建白TOPへ

七百八拾   問題はそこじゃない(2016/12/11)
七百七拾九  駆けつけ警護は無理なんじゃ(2016/12/4)
七百七拾八  究極の技術(2016/11/27)
七百七拾七  最近の世相(2016/11/19)
七百七拾六  トランプ新大統領(2016/11/13)
七百七拾五  人権を語る際には公正さを(2016/11/5)
七百七拾四  言葉遊び(2016/10/30)
七百七拾参  東日本大震災と新エネルギー(2016/10/16)
七百七拾弐  ゼロエミッション時代をどう迎えるか(2016/10/9)
七百七拾壱  大阪万博(2016/10/1)
七百七拾   9月はボクシング祭り(2016/9/25)
七百六拾九  巨編『永遠の始まり』完結(2016/9/10)
七百六拾八  温故知新と新時代への挑戦(2016/9/4)
七百六拾七  またぞろの嘘八百(2016/8/28)
七百六拾六  五輪史上初4連覇(2016/8/21)
七百六拾五  不運、中村美里(2016/8/13)
七百六拾四  リオ五輪開幕(2016/8/7)
七百六拾参  3年ぶりの新作『去就』(2016/7/31)
七百六拾弐  最近の世相(2016/7/24)
七百六拾壱  年寄りの冷や水(2016/7/17)




七百八拾   問題はそこじゃない(2016/12/11)
 12月1日付の「JB PRESS」に経済ジャーナリストの大西康之氏が寄稿していました。タイトルは「日本ではなぜ報じられないのか?車の潮流はEVへ」で、サブが「加速する「脱内燃機関」の動きとハイブリッド車の寿命」です。

 この記事には、いろいろ誤解があります。

 まもなく訪れる2017年は、世界の自動車産業のありようが大きく変わる年になりそうだ。すでに欧州ではドイツなJBどが「脱内燃機関」に向けて動き出した。米国では電気自動車大手のテスラモーターズが300万円台の電気自動車を発売する。内燃機関時代に自動車産業を制した日本だが、早くもスタート・ダッシュで大きく出遅れている。

 ドイツ連邦議院が採択した「2030年までに、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した新車の販売禁止」を採り上げてのことです。しかし、これは単に議会が希望を示したもので、法案ではありません。また、ノルウェーやオランダでの乗用車のガソリン車やディーゼル車の新車登録を禁止する法制化の動きを紹介しています。
 そして、EVシフトを進めるEUの動きを日本のメディアがほとんど報じないことを嘆き、日本の、特にトヨタのHV路線を批判しています。

 誤解なのか、あるいは自説を強弁するためにか、記事全体が偏っています。ル・マンの説明なんか、一体何を言ってんのです。

 また、トヨタのPHVへの軸足移動にも触れていません。知らないのか、知らないふりをしているのか、なんかよう分かりません。
 日本メーカーのEVへの対応が遅いと感じているみたいで、どうにも短視眼的です。日本メーカーの戦略とEUの戦略の相違については、これまで何度も書いてきました。総括すると、日本の方向性こそが先見性があり、将来に繋がるものでした。

 以前にも書いたとおり、トヨタは近々プリウスPHVの新型を発売します。これはEUのPHV勢が顔色を失うものです。EV走行距離が大幅にアップし、EU勢の現行商品が見直しを迫られるものです。今後トヨタは各車種ともにモデルチェンジに合わせてPHVをラインアップするでしょう。アメリカというかカリフォルニアのZENやらEUの2021年規制に対応するためです。

 っても、EUではEVにしろPHVにしろ販売量は僅かなもので、相も変わらずガソリンやディーゼルが主力ですけどね。それに内燃機関の販売禁止は、ずっと先の話です。そのゼロエミッション時代への対応については、FCVを最終目標に据えています。トヨタは長期的な展望に立って進めています。
 なんでかEUメーカーの対応がよく見えるんですね。

12月12日追加

 「問題はそこじゃない」などとタイトルをつけておきながら、肝心の問題点について書くのを忘れていました。


 将来に横たわる最大の問題は、先日のパリ協定でのCO2排出量に係る規制値です。
 EUは1990年を基準に65%削減、日本は2013年を基準に25%削減を強いられました。日本は批准を一度拒否したものの、目標値未定ということで批准しました。しかし、前記目標値を押しつけられそうな雲行きです。政府担当者は一体なにをやっていたんでしょうか。あまりにも馬鹿にされています。

 2013年といえば、311を受けて節電を大きく進めた数値です。一方のEUはといえば、1990年のドイツなんか、石炭火力全盛でCO2をまき散らして酸性雨問題に揺れていた時期です。今は石炭火力を東欧に移し、電力を受電しているはずです。

 こんな不公平な目標値をよくも提示させたものです。将来の日本が強いられる負荷に対して、交渉担当者はどう責任を取るのか。問題はここにあるのです。

 うろ覚えの記憶で書いていますので、違っていたら指摘してください。


12月15日追加

 某所でいろいろ指摘を受けました。


 CO2削減は、-80%をゴールにしており、そこに至るプロセスは各国それぞれがプロセス構築を行う模様です。日本は日本で考えていることだそうです。ですから、あんまり悲観的になるべきでないとのことです。
 また、批准遅れから当初の議論に参加できないことも、さしたる問題でないそうです。よく調べもせずに書いて申し訳ないです。
目次




七百七拾九  駆けつけ警護は無理なんじゃ(2016/12/4)
 先々週にも書いた南スーダンPKOの出鱈目が激しく露呈しています。
 昨日の朝日新聞から引用します。

 陸自PKO、弔慰金増額 南スーダン駆けつけ警護踏まえ
 防衛省は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣した陸上自衛隊の部隊が任務中に死亡したり、重度障害になったりした場合の弔慰・見舞金の最高限度額を、現行の6千万円から9千万円に引き上げる方針を決めた。安全保障関連法に基づく新任務「駆けつけ警護」を付与したことに伴う措置で、任務を実施した際は、1回当たり8千円の手当を隊員に支給することも決めた。


 これまでのPKO派遣に対して、3,000万円もの上乗せです。これはもう南スーダン、そして駆けつけっ警護が人命に係る危険任務である証拠でしょう。これまで、危険性を曖昧にしてきた答弁はなんだったのでしょうか。

 次に、一週間前の西日本新聞から引用します。

 自衛隊秋田地方協力本部大館出張所に所属する男性隊員が「稲田防衛大臣(女性)は少々頼りないですが」などと書いた自衛官募集のビラを配布していたことが25日、同本部への取材で分かった。同本部は、稲田朋美防衛相を批判、女性をやゆしたとも受け取れる不適切な表現だとして回収した。

 同本部広報室によると、男性隊員は10月下旬、2017年4月に入隊する隊員を募集するビラを130枚作製し、担当している秋田県大館市内にある道の駅など計9カ所に置いていた。大きさはA4判で「頼りないですが」という文言の後に「頼れるあなたはぜひチャレンジを!」と続けている。


 自衛隊って、なんか組織の体を為していません。自衛隊広報室の「チラシの作成、配布などには組織上、報告の義務がある。今回は確認がないままに行われてしまった。」も変な説明です。

 「報告」じゃないでしょう。募集に当たっては、「次のとおり募集してよろしいか」の決裁を得て動くものでしょう。チラシ案、枚数、配布先、期間などについての決裁です。自衛隊だと違う仕組みなのですか。

 先々週にも書きましたが、今回は実戦を想定しています。戦闘をするなら、相手の火器装備への対抗を研究するのが必須です。「彼を知り、己を知れば、百戦即ち危うからず」です。
 7.7oに対して、5.56mmの豆鉄砲で相手せよですよ。また、RPGや重機を普通に備えている相手に軽車輌で対処せよというのは、第一次世界大戦初期に、機関銃に騎兵で突撃したオーストリア軍みたいなものです。

 負傷は当然あり得ます。ところが戦傷に対する戦場治療への対応はなにも用意されていません。あり得ない話なんです。これが今の日本の実態なんです。派遣隊員には気の毒なばかりです。自衛隊の幹部や防衛官僚は、法整備突破への契機として、隊員の戦死や負傷を期待しているのかとさえ疑ってしまいます。
目次




七百七拾八  究極の技術(2016/11/27)
 先日、日産は可変圧縮比エンジン「VCターボ」をインフィニティモデルに搭載すると発表し、ロサンゼルス・モーターショーで公開しました。
 4気筒2Lターボで、圧倒的ともいえる技術革新です。ピストンの上死点の位置をシームレスに変化させ、圧縮比を8:1〜14:1の間で自在に変えるものです。

 インフィニティMC社長のローランド・クルーガー氏が述懐しています。

 可変圧縮比技術により、インフィニティは次なるステップへと踏み出しました。それは、内燃機関エンジンの効率を最適化する上での新たな革命的ステップです。今回の技術革新により、高効率と高性能を両立した新たなエンジンが現実のものとなりました。

 まったくそのとおりで、ターボと組み合わせることで、ターボの長所を最大化すると同時に、ターボの欠点である低回転域においても、高圧縮による高トルクを提供できます。まさに究極のエンジンです。

 日産のリリースを引用します。

 運転状況に応じてエンジンの制御ロジックは、自動的に最適な圧縮比を選択します。また同技術は、燃料消費量と排出ガスの大幅な削減、騒音や振動レベルの低減など、多くのメリットがある上に、既存のエンジンに比べ軽量かつコンパクトでもあります。

 今の燃料噴射制御は極めて高精度です。それもあって、ターボの精密制御が可能になっているわけで、加えて圧縮比制御も併せることによって、さぞかし高性能と高効率を両立しているのでしょう。
 一点集中燃焼といい、可変圧縮比といい、まだまだガソリンエンジンにも夢があります。EVやPHV、FCVに負けずに、ガソリンにも最後まで競っていただきたいです。
目次




七百七拾七  最近の世相(2016/11/19)
 先日、トランプ氏と安倍首相が初会談を行いました。非公式なものとして、個人的な交友関係構築のスタイルで行われたのは大いに結構なことです。取りあえずは、「世界の首脳クラブにようこそ」の挨拶で十分でしょう。安倍首相はクラブの大先輩ですから、トランプ氏としても、「今後よろしくお願いしますね」の有難い会見でしょう。ただ、オバマ大統領に対しては、ずい分失礼かなとの懸念はあります。

 トランプ氏は経世ド素人ですから、細かい話は無用です。互いの心が近しいものとなることがすべてで、それ以上のものは必要ないかと思います。
 今、アメリカのトランプ報道は超過熱状態ですから、安倍首相もよいPRになったでしょう。その分、オバマ氏は不愉快でしょうけどね。

 イギリスのEU離脱、国内回帰を鮮明にするトランプ氏の就任によって、世界が変質するとの危惧があります。
 そもそもグローバリズムというものは、定義しづらいというか、評価しづらいものです。グローバリズムは模糊としたものなので、上手く説明できないんですけど。

 イギリスがEUを離脱したことが、グローバリズムに棹差す事案なのか疑問なのです。国境を越えた貿易なんかには、世界的なルールづくりが必須なのは当然でしょう。EUのように国境のハードルを低くすることは、グローバリズムに適うものです。
 しかし、その作業の中で限界を知ったり、短所を認識することもあります。その際に方向転換するのもアリでしょう。なにもすべて他者と同じ土俵に立つ必要もなく、取捨選択はあって当然ではないでしょうか。これもまた、グローバリズムに内包されると考えてもよいのではないですかね。

 これは、他者への敬意や尊重に通ずるものと考えます。かつての英米が見失っていたものです。問題が自身に降りかかってきたことによって、英米も気づいたという観点はいかがでしょうか。私なんかは、むしろ好ましい変化じゃないかと考えています。


 南スーダンでのPKO任務に、駆けつけ警護が付加されました。先日来のニュース映像を見ると、スーダンで出回っている火器は極めて強力な模様です。自衛隊の主装備である5.56mmみたいな豆鉄砲じゃあ相手にもならんでしょう。また、軽装甲車両なんか、7.62mmでも簡単に撃ち抜かれますよ。

 30〜35mm機関砲辺りでないと制圧は無理っぽく思えます。さらに念を入れ、迫撃砲やら携行ミサイルやらを備えていないと、いざというときどうにもならんのではないですかね。

 安全確保が難しい場合は、速やかに撤収するとか言ってます。で、見捨てて逃げるとかの醜態を晒したら、それはそれで大問題でしょう。あるいは武器使用によって、ことさら敵愾心を煽り、攻撃対象として認定されることも危惧します。
 突発事態が起こらなければよいのですけど。
目次




七百七拾六  トランプ新大統領(2016/11/13)
 新大統領に トランプ氏が就任することになりました。私も、まさか勝てるとは思っていませんでした。で、世界中が驚いていますが、日本人が驚くことないです。その昔、横山ノック氏を知事にしたのに比べれば、まだしもまともです。

 お馬鹿な後知恵ですけど、サンダース氏が民主党候補になっていれば、民主党は勝てたんじゃないでしょうか。トランプ勝利の理由として、トランプ人気とともに、クリントン嫌いが大きかったそうですね。少なくともサンダース氏であれば、嫌われることはなかったのにね。

 私は日米安保について、なんの心配もしていません。議会の共和党は強いし、軍側からの理を尽くした説明もあるでしょう。それでも、経費負担の増額を言うでしょうが、普通に反論すればいいんです。外務省が汗を流すのを厭うのだけが心配ですけど。トランプ氏も米軍撤退を言わんでしょう。いえ、むしろ言ってくれることを切に希望しているんですけど、駄目でしょうね。撤退はアメリカの損ですから。

 もし仮に、海兵隊撤退なんてことになったら、辺野古ご破産で1兆円とかの無駄遣いも必要なくなります。演習場も返還されれば、無駄な地代の支払いも不要です。さらに余計な交付金も不要になります。こういう展開を希望しているんですが、アメリカ様は今後もしっかり居座るでしょう。
 もし、撤退路線となったら、沖縄の土木業者や地権者連中は「米軍去らないで」と喚くことでしょう。政府になんか言ってきたら、政府は「沖縄県の意向に沿ったことである。撤退反対を訴えるなら、知事に言え」と返せばお洒落です。米軍駐留要望が表に出てきたら、知事や沖縄マスコミはどう対応するんかな。見ものです。

 TPPもそう簡単に反故とはならんでしょう。製造業に肩入れしたアピールを繰り返してきましたが、農業関係者や金融関係者の要望にも強いものがあります。そのうち「詳細に調査検討した結果、TPPはアメリカにとって、メリットが勝る」とか言い出すんじゃないですか。

 衆議院でTPPが決議されました。日本が率先してTPP推進の旗振り役を担うのはよいことです。民進党のいちゃもんは、一体なんじゃろかとか思います。次期大統領が反対しているから、先走るのは失礼とか、不思議ちゃんレベルの話です。
 もともとアメリカがケツを叩いていたものですから、アメリカも文句を言えんでしょう。また、自由貿易拡大推進のスタンスをより明確にするわけですから、環太平洋国家に対してもよいアピールです。日本中心に新しい枠組みが構築されたら、アメリカというか、トランプ氏も焦るでしょう。

 今後の対露交渉も、ヒラリー氏だとなにかと難しいかったかと思います。トランプ大統領は日本にとって、むしろラッキーじゃないかと思います。

 選挙が終わって、ものごとが終息すれば、すべてが様変わりします。トランプ氏といい、オバマ大統領といい、ヒラリー氏といい、ライアン議長といい、みなさん千両役者です。それぞれのコメントを聞くと、大したものだと感心します。こういうのを見るにつけ、蓮舫氏の駄目さ加減がよく分かります。

 ところで、木村氏のコメントは素敵です。木村氏は以前から、「大衆の多くがトランプ支持の熱を隠していて、表に出ていないだけなんだ。世論調査なんて当てにならない、トランプ氏が勝つ可能性が高い」と訴えていました。
 見事に言い当てたものの、確定後は、まるで照れ隠しのように適当に流すコメントです。お洒落な対応じゃないですか。
目次




七百七拾五  人権を語る際には公正さを(2016/11/5)
 欅坂46とかいう女子グループがあるそうですね。私はまったく知らないんですけど。なんか、衣装がナチスの軍服そっくりだとかで、非難されているそうです。縦2列のボタン、詰襟、袖章と肩章、黒いマント、帽子の鷲の紋章と、完全なナチスルックです。

 ナチスとなると登場するのがユダヤ系人権団体のSWC(サイモン・ウィーゼンタール・センター)です。SWCが「ナチスによる虐殺の被害者にとって多大なる苦痛」として、ソニーミュージックと秋元康氏に謝罪を要求してきました。

、ユダヤ系人権団体って本当にたちが悪いです。欅坂46メンバーさんたち、今後はアラファト議長のコスプレをお薦めします。イスラエルもナチスとおんなじことをやっていますから。
 アラファト氏も後年はロクでなしでしたし、そのはねっかえり振りが却ってパレスチナにマイナスをもたらせました。しかし、若い頃には、真摯な志から私財をなげうってまでして反イスラエル闘争に身を投じたわけです。

 イスラエル建国の経緯は、それはもう悪質な侵略行為です。その経緯については、これまでにも詳述してきたところです。書き加えるなら、1,948年の「ディル・ヤシーシン事件」を挙げます。これは“パレスチナのアラブ人社会の破壊と住民の追放”を目標とした虐殺軍事作戦で、あからさまな侵略行為です。イスラエルはとてもとてもナチスを非難できません。ユダヤ人ゲットーを人道に悖るとするなら、ガザ地区に閉じ込める現状も非難しろよな。

 あかんのは秋元氏です。最高責任者のくせ、「知らんかった」とか、ひとごとみたいな謝罪です。
 正確には、次の内容です。
 「ニュースで知りました。ありえない衣装でした。事前報告がなかったので、チェックもできませんでした。スタッフもナチスを想起させるものを作った訳ではないと思いますが、プロデューサーとして、監督不行き届きだったと思っております」

 もし、ミリタリー・ルックで売りたいなら、正面から闘えばいいのです。それを姑息な演出と逃避に終始しています。
目次




七百七拾四  言葉遊び(2016/10/30)
 ボブ・ディランが、長い沈黙を破って文学賞を受けることを公にしました。
 ディランも相当悩んだのでしょう。

 どれだけノーベル賞について考え続けたら
 格好がつくんだろう
 答えは風の中を漂っている

 自身の立ち位置もあって、難しい判断だったのでしょう。

 今回、文学賞の対象の幅が広がったわけで、もし、キング牧師が生きていたら、先に受賞したかもしれません。ワシントン大行進での演説は、デュランも小さく見えます。
 この演説には、問答無用の力があるかと思います。もちろん、キング牧師はノーベル平和賞を受賞していて、平和賞こそが相応しんですけど、文学賞でも十分いけるんじゃないでしょうか。


 ワールドワイドな言葉の話でなく、身の回りの言葉遣い−言葉遊びを考えてみました。
 子供時代に誰もが遊んだ 「だるまさんが転んだ」は、全国共通言語ですね。一方、地域によっては、「インド人のくろんぼっ」があります。当地では皆がやっていました。でも、今の子どもたちには継承されていません。

 私ら自身も、継承されなかった言葉遊びがあります。

 「すずめ〜、めじろ〜、ろしや〜、やばんこく〜、くろぱときん〜、きんの○○」

 日露戦争時代に流行したそうですが、いつしか歌われなくなったのでしょう。

 ところで、他にもすでに子供世代への継承が断たれた言葉遊びがあります。概ね、次のようなものでした。正確なところは忘れました。

 「さんかく、しかく、しかくは豆腐、豆腐は白い、白いは兎、兎は跳ねる、跳ねるは蛙、蛙は青い、青いは胡瓜、胡瓜は長い、長いは煙突、煙突は黒い、黒いは土人、 土人は臭い、臭いは便所、便所は狭い、狭いは日本」

 当地ではこれがオーソドックスで、あと類似バージョンがありました。

 「蛙は青い、青いは柳、柳はゆれる、ゆれるは幽霊、幽霊は消える、消えるは電気、電気は光る、光るは親父のハゲ頭」

 私なんかは、どちらかというと下品バージョンを歌っていました。

 「黒いは煙突、煙突は立てる、立てるは○○○、○○○は臭い」
 「青いはバナナ、バナナは剥ける、剥けるは○○○」
 「蛙は泳ぐ、泳ぐは金魚、金魚は赤い、赤いはザクロ、ザクロは張り裂ける、張り裂けるは○○○」

 多分、皆様方の地域でも異バージョンが歌われていたことと思います。でも、当地の下品バージョンには勝てんでしょう。
目次




七百七拾参  東日本大震災と新エネルギー(2016/10/16)
 先週書いたゼロエミッション時代に向けた車メーカーの取り組みも大きな話ですが、発電や節電に関する多方面の取り組みも、人類の将来に係わる大きなイノベーションを含んだ話です。

 日本、ドイツ、アメリカの3国が覇権を賭けた競争を繰り広げています。日本がここに乗れているのは、東日本大震災の悲劇があったからこそです。
 原発推進施策が長く続けられ、安全神話と呼ばれる絶対的な圧力が日本を覆っていました。そのすべてが取り払われたのは、福島第一の事故故です。あれ以後、原発にまつわる嘘が堂々と表に出ることとなりました。いえ、従来から指摘されていたのですけどね。

 原発のコスト、廃炉費用、もんじゅの出鱈目、六ヶ所村再処理施設の駄目さ加減など、そんなの明白じゃないかと思われることでも、公式に認められることはありませんでした。

 それが今では、もんじゅは事業廃止に向かいそうです。ひょっとすると、看板の書き換えに終わるかも知れませんけど。
 あるいは、廃炉費用について、東電は福一廃炉に数兆円かかるとかほざいています。事故によって困難な状況を惹起している事実はあるにせよ、数千億円とか試算していた過去の話はどっかに行っちゃいました。

 電力自由化は確実に進捗し、コスト競争も始まるでしょう。従来のように、広報経費を潤沢に使って世間を欺く、なんてのは無理です。この巨大広報経費がマスコミを黙らせてきました。で、その金は電力料金に算入されていたわけで、消費者からすれば、蛸が自分の足を食うみたいな状況を敷いてきました。今後の競争の中、そのような夜郎自大な振る舞いは許されないでしょう。

 再生可能エネルギーの展開は実にダイナミックです。太陽光や風力発電は、効率やコスト面で不利です。しかし、量産効果が効いてきました。高額な買い取り価格という、裏マジックのおかげといえ、巨大な発電ニーズを賄うまでに拡大しています。

 そして、本命たる地熱も進捗しています。大分県や新潟県は、すでに成果を上げています。地熱に関しては、長い目で見なくてはいけません。地質調査や環境アセスメントに時間がかかるものですから。それでも、全国で多くの取り組みが進められており、将来において花が開くのは間違いありません。

 また、小規模水力発電が、限界集落のような山間部を中心に、農業水路を利用するなどして、地域の電力を賄う形で実現しています。加えて、バイオマスも地方を中心に、地産地消的に地域電力を賄う形で増えています。

 さらに、ビル建設において、省エネ技術が次々に開発され、窓ガラスでの発電、電力の集中管理による効率化などの技術開発が実現しています。

 そしてなにより、以前から書いている水素の活用です。燃料電池車が旗印的に扱われていますが、水素製造、運搬、格納、管理等の多方面にわたる技術開発が先を争って行われています。
 水素関連技術を先行獲得することが、将来の産業覇権を握るポイントです。日本が最先端を走っているのも、福一によるところが大きいかと思います。福一は大悲劇ですけど、その問題を無駄にせぬよう進めていきましょう。
目次




七百七拾弐  ゼロエミッション時代をどう迎えるか(2016/10/9)
 EUの2020年規制まであと少しです。非常に厳しい排ガス規制であり、ペナルティとインセンティブでこれを推進しようとしています。

 その欧州のCO2排出量規制値は次のような変遷です。
 2006年:160g/km
 2015年:130g/km
 2021年:95g/km

 で、ここにEUメーカーを敗北から救う手立てが用意されています。欧州の燃料測定法「ECE R101」には、PHVを測定する際に使用する「二酸化炭素排出量の軽減係数」がそれです。
 ・軽減係数=(EV走行距離+25)÷25
  「25」は25kmで、一般的な走行燃費から決定
 ・達成値=CO2排出量÷軽減係数
 例えば、CO2排出量が 132g/kmで、EV走行可能距離が30kmのPHV車の場合
 ・軽減係数=(30+25)÷25=2.2
 ・達成値=132g/km÷2.2=60g/km

 アメリカで強化される2018年のZEV規制への対応も問題です。ZEVとは、排ガスを一切出さない車で、EVとFCVのことです。この規制は将来において、すべての車に適用する規制ですが、当面は経過措置として、排ガスが僅少であるHVやPHVも許容されています。
 しかし、2018年の規制強化でHVがZEV対象から外され、PHVのみがZEV対象に残ることができます。

 ちなみに、中国もZEVと同様の規制を予定しており、極めて厳しい対応、いえ、切実な対応が求められているのです。日本メーカーはどのような将来構想を立てているのでしょうか。

 トヨタはPHVに加えてFCVで先行しています。ホンダもまたトヨタに遅れじと続いています。日産と三菱はEVあるいはPHV路線です。
 海外メーカも日本メーカーと組んで、2020年以降を睨んでいます。BMWはトヨタと、GMはホンダと、メルセデスは日産と組むなどの方向が見えています。
 なにぶん、イノベーションといっていいほどの研究開発が必要なので、中小メーカーには無理な話なのです。マツダはSKYACTIVEでガソリン、ディーゼルともに世界最高レベルの燃焼効率を達成しています。しかしながら、さすがに2020年対応は難しく、おそらくOEM路線を採るのではないのでしょうか。
 中国もまた、OEMでいくでしょうね。巨大市場なので、どこのメーカーもOEM提供大歓迎でしょう。

 FCVが一番おもしろいシステムなのですが、ガスステーションというインフラ整備が立ち塞がっています。各国ともにガスステーション敷設のために国家レベルで対応を進めているところです。私は、水素こそが日本の未来を託すべき本命であると考えています。幸い、官民挙げて周辺の技術開発に取り組んでおり、頼もしいことです。
目次




七百七拾壱  大阪万博(2016/10/1)
 1970年に開催された大阪万博は大成功でした。あの夢よもう一度を狙っているのでしょうが、まず無理でしょう。“人類の進歩と調和”をテーマにしたあの万博は、文句なしにテーマを満たしていました。いえ、それ以上のものを提示できたかと思います。まさに万博の名に恥じないものでした。いえ、現地へは行ってませんけど。なにぶん、田舎の貧しい農家でしたから、TVニュースで拝見するだけでした。

 第1回ロンドン万博の水晶宮−所謂クリスタル・パレスは、当時のロンドン子の度肝を抜いたことでしょう。世界初のガラス建築物です。しかも圧倒的に巨大でしたから。

 第4回パリ万博では、エッフェル塔が聳え立ちました。当時は英仏が世界の主導的立場にあったことが納得させられます。経済面だけでなく、技術、文化面でもです。

 ニューヨーク万博は戦争前夜だというのに、アメリカの底力が示されました。なかでもGMが構成した“フューチュラマ”は圧巻です。ノーマン・ベル・ゲデスがデザインした都市交通の未来図です。問答無用の演し物であったかと思います。

 かつての大阪万博はといえば、人類が未来において実現させるであろう数多の夢を現物で稼働させていました。今日において、そのアイデアの大半が実現し、日常生活の一部分となっています。次回の大阪万博で、そんな夢を見せることができるのでしょうか。チープな万博しか想像できません。

 夢洲開発の一助にはなるでしょう。夢洲への電車開通、アクセス道路整備などによって、万博後は統合レジャー施設として運用し、また記念海浜公園として市民・府民のよき憩いの場となるでしょう。しかし、万博ともなれば、それでよしとできるものでもありません。
 尤も、ガバナンス不在のズタボロ東京五輪よりかは、なんぼかマシでしょうけどね。
目次




七百七拾   9月はボクシング祭り(2016/9/25)
 この9月、国内、国外合わせて注目試合が集中しました。

 国外

 11日、カリフォルニアでWBC世界S.フライ級タイトルマッチ、王者カルロス・クアドラスvsWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレス戦は世紀の一戦でした。

 45戦全勝(38KO)の3階級制覇王者がニカラグア初の4階級制覇を成し遂げました。かつて、アルゲリョが今一歩で成し遂げられなかった偉業です。井上選手との統一戦が待たれます。

 同会場で、S.ウェルター級ノンタイトル10回戦、亀海喜寛vsヘスス・ソト・カラスがダイレクトリマッチとして行われました。
 8R終了後にソト・カラス選手が棄権してのTKOです。
 前回の試合が激しい打撃戦となって引き分けました。会場も熱狂し、それを受けての再戦でした。今回もおんなじ打撃戦で、ボディを効かせた亀海選手会心の勝利でした。

 11日、ロンドンで開催された3団体統一ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキンvsIBFウェルター級王者ケル・ブルックの一戦は、レナードvsハグラー、モズリーvsデ・ラ・ホーヤ以来の2階級差を飛び越えてのスーパーマッチでした。ブルックは眼底骨折で4回終了後に棄権しました。

 もう一度見たいです。ブルック選手はクレバーで、上手く闘いました。再戦しても勝つのは難しいでしょうが、上手い見せ所をつくってくれます。

 本日、マンチェスターで開催されたWBA世界ライト級タイトルマッチ、WBA正規王者アンソニー・クローラvsWBC休養王者ホルヘ・リナレス戦は、リナレス選手が12回判定勝ちしたそうです。観戦は明日のWOWOWのお楽しみです。


 国内

 16日、大阪でのWBC世界バンタム級タイトルマッチ、山中慎介vs1位アンセルモ・モレノ戦は盛り上がりました。

 山中選手は右利きのサウスポーなんですね。知らんかった。たしかに右ジャブが強いので、右利きと言われれば納得できます。しかし、右利きならもっと右フック、右アッパーを有効に使えてもよさそうなものなんですけど。特に近間で、そういったパンチを期待してしまいます。
とにかく近間でなにもできません。密着しても、左をクロス気味に打ち下ろすばかりです。なんか不思議なボクサーです。
 そんな具合に引き出しが少ないんですけど、左クロスと右ジャブが強いものだから、対戦相手も攻略できない模様です。試合を見た方は気づいたことでしょう。左を大きく引いた半身度の強い構え方なので、左クロスを強く打てます。また、右ジャブも強く伸ばせます。

 モレノ選手は第一戦目、上手く闘いました。長い距離を有効に活用し、軽いパンチを当てる一方で、山中選手のパンチを確実に外していました。モレノ選手の勝ちは動かんだろうと思わされる試合内容でした。
 モレノ陣営もアウトボクシングで勝ちを得るのが難しいと考えたのでしょう。今回は強めに出てきました。強いパンチを打つには、重心を前に置き、振り抜かなければいけません。そうすると、ディフェンスに難が出ます。その結果が、昨夜の展開です。山中選手からすれば、願ったり叶ったりだったでしょう。

 同日、WBC世界S.バンタム級タイトルマッチ、王者ウーゴ・ルイスvs5位長谷川穂積もよかったです。

 長谷川選手はよく持ち直しました。ここ数戦のボクシングは、とても世界を狙えるものではありませんでした。TV放送は端折られていたので、一部を見ただけの感想です。

 ルイス選手の手数の少なさに助けられたといえ、パンチを丁寧に外していました。9回の打ち合いは博打でした。ルイス選手のパンチが正確さを欠いていたため、見事に打ち勝ちました。3階級制覇は喜ばしい限りですけど、防衛線は厳しいでしょうね。

 両試合とも興奮させられました。ボクシング内容そのものは最高だったものを、若干残念な部分がありました。試合後のコメントです。モレノ選手はきっちり山中選手を讃えていたのに、山中選手は自分のことばっかし。長谷川選手も試合を受けてくれたことに対する感謝のみで、もっと言うべきことがあるはずです。相手のルイス選手は病院に直行したのでコメントなしです。

 五輪のときにも書きましたけど、日本人の内向きエチケット知らず、どうにかならんかなあ。


 11月5日にラスベガスで、WBOウェルター級タイトルマッチが予定されています。
 マニー・パッキャオ選手がカムバックして、ジェシー・バルガス選手に挑むそうです。半年でのカムバックには白け気味となりますが、パッキャオファンとしては嬉しい限りです。
目次




七百六拾九  巨編『永遠の始まり』完結(2016/9/10)
 ケン・フォレットの“100年三部作”がついに完結しました。
 六百七拾七    巨編『凍てつく世界』
(2014/10/26)でも触れた大河小説です。一応整理します。すべてSB文庫です。
 第一部『巨人たちの落日』上・中・下(平成23年3月刊行)
 第二部『凍てつく世界』T〜W(平成26年1・2月刊行)
 第三部『永遠の始まり』T〜W(平成28年1・2月刊行)

 この第三部もまた、前作同様に購入から半年以上放置していました。あまりの大作なので、なかなか読み始めるのが難しいのです。読む側にもエネルギーが要求されます。しかし、一旦読み始めたら、一気呵成に突き進めます。最初がなかなかね。

 第三部は1960年代から2000年代頭までを辿る現代編です。物語はアメリカを舞台に“フリーダム・ライド”のエピソードから描かれています。
 第一部がロシアを舞台にツアーリィの秕政から描き出され、第二部がドイツを舞台にナチスの突撃隊による言論弾圧から描き出されるのと同様、ドラマチックな構成となっています。

 これまでの流れ同様に、イギリス、ドイツ、ソ連、アメリカに生きる人物たちが主人公となっています。特に中心を担うのは孫世代です。

 キューバ危機、ケネディ兄弟暗殺、キング牧師暗殺、ウォーターゲート事件、ベトナ戦争、ブレジネフ失脚、ベルリン壁建設と崩壊、プラハの春、連帯の台頭などが、東西両面から描出されています。その決定と決断を主人公たちが間近で見聞きし、また深く関与します。

 第三部の中心的な舞台はアメリカです。全編を流れるテーマは公民権運動であり、フリーダム・ライドに始まり、オバマ就任で物語が完結する構成です。
 なかでもフォレットが最も力を注いでいるのは、ワシントン大行進でのキング牧師によるあの「I have a dream」のスピーチです。私自身、この演説を聞くと、未だに平静でいられなくなります。フォレットも同じなのでしょう。他の部分とは筆致が異なっています。
 訳者の戸田裕之氏による訳文を引用します。

 今日と明日の困難に直面しようとも、私にはそれでも夢がある
 

 私には夢がある、いつか、この国が目覚め、“我々は自明の真理を保持している、すなわち、すべての人間は平等に創られているという真実である”という信条の真の意味を実現するという夢である。
 私には夢がある。いつの日か、ジョージアの赤い土の丘で、かつての奴隷の息子たちと、かつての奴隷の所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルに着くという夢である。私には夢がある。
 いつの日か、ミシシッピー州が、不正義と抑圧が燃えたぎっているあの州でさえもが、自由と正義のオアシスに変容するという夢である。私には夢がある。
 私の幼い四人の子どもたちが、いつの日か、肌の色でなく、人格によって評価される国に暮らすという夢である。今日、私には夢がある。
 私には夢がある、いつの日か、アラバマで、残忍な人種差別主義者、州権の優越を主張して連邦法を公然と無視する知事のいるあの州でさえも、黒人の少年少女が白人の少年少女と、兄弟姉妹として手をつなぐことができるという夢である。私には今日、夢がある。
 

 この信念があれば、われわれは絶望という山から希望という石を切り出すことができる。
 この信念があれば、われわれはこの国に鳴り響いている不協和音を美しい兄弟愛のシンフォニーに変えることができる。
 この信念があれば、いつの日か自由になると信じて、われわれはともに働き、ともに祈り、ともに牢獄に入り、ともに自由のために立ち上がることができる。
 そして、この夢が現実になったとき、われわれは自由という鐘を鳴らすことが許される。すべての村で、すべての集落で、すべての州で、そして、すべての町で。黒人も白人も、ユダヤ人も異邦人も、プロテスタントもカトリックも、神の子のすべてが手を取ったとき、その日の到来はもっと早くなる‥‥
 それは‥‥いまは亡き黒人たちの言葉でこう歌うときだ―。
 ついに自由になった!
 ついに自由になった!
 全能の神よ、ありがとうございます。われわれはついに自由になりました! と

 ※は、ぬばたまによる注です。ここは略されています。
 I have a dream ― 私には夢がある。この演説には、問答無用の力があるかと思います。できましたら、キング牧師の肉声でお聞きください。
 https://www.youtube.com/watch?v=1UV1fs8lAbg
目次




七百六拾八  温故知新と新時代への挑戦(2016/9/4)
カローラ生誕50周年

 カローラが50周年を迎えました。ということは、サニーもまた同年齢です。サニー登場は、センセーショナルでした。日産は車名を公募し、採用者にはサニーをプレゼントする企画でした。当時、ずいぶん盛り上がりました。

 その後、トヨタは「隣の車が小さく見えます」のキャッチで対抗馬のカローラを発売し、カローラvsサニーの戦いの火ぶたが切って落とされました。
 その後、国産車史上最大の戦いが繰り広げられ、ライバル対決に相応しい商品開発が競われました。

 なかでも印象的なのは、80年代末のトラディッショナル・サニー(6代目)です。端正なデザインが冴えていました。

 70年代末の4代目もよいできでした。特に、クーペモデルは高バランスでした。このモデルから53年規制に適合し、三元触媒による完成度の高さが素晴らしかったです。ただ、軽量化を極端に進めたため、ボディ剛性が低下しました。

 一方のカローラは、バブル期以降、つまり6代目以降の品質つくり込みはがただごとではありませんでした。もはや、サニーとはクオリティレベルが違っていました。なかでも10代目は、上の車格かと思わせるつくり込みでした。ボディパーツの隙間も最小にまで追い込まれていました。とてもサニーでは勝てません。

 この10代目から、ワゴンにフィールダーの名前が奢られ、カローラ商用バンのイメージが一気に払拭されました。
 5ナンバーに収まるサイズが貴重で、質感も上のクラスに達していたかと思います。私も5年前に車検のタイミングで買い替えを検討しましたが、311で部品生産がボロボロになり、値引き0円を提示されて諦めました。セールスマンの方、まったく売る気がなかったです。
 仕方なく車検を受け、次の車検時にはモデルチェンジされて、購入に至りませんでした。結局、縁がなかったんですね。



燃費を倍に 新しい仕組みのエンジン


 NHKのニュースで、早稲田大学の先生が提案した画期的な燃焼システムが報じられました。一昨年だったかには、その理論が報じられ、今回は30ccの実機による実験成功となったわけです。

 現在のガソリンエンジンの熱効率は35%以下くらいです。これを40%に近づけるよう競っていて、マツダが最も進んでいます。TOYOTAやスズキもかなり向上しています。
 今回の一点集中燃焼は、大きな進歩をもたらすものと思います。今の噴射システムや噴射制御は、極めて高精度になっています。かつてのインジェクションとなら桁違いの精度だそうです。今の噴射システムなら、実現にまで至るものと信じています。

 すぐには実現しないにしろ、あるいは最大値の60%は無理にしろ、仮に45%を達成するだけでも大変な省燃費となります。全世界的なマス効果は計り知れません。こういうのが、本物のイノベーションというものです。私は期待しまくりです。
目次




七百六拾七  またぞろの嘘八百(2016/8/28)
 8月22日の産経新聞から引用します。

 超速射・レールガン(電磁加速砲)を日本独自で開発へ 中露ミサイルを無力化 防衛省が概算要求

 平成29年度予算案の防衛省の概算要求に関連経費を盛り込む。米政府はレールガンを将来世代の中心的な革新的技術と位置づけており、日本としても独自に研究開発を行う必要があると判断した。

 レールガンは電気伝導体による加速で発射する新型兵器。米海軍が開発を進めているレールガンは、1分間に10発を発射することができ、時速約7240キロの速度で射程は約200キロとされる。対地・対艦・対空すべてに活用でき、ミサイル防衛でも中心的役割を担うことが期待されている。


 防衛省の元の文書を見ていません。産経新聞が勝手な解釈で書いた記事かもしれません。しかし、防衛省側から記者に対して、それなりのブリーフィングが為されたのは間違いないでしょう。

 ミサイル防衛目的では、レールガンの必要性が説明できません。ミサイル防衛の難しいところは、見越し角を計算し、未来位置に迎撃弾を送らなければならない点です。ですから、ミサイルで誘導迎撃するのが一番現実的なのです。それも極めて困難な話ですけど。

 レールガンも一種の砲煩兵器です。これが有効なのは、近距離でです。いくら高初速、長射程といっても、見越し角の関係から遠距離では役立たずでしょう。

 ついでに言うと、レーザーは大気中で減衰しますから、やはり長射程では役に立ちません。宇宙空間なら減衰なしで、直射のレーザーは絶対有利です。で、これはレーガンのSDIってことになります。あの、経済的観点から絶対実現不可能な妄想話です。

 レールガンはむしろ攻撃兵器でしょう。でありながら、防衛省様はまたぞろミサイル防衛を理由にレールガン整備の要求始めたわけです。尖閣をネタにあれやこれやの整備要求を盛り込んだのと同じ構図です。
 防衛省様の不誠実さと嘘に対して、今後、機会があれば、その都度嫌味を書かせていただきます。
目次




七百六拾六  五輪史上初4連覇(2016/8/21)
 伊調選手五輪史上初の4連覇を成し遂げました。これまでにも、男子レスリング、水泳、陸上、男子柔道において、3連覇はすでに記録されていました。さすがに4連覇はないだろうと思われていたのを、日本人がやってくれました。

 世の中が豊かになり、食事がよくなったこと、練習に打ち込める環境を提供できること、身体増進のノウハウが進歩したことなどが理由でしょう。五輪期間だけでも12年という長さですからね。

 一方の吉田選手は残念でした。ここのところずっと55kg級で闘っていたのを、53kg級に落としたのが敗因でしょう。五輪の階級に合わせる選手配置の都合で仕方なかったのでしょうね。
 年齢がいってからの減量は無理が多いのです。今回も、筋力とかキレについて、アメリカ選手に圧倒されていたかと思います。

 ロイ・ジョーンズ Jrがその典型です。ミドル → スーパー・ミドル → ライト・ヘビーと、無敗で無人の野を行くが如き3階級制覇を成し遂げ、その後、ヘビーに増量して4階級目も獲得しました。問題はその後です。

 再びライト・ヘビーに落としたロイに、かつてのパンチングパワーはありませんでした。また、身のこなしからもキレが失われました。アントニオ・ターバーに凄絶2RKO負け、再戦でも判定負けしました。
 グレンコフ・ジョンソン戦では、ずるずると後退を続け、9RKO負け。この試合のロイは、「なんか、うまくいかない」ってな感覚だったかと(勝手な想像です)。
 ジョー・カルザゲには、一方的な判定負け。カルザゲは強すぎますから参考になりませんけど。
 クルーザー級に上げて、ダニー・グリーンに1RKO負け。
 バーナード・ホプキンスには遊ばれたりで、その後も黒星を重ねました。

 若いうちなら、どうとでもなる体重の増減も、加齢の中で、特に下への転級は問題が多いのです。筋肉量も落とさざるを得ません。
 むしろ上への転級については、有効な筋肉増量のノウハウがあり、成功しやすくもあります。特に、伸び盛りの若い選手であれば、トレーニングに合わせ、必然的に身体が大きくなるものです。

 ところで、試合後の吉田選手の振る舞いが見苦しかったです。対戦相手が最大限の賛辞を送ってくれているのに、吉田選手の語りは自分のことばっかし。相手からのリスペクトに対して、ネット界隈もホルホルするばかりです。こういう賛辞は、エチケットとかマナーとかの問題だという認識がないのでしょう。

 これは吉田選手に限ったことではありません。他競技も含め、ほとんどの選手が、勝つにせよ負けるにせよ、試合後のコメントで対戦相手に対するリスペクトがありません。残念というか、恥ずかしいというか、勘弁してくれよです。
 女子WC優勝の際の対応といい、WBC試合後の山本監督の会見といい、内向きメンタリティいいかげんにせいよです。
目次




七百六拾五  不運、中村美里(2016/8/13)
 女子52lg級出場の中村選手、惜しくも3位に終わりました。2回戦から出場し、3回戦ともに寝技で一本を取りました。
 2回戦では下になった相手を自在にコントロールしました。腕を極めた状態での横四方という完璧な一本です。3回戦は強豪ロシア選手で、寝技を仕かけてきたところを逆に袈裟固めで仕留めました。

 問題は準決勝です。コソボ選手に指導負けしたわけです。開始早々に極端な防御姿勢を取られました。それはいいんです。問題は終盤のコソボ選手です。腕を突っ張って中村選手の攻めを受けず、同時に自分からも攻めないを徹底しました。これはなんぼなんでも指導だろうと思っていましたが、見事にスルーされました。なんなの、あの審判。

 中村選手は偉いものです。不満もありましょうが、いつも慫慂として受け入れます。腹の裡は煮えくり返っているのでしょうけどね。

 3位決定戦も見事でした。中村選手の大内刈りはいつ見てもきれいなものです。教科書のような、型稽古のような美しさです。あの形によって、力の作用が最大限に発揮されるのです。

 試合にあっても、あくまで武道としての柔道から離れない中村嬢こそが柔道の女王です。勝ち負けがすべてじゃないです。とはいえ、金メダルをあげたかったです。柔道家のお手本たる彼女が報われなければ、どうしても勝つための柔道が幅を利かせてしまいます。これは柔道にとっても不幸なことです。

 さすがに東京はないでしょう。今後の中村選手、どう生きていくのでしょう。中学時代から、柔道だけに生きてきたことと思います。人生はこれからが本番ですから、どう生きるにしろ、女王に恥じない人生を歩んでいただきたいです。 
目次




七百六拾四  リオ五輪開幕(2016/8/7)
 昨日のこと、リオ五輪が開幕しました。

 五輪についての感想はといえば、もう止めるべしです。壊滅的な経済状況に陥っているブラジルで、よくもまあ開催できるものです。ソチ五輪も無理編でした。原油とガス以外に有意な商品もなく、原油価格低落の中、無駄な出費以外のなにものでもありません。

 また、東京と開催都市を争ったトルコなんて、もし受けていたら大変な状況に陥っていたでしょう。そもそも、平和で経済大国である日本からして五輪開催は大きな負担となっています。しかも、一部の政治勢力と広告代理店やらの利権に左右されて、見るも無残な経緯を辿っているのは周知のとおりです。

 それと、日本のクリエーターの質的低下ってのは、間違いなくあるかと思います。今回のリオの開会式にしろ、ソチの開会式にしろ、見事なものです。果たして日本に可能であるか、大いに疑問です。長野五輪の開会セレモニーの悲惨だったこと。絶望的なビジュアルだったじゃないですか。

 さらに東京五輪の種目大盤振る舞いは、問題を大きくするでしょうね。野球とソフトを復活させるのはよろしくないです。会場規模、選手数で無理が大きいです。しかも、野球なんて世界的なスポーツというにはほど遠いです。
 そのようなことは、ほとんどの方が承知しているでしょう。でありながら、種目決定時の大政翼賛的な報道にはげんなりさせられます。日本の劣化というべきですね。

 大会初日、柔道が銅メダル2個を獲得しました。女子48kg級の近藤選手は健闘しました。準々決勝が白眉で、モンゴルの選手から逆転の抑え込みで勝ち上がりました。
 対戦相手に何度も背後を取られ、帯を掴まれてコントロールされました。ちょっとは学習してくれよとか思っていたら、技ありを取られてしまいました。これまでかと諦めていたら、見事な抑え込みに持ち込んで一本勝ちを得ました。最後まで諦めないよい試合でした。

 今日は52s級の中村選手です。女王の美技を期待しています。中村選手こそが、現在の世界柔道家の頂点に立つ者です。男女を問わず、全階級おしなべて最も高みに達し、極めた柔道家です。私は応援しますよ。
目次




七百六拾参  3年ぶりの新作『去就』(2016/7/31
 今野敏氏の『去就』が刊行されました。“隠蔽捜査シリーズ”第6弾です。前作の第5弾『宰領』から3年の空きがありました。
 途中に『自覚』がありましが、これは5.5弾目で番外編です。やはり本編に比べると力不足です。本編続きが読みたかったところ、昨日店頭で見かけ、すぐにレジに運びました。

 大森署管内で発生した拉致監禁事件、それに続く殺人事件への対応で指揮本部がつくられます。加えてストーカー対策への組織再編が求められ、いつもどおりの竜崎節が炸裂します。

 今回は、大森署を管轄する第二方面本部長との軋轢もポイントになっています。ストーカー問題を根底に据えた事件の展開と、竜崎の娘と婚約者との微妙な関係性の変化にストーカー事案の風味を加えて物語が展開します。

 その端々にいつもの竜崎節が炸裂し、竜崎と相対する関係者との間にいつもの感情の変転を見ることができます。この辺りのやりとりの面白さが本シーリーズの売りです。
 私は完全に嵌っています。半沢直樹の決め台詞も楽しみですが、竜崎節の味わいはひとしおです。

 次回作が今から楽しみなのですが、おそらく2年は待たなきゃならんでしょう。ええですよ、いくらでも待ちましょう。
目次




七百六拾弐  最近の世相(2016/7/24)
 来週に予定されている講習会のテキストを完成させました。有料の講習会なので、それなりの体裁が必要です。それもあって、カラー印刷を前提にした結構なものに仕上げることができました。なんとか受講者の方々にも満足していただけそうな按配となりました。

 バングラディシュ、ドイツとテロの拡散は止まりません。本家中東ともなれば、例えばシリアはすでに廃墟の様相を呈しています。
 地域の不安定要素は、ついにトルコ軍のクーデターにまで至りました。世界の混乱の元凶たるアメリカはといえば、大統領選たけなわで世界の混乱にも知ったこっちゃないの態度です。
 世界の警察を辞めるのは勝手ですけど、自分が仕出かしたことのケジメをつけてからにしていただきたいです。両党の候補も決まり、副大統領も指名されました。今秋決戦に向けて、両陣営ともさらにヒートアップするでしょうね。

 国内はといえば、参議院選を終えて、東京都知事選に耳目が集中しています。立候補者がつまんない人気取り関係者ばかりかと思っていたら、凄い候補者がいました。
 まずは政見放送を見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=-B_Ve7NUcug
 「NHKから国民を守る党」です。元船橋市議の立花孝志氏が訴える「NHKをぶっ壊す」のキャッチがお洒落です。
 氏の訴えている「NHKはスクランブル放送をやれ」は大正論です。これに反論はできないでしょう。私も大賛成です。

 あるいは、もうひとつの策があります。それはNHKを国有化することです。私はどちらかというと国有化推しです。それは受信料を義務化する案があり、それに対するカウンターとして必須ともいえる考えだからです。

 義務化ということは、税金と同じこととなります。であるなら、NHK=国有放送局でなければ、整合性が取れません。
 国有化すれば、職員は国家公務員になります。現行のお手盛り奪い放題は即中止です。これなら給与体系に文句はありません。
 また、総務省の部局になるでしょうから、総務省の監査に始まり、会計検査院、行政監査なんかも受けることとなります。今の好き放題に対して、厳しい指摘やら改善命令が出まくりでしょう。
 とにかく、私企業のままでの受信料義務化を許しちゃあかんです。
目次




七百六拾壱  年寄りの冷や水(2016/7/17)
 4週間の間が空きました。この一か月間といもの、大変でした。
 定年退職を間近に控えた上がり職員だというのに、基礎教材作りに追われていたのです。平日は通常業務があるので、もっぱら土日の仕事となりました。また、印刷環境の関係から、自宅ではことが済まず、結局職場に出ていたのです。

 最新のAdobeのバージョンはCCです。これへの対応が必要だったのです。デザイン学習用Macにインストールされているのがこれで、以前のバージョンと相当違っており、新たな教材が必須の状況に追い込まれたのです。
 本当は、CCなんて相手にする必要はありません。デザイン事務所でCCを導入しているところなんて皆無でしょう。毎月、無駄な支払いが生じますし、そもそもCS3〜6辺りのバージョンで不都合は生じません。どこの事務所も同じ判断だと想像します。
 最新バージョンが求められるのは、印刷会社だけです。入稿側は、否応もなく対応を迫られますからね。

 苦労の元は、CC対応の学習用Macが手元にないことです。私の普段の職場は別施設で、そりゃもう不便を強いられました。
 違いをメモしておき、Net情報で確認しながらの作業です。市販のテキストは駄目です。帯に短し、たすきに長しで、私自身が満足できません。自分が満足できるものでないと、生徒に提供できません。
 同時に、私が使っているCS4の再確認も行いました。新しい機能だの、便利な機能だのは、あんまり使わずにきましたから。さすがにバージョンが進んでいるので、いつまでも放置するわけにはいきません。
 しかし、便利な機能というのには、あんまり触れたくないのです。むしろ、オブジェクトの扱いについて、基本原理そのものを教えておきたいのです。便利な機能というのは、その基本を意識しないまま完結してしまうので、あんまりやりたくないのです。

 苦心惨憺、なんとか今週でスケジュールを終えました。もうこんなの二度と嫌です。いえ、一度作れば、次回からは楽なんですけどね。


 そこへもってきて、責任重大な仕事を押しつけられました。いろいろ差し障りがあるので、詳しくは書けません。これも通常業務と関係ない明後日な仕事です。しかも責任重大で、胃に穴が空きそうでした。

 いずれにしても、一段落し、こうして一か月ぶりの書き込みをしているところです。次は来月に予定されている講習会のテキスト作りです。退職間近の現場を離れた人間に、よくもまああれこれやらせてくれます。感謝すべきなのか、怒るべきなのか、とにかくうざい話です。
目次