転」はなぜ消防車への追突事故を起こしたのか
 見えてきた自動運転技術の課題と限界

 (1月28日の産経ニュースから)

 テスラの電気自動車(EV)である「モデルS」が、停車中の消防車に追突する事故を起こした。半自動運転システムである「オートパイロット」が消防車を認識できなかったとされるが、これは決して“欠陥”ではない。現在の自動運転技術の課題と、完全なる自動運転までの道のりについて、この事故を契機に改めて考える。

  <中略>

 「警告:トラフィックアウェア クルーズコントロールは、物体を検知できない場合があり、静止した車両と衝突しないようにブレーキをかけたり減速したりできなくなることがあります。特に時速80km以上で走行しているときに追尾していた車両がいなくなり、その代わりに静止した車両や物体などが前方に現れると、この現象が起きやすくなります」

 ボルボの半自動運転システム「パイロット・アシスト」にも同様の“弱点”がある。例えば、ボルボ車の前を走るクルマが車線変更をしたり道からそれたりして、ボルボ車と停車中のクルマとの間にさえぎる物が何もなくなったような場合である。

 「目標車両が移動中の車両から静止車両に変わった場合には、Pilot Assist は静止している車両を無視して、設定されている速度まで加速します」と、ボルボのマニュアルにはある。「運転者は注意を怠らず、必要に応じてブレーキをかけてください」

 つまりボルボ車は、目の前に急に現れた停止車両を避けるためブレーキをかけないかもしれないのである。むしろ、それに向かって加速する可能性すらある。これはアダプティブクルーズコントロール(ACC=先行車に追随して車間距離を保つ定速走行機能)や衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ機能)が備わっている、あらゆるクルマについても同じことが言える。

  <中略>

 「あまり必要のないときにブレーキをかけることと、必要なときにブレーキをかけないことと、この両者のバランスを常にとらなければなりません」。このように説明するのは、運転支援技術と自律走行車の開発のためにボルボとオートリブが共同設立したZenuityで新技術部門を統括する、エリック・コーリンである。

 彼が指摘しているのは、誤検知(フォールスポジティヴ)の可能性についてだ。高速道路で必要なく急ブレーキをかけることは、必要なときに止まらないことと同じぐらい危険になりうる。

 「安全のために選ぶべき唯一の選択肢は、動かないことです」と、カリフォルニア工科大学のアーロン・エイムスは言う。そうは言っても、運転時にはあまりあてにならないだろう。「何に注意して何に注意しないのかについて、合理的に想定しなければなりません」

 カーネギーメロン大学で自動運転を研究するラジ・ラジクマーは、これらがテスラ車の主要なセンサーとも関係してくると指摘する。「テスラ車で使われているレーダーは明らかに、(ACC全般がそうであるように)動く物体の検知を前提にしたものです。静止した物体を検知することは苦手だと思います」と彼は語る。


 GMのテスト車輛は市販レベルの低コストシステムです。今のところ、外部に公開されている最高の自動運転システムは、先日日産が公開した400〜500万円の高コストシステムです。あれはあくまで試作研究レベルで、コスト的に市販に耐えられません。

 対するに、GMは現実的な要件の中でよくやっています。実交通環境への落とし込みの内容を読むと、以前から予想していたとおりの安全優先運行です。この安全優先運行こそが難しい課題として立ち塞がってきます。日本の狭い歩車一体道ともなれば、最徐行や停止が常態化するでしょう。もう、各所で糞詰まりが出来し、本来果たすべき道路としての機能が潰されます。

 ただ、今の状況が限界というのでなく、センサー精度や解析処理の高度化によってやがては克服されるでしょう。例えば、自動ブレーキも進歩を続けています。少し前まではアイサイトにアドバンテージがあったものの、すでに追いつかれています。それどころか、ボルボが夜間での動作を可能にし、トヨタも続くなど追い越されています。

 テスラ追突の事情も、夜間自動ブレーキが困難であったのと似たような構図です。夜間自動ブレーキが克服されたように、車間距離の取り扱いと対象速度(or 静止物)把握もいずれは克服されるでしょう。

 自動運転が今後も難しい点は、安全優先故に円滑な交通の流れを阻害してしまうことです。遠い将来においては、これもまた克服されることでしょう。時間はかかるでしょうけど。

 で、感心したのはトヨタの戦略です。先日のフェアで発表されたアメリカの複数の事業者との協業プランです。配送に利用するのは有りというか、一番有効な利用方法でしょう。各拠点間を結んだり、ルートサービスとして巡回するわけで、ややこしい路線選択を強いられることもないし、走りやすいルートを指定できます。また、通勤通学時間帯を避けるなどの対応も可能です。
 加えて、走行距離が固定ですから、安心してEV車を稼働できます。レベル4とか5とかの高度自動運転は、個人ユーザ向けでなく、このような営業サービスにこそ適合性が高いかと思います。


 私が気になるのは、レベル3と4に求められる人間の運転義務です。緊急時やシステムが対応できない状況で、ドライバーに操作が緊急要請されます。で、これは無理です。継続して運転しているからこそ、緊急時にもとっさに対応できるのです。自動運転で走行していて、突然要請されても上手く対応できないでしょう。「えっ、えっ」ってパニックになっちゃいますよ。Audiがレベル3を販売するそうですけど、そこのところをどうクリアするんでしょうか。自動運転の車に乗ったことないから、そのあたりは想像でしかものを言えないんですけど。
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