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五百四拾   オールディーズ(2011/12/17)
五百参拾九  コット雪辱(2011/12/11)
五百参拾八  「シャイニング」続編執筆(2011/12/3)
五百参拾七  年齢を重ねるということ(2011/11/27)
五百参拾六  日本シリーズ堪能しています(2011/11/19)
五百参拾五  第59回全日本剣道選手権大会(2011/11/6)
五百参拾四  がっかり、キングの「不眠症」(2011/10/29)
五百参拾参  「ほこ×たて」最強決戦(2011/10/23)
五百参拾弐  技能五輪は韓国優勢(2011/10/15)
五百参拾壱  ジョブズ氏、逝く(2011/10/9)
五百参拾   西岡vsマルケス ラスベガス決戦(2011/10/2)
五百弐拾九  銀行ミステリーは池井戸潤(2011/9/24)
五百弐拾八  メイウェザーって強いんだけどさあ(2011/9/18)
五百弐拾七  911という悲劇(2011/9/11)
五百弐拾六  台風とJRのバカヤロ(2011/9/4)
五百弐拾五  「ほこ×たて」礼賛(2011/8/21)
五百弐拾四  技術の流出と製造業の凋落(2011/8/13)
五百弐拾参  進歩か退化か(2011/8/6)
五百弐拾弐  大スポvs阪大(2011/7/31)
五百弐拾壱  フィールド・オブ・ドリーム(2011/7/23)




五百四拾   オールディーズ(2011/12/17)
 由紀さおり氏の「夜明けのスキャット」が世界的なヒットとなっています。この曲は1969年に発売されました。ちょうど、ビートルズが解散する前年です。
 私にとって、このあたりの曲はリアルタイムで聴いたものなので、オールディーズの感がありません。でも世間一般では、紛れもなくオールディーズなのでしょう。私にしても、外国曲であれば1960年代は確かにオールディーズですね。

 You Tubeで、「夜明けのスキャット」を聴いたとき、隣に類似のオールディーズが表示されており、懐かしくなって、いろいろ検索してしまいました。
 私自身、50〜60年代オールディーズの大ファンです。レコードやテープ、CDをたくさん所持しています。特にCDは、CD黎明期に各レコード会社が自社コレクションを片端からリリースしたので、その機会にたくさん購入しました。それも、各社競ってお得なベスト盤として発売しました。いちファンとしては美味しかったです。

アイドルを探せ」 シルビィ・バルタン
 シルビィといえば、「あなたのとりこ」も好きで、どちらと問われれば困ります。あえて言うなら、ティーンエイジの初々しさに溢れた「アイドルを探せ」かな。映像でも分かる“すきっ歯”がまたチャーミングです。
 「あなたのとりこ」はオーディオチェックにも利用しています。ボーカルの高域再生のチェックに使っています。いいツィータで高調波を重ねないと、この曲の高音域はうまく再生できません。荒い中音域と荒い高域の組み合わせだと、耳に突き刺さることでしょう。それを緩和しようとレベルを下げると、シルビィの伸びきりのよい声が死んでしまいます。けっこう難しいものですよ。

悲しき雨音」 カスケーズ
 この曲を嫌いな方はいないでしょう。教え子でバンドをやっていた奴もこの曲が好きで、よく演奏していました。

Runaway(悲しき街角)」 デル・シャノン
 これも60年代初頭を代表する傑作ですね。もう40年以上聴き暮らしていますが、未だに飽きません。

花のサンフランシスコ」 スコット・マッケンジー
 この曲は、60年代後半のベトナム反戦や公民権運動などの厳しい世相の中で、聴く者に温くもりを与えてくれた曲です。私はレコード、テープ、CDと時代時代でメディアを購入しました。

ミセス・ロビンソン」 サイモン&ガーファンクル
 サイモンとガーファンクルの曲の中で、これが一番好きです。

Daydream Believer(デイドリーム・ビリーバー)」 ザ・モンキーズ
 瞬間的な人気の沸騰ぶりは、ビートルズさえ凌いでいたかと思います。この曲、若い方でもご存知でしょう。でも、モンキーズのこの元歌は知らんだろうな。
 外にも「モンキーズのテーマ」や「恋の終列車」などのスーパー・ヒットがありました。30分のTV番組までありましたから。子供心にも、モンキーズは格好良かったです。

Sweet Caroline(スィート・キャロライン」 ニール・ダイヤモンド
 ここから70年代に入ります。私、この曲が大好きで、CDもよく聴いています。でも、こうやってニール・ダイヤモンド自身が歌う映像付きで見るほうが楽しいです。最近はオーディオでより、You Tubeでの鑑賞の方が多くなっています。
 「スィート・キャロライン」については、「エルビス・オン・ステージ」での歌唱も好きです。エルビスらしいアクション付きで最高です。

シェリーに口づけ」 ミシェル・ポルナレフ
 う〜ん、70年代ともなればオールディーズの趣は薄いですね。若い方にとっては懐メロ以外の何ものでもないのでしょうけど。ちなみにこのレコードはモノラルです。

スカイ・ハイ」 ジグソー
 70年代半ばのリリースですから新しいです。ミル・マスカラスが自身の入場曲に選択しました。格好良かったです。
 紹介のYou Tubeの映像はプロモーション映像だそうです。「スカイ・ハイ」の映像が最も素晴らしいのは、ジミー・ウォング主演の香港映画「スカイ・ハイ」のオープニング映像です。ジミーがカイトを操って大空を翔るシーンにこの曲が被ります。
 映画は糞ですが、冒頭のシーンだけは絶品でした。劇場の大スクリーン一杯に大空が拡がり、カイトが駆け巡る映像と劇場空間に響き渡る「スカイ・ハイ」のコンビは夢見心地にさせてくれました。


 若い方で初めて聴く曲もあるかと思います。きっと気に入ってくれたのではないでしょうか。
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五百参拾九  コット雪辱(2011/12/11)
 3年前、無敗のミゲール・コットはアントニオ・マルガリートに11回TKOで敗れました。自らへたり込むという完璧な敗北でした。今回は1階級上での再戦でした。

 コットの武器は左です。ジャブとボディへのフックが強烈で、並みいる強豪を倒してきました。多分、元々は左利きなのでしょう。その証拠に右ストレートの貧弱なこと。
(C)WOWOW






 上図、いずれも身体を被せるような打ち方で、捻りこむような打ち抜き力がありません。タフなマルガリートにしてみれば、効かされた様子がまったくありません。
 それに比べ、下図のとおり左フックの打ち方はさすがです。ときどき当てていたこの左が、結局試合の明暗を分けました。



 マルガリートのパンチはさすがです。遠い距離からでも、近い距離でも自在無碍です。





 パンチを効かされたコットは、汚い手に出ます。近い距離になると、両腕をホールドしてしのぎました。



 そこから腕投げで廻して、クロスを打ち落としました。





 もちろんこれは悪質な反則で、減点されても不思議ではありません。レフェリーは完全スルーで注意さえしません。
 下図は首を極め、腰を落して体重をかけたシーンです。やられた方は、対処を誤ると首を痛めますよ。



 苦しいコットは、ゴング後に左フック、右クロスを当てました。これでもレフェリーは注意しません。



 マルガリートは目が腫れて塞がりました。リング・ドクターは10回開始時にストップを宣しました。もし、続ければ、失速中のコットは残り3ラウンドで倒された可能性が高いです。
 前回とほぼ同じ展開で、同じ結末が予想された内容でした。ただ、マルガリートの眼が塞がったことだけが違っていました。もう少し見たかったのですが、残念です。

 再戦はもうないでしょうね。コットが受けるとは考えられません。やれば苦戦間違いなしで、敗北の公算が高いですから。
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五百参拾八  「シャイニング」続編執筆(2011/12/3)
 映画サイトの「ハリウッド・チャンネル」に寝耳に水のニュースが掲載されていました。

 スティーヴン・キングが「シャイニング」の続編を執筆!30年後が舞台

米作家スティーヴン・キングが、自身の代表作で1980年にスタンリー・キューブリック監督によって映画化された「シャイニング」の続編にあたる小説を執筆したことがわかった。

 キング本人が米ジョージ・メイソン大学で行われた講演会で小説からの一節を朗読したという。タイトルは「Dr. Sleep(原題)」になる予定で、前作で描かれたオーバールック・ホテルでの事件から30年後が舞台。大人になったダニー少年は霊能力を使ってホスピス末期患者を癒す仕事をしているが、彼の前にヴァンパイアが現れて…というストーリーらしい。


 いやあ驚きました。「シャイニング」の続編でっせ、奥さん。なんか生きる希望が漲ってきましたよ。刊行時期が知りたくて、いろいろ検索してみると、現時点では書くかどうかさえ分からないみたいです。

 キングの執筆予定は先まで決まっているみたいです。「ダークタワー・シリーズ」の新作とか「タリスマン」の続編とかが有望らしいです。ただ、キング自身もどれを優先するかについて迷いがあるそうです。

 そこで、自身のサイトで「シャイニング」と「ダークタワー」のどちらが読みたいかアンケートを取り、鼻の差で「シャイニング」が多かったそうです。
 「ダークタワー」も拮抗したというのが意外です。私なんぞ、あのようなファンタジーにどうしても馴染めません。きっと若い方々に受けるのでしょうね。

 続編のプロットについて、キングは一部を漏らしています。
  • ダニー少年は40歳になっている。“輝く力(シャイニング)”でも以って、競馬で勝って糧を得ている
  • 終末医療現場からの要請に応え、“輝く力”で死にゆく人間に癒しと安らぎを与えている
  • ある日、「ザ・トライブ(Tribe)」と呼ばれるバンパイア集団がダニーの前に現れる
 キングが公表しているのはここまでだそうです。さあて、ここから先の展開について、どんなストーリーを考えているのでしょうか。センスのない私では見当もつきません。

 バンパイアたちにも、安らかな死を希望している者がいるのか。
 或いは、終末医療の苦しみから逃れるには、バンパイアの手にかかるという別の選択が存在するとの立場から、ダニーと対立構造を描くのか。
 また或いは、ターミナルケアの対象患者のなかに、バンパイア被害を受けた者がいて、気づいたダニーがこの悪に立ち向かうとか。

 いろいろ話を広げられそうです。いずれにしても、凡人の手にかかるとベタなバンパイアvsエスパー小説になりかねません。ホラーでありながら、文学に昇華できるのは世界中でキングただ一人です。
 私はどこまでも応援しますよ。
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五百参拾七  年齢を重ねるということ(2011/11/27)
 毎年、人間ドックでチェックしています。いろいろ指摘されていることはあるものの、ずっと無視してきました。喫煙者なので、肺に問題を抱えていて、禁煙をきつく言い渡されるのは毎年の恒例となっています。自分でも十分判っていることで、確信犯であります。

 一昨年からは、胃の除菌を指示されていたのを無視してきました。今年のチェックで、ついに胃全体が荒れていて、除菌しないと胃潰瘍への一本道を辿っていると脅かされました。仕方なく、胃カメラを飲んでの精密検査と処方を予定しています。30日を予約していて、胃カメラに怯えているところです。
 煙草飲みの特徴である、歯磨き時のえずきがひどいのに、果たしてカメラを飲めるのか。まったく自身がありません。

 加えて脂肪肝が許容値を超えまして、食餌療法に取り組んでいます。これは辛いですね。油絶ちをしなければいけないので、大好きな天ぷらを食べることができないのです。それ以外でも、美味しそうな料理には、油を使った料理が多いものです。こんな我慢を強いられるのも、身体のバランスが崩れたためです。
 やはり加齢からくる衰えでしょうね。若い頃であれば、なんの問題にもならないバランスの崩れが致命的な数値をもたらせてくれます。


 また、嗜好や興味についても、明らかに減退しています。なんていうか、欲しいものがなくなってしまったのです。買物なんぞ、昔から興味がなかったにしろ、最近は物欲がまったく湧きません。
 それもあって、17年目の愛車であるソアラを、さらに修理して乗り継ぐ予定です。バッテリーとオルタネータを交換します。さすがに、あれこれ手がかかってきました。中古で買った車ですから、製造からは24年目ということになります。国産車の品質にはまったく感服します。

 もう一台の愛車であるカリブは14年目です。後継のカローラ・フィルダーが来年早々にフルチェンジで消滅するそうです。消え去る前に、買い替えを決めなければいけません。今のカリブに不満はないので、継続して乗ることに不都合はありません。
 しかし、このタイミングで買い換えておけば、おそらくフィルダーを死ぬまで乗り潰せそうです。さあてどうすべえ。あと数か月間の猶予、新車を買うかじっくり検討します。
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五百参拾六  日本シリーズ堪能しています(2011/11/19)
 先週はイベントの開催やら、パッキャオvsマルケスの世界戦やらで更新ができませんでした。なにせ、加えて日本シリーズ2試合の観戦に釘づけになっていました。

 今年の日本シリーズは極めて興味深いものです。統一球による投手戦の趨勢、ドラゴンズvsホークスという初顔合わせ、両チームともにそれぞれのリーグで連覇の実力を誇っていることなど。

 ここまで5試合終えての結果は、両チームともにホームで負けるというありえない展開です。福岡ドーム、名古屋ドームともに広い球場なので、守備力がものをいいます。ですから、手馴れたホームゲームが有利なはずなのに、互いにホームで拙い闘いをやらかしたのです。高い金を払って応援しているファンは、ストレス充満で鬱憤が溜まったことでしょう。

 試合は予想どおりの投手戦でした。両チームともに、先発、中継ぎ、抑えが充実していて、つけ入る隙がありませんでした。加えて広い球場に統一球ですから。それと今シーズンはストライクゾーンが外角に僅かに拡がっているように思われます。統一球の導入より、むしろゾーンが拡がったことの方が影響が大きいのではないでしょうか。
 ちなみに、いい投球をした投手をあらためて挙げると
 先発
 D‥‥吉見、チェン
 H‥‥和田、杉内、摂津、山田
 中継
 D‥‥山井、平井
 H‥‥森福
 抑え
 D‥‥浅尾、岩瀬
 H‥‥ファルケンボーグ

 これだけいいピッチングをすると、否応もなく締まった好試合になります。ロースコアで僅差の試合が続いています。もともと貧打のドラゴンズはともかく、強打でシーズンを圧倒したホークスさえもが打ち取られていました。ドラゴンズの投手陣が相手では無理もありませんけど。

 その上、双方ともに守備がいいので安っぽい打撃戦にならないのもポイントでしょう。緊迫した展開に目が離せません。今も第6戦を観戦しながら、これを書いています。

 第2戦では、落合監督が内川選手のバットにクレームをつけるというイベントもありました。なんかグリップのテーピングに変なことをしていました。違反行為ではないにしろ、厚くしたテープを巻き込むなんてあんまり見たことないです。いえ、初めて見ましたわ

 ドラゴンズは王手をかけられているので絶対に勝たなければいけません。今夜は総力戦で挑むことでしょう。現在のところ、1点差となっています。
 後は試合観戦に集中します。

9:25追加
 9回は岩瀬が左打者二人を打ち取り、最後の右打者は浅尾キュンが締めくくりました。やはり2対1の接戦でした。明日も目が離せんなあ。

 ところで、最後の内川はファースト・ファウルフライで、観客席に飛んだボールを森野がキャッチしました。その打球をホークスファンが払って邪魔しました。赤丸の男がそのバカです。全国に晒しておきます。
 (C) TV朝日


 幸いなことに空振りしました。


 念を入れてアップも掲載します。自らを恥じて頂きたいです。
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五百参拾五  第59回全日本剣道選手権大会(2011/11/6)
 今年も文化の日に「全日本剣道選手権大会」が開催されました。話題のポイントは、神奈川県警の高鍋進氏が連覇を果たせるかです。

 高鍋氏は前年優勝し、今年も最強の評価を受けています。氏の師匠は、あの宮崎正裕氏です。宮崎正裕氏といえば、撃剣帖の「帯の矩」で紹介しています。少し引用します。

 宮崎氏は2連覇を2度成し遂げています。日本剣道選手権史上、2連覇を為したのは、宮崎氏ただ一人です。当に平成の千葉周作と称すべき達人です。このときの栄花氏は明らかに腕を上げていました。前年までの栄花氏は強いとはいえ、宮崎氏には僅かに及んでいませんでした。
 平成9年度の大会は、異例ともいえる兄弟対決でした。準決勝で、宮崎兄弟と栄花兄弟が激突しました。栄花兄弟は敗れ、決勝は宮崎兄弟によるものでした。ちなみにこのときは、正史(弟)が勝ちました。もし、兄が勝っていれば、4連覇を成し遂げていたことになります。凄すぎますね。


 宮崎氏は解説も務め、試合展開について的確な指摘をしていました。宮崎氏くらいになると、選手たちの試合プランや意図が掌を映すが如く理解できるみたいです。

 宮崎氏もご覧のように年を取りました。
(C) NHK


 氏の解説どおりに選手たちが動くのを見るにつけ、宮崎氏が6度優勝したのも頷けます。氏にしてみれば、相手の手の内が見えていたのでしょう。


 で、今大会の高鍋氏です。TV中継は準々決勝からなので、下位での試合内容は知りませんが、高鍋氏は1本も取られませんでした。まったく危なげなく勝ち進み、他選手との間の力の差が歴然としていました。

 決勝戦は、埼玉県警の東永幸浩氏に、突きで一本勝ちしました。勝利の瞬間は下図のとおりです。
 両者が慎重に見合うなか、高鍋氏の突きと東永氏の面が同時でした。技が速かったのは突きで、東永氏は仰け反らされました。





 高鍋、宮崎の師弟コンビには、ちょっと太刀打ちできませんね。さあこうなると、来年の大会が楽しみです。順当にいけば、3連覇は堅いのではないでしょうか。もう、今から期待が高まります。1年後を待ちましょう。
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五百参拾四  がっかり、キングの「不眠症」(2011/10/29)
 スティーブン・キングの「不眠症」がついに文庫本で刊行されました。ハードカバーが出版されたのは10年前のことでした。その帯には、「ITの老人版」とかの惹句が大書されていました。

 「IT」と聞いて、これはもう読まずにはいられません。しかしながら、上下巻の価格合わせて6,000円強とあっては買う度胸が起きませんでした。そして今月、ついに文春文庫から刊行されたわけです。文庫とはいえ、上下巻合わせて2,300円弱という高価格でした。それでもキング本なら、きっと楽しませてくれるだろうと惜しくはありませんでした。

 つい今しがた読み終えました。で、結論。とんでもない駄作だわ。文春さん、「IT」の名前を使うなよ。「IT」は文句なしの傑作です。


 デリーの街に、悪意に染まった何かがいる。これに気づいた7人の少年少女たちが、はっきり姿の見えない敵に挑む物語です。キング本の定番である善と悪の対立を基本構図としています。悪意に操られる人間もまた、主人公たちの前に立ちふさがります。力の弱い少年少女たちが知恵と勇気を振り絞り、友情の力で圧倒的な悪に挑んで打ち負かす話です。

 その少年少女たちも大人になり、子供時代のできごとを忘れ去った頃、再びデリーの悪夢が再燃します。彼ら彼女らは子供時代の約束を果たすためデリーに集結し、強大な力を揮い始めた悪に再び挑みます。


 「IT」の内容は、ほぼこのようなものです。私はキング本のベスト5に挙げますね。それだけに、その老人版と聞いて期待は高まるばかりでした。
 確かに上巻は上出来でした。デリーの老人たちの生活を丹念に描きながら、極度の不眠症に悩まされ始めた主人公の心の動きをひたすら追います。やがて不眠症と引き換えにある力を得ます。
 このあたりで見当がつきました。この力は善なるものに付与されたもので、対立する悪と戦うことを義務づけられられたんだろうと。後は、対置する悪と、その災厄とは何なのかです。

 期待をこめて下巻に突入したところ、がっかりの展開が待っていました。ここから先は各自が読んでください。面白いと感ずる方もいるでしょうから。でも、私は断言します。「IT」とは、まったく比ぶべくもない安っぽい小説です。
 よく言われることですが、やはりキングも老いたと思われます。全巻1,300頁の長編、読むのに疲れ、期待はずれに疲れました。
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五百参拾参  「ほこ×たて」最強決戦(2011/10/23)
 ゴールデンタイムに進出した“ほこ×たて”第1弾が、先週放映されました。話題を集めるために、いろいろな対決企画を準備していましたが、見逃せないのはなんといっても「最強金属対決」です。

 これまで3度の対決で、ドリルを退け続けているのは「日本タングステン」の超硬合金です。
(C)フジTV


 4度目に挑むのは、ドリルメーカーの本丸「OSG」です。従業員2,000人強の大手さんです。



 超硬合金側は、低温で密度をより高めた“タイプW”で対決に臨みました。



 対するOSGは、選抜チームを組織してドリル開発に取り組みました。「打倒!日本タングステン」は分かりますが、「打倒!中川内!!」には笑っちゃいました。



 そして、完成したのが“クロスエンド”です。超砥粒で研削するタイプのドリルです。



 想定した金属板を見事に貫通させています。



 対決当日、業界紙など9社が集結しました。前回は4社だったことから、この対決のニュースバリューは極めて大きいのでしょう。



 業界関係者の勝敗予想は、ドリル有利となっています。やはり対決回数を重ねているだけに、ドリル側がテストで手ごたえを掴んでいると見ているのでしょう。



 対決現場はOSGの研究所内なのでしょう。フジTVだけでなく、マスコミ各社もカメラを構えています。応援社員は200名を超えていたとか。



 対決開始です。クロスエンドが金属板を削っている模様です。洗浄(冷却)水に、金属粉が混じっているらしく、水が濁っています。
 超硬合金貫通への期待が高まります。



 安全装置が働いてドリルが停止しました。結果は下図のとおりです。僅かに研削が進んでいるものの、やはり健在です。ただし、金属板そのものが割れてしまいました。



 敗北を認めるOSG。



 一方の中川内も敗北を認めました。



 引き分けということで握手となりました。



 スロー映像で対決を再生しました。僅かに削ったところで、ドリルの刃であるところの砥粒が摩滅してしまったようです。



 金属板、ドリルともにボロボロ状態で、対決が高い次元で闘われたことが窺われます。



 まさに手に汗握る対決でした。果たして次回はあるのか。両者ともに、自社商品あるいは自社技術の限界をも露呈しました。さらに高みを目指して改良、あるいは新しい技術に挑むのか。やはり目が離せません。

 今回の対決ファイルは、永久保存するつもりです。
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五百参拾弐  技能五輪は韓国優勢(2011/10/15)
 今月上旬、ロンドンにおいて、第41回技能五輪国際大会が開催されました。2年に一度行われるこの大会の持つ意味は極めて大きいものです。でありながら、マスコミは一切無視してくれました。ネットでさえ表立って報じられていません。もちろん、関係団体のサイトには掲載されていますけど。

 ここ数回の大会成績と一緒に整理してみました。ロンドン大会の数字は、私が適当に集計したものなので信用しないでください。中央職業能力開発協会は未だ集計をしていません。仕事が遅いぜ。

 なお、日本とライバルである韓国とスイスも掲示しました。メダル獲得数の最も多い国をボールドにしています。

総獲得数順位
第41回 ロンドン大会
(イギリス)
日本 11 4 4 19 2位
韓国 13 5 7 25 1位
スイス 6 5 6 17 3位
第40回 カルガリー大会
(カナダ)
日本 6 3 5 14 2位
韓国 13 5 5 23 1位
スイス 7 2 5 14 2位
第39回 静岡大会
(日本)
日本 16 5 3 24 2位
韓国 11 10 6 27 1位
スイス 4 7 5 16 3位
第38回 ヘルシンキ大会
(フィンランド)
日本 5 1 2 8 5位
韓国 3 8 5 16 2位
スイス 5 7 6 18 1位

 今回は完全に韓国にやられましたね。他国で開催される大会へ、大人数の選手団を派遣するのは大変です。それだけ韓国は国を挙げての支援を行っているのでしょう。
 ついでに選手を30人以上出場させている国を整理してみました。

フィンランド 46
フランス 44
日本 44
韓国 43
台湾 43
イギリス 43
スイス 38
カナダ 34
スペイン 34

 日本より1人少ない選手数でこの成績は立派としか言いようがありません。スイスもまた見事です。職種別に見てみると、一点哀しい競技職種があります。
 私も関係している「グラフィックデザイン」です。25人中、19位という評価でした。かつては先進的なデザインで、世界中のクリエーターがお手本にしたというのに。想像するに、日本の若者の感性を審査員が捉えきれないのではないかと思うのですが。

 しかし、それより、やはりものづくり系職種における韓国の技能向上に危機感を持たざるを得ません。ヒュンダイ製自動車に対するアメリカ消費者の評価が日本を上回る数字が出ている調査さえあることです。以前にも書きましたが、技能尊重気運を国民すべてで共有すべきだと思います。
 若者がものづくりに対して、プライドや栄光を感じ、世間もまた同じように共感できる空気が必要だと痛感します。真央ちゃんやなでしこのプレーに共感する、あるいは称揚する意識をほんの一部でいいから同じく共有して頂きたいです。
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五百参拾壱  ジョブズ氏、逝く(2011/10/9)
 Apple創業者であるスティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。以前から膵臓癌でよくないとアナウンスされていましたが、残念なことです。

 IT業界には、天才やらの伝説的な偉人が輩出しています。ジョブズ氏はといえば、技術者でなく商売人として伝説のポジションを得ています。う〜ん、商売人というのは言葉が悪いですね。企画者、あるいはイノベーターが適切でしょうか。

 Apple興隆の端緒はAppleUで、同じ創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏渾身の作品です。パソコン黎明期にあって、AppleUこそ本当のパーソナル・コンピュータでしたね。“ウォズの魔法使い”と称されるように、少ないリソースを工夫と類稀な発想によって、当時としては信じられないPCに仕上げました。

 その後はMacintoshで一時代を築き上げたわけですけど、Macのコンセプトというのがジョブズ氏の贅沢というか、高い志によって支えられていました。
 Macの原型はXeroxのパロアルト研究所のAltoですね。奇しくも、ジョブズとビル・ゲイツ両人がAltoにPCの将来の形を見たわけですが、でき上がったMacとWindowsでは志の高さが大違いでした。もっとも、WinはMS-DOSのシェルとして出発したので仕方ない面もありますけど。

 Macを使っていて感心したのは、システムをどこにコピーしても、そこから自在に起動できる点です。Mac使いの方には当たり前すぎて「普通じゃん」でしょうね。また、Winのように共有ファイルをOS側で共有させず、アプリケーションごとに持たせたのも正解ですね。おかげで、アプリケーション・フォルダを自在に移動したり削除したりできました。とにかくファイル管理がシンプルでした。

 MSから技術供与を受けたFATも、Appleにかかれば8.3形式なんてとっぱらっちゃたし、属性情報はリソースフォークとして別ファイルにして充実していましたしね。
 また、最初からボリューム概念で、MSみたいに長くドライブ概念に縛られることもなかったですし。WinはMS-DOSのシェルとして出発したので、DOSの作法に倣う必要があったし、当時のPCが小さなリソースで動作していたなかで、最大の効率を発揮させようと工夫したためでしょう。その点では仕方ないかとも思います。

 自ら希うて迎えたジョン・スカリー氏に会社を追われ、NEXTを創業しました。NEXTでの黒いCube筐体は最高にクールだったし、画面をPS(Post Script)で描画するなんて、アイデアとして考える者はあっても、実際に開発させたのはジョブズ氏ならではでしょう。

 ギル・アメリオ氏によって再びAppleに招聘されたジョブズ氏は、最初こそ大人しくしていたものの、アメリオ氏やエレン・ハンコック氏を追い出すや事業すべてを再構築し始めました。iMacを商品化したし、Copland(次期OS)の開発に失敗して迷走していたのを、あっさりUNIXに衣替えしたのは見事でした。その後はiシリーズで、またまた新しい方向を提示しましたし、確かに文句なしのイノベータだと思います。

 ただ、ギル・アメリオ氏もまた、あの当時素晴らしいプロジェクトを推進中で、もう少しで実現するところまで迫っていただけに残念です。いわゆるCHRPプロジェクトです。CHRPについては、IT事典から引用します。

 CHRPとは、1995年にApple、IBM、Motorolaの3社によって共同で策定された、PowerPCマイクロプロセッサを用いるパーソナルコンピュータ向けのプラットフォームである。

 CHRPは、当時のCPU市場で大きな市場シェアを獲得していたIntelに対し、PowerPC陣営が互換機を増やすために開発が進められた規格である。1994年にIBMが発表した「PReP」と呼ばれる仕様をベースにしている。当初はWindows(Windows NT)をはじめ、Mac OS、OS/2、Solarisといった、多くのOSに対応する予定で開発が進められた。いわゆるMacintosh互換機はCHRPが採用されている。

 1997年、Appleは互換機メーカーへのMacOS供給を中止し、CHRPをサポートしない方針へ転換。他のOSも、後にOS側でのCHRPのサポートを中止している。


 この時期、アメリオ氏とゲイツ氏は密接に連携をとって、すでにWindowsには486エミュレータが実装されていました。つまり、いつでもOKの態勢が取られていたのです。そのNT(当時はVer.4.0)はx86だけでなく、PowerPCとAlphaまでサポートしていましたから。

 面白いことに、私はそのような情報をPC系雑誌でチェックしていました。肝心のMac系雑誌にはほとんど情報がありませんでした。まあ、当時のMacユーザに“486エミュレータ”なんて意味が通じなかったでしょう。

 アメリオ氏を追い出したジョブズ氏は、CHRPを反故にし、Mac OSの供給中止、外部協力会社のCHRP開発プロジェクト無視の暴挙に出ました。このときは本当に頭に血が上りました。
 NTユーザであった私は、CHRPマシンが出たらすぐに購入し、NTとMac OSをデュアルブートで使おうと心待ちにしていたのです。

 平気で他者を裏切るジョブズ氏であればこそ、同時に変革者たりえたのでしょう。モトローラの680x0からPowerPCへの移行にジョブズ氏は係わっていませんが、その後のOS9からUNIXへの移行、PowerPCからx86への移行はまぎれもなくジョブズ氏の仕事です。
 その都度ユーザは仕様変更による買い替えやネイティブ動作を妨げられました。もし同じことをMSがやったなら、多分世界中から損害賠償の訴訟が起こされるんじゃないかなあ。ジョブズ氏の人徳、いえいえ、Macユーザの信仰心ゆえのマゾ体質のおかげでしょう。


 変革者としてのジョブズ氏の功績はあまりに巨大です。しかし、職場の上司としては最悪でしょう。あんなのが上司になったら、私なんか間違いなくノイローゼに追い込まれて退職を余儀なくされそうです。
 昔からジョブズ氏の言動を見るにつけ、セゾンの堤清二氏の手法とイメージが重なりました。どちらも上司としてはもちろん、仕事で関わるのはごめん蒙りたいです。
 最後に非難めいたことを書きましたが、変革者に毀誉褒貶はつきものでしょう。功績とともに、罪もまた大きかったと思います。
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五百参拾   西岡vsマルケス ラスベガス決戦(2011/10/2)
 本日、ラスベガスMGMグランドホテルで、WBC S.バンタム級タイトルマッチが行われました。王者西岡利晃にラファエル・マルケスが挑んだ一戦です。

 日本人がアメリカで防衛戦を行うのは極めて稀で、しかも防衛に成功したことがないそうです。今回は初めての成功例として記録される可能性が高いとあって、ボクシングファンの期待が高かったのです。

 結果は判定による見事な完全勝利でした。対戦相手は世界的に名の売れた歴戦の雄、ラファエル・マルケスです。文句なしの強豪とあって、試合の緊迫感は最上でした。ただ、ラウンド開始後の西岡の動きを見て、勝ちを確信しましたけど。
(C) WOWOW


 西岡は左回りに動き、常にいいポジションをキープしていました。おかげでマルケスはやりにくそうで、パンチもあまり出ませんでした。解説者は慎重にやっていると指摘しましたが、むしろパンチを出しづらかったのではないか。



 互いにハードヒットが少なく、特に西岡はほとんどのパンチを外しました。上のシーンは、左ストレートが一番綺麗に入ったところです。マルケスも軽くパンチを殺したので、致命傷には至りませんでした。



 マルケスの左フックをダッキングで外したシーンです。
 下は同じく右ストレートをかわしたところです。



 下図は左ジャブをウィービングでかわした後、反動による右フックを入れたところです。マルケスはダメージが蓄積し、パンチと身体の切れが鈍ったあたりです。おかげで西岡のやりたい放題でした。
 もっともパッキャオであれば、上のシーンでパンチを外した際、同時にカウンターのフックを当てて試合を終わらせてしまうでしょう。



 なんかねえ、解説のジョー小泉さんが右回りに動いて、サイドに出た際に右フックだったかを出せとかいってました。それって危険ですよ。むしろマルケスのパンチが当りやすくなるはずです。西岡選手はときどき右回りも行いましたが、基本的には左回りで試合をコントロールしていました。マルケス側からいえば、西岡選手が右に動くとまったく対応できませんでしたね。

 マルケスも完敗を認めていることでしょう。これで西岡選手はアメリカでの知名度が上がりました。次戦はメキシコのアルセ選手か、フィリピンのドネア選手だそうです。
 これはもう、文句なしのビッグマッチです。ファイトマネーも億を超えるかな。いえ、今回の試合の客の入りやケーブル視聴者数が芳しくなさそうなので難しいかも。
 西岡選手にはそんなことにめげず、もっと上を目指していただきたいです。その先にはミリオンマネーが待っていることでしょう。
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五百弐拾j九  銀行ミステリーは池井戸潤(2011/9/24)
 台風一過、秋らしい気候になりました。私の一番好きなミステリーの季節です。

 今年もよいミステリーに出会えました。ジェフリー・アーチャー、ジェフリー・ディーヴァー、佐々木譲などなど。で、最近はまっているのが池井戸潤氏です。話題の「下町ロケット」でなく、銀行を舞台にした闘争劇です。

 「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「最終退行」「仇敵」を読んだところです。いずれもバブル崩壊後、厳しい経営を強いられている銀行が舞台となっています。出口のない不良債権処理、貸し渋りや貸し剥がしに奔走し、債務者だけでなく貸し手側の銀行マン自身が精神的に追い詰められた状況が描かれています。
 また、銀行内部の臨店や国税査察、監査などのイベントが重要な役割を果たしています。組織内の人間模様や力関係を反映させ、緊迫したやり取りに読者はハラハラさせられるからです。

 作者の池井戸氏自身が銀行マンであっただけに、そのあたりの鬱々とした描写が極めてリアルです。さらに銀行統合によるポスト減や企業風土の違いからくる軋轢、昇進をめぐる人事考課をめるぐドロドロなどが恨みともつかぬ筆致で描出されています。
 もちろん、いかに銀行組織の非人間的側面を描こうとも、融資を受ける中小企業側の苦しみに比べれば、所詮コップの中の嵐なんですけどね。


 いずれの物語も、無茶振りともいえる困難な仕事を抱えた主人公が、銀行内部の権謀術策に押しつぶされる瀬戸際まで追い詰められる話です。やがてその背後にある不正や陥穽に気づき、逆転勝利を収めるハッピーエンドとなります。
 主人公を取り巻く八方塞りの状況には、なにかしら不穏な匂いがあります。厚い壁に隠された謎解きは、まさにミステリーの趣に彩られています。主人公が追求する真実というのが、殺人事件か金融案件かの違いだけです。

 池井戸氏はきっと銀行マン時代に人間関係で嫌なものを見たのでしょう。“手柄は自分のもの、責任は部下”がモットーの上役はどこの世界にもいるでしょう。作中にそのような唾棄すべき人物がわんさか登場します。とことん嫌悪感を催す悪役を配すことによって、ラストで最高のカタルシスが味わえます。
 このカタルシスに味をしめたばかりに、ここのところ池井戸ワールドにずっぽりです。著作は決して多くないだけに、すぐに読み尽くしそうです。一冊一冊をじっくり堪能しなくては。
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五百弐拾八  メイウェザーって強いんだけどさあ(2011/9/18)
 本日ラスベガスにおいて、ウェルター級王者ビクトル・オルティスに元5階級王者のフロイド・メイウェザーJrが挑んだ一戦が行われました。
 オルティスは先日アンドレ・ベルトからタイトルを奪いました。若いだけに小気味よいファイトで激戦を制しました。とてもメイウェザーに勝てるとは思えませんが、ハードヒットでぐらつかせるシーンを演出するかと期待していました。結果は4RKOでメイウェザーの完全勝利でした。ただし、KOシーンはメイウェザーらしいあざといものでした。


 オルティスは完全にボクシング・プランを間違えていましたね。サウスポーでスピードがあり、連打も利き、パンチも多彩なオルティスなら、もっといい試合が可能だったのに残念です。
 下図は、メイの踏み込みながらノーモーションでの左フックです。このパンチでコラレスを何度も転がしました。オスカー・デラ・ホーヤの場合は、フレディ・ローチさんの指導よろしく、この左フックを見事にブロックし続けました。
 オルティスは瞬間にダッキングで躱わしています。この反応の速さは大したものです。


 問題点は相手に対して右回りに動いたことです。右構えのメイウェザーに対して、右回りに動くとむしろ注文に嵌ってしまいます。下図を見ていただくと、そのあたりの機微が伝わるでしょう。


 右に動くと、メイウェザーの右クロスの照射ポイントに自ら位置することとなります。同時に左フックの照射ポイントでもあります。
 この位置関係を逆に攻撃側のメイウェザーから眺めると、もっと分かりやすいでしょう。ここからオルティスが左に動くと、わざわざ自分から左フックに当りにいくようなものです。あるいは、対角に右クロスを絞り込むのにちょうどいい加減です。


 途中で左回りの動きもありましたが、その場合は単に動くだけで、攻撃と結びつけるものではありませんでした。まったくメイウェザーにすれば、有難いことだったでしょう。わざわざオルティスがパンチを当てやすい位置に動いてくれたわけですから。
 左回りに動きながら攻めたら、きっとメイウェザーもやりにくかったでしょう。右ダックでパンチを外すメイウェザーに、左ストレートや左フックが直撃した可能性が高いです。


 試合の結末は唐突でした。パンチが当らず、焦ったオルティスが頭突きをかましました。


 すかさずレフェリーのジョー・コルテスさんが割って入り、反則減点を宣しました。その後、コルテスさんの「Go !!」の合図で再開し、メイウェザーに歩み寄ったオルティスがハグをして謝意を表しました。その直後、無防備なオルティスに対して、左フックと右ストレートを浴びせました。
 下図は、ノーガードでハグするオルティス。


 委細かまわず左フック。


 棒立ちのオルティスに思い切り右ストレートを打ち抜きました。


 期待の一戦も、最後はあっけない幕切れでした。オルティスが馬鹿なのか、メイウェザーがえぐいのか難しいところです。はっきりしていることは、メイウェザーは対戦相手に敬意を払いません。以前、アルツロ・ガッティ戦でも似たようなことがありました。レフェリーの指示確認のため、視線を外したガッティに強打を打ち込んで試合を終わらせたことがありましたね。
 いいか悪いかは難しいけど、観客の賞賛は得られませんわな。試合後のインタビューで、HBOのラリー・マーチャント氏がメイウェザーにフェアさを質すと、切れて「こんなインタビューは相手にしない」と無視しました。いい根性してるわ。

 次の試合はマニー・パッキャオとの最終決戦でしょう。今回の試合を見て、パッキャオの勝ちを確信しました。メイウェザーの決め手である右クロスや左フックに対して、オルティスは躱わすのが精一杯でしたが、パッキャオであれば外すと同時にカウンターを合わせることができるでしょう。そのような図を頭に浮かべながら、今回の試合を観戦しました。
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五百弐拾七  911という悲劇(2011/9/11)
 WTCビル崩壊から10年が過ぎました。この10年は破壊の歴史でした。中東やアフガンで暮らす人々の生活を壊し、将来の希望を打ち壊し続けました。
 これほどの大罪を重ねながらも、アメリカに罪の意識がないのがなんともやり切れません。“テロとの戦い“って、そもそもあんたがテロリストじゃん。それも世界最強のテロリストです。

 WTCビル崩壊で3,000人ほどが亡くなりました。アメリカ人にとっては衝撃だったのでしょう。でもさあ、アメリカは同じ航空攻撃で、国ごとにその10倍から100倍の殺人を重ねてきています。
 日本は最大の被害者です。次がドイツで、ベトナム、朝鮮、イラクが後を追っています。特に日本とドイツに対しては、都市への無差別爆撃という、アメリカ自身が強く非難した非人道的な手法を採りました。ドイツの都市はコンクリートや石造りなので、ナパーム弾で焼き払いました。日本は木造家屋なので、焼夷弾で焼き払いました。つまり、市民を効果的に焼き殺す手法を研究し、そのための爆弾も製造したのです。日本に対しては、ご丁寧に核爆弾まで使ってくれましたしね。

 アメリカがやったことに比べれば、WTCビルに旅客機2機で突入したことなど軽い話です。もし軽くないというなら、アメリカにやられた各国は、一体どれほどの非難と憎悪を浴びせればいいのか。

 この10年間の悲劇といえば、空爆なんぞおまけみたいなものです。アフガンにしろイラクにしろ、人々の日常生活が成り立たないほどの混乱に晒されてきました。
 イスラムに手出しすれば、取り返しがつかなくなることくらい学習していたはずです。イランのシャー支援、イスラエル支援、タリバン支援、フセイン支援などの短視眼的な支援によって、現地に混乱ばかりもたらしてきました。まったく懲りないというか、歴史に学ばない連中です。

 もうアメリカには、何もしないでくれと言いたいです。せめてアメリカが何もしなければ、ここまでの混乱はなかったでしょう。アメリカ自身にとっても、戦費は耐え難いものになっています。それほど巨額な戦費だけに、アメリカ内部に戦争を推進する勢力があるのでしょう。
 しかし、さすがに財政の健全性が脅かされ、もはや議会は許さないと公言しています。メーカが兵器開発する際の開発費と成果を厳しく見張っていますし、海外基地の縮小も検討しています。
 もはや、簡単に新たな戦端を開くことはできないでしょう。いくら戦争が好きといっても、金がなけりゃ何にも始まりませんからね。皮肉な話ですが、戦争で痛んだ財政事情が戦争を抑止してくれそうです。
 本当は、アメリカ人自身が戦争によって被害を被る人々に思いを致して反省すべきなんですけどね。
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五百弐拾六  台風とJRのバカヤロ(2011/9/4)
 昨日西日本を通過した台風12号には泣かされました。中国地方に出張していて、見事に足止めを食らいました。海峡大橋の通過安全基準として、JRは風速25m未満としています。これに引っかかったため、地元を目の前にして運行停止となりました。

 運行ダイヤの中止スケジュールが発表されたので、それより早めの便を選択しました。風雨が強まってきて、目的駅の一つ手前、橋を渡る直前の駅で様子見となりました。で、結局、運行中止となりました。悔しいことに、我々の一つ前、5分ほど早く出た電車は橋を通過していたのです。

 否応もなく電車から降ろされ、仕方なく駅近くのビジネスホテルに宿泊しました。あと20分で帰り着くというのに無念な話でした。翌日は、ホテルのTVの気象情報をチェックし続け、JR運行再開を待ちました。
 朝方四国に上陸した台風の移動は遅々としていて、帰れそうにありませんでした。諦めて、同僚と一緒に健康ランドで時間を潰しました。田舎の何もない土地で、しかも強風大雨下とあって他に訪ねる場所もありませんでしたから。

 前日泊まったホテルにもう一泊することになり、ナイターを見ながら寛いでいたところ、運行再開のテロップが流れました。慌ててチェックアウトして、駅へ急ぎました。

 5分の便の違いで、帰着が1日半も違ってしまいました。その結果、ホテルの宿泊料2日分、食事代、駐車料金などなど痛い出費となりました。JRのダイヤ変更のアナウンスを信じて便を選択したというのに、むごい仕打ちです。
 まあ、私などましな方ですね。羽田で中止を知らされた方など、ホテルを確保して移動するだけでも大変だったでしょう。私の場合、駅の隣200mのホテルでしたから楽勝でした。
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五百弐拾五  「ほこ×たて」礼賛(2011/8/21)
 フジテレビの番組「ほこ×たて」は、フジらしからぬ傑作番組です。つまらない芸人を集め、つまらない喋りを見せる番組ばかりでうんざりさせられるなか、見事な企画の勝利です。いろいろなネタを元に、矛盾対立する立場の人間や製品がそれぞれの特長で対決するものです。



 ネタは多方面にわたっていますが、面白いのはテクノロジー関係です。素材や機構、あるいは性能の差で以って、優劣を競うガチ対決が一番ワクワクさせられます。

 本日の午後、当地のローカル局が特番を放送してくれました。私が見逃した回も含まれていて、楽しませていただきました。

 傑作の一つに挙げられるであろう、「アロンアルファvsネオジウム磁石」も再放送されました。



 最高の磁力を持つネオジウム磁石を製造しているメーカーが磁力で反発させ、相手側はアロンアルファで磁石の接着を試みました。結果はアロンアルファの勝ちでした。

 「どんなものでも燃やすバーナーvs絶対に燃えない木材」も白熱していました。



 2,000℃の高温バーナーと特許申請中の燃えない木材の対決も予測が難しい対決でした。
 鍋がまるでアルミ箔のように一瞬で燃え落ちる高温の威力は凄まじいものです。一方の耐火木材は、あくまで木屑を素材にしているだけに心配な面がありました。それでも燃焼時間10分の勝負の終盤まで、よく持ち堪えていました。2,000℃の高温に炙られながらも、表面が焦げるだけという耐火性能でした。
 残念ながら、最後の1分間で木材もついに燃え始め、崩落してしまいました。

 そして対決の最高傑作が「最強ドリルvs最強金属」です。リンク先から、ドリル対決の第2弾を見ることができます。ちなみに、この後、金属王者に建設機械メーカーが挑戦しました。この対決第3弾は金属業界、鉄鋼業界、建設機械業界などでも話題となり、各業界紙が取材に訪れました。

 結果はやはり金属板の勝利に終わりました。もはや“絶対に穴が開かない金属”に挑戦する工具メーカーは登場しないのではないでしょうか。最初に負けたドリルメーカーの担当者曰く「あの金属に穴を開けるのは、今の技術では無理です」

 その他にも、「ミキサーvs鰹節」やら「送風機vs傘」などの興味深い対決がありました。なかでもテクノロジー関係の対決にはゾクゾクさせられます。この番組はものづくり啓発として最高の企画です。皆さんもお見逃しなくね。
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五百弐拾四  技術の流出と製造業の凋落(2011/8/13)
 7、8年ほど前のことでしたか、国内の雇用情勢悪化を受け、高学歴の女性たちがシンガポールなどの国外に職を求める話がありました。あの新しい求職スタイルは個々人の志向の話で、無害な話題でした。

 しかし、ここ数年の日本人技術者たちの新しい求職状況は、極めて重大な事態を招いています。国内製造業の縮小によって職を失ったり、低廉な雇用条件に甘んじていた技術者たちが国外に職を求めるようになりました。韓国や中国の企業が、日本人技術者を高給で雇い入れています。

 彼らの持つものづくり関係技術・技能は、日本を追い越そうとする中国や韓国にとって、垂涎のノウハウです。その成果は目覚しく、ついに韓国は工作機械そのものを内製できるようになりました。
 これまで、韓国が製造加工で収入を上げれば、それに見合った工作機械や部品が日本から輸出できました。この構図にも少しずつ変化が現れています。
 サムソンなんか、すでに日本の家電メーカーの国内生産量を上回る製品を輸出していますね。日本メーカーのブランドも凋落気味です。特にデザイン面では完全に評価が逆転しています。日本国内の嗜好評価はともかく、世界市場はサムソンが完全に優位となっています。信用もかなりのものです。それもそのはずで、日本の製造現場のノウハウが注入されているのですから。

 日本の製造業の生命線であった自動車もまた現代に猛追されています。かつて日本車がアメリカやヨーロッパで、安さと品質で現地メーカーを圧迫したのと同じ構図が日本車を追い詰めています。
 顧客満足度調査で、すでに現代は日本車を上回っています。この大事な時期に東日本大震災は追い討ちをかけてくれました。数年前のアメリカでのトヨタ・バッシングも与っていますね。


 中国もまた製造業で猛追し、かつて日本がアメリカから“世界の工場”の名を奪ったのと同じく、完全に中国に取って代られました。もはや低価格商品の製造競争では太刀打ちできませんね。
 日本が生き延びるにはどうすべきか。為替相場なんて企業にとってはどうしようもありません。あまりに巨大なシステムですから。しかし、少なくとも技術者を厚遇することは可能です。人材を優遇することは、技術と技能そのものを守ることでもあります。

 仮に頚にならなくても、昇給は微々たるものだし、老後の年金生活も怪しい雲行きです。それならと、自存自衛の生活設計を図るのも当然です。
 リーマンショック以前、中国がらみでミニバブルがありました。あの好景気の時期でさえ、経営者は従業員に利益を還元しませんでした。そんな日本企業に見切りをつけ、新天地を目指すのも無理からぬことです。

 韓国にしろ中国にしろ、ノウハウの吸収が進捗しています。いまや、日本人技術者というだけでは雇用してくれません。すでにそこまでの自信をつけている模様です。これはかなり暗く、そして危険な状況です。経営者の方々も真剣に対応を考えてくださいな。
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五百弐拾参  進歩か退化か(2011/8/6)
 携帯電話を5月に解約し、やっと請求が来なくなりました。4年前に仕事の都合から嫌々契約し、ずっと解約のタイミングを狙ってきたところです。

 携帯電話がなくなって本当にすっきりしました。携帯のみを情報端末にしている方にとっては必須なのでしょうけど、パソコンをあらゆる場所で使用している人間にとっては無用のものです。
 たまに必要なケースがあるものの、それだけのために契約し、まして持ち歩くのなんて真っ平ごめんです。それと大きな声では言えませんが、携帯不所持を周知しておけば、余計なメッセージを受けなくて助かります。あいつは持っていないから仕方ないと諦めてくれます。

 携帯を持っていない人間は極めて珍しいみたいですね。なんかよく分かりません。外回りの仕事に必須なのは理解できますが、それ以外で必要なのでしょうかね。私なんか、携帯を持っていた時期は鬱陶しくて仕方ありませんでした。


 録画機能をアナログからデジタルに変更して3年が経ちました。で、先日のこと、録り溜めしていたMPEGファイルの大半が消失しました。ボクシング関係400GBほどが一瞬にして消えてしまったのです。原因不明の現象で、典型的なデジタル地獄を味わったわけです。

 ハードの問題でなく、ソフト的な原因と思われます。アナログならハード面以外にこのような事態は生じないでしょう。デジタルとは、本当に人間にとって幸せなテクノロジーなのでしょうか。

 これを機会になんとかしたいのですが、デジタルにはソフトというハードルがありますから、素人では如何ともし難いです。ファイル消失以後も新たにファイルを録り溜めしているものの、これだって現行機器でしか再生できない制限があります。次にパソコンを買い換えた際は、現行機をやはり継続使用し続けなければいけません。アナログのように、録画メディアを汎用データとして利用することができません。
 地デジ移行で録画TVに買い換えた方は多いでしょう。しかし、録画したデータは、使用TV以外での再生が不可であることを皆さん理解しているのでしょうか。

 今回のトラブルを経験し、私もデジタルライフに疑問を持ちました。いえ、そんなこと最初から自明じゃないか、気づくのが遅いんだよと嘲笑われるかな。
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五百弐拾弐  大スポvs阪大(2011/7/31)
 お気に入りの「探偵ナイトスクープ」は録画して観ることが多く、後で削除しています。ただ、2か月ほど前に放映された“葉っぱに残された不思議なメッセージ”の回だけは、めちゃめちゃ面白く、未だにファイルを残していました。
 さすがに邪魔なので、削除しようと思ったものの、これは記念すべき内容なのでこちらに紹介しておきます。


 依頼内容は、カレンダーに書き込んだメモと同じ文字が観葉植物に浮き出てきたので、この現象を解き明かしていただきたいというものです。
(C)大阪朝日放送


 友人が出演するラジオ番組を聞き逃さないために、メモった内容です。
 これと同じ文字が、葉っぱに浮き出ています。



 位置関係です。



 植物のことならと、専門家を呼びました。



 ルーペで観察し、葉緑素が抜けているのは確認できたものの、原因不明。



 多分、光学的な作用であろうと、以前にも謎の写真を解明したカメラマンを呼びました。



 光線の経路を再現しながら追及するも、お手上げでした。



 謎であれば、超常現象ということになりますから、大スポの担当者を呼びました。



 「友人出演のラジオは聞きはりました?」
 「実は、忘れてしまったんです」
 「それだ。これは宇宙人の警告なんですよ」
 「パキスタンで発見された、クルミール人の仕業に違いありません」



 植物の専門家から異論がありました。
 植物を研究している方が阪大にいるということで、博士を呼びました。



 長い肩書き。朴訥、口下手な博士です。



 さすがです。たちまち見抜いた様子でした。
 重ねて書いたのだろうと指摘しました。



 大スポが承知しません。



 これまた、もっともな指摘です。



 裏には、なんの痕跡もありません。
 しかし、博士は動じません。「この現象は“星の王子さまです”」と訳の分からないことを言いました。



 そのこころは、「大切なものは、目に見えない」
 真面目な顔をして、ぼけをかましてくれますね。

 阪大に葉緑素を検出する装置があるということで、一同研究室へ。



 くっきりと、クロロフィルが検出されました。
 勝ち誇る博士。



 いやあ、この回は大傑作でした。テーマや展開も興味深い内容でしたが、なにより登場人物たちが個性的でキャラが立ちまくっていました。
 博士はもちろんですが、さすが大スポです。担当の西山さんは、エンターテインメントをよく理解していらっしゃる。口調から表情まで、演技派でした。それと、依頼者が美形だったことも一助となっていますね。

 この回は、「ゾンビが来る」と並ぶ代表作ではないでしょうか。今後、傑作特集で取り上げられるのは間違いないでしょう。
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五百弐拾壱  フィールド・オブ・ドリーム(2011/7/23)
 女子サッカー、世界一おめでとうございます。一方の男子サッカーはといえば、散々資金と時間と人材を投入し続けながら、未だメキシコオリンピックの銅メダルが最高の勲章という情けなさです。

 なでしこの面々には、祝辞とともに苦言を呈したいです。いえ、選手だけの責任でなく、インタビュアーやらコメンテーターやらのマスコミの面々の意識の低さが問題なのですが。

  試合後の勝利者インタビューの際、インタビュアーにはアメリカチームについて尋ねてほしかったです。そこで選手たちは、アメリカチームの強さを讃え、彼女らに敬意を払うコメントを返す。このようなシーンをつくるべきでした。アメリカ国内のビッグマッチを観ていると、必ずこのようなシーンに出会えます。
 できることなら、「アメリカチームは世界一の名に恥じない強さでした。このような大舞台で、アメリカーチームと闘えたことは大変な名誉です」ってなコメントを期待したいところです。

 インタビュアー、コメンテーター、選手たちが揃って、日本自画自賛だけに染まっているのを見ると、まるでお隣の国みたいで嫌になりました。街頭インタビューで、アメリカ市民やサポーターたちが日本の勝利を祝福してくれるのを見るにつけ、日本もまだまだだなあと感じました。


 サッカーはもちろんフィールド・スポーツであり、野球もまた見事なフィールド・スポーツです。野球のグラウンド面積は、各種競技の中でも最大級です。特に、“HARD OFF ECOスタジアム新潟”は日本一、いえ、アメリカでさえも、これほど見事な球場はなかなかお目にかかれません。先日のナイター試合で拝見し、ちょっと感動しました。

(C) BS NTV


 ご覧の広さです。両翼100m、センター122mと、国内最高の広さです。しかも、フェアゾーンだけでなく、ファウルゾーンも異様な広さなのです。
 ホームベースからバックネットまで、こんなに距離があります。ですから通常であれば、バックネットに当るファウルチップもキャッチャーの見せ場となります。また、ファウルライン外側の広さもピカイチです。



 収容人員は30,000人だそうです。フィールドを広くして、その分客席数を抑えているわけです。大正解ですね。変に欲張らず、あくまで競技第一に考えたものと思われます。
 しかも、芝生を敷き詰めているので、芝の緑が目に鮮やかです。もっと早く録画を始めていれば、西日に照らされ、青々と映える芝の美しさを紹介できたものを残念です。

 最後に、選手の目線での球場を紹介します。その広さがよく伝わるでしょう。このような広さがあれば、選手に求められる資質も変わってきます。球を追うスピードが絶対的な要素となるでしょう。脚が遅い選手とか、筋肉ばかり増強して重い選手なんかは淘汰されていくことと思います。
 野球は、あくまでフィールド・スポーツなのですから。

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