第4章
●筆について
少し強めに先から根元にまるを書くようにすると根元までほぐれる。軽く水洗いしてのりを流す。
この時必ず根元まで腰をおろすこと!半分くらいまでしかおろさずに、昔の学校の一部の先生
(六十数年前)に教えてくれたようにして書くと、筆のいたみが早いのと、墨が続かずに一字を書
くのに何回も墨継ぎをしなくてはならないハメに陥る。筆屋さんは喜ぶのだが・・(筆がいたんで
すぐ書けなくなるのでまた新しいのを買ってくれる)書いた後はすぐに水洗いをしておくこと。特に
墨液を愛用している輩は必須。その時にクシ(専用は高いので、ペット用の粗めのクシを代用)
をやさしく入れながら洗うと筆のもつれがとれて、次回書く時に筆が割れることも少ない。
●硯について
硯も使った後は水洗いしておくこと。ぬるま湯だとさらによく落ちる。へちまが硯の面にやさしくてよい。
決してテッシュで拭いたり、失敗の半紙で拭き取ることはケバが硯の面にこびりついて硯の鋒鋩(ほう
ぼう)につまって硯がダメになるので注意のこと。数ヶ月に一度は硯専用の砥石で鋒鋩を立てるため
に、軽く目立てをする。もちろん、硯に墨液なんかもってのほか!墨液ごときはガラスの灰皿とか、うわ
ぐすりの塗ってある焼き物等の器でよい。(洗う時にもすぐに墨がとれる)
●墨について
墨を磨るときに海(池とか呼ぶ)の部分にたっぷり水を入れて、その水をすくいだしながら磨る人をよく見
かけるが、そんな墨の磨り方は駄目。欲げにせずに、丘と言われる部分に水滴で2、3滴
チョロチョロっと垂らしてそれを年寄りが居眠りをしながら磨る要領でとろみがでたら海に流し込む。再び
水滴で2〜3滴チョロチョロっと丘の部分に垂らして磨る。決して親の仇のようにゴシゴシばりばりとは磨ら
ないこと。なぜなら墨の粒子が粗いだけで墨色は全然よくないからだ。程よく墨がちびて、硯もちびて両者が
相協力してこそ素晴らしい墨色となることを知るべし。なお、墨を磨る水はもちろん水道水なんかより蒸留水
が適しているのは言うまでもない。また、水の温度は「いい湯加減」40℃くらいが望ましい〜 特に冬場はこの
ことに留意して欲しい。