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八百     知覧と鹿屋(2017/5/12)
七百九拾九  禁煙と喫煙(2017/4/29)
七百九拾八  映画版『高慢と偏見とゾンビ』(2017/4/25)
七百九拾七  断舎離大作戦(2017/4/16)
七百九拾六  隠居と断舎離(2017/4/9)
七百九拾五  一皮むけたリナレス選手(2017/4/1)
七百九拾四  森友学園狂想曲(2017/3/25)
七百九拾参  最近の世相(2017/3/21)
七百九拾弐  311の追悼(2017/3/12)
七百九拾壱  事実は小説より奇なり(2017/2/26)
七百九拾   トランプ政権の軍事オプション(2017/2/19)
七百八拾九  日米首脳会談の考察(2017/2/12)
七百八拾八  アメリカ新政権への対応(2017/2/4)
七百八拾七  トランプ大統領就任(2017/1/22)
七百八拾六  ガソリンエンジンこそが面白い(2017/1/15)
七百八拾五  今年は円安トレンドとなるか(2017/1/8)
七百八拾四  トランプ氏とともに迎える新年(2017/1/1)
七百八拾参  年末ボクシング三昧(2017/1/1)
七百八拾弐  年末のしょむないことども(2016/12/25)
七百八拾壱  日露交渉の第一歩(2016/12/18)




八百     知覧と鹿屋(2017/5/12)
 3週目に突入した禁煙は本物です。昨日までの鹿児島旅行においてさえ、煙草を喫いませんでしたから。

 旅行ともなれば、電車待ち、バス待ち、フェリー待ち、タクシー待ちなど、とにかく時間潰しが必要になります。そういうときに役立つのが煙草で、まさに煙草の有難さが骨身に沁みました。で、今回の旅行でも悩まされた強烈な喫煙欲求を、見事に抑え込むことができました。これはもう本物でしょう。

 今回の旅行は、懸案の知覧特攻平和会館鹿屋航空基地史料館訪問です。いつかは行こうと考えていた両施設をついに実見できました。

 知覧特攻平和会館の目玉は疾風実機です。これは接収した米側が実際に飛べるよう整備した機体を日本側に寄贈したものです。ところが、日本側に歴史的資料として保存する体制がないものだから、コンディション維持ができず、飛行できない状態にしてしまったという曰くつきの機体です。

 鹿屋航空基地史料館は、好事家必見の聖地です。私もやっと訪ねることができました。一番見たかったのは二式大艇とUS-1です。話に聞いていた「かつおぶしの波切り」も、写真でなく実機で確認すると構造と作用がよく理解できます。
 日本の軍事技術なんか、欧米から大きく立ち遅れていたわけで、それをやたらマンセーする独りよがりにはげんなりさせられます。しかし、飛行艇だけは別です。これだけは、昔も今もオンリーワンの存在です。
 現物を前にすると、気持ちも高ぶりました。また、屋外で野晒し展示の栄エンジンと誉エンジンにも興味を惹かれました。中島のエンジンは本当にコンパクトです。これで、欧米並みの工業レベルがあれば、傑作飛行機ができ上がっていたでしょうにね。

 連休明けとあってガラガラでした。連休には航空ショーもあって、とんでもない人出だったそうです。鹿児島−鹿屋直通バスを利用した際には、4名の乗客でした。シーズンを外すのが正解ですね。移動も宿泊も空きだらけで、のんびりゆったりの旅が満喫できました。

 最終日の鹿児島市内観光では、タクシーの運ちゃんが自主的に観光案内を申し出てくれ、サービスで対応してくれました。薀蓄を語るのが好きなのでしょう。ぜひとも俺に喋らせてくれの勢いで、ガイドを務めてくれました。
 九州新幹線も初乗り、砂蒸し温泉も初体験、ここ十数年間の旅行といえば、美術関係ばかりでした。久しぶりの観光地訪問で、命の洗濯ができました。
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七百九拾九  禁煙と喫煙(2017/4/29)
 一週間前に禁煙を開始し、ここまでタバコ断ちに成功しています。
 禁煙の難しさを逆説的に表現した名台詞があります。
 「禁煙くらい簡単なものはない。自分はこれまで何度も禁煙をやった」とかいうやつです。私も何度か挑戦し、そして挫折しました。

 今回、順調にいけているのは、断舎離を始めとした人生のリセットに合わせたためなのでしょう。専門書や実用書の大半を処分することによって、自分の半生そのものの痕跡さえ捨てたのです。結構後ろ髪を引かれる決断でした。なら、ついでに喫煙習慣も捨てればいいんじゃね、の思いつきです。

 最初の3日間は本当に辛かったです。ニコチン切れのことでなく、身体に染みついた吸引刺激を欲してのことです。朝の起き抜け、食事の後、作業が一段落した後、車の運転中など、喫煙習慣に慣らされた場面での喫煙欲求は半端なかったです。

 それが4日目から希薄になりだし、身体も楽になりました。いえ、身体といっても肉体的なことでなく、精神的なものですけどね。

 なんとか禁煙に成功しそうです。これで、酸素ボンベの世話にならなくて済みそうです。仮にこのまま禁煙に成功したとして、自身の喫煙人生を振り返って、後悔するかといえば、それはまったくありません。
 それどころか、喫煙というものの素晴らしさも実感しています。煙草をくゆらせ、喉から肺に達する刺激は文句なしの快感です。
 また、日々の生活の中、沈思黙考、精神安定、行動の切り替え、他人との落ち着いた関係構築など、明白なメリットをもたらせてくれました。ちょうど、酒飲みが酒なしの人生なんて味気ないと宣うのとまったく同じです。

 私は身体へのダメージが無視できなくなったので煙草を止めます。しかし、健常な方なら、慌てて禁煙することありません。喫煙ライフの素晴らしさは、止めてこそよく分かります。高い煙草代を払い、身体を痛めるだけの値打ちはあります。吸ったことない人間には理解できんでしょう。
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七百九拾八  映画版『高慢と偏見とゾンビ』(2017/4/25)
「シネマトゥデイ」から引用します。

リチャード・ギア、反中国発言でハリウッド追放
 映画『アメリカン・ジゴロ』や『プリティ・ウーマン』など大手スタジオのAリスト(一流クラス)俳優として活躍するも、反中国発言でハリウッド追放状態となったリチャード・ギアが、The Hollywood Reporter に胸の内を明かした。中国は今やアメリカに次ぐ世界第2位の映画市場となっており、ハリウッドが中国と親和性を高めていることはよく知られている。


 熱心なチベット仏教徒かつ人道主義者であるリチャードは、1993年のアカデミー賞授賞式でプレゼンターを務めた際、台本を無視し、中国によるチベット抑圧は「恐ろしく人権が侵害された状態」だと非難。激怒したプロデューサーにオスカー出禁にされるも、2008年には北京オリンピックのボイコットを訴え、2012年にもインドで行われた仏教イベントで中国について「世界で最も偽善的な国」を語るなど、臆することなく発言を続けてきた。


 中国資本がアメリカ映画産業の後ろ盾になっているのは、いろいろな映画の内容から類推されます。最近観た『高慢と偏見とゾンビ』からも、その影響力がきっちり窺われます。

 「富める者は日本で、賢き者は中国で」
 「あなたが日本でなく、中国で武術を娘達に習わせたから、娘たちは結婚が無理なんです」
 「東洋一の拳法を習わせた」
 「少林寺拳法は最高だわ」
 「『孫子』は、中国語で読まないと意味がない」

 こんなセリフは、原作(訳文)にもありません。 原作でも、主人公5姉妹が中国で少林寺拳法を修め、主人公と対立する英雄戦士一族が日本で武術を修めたとされています。しかし、映画のように、日本下げ、中国上げまではやっていません。
 中国資本の投資を受けたのか、あるいは関係者に中国シンパが多いのか、いずれにしても中国の影響力が日本を抑えちゃってるなと実感しました。

 原作については、四百六拾   奇書「高慢と偏見とゾンビ」(2010/5/30)に書いたところです。映画化までの経緯を記します。

 原作は世界文学傑作10選にも挙げられるジェイン・オースティンの『高慢と偏見』を、そのままゾンビ小説に置換したものです。作者は『リンカーンvsゾンビ』の元小説を書いた方でもあります。著作権が切れているのをいいことに、元小説の登場人物とストーリー、さらにはセリフもそのままに、ゾンビ世界にリライトしたものです。
 出版前から話題になっていて、ミリオンセラーを記録し、ナタリー・ポートマンが映画化権を買って映画化したものです。で、自身が主役も務めています。

 そのような政治的な背景はともかく、『高慢と偏見とゾンビ』はお薦めです。この映画(小説)は、お馬鹿話であり、シリアス路線を期待してはいけません。特に小説は、ニンジャだの空中に浮かんでの剣戟だのと、荒唐無稽路線です。さらに、アメリカの出版物に挿入さている挿絵がまた、かつて世界に溢れていた国籍不明、多国籍文化混淆の出鱈目なものです。ネットでなんでも取り出せる時代にあって、よくもこんな出鱈目なイラストが掲載されたのか、よう分かりません。

 ただ、大元の『高慢と偏見』をなぞっているだけに、男女の心の機微にドキドキさせられるメロドラマとして楽しめます。とにかくサービス満点なのは、間違いないです。
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七百九拾七  断舎離大作戦(2017/4/16)
 先月末から開始した断舎離を徹底しています。
 書籍類はすでに800冊くらい処分したでしょうか。Book Off を3回訪ね、古紙回収業者は4回訪ねました。デザイン関係の専門書200冊ほどは、前の職場に寄贈しました。ただ、知的所有権関係、マーケティング関係、広告マネージメント関係は取りあえず手元に置いています。また、図版関係の書籍は、見て楽しめるので、やはり手放さずにいます。
 軍事・戦史関係書籍200冊ほどは、同好の士に寄贈しました。その方には、以前にも相当数を渡しています。
 結局、小説類だけ確保しています。専門書やら実用書こそ、むしろ不要です。下手に持っていると、気持ちの切り替えができません。手放すことによって、リセットできる模様です。いずれ残しているデザイン関係書籍も寄贈することでしょう。

 服飾類も徹底的に捨てる準備ができています。もはや着ることもない服を持っていても仕方ありません。古いスーツもバッサリです。ひとつひとつチェックしていると、一度も袖を通していないものも結構ありました。そこで勿体ないなどと考えてはいけません。

自治体が無料で処分してくれる小型家電もスパッと処分しました、これには付属品やケーブル、コネクタ類も含まれ、これまた膨大な量がありました。もう、オーディオ機器に手を入れたり、PC関係の拡張をすることはありません。

 絵画関係も処分しました。絵具やジェッソ、メジウムなんかを新聞紙にひり出して燃えるゴミに、残チューブやビンはそれぞれ分別します。
 段ボール、発泡スチロール、プチプチがこれまたどっさりあり、それぞれ分別し、紙類は田圃で燃やしました。

 CDディスクも嫌になるくらいありました。ソフト、ドライバ、チュートリアルなどです。整理していると、フロッピーも結構ありまして、まったく無駄な投資をしたものです。

 断舎離に2週間かけ、ほぼ片づいたところです。明日から、少しのんびりできるかなと考えています。自分の半生の垢を落とした気分です。
 退職に伴う礼状の発送も済ませ、保険関係のやり替え手続きも進捗しています。これでやっと、本当に肩の荷が下りました。
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七百九拾六  隠居と断舎離(2017/4/9)
 先月末で定年退職となり、第二の人生へ歩み出しました。今後の予定について、考えもありますが、取りあえずは後片づけに追われています。

 まずは膨大な蔵書群の整理です。今後、必要になることもありましょうが、無くても困らないでしょう。今はNetで手軽に情報収集も可能ですしね。思いきることが大切です。

 金になりそうな書籍類をBook Off に持ち込んだところ、コーヒー一杯分の換金でした。高額な専門書も形なしで、コミックスに負けています。
 活用できそうな書籍群は、古巣の職場に寄贈します。要らないと言われれば、それまでですけど。
 その他の有象無象は、廃品業者に持ち込みます。というか、定期的に放り込んで始末しています。一昨日にも捨てましたし、明日も捨てに行きます。

 本棚がかなりすっきりし、あぶれていた本もある程度収まりました。本が棚に収まるのを見るのは心地よいものです。不要本の整理にはまだまだかかりそうです。

 また、不要な小物類も片端から処分しています。特にAV関係やら、PC関係やらのケーブル、コネクタ、ディスク類が売るほどあり、これもまたすべて処分しました。少し大き目のものは、細かくバラして燃えないゴミへGOです。

 その他、膨大なファイル類やペーパー類は、ホッチキスや金具を除いて焼却処分を続けています。ケースや箱類も焼却処分です。
 本当は駄目なんですが、農家は野焼きを行う関係から、まあ許容されています。これには大助かりです。やがては古い納屋や釜場、木屋も解体の予定です。その際には、家具類を解体し、釘やヒンジを除いて焼却するつもりです。そうやって家内で処分できますから、安上がりです。

 さらに、この際とばかり絵具やイーゼルも処分しました。さらにさらに、額装した絵やパネルも処分予定です。
 断舎離徹底すべしの方針で以って、文字どおり身も心も身軽になっています。本当に気持ちよいものです。そうやって、すべてを捨てることによって、新たな人生に歩みだせるものと考えています。
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七百九拾五  一皮むけたリナレス選手(2017/4/1)
 3月25日、イギリスのマンチェスターでWBAライト級タイトルマッチが行われました。帝拳のホルヘ・リナレス選手に前王者のアンソニー・クロラ選手が挑んだ再戦です。

 リナレス選手が完璧なボクシングでワンサイド勝利を飾りました。以前のリナレス選手とは、ボクシングスタイルがかなり違っていました。よい変化というか、明らかな向上です。某ボクシング番組の解説者たちは、円熟の境地にあるとか語っていました。しかし、それは違います。以前の延長線上の話でなく、ボクシングが変化してきているのです。

 以前は速い前後の出入りで闘い、相手の攻勢を亀の子ブロックで遮り、その間隙をぬってパシャパシャ連打を放つというものでした。
 ここ数戦、近距離での打ち合いを積極的に行うようになりました。相手のパンチをダッキングで躱し、結構強く打ち込むスタイルとなっています。特に至近距離でのアッパーを多用するなど、以前には見られなかったボクシングです。

 試合後に後援のHBOが、次戦はビッグマッチであるとか示唆していました。つまり、無敗のミゲール・ガルシアとの試合が確定と考えてよい模様です。これは文句なし、アメリカでも話題になるビッグマッチです。ただ、ガルシアには到底勝てないでしょう。

 リナレス選手には欠点もあります。攻め込まれたとき、上体が立ちっぱなしになり、スゥエーで躱そうとする癖があります。その際にパンチを貰うことこととなり、ケビン・ミッチェル選手にダウンを奪われたのもこのケースです。

 今回の試合は、地上波でやっていないので、一般日本人の目に留まらないのが残念です。それは試合内容だけでなく、試合後のインタビューが日本人アスリートのお手本ともなるからです。リナレス選手は海外中心に闘っているので、よく分かっています。
「二人の選手が全力を尽くして闘ったのです」
「前回より3倍頑張りました。強敵だと分かっていたからです。マンチェスターの皆さん、クロラは本当に強いハートを持った。強い奴なんです」
こういうコメントのできない日本のアスリートたち。お前たちは知能指数が低いとの自覚を持て、と言いたいです。
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七百九拾四  森友学園狂想曲(2017/3/25)
 森友学園問題は籠池氏の国会証人喚問にまで至りました。変な話です。本来、小学校に認可申請に係る虚偽記載によって、不認可となり、ことはお終いです。
 国の特別な計らいがあったところで、さしたる問題ではありません。手続きに違法な取扱いがあったなら、裁かれるべきです。しかし、森友側の虚偽記載の類以外、今のところなにも出ていないじゃないですか。

 政治家がものごとに対して、積極的に口出しすべきかどうかは難しいところです。政治家によるチェック機能として、むしろ評価する向きもあるでしょう。政治家は陳情という形で、いろいろな相談を受けています。政治家たちは、これを重要な仕事とさえ位置づけています。なにせ、選挙に関わる重大事ですから。
 私ゃ、政治家の口利きは嫌いです。しかし、それでも収賄がなけりゃ問題にはなりません。無償の政治活動として、尊敬さえされるでしょう。

 政治家の圧力に負けて、役人が違法な対応をすれば問題です。しかし、森友問題については、今のところ違法といえるようなことは見つかっていないでしょう。土地の優遇提供なんて、教育関係やら工業団地誘致なんかで普通に行われていることです。

 森友学園のケースでは、小学校設置申請が虚偽記載などで認可不適当となったのですから、これでいいんじゃないですか。

 今回の件で、税金の遣い途がどうとかいうなら、自衛隊の装備調達やら辺野古基地建設なんか、トンデモレベルでしょう。
 ただ、橋下氏が言うように、森友以外の学校にも声かけし、競争入札はやるべき手順だとは思います。

 証人喚問で明らかになったのは、この元理事長さん、あんまりまともな人間じゃないということです。こういう偏った、あるいは恥知らずな人間が偉そうに教育を語っていて、しかもそれを称揚していた方々がいたというのが、なんとも日本の劣化というべきでしょう。
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七百九拾参  最近の世相(2017/3/21)
 WBC決勝トーナメント進出

 予選、1次を全勝で駆け抜けました。強豪揃いの今大会にあって、見事なものです。
 MLB関係者も野球人気を世界に定着させるため、選手の出場大盤振舞いです。おかげで、とてつもなくハイレベルな大会になっています、
 コロンビア、アメリカ、プエリトルコ、ベネズエラ、オランダとメジャーリーグのオールスターチームばかりです。イスラエル旋風も見どころです。そんななか、日本チームのみは、メジャー投手抜きで全勝という快挙です。

 ところで、前回の山本監督もひどかったけど、小久保監督も世界に配信されている大会だというのに、内向きまっしぐらです。接戦の自覚があるくらいなのですから、相手の強さを少しは称えたらどうなんだと言いたいです。まったく恥ずかしい限りです。

 先日の山中選手のタイトルマッチも同様にひどいものでした。挑戦者たちは試合後もインタビューに備えてコーナーで待機していました。
 山中選手は例によって対戦相手を語ることなく、娘をリングに上げて父娘交歓に興ずる馬鹿晒しをやってくれました。挑戦者たちは、途中で呆れて帰ってしまいました。インタビューに応えるのが礼儀と控えていたものを、無視したわけです。TV局の外人無視演出、失礼にもほどがあります。

 世界を舞台に闘う人間なら、好敵手あってこそ好ゲームが成立するってことを自覚していただきたいのです。女子サッカーが優勝した時、勝利後の馬鹿騒ぎの中、宮間選手だけは加わらず、相手チームを訪ねて健闘を称え合っていました。あのスポーツマンシップを皆に見習ってほしいのです。


 三菱原発訴訟

 三菱のアメリカ原発訴訟、三菱の勝訴とかで助かりました。この件、ことの詳細も知っているだけに、ずっと心配していました。

 原発の海外事業なんて危険です。もしもの際の賠償は天文学的な金額になります。また、電力事業ですから、不備不調の際には社会インフラ毀損とされ、必然的に賠償も巨額になります。
 何かあった際、国に助けを求めるなんてのは論外です。会社が潰れるのも覚悟してやってくれです。


 森友学園

 森友学園の卒園式で、副園長の諄子氏が人外の対応をしたそうです。
 
 式の冒頭、諄子氏が「園長はブタ箱行き。学園は閉鎖」との発言をしたそうです。諄子氏に教育を語ったり、教育に携わる資格はないですね。卒園式の主役は園児であり、卒園を祝す以外の態度は一切許されるものではありません。


 アクセル制御

 国交省は、車の急発進防止装置による安全性を評価するそうです。
 「誤ってアクセルを踏んでも、レーダーやカメラで障害物を検知して、エンジンの出力を自動で抑え、急発進を防止する」ことの実現を目指すものです。

 この障害物検知が難しいんです。現状、スバルのアイサイトが絶対的な性能を誇っており、ステレオカメラによる検知システムです。これはコストが高いとあって、他社は避けています。コスト高をメーカーに受け入れさせるための根拠となるよう評価するのでしょう。
 しかし、アイサイト以外のシステムは信用できません。速度領域、反応速度、対人認識性能と、他社のシステムは広範な要求に応えていません。
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七百九拾弐  311の追悼(2017/3/12)
 大災厄から6年を迎えました。どうしようもないやるせなさに包まれます。そんな中、一点だけ光明を感じています。

 日本のエネルギー政策は原発を芯に据え、安全神話とともに批判を許さないものでした。電力会社は巨額な広告費で以って、マスコミを完全に支配してきました。官僚もまた関連団体への天下りを確保することに汲々し、学者たちも研究費ほしさにネガティブな論を発しませんでした。この構図は強固で、誰にも破れないものと思われていました。

 原発維持体制を破壊したのが311です。逆を言うと、日本のエネルギー政策を大転換するには、あれほどの悲劇を要するということです。情けないけど、これが日本の現実なのです。
 いえ、日本だけでもないでしょう。他国であっても、国家の中枢を揺るがすには、やはり大きな破壊エネルギーが必要なのでしょう。

 現在、太陽光と風力の再生エネルギーは、発電効率とコスト低廉化を劇的に進めています。私もかつては、この両者のどうしようもなさを何度も書き込みました。しかし、世界レベルで展開しているおかげで、実に有望な再生可能エネルギーとなっています。量産によるコスト低減と、発電効率アップのための研究開発が世界中で競われているおかげです。

 そして本命たる地熱も進捗しています。地熱の場合、なにぶん調査とアセスメントに手間暇がかかりますから、着手した地域での発電が可能になるのは先のことです。それでも大分県など、地熱で地域発電の相当部分が賄えるまでになっています。また、バイナリ発電による低湯温への対応も進んでいます。そしてなんといっても、ついに日本でも高温岩体地熱発電のテストにかかる予定です。

 こんな風に再生可能エネルギーへの対応がドラスティックに進んでいるのは、311があった故です。あの悲劇を活かさないとなると、被災された方々に対する罪です。
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七百九拾壱  事実は小説より奇なり(2017/2/26)
 北朝鮮によると見られる金正男氏殺害事件は、まるで劇中のようなできごとです。映画か小説の中でしか起こらないできごとです。でもね、これ映画や小説なら、最低ランク評価でしょう。

 ドラマチックな演出として、鮮やかな手際、原因が特定できない死因、容疑者が見当もつかななどなど、作者は技巧を凝らします。
 ところが今回の事件ときたら、犯行の一部始終がカメラに映っているは、実行犯の事件前後の映像まであるは、北朝鮮関係者の現場での動きまで判明するはの大失態です。
 あげくに、その北朝鮮関係者のその後の足取りが判明し、北朝鮮に再入国したことまで発表されたとあっては、なんの言い訳もできません。

 新しい情報として、大使館員が係っていて、その動向まで把握されているそうですね。マレーシアとしては、国交断絶の選択しかないでしょう。

 北朝鮮サイドとしては、金正男氏本人でないとか誤魔化すしかありません。もちろん、そんなのは一時しのぎにしかなりません。北も承知の上で、それ以外に手立てはないという哀れさです。

 正男氏殺害が北朝鮮国民に知れたら、正恩体制はお終いでしょう。正統嫡男を三男が殺すというのは、国民の支持をなくし、不信感を増幅させるでしょう。政権側としては、なんとしても否定しなければいけません。この苦境は今後も永続的に抱え込む問題です。この苦境ぶりには同情さえします。

 ここまでお粗末な仕儀となると、映画や小説のシナリオではありえません。言ってみればドタバタ喜劇でしょうか。まさに、事実は小説より奇なりです。

 ところで、北の公式アナウンスとして、南の陰謀だとかアピールしています。馬鹿げた話で、韓国政府も妄言だとか非難しました。まさに妄言です。でもね、韓国は日本に対して、そのような根拠なしの妄言を何度も繰り返しているんですけどね。
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七百九拾   トランプ政権の軍事オプション(2017/2/19)
 トランプ政権の軍事オプションはどのようなものでしょうか。アメリカン・ファーストとか他国の揉めごとに係らないとかの当初の宣言と違い、実務に携わるようになってから、どんどん軌道修正が為されています。

 まず、カールビンソンが南シナ海を遊弋したそうです。オバマ政権が自制し続けていたオプションです。先週だったかには、イスラエル寄りのパレスチナ国家否定のアナウンスまでしています。これって内向きどころか積極的な介入です。

 ロシアと協調してIS制圧の考えも示したところです。さすがにこれは無理があります。ロシアの方針はアサド政権支持であり、ISだけでなく反政府軍も攻撃対象にしています。その反政府軍は、アメリカがバックアップしたものです。武器や資金援助までしてシリアを混乱に巻き込んだ張本人です。いくらIS制圧目的であっても、ロシアとの協調は無理があります。

産経ニュースから引用します。

 マティス国防長官は15日、ブリュッセルで行われた北大西洋条約機構(NATO)の国防相理事会で、同盟重視を確認する一方、NATOへの関与を縮小する可能性にも言及し、各国に国防支出増大を求めた。異例の強い態度を受け、今後は同盟結束のために過度な米依存状態の是正に向けた取り組みが焦点となり、他の加盟国は重い課題を背負った。

 「米国の納税者はもはや不釣り合いな負担を担えない」「米国はあなた方の子供の将来の安全を、あなた方以上に配慮できない」

 欧米メディアによると、マティス氏は理事会でこう述べた上で、さらに各国に迫った。「米国は責任を果たす。米国が同盟への関与を抑えるのを目にしたくなければ、各国が共通防衛への支援を示す必要がある」


 NATO加盟国が軍事費GDP2%を負担する定めを守っていない件を強く責めたそうです。これなんかは、トランプ政権のらしさ満点の行動です。

 こういった動きを見ていると、トランプ政権は実にまっとうな政策に取り組んでいるやに思われます。パレスチナ切り捨てはいただけませんが、それ以外の動きについては、むしろ好ましいものでしょう。
 国内第一というのは、とてもよい傾向です。これまで散々やらかしてきた対外侵攻は、いずれも良い結果をもたらしていません。それどころか後々アメリカの足を大きく引っ張る仕儀となっています。アメリカが苦労するのは自業自得です。それで一番苦労するのは、その国に暮らす民草です。

 不適切な介入をしないというトランプ大統領の宣言は意義深いというか、戦後アメリカ史に特記すべきものです。本当に実践できるなら、トランプ大統領は偉大な指導者として記憶されるでしょう。さすがに、トップの方針を無視して非道な対外工作に走る不届き者はいないでしょう。
 CIAなんか、面白くねえとか怒っているでしょう。しかし、トップがここまで明確にしている方針を破ったら、さすがに重罪人として長期刑は間違いなしですから。

 これでもうウクライナやシリアのような悲劇は起きないでしょう。遡ればイラクやアフガンもそうでした。更に遡ると、キューバ、ベトナム、カンボジア、パナマ、ホンジュラスなど、すべて同じ構図です。
 このような不適切な介入をしないというなら、まことに結構なことです。
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七百八拾九  日米首脳会談の考察(2017/2/12)
 日米首脳会談初日を受けての感想です。
 トランプ氏は在日アメリカ軍の受け入れについて、「われわれの軍を受け入れてくれていることについて日本の人々に感謝したい」と述べました。

 これは毎度の光景です。大統領に就任後は、それまでのタダ乗り論から、在日米軍の重要性と他では絶対に得られないメリットである現実を知ることとなります。特に今回は、事前にマティス国防長官が来日した上、この海兵上がりの元大将からレクを受けたと想像されます。となると、タダ乗りどころか、日本の基地提供は金額で算定しようもない価値があると教えられたはずです。

 ところで、よ〜分からんのは、日本側の識者のなかに、その価値の巨大さを理解していない方がいることです。アメリカ様が居てくれる有難さを、やたら強調する方々です。有難いのは、むしろアメリカ側じゃyないですか。

 今のアメリカ政権は、人事も定まらないアナーキーな状態です。いきおい、大統領自身がやたらと関与しています。その結果が、入国禁止に際しての不手際です。今後必要なのは、政府人事を固め、専門家に任せることです。この件に関して、安倍首相は大きな役割を果たしました。たぶん、アメリカ側も感謝しているんじゃないでしょうか。

 外交はティラーソン国務長官に、国防はマティス氏に比重を置く流れをつくるのに一役買っているかと思います。初日の首脳会談でも、もっぱら世界各国の情勢や従来からのアメリカを中心としたスタンスの説明に時間を費やしたそうです。安倍首相は世界首脳の中でも、最も長くその任を務めており、トランプ氏にレクチャーするに適任者です。

 さらに今回の会談で、経済関係の協議を麻生副総理とペンス副大統領に任せる道筋をつけました。ベンス氏は知事経験の中で経済対策の実務もこなしていたし、TPPにも賛成していた方です。
 素人の大統領から、専門家に実務を下すことを形づくったわけで、アメリカ側も感謝していることでしょう。

 もう一点、安倍首相がトランプ大統領に媚びているとかの批判が各所から出ています。タイム誌なんか「へつらっている」とか書いています。
 これは気にしなくていいでしょう。むしろ、アメリカ国民は大統領に最大の敬意を払っているとかで、内心では好意的に受け止めているはずです。


 今後、アメリカの貿易交渉の焦点は中国になるでしょう。80年代から90年代にかけ、日本が舐めた辛酸を中国も味わうことになります。
 特定関税やらスーパー301条、さらにはITC訴訟で以って、日本の産業構造や商慣習にまで手を入れられました。同じことを中国に対しても強いるでしょう。基本的に結構なことだと思います。恣意的な補助金の廃止、恣意的な罰則の発動、権利関係の遵守などが俎上に上がり、チャンチャンバラバラが演じられることでしょう。そして、公正な法整備と厳密な運用が進捗するものと期待します。アメリカは巨額赤字の相手国に対し、どう応じるべきかを熟知しています。

 中国の変化は日本にとっても大歓迎です。中国は最大貿易相手国ですから大助かりです。
で、アメリカの対中交渉に日本も歩調を合わせたらどうかとの考えもあるでしょう。これって、まるでTPP交渉です。

 このような見直しは、間違いなく中国経済縮小を招きます。すでに中国から巨額の資本が逃げ出しているそうですしね。そうすると、中国の軍事費も抑制的にならざるを得ないでしょう。なにせ、無い袖は振れませんから。しかも中国の場合、景況悪化は必ずや社会に混乱をもたらし、軍隊より武警への予算配分が優先されるかもしれません。これからの中国は、ボディブローにのたうつボクサーみたくなるかと予想します。
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七百八拾八  アメリカ新政権への対応(2017/2/4)
 トランプ大統領による矢継ぎ早の大統領令が世界を震撼させています。
 そのひとつ、特定国からの入国禁止措置がアメリカ世論を二分しています。この件について、フリーライターの山田高明氏が冴えた論考を書いています。

 なぜ米国の中東難民受け入れ拒否は“凄まじい身勝手”なのか

 これに対して、米国内外から非難が沸き起こっている。ハフィントンポストはトップページで「恥ずかしい」という言葉を掲げ、全米各地で広がる抗議デモを取り上げている。

 (当該記事「トランプ大統領の難民入国禁止令、全米で抗議デモ広がる 「恥ずかしい」と叫ぶ人々」執筆者: Eline Gordts,他3名)

 記事は、アメリカ民主党の上院議員や、デモ参加者などの市民の声を紹介し、入国禁止令によって被害を受ける人々に対して連帯の意を示している。

 なぜアメリカが中東の難民を受け入れなければならないか

 せっかくだが、この記事を書いたアメリカ人記者たちと、反対に立ち上がったアメリカ人たちの主張を聞く限り、ポイントがズレていると言わざるをえない。

 なぜなら、これはあなた方が「善意」から難民を「助ける」という筋の問題ではないからだ。これらの国々からの難民を受け入れ、住まいを提供するのはアメリカの責任であり、義務なのだ。なぜなら中東の内戦を使嗾し、大量の難民を発生させた張本人がアメリカだからである。アメリカ人と米メディアは、まずその自覚から始めてもらいたい。


 この一文は至極尤もです。かつて、アメリカはインドシナ難民を多数受け入れました。自分たちが仕出かした不始末の責任を取ってのことです。で、山田氏の言うように、中東に対する責任は、インドシナの比ではありません。

 一方で、中東の為政者にトランプ式入国禁止を非難する資格は無いとも考えます。中東の為政者が宗教、あるいは宗派の違いを克服するような教育や分配をしているなら文句はありません。残念ながら、異端者を排斥したり、権利を奪ったり、武力で制圧したりを繰り返しており、どの口で言うかとも思います。

 日本政府も正式にTPP離脱の通知を受けました。これはもう、アメリカ抜きで成立させればいいんです。
 当地の経済同友会がオーストラリア視察を終えて報告会を行いました。オーストラリアとの関係強化は、資源と食糧について有意義と考えられるそうです。日本主導で環太平洋経済連携というか、統一貿易圏を構築するのはまことに結構なことです。
 アメリカの農業関係者は、さぞかし焦ることでしょう。「トランプ大統領、一体なにしてけつかる」って、大ブーイング間違いなしです。

 また、自由貿易推進の大規模な進捗具合を目の前で展開して見せるわけですから、強いプレッシャーにもなるでしょう。口だけ外交でなく、こういう実務展開を見せつければ効果覿面です。

 米国の貿易赤字国として、中国と日本の名を何度も連呼しました。昨日だったか、やっとのことドイツを名指ししました。日本よりドイツだろうと、以前から気になっていました。

 ドイツの2016経常収支が発表されています。113円/ドル換算で、中国の30兆円を上回る34兆円の黒字トップです。ちなみに日本は第三位の20兆円弱、アメリカは53兆円の赤字です。
 ドイツが貿易黒字で君臨するのも当然で、ドイツの為替を日本に置き換えると、150円/ドル相当だそうです。そりゃあ強いわけです。

 相も変わらず自動車が焦点となりそうです。自動車販売を守るため、なんらかのやり取りがあるでしょう。それがどのようなものなのか、いかなる取引なのか、予想がつきません。

 日本側の譲歩が自動車に関連した障壁であるなら、私はむしろ歓迎です。例えば、税制の問題です。
 自動車税は当然として、重量税にはなんの正当性もなく、あからさまな国家収奪です。揮発油税の高さも論外です。また、消費税に上乗せされる取得税もやらずぶったくりです。日本のトンデモ税制は、アメリカ車が売れないことと関係ないにしろ、障壁と映るのは間違いないところです。トランプ大統領には、ここのところを攻めて頂きたいです。こういう外圧は大歓迎です。
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七百八拾七  トランプ大統領就任(2017/1/22)
 トランプ政権が発足しました。前途は多難です。閣僚人事も時間がかかりそうですし、なんといっても政権を支えるスタッフがまったく集まっていません。本来であれば、共和党がバックアップするところなのでしょうが、有力議員たちは距離を置いているみたいです。

 これまでの公約も杜撰だし、国家としての継続性も考慮に入れていません。今後、いろいろな矛盾が噴出して、満身創痍状態になりかねません。

 オバマケア撤廃といいながら、見直しを指示したそうですね。オバマ政権下に成立した医療保険制度は、とてもとても廃止にできんでしょう。就任演説でも、国民(置き去りにされた人々)をキーワードにしている以上、低所得者層への救いの手たるオバマケアを邪険にしたら、それこそ置き去りにした人々を切り捨てることになります。扱い方を間違えたら、一発で沈没しかねません。

 TPP離脱については、日本及び関係各国は静観していればいいんです。トランプ氏が推進する二国間交渉に当たっても、グローバルな対案としてプレッシャーになるでしょう。
 この件を見ていると、二十数年前の日本主導による東南アジア経済圏構想を想起します。あのとき、日本主導を嫌ったアメリカが横槍を入れて潰しました。TPPもアメリカが批准しないなら、期限切れまで待って、日本主導での環太平洋貿易構想に再構築すればいいんです。むしろ、焦るべきはアメリカですよ。

 選挙中、就任演説を通じて、インフラ整備の大盤振る舞いを宣言しました。これを実施するには、ドル高路線が必須です。でなきゃ辻褄が合いません。新閣僚たちも強いドルの必要性を公言しています。
 国内製造業回帰を目的にしたドル安は上手くいかないでしょう。ドル安にしてたところで、中間材が高くなって、製品価格に上乗せされるわけですから。いずれにしても、言ってることが矛盾しています。

 中東は複雑なだけに、トランプ氏の思いつき政策は、今後どんどん修正されるかと思います。イランとの合意を反故にすることや、イスラエル大使館の移転だとかは、そんな思いつきで変更できるものではありません。
 日米安保についても、国防省側のレクでその重要性が認識されることと思います。アジアから中東まで、アメリカがプレゼンスを維持するために不可欠なものですから。
 いえ、私ゃバカなままのトランプ氏が米軍撤退を実行してくれることを希望しています。そうしないかぎり、日本は独立国家として自立できませんから。いいチャンスだと期待しています。
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七百八拾六  ガソリンエンジンこそが面白い(2017/1/15)
 ガソリンエンジンが面白いことになっています。
 日産は自己着火方式のガソリンエンジンの研究を進めています。内容については、よく分かりません。技術的な詳細が示されていませんから。ただ、自己着火ですから、ディーゼルのように高圧縮比と思われます。しかし、一方で低温燃焼で実現しているそうで、そこのところの仕組みが理解できません。

 低温燃焼だとNOx生成量が少なくなります。すると、ガス濃度を思いっきりリーン側に振ることができます。当然のこと、低燃費となるでしょう。燃焼温度次第では、NOxがほとんど出ないことも考えられます。NOxが出なければ、三元触媒も不要となり、単なる酸化触媒で済みます。50年規制以来滞っていた高効率燃焼が数十年の時を経て実現するかもしれません。

 なお、機構上必要な、気筒内のガス温度計測の技術も獲得しているそうです。数年内に搭載車も登場するかな。
 ちなみに、マツダも自己着火方式のエンジンを来年末当たりで発売するそうです。なんか、EVよりガソリンの方が夢があって、ワクワクさせてくれます。

 日産は1月開催中のデトロイトモーターショー2017で高級ブランドのインフィニティ『QX50コンセプト』を公開しました。これに搭載されているのが、「VCターボ」です。

 VCターボは、以前にも書いた可変圧縮比エンジンです。走行状態によって、圧縮比を8から14の間で可変させるものです。次世代の2L直4ガソリンターボに、このVCターボ技術を導入するそうです。
 過給圧に応じて圧縮比を下げ、過給が効かない低回転域で圧縮比を最大に高めるものでしょう。まさに動的な高効率が最上のエンジンです。

 可変圧縮比といい、低温燃焼自己着火といい、少し前までは考えも及ばなかった夢の技術です。今こうして実用エンジンとして我々の前に姿を現したのです。

 EVなんて、モーターと電池の組み合わせで、面白くもなんともありません。日本メーカーは。EV関係でも世界の最先端を走っていますが、レガシーなガソリンエンジンでも未来技術を現実に提供しているのです。もう少し長生きして、この未来自動車を味合わなくてはね。
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七百八拾五  今年は円安トレンドとなるか(2017/1/8)
 1月4日のLivedoor'NEWSから
 経済成長による人件費高騰でオーストラリア経済を圧迫 維持に向け正念場

 豪経済は昨年4〜6月期までの25年間成長を続け、中国向け資源輸出拡大が景気を牽引し、年率3%のペースで成長を遂げてきたそうです。
 ところが、賃金も上昇し。1人当たり所得は年6万米ドル(約710万円)を突破し、日本の1.6倍以上に。最低賃金は時給17.7豪ドル(約1,500円)と、世界屈指の高水準に達したとのことで、人件費が企業の重荷となって、旧フォードは現地工場を閉鎖し、トヨタとGMも工場を閉鎖する方針だそうです。
 また、鉱業界もコスト高と中国の成長鈍化でマイナス成長に陥ったそうです。

 豪経済の25年間を俎上に上げ、無敵ともいえる経済成長の経緯を記しています。翻って日本経済の25年間はといえば、まったく厳しいものでした。日本の不調の核心にあったのは円高でしょう。日本に致命的ダメージを与えたバブル、バブル崩壊後の失われた20年、これは円高によってもたらされたものです。

 貿易を見るだけなら円高、円安は“行って来い”です。また、為替の功罪を語る際、円高は日本の国富を表すもので、むしろ好ましいとする識者も多いです。さらにGDPに占める輸出比率の低さで以って、円安を否定する向きもあります。

 しかし、そのような視点は短視眼的です。日本の豊かさはものづくりによってつくり上げられたものだし、日本の将来もまたものづくりによってのみ保障されるものです。円高がものづくり立国を毀損した罪は大きなものです。
 地方衰退についても、プラザ合意以降、地方での産業が縮小したことと関係があります。そして、若者のものづくり離れもまた、国内でのものづくりが長期間にわたって不透明であることが影響を与えているかと考えます。

 いや、ものづくりで大切なのは、技術開発の部分だとの考えもあるでしょう。しかし、これは違います。技術と技能は不可分です。研究施設と研究成果があれば、国が成り立つなんてことはありません。あくまで、ものづくりに結びつかないと駄目です。ところがすでに生産現場は海外に移転し、移転する体力がない企業は廃業しました。頑張って国内拠点に拘っている企業もありますが、必然的に低廉な賃金に抑えられます。まさに失われた20年間です。
 話を単純化していますが、すべては円高が為さしめたことではないでしょうか。

 私は仕事がら、若者のものづくり離れの問題に直接向き合っています。結構マジで、今後も続くであろう円高による日本の衰退を心配しています。もちろん人によっては、円高を歓迎する向きもあるでしょうけどね。
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七百八拾四  トランプ氏とともに迎える新年(2017/1/1)
 世界の首脳の中で、その帰趨が最も注目されているのは言わずとトランプ氏でしょう。大統領就任まで3週間ほどあるので、今は助走期間中です。本来なら、いろいろな準備作業中で、下手な発言を控えるべき時期です。それを、なんやかやとアホな所信発信の連続で、考えなしのお馬鹿さんです。

 ドル高、ドル安についても矛盾があります。製造業の国内再生を最重要施策とし、ドル安を使嗾する一方で、巨額に上るであろうインフラ整備を約束しています。これにはドル高が必須です。強いドルによるドル還流が求められるでしょう。言ってることが矛盾しています。FRBの利上げに文句を言ったとき、一体何がやりたいんだろうとか思いました。

 また、TPP反対だそうですけど、大手金融関係者を閣僚に入れたりして、内部で意見が対立するでしょうにね。レッドネック対策といいながら、中西部にはメジャーな農業関係者も多いしで、どう両立するんでしょう。

 外交軍事についても国内回帰を主張する割には、なんやかやと今から口出ししています。これだと、典型的な口だけ番長になてしまいます。で、早速イスラエル支援を印象づけ、泥沼路線に足をつけ始めています。
 今はお勉強期間中なのに、半可通のままいらんことを言いまくって、自分の首を絞める仕儀になりそうです。

 ただ、現大統領の影が薄いおかげで、日露交渉に踏み出せているわけで、日本にとって天佑ともいえます。それでも、外務省の北米課は官邸の足を引っ張るスタンスでないかと想像します。それと従来の外務省のスタンスからしても、官邸の意向にすんなり歩調を合わせているとも思えません。まさに日露交渉が難事であることをまざまざと見せつけられました。

 であるからこそ、支持率が高く、安定した現政権でないと進めることができないものでしょう。昔、外務省OBの伊藤なんとかという方が、領土交渉の大原則を口を酸っぱくして語っていました。旧来勢力というのは、みんなああいうスタンスなのでしょう。しかも、結構な勢力でしょうから、強力な支持を受けている現政権以外にやれないでしょう。私は2島返還による平和条約締結を応援しています。
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七百八拾参  年末ボクシング三昧(2017/1/1)
 新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

年の暮れはボクシングタイムでした。30日の試合は、もうひとつでした。マッチメイクがしょぼすぎです。王者が勝って当然の試合ばかりでした。ムの会長さんたちには、対戦相手をもう少し考えてくれんとね。

 井上選手なんか、海外のボクシングファンがリアルタイムで試合結果をチェックするくらい注目されています。『Bleacher Report』は、2017年のボクシング予想として、 ロマーン・ゴンサレスvs井上尚弥戦をベストバウト候補に挙げているほどです。


 会長さんの駄目さ加減でいうと、内山選手が可哀そうです。さほど高額ともいえないギャラ支払いが嫌で、ハビエル・フォルトゥナ戦を退け、ファンたちが心待ちにしていたニコラス・ォータース戦を無視し、4月のェスレル・コラレス選手との対戦となったものです。

 31日は雪辱に挑む再戦でした。勝敗予想は難しかったです。王者のジェスレル・コラレス選手は明らかにフィジカルで勝っています。昨年の試合時、コラレス選手68kg、内山選手63kg程度だったそうです。これだと、あのパンチの効かせ具合が納得できます。コラレス選手、減量は大変だったでしょうが、見事にクリアし、試合でその威力を遺憾なく発揮したわけです。しかも、スピードでも上回っていますから、内山選手の長い距離からジャブで抑え込むボクシングが通用するか厳しいと思われていたのです。

 で、判定で敗れました。負けは仕方ないです。終盤のチャンスにあって、手が出ないんじゃどうしようもないです。
 敗因は位置取りの拙さです。試合開始直後は右に回り込む動きで、これなら勝てると期待したものの、すぐに左に位置する動きになってしまいました。解説陣には視聴者に対して、位置関係を指摘してほしかったです。多分ですけど、解説陣はこの重要ポイントを知らないと思われます。なお、西岡利晃氏は承知しているし、下に記したことを試合で実践していました。

 内山選手は右利きオーソドックスなので左足が前
 コラレス選手はサウスポーなので右足が前
 内山選手の前足(左足)→ ―  ― ←コラレス選手の前足(右足)

 上の位置関係において、内山選手の足が下方向に位置するとよいのです。昨夜の試合において、左に動くものだから、上に位置してしまってたのです。すると、コラレス選手からは、左クロスが対角に伸びます。私が常々ストレートをクロスと表記しているのはこのためです。肩は身体の外側についていますから、体重を乗せるためには内側に絞り込むこととなり、対角のラインを描きます。

 逆に、内山選手が右に動いていれば、上図の前足が下方向に位置することとなります。いかがでしょう、右クロスを絞り込めるでしょう。そして、相手のコラレス選手からは左クロスを外に打ち出す格好となり、体重が乗らず、強いパンチが打てません。

 右に動くと同時に右クロスを打ちこむというのが、対サウスポーの決定打です。バーナード・ホプキンスがこれを巧みに使い、サウスポーのアントニオ・ターバーやジョー・カルザゲからダウンを奪いました。自分は安全な位置にあって、強いクロスを打ち込むという美味しいポジションなのです。
 某ボクシング番組の解説者が言う、「サウスポーに対して、左に回れ」は大間違いです。

 内山選手の手が出なかったのも当然で、危険で不利な位置関係にいて、その危うさをひしひし感じていたものでしょう。試合が進む中、コラレス選手のハードヒットに晒され、冷静な判断ができなくなったのでしょうか。
 もう一点、コラレス選手がステップワークとボディワークでパンチを当てさせないため、少しでも近づこうと左に動いたものかもしれません。

 内山時代もこれで終わりでしょう。現役を続行するかどうかは分かりませんが、今の内山選手のボクシングではコラレス選手に勝てません。まして、S.フェザー級に上がってきたワシリー・ロマチェンコ選手には手も足も出ないでしょうし、潮時なのでしょう。
 キャリア最盛期に、世界の檜舞台で闘うことができなかったのはお気の毒です。ボクシングファンたちは、会長さんに対して厳しい見方をしています。
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七百八拾弐  年末のしょむないことども(2016/12/25)
 ツィッターにしょむないことがらが挙げられているそうです。

 米軍横田基地の飛行機の航路を地図上で繋いでみたら...「発想力すごい」「素敵なプレゼント」

 これをして素敵なプレゼントなどと宣う目出度さ。最近の若い方々は、などと愚痴るのも年寄りの嫌味とあってよろしくないのは分かっているのですけど。
 しかし、ことの本質を知らないことが情けないんです。これって、日本がとことん馬鹿にされている話なんです。日本空域を犯す中露を非難する癖に、米軍もそのメンタリティにおいては同根なんですよ。
 関東空域の管制権が日本にないという、独立国にあるまじき話なんですけどねえ。

 先日、TBSで徳川埋蔵金発掘の番組が放映されたそうです。見ていませんが、林修氏が例によっての小栗忠順がらみの珍説を披露したそうですね。TVのしょむない番組に眉を顰めるのも大人げないのですが、小栗忠順をネタにするのはいいかげんにしていただきたいです。

 小栗氏は幕末最高の人材でしょう。そんな人間に対して失礼です。個人的には、南宋滅亡に際しての文天祥に比すべき人物かと勝手になぞらえています。もし、殺されなかったら、維新政府においても旧幕臣でありながらも重用され、日本の針路をもっと真っ当な方向に向けたんじゃないかと期待してしまいます。
小栗氏、大久保氏らが殺されなかったら、早くから日本は海洋国家としての途を選んだんじゃないですかね。勝手な妄想ですけど。

 それとね、小栗氏は武士としての生きざまを厳しく律した方です。旗本大身とあって、同じ幕臣の勝海舟や福沢諭吉とは、見の処し方にも自ずと大差があります。そのように清廉な身過ぎを課した高潔な人物を、適当なネタでなぶる座興はもうたくさんです。

 対ロ交渉不調の論調が多いところです。先週も書きましたが、むしろ予定どおりの流れです。決して一筋縄でいく話ではありません。それでも進むべきです。

 強力なプーチン大統領政権下でしかできない課題であり、国内においても安定した安倍政権である今しかチャンスはありません。また、アメリカの干渉が弱い時期であることも僥倖です。今しかないのです。いずれ機が熟したらとか待っていても、永遠にそのときは来ないでしょう。

 対ロ交渉に際して、従来から国内に阻害要因がありました。旧来の保守関係者です。平和条約締結と2島返還をセットにすることへの反発は相当なものです。領土交渉において妥協はあり得ない。4島返還以外を飲むことは許さん、の論調に長く支配されてきました。
 この反発を抑え込めるのは、今しかないのです。
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七百八拾壱  日露交渉の第一歩(2016/12/18)
 対ロ交渉について、北方領土返還についての進展がなかったとかで、失敗との見方が出る一方、翼賛メディアからは対中包囲網の形成についての成果が大きいなどといった賛否が喧しいです。私はこのどちらにも与しません。

 領土返還交渉がすんなりいかないのは平常運転です。ロシア側が2島返還に応ずとかを口には出さんでしょう。しかし、いくらロシアでも、平和条約締結に2島返還が必要なことは理解してます。ロシアがぎりぎりまで突っ張るのは当然くらいに考えておくのが心得でしょう。
 今後の交渉の場で、領土返還が不可分とのスタンスを常にベースにするのが肝要でしょう。そして、取りあえずは、人的交流や共同開発の中で、施政権、管轄権に穴を空けることが第一歩かと思います。

 最終的に2島返還による平和条約締結、そしてその精華としての一大プロジェクト―樺太から北海道へのガスパイプライン―で極東の夜明けを迎える、って路線をお願いしたいです。
 日露交渉はそのような長い目で見るのが当然くらいのものでしょう。一喜一憂する類の話じゃないです。

 肝は平和条約締結に係っています。プーチン大統領は従来より、その際のスタンスを譲れないとしているのです。北方領土はあくまでロシア領であり、ロシア領を譲渡する形以外は採らないとしています。対する日本側は、あくまで日本領であり、ロシアが不法占拠しているという現状認識を譲れないとしています。この両者の隔たりをどう動かすかが交渉のポイントで、簡単には決着できない問題です。

 4島での共同開発とそのための特別な管理法が将来の道を開く重要な試金石じゃないですかね。日露交渉の最重要点はここにあるかと思います。
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