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弐百八拾  チャイナ・ウォッチは最高のドラマ観劇(2007/1/7)
弐百七拾九 畢生の傑作「第三の時効」(2006/12/30)
弐百七拾八 年の瀬の慌ただしさ(2006/12/24)
弐百七拾七 日本が壊れゆく(2006/12/16)
弐百七拾六 名取洋之助と日本工房(2006/12/10)
弐百七拾五 胡錦濤の憂鬱(2006/12/2)
弐百七拾四 ミサイル防衛、なんじゃらほい(2006/11/25)
弐百七拾参 千葉のロゴ:私の感性が曇っているのか(2006/11/19)
弐百七拾弐 イラクの今後(2006/11/12)
弐百七拾壱 SY-Λ88U復活間近(2006/11/3)
弐百七拾  障害者技能競技大会(アビリンピック)終了(2006/10/29)
弐百六拾九 技能五輪競技終了(2006/10/22)
弐百六拾八 北の核(2006/10/13)
弐百六拾七 イベント目白押し(2006/10/8)
弐百六拾六 「マイ・フェア・レディ」とメイド娘(2006/9/30)
弐百六拾五 可聴帯域(2006/9/23)
弐百六拾四 疲れた(2006/9/17)
弐百六拾参 GT-2000試聴(2006/9/9)
弐百六拾弐 GT-2000補修完了(2006/9/5)
弐百六拾壱 GT-2000入手(2006/9/3)




弐百八拾  チャイナ・ウォッチは最高のドラマ観劇(2007/1/7)
 新しい年が始まりました。今年も北朝鮮問題、中国問題、参議院選挙、イラク撤退問題などの課題やイベントが待っています。なかでも断然面白いのは中国問題です。面白いというより切実といった方がいいでしょう。日本のいろいろな課題にもリンクしていて、見逃すわけにはいきません。


 最大のイベントは、第17回全国人民代表大会(全人代)が開催されることです。5年に1回開かれるこの大会こそが、中国の意思決定機関のお披露目場なのです。党の最高議決機関は中央政治局常務委員会であり、委員会を構成する9人の委員の顔ぶれこそが権力闘争の勝ち残り組なのです。前回の顔ぶれと比べると、かなり替わっています。
 江沢民と朱鎔基がいなくなったのは喜ばしいことです。この二人の悪人顔は、見るだけで気分が悪くなってきます。日本であれば、この風貌だけで選挙に落選するんじゃないかな。ちなみに今の委員会を構成したのは江沢民です。で、院政を布いていたのが、力をつけてきた胡錦濤に切り崩された構図でしょう。

 次回の顔ぶれの予想ですけど、私は共産党内部の力関係が判らないので適当なことを書きます。現委員のうち、上海閥に連なる、あるいは関わりのある委員が入れ替わる可能性があります。これが実現すれば、まさに胡錦濤の勝利でしょう。さらに軍部の強い支持が得られれば、胡錦濤は自分の目指す方向に舵を取れるでしょう。

 そこまではうまくいくことと思いますが、問題はその先です。開発優先の今のスタイルを変えることができるか。まず無理でしょう。環境保全、安全な飲料水の確保、土壌汚染の浄化、農薬や工場廃水の安全基準の履行などは、金がかかるわりに儲けに繋がりません。ましてこれを監視する体制が存在しません。海外資本にしても、コスト増を招く環境への配慮は歓迎しないでしょう。日本や韓国こそ、中国の公害の被害を被っていますが、欧米の資本家は気にも留めていないでしょう。

 中国景気は日本企業にも大きな財をもたらしています。鉄鋼景気は中国さまさまでしょうし。しかしどうやら底も見え始めています。土地開発とビル建築ラッシュも一段落しました。そろそろバブルが弾けるのも近いでしょう。来年の北京オリンピックが終わる頃には、中国に資本投下しようという海外企業も大幅に減っているでしょう。その翌々年の万博など、はたしてうまくいくのでしょうか。
 胡錦濤はなんとか適正な開発に押さえ込もうとするでしょうが、地方やそれぞれの事業体は欲にまみれた開発を継続しようとするでしょう。言うことを聞かない連中に対しては、汚職摘発で臨むことでしょう。汚職は必ずといっていいほど行われていますから。


 今年後半に予定されている全人代に向け、権力闘争がどのように推移するか見物です。また、北京オリンピックに向けて当局は苦しい指導を強いられるでしょう。今の中国人民の民度というのは、国際大会を開催し、世界の競技者を拍手で迎える心構えがありません。多分、TVを通じて世界中に恥を晒すでしょう。大きな声では言えませんが、実は密かに楽しみにしています。
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弐百七拾九 畢生の傑作「第三の時効」(2006/12/30)
 フセイン元大統領
 本日、フセイン元大統領の死刑執行が為されました。上訴審での死刑確定後、余りに唐突と言うべき速さです。
 本来であれば、死刑執行を急ぐ必要はありません。むしろ拘置所に収監し、面会も自由にさせることによって、イラクの70年代以降の政治状況を語らせるべきです。これは貴重な現代史の掘り起しであり、是非ともやって欲しかったです。世界中のジャーナリストが面談を希望するでしょう。誰と会うかはフセインが選べばいいのです。きっと世界的なベストセラー間違いなしです。
 ただ、これは絶対にアメリカが許容しないでしょう。アメリカがいかにイラクに肩入れし、介入したかが明らかになります。また、イラン・イラク戦争の黒幕としてアメリカの名が浮上しかねません。アメリカとしてはさっさと始末して、口封じを図りたかったのでしょう。


 横山秀夫「第三の時効」(文春文庫)
 横山氏の技量の高さは今さら語る必要もありません。「半落ち」「動機」「陰の季節」など、いずれも文句なしの傑作です。で、今日のこと「第三の時効」を読みまして、感心することしきりなのです。
 この作品は実にミステリーらしいミステリーです。意外性と人間の裏側を深く抉る洞察に満ちており、次々に驚きを与えてくれました。その質の高さは、ここ数年の読書体験のなかで最高ともいえるものでした。もし、この作品を翻訳し、海外で販売すれば話題になるのは間違いのないところです。久生十蘭の「母子像」以来の快挙を狙えそうな気がします。

 私の感想として‥‥ 第三の時効 >> 陰の季節 (第5回松本清張賞)> 動機(第53回日本推理作家協会賞) > 半落ち(「このミステリーがすごい!」第1位) > 真相

 「第三の時効」の完成度の高さというのは、ちょっと尋常ではありません。誰であっても保証付きでお薦めできます。


 安倍首相
 安倍内閣の支持率が急降下しました。人気低下の原因として、郵政民営化反対議員の復党を許したことが理由とされています。と同時に、私には別の原因があるように思われます。

 安倍首相の演説や答弁を聞いているとイライラしてきます。まるで気の利かない小役人のような言葉遣いに不快感を覚えてしまうのです。例えば今臨時国会終了の際の記者会見を例に取ります(首相官邸のサイトより引用)。

その意味で、この国会においてこうした成立をみたことは、私は大きな第一歩を記すことになった、このように考えております。

今後は、このようなことが決して起こらぬよう、そして、真の意味で国民の皆様との双方向の対話となるタウンミーティングをスタートさせていくことで責任を果たしていきたい、このように考えております。

主要行の方々に政治資金をお願いすることを遠慮させていただく。このように、先ほど幹事長に指示をしたところでございます。

そして、国際貢献についても、責任を持って日本はその役割を担っていくという意思を示すことにもなったのではないかと、このように思います。

 聞いてて嫌になってくるでしょう。おそらく皆さん方も、以前から気づいていたのではないでしょうか。“と、このように思います。”式の表現が以下も延々と続きます。

 首相の話し方は、役人や官僚答弁に見られるスタイルです。もちろん役人だからといって、言葉が貧困な方ばかりではありません。きちんと主語に述語を対応させて話す方も大勢います。

 総理大臣ともなれば、国民の期待を背負っているわけですから、期待に応えて欲しいのです。私の記憶では、安倍首相は以前から上のような話し方をしていたように思います。官房長官であれば、役人的答弁でも問題ないでしょう。むしろそのほうが分を弁えた謙虚さが伝わって適切かもしれません。でも首相の任にあって、官房長官時代と同じではまずいでしょう。貧相な演説は試聴者のテンションを下げてしまいます。首相はときに夢を語り、未来を語らなければなりません。安倍首相には、ヒトラーの演説を勉強してもらいたいです。さすがに拳を振りかざすまでの演技は不要ですけど、聞く者の魂を揺さぶってくださいな。
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弐百七拾八 年の瀬の慌ただしさ(2006/12/24)
 思いがけない身内の葬式に、家族の骨折と予期せぬことだらけです。さらには神社の頭組が当たっているので、大晦日から元旦にかけて、神事の世話と接待が待っています。今日は自治会員総出で、境内の大掃除に勤しみました。
 ちなみに私は、大晦日の夜の焚き火当番になりました。早朝まで境内で焚き火の番をするのです。残念ながら、年越しメールは無理です。


 亀田興毅
 WBA世界L.フライ級タイトルマッチ、亀田 興毅 vs フアン・ランダエタ戦は意外でした。亨栄ジムのトレーナーに、ちゃんとした指導を受けているとは聞いていまいしたが、その効果は歴然としていましたね。前回の試合とは別人でした。ランダエタの距離を巧みに外して、パンチを当てさせませんでした。亀田選手は才能があると思います。わずか4ヶ月で大した進歩です。


 ケーブルTVとフルHD
 とうとう我が家にもケーブルTVがお目見えします。昨日、申込書が送付されてきました。これを機会にフルHD環境を構築したいと考えていますが、なかなかに多難です。
 まずフルHD対応TVは、必然的に大型で高価になります。そこでWUXGA表示(1,920×1,200ドット)のパソコン・ディスプレイを使用します。メーカー製の一体型AVモデルであれば、地デジや衛星チューナーが内蔵され、完全に仕上がっています。ただ、これらはディスプレイに不満があります。やはり満足のいくディスプレイは自分で準備しないと無理です。

 問題はPC用のBlu-rayやHD DVDが充分用意されていないことです。Blu-rayドライブはいずれも松下製のOEMですし、HD DVDに至っては、未だ内蔵タイプが未発売です。

 最大の問題点はケーブルTVの信号を、いかにしてPCに取り込むかです。いろいろ調べていますが、正直なところよく分かりません。対応ビデオ・カードがあるのか、気長に調べます。
 フルHD環境は、あくまでWindows Vistaベースでつくります。ですから慌てる必要もないでしょう。ボチボチ調べます。いずれにしても、信号経路上にアナログ変換が存在しない完全ディジタル映像をめざします。
 5.1ch音声は、卓上サラウンドを考慮しています。既存の2chオーディオをいじるつもりはありません。かといって2種類のオーディオを構成する場所も金もありません。卓上サラウンドによるミニ音場も面白いのではないかと期待しています。

 なにはともあれ、ケーブルTVを導入するのが第一歩です。ケーブルは光であり、インターネットも同時に切り替えます。
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弐百七拾七 日本が壊れゆく(2006/12/16)
 ホワイトカラー・エグゼンプション
 日経新聞から引用します。
 厚生労働省は一定の条件を満たすホワイトカラーの会社員を労働時間規制から外す新制度について、対象者の年収の下限を800万〜900万円程度とする方向で最終調整に入る。経済界は年収400万円以上への導入を主張していたが、対象者を絞り込んで働き過ぎや健康管理に対する監視を徹底する。一方、解雇紛争の金銭解決制度は労使合意のメドが立たず、導入の見送りを決めた。

労働時間規制の適用除外制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)は、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)が年内の最終報告を目指し、導入の是非を審議中。労働基準法が定める1日8時間・週40時間を上限とする労働時間規制を一部緩和し、時間に縛られない自由な働き方を可能にするものだ。


 怖い話です。現状の時間外賃金未払いを合法化しようとするものです。「時間に縛られない自由な働き方を可能にするものだ」などのお題目を誰が信じるというのか。単に、基本給だけを支払うことによって、長時間労働を強いることを法律で保証しようとするものです。過労死や健康被害が日本中に充満するでしょう。
 また、「働き過ぎや健康管理に対する監視を徹底する」が有名無実であるのは改めて言うまでもありません。会社側の不適切な処理に対して、労働基準監督所が指導してくれるというのはお花畑の夢想です。確信犯的に未払いを行っている、あるいは長時間労働を強いている事業所は、労働基準監督所なんぞ歯牙にもかけません。是正しようとするならば、あくまで訴訟を起こさないと無理です。
 経団連は露骨です。ホワイトカラー・エグゼンプションの対象者を年収400万円以上に適用しようと働きかけていたのですから。バブル崩壊前までの企業風土からは及びもつきません。人に優しい企業だの、地域社会への貢献だの、将来への安心だのの企業方針は遠い夢物語になりました。


 税制改革
 法人税が引き下げられる見通しになりました。来年度の議論に委ねられるそうですが、例によって経団連はとんでもないことを言い出しています。曰く、法人税を引き下げて、消費税率を上げろと提言しています。今の日本は戦後最長の好景気とのことですが、誰しも実感はないでしょう。理由は簡単で、収益を上げている企業も内部留保に走り、社員に還元していません。人件費を押さえ込む手法が蔓延し、安い賃金のために消費が上向かないからでしょう。
 経団連の言うがままにすれば、それこそ消費が冷え込んで、景気浮揚の芽さえ摘まれることでしょう。

 揮発油税が政治に弄ばれています。一般財源化が閣議決定されたそうです。その是非はなんとも分かりません。しかし、問題なのは租税特別措置法とやらでしょう。私も今回知ったのですが、本来1リットル28円であるはずのガソリン税が53円になっているそうです。しかも、これが25年間も暫定的に継続しているとは。こんな異常な増税が道路財源となり、道路族が群がる構図ができあがっていたのですね。
 日本全国の道路の舗装は完了しています。もう、元の1リットル28円に戻しましょう。ついでに重量税も廃止すべきです。もともと重量税は、自動車税との二重課税という確信犯的な税目なのですから。この不適切な税金について、言い訳をするにしても、その役割はもはや完了したというべきです。誰か廃止せよと訴訟を起こしてくれないかなあ。私も微力ながら応援します。


 再チャレンジ支援策
 読売新聞によると、厚生労働省は、「年長フリーターを正社員として雇用した企業に助成金を支給する。支給額は、雇用されるフリーターが「25歳以上30歳未満」の場合は20万円、「30歳以上35歳未満」の場合は30万円。要求額は1億5000万円」だそうです。
 結構なことですが、実効性は見込めそうにありません。産経新聞によると、「日本経団連の調査では、年長フリーター採用に前向きな企業はわずか1.6%で、24.3%は採用する意思がなかった」そうです。
 ここまで露骨だと、いっそすっきりします。もはや日本企業は、冷酷非情で非人間的なシステムで成立している組織だと公言しているのですから。


 さて、このような現実にどう立ち向かえばいいのでしょうか。処方箋などありゃしません。都道府県レベルでは、企業に対して正規雇用を拡充するように啓蒙活動を行っています。ところが、その主体たる都道府県そのものが、正規職員を削減し、臨時職員を確保しているのですから。しかも私の所属する県では、臨時職員の雇用期間を1年間に限定しようとしています。広く県民に機会を与えるために、短期で切り替えるとしています。しかし、それを言っちゃあ企業さんも正規職員の雇用拡大なんぞ聴く耳を持たないでしょう。あるいは、長期雇用も馬の耳に念仏というものです。哀しいことですが、これが現実です。

 日本の将来図を思い描くに、固定化した階級社会が浮かび上がります。長年月かけて作りあげた等質な日本社会は、壊れる運命にあるのでしょう。逃れられない路線のようです。
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弐百七拾六 名取洋之助と日本工房(2006/12/10)
 夜行バスで長崎県立美術館へ行きました。さらにトンボ返り(夜行バス)で今朝方帰着しました。歳を考えないスケジュールに身体はガタガタです。

 それもこれも「名取洋之助と日本工房」の展示を見るためです。もともと足利市立美術館の企画だったのを、巡回展に対応したのが長崎だけだったのです。おかげでしんどい思いをしました。展示の内容は、十分苦労に報いてくれるものでした。グラフィック・デザインに関わるものすべてが鑑賞すべき貴重な資料の数々です。


 日本の印刷や広告・宣伝分野は、幕末の開国以来、技術の導入と同時に新聞、雑誌が広く出版されるようになりました。最初は活版印刷、やがてリトグラフ、オフセット、写真製版と貪欲に技術を取り入れました。印刷技術の導入に合わせ、広告も発展しました。なかでも明治期の天狗煙草と村井煙草の競争は、今日の広告・宣伝におけるプロモーションの先駆けだったでしょう。
 1920年代、ドイツやロシアで広告・宣伝の技法が高度に発達しました。なかでもロシア・アバンギャルドと称される、共産主義の啓蒙を目的とした国家的なプロジェクトにおいて、今日のグラフィック・デザインに見られる表現技法のほとんどすべてが生まれています。その影響は世界中に広がりましたが、もっとも強い影響を受けたのは日本ではないでしょうか。

 ドイツの写真や宣伝における表現技法、ロシア・アバンギャルドの技法、これらを吸収し、高度に消化させたのが日本工房に集ったカメラマンやデザイナーであり、その成果が『NIPPON』だったわけです。その『NIPPON』関係の資料を多数展示するとあっては見逃せません。


 1930年代、名取洋之助の主宰する日本工房に集ったのは、木村伊兵衛、原弘、山名文夫、河野鷹思、熊田五郎、土門拳、藤本四八、亀倉雄策、高松甚二郎、小柳次一、松田正志らです。彼らは戦後のグラフィック・デザイン界を再生発展させた人士でもあります。戦後の日本グラフィック・デザインは世界で最高の評価を受けています。その萌芽が日本工房の仕事から看て取れます。また、難しい表現を保証するには高度な印刷技術が必要です。『NIPPON』は、その印刷水準の底上げにも寄与しています。今回の展覧会で知ったのですが、『NIPPON』のクライアントは鐘紡だそうです。潤沢な資金あればこそ、難しい印刷にチャレンジできたそうです。何度もやり直したりで、出版するたびに大きな赤字を出したそうです。そのような失敗を重ねることによって、日本の印刷技術もまた進歩し、欧米に伍せるようになったわけです。

 意外だったのは、亀倉雄策氏がまだまだ未熟だったことです。若き亀倉氏は日本工房でもまれ、失敗を重ねることによって成長したのでしょう。
 対して、山名文夫氏はさすがです。山名氏といえば資生堂の広告物ですね。しかし、『NIPPON』の構成やカットにみられる迫力や訴求力の強さアクの強さは、私の知る山名氏ではありませんでした。多分、戦前のグラフィック・デザイン界の頂点にあったのは山名氏です。今回、貴重な資料群を眺めて確信できました。
 また、若き河野鷹思氏も亀倉氏同様に、日本工房で大きく成長したのでしょう。若い彼らの熱気と情熱が作品を通じて伝わってきます。博覧会用の壁面コラージュには興奮させられました。ただ、亀倉氏のコラージュはいただけませんね。テーマ性がなく、とってつけたような作品です。会場の説明書きによると、氏もまた反省しきりだったそうです。


 ひさしぶりに感動を味わいました。しかし、この展覧会を地元の美術館が開催してくれたら助かったのですがねえ。まあ、マニア度の高い内容ですから、一般客の来場が見込まれないと、各所の美術館も避けたのでしょう。


 帰りの夜行バスに待ち時間があったので、キャナルシティ博多を訪ねました。この大型複合施設にはオープン当時から興味がありました。一度は見てみたいと思いながら、10年後にしてやっと鑑賞できました。
 キャナルの語源でもある“運河”や噴水などの水とマッチさせた設計の詳細を確認したかったのです。それと色彩コーディネートを実見したかったのです。多色を用いながらも、日本の伝統色の色調に収めているので統一感があります。建物のディテールは各エリアごとにデザインを変えています。でありながら、色彩が統一的にコントロールされているので強い凝縮感があります。
 日本全国、大型アミューズメント施設は数あれど、キャナルシティ博多は一歩抜きん出ていると思います。いい目の保養をさせて頂きました。
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弐百七拾五 胡錦濤の憂鬱(2006/12/2)
 江沢民前国家主席の後を継いだ胡錦濤主席は、いっとき権力縮小の憂き目をみたものの、上海閥潰しに成功しました。もはや胡錦濤体制は磐石路線へと走っています。


 中国はアフリカやアセアンに対して、経済援助や武器輸出(供与)を拡大しています。その点をして、日本は中国に外交面で後れを取っていると危惧する向きがあります。アフリカ援助の目的は石油やレアメタル確保です。また、外交問題で広汎な支持を得ることをも期待してのことです。中国の外交攻勢に、えらいこと危機感を募らせている方も多いみたいですが、私はさして心配する必要はないと思っています。

 スーダン、ルワンダ、コンゴ、ブルンジ、ソマリア等のアフリカ諸国は内戦と民族紛争に明け暮れています。そのようなアフリカに手出しするということは、イラクに足を掬われているアメリカと同じで、むしろ怖いことなのです。しかも旧宗主国であるヨーロッパ諸国の厳しい視線に晒されるでしょうし。中国もなにを好んでアフリカに介入するのでしょう。目先の資源問題に目が眩んでいるのでしょうか。
 かつての冷戦時代、ソ連もまたアフリカのレアメタルと国際的支持票を求めてアフリカに介入しました。で、結局さして得るものはなかったと思います。むしろ持ち出しだったでしょう。中国もまた、短絡的な外交攻勢の報いを受ける、あるいはツケを払わされる始末になる惧れが多分にあります。


 内政に目を向けると、これはもう悲惨な状況です。水質汚染に代表される公害問題は半端じゃないです。中国の無軌道さは河川のみならず、海洋さえもドブ化させています。中国国民の健康被害は危険水域をはるかに越えています。貴州全省の人口の半数がフッ素中毒に罹ってさえいます。貴州は中国でも最貧の部類に位置し、低品質の石炭エネルギーに頼らざるを得ない状況です。そのため、健康に悪いと分かっていながらも、住民は使用し続けています。

 養殖魚は生産業者でさえ口にしないという凄まじさです。また、中国産野菜は言うに及ばないでしょう。野菜や養殖魚は、いずれも輸出先で必ずといっていいほど安全基準に引っかかっています。


 政府、地方を問わず、党幹部の汚職と横領は全土で問題を起こしています。頻発する農民暴動は、その大半が土地収用と補償に関わるものです。住民を無視した開発計画による土地収用で住民を追い払い、補償はスズメの涙という勝手な手法なのです。これが農民の抗議と、これを鎮圧する武装警官の衝突を招いているわけです。
 最近、上海でも新規開発計画のあおりで日本企業が土地収用を受け、撤退を余儀なくされています。あれは別に日本企業をターゲットにしたものではなく、中国全土で日常的に行われている事象なのです。

 北京オリンピック需要が終われば、海外からの投資も大幅に減るでしょう。そのときにあって、胡錦濤政権は頭を抱えるしかないでしょう。ケ小平に始まる近代化政策は、江沢民時代に大きく躍進しました。しかし、それは開発のネガティブな面をすべて切り捨ててきた躍進なのです。そして胡錦濤政権は否応もなくその後始末をせざるを得ないのです。はたして可能か。もちろん不可能です。
 当然、日本に対する期待は高いものです。今後は日本との関係修復に大幅な譲歩をみせるのではないでしょうか。安倍政権成立以来の中国の舵取り修正に、大きな変化が見られるのもその故でしょう。
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弐百七拾四 ミサイル防衛、なんじゃらほい(2006/11/25)
 集団的自衛権の拡大解釈をめざす安倍首相は、ついに「日本の上空を通過して米国に向かう『米標的ミサイルを迎撃』することが、日本の憲法が禁じた集団的自衛権行使にあたるか研究する」と述べたそうです。

 この点に議論の余地はありません。他国を狙った通過ミサイルを打ち落とすのは、まぎれもなく集団的自衛権の行使に当たり、憲法上明らかな問題が生じます。安倍首相はアメリカの意を迎えるために、あまりに馬鹿なことをやっています。日米安保の片務性を正したいのであれば、真っ向から憲法論議を行うべきです。なし崩しの解釈でものごとを進めるのは、いい加減に止めて欲しいです。


 上の議論は憲法解釈云々以前に、基本的な認識が誤っています。アメリカを狙って日本上空を通過するミサイルとは何でしょうか。中国やロシアが発射したICBM、シベリアや中国東北部から発射されたIRBMはアメリカ本土に届きます。しかし、いずれも日本上空は通らないでしょう。唯一可能性があるのは、中国南部から狙った場合でしょう。ずいぶん偏ったテーゼですね。

 で、この宇宙空間を飛翔するICBMをMDで迎撃するのが、集団的自衛権行使の解釈から可能かどうかを研究するというのです。ね、馬鹿な話でしょう。技術的にも成立しえない仮定なのです。下図は分かりやすい例示です。



 数キロ先の道路を時速300キロで疾走するフォーミュラカーを視認し、それから軽自動車のエンジンをかけ、走り出します。これで前方の車を捕捉できるわけがありません。間違いなく通り過ぎているでしょう。しかもこの軽自動車は燃料切れ寸前で、前方の道路まで到達できないのです。
 日本上空を通過するICBMをMDで迎撃するというのは、このような構図なのです。論ずるも愚かな話でしょう。こんな戯けた話を、与党の政治家は真面目な顔をして語っているのです。それもこれもアメリカの顔色を伺い、飼い犬のように主人の意を迎えるためにです。こういうときこそ野党の出番なのですが、小沢党首はなにやら細々した揚げ足取りにしか興味がないみたいですし。
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弐百七拾参 千葉のロゴ:私の感性が曇っているのか(2006/11/19)
 千葉県の新しいロゴタイプが物議をかもしています。



 千葉県の企画部の説明によると、このロゴの意図は次のとおりです。
   「様々な魅力を持ちながらも、県全体としては垢抜けないなどと言われることもあった千葉県のイメージの一新を目指して、統一的に活用する新しいロゴを作成しました

 “ひらがな”を使えば、垢抜けないイメージを一新できるという考えが理解できません。私には、“ひらがな”からは抜き難い軽薄さが漂ってきて仕方ありません。さらには、このデザインはよく使われる書体ですけど、立ちバランスの悪さという致命的な欠点を持っています。もちろん使い道はあるにせよ、少なくとも県のロゴに耐え得る品性や完成度が得られるものではないと思います。

 制作デザイナーは仲條正義御大です。氏ははたして千葉県サイドの言い分に納得したのでしょうか。きっと納得したのでしょうね。納得できなかったのなら、自説を述べて、翻意を促すことも可能だったでしょう。あるいは知事の強い意向とあって、説得は諦めたのでしょうか。
 ロゴを“ひらがな”に決めたのは千葉県側だそうです。堂本暁子知事は次のとおり語っています。
 「まあ、例えば埼玉県は『彩の国』というようなかたちで売ってますけれど、そういった形で何かあだ名をつけたり、漢字を使ったり、色を使ったり、というのではなくて、そういった多様な千葉の持っているパワーをむしろこうしたデザインに凝縮しようということで、仲條さん、たびたび修正に修正を加えて、これをつくってくださいました

 整理すると、仲條氏の考えは下記のいずれかでしょう。
 1.“ひらがな”が千葉県の訴求イメージに相応しい。
 2.“ひらがな”は不適当だが、クライアントの意向をできるだけ活かしたい。
 3.“ひらがな”はダメダメだが、いい金になるから知ったことじゃない。
 このいずれかでしょう。1.だとすると私の感性が曇っているのでしょうか。2.なら同情します。3.なら軽蔑します。仲條氏の意見が聞きたいところです。

  このロゴに批判的な意見が集中していることについて、企画部担当者は次のよう述べています。
 「デザインをやっている人たちには好意的な評価をいただいていますが、(これだけ反響を呼ぶのは)意外だった。意図していたところを踏まえると、広報効果としてはあまり…

 このコメントで気になるのは、「デザインをやっている人たちには好意的な評価をいただいていますが‥‥」の部分です。これって本当なのでしょうか。多分、根拠のないいいわけだと思いますが。あるいは訊かれたデザイナーが、仲條氏に気兼ねして好意的なコメントを寄せたのでしょう。
 ただ、このロゴを良しとするデザイナーが一部存在するのは間違いありません。最近のこと、とうてい承服しかねる公共VIデザインを見かけました。

 青森県立美術館のVIがそれです。美術館のシンボルに文句はありません。いいシンボルだと思います。不愉快なのはロゴタイプとサインです。VIデザインを実施した菊地氏は、「前略−シンプルな構造の書体がもつ『わかりやすさ』から着想を得ており−後略」としています。で、ロゴやサインを見てください。このロゴを使用したインフォメーションが判りやすいでしょうか。私には読み辛くて仕方ありません。サインもまた、判断に迷うようなデザインです。紹介Web頁だけでなく、サインのすべてを確認すると、私の感想に同意していただけると思います。

 で、このロゴが前述の千葉県のロゴと同類の書体なわけです。仲條氏も菊地氏も似た感性の持ち主なのでしょう。これに同意できない私の感性は曇っているのでしょうか。いいえ、悲観はしません。きっと大多数の日本人が曇った感性の持ち主でしょうから。皮肉ですけどね。
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弐百七拾弐 イラクの今後(2006/11/12)
 アメリカの中間選挙で、上下両院とも民主党が勝利しました。ブッシュ政権のイラク政策は難しいことになります。イラク撤退は絶対にできないことです。もし撤退すれば、アメリカの外交・軍事に関わる威信はゼロになるだけでなく、残されたイラク国民は醜い権力闘争の的となるでしょう。それが判っている以上、アメリカは退くに退けません。

 私は昔から、独裁国家のネガティブな面と、独裁国家ならではのポジティブな面を比較して、どちらが正しいか判断がつかないとしてきました。今のイラク情勢は戦前から予想できたことです。宗派対立というか、地縁対立はどこの国にもあることです。これが内戦を引き起こした例は枚挙に暇がありません。さらにはクルド人という人種対立まで抱え、平穏に収まりがつくことはないでしょう。

 ここはユーゴ方式でいくしかないと思うのですがねえ。シーア派、スンニ派、クルド人と3地域に分けて分割統治、あるいは3国独立方式しかないと思います。ただ、これだとトルコが反対するでしょうね。同じクルド人問題を抱えていて、隣にクルド人の国家が成立するのは許容し難いでしょう。あるいはシーア派に対して、イランが同盟を持ちかけるなんてえのは、アメリカが絶対許すことのできないことでしょう。
 結局、アメリカはイラクの政体を自分の意に沿う形に留め置くため、血を流し続けなければならないのでしょう。難儀な話です。中東の民主化などと、無理な話だっちゅうの。周辺にはサウジやクェートなどの王制が存在し、シリアやヨルダンもまた民主国家に程遠い政体です。イラクでのテロ支援といえば、サウジやイランも精を出していることでしょう。


 ベトナムでは、アメリカはすべてを投げ出すことができました。結果は、決して悲観すべきことではなかったと思います。同族の北に吸収されただけです。北は長きに渡るソ連の支援に対して、カムラン湾の使用権を与えたり、ベトナム人をシベリアに派遣して労働力で支払ったりしました。貧しいなりの知恵でした。統一後は長く貧しい時期を過ごしましたが、すくなくとも内戦などの混乱はなく、平和な時代を過ごせたのです。
 ところがイラクではそうはいきません。アメリカが撤退すれば、制御不能の状態に陥り、周辺諸国の思惑が入り乱れ、様々な介入が為されるでしょう。撤退の選択肢が事実上存在しないという怖い話です。かといって民主党が議会で勝利した形勢下、国民に対してなんらかのケジメを見せる必要があるでしょう。

 予測されていたこととはいえ、フセイン政権打倒はまさにパンドラの箱でした。ブッシュ大統領も今になって、パウエル元国務長官の進言を退けたことを後悔しているのでしょうか。
 う〜ん。パウエルさん、次期大統領候補として立ってくれんかねえ。史上初の黒人大統領という点もオツだしさあ。
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弐百七拾壱 SY-Λ88U復活間近(2006/11/3)
 最悪の体調を、この連休で元に戻す予定です。とはいえ、なかなかのんびりできません。今日は納屋の屋根修理をやってました。漆喰で以って、瓦のずれや割れを塞ぎました。身体が本調子でないので、少し無理をしただけで、ガタガタレベルに落ち込みます。もう俺って駄目かも。これが寄る年波ってやつなのかなあ。


 レコード再生でのウーファ・コーン揺動の原因は、やはりPHONOスイッチ不良でした。シンクロスコープは接触不良のもたらすダメージをあからさまにします。怖くなるほどのノイズが発生しています。耳には聴こえない低周波成分です。
 スイッチの分解清掃でどうにかなるものではありません。数ヶ月もすれば、症状がぶり返すはずです。そこで、MM(47KΩ)を直結にしました。MM(100KΩ)、MC(10/100Ω)は、もはや利用できません。残念ですが、もはやこの手しかないでしょう。

 今回、SY-Λ88Uの内部を開いてショックを受けました。2年前の時点では問題のなかった電解コンデンサが脹らんでいたのです。これは放置できません。そこで、若松通商でコンデンサを買いました。ELNAの音響用と三洋のOSコンです。下図は届いたコンデンサ40ケの勇姿です。電源部は大容量、高耐圧品が必要で、当然のこと高くつきます。総額で3万円ほどです。



 Λやu-Λは健在です。今回の電解コン交換で、きっと音はリフレッシュされるでしょう。う〜ん、楽しみ。


 先ほど「ダ・ヴィンチ・コード」を観終えました。仏教徒であり、神社の氏子である私には、キリスト教はピンときません。多分、原作においては、物語進行上の違和感とか齟齬はないのでしょう。映画は2時間前後に話を収める関係上、どうしても無理が出てくるのでしょうね。画質はあまり良くないです。



 「ダ・ヴィンチ・コード」の日本版は可能です。南北朝の正統性の諍いをテーマにすれば、日本人にとってはより切迫感を感じさせる映画が創れるでしょう。南北朝正閏論争には、かなりきわどい部分が存在するのではないでしょうか。南北それぞれの皇族集団、宮内庁、政府、さらにはGHQの遺志を継ぐCIAの面々、これらが表面的には雌伏しながらも、裏で蠢き、暗闘を繰り返している。しかも、愛子内親王がらみでの女性天皇論が出たこともあって、熊澤(南朝)一派は一気に動き出そうとしている‥‥
 いかがなものでしょうか。鎌倉期から室町期の朝廷の事情や、天皇家の祭事における男子の重要性や、戦後のGHQの動きなどの薀蓄を散りばめたら、「ダ・ヴィンチ・コード」以上にヒストリックな映画に仕上がるんじゃないかな。もっとも、右翼による製作妨害や上映禁止圧力は凄まじいものになるでしょうが。
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弐百七拾  障害者技能競技大会(アビリンピック)終了(2006/10/29)
 昨日のこと、第29回アビリンピックが開催されました。県下3会場に分かれて実施された32職種のうち、私は「DTP」の競技補佐員を務めました。
 先週の技能五輪の疲れが残っている中でのお仕事は、さすがにこたえました。しまいには腰はバキバキ、背中はパリパリ、脚は無感覚になりました。それでも、有意義な大会の進行に関われたことは喜びでもあります。

 DTP競技の参加者は10名です。なお、来年の世界大会への参加決定済み選手が2名ゲストで加わりました。課題はA4チラシによる開店広告の制作です。なにぶん3時間という競技時間内に完成させなくてはなりません。健常者であっても厳しい条件です。ハンデを負っての作業だけに、関係者も気を使います。作業環境の整備には細心の注意を払いました。さいわい、専門のSEが補佐の一員に加わってくれたし、競技専門委員には国立リハビリセンターの先生もいました。おかげで心強いものです。

 今回は競技に対して万全を期さなければなりません。競技係にも気を抜くことが許されない関係から、写真を撮ることができませんでした。下の写真は競技開始前のものです。


広い体育館で6職種が行われました。右手前がDTPです。


ここです。G5Mac、メモリ1.5G、AdobeのCS2体験版による作業です。右側の方がサポートを務めてくれました。

金賞受賞者は長野県の代表選手で、聴覚障害のある女性です。手際のよさが目立っていました。本県の代表は残念ながら受賞を逃しました。仕方ないです。普段は帳票なんかを作成している方で、デザインや造形面の経験がないのですから。それと、指導した私の力不足です。 m(__)m <すべて私が悪いのです

 どの競技を見ても、選手の課題制作物は立派なものです。こと仕事に関して、彼ら(彼女ら)にハンデは関係ありません。一人前以上のスキルで健常者に互しています。ただ、彼らが普通に生活できる環境の整備を整えればいいだけです。最近はバリアフリーが進んでいます。それでも、問題は残っており、彼らの生活空間を狭めています。私自身、車椅子での街中移動の体験があります。こればっかりは体験してみないと問題点が分かりません。


高校の必修科目未履修
 馬鹿な話です。迂闊というも愚かなことです。この件は耐震偽装問題と同根です。もしものことを考えたら、絶対にできないはずです。生徒が卒業できないことにでもなれば、責任の取りようがありません。
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弐百六拾九 技能五輪競技終了(2006/10/22)
 つい先ほど2006年技能五輪全国大会の競技がすべて終了しました。帰宅して寛ぐ間もなくアップしています。ここ数日間は7時に会場を開くため、久々の早起きモードでした。やっと朝寝ができます。
 私が会場係を担当したのは「広告美術(屋外広告)」です。全国から12名の若い選手が集いました。23歳以下の出場規定のため、ベテランは該当しません。本県代表の高校1年生は最年少です。しかも中間テスト期間中とあって、選手には多大な迷惑をかけました。親父さん(グラフィック・デザイナー)がよくできた方で、「五輪競技の方に傾注しなさい。試験は欠点さえ取らなければいい」と言ってくれたそうです。

 競技時間は第一日目が8時間、二日目が3時間(減点対象の延長が30分)で、最長11時間30分で仕上げなければいけません。これはとても難しい条件です。また課題が例年になく難度が高いものでした。競技の最高責任者である主査の説明によると、来年静岡で行われる世界大会予選を兼ねているために、ふるいにかける難度設定にしたそうです。
 能書きはともかく、競技の模様をご覧ください。


競技会場のひとつ、サンポート高松で開催されました。入り口から真っ直ぐ入った所とあって来場者数は最高でした。


課題説明を受ける参加選手たち。女性10名に男性2名です。


銅賞受賞  静岡県の選手作品です。静岡は来年の世界大会開催県とあって、2名参加の力の入れようです。静岡放送も二日間にわたって取材していました。しかも、競技委員が静岡県広告美術業協同組合の理事長であり、同時に全国広告美術技能士連合会会長ですから、責任も感じてのプッシュなのでしょう。


敢闘賞受賞  福島県の選手作品です。可愛い娘でした。おっと、これは審査に関係ありません。


山口県の選手作品です。山口県は昨年度の開催県なので、過去の熱気のままに3名が参加してくれました。学生さんです。


敢闘賞受賞  山口県の選手です。他県の方には判り辛い図案でしょう。朝日を迎える八栗さんを、お遍路さんが辿る構図です。


香川県代表選手作品です。競技当日、体調不調に見舞われながらの健闘でした。他の選手と違って、なんの経験もない状態から、数ヶ月の特訓でここまで到達しました。脱帽。


北海道の選手作品です。私どもと同じ職業能力開発校の学生さんです。


敢闘賞受賞  山形県の選手作品です。小豆島名産のオリーブをモチーフに扱っています。


金賞受賞  静岡県の選手作品です。実に手際がよく、スピードが一等地を抜きん出ていました。骨材入りの塗料を必ず使用しなければいけません。右側の自由課題の外周部にレリーフのように盛っています。


山口県の選手作品です。この方も学生さんです。高松にある玉藻城の夜景ですね。


山口県の選手作品です。同じく学生さんです。


銀賞受賞  北海道から出場の男性です。手際が良かったなあ。類似色を扱っており、玄人好みの配色です。


銅賞受賞  北海道の職業能力開発校の学生さんです。この画像では判別し難いのですが、右側の自由課題部分は心地よいグラデーションです。そのかわり、縦帯のグラデーションは諧調が偏っています。


二日間にわたって賑わった会場です。

 選手名簿が手元にないので簡単な説明です。明日にでも詳細な説明を加えようと思っています。

 審査は終わっていますが、発表は明日です。私も結果が楽しみです。結果も明日にでもアップします。とりあえず、今回の大会の最速ニュースとしてお伝えします。
 このように有意義な大会のお世話ができたことは、私にとっても望外の喜びです。また、大会推進に尽力された方々や、競技実施を担当された業界団体関係者のお骨折りにも感謝致します。

10/23 作品キャプション追加
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弐百六拾八 北の核(2006/10/13)
 この土日は多忙なので、早めのアップをします。

 ついに北朝鮮が核実験を実施しました。爆発規模は各国の推測によると、最小で0.5kt、最大で15ktまでの大きな幅をもっています。実験場所の地質が不明な以上、正確な推定は無理です。とにかく言えることは、爆発規模が小さいことから、核爆発がうまくいかなかったと考えるべきです。

 ・ ウラン濃縮が充分でない
 ・ プルトニウムの起爆装置の精度が低い
 ・ 核でなく、大量の通常火薬を爆発させた

 爆発規模の小ささの理由として、上記のようなことが考えられます。北当局が実験の詳細を発表しない以上、本当のところは分かりません。

 これを受けて騒ぐ必要はありません。現時点では、北朝鮮が核兵器を保有していると認定できません。核爆発を想定どおり安定的に実施できたとき、初めて核兵器を保有したとみなすべきです。つまり複数回の核実験を成功させる必要があります。まだ北は成功していないのです。仮にロケット打上げで失敗しながら、ロケット運用技術を持っていると強弁しても、誰も信用しないでしょう。話は同じです。
 つまり核の保有国ではあるものの、核兵器の保有国ではないのです。この点では日本も同じです。現に日本は相当量のプルトニウムを保有しているはずです。しかも起爆装置の設計加工技術は充分にあることから、“潜在的核保有国”とみなされているわけです。


 私が不見識だと思うのは、政治家などで以前から「北朝鮮は核兵器を保有している」と公言する方がいたことです。核実験をクリアしていない状態で、なぜ核兵器を保有しているなどと定義するのか。モノを知らないにもほどがあります。
 今後注目すべきは、核実験の継続の有無です。失敗を繰り返すことによって、貴重なデータも得られるだろうし、問題点も潰してゆけます。また、失敗の先にある成功は、紛れもなく本物です。そのときこそ、完全な北朝鮮封じ込めが求められるでしょう。資材の輸入の遮断と核兵器輸出の阻止が周辺諸国協同のもとに実施されなければなりません。
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弐百六拾七 イベント目白押し(2006/10/8)
 今月の20日(金)〜23日(月)にかけて、「2006技能五輪大会」が開催されます。また、27日(金)〜29日(日)にかけては、「2006アビリンピック大会」が併催されます。

 ちなみに私は関係者でして、技能五輪の「広告美術」競技係を担当し、アビリンピックの「DTP」競技補佐員を拝命しています。数年前から準備を始めた大会も本番直前となり、最後の詰めにかかっています。今回の大会は、2007年に静岡県で開催される技能五輪国際大会の予選会を兼ねています。それだけに出場選手や団体の意気込みも半端でなく、我々関係者一同も身の引き締まる思いです。

 世界大会における日本の水準は高く、スイスや韓国と並ぶ上位受賞国の常連です。もし、この大会で日本が低位に位置するのが普通になったとしたら、そのときこそ日本という国家の終焉でしょう。“ものづくり”こそが日本の拠って立つ基盤だけに、技能レベルの維持向上は生命線といっていいものでしょう。スポーツ五輪でメダルを取れなくたって、どうでもいいじゃないですか。なんの実害もありません。しかし、技能水準が低下したら、もう洒落ではすみません。


 一方、地元の祭事でもイベントが迫っています。今年は私の住む自治会が大当たりでして、獅子の当元と大祭りの頭屋の両方の当番になっています。
 来週の土日が本番で、今朝は早くから神社の大掃除と下拵えに追われていました。先ほど帰ってきたところです。もう腰が痛くて立つ気も起こりません。手の皮はペロンと剥けています。

 最近は焚き火もままなりません。新しく町内に住み始めた非農家の方々は、大半が氏子になっていません。当然のこと、神事に対する理解などありません。境内の掃除で大量に出たゴミや落ち葉を燃やすこともできず、地元まで持ち帰って燃やします。最近は焚き火の煙、田圃の予防でさえクレームの対象になります。ホント、せちがらい世の中になったものです。
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弐百六拾六 「マイ・フェア・レディ」とメイド娘(2006/9/30)
 最近はつまんない映画ばかりで、相も変わらず旧い名画に逃げています。名画は外れがないので安心です。

 今日は「マイ・フェア・レディ」を観劇しました。3時間弱の大作です。以前に見たのは中学時分だったでしょうか。ガキの時分には気づかなかったことも、この歳になるとよく理解できます。
 「チェルシー」だとか、「ハンプトンコート」、「チェルトナム生まれ」だのの地名や用語の意味するところが分かります。また、イギリスの階級社会の歴史や現実も理解できるだけに、映画の趣旨にもより共鳴できます。また、アスコットとくれば、「ああ、競馬場へ行くんだなあ」などと、フランシスの小説とかぶります。

 オードリー・ヘプバーンはすごい女優ですね。改めて再認識しました。演技力は半端じゃありません。この映画はコメディ調のミュージカルです。ですから演出は必然的に過剰なものです。でありながら、誇張された人物造形を巧みに活写し、自然な佇まいで表現しています。

 下図は花売り娘が言語学者と紳士の指導を受け、第一級のレディへと変身する様です。
(C) Warner Bros

下町言葉を駆使する花売り娘


正統英語を身につけるものの、マナーまでは手がまわらず。


ハンガリー王女と見紛うばかりの変貌


 へプバーンはさておいて、私の周辺のレディを紹介します。くれぐれもへプバーンと比べないでください。



 先日のこと、めでたく卒業した教え子たちです。このメイド姿が当方の制服です。なわけなくて、修了式後のひとこまです。例年であればスーツ姿が一般的なのですが、なにを思ってかお揃いのメイド姿で決めてくれました。年齢的に厳しいんじゃない‥‥とは、口が裂けても言えません。いい目の保養にもなりましたし。

 就職はいっときほどでないにしろ、まだまだ厳しくもあり、就職活動は継続中です。彼女たちの夢の成就を祈っています。
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弐百六拾五 可聴帯域(2006/9/23)
 GT-2000は快調です。下図のような具合で大活躍しています。まずは、勇姿といったところでしょう。



 自作インシュレータのハウリング・マージンが8dB程度ということもあり、ボリューム最大でもハウリングは起きません。アクリル・カバーの厚みは4〜5mmもあります。オーディオ懐古録によると、カバーだけで2kgだそうです。ちなみにこのカバーは、ほとんど擦り傷のない美品です。

 レコード外周部で起こるウーファ・コーンの揺動は、プリアンプのPHONOセレクタ不良が原因の模様です。ガリが出ており、スイッチの切り替えを繰り返すことによって、一時的にガリが収まります。そのとき、コーンの揺れも緩和されます。スイッチの分解清掃が必要です。それと、プリのラインOUTかパワー段のラインINのどちらかにコンデンサを挿入し、DCを根本的にカットしようと考えています。一応、プリにはサブソニック・フィルターがあるし、パワー(プリメインをパワーとして使用)にはDC入力時の保護回路があります。でも、直流や低周波成分を根本的に除くのが正解でしょう。作業は例によって、電子系同僚にお任せします。その同僚は今のところ多忙ですから、暇になったらお願いしようっと。


 人間の可聴範囲は、通常20Hz〜20KHzといわれています。もちろんこれには個人差があります。生まれついての聴力差、生活環境による差、耳への負担(酷使)による差などです。大人ともなると、その差は極めて大きいです。40代ですでに15KHzが聴こえない人間は珍しくもありません。さらに年をとると、10KHzも怪しくなります。低域も同様で、40Hz以下の超低域が聴こえない方は多いみたいです。
 で、オーディオ評論家の書いている文章を読むと、どうも彼らは可聴帯域が狭いとしか思えないのです。これは無理もないというか、当然でしょう。評論家、それも一線級の方々はいずれも60歳以上です。しかも彼らは若い頃から日々音を聴き暮らしてきたのです。ただでさえ加齢による聴力の衰えが甚だしいうえ、酷使による劣化は職業病と言っていいほどのものでしょう。これで聴力がまともだったら、むしろ異常です。

 超低域の説明として、「空気の震える雰囲気が付加されるのであって、音としては明確なものでない」というものがあります。こういう文章を書いている評論家は、超低域がまともに聴こえていないと思って間違いないでしょう。
 超低域にも音階は明瞭にあるし、楽器による音色の違いもあります。もっとも再生できる楽器は限られています。パイプオルガン、コントラバス、大太鼓、マリンバといったところでしょう。シンセサイザーはもちろん可能です。あとは楽器以外の衝撃音や振動音でしょう。これには爆発音や排気音などが含まれ、オーディオマニアの好む音です。私もそうですけど、音楽だけでなく音そのもを楽しんだりします。
 私はそのような超低域成分が含まれたソースをたくさん所有しています。下図はその一枚の「ツァラトゥストラはかく語りき」です。



 フィリップスレコードの「オーディオ・クリニック・シリーズ」の一枚で、かなり昔に購入したものです。一度聴いたきりでお蔵入りしていました。以前の私のシステムでは充分な再生ができず、楽しめなかったのです。今回、パイプオルガンの再生に自信がもてたので、満を持して聴いてみました。
 冒頭の2分間の前奏がポイントです。前奏の間中、パイプオルガンによる33Hzの低い音が鳴り続けます。これがまるで呼吸するような鳴り方で、ピアニッシモの弱音に関わらず、ホールを圧しています。こんな明快な音調なのに、「超低域は音色などなく、明確に聴き取れる音でない」などと恥ずかしげもなく言えるものです。これだからオーディオ評論家ってあてにならないんだなあ。

 高域にも同様のことが言えます。10KHz以上が聴こえないと倍音成分が感じ取れません。すると得てして音がきつくなりがちです。これでは機器評価の軸そのものが、最初から偏っていることになります。ちなみに評論家の故長岡鉄男氏は、晩年は試聴時にスタッフや同席した人間に音の感想を求めて参考にしていたそうです。氏の場合は、衰えを自覚して引退を表明していたのを、出版社が許してくれず、仕事の継続を余儀なくされた由とのことです。まあ、これが正しい姿勢でしょう。


 偉そうなことを書いていますが、私は未だに広い可聴帯域を確保しています。下は20Hz、上は20KHzも明瞭に聴き取れます。ってことは、それを超える帯域も聴こえるはずです。いきなり当該周波数から聴こえ始めるものじゃあないでしょうからね。

 今回このようなことを書いたのは、某オーディオ雑誌でワイドレンジ特集があり、スーパーウーファやスーパーツィータの試聴記が書かれていたからです。帯域不足の耳で試聴するということは、言葉を変えると偏った帯域バランスの耳で判断することになります。そんなんでいいのかなあ、大いに疑問です。
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弐百六拾四 疲れた(2006/9/17)
 今日のこと、法事を滞りなく終えました。祖父の17回忌と祖母の7回忌を兼ねた法事です。別々にやるのは大変なので、一緒にやった次第です。
 以前から取組んでいた壁リフォームは、法事で親類が参集するとあっての作業だったのです。3週間かかりました。モルタルを100kg余り、漆喰を8kg強使いました。ここ3週間というもの、壁のリフォームと法事の準備に追われてくたびれ果てました。

 明日は明日で、アビリンピック(障害者技能五輪)代表選手に対する強化練習の指導に駆り出されます。“障害者の生き様”で記述した方が本県の代表選手です。強化練習はすでに2回実施しました。なにぶん耳が不自由な方であるため、うまく指導ができません。というか、私の指導力不足です。明日は最後なので、きっちりやりたいと思っています。


 GT-2000は素晴らしいです。ただ、レコード外周部で発生するコーンの揺動現象の原因がつかめません。オーディオ系サイトの掲示板にも質問を投げかけたものの、やはり誰もが未体験のようです。
 「アームを組み付け直せば」とのご意見も頂いているので、フォノケーブル交換の際にやってみる予定です。あと、プリアンプのライン出力かパワーアンプのライン入力にコンデンサを入れて、DCカットもやってみるべきかとも考えています。それで駄目なら打つ手なしです。そのときは、音量に気をつけて音楽を聴くことにします。
 アームとシェルが一体だと思ったのは勘違いでした。ネジで緩めての位置調整が可能でした。一体何を見ているのやら。前ユーザはシートにパイオニアのJP501を載せていました。これでJP501が2枚になりました。ラッキー \(^o^)/


 今年度前期生の修了式が迫っています。今年の修了式のBGMを何にするか。松山千春の「大空と大地の中で」が候補に上がっています。同僚がレコードを所持しているので、私がテープに録音することになりました。うん、あれはいい歌ですね。多分、嫌いな方はいないでしょう。誰か泣いてくれないかなあ。以前、「遠い世界に」を流したときは、若干一名が泣いてくれました。涙を見れば、私も手間をかけた甲斐があるというものです。
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弐百六拾参 GT-2000試聴(2006/9/9)
 カートリッジをシェルター501Uに取り替えて、本格的に試聴しました。

 カートリッジ交換は苦行です。シェルとアームは一体ですから、天板とシェルとの間7cmばかりの空間での作業を強いられます。もう二度とやりたくないです。

 GT-2000の耐ハウリング性は完璧です。強靭な重量キャビネット、分厚いカバー、剛性の高いインシュレーターによって、ボリューム最大でもハウリングは起きません。それでも何故かレコード最外周部で、ウーファが大きく揺さぶられます。原因が判りません。トラッキング・エラーなのでしょうか。オーバーハングは14mmにしています。というか、シェル穴が2ヶ所しかないし、シェルが一体型のため調整のやりようがありません。

 低域方向へのレンジが拡大されました。おかげで低音楽器の腰が据わりました。しかもソリッド感というか、マスの凝縮感が増しました。一方で、空気感や透明感もより強まりました。また、情報量も増しています。多数の楽器が重なる際の解像度も向上しており、混濁したり、マスクされることがなくなりました。
 プレーヤーやアームのグレードアップ効果がはっきり体感できます。オークションでプレーヤーを探し続けた甲斐がありました。


 そこで、従来の私のシステムでは再生が難しかった楽器にチャレンジしてみました。難しいのはピアノとオルガンです。次のレコードは、25年前に出たアルゲリッチの有名な演奏です。指揮はコンドラシンです。



 当時、ダイナミックな演奏と録音の優秀さがもて囃されました。演奏は確かに素晴らしいです。私はピアノのことは判りませんけど、この演奏が名演であるのは理解できます。ところが、私の装置では、さしていい音で鳴ってくれなかったのです。
 で、GT-2000での試聴ですが、やはりもうひとつでした。本当に優秀録音なのでしょうかねえ。ピアニッシモは聴き取り辛いし、フォルテッシモは抜けが悪いです。私には、録音が悪いとしか思えません。

 気を取り直して、別のレコードで確認しました。次はイエルク・デームス演奏のお得な名曲集です。これも優秀録音の定評があったレコードです。22年前に買ったものです。



 曲目は涎の出そうな名曲ばかりです。「エリーゼのために」「調子のよい鍛冶屋」「トルコ行進曲」「トロイメライ」「月光の光」「ユモレスク」「乙女の祈り」「子犬のワルツ」その他多数です。
 初めて我が家で、ピアノがピアノらしく鳴りました。ピアノは打楽器であり、同時に弦楽器でもあります。しかも音域が広いため、音の表情が極めて多面的です。そんなピアノの特質を余すところなく再現してくれます。このレコードは演奏はもとより、録音が素晴らしいです。やはり前述のアルゲリッチのレコードが冴えないのは私の装置のせいではない模様です。

 次にパイプオルガンをかけました。以前にも紹介したテラークのサン=サーンス「オルガン交響曲」です。



 オルガンもまた、初めてうまく鳴りました。もともと大型のパイプオルガンは、超低域まで再生します。これをきちんと再生することによって、ホールの空気を伝わるオルガンの音が生きてくるのです。ピアニッシモのパートでさえ、空気を揺らして迫ってきます。シェルター501Uは溝に刻まれた情報を余すとこなく拾い上げ、GT-2000は得られた情報を余裕で伝えてくれます。

 ここのところCDは一切聴いていません。極上のアナログサウンドに耳が馴染んだら、CDは聴けたものではありません。これからは、機器の良し悪しを思い煩うことがありません。音楽だけを純粋に楽しめそうです。
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弐百六拾弐 GT-2000補修完了(2006/9/5)
 一昨日到着したGT-2000の補修が完了しました。前ユーザは標準電源ケーブルを外していました。これを下図のとおり、3.5スケアのキャプタイヤと防水プラグで直しました。



 GT-2000のがっしりした造りに相応しい電源ケーブルでしょう。分厚いキャビネットです。しかもソリッド構造ですからこたえられません。裏蓋も25mmほどの重いカバーでした。

 そこで問題が起こりました。基盤上のAC端子まで外されていたのです。そこで、下図のような工夫で、基盤→細い線材→キャプタイヤと接続しました。
 このあたりは同僚が工作してくれました。この同僚もオーディオ趣味ですから話が早いです。ちなみに氏は、JBLの15inchウーファ(アルニコ)を自作ネットワークで鳴らしています。



 帰宅後、セッティングを終えるやすぐに試聴しました。とりあえず、おまけで付いてきたDL-103Rでそのまま鳴らしました。
 快感です。分厚くソリッドな音です。しかも音像に揺るぎがありません。DL-103Rはそれほど大したカートリッジじゃないでしょう。でも、「もう、これで十分かな」と思わせられるレベルです。さらに感心したのは、レコードのスクラッチ・ノイズが少なくなっている点です。優秀なアームはSNがいいと話には聞いていましたが、まさに事実でした。

 インサイドフォース・キャンセラーの設定など、マニュアルがないと困ることもありますが、今は同好の士がWebに情報を載せてくれているので助かります。GT-2000の運用について、いろいろ調べさせていただきました。感謝 m(__)m

 今週末には、いよいよカートリッジをシェルターの501Uに変更します。きっと眼から鱗が落ちるんじゃないかと楽しみにしています。それとフォノ・ケーブルを手配しなければいけません。また、U-Station21 にお世話にならなくてはね。
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弐百六拾壱 GT-2000入手(2006/9/3)
 先週、オークションでアナログプレーヤーを手に入れました。いえ、まだ届いていません。今夜到着の予定です。落札したのはGT-2000のストレート・アーム仕様です。ストレート・アーム仕様、しかも美品ともなれば、普通は15万円以上までいきます。それが、ありえないような安い価格で落札できました。落札価格を書くと、高額で手に入れた方の怒りを買いそうです。みんなに敬遠されたのは、電源ケーブルを外していたからです。下図がそれです。まだ現物がないので、オークションの写真を拝借します。







 アームはパイプ部を交換した改造品でしょうか。よく知らないので現物で確認してみます。
 全体的に美品かと思われます。前ユーザはマニアだったのでしょう。外部電源(YOP-1)で使用していたそうです。外部電源は別に出品されていました。そのため、純正ケーブルが邪魔で外したのでしょう。写真ではケーブル穴を塞いでいます。

 電源ケーブルを繋げば動作するものと思われます。もし、動かなかったら、そのときは泣きます (;_;) というか、あらためて外部電源を探します。
 多分、大丈夫でしょう。すでに動力線用キャプタイヤと防水プラグを準備しています。なにぶん保安部品なので、工作は同僚にお願いします。電気の専門家が身近にいるので助かります。もし、そのような知人がいなければ、私もこの出品物には手を出さなかったでしょう。

 憧れってほどではないにしろ、GT-2000のストレート・アーム仕様なら文句ありません。これでやっとアガリとなれそうです。なんか肩の荷が下りたというか、楽しみが終わってしまったというか、淋しくもあります。


 現有のQL-A70をどうするか。大幅な改造品なので、オークションに出品するのは気がひけます。まあ、保存しておいて、アナログを始める方がいれば提供しようと考えています。


2006/9/3 17:00 追加
 つい先ほど届きましたので、画像を差し替えました。
 梱包は宅配業者に任せたみたいですが、大問題です。ターンテーブルを外さずに送ってきました。出品者には念押ししていたのですがねえ。残念ですが、出品者には「悪い」評価を入れました。
 背面の標準電源ケーブルが外されています。キャプタイヤが通るかどうか難しいところです。最悪の場合、内径を削る必要があります。程度は美品とまではいきません。目立つ瑕疵はないものの、塗装剥げや細かい擦り傷が散見されます。
 アームはどうやら、オプションのYSA-1のようです。なお、おまけとして、オーディオテクニカのディスク・スタビライザー AT638 とスウェーデン製の回転数チェック用ディスク・パックが付きました。また、付属のカートリッジはDENONのDL-103Rです。これで動作すれば、超お買い得品です。
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