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四百四拾   今年の受験傾向は「安・近・小」(2010/1/16)
四百参拾九  腹筋ダイエット(2010/1/10)
四百参拾八  来年度予算あれこれ(2010/1/3)
四百参拾七  Wordでカラーマネージメント (2009/12/27)
四百参拾六  「百姓貴族」にみる農業就業の難しさ(2009/12/20)
四百参拾五  中国掲示板に見る政治意識の高さ(2009/12/13)
四百参拾四  遅まきながらの事業仕分け(2009/12/6)
四百参拾参  内藤vs亀田戦(2009/11/29)
四百参拾弐  中国の軍事脅威とは(2009/11/23)
四百参拾壱  嘉手納統合は日米関係の新時代(2009/11/14)
四百参拾   日本は誰のもの(2009/11/8)
四百弐拾九  インフルエンザに罹るべし(2009/10/31)
四百弐拾八  日米関係再構築に期待(2009/10/24)
四百弐拾七  日本はどこへ行くのか(2009/10/17)
四百弐拾六  日中韓共通教科書の悪夢(2009/10/10)
四百弐拾五  最近の世相(2009/10/4)
四百弐拾四  世界に飛翔する「Cat Shit One」(2009/9/26)
四百弐拾参  イーストウッドの「グラン・トリノ」(2009/9/20)
四百弐拾弐  宇宙へ(2009/9/13)
四百弐拾壱  最近の世相(2009/9/6)




四百四拾   今年の受験傾向は「安・近・少」(2010/1/16)
 先ほどのTV番組で今年の大学受験傾向として、“安”“近”“少”を掲げていました。

 “安”は、授業料などが安い国公立志向だそうです。
 “近”は、高い生活費を避けて近場を選択する意だそうです。
 “少”は、受験経費削減のため、校数を絞る意だそうです。

 これらは納得です。35年前の私自身の大学受験がこのとおりでした。
 私は地元大学(国立2期)に入学しましたし、1期受験校も隣県でした。いずれもど田舎の大学で、生活費は安いものです。最近の不況云々なんぞ関係なしに、貧しい家庭でしたから、都会での生活はまったく対象外でした。

 私立は3校受けたかな。もう、よく覚えていません。うち2校はマイナーというか、貸し部屋での受験で、極めて少ない受験者数でした。個人的には、そのマイナーな大学へ入学したかったのですが、幸いに地元大学が受かったので縁がありませんでした。

 もし、地元大学が落ちていたら、その私立大学へ入学していたでしょう。浪人は絶対に許さないと申し渡されていましたから。そこは中国文学研究で定評があった大学です。高校時分、中国文学に凝っていたことから、マジで勉強したかったものです。
 そこで進路が変わっていたら、きっと違った人生を歩んだことでしょう。大きな声では言えませんが、私はガキの頃から画家か小説家志望だったのです。漢文学を勉強して基礎素養を高めれば、明治や大正の作家を目指せるかもとか夢想したものです。いえ、妄想ですけど。

 私の好きな柴田錬三郎氏がそうです。柴田氏は昭和の作家ながら、慶応大学支那文学科に学んだだけに、素養の深みが際立っています。柴田氏のような作家に憧れたものの、才能のなさを自覚して諦めましたけど。

 で、地元大学で美術を学んで今の仕事に就いたわけです。まあ、それなりに希望を叶えているともいえるので、不満はありません。ただ、中国文学路線も面白かったろうと、甘酸っぱい痛みを感じることがあります。多分、そのような別人生を夢見ることは、誰しもあるのではないでしょうか。
 大学選択には人生の岐路を左右する面が少なからずあります。受験生の皆さんにも、偏差値だけでなく、自身の志望を見つめていただきたいのです。偏差値だけの成績で志望校を決めるなんて、哀しい話じゃありませんか。
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四百参拾九  腹筋ダイエット(2010/1/10)
 かなり以前から、下腹の膨れが目立ってきていました。そしてとうとう最近のこと、ズボンのチャックが閉まりづらくなりました。さすがに焦りを覚えまして、年末から腹筋を開始しています。ここで体形を戻さないと、所有スーツすべてがパアになってしまうという、切実な動機あってのことです。

 腹を締めるには、腹筋が特効薬であるのは間違いありません。腹筋で腹は引っ込まないと宣う方がいますが、そういった方々は腹筋トレ未経験者でしょう。あるいは、適当な回数しかやったことないのでしょう。
 腹を引っ込めるには、厳しい鍛錬が必要です。私のメニューは、50回の腹筋を2ヶ月間継続するというものです。今まで腹が緩んだら、このメニューで締めてきました。ただ、ここ20年間は怠惰な生活を続け、下腹が膨らんできたにもかかわらず、トレーニングをサボっていました。

 私は中学、高校時代を通じ、居合の鍛錬を毎日欠かさず行いました。さらに中学時分はテニスもやっていたので、ウェストが極めて細いのです。居合いにしろ、テニスにしろ、腰を捻る運動ですから、ウェストを絞る効果があったと考えられます。若い頃はその細さを維持するため、数年ごとに腹筋トレを実施していました。
 スーツのウェストサイズもその細さに合わせているので、今やズボンの腹回りはパンパンです。あと1cmも腹が膨れたら、チャックが閉まらなくなるでしょう。
 年末に一念発起したものの、トレーニング初日にショックを受けました。なんと14回が限界だったのです。完全に鈍っていますね。筋肉が落ちているのは自覚していたものの、ここまでの劣化は予想していませんでした。30代までは筋肉が割れ、友人にボディブローを打たせても平気だったというのに。

 2ヶ月間のトレーニングで片がつくだろうなんて甘かったです。そもそも連続50回がこなせるまでが大変です。本日はなんとか24回できました。この調子でいくと、50回クリアは1月末くらいかな。まあ、勝負はそこからです。

 下腹の脂肪を燃焼するには半端な運動では無理です。スポーツなんかの全身運動で腹を引っ込めるのは可能でしょうが、効率が悪いってなもんです。最短の解は、やはり腹筋にかぎります。で、腹筋を50回こなすのは、かなりハードな運動です。もちろん現役選手レベルの方は楽勝でしょうけど。
 現役から離れて久しい私が腹筋をやるとなると結構な苦行で、下腹にかかる負荷は相当なものです。腹がジンジンしてきて、内部が熱くなってきます。そのとき、脂肪の燃焼が実感でき、筋トレの苦しさを忘れさせてくれます。

 腹を締めたい方々、一緒に腹筋トレに取り組みませんか。苦しいけど、必ず報われますよ。エステなんかで楽しても、腹の脂肪がなくなるとは思えません。腹筋トレなら無料ですしね。
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四百参拾八  来年度予算あれこれ(2009/12/27)
 昨年末に来年度予算案が閣議決定されました。とんでもない膨張予算になっていて、通常国会は揉めそうな雲行きです。予算案を揉むのはいいことですが、鳩山総理や小沢幹事長の政治資金問題追求が優先されそうで、あまり建設的な議論は期待できそうにありません。

暫定税率
 私が褒めたいのは、重量税が減税されることです。減税に係る税率は僅かとはいえ、将来的な廃止が謳われています。私は重量税の廃止を30年来望んできました。もともと課税当初から、自動車税に加えての二重課税との批判があり、廃止決定は遅きに失したくらいです。ただ、民主党なればこその政策決定であり、自民党政権下であれば永遠に実現しなかったことでしょう。

クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金
 昨年に続いて電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の導入を支援するそうです。自動車の買い替え促進は経済振興策として有効でしょう。しかし、エコには無縁というか、むしろ資源浪費でしょう。
 本当のエコを目指すなら、長寿車両優遇策を採るべきです。自動車製造に必要な資源やエネルギーの浪費は巨大なものです。また、廃棄の問題もありますし。
 私は車を2台所有していますが、23年物と12年物でっせ。物持ちのよさは、本来褒められるべきだと思うけどなあ。

 昭和62年式ソアラ2.0ツイン・ターボ

 平成10年式カリブ

 私は貧乏性ですから、可動車両を手放す気はありません。特にソアラについては、もはやビンテージ・ゾーンに突入していることもあり、貴重な宝物です。実は、日本のラスト1台を目指しています。さすがに無理でしょうけど、せめて県内ラスト車両になるべく粘っています。ただ、私の知る範囲でも、未だ3台ほど稼動しており、目標達成はまだまだ先になりそうです。

煙草増税
 相変わらずの屁理屈による増税です。1本5円の増税を恥じぬ政府のやり口は秕政というべきです。健康のためというなら、酒税なんか真っ先に増税してください。酒の方が問題が多いですよ。酒の害は健康だけでなく、生活の破綻や傷害沙汰の元にさえなっています。これこそ放置するなよ。
 健康への阻害要因が増税の理由になるなら、栄養価の高い料理も俎上に上げるべきです。特にケーキやアイスは資格十分でしょう。おばさん連中で煙草を目の敵にする輩がいますけど、ケーキやアイスも同列に非難してくださいな。さすれば、愛煙家も納得しますよ。


 他にも突っ込みどころや応援したい点が多々あります。賛否いろいろあるでしょうが、いずれにしても国会での議論を期待しています。
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四百参拾七  Wordでカラーマネージメント(2009/12/27)
 この4月から仕事が代わったこともあり、PR用チラシやリーフレットを作ることが多くなっています。制作用ソフトとしては、IllustratorやIn Design、画像処理としてPhotoshopをフル活用しています。

 ただ、ドキュメント作成時に他の職員も利用するケースがあり、そのような場合はWordやExcelを使用します。Wordは不便な点が多々あるものの、リーフレット制作は可能です。

 そのWordですが、カラーマネージメントに対応していないという致命的な問題を抱えています。カラー・リーフレットをWordで作成し、印刷するととんでもない仕上がりになるのは皆さん経験済みでしょう。私もこれには参りました。

 私の個人用PCは、すべてモニタ・キャリブレーションを行っています。仮に、そのPC画面上で写真画像やオブジェクトの色が合っていても、印刷するともうバラバラなのです。あるいは、RGBとCMYKのモードの違いを画面上で合わせ込んでも、印刷物では別物になってしまいます。
 まったく使い物にならないので、解決手段をいろいろ模索した結果、Acrobatが見事な回答を与えてくれました。


 その回答が以下のものです。
 ただし、あくまでモニタのキャリブレーションが為されていることが前提です。この点はハードルが高いですね。専用ハードウェアによる調整が不可欠ですから。しかも、カラー設定をきちんとしなければいけません。そのあたりのことは、各人が調べてください。調べるのが面倒だ、カラーマネージメントは理解できないなどという方は諦めてください。中途半端な設定は、かえって色の問題を大きくしてしまいます。

 「Word」→「PSドライバ」による出力(PSファイル書き出し)→PDF変換→印刷

 この手順で作成したPDFで以って印刷すれば、見事に色が合うのです。PSファイルの書き出しは、AdobeのPSドライバ(無料)で可能です。

 色を合わせるには、PSドライバで下図の設定を行います。ついでにフォントの埋め込みもやっておけば便利でしょう。



 「印刷品質」はケースバイケースでどうぞ。
 「ICMの方法」と「ICMの目的」は上のとおりに。
 他人の環境でフォント再現性を保証するには、「ソフトフォント」や「Native TrueType」を選んでおきましょう。

 あと、「PDF設定」タブ内で、埋め込みフォントの指定やカラープロファイルの指定をお忘れなく。

 この手順でWordからPDFを作成すると、あら不思議、見事な印刷物が得られました。この手法だと無料ですよ。Wordユーザの皆さん、是非ともチャレンジしてください。
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四百参拾六  「百姓貴族」にみる農業就業の難しさ(2009/12/20)
 荒川弘氏のエッセイ漫画「百姓貴族」を読みました。これは珍しい農業エッセイ漫画です。エッセイ漫画といえば、ペットやら夫婦ネタやら、突撃ネタが多いところです。そもそも農業ジャンルの漫画そのものをめったに見かけません。矢口高雄さんなんか貴重な存在ですもんね。

 矢口氏は岩手の山村出身で、荒川氏はその上をいく北海道の酪農農家出身です。しかも、農業高校出身というレアな経歴の持ち主です。さらに驚くのは、氏が女性であることです。いんやあ、逞しい女性だこと。

 「百姓貴族」には、最大限のシンパシーを感じまくりました。ほとんどの項目で頷かされること頻りでした。

 「土地の広さは、ヘクタールで言え」
 これ分かります。私も土地の広さを感覚的に把握しやすいのは、“畝、反、町”です。荒川氏は北海道とあって、さすがヘクタールが基準だそうです。当地は小規模農家ばかりなので、日常で活用するのは反までです。

 「ペットにするなら牛ですよ絶対」
 荒川氏談 「人になついてかわいいし、強いし、美味いし」とか「一見ぬぼーっとしていますが、頭のよい動物です。長年飼っていると簡単な言葉を覚えるようになったりするし」
 ぬばたま談 「穏やかな性格で、人の言うことを素直に聞く。そのうえ、我慢強い」

 子供時代、我が家でも牛を飼っていて、休日の飼葉やりは私の仕事でした。私が稲藁をカッターで切り始めると、座り込んでいた牛がのっそりと近づいてきて、大人しく待ちます。飼葉桶が稲藁で一杯になると、米糠と水、トッピングとして残飯を混ぜます。準備が終わると、待ちかねていたように食べ始めます。
 本当に可愛いものです。食事中の牛の鼻筋を撫でてやると、つぶらな瞳で見つめ返してきます。

 「GWは百姓の子にとって呪詛の季節」
 作物と緯度が違うので、当地とは時期が異なっていますが、農繁期の状況は同じです。私のガキ時分には、6月の田植え時期に農繁休業がありました。2日間ほど学校が休みになるのです。私はこの休日が嫌で嫌でたまりませんでした。高校へ入り、周囲の友人に非農家が多くなると変な顔をされました。6月や10月の農繁期は土日が憂鬱だと言うと前記の反応になったわけです。

 「ある農家が派遣切りにあった七人を雇い入れたら三日で全員辞めちゃったって」
 でしょうね。派遣を希望する人間の職業意識の低さはかなりのものです。もちろん正規社員を目指しながら派遣に甘んじている方は別ですよ。でも、マスコミは書かないけど、派遣から正規への切り替えを提示しても受けない方が相当数いるのです。連合も表立って言わないけど、この件には連合の関係者も頭を痛めているのです。

 そんな彼らに農業なんか務まるわけがありません。労働時間が長く、あらゆることに目配りしなければならず、収入は僅かしか見込めません。まず、農業に居着くわけがありませんわな。厚生労働省が進めている雇用対策としての農業支援なんぞ浮世離れしています。


 久々に共感できる読み物に出会えました。荒川氏は農家出身漫画家として貴重な人材です。是非ともこのシリーズを継続していただきたいです。第2巻を楽しみにしています。
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四百参拾五  中国掲示板に見る政治意識の高さ(2009/12/13)
 中国にも巨大掲示板が各種あり、NET民たちが精力的に書き込んでいます。これらを紹介するサイトも多く、私も定期的にチェックしています。
 なかでもお気に入りは、「日々是チナオチ」と「大陸浪人のススメ」です。「日々是チナオチ」の管理人さんは香港や台湾での職業生活が長く、今でも香港で出版に係わっている中国人と情報交換しているそうです。ただ、かなり前から体調を悪くし、ウォッチングは休止中です。“チナオチ”は“China Watch”をもじったものと思われます。

 そのため最近は、「大陸浪人のススメ」を楽しみとしています。これを読むと、中国の若者たちの意識や興味のあり方なんかがよく分かります。そして、彼らのメンタリティも日本人と似通ったものであることが確認でき、安心したりもします。


 で、標題の政治意識についてですが、これはもう日本人をはるかに凌いでいます。それも当然で、かつての中国においては表現の自由などなく―いえ、今もありませんけど―規制の厳しい中、壁新聞などのメディアで党高官の発言や隠喩から、かすかに透けて見える意図を憶測することが求められました。ここを読み違えると、命に係わることですから、そらあ真剣にもなりますわな。
 現在でも、掲示板のレス内容について、微妙な自主規制を利かせながら書き込んでいます。つまり、政治的な配慮とかに圧倒的に長けているのです。
 上にリンクした「大陸浪人のススメ」のバックナンバーに目を通していただければ、彼らのセンスのよさを理解できるかと思います。


 彼らが中国高官の権力闘争や意図について詳しいのは当然としても、日本の政治状況に対する知識の深さには驚かされます。彼らが日本を知っているが如く、我々は中国要人について知っているでしょうか。いえ、とてもとても及びませんよ。

 9年前、中国からの留学生を指導したことがあります。政府関係の通訳をなさっていた30代半ばの女性でしたが、当時の日本人の軽薄短小性向をよくご存知でした。中国では、遊び感覚に浸っている日本の若者の意識の低さが知れ渡っていたそうです。
 これに対する私の回答は次のようなものでした。
 「遊び感覚に浸っている若者は、中国にも日本にもいるでしょう。同じですよ」
 で、日本人の教え子たちと一か月間生活する中で、認識を改めてくれました。教え子たちは毎日遅くまで居残って勉強し、休日には課題作成に必要な情報収集で時間を潰していましたから。李さん(留学生の名前です)も、感心すること頻りでした。来日前に中国で得ていた若者像とまったく違うと。

 おかげで日本の面子が立ちました。誰も誉めてくれないけど、日本が蒙っていた汚名返上に寄与したんですけどねえ。
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四百参拾四  遅まきながらの事業仕分け(2009/12/6)
 事業仕分けにおいて、次世代スーパーコンピュータ開発事業が凍結されました。これを受け、研究者団体や学会大物が批判を連ねたところです。

 彼らの批判は、今回の事業仕分け人たちの問いかけに答えるものではありません。そもそもスパコンは販売してなんぼのものです。逆を言えば、顧客の要求に応じられるかどうかです。当然、性能だけでなくコストが重要な要素となります。
 かつてNECのスパコンが世界一のコスト性能比を誇っていたとき、アメリカ政府への納入が揉めたことがあります。日米貿易摩擦が背景にあったということもあるでしょう。しかし、少なくとも購入者にとっては、国産、国外を問わず、安くて高性能な製品こそが必要とされます。

 事業内容としては、箱物整備に大金を投ずるあたりで胡散臭いですし、Sun Microsystem社のSPARK64を採用した時点で駄目駄目でしょう。今のスパコンはX86でないと競争になりませんから。IBMでさえ、CellとX86のハイブリッドですもんね。なにより、Sun Microsystem社の「Ranger(スパコン)」自体がX86でっせ。

 次世代スパコン事業を継続したら、Σ計画の二の舞になるところだったんじゃないかな。あんな黒歴史は繰り返すべきではありません。

 NECは国策事業から抜け、スパコン用チップのカスタム化のためにIntelと提携しました。これが王道というものです。あくまで、価格と性能両面で顧客ニーズを満たすことを目指すべきです。その延長線上として、世界一の称号もありうるのです。


asahi.comによると、スポーツ関連にもメスが入りました。

 スポーツ予算の約59億円が大幅な削減との結論になった。民主党が力を入れる行政の無駄の洗い出しで、スポーツ界も無傷では済まない見通しだ。

 仕分けでは「国体に助成の必要はない」「総合型スポーツクラブ育成推進事業はいらない」など厳しい意見のほか、サッカーくじ(toto)の助成事業と重なる地域スポーツ振興事業の整理見直しを求める意見が出た。


 仕分け人の意見はごもっともですね。また、日本オリンピック委員会(JOC)が要求する約27億円の選手強化費なども削減とされたそうです。
 これを受けて、五輪メダリストたちが異議を唱えました。

 アスリートは、アテネ五輪アーチェリー男子銀メダリストの山本博(日体大女短大教)、北京五輪フェンシング男子銀メダリストの太田雄貴(森永製菓)、競泳男子の入江陵介(近大)ら10人が出席。レスリング女子で五輪2大会連続金メダルの吉田沙保里(綜合警備保障)は「代表になる前は、遠征や合宿は自己負担。減量での食事やサプリメントなどでも両親に負担をかけた」と実情を説明。太田は「03年にコーチを招いて勝ち方を教わった。4年、5年の歳月を経てメダルを取れるようになった」と、継続強化の重要性を訴えた。

 山本は、過去に自己負担金35万円を支払った経験など、マイナー競技の現状を吐露。その上で「われわれも、自分たちの現状を知らせる機会を広く作ることが必要。正しくみなさんに認識していただくことで、27億円が多いか少ないか感じてもらうべき」と、競技団体側の努力の必要性も口にした。


 スポーツ五輪に係わる選手たちの意識の低さが窺われるコメントですね。代表選手でないかぎり、それまでの合宿費や旅費やらが自己負担であるのは当たり前のことです。
 その道を突き進むかどうかは個人の自由というか、個人の選択の話です。彼らは選択し、その上で便宜供与もたっぷり受けています。彼らはほとんど例外なくコーポレート・アマでしょう。企業採用、勤務時間、勤務内容等でたっぷり便宜供与を受けています。合宿とか大会への出場は業務扱いですしね。大体、練習場所だって企業もちじゃないか。おまえら嘘をつくんじゃない。

 スポーツ五輪でメダルを取れなくたって結構。なんなら、出場しなくて結構です。ぜひとも経費削減に取り組んでください。

 今回の事業仕分けについて、批判は当然ありましょうが、議論を公開した点だけは評価できます。また、国民自身が議論の中身に興味を持った点も素晴らしいことだと思います。今後は事業対象をさらに拡大し、国政の中身を国民が見張るようにしましょう。
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四百参拾参  内藤vs亀田戦(2009/11/29)
 今、観終わったところです。亀田選手の判定勝利となりました。

 内藤選手はヒットアンドウェイ戦法、亀田選手はカウンター戦法で、競った試合となりました。亀田選手の勝ちは動かないでしょうが、ポイント差が意外に大きかったですね。
 両者ともにディフェンシブな闘い方の上、パンチ力がないので難しい判定だったと思います。それはいいのですが、アナウンサーの鬱陶しいこと。亀田のパンチが当ると大声を上げ、内藤のパンチは普通に実況するといううざさでした。

 いやさ、贔屓は贔屓でかまいません。贔屓するなら最初から、亀田選手の戴冠を希望していると明言して欲しいのです。そこまで態度をはっきりするなら文句はありません。

 しかしねえ、レベル低いわ。内藤は打ち込むとき、相手のパンチを避けるために顔を背けて打ちます。いい戦法ではありましょうが、体幹が据わっていないので威力がありません。亀田は亀田でコンビネーションが下手だし、どっちもどっちです。

 WBCも腐っています。ホセ・スライマン会長は組織を息子に譲る心算と噂されています。金にまみれ、資金の豊富な下部組織やプロモータへの便宜供与を優先しています。だもんだから、今回のようなつまんないカードが優先されもします。私なんかは、世界ランキング1位との指名試合をこそ観たいのですが、日本のジムも目先の話題を追いかけるばかりです。
 亀田選手は確かに強くなっています。でもねえ、ジャッジの贔屓判定なしに、今後も上位ランカーたちに勝てるか怪しいところです。

 つい2週間前に開催されたパッキャオvsコット戦の印象が強烈だっただけに厳しい見方をしてしまいます。しかしこれは期待の裏返しなのです。話題ばかり先行させ、肝心のボクシングをなおざりにするTBSとジムの姿勢を改めていただきたいのです。
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四百参拾弐  中国の軍事脅威とは(2009/11/23)
 先月の1日、中国は国慶節を祝うと同時に、建国60周年を記念しての軍事パレードを行いました。10年ぶりとなる同パレードでは、中国軍の近代化の成果が目白押しでした。ただし、この程度の近代化を以って、日本に対する脅威と決めつけるのは早計です。

 脅威であるのは、あくまで中国の覇権意識であり、その根源はといえば、経済発展や外貨準備高の拡大、海外資本の流入などでしょう。兵器の近代化はそれらの成果であり、同時に限界も抱えています。工業基盤の充実ぶりには目覚しいものがありますが、技術的なブレークスルーを要する軍事関係の開発レベルは未だ無理が多いと思われます。

 3軍の中で、最も充実しているのは陸軍関係のAFV(装甲戦闘車両)群です。しかし、これらはロシア(旧ソ連)や西側の技術で成立しているのです。
 代表的なものとして、第3世代MBT(主力戦車)である99式を例に挙げます。砲や車体がロシア、エンジンがドイツ、FCS(射撃統制装置)がフランスとイスラエルという具合に、他国の技術由来とされており、自主開発は無理な状況です。なお、99式の売りであるレーザー検知アクティブ防御システムなんか、私は実用性を信じていません。ただ、陸続きの国にとっては脅威でしょうね。なにせ、99式の弟分である96式は、千数百両が配備されていると言われています。
 幸いなことに、日本は島国なので、中国陸軍は脅威になりませんから安心です。

 日本に重大な影響を及ぼすのは空海軍です。で、こちらはお粗末なものです。国産のJ-10(殲撃10)は、エンジンをロシアから輸入している第4世代機です。F-16相当の機体といわれていることから、西側より20年以上遅れていることになります。
 昨年のチャイナ・エアショーで公開飛行し、軍事ジャーナリストの柿谷哲也氏が細部の撮影に成功しています。想像以上の不出来というか、雑なプロダクトです。外板リベットの間隔が不揃いのうえ、まっすぐに打たれていないのです。日本人の感覚からすると信じられない代物です。
 こんなんで先進のアビオニクスなどと能書きを垂れても信用できません。「弐百八拾四 中国の技術開発事情」にも書きましたが、政府の重要開発プロジェクトにおいて、リマーク品を成果物として堂々と発表するメンタリティですからねえ。

 J-11(殲撃11)はSu-27系のライセンス版であり、上記J-10とともに中国空軍近代化の担い手として更新中です。たしかに最近までMig21系列が主力であったことに比べれば、脅威度が高まっているのは事実です。しかし、日本の空軍力は次の段階に移行するレベルであり、決して恐れる話ではありません。
 また、AWACS(空中早期警戒機)として、国産KJ-2000が就役していますが、国産レーダーを搭載しているとあって、その性能には疑問符がつきます。

 2週間ほど前、中国空軍副司令官が、「中国空軍が最新鋭の第5世代戦闘機の開発を進めており、近く試験飛行をする」と説明しました。
 こんな法螺話は無視しましょう。ステルス航空機を実現するには、極めて先進的な基礎技術が求められます。今の中国には縁遠い話です。そもそも、中国にレーダー波測定施設ってありましたっけ。ちなみに、日本にもありません。


 海軍といえば噂の空母です。以前にも書いた「参百八拾弐   中国がついに空母建造か」のとおり、相手にしないようにしましょう。結局、蒸気カタパルトの技術が導入できなくて、スキージャンプ方式ですね。
 私は今から予言しときます。この空母が航空団を運用開始できるのは15年先でしょう。さらに空母機動部隊として扱うには、護衛艦艇とセットで運用しなければいけません。イージス艦建造の目処も立っていない中、一体何を考えているのやら。
 しかも、ショーイング・ザ・フラッグを担うであろうことから、結局、基地航空部隊のカバー内でのみ有効な艦艇となりかねません。まさに壮大な無駄遣いです。ただ、日本の腰抜け政治家どもは、びびって尖閣諸島を明け渡すかもしれませんけど。


 本日、重大なニュースが入りました。防衛省は次期FXとしてF-35に狙いを定めた模様です。最悪の方向です。上で書いたように、次期主力戦闘機は東シナ海をカバーエリアとし、ロシアが開発中の第5世代機を圧倒しなければならないのです。この点は将来における重要な課題ですが、F-35には無理なミッションです。問題点は、航続距離(滞空時間)が短く、進出速度が遅いことです。これでは東シナ海云々だけでなく、そもそも国土防空の要撃任務にさえ支障があります。

 また、導入機種は30年間ほど任務に当りますが、単発で拡張性の乏しいF-35では将来性が見込めません。こんなのを導入するくらいなら、F-15SE(ストライク・イーグル)の方がはるかにましでっせ。
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四百参拾壱  嘉手納統合は日米関係の新時代(2009/11/14)
 最近、重要なニュースが2点ありました。

 「米上院が2010会計年度の軍事施設建設に関する予算案の審議の中で、在沖海兵隊の8000人がグアム移転に伴う経費で、オバマ政権が要求していた約3億ドルのうち、約7割にあたる2億1千万ドルを削減していたことがわかった。」

 「米政府は米軍嘉手納基地に展開するF15戦闘機の半数(24機)を、三沢基地(青森県)に移転させる構想を日本側に打診していることが10日、わかった。
 三沢に配備されている約40機のF16戦闘機はすべて米国に撤収する。」


 まず、三沢配備のF-16がアメリカに撤収するのは予定通りであり、慶賀すべきことです。対ロ、対北朝鮮への睨みとして、嘉手納配備のF-15の半数が三沢に移転するそうです。

 これらの動きは財政負担軽減を睨んだ米軍再編の一環です。結果として、嘉手納の空軍規模が縮小することとなり、嘉手納統合案が現実味を増します。普天間の海兵隊ヘリ部隊が嘉手納に移転するハードルは下がったとみてよいのではないでしょうか。

 ヘリは滑走路を使用しません。進入経路から外れた地点を発着ポートとします。飛行機との同時運用に支障があるのは事実でしょうが、あくまで調整できることです。現に、防衛省は嘉手納統合が可能か検討したことがあります。結論は可能であったところが、自民党の族議員どもが辺野古ヘリポート建設に舵を切ったために潰れた経緯があります。

 米軍側の都合に合わせるのでなく、日本側の主張で以ってことを進めましょう。恐れることはありません。日米関係が損なわれて困るのは、むしろアメリカ側です。日米安保によるサポートなしに、アメリカの極東戦略はありえないのですから。いえ、極東どころか、日本の基地機能は間違いなく、インド洋を経て中東までカバーする世界戦略の要を担っています。

 課題とすべきは米軍でなく、むしろ周辺住民の平安でしょう。騒音軽減のために、発着数の削減、つまり運用機数の削減が求められます。F-15の半数を三沢に移転するのは、まさに時宜を得た決定です。この機を捉え、政府には嘉手納統合を粘り強く推進してください。


 最初のニュースにある海兵隊グアム移転に係る要求額の7割が削減される件は、グアム移転の見直しを示唆していると考えられます。海兵隊にとっては、グアムより沖縄の方がより望ましいのでしょう。
 日本であれば、空港を日本側が建設するし、兵舎も贅沢な施設を思いやり予算で整備してくれます。家族にとっても日本の生活環境は安全なものです。

 最初からグアム移転は無理があったのでしょう。だからといって沖縄に固執するのは、日本人をあまりに軽視した姿勢です。最善策は、海兵隊をアメリカ本土に帰還させることです。有事に本土から海外展開させるのが、新たな再編の狙いだったはずです。グアムから展開しようが、本土から展開しようが大した違いはないでしょう。
 どうしてもアジアに拠点が置きたいのなら、フィリピンへの再展開を検討すればよいでしょう。旧クラークフィールド空軍基地跡地を有効活用すればよいのです。フィリピンの安定にも寄与しますし。


 普天間基地の嘉手納基地への統合を第一段階とし、将来的には米軍の撤退を目指すべきです。この意見に対して、中国の脅威を言い立てる方々がいますが、それらは狼少年的言説です。次回はそのあたりのことを書きます。
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四百参拾   日本は誰のもの(2009/11/8)
 外国人への地方参政権付与問題について、民主党が法案提出するとかしないとか、ネトウヨ方面で喧しいことです。ネトウヨな方々の意見は、専ら憂国論調に彩られています。

 先週の予算委員会で、自民党の稲田朋美委員が鳩山総理に「憲法15条違反でないか」と質しました。これに対する総理の答弁は、「憲法に抵触しないやり方で以って、議論を要す」というものでした。さらに怖いことに、「国政参政権を定住外国人にも与えるべき。ただし、現状では難しい」とも述べています。稲田委員の追及は理路整然としており、優秀な人材ですね。結局、総理の答弁内容は、「地方参政権付与については、拙速を避けるべし」の見解と見受けられました。
 議員立法での法案上程といわれていますが、亀井大臣も慎重な姿勢を示しており、そんなすぐに提出されるものでしょうか。
 ただ、不思議なことに上のやり取りについて、TVでのニュース報道がなかったのは、一体どういうことでしょうかねえ。


 ネトウヨ方面のご意見は尤もなもので、私も同意するものです。日本は日本国民のものであり、外国人に政治を壟断させるなど絶対あってはならないことだと思います。
 一方で、同様の問題は日米地位協定や安保の片務性にもみられます。地方参政権を外国人に左右させてはならないという自民党自身が、こと日米関係については好きにさせてきたわけです。私にはダブルススタンダードにしか見えません。

 普天間基地移設問題については、米軍側にも嘉手納統合案があったわけで、日本政府も縮小統合の方向で調整すべきでした。これを蹴って、辺野古埋め立てを推進したのは橋本政権でしたね。基地問題がおいしい土木利権に変貌したわけです。
 現在のアメリカ側主張は、嘉手納基地だけだと容量的に有事に対応できないというものです。嘘つけって。ベトナム戦争時には、B52の中継基地だったじゃん。当時のことを考えれば余裕でしょう。
 アメリカが嘉手納統合を嫌がる理由は、空軍と海兵隊の我儘でないか。同居は嫌だ、専用の空港施設が欲しい、官舎も別にしろ、あんな奴等と一緒にするな等々、いずこの国でもお馴染みの軍隊間の対立意識でしょう。

 で、私は言いたい。アメリカ軍の内情なんかで以って、日本に負担を強いるなと。どうしても辺野古に新空港を建設したければ、アメリカが建設しろ。空港建設費はもちろん、兵員宿舎などの建設費や維持費、日本への借地料支払いまで、きっちりアメリカが支弁しろと。


 アメリカの基地問題を土木利権にすり替えたのが自民党です。ですから、こと基地問題に関しては、自民党に期待など一切できません。民主党には頑張って欲しいのです。外国人の参政権問題にしろ基地問題にしろ、私の主張は一貫しています。日本は、日本の国益を第一にすべきというものです。
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四百弐拾九  インフルエンザに罹るべし(2009/10/31)
 新型インフルエンザが猛威を振るっています。これを受けて、インフルエンザ狂騒曲ともいうべき馬鹿騒ぎが繰り広げられ、ワクチンの投与に1,000億円の補助を出すとかの偏執的対応に至っています。

 なんて空虚な騒ぎでしょう。今回のインフルエンザは弱毒性とのことです。だったら騒ぐ必要ないじゃないですか。現に国内の死者数は極小です。通常のインフルエンザより安全なくらいです。ただ、新型とあって感染者が多いだけのことです。
 で、大人の感染が少なく、もっぱら子供ばかりです。これはつまり、新型といいながらも交差免疫が有効な証拠です。大人は成長の過程での罹患経験があり、各種免疫が醸成されているからでしょう。つまり、子供たちが罹患するのは、成長過程において必要なプロセスなのです。

 インフルエンザなんぞ、恐れるほどのことじゃありません。ワクチンだの、タミフルだの、リレンザだの馬鹿げています。罹患したなら、玉子酒を飲んで暖かくして寝ればいいのです。2日も安静にしていれば、解熱して元気になりますよ。その結果、体内に抗体が生まれ、耐性の強い身体ができ上がっていくわけです。弱毒性なら、積極的にウィルス耐性を身につけるべきです。いいチャンスなのにねえ。
 ただ、妊婦だとか基礎疾患のある方は万全を期さなければならないでしょうけど。

 私が書いていることなど、医療関係者にとっては常識なのでしょう。それなのに、なんでかマスコミは書こうとしません。ひたすら不安を煽り、医療機関に過重負担を強いる報道ばかりです。

 “小児科医の思うこと”は、現役の小児科医のサイトです。最近のインフルエンザ対応施策がいかに馬鹿げたものであるかを切々と訴えています。ご一読ください。

 内容のポイントを整理します。
 現在、厚生労働省のガイドラインでは、発熱、咳などの症状が出たなら、直ちに医療機関で受診するよう記しています。

 このガイドラインによって
 ・診療リソースが費消され、医療現場が崩壊寸前である。
 ・発症直後でも簡易検査を希望する患者が多く、簡易検査キットが無駄になる
 ・インフルエンザごときで夜間受診をするな。翌日の受診で十分間に合う。
 ・発症している子供を病院に連れて行くことにより、余計に症状を悪くする。

 私は生まれてこの方、風邪(インフルエンザ)で病院へ行ったことはありません。身体を暖かくする、早く寝る、ひどいときは玉子酒を飲んで身体を内側から暖めるなどの対処で間に合わせてきました。これで十分ですがねえ。
 大学時代に「ソ連かぜ」が大流行し、私も罹患しました。たしか、骨が痛む症状が出た記憶があります。学校を休み、終日頭を冷やしながら下宿で寝ていました。翌日には、爽快な朝を迎えることができました。

 昨今、ソ連風邪の大流行が懸念されていますが、私は体内に完全な抗体がありますから安心です。皆様も、恐れずに、むしろウィルスと共存しましょう。
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四百弐拾八  日米関係再構築に期待(2009/10/24)
 ゲーツ国防長官が来日し、普天間飛行場移転について勝手なことをほざいてくれました。日米安保の片務性による歪も極まれりです。

 ゲーツ氏は米軍機の騒音が地域の大問題になっていることを承知し、対応の難しさもまた承知し、県内移転に反対していた政党が政権を取ったのも承知しています。でありながらの恫喝まがいの要求には怒りを覚えます。

 マレン統合参謀本部議長も似たようなものです。「日米合意の履行が遅れれば日本の防衛だけでなく、アジア太平洋地域の安定にも死活的影響が生じる」と語ったそうです。


 もはや海兵隊の極東での必要性は低くなっています。なのに、なんで日本が飛行場を建設しなきゃならんのか。納得できる日本人はいないでしょう。
 また、米軍再編ということで、グアムへ移転するなら自費で勝手にどうぞです。この件でも、移転費をもっとよこせと文句を垂れています。私は海兵隊のグアム移転が白紙になることもあり得ると睨んでいますけど。

 もっとも現実的な解は、嘉手納基地への統合です。これに対する米軍側の言い分は贅沢なものです。
 「空軍と海兵隊の同居は難しい」
 おひおひです。那覇空港の陸海空自衛隊と海上保安庁は、民間と共用していますぜ。一体ここは日本なのか、アメリカなのかと考えさせられます。
 自民党にはできなかったことも、民主党なら可能かもしれません。ここは踏ん張ってください。


 前原国交大臣が羽田空港のハブ化を宣言しました。この件にも米軍の壁が立ちはだかっています。関東空域の管制権は横田基地の米軍が握っています。横田基地はアメリカの極東戦略におけるハブ基地機能を担ってきました。そのおかげで羽田への進入経路は限定され、離発着数の制限や燃料費の増大など、日本の航空事業そのものの阻害要因となってきました。横田管制空域は日本側にかなり返還されていますが、羽田のハブ空港化にはまだ不十分です。

 沖縄といい、羽田といい、アメリカの植民地かと見紛うような現状を知っていれば、民主への期待も高まるというものです。


 なにより米軍が日本から出て行くのが最善です。ところが、日本政府というか防衛省は、これら過大な負担をあくまで国民に押しつけ続けようとしています。
 最近のこと、米軍が三沢基地のF-16を引き上げようとしたところ、駐留継続を依頼しました。三沢空港は米軍と民間が共用しています。アラスカからの夜間飛来による騒音問題もあるし、滑走路が塞がっている場合、近隣の空港への緊急着陸で当該空港が閉鎖されることもあります。
 F-16引き上げは、願ったり叶ったりじゃないですか。

 横須賀が第7艦隊の母港となっているため、艦載機による厚木や横田での夜間離発着訓練がおまけでついてきます。近隣住民の怒りも理解できるというものです。
 米軍が近隣住民に対して補償するはずもなく、すべて日本側によるサポートで成り立っているのです。もう、馬鹿らしいったらありゃしない。


 日本がアメリカの極東戦略に果たす役割は、あまりに大きなものです。こと軍事に関しては、アメリカが日本に依存しているのです。日本人はこの事実を知っておきましょう。決して、日本がアメリカに依存している訳ではありません。
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四百弐拾七  日本はどこへ行くのか(2009/10/17)
 来年度概算要求の拡大ぶりが物議を醸しています。今年度の税収が40兆円程度と見込まれるなかでの97兆円です。無駄を廃すといった公約は雲散霧消ですね。

 今後、さらに査定を加えて削減に努めるのでしょうが、時間的な余裕はありません。財務省のチェックとは別に、国家戦略局や行政刷新会議で予算や事業の見直しを進めるそうです。本当にそんな時間的猶予があるのでしょうか。
 間違いなく、担当者は家へも帰れず、まともな睡眠も取れないでしょう。もちろん土日には無縁でしょうし。担当者にはご同情します。


高校授業料無償化
 義務教育でもないのに無償化して、他の事業との整合性が取れるのでしょうか。授業料徴収の基本的背景は、使用料・手数料の概念です。受益者負担の観点に立つものであり、ここを無償化するとなると、他の有料の部分が説明できなくなります。
 私は減免基準の緩和でいいと思います。公立高校の減免基準は都道府県が定めています。ほぼ全国横並びです。そこで、文科省が都道府県に減免基準の緩和の目安を示し、収入不足となる額を交付すればよいのです。その場合でも、減免基準の緩和については、実態調査や基準の理由づけが必要となります。
 民主党のやり方は拙速というか、無茶です。政治主導といえば聞こえはいいけど、むしろ政治エゴというべきでしょう。


高速道路無料化
 なんかよく分かりません。道路公団廃止、道路建設は税金で、すべてが無料ではないとか。民主党もまとめきれていないのでしょう。
 最悪なのは財源です。車1台につき、5万円課税するとかの案もあるそうです。いいかげんにしやがれです。民主党案が実現すると、ただでさえ三重課税で頚を絞められているドライバーは踏んだりけったりです。自動車税、重量税、揮発油税に加えて高速税ですか。
 あげくにフェリーを始めとした公共機関にダメージを与え、地方の移動手段がすり潰されます。将来的には、地方の過疎化にますます拍車がかかりますね。

 私が希望する高速道路無料化案は、高速道路建設当初の公約に立ち返ることです。建設費償還後は無料化するという約束です。この件は数十年間反故にされ、地方高速道路の建設利権に飲み込まれてきました。
 東名や名神はとうの昔に償還済みです。まずは、ここから無料化しましょう。ドル箱路線の無料化により、収入は激減します。当然、新規建設は取り止めねばなりません。高速道路打ち止めのいい機会です。


こども手当支給
 定額給付金もくだらない人気取り政策でしたが、こども手当も劣らず愚劣です。財源としては、配偶者控除と扶養控除を廃止するとか。
 むしろ、配偶者控除や扶養控除にこそ意義があります。
 「しっかり働いてください。ただし、子育て中の方には税控除で報います」と。
 なにもしないで給付するスタイルは北欧式ですね。日本人を乞食根性に染めたいのでしょうか。なんか嫌な将来像が浮かんできます。
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四百弐拾六  日中韓共通教科書の悪夢(2009/10/10)
 民主党の岡田外相が、「日本、中国、韓国と共通の教科書を作るのが理想だ」と述べたそうです。まったく神経を疑いたくなります。共通の教科書が可能ならば、それは結構なことでしょうが、状況は絶望的です。

 鳩山総理は中国に対して内政干渉はしないと明言しています。これでは中国の他国に対する主権侵害を俎上に載せられません。新疆ウイグル、チベット、内蒙古、ベトナム、フィリピンなどに対する覇権主義的権利侵害は、決して見過ごすことはできません。
 もし、教科書共通化を図る際に、上記問題を明確にしないと大変なことになります。日本が中国の侵略行為を認めたことになり、東アジアにおける二大巨頭がタッグを組んで侵略を正当化することにもなります。このようなことは決して許されません。

 また、韓国との歴史認識の擦り合わせ作業は、不毛というか、却って溝を深めるだけに終わるでしょう。現在の韓国における学術研究では、学問的正当性がうっちゃられています。
 有名なところでは、従軍慰安婦問題は事実でないと、実証結果を元に意見表明をした大学教授が慰安婦の前で土下座させられた事件がありました。また、朝鮮の近代化が日本統治によって達成されたとする実証研究は、国を挙げての批判に晒されました。

 こと、日本に係る学問研究は、政治的色彩から逃れない状況です。そのようなことは、岡田氏は百も承知のはずです。でありながらの冒頭の発言は、意図が理解できません。


 九拾参  南京大虐殺のゆくえ(お盆特別回)に書いていますが、ドイツとポーランド間で歴史教科書の擦り合わせが行われました。詳細は「ドイツ・ポーランド間の歴史教科書対話に関するメモ」をご覧ください。私はこの件に関して、話がまとまっていたとは不明にして知りませんでした。当時、ソ連の衛星国であったポーランドが、よくもドイツ側の主張を飲んだものです。いやあ、感心しました。

 中国や韓国も、ポーランドを手本に自身を見つめることができるなら、私にも否やはありません。ぜひとも、教科書共通化に取り組んでください。

 日本側は韓国併合を植民地化として認めるし、中国侵略を極めて非道なものであったと認めればいい。今すでにそうなっていますから、無問題ですね。

 で、中国にはベトナム侵略やチベット侵略を書かせ、文化大革命が国民奴隷化事業であり、3,000万人以上もが虐殺された件を現代史の必須項目として取り扱わせましょう。
 で、韓国には、竹島不法占拠、安重根のテロ行為、従軍慰安婦の実証結果、朝鮮近代化の実態なんかを書かせましょう。これらは極めて重要な点です。

 岡田外相に伺いたい。
 「これら重要事項を協議できますか、結論が収斂すると考えているのですか」
 多分、返答できないでしょう。
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四百弐拾五  最近の世相(2009/10/4)
 F-35 性能情報10億円
 今朝の新聞1面トップに書かれていました。F-35の性能に関する情報提供料として、米側が10億円を要求しているそうです。こんな話がなんで1面トップになるのか。
 F-35開発や情報取得へのコミットについては、出資比率と権利関係とが明確に規定されています。あらためて騒ぐ話ではありません。なんかF-35導入に傾いているのでしょうね。防衛省には愛想が尽きました。


 リオ五輪開催
 ブラジルにはおめでとうと言いたいです。南米大陸初の五輪で、まことに意義深いと思います。オバマ大統領も迂闊というか、思慮が足りません。本当にシカゴが選ばれる可能性を信じていたのでしょうか。開催地の推移を眺めると、ありえない話です。
 イギリスでさえ、1948年(ロンドン)→2012年(ロンドン) 64年の懸隔
 アメリカはというと、1984年(ロス)→1996年(アトランタ) 12年の懸隔の後、20年後に開催しようなんて厚かましすぎ

 次回サッカーW杯がアフリカ大陸初の南アで開催されることといい、途上国発展のためにも最上の選択です。日本もアメリカと似たようなもので、恥晒しな結果でした。北京大会の記憶も新しいというのに、アジア圏からの選出を期待してたのなら能天気極まりない話です。

 しかし、南アのW杯実施体制は整っているのでしょうか。週刊誌の取材記事では、全然間に合っていませんでした。私はサッカーに興味ありませんからどうでもいいのですが。


 民主党迷走
 一部大臣が暴走したりで鳩山首相も大変です。でも、こんな大事な時期に外遊ばかりしてて大丈夫なんでしょうか。難問山積、しかも補正予算の見直しとかで、大手術に取りかかっているというのにまるで他人事です。


中川元財務相突然死
 いやあ、びっくりしました。死因は不明だそうです。想像ですが、また深酒をやってたんじゃないかなあ。心労を紛らすための深酒が致命傷になったとかね。
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四百弐拾四  世界に飛翔する「Cat Shit One」(2009/9/26)
 前回、イーストウッドの「グラン・トリノ」の登場人物であるモン族に触れた際、別の物語のキャラを想起していました。それは小林源文氏(漫画家)の代表作になるであろう「Cat Shit One」の登場人物です。

 「Cat Shit One」はベトナム戦争を舞台に、国際色豊かな登場人物群を出身国ごとに動物に擬えたフィクションです。
(C)小林源文
アメリカ人
ヴェトナム人
中国人 パンダ
ロシア人
日本人 猿(ゴリラ)
フランス人
韓国人
オーストラリア人 カンガルー
イギリス人
アフガニスタン人 山羊(羊)
アルゼンチン人
ドイツ人
 擬人化の手法というか、ネタを想像するのも楽しいところです。日本人を猿に擬しているのは納得ですね。この日本人は自衛隊の隊員です。自衛隊員がベトナム戦争に派遣されていたという噂をネタ元にしています。で、これが源文ワールド定番の池田大尉、佐藤中尉、中村軍曹らなのです。上に掲げた画像は、ご存知佐藤と中村コンビです。この後、殴られた中村が「いつか殺してやる」と呟くあれですね。


 主人公の“Cat Shit One”は、下図の凄腕斥候チームです。北にも知られたベテランです。リーダーは左から2人目の「パッキー」、左端がベテランの「ラッツ」、真ん中は無線係の「ボタスキー」です。ボタスキーは帰還後、外食チェーンを成功させます。



 で、右端がモン族の「チコ」です。劇中では“ノラ族”と称されていますが、“ノラ猫”をもじったものでしょう。チコはパリ和平後も戦い続けますが、アメリカがインドシナから手を引くと、共産勢力に追われてタイ国境での難民となります。この漫画が頭にあったものだから、イーストウッドの映画を観たとき、チコを思い出してしまったのです。



 バッキーは難民キャンプで燻っていたチコを救い出し、再び“Cat Shit One”を結成します。生き甲斐を与えられたチコは、バッキーに忠誠を誓います。このあたりにはジーンとさせられます。


 この作品は、アメリカ、スペイン 、ポーランドでも翻訳出版されているそうです。着想といい、ベトナム戦争の実態の紹介といい、人種問題の扱いといい、外国の方にも迫るものがあるのでしょう。
 本作の展開はベトナム以後へと突入しています。フォークランド紛争、アメリカ大使館占拠、アフガン戦争が描かれ、今後は湾岸戦争やコソボあたりが舞台になるのではないでしょうか。まあ、描く方は大変でしょう。単純なストーリーでなく、民族間の諍いを重要な下敷きにするだけに、その背景についてネタを集めて構成するのは大変でしょう。おかげで、読者は大満足ですけど。
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四百弐拾参  イーストウッドの「グラン・トリノ」(2009/9/20)
 イーストウッドの新作はよくできていました。頑固な旧世代が旧い価値観を押し通す生き様を描いたものです。イーストウッドの映画によくみられますね。

 チンピラに絡まれた娘を助けたり、隣家の青年と揉みあうチンピラたちを威嚇する主人公は、まんまヒーローです。まったく怯まず、自分のスタイルを押し通すあたり、ダーティー・ハリーの引退後はかくあらんか、と想像させられます。

 また、無気力な青年に対して、作業を手伝わせながら生きる意欲を植えつける展開もどこかで見たことがあります。多分、イーストウッドはロバート・パーカーの「初秋」を読んだことがあるのでしょう。「初秋」にも、主人公のスペンサーが家作りを通じて内気な青年を変えていくシーンがあります。こういう展開には、誰でも共感を覚えるんじゃないかな。


 他にも、新しい住民であるアジア系移民の生活文化の相違を丹念に描くことで、頑固な旧世代の意識のあり様を際立たせる構成をとっています。古くからの住民にしても、実はポーランド系、イタリア系などの移民の後裔なわけです。イーストウッドは、アジア系に対してずいぶん暖かい眼差しを向けてくれています。
 きっと、イーストウッドはベトナム戦争や朝鮮戦争を正義の戦争とは捉えていないのでしょう。であればこそ、硫黄島の戦闘を描くに、日米双方からの視点で2本の映画を撮ったのでしょう。

 隣家の娘に自分たちのアイデンティティを語らせています。彼女たちはタイやラオスの山岳民族であるモン族です。モン族はベトナム戦争時、米軍側について北と戦いました。モン族兵士は勇敢であったとも聞いています。統一後は寄る辺のない民族となり、タイ国境への難民となりました。アメリカによるインドシナ介入は、いろいろな悲劇を生み出しました。モン族もまたその典型です。


 イーストウッドは、さりげなく地道にポリティカル・コレクトネス(政治的公正)に取り組んでいるのではないでしょうか。アメリカがベトナムで行った非道は、戦闘だけの話でなく、影響は多岐に及んでいます。ラストの決着は、隠喩として贖罪を表現しているとしか思えません。劇中で語られている朝鮮戦争従軍時の罪だけに矮小化しない方がいいでしょう。

 日本でもこんな映画が作られないかなあ。日本が作ると、やたらウェットで、罪を直接的に訴えかける内容になりがちです。また、ヒステリックな演技に辟易させられもします。
 イーストウッドみたく、淡々と日常の機微として表現していただきたいです。そうであればこそ、感動や共感も得られることでしょう。
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四百弐拾弐  宇宙へ(2009/9/13)
 日本のロケット開発について誤解していました。打ち上げロケットといい、管制技術といい、優秀なレベルまで到達していました。

 先週9日に打ち上げられたH-UBの仕様は驚きでした。JAXA(宇宙航空研究開発機構)のサイトによると、第1段の主エンジンを2基に、ブースターを4基へと倍増させています。これによるペイロードの拡大は想像以上でした。今回のプロジェクトは、ISS(国際宇宙ステーション)への物資移送を無人で実施しようとするもので、そのための実験検証を目的としています。
 ステーションへの物資輸送は、スペースシャトルや、ロシアのプログレス、ESA(ユーロ)のATVが担ってきました。ところがスペースシャトルは2010年に退役します。そこで、日本がスペースシャトルに代わって輸送を担当することになりました。

 HTV(宇宙ステーション補給機)は16.5tで、積載物資は6tまでOKです。16.5tのペイロードとは、日本のロケットも豪気なものです。しかも、大型のハッチ(1.2m×1.2m)を配しているため、部品を送って、ステーションで組み立てる必要がありません。この大型ハッチを備えているのは、スペースシャトルだけなのです。
 また、無人機というのが凄いところです。ステーションとのランデブーは、地球からの管制とHTV自身によるセンサー制御で10mにまで接近します。あとは、ステーション側のアームでドッキングさせます。


 今回のHTVによる実験が成功すれば、まさに世界に誇るべき快挙となります。アメリカにしても、無人輸送は難しいとしていたくらいです。

 これほど重要なプロジェクトでありながら、なんかマスコミは冷淡です。今日は、HTVの制御系の検証を行っています。木曜日には、ランデブへの軌道に乗せ、金曜日にはステーションへのアプローチと結合を予定しています。本当だったら、HTVのミッションを細かく報道していいはずなんだけどなあ。


 なんかもうね、お隣の国の失敗の後だけに気を使っているのかなあ。半島の国は、南北ともにロシアのロケットで失敗しています。ロシアのロケットは十分な実績があるだけに、失敗の要因は管制技術でしょうね。
 今回のHTVが成功すれば、日本は年1回の輸送業務を担当する予定です。これは誇っていいことだと思います。日本が果たす役割の重要性といい、技術の高さといい、継続することによるノウハウの蓄積といい、日本の宇宙開発は間違いなく進化するとともに、国民にも身近なものとなるでしょう。
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四百弐拾壱  最近の世相(2009/9/6)
 衆議院選挙は民主党の歴史的勝利に終わりました。自民党の敗けっぷりは、まあ見事なものでしたね。16年前の細川政権成立の体験があるので、さして感慨もありません。あのときは自民党55年体制の崩壊ということで、けっこう興奮させられました。

 自民党にはいい薬です。最近の閣僚の言動にはうんざりさせられていましたから。アル中の中川氏といい、「原爆しょうがない」の久間氏といい、1年で政権を投げ出した安部氏と福田氏といい。国民が厳しい審判を下したのも納得できます。

 民主党に対しては、期待より不安が大きいです。一体、日本の将来を託してよいものか。民主党は政権交代を実現するため、あらゆる方面においしい手形を切りまくっています。誰が考えても実現は無理でしょう。
 特に心配なのは、中韓にいいように扱われそうな点です。アメリカに対しては日米安保や役割分担について見直すなどと吹いています。一方で、中韓に対しては余計な荷物を背負い込みそうな雲行きです。この件については、日本人として覚悟しておいた方がよさそうです。

 鳩山政権に対する評価は、当分の間、ご祝儀期間ということで生暖かく見守ってくれるでしょうが、すぐに厳しい批判に晒されるでしょう。なにせ、政権公約に無理がありすぎますから。

 いえ、私は期待しています。公約どおり、「思いやり予算」を見直せば拍手喝采します。これまで自民党政権がやってきたデタラメ振りにはうんざりしていましたから。日本側の原則に立脚しないその場しのぎの対応が、アメリカ側を横柄にしてしまったのです。

 米軍再編に係る海兵隊のグアム移転が変な具合になっています。アメリカの言い分はつまるところ、移転費用をもっとよこせでしょう。本来であれば、沖縄での基地使用の支弁はアメリカ側の責任問題です。それを日本側が面倒見るなんてのは植民地支配です。民主党が見直すというなら、私は応援しますよ。
 いえ、心の中ではまったく期待していませんけどね。
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