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七百四拾   『西遊記〜はじまりのはじまり〜』(2016/1/24)
七百参拾九  刀剣手入れ道具到着(2016/1/17)
七百参拾八  2016年は日本ボクシング界の新ステージ(2016/1/10)
七百参拾七  念願の日本刀(2016/1/2)
七百参拾六  著作権への意識が劣化したのか(2015/12/27)
七百参拾五  ヒトラーとは何だったのか(2015/12/20)
七百参拾四  『このミス2016』は大外し(2015/12/13)
七百参拾参  常陸市職員のありえない激務(2015/12/6)
七百参拾弐  『新・映像の世紀』とアール・デコ(2015/11/29)
七百参拾壱  大阪の民意(2015/11/23)
七百参拾   アメリカの介入と不介入(2015/11/14)
七百弐拾九  『新・映像の世紀』(2015/11/1)
七百弐拾八  日米安保に係るトンデモ(2015/10/25)
七百弐拾七  亀田(兄)選手やっと退場(2015/10/17)
七百弐拾六  ディーゼルがんばって(2015/10/12)
七百弐拾五  菅元首相の思いつき発言(2015/10/4)
七百弐拾四  VWの危機(2015/9/26)
七百弐拾参  『映像の世紀』デジタル・リマスター登場(2015/9/20)
七百弐拾弐  シリア難民危機(2015/9/12)
七百弐拾壱  五輪エンブレム急展開(2015/9/5)




七百四拾   『西遊記〜はじまりのはじまり〜』(2016/1/24)
 年末にWOWOWで放映された『西遊記〜はじまりのはじまり〜』が昨日も再放送されました。あまりに面白かったもので、再度見入ってしましました。

 周星馳は天才ですね。全く予想のつかないストーリー展開とぶっ飛び演出の連続に驚かされるばかりです。そういえば、『少林サッカー』や『カンフーハッスル』も凄かったですね。まさに、オリジナリティの化け物と言っていいセンスです。

 どうなんでしょう。『STAR WARS フォースの覚醒』はまだ観ていませんけど、周版『西遊記』に勝てますかね。評判を聞くと、あんまりじゃないですか。

 アクションシーンのBGMがまた、伊福部サウンドの雰囲気を再現してるんですよ。さらに、ラストシーンは『Gメン75』で締めちゃってます。もう、降参するしかないです。

 アメリカ映画の台詞によくあるウィットって、私、嫌いなんです。わざとらしいというか、安っぽくなりというか、むしろない方がいいんじゃないかと思います。その点、周星馳がところどころに入れ込んでいるギャグは真正のギャグで、認めざるをえません。ハリウッドも見習えばいいのに。日本映画は、見習うとか以前の問題ですけど。

 また、周星馳には、別版の西遊記 『チャイニーズオデッセイ(TU)』があります。まだ観ていませんけど、これも評価が高いとのことです。特にTは3時間近い大作だそうで、見応え十分でしょう。なんとかして観なければね。
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七百参拾九  刀剣手入れ道具到着(2016/1/17)
 刀を買った社長さんから手入れ道具が届きました。
 社長の義父さんが銀座の有名な刀剣店を営んでいて、そこから買った刀との由です。サービスとして、手入れ道具も店から送るとの約束をいただいていて、先週届いたものです。

 下図のとおり良い品です。専用布以外にも、わざわざウェスを添付してくれています。タンポも赤いお洒落な品で、雰囲気があります。
 嬉しかったのは、下の方にある、金属製の打ち出の小槌様の治具です。これは、目釘を抜く治具です。時代劇などで見かけたことのある昔ながらの小道具ですね。先っぽ部分がネジになっていて、抜くと目釘の押さえとなります。



 私がガキ時分に買った安物とは大違いです。その頃は模擬刀なので、手入れ道具なんて無用だったものを、刀を扱う雰囲気が味わいたくて購入したものです。今も持っていますが、もう用無しです。

 丁子油は高級品と記載されていますが、成分は不明です。店も販売側なので、成分とか精製工程は分からないそうです。
 で、先週のこと、シリコン・オイルを購入しました。まだ使いませんが、先々の手入れ作業が今から楽しみです。

 なお、鍔付の拵えに刀身を移したとあって、少しずつ練習を始めています。今はまだ、ゆっくり抜いては収めるを繰り返すばかりです。二尺三寸の刀身と固有の反りに合わせての感覚を身体に十分慣らせることが大切です。この作業に数か月はかけるべきです。
 思い出すに、ガキの頃も散々やりました。休日なんか、TVを観ながら、あるいは読書をしながら、ひたすら手許の刀を抜き差ししたものです。、

 ガキの頃、夢中になった居合、老年に差しかかり、よい趣味となりそうです。
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七百参拾八  2016年は日本ボクシング界の新ステージ(2016/1/10)
 スポーツサイト『Bleacher Report』に嬉しい記事が掲載されています。この情報は、某ボクシングサイト管理人さんの紹介になるものです。この管理人さんは、英語、スペイン語、タイ語に堪能という、格闘技経験者には珍しいシャープな方です。

 2016年末で予想される Pound For Pound ランキングを次のとおり挙げています。

 1位 井上尚弥(9戦全勝(8KO))S.フライ級
 2位 アンドレイ・ウォード(28戦全勝(15KO))S.ミドル級→L.ヘビー級予定
 3位 ダニー・ガルシーア(31戦全勝(18KO))ウェルター級
 4位 セルギー・コバリョフ(29戦28勝(25KO)1分)L.ヘビー級
 5位 ロマーン・ゴンサーレス(44戦全勝(38KO))フライ級
 6位 ゲナーディー・ゴロフキン(34戦全勝(31KO))ミドル級
 7位 テレンス・クローフォード (27戦全勝(19KO))S.ライト級
 8位 ティモシー・ブラッドリー(36戦33勝(13KO)1敗1分1無効試合)ウェルター級
 9位 内山高志(25戦24勝(20KO)1分)S.フェザー級
10位 サウール・アルバレス(48戦46勝(32KO)1敗1分)ミドル級

 この記事は、各誌のランク予想などを考慮して作成されたそうです。日本人が二人ランクインしていることに驚きました。しかも、井上選手はランキングトップです。これまで、トップ常連だったメイウェザー選手が昨年引退し、パッキャオ選手も今年春に引退予定です。

 従来の流れからすると、ローマン・ゴンサレス選手がトップに来そうなところです。それを5位に留め置き、井上選手がトップということは、井上vsゴンザレス戦を期待するとともに、井上選手の勝利を予想しているのでしょう。

 もう一人、内山選手の名前が挙がっているのは、対ニコラス・ウォータース戦の実現と、勝利を予想してのことではないでしょうか。

 世界中の誰もが皆、考えることは同じです。PFPトップ10というのは、まぎれもなくスーパースターたちです。ここに日本人の名が二人も挙がるのは前代未聞のことです。海外ボクシングファンたちもよく判ってらっしゃる。

 二人ともこんな具合に世界中の期待を担っています。後はジムの都合だとか、TV局の都合だとかでファンの夢を潰さないでいただきたいです。
 今年の日本ボクシング界は、夢が詰まっているのです。儚い夢、なんてことにならないことを切に願っています。
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七百参拾七  念願の日本刀(2016/1/2)
 40年来の夢である日本刀を暮れに購入しました。ガキの頃、居合の稽古用に模擬刀を3本買いました。バイトで金を溜めては、買ったものです。しかし、模擬刀は所詮おもちゃです。真剣が欲しくて、それでも思いきれず、ここまで来てしまいました。

 年末、有名サイトで「刀売ります」を見つけたのです。売主はサイト運営者であり、某有名調査会社の社長さんです。社長はさすがの一流品嗜好で、これまでにもいろんな趣味の逸品を、サイトの記事ネタとして扱ってきました。みつけたのは、「刀女に捧ぐ」です。

 売りに出されたのは、3振りで、私が購入したのは上にある「摂州在助重」です。これが一番反りが少ないと見えたためです。

 すぐに申し込みました。ただし、長さが二尺三寸以内であればの但し書きをつけてです。社長からもすぐに返信があり、話はまとまり、振込と年末発送の仕儀となったわけです。

 品は元旦に到着し、嬉しいお年玉となりました。






 私は「助重」の名を知りませんでした。摂州、つまり大阪で盛んであった新刀の模様です。素人目には、荒沸えののたれと思われます。

 モノについては、心配していません。あの社長が公開した以上、変な刀を売れば名に傷がつきますから。現に、鑑定書も完備しています。
 鍔付の拵えの方もそれなりの品です。いずれは、刀身をこちらに移そうと考えています。そして、数十年ぶりに居合の稽古を始めようと考えています。私は、この刀を美術品として扱うつもりはないのです。


1月10日追加
 予定していた刀身の移行を終えました。
 下図のとおりです。やはりこうでなくっちゃ。本身を扱うには、鍔がないと怖いものです。鍔があると安心して振り回せます。


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七百参拾六  著作権への意識が劣化したのか(2015/12/27)
 KADOKAWA出版が、小説『からくり同心 景 黒い好敵手』の発売を中止したそうです。
 作者の谷津矢車氏が原稿改変の指摘をしたところ、担当編集者が無断で原稿を変えていたことが判明したそうです。

 なんか時代が変わっても、人間のやることは変わらないのですね。今日のように著作権の取り扱いが重要視されるご時世にあって、よくもやれるものです。

 小説の改竄といえば、平井和正氏の『狼男だよ』が有名です。この件は前代未聞というか、今後とも起こりえないほどのものでした。
 改竄は数百か所とも言われています。しかし、個別の単語レベル、助詞の有無レベル、傍点の有無レベルまで含めると、数千か所にも及んでいたそうです。同時に、当該出版社において、他の作家に対しても同様の改竄が行われていたことが明らかになりました。
 豊田有恒氏の『地球の汚名』で、200か所だそうです。幸い豊田氏はゲラ段階で発見し、印刷はされなかったそうです。

 正本訂正、名誉回復交渉の中、平井氏は某出版社社長から吐き捨てられています。
 「川端康成ならいざ知らず、若造のチンピラが、なにを生意気な」
 作家仲間からもたしなめられました。
 「作家は出版社を潰すのが商売じゃないでしょう」

 一体どんな改竄が為されたのか、皆さん興味がおありでしょう。平井氏のエッセイ集『夜にかける虹』から、その一部を引用します。まさに狂気の沙汰です。

 山野組のさしがねらしい
  ↓
 山野組のさしがねが入っているらしい

 度を失った → 肝を失った

 尾羽うち枯らした → 尾羽をうち枯らした

 異邦人 → 異星人

 漁夫の利 → 漁父の利

 男の一分 → 男の一部

 生血(なまち)のルビ

 こんなことをやられたら、作家自身の国語能力を疑われるでしょう。平井氏も、最初に上梓本を読んだとき、寝込んでしまったそうです。お〜こわ。
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七百参拾五  ヒトラーとは何だったのか(2015/12/20)
 本日、『新・映像の世紀 第3集 第二次世界大戦 世界は独裁者を求めた』が放映されます。私は今からもう楽しみにしています。前作『映像の世紀 第4集 ヒトラーの野望』もよかったけど、今回は新たに発掘された映像で構成されているそうなので興味津々です。

 ヒトラー関係のドキュメンタリは、他にも優れたものがあります。1,961年に西ドイツTV局が制作した『ヒトラーの生涯』もまた、珍しい映像満載で目一杯堪能できました。また、先日NHKで放映された、BS世界のドキュメンタリー『ヒトラー 権力掌握への道(前後編)』も逸品といえるものでした。

 ヒトラーの事跡はほぼ理解しています。しかし、その人となりがどうかと問われると、私にはとても説明できません。
 その理由として、世界に与えた惨禍の規模の大きさが理解を妨げるのでしょう。大規模な惨禍、多数の人命を奪った例として、スターリンや毛沢東も同じでしょう。しかし、必ずしも規模の大きさに目を奪われると、実態を見失ってしまうのではないでしょうか。

 国民を無意味な戦場に駆り立て、屍を累ねるのは枚挙にいとまがありません。また、国民の一部を虐殺の対象にするのもまた、よくある話です。
 巨悪の頂点として語られるヒトラーですが、その人となりを理解する場合には、世界の歴史に数多いる独裁虐殺指導者と同様なアプローチでよいのかとも思います。必ずしも虐殺数や戦争の規模で語る必要はないかと思います。

 国民のうち、どれだけの割合の人間を殺したかの率で語るなら、ヒトラーはむしろ下位にくるでしょう。ポルポトやら、中南米各国での政権奪取劇にまつわる虐殺なんかは、ヒトラーをはるかに上回っています。

 戦争の惨禍を問うなら、中東に与えた惨禍の責任の多くはアメリカにあり、その損害額は数千兆円ともいわれています。面白いものです。世界の警察を任ずるアメリカが、実はヒトラーに勝るとも劣らぬ戦禍を強いているのです。

 ヒトラーとは何者か、に対する答えを私は持ちあわせていません。ただ、その事跡を知ることだけは、今後も続けていこうと考えています。
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七百参拾四  『このミス2016』は大外し(2015/12/13)
 まったく予想が外れました。スティーブン・キングの『ドクター・スリープ』こそが本命と考えていたものが、なんと24位に止まりました。少しショックでした。
 たしかにキングも歳で、かつての筆致がありません。それでも読者たちの続編への期待に、充分応えていると思うのですけど。

 もう一人、ご贔屓のマイクル・コナリーの『判決破棄』も38位と低迷しています。一押しのジェフリー・アーチャー「クリフトン年代記」第4部『追い風に帆を上げて』なんか、昨年に続いて集計欄に掠ってさえいません。

 これはもう、私の感性が曇ってしまっているのでしょう。また、未読の新しい作家にチャレンジせえというお告げなのでしょう。

 取りあえず、第2位となったピエール・ルメートルの『悲しみのイレーヌ』は読まなくちゃね。昨年の『その女アレックス』は凄かったですもんね。

 また逆に国内篇第1位となった米澤穂信氏の『王とサーカス』は、多分読まないと思います。同じ米澤氏による昨年1位の『満願』が、私にとってはもうひとつだったもので。米澤さんすみません。私の読み手側としての未熟ゆえです。

 それとロバート・ゴダート『欺きの家』が刊行されいたのを知りませんでした。ここのところ不作続きとあって、期待もしていませんけど、本作は小品的にまとめているそうなので読んでみようと思います。

 いずれにしても、私も歳です。評価に自信が持てなくなっています。世間の方々との想いに乖離が多くなってきました。反省せにゃならんです。
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七百参拾参  常陸市職員のありえない激務(2015/12/6)
 毎日新聞によると、茨城県常総市の9月分の職員給与100万円超えが十数人いたとのことで、話題になっています。
 関東・東北豪雨への対応での残業だそうです。水害が発生した9月10日〜30日までの残業時間が最高で342時間だったそうです。勤務可能な全職員492人の平均残業時間は139時間で、給与100万円以上の者は主に係長だったそうです。

 これって帳尻の合わない話です。勤務日が12日で96時間となり、342時間+96時間=438時間。21日間は504時間ですから、残りは66時間となります。一日の業務以外に当てることのできるのは、ほぼ3時間しかありません。
 食事や着替え、入浴時間も必要ですから、睡眠は2時間取れるかどうかでしょう。通勤時間を加えると、さらに厳しくなります。
 短期間だけなら可能でしょうが、3週間続けるのは不可能に近いかと思います。いくら事情が事情といっても、市幹部はこんな勤務をよくも許したものです。

 議会のやり取りがまた意味不明です。まずなにより追求すべきは、労働衛生の問題です。ここまでの激務は生命の安否に直結します。なんで、そこに思いが至らないのか不思議なのです。

 私が一番厳しい勤務に臨んだ時期でも、月間当たり150時間程度です、それでも、一年近く続くと精神的にダメージがきました。
 このようなダメージで以って、退職に至ったケースは聞き知っています。当地でも某市職員が、大雨台風の後仕舞で燃え尽きて退職者が数名出ました。

 いくら公務員だといっても、ブラックはブラックです。市議会もその点を追求すべきですよ。その点を横に置いて、給与額を問題にするのはずれているかと思います。
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七百参拾弐  『新・映像の世紀』とアール・デコ(2015/11/29)
 私は仕事柄、美術史にも興味を持っています。「六百九 奇想映画二題  (2013/6/8)」でご紹介したアール・デコはなかでも興味深いテーマです。

 フランスとアメリカの独特の時代背景によってもたらされた、新しい試みというか、新しい装飾芸術の提案です。
 第一次世界大戦の戦勝国たるフランスとアメリカは戦勝気分と順調な復興によって、商業主義を肯定的に受け入れる素地ができたのです。そして、物理現象を視覚化した斬新な装飾が、新しい芸術として大流行したのです。

大切なのは、そのような社会背景の成立状況です。NHKの『映像の世紀』は、見事に活写していました。そして、今夜の『新・映像の世紀』「第2集 グレートファミリー 新たな支配者」においても、きっと戦後世界の世相の変遷を浮かび上がらせるものと期待しています。NHKの売り文句では、次のように説明されています。

 石油に目をつけ、悪魔とも呼ばれながら史上最大の富豪となったロックフェラー家。大統領をしのぐ発言力を持ち、金融界を牛耳ったモルガン家。大量生産で、車を大衆の乗り物とした自動車王フォード。アメリカのふりまく富の匂いは、世界中の移民も引き寄せ、超大国アメリカの基盤を形作った。しかし世界はやがて大恐慌に見舞われる。グレートファミリーのプライベート映像を駆使、現代の資本主義を生んだ欲望の時代を見つめる。

 この惹句を読むと、もうワクワクしてきます。前回の第一次世界大戦編において、アメリカ参戦の理由として、イギリスへの戦費として貸し付けた債権の回収を行うためには、連合国側の勝利が必須であるとしていました。加えて、フランスとともに苛烈な賠償を求めました。

 今夜の第2集では、その続きとしてアメリカ金融資本が世界を舞台に台頭してゆく様を描くのではないでしょうか。
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七百参拾壱   大阪の民意(2015/11/23)
 昨日、大阪W選の結果が開票と同時に明らかになりました。各マスコミの出口調査で、帰趨はすでに明白だったのでしょう。

 大阪府知事、大阪市長、いずれも維新候補が圧勝しました。組織票の強い自民、公明、共産、労組と敵対し、なおかつ維新や橋下市長に批判的な毎日系や朝日系の大阪マスコミを相手にしながらの勝利は本物です。

 問題は地方議会です。中選挙区システムなので、過半数を得るのはほぼ不可能です。府市統合はこの先もすったもんだの茨の途でしょう。数年前から今年にかけて、よくぞ住民投票にまで持ち込んだものです。松井氏や橋下氏の手腕はただごとではありません。

 いずれ橋下氏は復帰し、どのような形であれ、府市統合に向けての運動に関わってくるでしょう。次のポイントは堺市長選でないかと思います。

 大阪ダブル選に向け、関西系ローカル番組は選挙関係報道を繰り返していました。そのなかで、凄いものを見てしました。

 栗原知事候補の会見に柳本市長候補がわざわざ臨席し、府市連携をアピールしたのですが、見事な吉本新喜劇でした。

 会見冒頭の柳本氏の弁。
 「府と市のすり合せができていないとの問い合せが来ている。決してそうではない、共に行動し、政策についても、ともどもに見つめていることをPRしようと同席した」
 府立大学と市立大学統合問題についての齟齬を詰める目的だったのでしょう。ところが、両者が噛み合わない考えを述べました。柳本氏は頭がよく、なんとか辻褄を合わせようと苦心するものの、栗原氏には整合性を積み上げる能力がなく、バラバラな説明になりました。
 そんななか、栗原氏からマイクを渡された柳本氏、それでも頑張りました。
「自民党の中でもすべての立場、政策が一致することはおかしい」

 柳本氏は自身の会見のなかで、大阪市主軸による統合設置をほのめかしたものだから、火消し説明に追われたのです。
 「前回は大阪府の懐まで手を突っ込んでしまった。府市連携は当然だが、府の立場、市の立場それぞれに違いがある」
 のんきなドヤ顔の栗原氏の横で、マイクを置いた柳本氏は俯いて大きな溜息。『こいつ、アホちゃうか』の無言のフキダシが見えました。

 ちなみに、大学統合問題についての両者の公約は、柳本氏が「検討する」、栗原氏が「長短を話合う」でした。
 こういうのを公約と呼べるのでしょうか。そりゃあ、選挙民も愛想をつかすでしょう。
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七百参拾   アメリカの介入と不介入(2015/11/14)
 中東情勢は相も変わらず終わりの見えない状況です。難民問題も苛烈化してきました。ドイツにしても、EUの法を尊重する理念をいつまで掲げられることか。

 ロシアがシリア反政府組織への攻撃を開始しました。お馬鹿なアメリカは、そのロシアを非難するという空気の読めない醜態を晒し続けています。

 オバマ政権はアフガンやイラクからの撤退を公約にしていました。そしてアメリカのプレゼンセンスが無くなるのと同時に、中東は混迷の度合いを深めてゆきました。
 さらに、リビア、エジプト、チュニジア、シリアで澎湃として起こった“中東の春”が、政権を倒し、あるいは弱体化することにとい、収拾のつかない状況に至りました。

 本当にアメリカはいらんことばっかしやらかしてくれます。シリアの反体制組織に武器や資金を供与し、平安な国家運営を潰してくれました。昔からアメリカはこんなことばっかしやってくれました。

 過去に中東から中央アジアにかけて起こった惨禍や悲劇は、アメリカの介入によって引き起こされたものです。それに、現今の状況にしてからが、過去にアメリカがやらかしたことによってもたらされたものです。

 「アメリカのイスラエルに対する軍事支援がなかったら」の歴史ifは、真っ先に考えてしまいます。
 次に考えてしまうのは、カーター政権時代にやらかした致命的な悪行の数々です。カーターが外交や軍事に無知だったのは、就任前から分かっていたことで、問題はスタッフ、特にブレジンスキーの存在でしょう。
 イランのシャーに対して、国民の民主化要求に少しでも応えろと促すだけでよかったのです。そうすれば、その後のイラクも含めての中東の大惨劇はなにもこらなかったわけですしね。
また、中央アジアのムジャヒデンに対する支援を行わなかったら、その後の多方面の悲劇も起こらなかったわけです。中南米の独裁虐殺政権たちに対する支援もまた、まったく余計なことでした。

 なんかねえ、平和のためには、アメリカの介入が必要不可欠なものだと誤解する若い方がいないかと心配なのです。
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七百弐拾九  『新・映像の世紀』(2015/11/1)
 NHKが長年取り組んでいた20世紀を横断するドキュメンタリ、満を持しての放映が始まりました。以前、「You Tube のおかげです (2013/9/7)」でも触れた『映像の世紀』の続編です。先週から放映が開始された『新・映像の世紀』を期待する人間は、全国に溢れているでしょう。新シリーズの売りは、新たな映像の発掘です。初見の映像には、やはり刺激されます。

 例えば、1961年に西ドイツTV局が制作した『ヒトラーの生涯』もまた、珍しい映像満載でお腹一杯堪能できます。『映像の世紀 第4集 ヒトラーの野望』をさえ凌ぐ濃い内容です。

 新シリーズは前回の繰り返しを避けています。短い時間内にあらゆる説明を詰め込むのは無理です。いきおい、コンセプトというか方向性を持たせた内容です。
 そもそも、第一次世界大戦前夜における各国の思惑や外交努力なんて複雑怪奇で、いちいち細かい解説なんてやれんでしょう。そこで、新たに発掘されたフィルムに焦点を合わせるスタイルを採っています。ロレンスを軸にした中東解説なんか典型でしょう。また、シリーズ全体の流れというか、連続性を重視したシナリオ構成を試みていると思われます。

 とにかく、素晴らしい作品です。制作スタッフ自身が、このタイトルが持つ重要性を重く受け止めていることと想像します。プレッシャーもあったでしょう。その成果物は、やはり素晴らしいものでした。
 音楽は前作と同じ加古隆氏による「パリは燃えているか」です。あの重厚なサウンドを聴くと、気分も乗ってきます。
 ラスト、訪欧中の若き昭和天皇の感想が秀逸です。あの言葉は、今の我々も伝え残すべき名言です。

 今回の予定です。タイトルを見るだけでワクワクしてきます。
 ・第1集 第一次世界大戦 百年の悲劇はここから始まった 10月25日(日)
 ・第2集 グレートファミリー 超大国の出現 11月29日(日)
 ・第3集 時代は独裁者を求めた 第二次世界大戦 12月20日(日)
 ・第4集 世界は嘘と秘密に覆われた 冷戦1 月24日(日)
 ・第5集 NOの嵐が吹き荒れる 若者たちの反乱 2月21日(日)
 ・第6集 あなたのワンカットが世界を変える 21世紀の潮流3月20日(日)

11/14追加

 上で記した皇太子時代の昭和天皇の言葉を紹介しておきます。

 破壊せられたる諸都市
 荒廃した諸森林
 蹂躙せられたる田野の景は
 戦争を賛美し
 暴力を謳歌する者の眼には
 いかに映ず可きか
 是等は深く
 予の心を傷ましめたり
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七百弐拾八  日米安保に係るトンデモ(2015/10/25)
 PRESIDENT Onlineに掲載された安保トンデモ論文に呆れましたのでご紹介しときます。「ビジネスライクに考えた日米同盟の経済コスト」のタイトルで、防衛大学総合安全保障研究科教授の武田康裕氏の論です。

 「自主防衛なら現在よりも23兆円かかる?」の刺激的なキャッチで、日米安保による同盟関係を解消した場合、日本の独自防衛にどれほどの経費がかかるかを試算したものです。

 今のネット社会では、誰でも意見を表明でき、議論百出が実現できています。ただ、その大半は、左の教条的な念仏だの、ネトウヨの威勢の良い念仏だのです。あるいは私のように、浅学菲才な輩による因縁づけであったりするわけです。

 困るのは、それなりに権威や肩書を持った方の振る舞いです。もちろん素晴らしい内容のものも多く、得るところ大です。一方で、なんでこんな学生が病を拗らせたような意見を、立派な方が書いているのか不思議に思うことがあります。

 「ビジネスライクに考えた日米同盟の経済コスト」もまた、トンデモ論文で、しかもネトウヨ方面に影響を与えているものですから始末に負えないのです。

 もちろん、よいことも書いています。
 単独で国防は無理であり、他国との協力関係が必要との趣旨はそのとおりですね。この点に否やはありません。

 また、日本が過大な国防予算を割いていないのも事実です。ただし、武田氏は対GDP比のみに触れ、国防費そのものには触れていません。日本の国防予算は、長年月巨額なものでした。ただ、憲法上の制約や敗戦国としての位置づけから、効果的な戦力構築ができずにきました。

 で、筆者は現状と同じ安全保障の水準を維持しながら、自主防衛に踏み切った際のコストを試算しています。コスト総計が現行予算を22兆2,661億〜23兆7,661億円上回るとしています。
 この数字はかなり煽情的なもので、日米安保堅持のネトウヨ諸君を勇気づけています。一方で、私のようなひねくれ者からすれば、こんな数字あり得ない、なんらかの裏があるとか疑ってしまいます。

 読み進めてゆくと、各所にトンデモが光っています。いやもう、燦然と光っているのです。

 まず同盟解体により、日本から米国への輸出額10兆3,740億円が完全にゼロとなると想定しています。そして、GDPが米国からの年間輸入額相当分の6兆8,250億円低下するともしています。
 意味不明でしょう。こんな想定をするあたり、ひょっとして筆者は現実世界で息をしていないのかと疑ってしまいます。同盟関係でなければ貿易は成立しないと考えているようです。もう、なにをかいわんやです。

 次に、リーマンショックを参考とし、日経平均株価が25%下落し、12兆円のGDP低下を引き起こすと試算しています。
 在日米軍が撤退すると、各方面で雇用等のマイナスが生じます。一方で、自主防衛に繋げるための新たな雇用が生まれます。これは正負の関係で、一時的にはマイナスが生じても、必ずプラスも生じます。なんでか、マイナスにだけ視線が注がれています。

 次に、海上輸送の危険度が増し、エネルギー輸送コストを押し上げ、原油輸入価格が1バレル当たり10ドル上昇し、これがGDPの1兆〜2.5兆円の減少をもたらすとしています。
 これもまた、よく分からない試算です。オイルルートのリスクは、同盟云々は関係ないじゃないですか。同盟であろうがなかろうが、オイルルートの安全確保は等しく求められるものです。こんなの子供でも分かろうにね。

 そして武田氏の論の歪なところは、駐留米軍が持っている機能を、日本が十全に果たさなければならないと考えている点です。なんで日本が海兵隊を持たなきゃならんのか。海兵隊にまつわる嘘は散々取り上げたので繰り返しません。

 もし仮に日米安保を破棄するようなことがあっても、アメリカと協調関係は維持すべきだし、周辺国との協調も重要です。それでも自主防衛には、今より多額の予算措置が求められるのはそのとおりでしょう。でもね、上に書いたようなトンデモで語るのはよしていただきたいです。
 こうして見ると、右も左もろくでもないのが溢れています。こんな狼少年に乗せられないよう自戒しましょう。
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七百弐拾七  亀田(兄)選手やっと退場(2015/10/17)
 本日のこと、アメリカのシカゴでWBA世界S.フライ級タイトルマッチが行われ、王者の河野公平選手に亀田興毅選手が挑んで敗れました。
 グダグダな内容になりそうな恐れがあったものの、レフェリーの厳格な裁きによって、無事終了のゴングを迎えることができました。この当たり前のことが、なぜ日本のリングでは実現できないのでしょうか。

 これまでにも、亀田兄弟の試合では、フラストレーションを溜めることが多く、これまで何度も取り上げました。
 弐百五拾七 亀田戦とジャッジ (2006/8/5)
 参百壱    亀田戦のデタラメ  (2007/5/27)
 参百弐拾  期待を裏切らない亀田戦 (2007/10/13)
 四百参拾参   内藤vs亀田戦  (2009/11/29)
 四百五拾壱   亀田興毅陥落  (2010/3/28)
 今後は不快な思いをせずに済みます。興毅選手は引退だそうですし、二男、三男も日本での試合が組まれません。ということは、TV局の金が動きませんから、WBAを都合のよいように動かすこともできません。三兄弟が現役王者にまっとうに挑んで勝つのは難しいでしょうからね。

 そのTV局というのはTBSです。TBSといえば、かつてはスポーツ中継で大きな力を発揮した局です。キック・ボクシングを高視聴率の人気番組に仕上げたのも懐かしい話です。また、日本TVと日本プロレスのタッグがプロレスを国民的番組としたことへの対抗で、国際プロレスとのタッグで挑んだのも意欲的な試みでした。
 ただ、当初スター候補のグレート草津氏がルー・テーズにKO負けして段取りが狂いました。急遽、複数スター制に切り替え、一応の成功をみました。特に外人であるビル・ロビンソン氏をスターに仕上げたのは正解でした。

 そのような成功体験がTBSを狂わせてしまったのでしょうか。スターなんて、TV局の力でつくり上げることができると。そりゃあね、沢村選手のように実力と魅力を兼ね備え、さらには業界そのものを背負う責任感とプライドがあればね。
 それこそ、亀田選手には無理ってものです。亀田選手が世間の耳目を惹いた事件ってのが、むしろボクシングを貶める結果になってしまい、私のようなボクシングファンたちの反感と嫌悪感を招いてしまいました。これは、必ずしも本人の責任でないかもしれません。自分が置かれた立場から勘違いをしてしまったり、敷かれた路線を否応もなく走らざるを得なかったのでしょう。
 私ゃ、同情しませんけど。
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七百弐拾六  ディーゼルがんばって(2015/10/12)
 VWの不正ソフト問題が燎原の広がりを見せています。最も厳しいカリフォルニアが舞台で、日本は他山の石です。日本とEUの規制は同等なのに、日本でのみ発売されなかったのは、不正が表に出るのを恐れたためではないでしょうか。EUはお膝元というか、同じ穴の貉ですからね。

 厳しいカリフォルニア規制は、世界の先端ハードルかと思います。対応技術を完成させたメーカーにとっては、神様仏様でしょう。かつてのカリフォルニア規制によって、日本メーカーが躍進できたわけですから。
 ただ、ディーゼルは基本的にNOxとPMのハードルが高く、技術面のクリアより簡単な不正を選択してしまったのでしょう。
 ディーゼルの難しさどころか、将来的には排ガスそのものを無しにするハードルが待っています。この件については、米メーカーも同じく困るでしょうけど。

 VW騒ぎがあったので、20年ぶりに『自動車工学(鉄道日本社発行)』を買ってしまいました。久々なので、いろいろ勉強になりました。

 最近トヨタがリリースした1GD-FTV(2.8Lディーゼル)は、世界戦略エンジンです。ユーロ6や日本の新長期にも対応できるとのことです。後処理を規制に合わせて組合せを変えています。次のように、輸出地域の規制や実状に合わせ、システムの最適化を行っています。
 厳しい日本とEU向けには、酸化触媒+DPR触媒+SCR触媒。
 オーストラリアやロシア向けには、酸化触媒+DPR触媒。
 アジア、中近東、南ア向けには、酸化触媒。

 また、ボルボの新世代D4204T(2.0Lディーゼル)は、極めて評価が高いみたいです。ただ、喜ばしいことに、肝である燃料噴射システムはデンソー製です。

 新しいエンジン群を眺めると、精密、緻密で高圧の噴射システムが重要となっています。この点はガソリンも同じですけど。また、15前後の低圧縮比が特徴となっています。低圧縮比によって、振動や騒音が低減され、軽量化にも寄与します。同時に過給圧を高めて大トルクを発生できます。排ガス浄化は多段の後処理に任せる按配ですね。

 異色のマツダ2.2Lディーゼルは、圧縮比14という抑制的な燃焼によって、後処理なしを実現しています。いずれにしても、カリフォルニアの規制は難しいのでしょうね。それもいいんじゃないでしょうか。こういう技術テーマあればこそ、進歩もあるわけですから。

 気になるのは、排ガス検査の走行モードをより実走行に近づけるとかの話です。例えば、高速走行も当たり前に含むべきとして、80km→120kmのフル加速なんてモードを入れた日には、規制クリア車全滅、あるいはクリアする代わりに鈍重な車ばかりになるかと思います。それが正しいあり方だとは思いますけど。
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七百弐拾五  菅元首相の思いつき発言(2015/10/4)
 菅直人元首相がSNSでお馬鹿発言を晒しています。
 「太陽光発電でその場で発電した電気の方が送電線で送られて来た電気を使うより、音質がいいそうだ。電気も地産地消の方が新鮮ということのようだ」

 菅氏も東工大卒なのですから、少しは知恵を働かせればいいのに。上の言には一理ありますが、少し理解が足りないのです。

 オーディオ用電源は、他の機器と混在させないのが正解です。また余力が大きいと有利でもあります。現に、いろいろな工夫や対策が為されています。

 Technicsの高級プリアンプ SU-C7000 は、バッテリーとACとの切り替え電源で、バッテリー駆動の音質は格別とのことです。

 本格マニアは200Vの専用電源をオーディ用に引き込んでいます。

 私は準マニアなので、配電盤から100Vオーディ専用回路を引いています。念のため、ケーブル、タップ、コネクタを大容量のもので自作しました。本格マニアは医療用で揃えるそうです。医療用のパーツは、超高額だそうで、私には縁のない話です。

 電源回路内にオーディオ以外の機器が混在している場合は、視聴時に他の機器の電源をオフにすると音質アップします。手近なところでは、蛍光灯のノイズが問題です。私のように、オーディオ機器を独立配線に繋いでいれば影響なしです。以前、配線内で混在していた時期は、蛍光灯を消すと、音がクリアに変化しました。

 このような使いこなしが有用なのですが、菅氏の言は半可通の聞きかじりなので中途半端なのです。
 いくら手元で太陽光発電しても、売電だと意味なしです。あくまでクローズな電源回路を確保しないと音質アップしません。また、自家発電であるなら、なにも太陽光でなくても、内燃機関で発電しても同じです。大切なのは、安定供給できることと他の機器の影響を排除することです。
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七百弐拾四  VWの危機(2015/9/26)
 VWが厳しい排ガス規制を回避するため、検査時に専用のプログラムを走らせるという不正を行い、経営を揺るがす大問題となっています。

 この件について、辞任したウィンターコルン会長は、「ほんの数人の過ちによって、60万人の全従業員の懸命かつ誠実な仕事ぶりが疑われるようなことはあってはならない」とコメントしました。謝罪でなく、責任転嫁を口にしたわけで、これが辞任の引き金ともなったわけです。

 このコメントには、世界中が突っ込みを入れたことでしょう。プログラム開発には、エンジンセッティング技術者たち、排ガス浄化技術者たち、その排ガス浄化方法も複数の機器を組み合わせており、複雑なセッティング・パターンを試行錯誤するはずです。さらに、テストドライバーがセッティングごとの詳細なドライバビリティ・レポートを突き合わせてくるはずです。これらをチームで検討しながら、それぞれの部門にフィードバックしながら、時間をかけ、少しずつ改良を進めていくかと思います。とても、「ほんの数人の過ち」で進められる開発事業じゃないです。

 VWはリコール対応をアナウンスしていますが、ことはリコール対策で片づかないのではないでしょうか。排ガス浄化の適正プログラムに交換すると、ドライバビリティは相当に悪化するでしょう。素人考えでも、EGRを大幅に還流するでしょうから、それだけでも悪化は避けられないでしょう。燃費も同じく悪化するでしょうしね。

 リコール対策の結果、「こんな車は欲しくない、騙された、詐欺でないか、弁償しろ」ってことも考えられます。恐ろしい訴訟沙汰を招くのは必至でしょう。

 なお、走行(検査)モードにおいて、有害物を検出測定し、基準内に収まっていればいいので、実走行でこれを超えるのはOKというか仕方ないです。ただ、VWのように、検査用と実走行とで別プログラムを走らせるとなると詐欺でしょうね。

 走行モードに合わせてチューニングするのは、別に問題ないことです。問題が残るのは、走行モードを超える領域です。特に、坂道で加速するとか、全力加速とか、超高速走行とかで、大量に垂れ流しているのは、全メーカー全車種ともに共通でしょう。


 日本の排ガス規制初期(50年規制、51年規制)のエンジンは出力が上がらず、駄目っぷりがひどかったです。それが、53年規制対応から出力が上がりました。
 各メーカーの燃焼解析が進み、電子制御により、3元触媒での効果的な後処理が可能となったとか説明されました。それはそうなのですが、実は11走行モードを超える、つまり測定モードを超える領域では、CO、HCやNOxを垂れ流していたのです。当時、批判されたものです。
 今はどうだか知りませんが、高回転でのとんでもない出力からすると、きっと垂れ流しなのでしょう。法規制はクリアしているにせよ、あんまりよろしくないかと思います。


 今回の事態を招いたのは、HVやPHV開発が遅れたことがすべての肝でしょう。といっても、トヨタを主とした日本メーカーが特許関連技術をすべて抑えてしまったために、手出しできなかったというのが本当のところでしょう。いきおい、小排気量ターボや次世代ディーゼルに舵を切らざるをえなかったのだと思います。

 EUの2020年規制に向けての対応となると、PHVが本命ですから、EUメーカーもPHVシフトを進めています。トヨタの基本特許も期限が切れましたしね。
 それでも、その時点で、トヨタはさらに先に進んでいるという苦しさに変わりはありませんね。今のところ、EUメーカーのEVやPHV車の出来はよろしくないみたいですから。
 面白いのは、自動車評論家たちがEUメーカーのEVやPHV車を好意的に評価していることです。EU現地での評価はボロカスなんですけどね。一体、どういうバイアスなのでしょうか。

 VWの車づくりの基本は、日本メーカーのそれを大きく上回っているかと思います。高額なのも当然です。高品質なショックを普通に使っているそうですし、エンジンマウントも強固なものです。ブレーキも消耗品として、使用感をよく満たしています(減速がよく効くということは、パッドの交換も早いということ)。

 ただ、EUが強く訴求しているエコで躓いちゃったんですね。EU特にドイツの環境保護ってのは、昔から二枚舌で、国民もよく知っているところです。VWもその空気の中で生きて、やらかしたというこではないでしょうか。
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七百弐拾参  『映像の世紀』デジタル・リマスター登場(2015/9/20)
 NHKがあの『映像の世紀』をデジタルリマスターHDで再放送をしてくれています。先週は見逃したものの、本日の「第5集 世界は地獄を見た」と「第6集 独立の旗の下に」はしっかり見ました。『映像の世紀』は、『世紀を超えて』と並んで、歴史ドキュメンタリの決定版です。

 以前、「You Tube のおかげです」にも書かせていただきました。私は過去に3度見ています。何度見ても飽きません。特に今回は、HD映像とあって、いうことありません。

 さすがNHKです。古いフィルムから精細な映像を作り出しています。その高精細さというのは、単純な変換でなく、独自技術が盛り込まれていることと思います。
 見慣れた特攻機の突入映像も、見事な品質で再現されていました。もう釘づけですわ。

 再来週の「第9集 ベトナムの衝撃 アメリカ社会が揺らぎ始めた」が今から楽しみです。本シリーズ中で一番好きな回です。すでに3度見て、その都度リアルな自身の記憶と重なって感動を受け取ってきました。4度目はHD映像ですから、もう今から楽しみです。

 ところで、「第2集 大量殺戮の完成」も好きな回です。残念ながら、今回は見逃してしまいました。第一次世界大戦の映像をたっぷり見ることができるのです。しかも、今回はHDですからね。悔しくて仕方ありません。

 NHKでは、番組を見逃した場合のために、オンデマインド配信を行っています。私も登録したものの、視聴料の高いこと。単品で216円、見放題で972円/月です。有料は理解できるけ、ふっかけすぎですよ。こういうことをやられると、NHKは国有にしろよとか思います。現在の受信料を税金に当たると考えると、超高額の税金ということになります。

 国有にすれば、負担は大幅に下がります。まず、職員は国家公務員になりますから、今の給与額から大きく下がります。人件費は大幅に安くなりますし、総務省の一部局となることから、総務省の事務局監査も受けることとなるでしょうし、会計検査院の監査も受けるでしょうし、行政監査も受けるでしょうし、現行のお手盛り運営はできなくなります。もう、国有化しちゃえよ。
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七百弐拾弐  シリア難民危機(2015/9/12)
 数万人規模、積算では数十万人のシリアを始めとした難民が欧州に流入しています。難民はまだしもです。内陸部に住む貧しい住民は、国を抜けることさえできないでいます。シリア以外のイスラム国の被害住民なんか、息をひそめて銃口からの恐怖に怯えるしかありません。

 ドイツはその経済力とかつての民族殲滅の過去から、大量の難民を受け入れることとなっています。その他、フランス、ギリシャ、イタリアなんかもドイツほどでないにしろ、受け入れを表明しています。イギリスも少数ながら受け入れに転じています。

 このような状況をもたらしたのは、間違いなく西欧の独りよがりな介入です。シリアのアサド大統領を一概に否定できるものではありません。イラクのフセイン大統領のケースと同じで、強力な独裁政権は、アナーキーなアラブ社会には必要なものでしょう。

 騒乱の収束さえ見えないイラクの状況を目の当たりにしながら、結局シリアでも同じことをしでかしてしまいました。反政府組織に武器を供与することにより、国内の平安をすり潰しています。西欧、特にアメリカが、昔から世界中で行ってきたことです。

 最近では、中東だけでなくウクライナでも生起していることも同じ構図です。ウクライナへの反ロ闘争の使嗾介入が生み出したのは、国の分裂と終点の見えない内戦状態です。
 そこまでやるなら、最後まで責任を持てよとか思います。武器や資金供与という、国家運営を不可能にする騒乱を惹き起こしながら、あとは知らん顔なんて許されるはずもありません。

 インドシナで、中南米で、アフリカで散々やらかしたことを、反省もなく、21世紀になっても繰り返しています。アフガンとイラクでも後始末をしないまま、結局逃げ出してしまいました。ほんの数年前のことなのに、ここ2年の間、ウクライナとシリアで再度やらかしたわけです。

 やらかした国がすべての責任を持て、と誰かが声を上げてくれんかな。難しいですね。やらかし国ってのが、世界を主導している国ですから逆らえないんですよね。その点、ロシアは偉いです。シリアにも制圧部隊を送ると表明しました。ウクライナでも一歩も退きませんしね。

 世間では、ロシアの政策を無法と非難することが多いものですが、実態はアメリカの無法こそが大きな問題でしょう。
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七百弐拾壱  五輪エンブレム急展開(2015/9/5)
 先週発覚した佐野氏の原案は露骨なものでした。盗用元といわれているヤン・チヒョルト氏のタイポグラフィを確認しました。ヤン氏が後年開発したローマン体は、代表作ともいうべきものです。ヤン氏のスケッチを拝見しました。「j」のようにディセンダラインまで下がるつくりの角度を慎重に検討しています。

 展覧会ポスターを制作したデザイナーは、この書体をアイキャッチャーに使用すると同時に、ウェイトを若干太らせ、画像のフレームにも利用しています。ヤン氏の精神を表現したよいデザインだと思います。

 それをそのままパクるなんてあり得ないです。これって、剽窃・盗用です。組織委員会が応募作の修正を指示したということは、泥棒に手を貸したということになります。有体に言えば共犯でしょう。本来であれば、この時点で取り消しとすべきです。

 組織委員会の説明によると、永井氏が「一般の方々と我々専門家とでは、見方が違う」旨の釈明をしたそうで、がっかりです。
 その永井氏も後の取材で、修正内容は知らされていなかったと答えています。組織員会も選考委員会も責任回避の答弁に終始しているのが残念です。

 佐野氏は佐野氏で、展開例の盗用は「参考資料については、普通にやられていることだ」とか、寝言をほざいているみたいですね。さらに、これを“転用”と言い、“盗用”と言わない往生際の悪さ。転用は許諾を得た場合の話で、無断使用は盗用じゃないですか。

 NHKのニュースで弁理士の栗原潔氏がコメントを述べていました。私ゃ、発現当初から栗原氏のコメントが聞きたかったのです。厳しい指摘でした。それが普通の判断というものです。

 ただ、佐野氏のおかげでヤン氏のタイプデザインの中身のチェックができました。これには感謝です。
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