以心伝心 Act4.ポコ
arc3後|2007.02.15
「あれー? エルク、どうしたの?」
ばたばたと物凄い勢いで部屋に飛び込んで来た突然の訪問者に、楽器の手入れ――こちらは戦闘用ではなく演奏用だ――をしていたポコが、思わずその手を止めてエルクにおいでおいでの手招きをする。
気の所為か、どことなくぐったりとしているエルクを横目で見つつ、肩で息をしていたエルクがどっかりとその隣に座り込んだ。
「……ねえ、エルク」
「何だよ」
「それで、賭けはどっちに軍配が上がったのかな?」
何か機嫌悪いなー、と思いながらポコが聞くと、途端にエルクが半分涙目でポコを睨み返した。
「うわっ」
「あんなの賭けになるかっ、馬鹿っ!」
「えっ…と、駄目だったの?」
きょとんとなるポコに、エルクがぐっと返事に詰まって顔を背ける。よく見なくても髪の毛は幾分乱れているような、加えていつも巻いている頭のバンダナが無い事に、ポコはぴんと来たように頭を掻いた。
「あー、もしかしなくても襲われたんだ」
「……納得気に言うな」
「だって、そうなんでしょ?」
「……」
押し黙るエルクの肩を、ぽんっと叩いてポコが言う。
「やっぱりね。僕の睨んだ通り、唯一分かってくれたのはシュウだけなんだ」
「…シュウはともかく、アークは分かると思ったんだけどな…」
「や、それは無理だよ。エルクの無自覚な上目使い、及び可愛いご馳走を前にして、理性を保てる男がいる訳ないじゃん」
「お、男って言うなぁっ!!」
半分以上涙声で、隠し切れない衝撃を受けて畳に突っ伏したエルクに、ありゃりゃ、とポコが視線をさ迷わせた。
うーん。そういう所も、見た目に可愛いと思っちゃうんだけどなぁ、と内心で漏らして。
「以心伝心なんて、上手くいく筈ねえんだ…」
畜生、と呟いて不貞腐れるエルクの顔を強引に自分の方に振り向かせて、ポコがにっこりと笑った。
「ね、エルク。君の気持ちが僕にも伝わるかどうか、試してみない?」
「え…」
「んー、今、エルクが考えてるのは」
むむっ、とわざとらしく眉を寄せるポコに少しだけ気を取り直し、エルクが小さな苦笑を浮かべてポコの顔を見返した。
「今のエルクは、僕の演奏を聴きたいと思ってる。どう? 合ってる?」
「へえ…よく分かったな?」
何で分かったんだと不思議がるエルクに、ポコは慣れた手付きで手入れ中の楽器を手に取った。
「そりゃあ、君のそういう子犬みたいな表情を見せられちゃねえ」
「だ、誰が子犬だ誰がっ!?」
「自覚ないの? エルクってさ、ちょっとした仕種や一瞬の表情で、思わず人を惹き付ける表情をする時があるんだよ?」
「…そ、そうなのか?」
「うん。そういうのを人は、無自覚の天然たらしと言うんだろうね」
「て…天然たら…し…」
「そ。あ、一応これは褒め言葉だからね」
どーんと効果音が付きそうなくらいに肩を落としたエルクに向かって、ポコがにっこりと実に良い笑顔を見せた。
「さて、それじゃ賭けに負けた可哀想なエルクの為に、僕のとびっきりの演奏を聴かせてあげるよー」
手入れ中だったトランペットを構えて、片目を閉じて見せたポコに、エルクが深すぎる溜息を吐いて漏らした。
「俺…お前と一緒に旅しようかな…」
「あ、それは物凄く魅力的で嬉しいお誘いだけど」
「何?」
「僕、あの二人…特に怖い怖い勇者さんを敵に回してまで君を攫えないよ?」
「…え、そんな大層なものじゃないんだけど」
「なるんだよね、困った事に」
ふふ、と笑って、意識を演奏に集中させる。やがて静かに、力強く流れ始める旋律に、エルクもいつしか聴き入るようにポコの手元に意識を向ける。
楽器を持つ事は勿論、演奏経験すらない自分でも、ポコが奏でる音楽を、エルクは心の底から好きで溜まらないから。
「いつか、お前と一緒に演奏してみたいな」
「あ、いいよ。僕はいつでもOKだから」
そう言って、また賭けでもしようか? と人の良い笑顔を見せると。途端にエルクの顔がぴしりと凍り付いた。どうやら、賭け事はもう懲り懲りらしいと、その表情からポコは察して言った。
「今度は、賭けに勝った方の特典にケーキをご馳走するからさー」
「はっ、食い物で俺を吊ろうってのか?」
「そうじゃないけど。近いうちに、君の好きなブルーベリーパイでも作ろうかなーって」
「その賭け、乗った」
「OK」
きらん、と光ったエルクに笑顔で答えて、ポコは再び、誰にも邪魔されない空間を保つようにトランペットを吹き鳴らし始めた。
ばたばたと物凄い勢いで部屋に飛び込んで来た突然の訪問者に、楽器の手入れ――こちらは戦闘用ではなく演奏用だ――をしていたポコが、思わずその手を止めてエルクにおいでおいでの手招きをする。
気の所為か、どことなくぐったりとしているエルクを横目で見つつ、肩で息をしていたエルクがどっかりとその隣に座り込んだ。
「……ねえ、エルク」
「何だよ」
「それで、賭けはどっちに軍配が上がったのかな?」
何か機嫌悪いなー、と思いながらポコが聞くと、途端にエルクが半分涙目でポコを睨み返した。
「うわっ」
「あんなの賭けになるかっ、馬鹿っ!」
「えっ…と、駄目だったの?」
きょとんとなるポコに、エルクがぐっと返事に詰まって顔を背ける。よく見なくても髪の毛は幾分乱れているような、加えていつも巻いている頭のバンダナが無い事に、ポコはぴんと来たように頭を掻いた。
「あー、もしかしなくても襲われたんだ」
「……納得気に言うな」
「だって、そうなんでしょ?」
「……」
押し黙るエルクの肩を、ぽんっと叩いてポコが言う。
「やっぱりね。僕の睨んだ通り、唯一分かってくれたのはシュウだけなんだ」
「…シュウはともかく、アークは分かると思ったんだけどな…」
「や、それは無理だよ。エルクの無自覚な上目使い、及び可愛いご馳走を前にして、理性を保てる男がいる訳ないじゃん」
「お、男って言うなぁっ!!」
半分以上涙声で、隠し切れない衝撃を受けて畳に突っ伏したエルクに、ありゃりゃ、とポコが視線をさ迷わせた。
うーん。そういう所も、見た目に可愛いと思っちゃうんだけどなぁ、と内心で漏らして。
「以心伝心なんて、上手くいく筈ねえんだ…」
畜生、と呟いて不貞腐れるエルクの顔を強引に自分の方に振り向かせて、ポコがにっこりと笑った。
「ね、エルク。君の気持ちが僕にも伝わるかどうか、試してみない?」
「え…」
「んー、今、エルクが考えてるのは」
むむっ、とわざとらしく眉を寄せるポコに少しだけ気を取り直し、エルクが小さな苦笑を浮かべてポコの顔を見返した。
「今のエルクは、僕の演奏を聴きたいと思ってる。どう? 合ってる?」
「へえ…よく分かったな?」
何で分かったんだと不思議がるエルクに、ポコは慣れた手付きで手入れ中の楽器を手に取った。
「そりゃあ、君のそういう子犬みたいな表情を見せられちゃねえ」
「だ、誰が子犬だ誰がっ!?」
「自覚ないの? エルクってさ、ちょっとした仕種や一瞬の表情で、思わず人を惹き付ける表情をする時があるんだよ?」
「…そ、そうなのか?」
「うん。そういうのを人は、無自覚の天然たらしと言うんだろうね」
「て…天然たら…し…」
「そ。あ、一応これは褒め言葉だからね」
どーんと効果音が付きそうなくらいに肩を落としたエルクに向かって、ポコがにっこりと実に良い笑顔を見せた。
「さて、それじゃ賭けに負けた可哀想なエルクの為に、僕のとびっきりの演奏を聴かせてあげるよー」
手入れ中だったトランペットを構えて、片目を閉じて見せたポコに、エルクが深すぎる溜息を吐いて漏らした。
「俺…お前と一緒に旅しようかな…」
「あ、それは物凄く魅力的で嬉しいお誘いだけど」
「何?」
「僕、あの二人…特に怖い怖い勇者さんを敵に回してまで君を攫えないよ?」
「…え、そんな大層なものじゃないんだけど」
「なるんだよね、困った事に」
ふふ、と笑って、意識を演奏に集中させる。やがて静かに、力強く流れ始める旋律に、エルクもいつしか聴き入るようにポコの手元に意識を向ける。
楽器を持つ事は勿論、演奏経験すらない自分でも、ポコが奏でる音楽を、エルクは心の底から好きで溜まらないから。
「いつか、お前と一緒に演奏してみたいな」
「あ、いいよ。僕はいつでもOKだから」
そう言って、また賭けでもしようか? と人の良い笑顔を見せると。途端にエルクの顔がぴしりと凍り付いた。どうやら、賭け事はもう懲り懲りらしいと、その表情からポコは察して言った。
「今度は、賭けに勝った方の特典にケーキをご馳走するからさー」
「はっ、食い物で俺を吊ろうってのか?」
「そうじゃないけど。近いうちに、君の好きなブルーベリーパイでも作ろうかなーって」
「その賭け、乗った」
「OK」
きらん、と光ったエルクに笑顔で答えて、ポコは再び、誰にも邪魔されない空間を保つようにトランペットを吹き鳴らし始めた。
☆えと、エルク無自覚天然さに結局墓穴を掘るお話と言うか(笑)
因みにこれの、天然たらしのネタ提案を下さったのは憧れのソウ様ですv(きらーん)
と言う訳でこの駄文、ソウ様に強引にお捧げします(要らんってι)
xxx
あまりにも嬉しかったので、あとがきまで連れて帰ってきた変態は私ですw
だってだってだってだって…っっ、こんな素敵なものを生み出した切っ掛けとなれたんですって!うわわぁぁぁ///な、なんということでしょう!
もうさ、もうさ!
アレクは可愛いしヘタレだし!つか律儀だし!純情だし!可愛いし!(2回言った!!)
シュウさん最強無敵の親ばかで、大胆で(姫だっこキター!と叫ぶ現代人なソウでした)華麗だし!エルクが要求していることを察して、なんの迷いもなく実行するし!(自信たっぷりすぎるよっ///)
アークは本当に分かってなかったのか(自分の欲求にしたがっただけな気もしなくもないですね!)怪しいけど相変わらずだし!自分勝手さが素敵だ!勇者だ!
ポコは黒いし、マイペースだし、あにき風をふかせるだし!そんでもってエルク大好きだし!!「理性保てる男がいるわけないじゃん」発言に心配と、私が腐ってるだけかもしれませんが、自分以外は敵だと思えと言ってるみたいでなんかこうドキドキしました///友人以上恋人未満、家族以上。精神的には恋人以上(爆笑/ごめんアーク)そんな関係でいいと心底思いますっ!ダークホース万歳!
始終、くっそー、玲さまやるなぁ///と、机をバンバン叩いていました(怪しい人)素敵すぎます、トキメキすぎます!///
そんなご本人も天然たらし(褒め言葉w)な玲さまのサイトはコチラですよ〜w
ぜひ、私のように、たらされてください(日本語がおかしい)
つか、トッシュさん留守でよかったよな〜としみじみと思ってみたり。危ないなあもう^^;
因みにこれの、天然たらしのネタ提案を下さったのは憧れのソウ様ですv(きらーん)
と言う訳でこの駄文、ソウ様に強引にお捧げします(要らんってι)
xxx
あまりにも嬉しかったので、あとがきまで連れて帰ってきた変態は私ですw
だってだってだってだって…っっ、こんな素敵なものを生み出した切っ掛けとなれたんですって!うわわぁぁぁ///な、なんということでしょう!
もうさ、もうさ!
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シュウさん最強無敵の親ばかで、大胆で(姫だっこキター!と叫ぶ現代人なソウでした)華麗だし!エルクが要求していることを察して、なんの迷いもなく実行するし!(自信たっぷりすぎるよっ///)
アークは本当に分かってなかったのか(自分の欲求にしたがっただけな気もしなくもないですね!)怪しいけど相変わらずだし!自分勝手さが素敵だ!勇者だ!
ポコは黒いし、マイペースだし、あにき風をふかせるだし!そんでもってエルク大好きだし!!「理性保てる男がいるわけないじゃん」発言に心配と、私が腐ってるだけかもしれませんが、自分以外は敵だと思えと言ってるみたいでなんかこうドキドキしました///友人以上恋人未満、家族以上。精神的には恋人以上(爆笑/ごめんアーク)そんな関係でいいと心底思いますっ!ダークホース万歳!
始終、くっそー、玲さまやるなぁ///と、机をバンバン叩いていました(怪しい人)素敵すぎます、トキメキすぎます!///
そんなご本人も天然たらし(褒め言葉w)な玲さまのサイトはコチラですよ〜w
ぜひ、私のように、たらされてください(日本語がおかしい)
つか、トッシュさん留守でよかったよな〜としみじみと思ってみたり。危ないなあもう^^;