お祝い大作戦
arc2|2007.12.25
「封筒…?」
若干くしゃくしゃになってはいるが、それは黄色の封筒で。頷きで促されて、アークは手に持ってみる。
その時に、同じ色の小さな紙が舞った。
が、それが何か分かる前に、これまた珍しいことに慌てたトッシュがそれを空中でキャッチし、背中に隠すと、うさんくさい笑いを向けたのだから、アークの眉間にしわがよる。
「トッシュ」
「や、これはちげーから!それよりも、な!その封筒!」
怪しすぎるが、ひとまずそれは置いておいて、アークは封筒を目の高さにまで上げる。裏返してみても、宛名も差出人もなく、不審に思うアークだが、それよりも今現在、にやにや笑ってこちらを見るトッシュが不審でたまらない。
兎にも角にも、なにごともひとつひとつ処理しなければ。アークは自分に言い聞かせ、一通り検分し終わると、うすっぺらいその封筒を、開けてみる。
そして、自分の顔がしかまるのを感じた。
「トッシュ」
「おう、どうした?」
「……空なんだが」
ほらこの通りと、口を下にしてトッシュへ見せる。
するとトッシュにとっても予想外なことだったらしい。アークから封筒を取り上げ、真剣な目で中を覗き込みだした。
「うそだろー?おっかしい…」
「トッシュ、ソレはなんなんだ?」
「んー?」
本当に何もないなと顔をしかめて、トッシュはアークの問いに顎へと手を当て、首を傾げた。
「うーっとだな…コレは、お前宛の誕生日プレゼントだった、はずだぜ?」
その言葉に、アークは驚いた。
「たん、じょうび…?」
まるで初めて聞く単語のように、普段冷静沈着な彼の姿からは考えつかないほど幼く、繰り返し、飲み込む。
「そう、誕生日おめでとうな、アーク」
「あ、ああ、ありがとう。それで、ソレは誰が…?」
「いや、それがよく分かんねーんだよ。メンバーの中の誰かってことぐらいしか」
「分からない?」
「おう。それにこれ以上は言えねー」
「何故?さっき隠した紙に関係あるのか?」
「そゆこと。なあ、アーク」
「なんだ?」
「これは、ミステリーだな」
「……とりあえず、もう一度見せてくれるか?その封筒」
トッシュがなにやら嬉しそうに言ったのを流すことにして、アークはもう一度中を覗き込み、気付く。
「…これは確か…」
「お?何か分かったかい、アーク探偵?」
どうやってもミステリーものにしたいらしいトッシュに、アークは若干こめかみのあたりが痛くなったが、考えることに集中することに決めた。
封筒の内側。よく見てみれば、表面が細かく凸凹としている。
(ああ、分かった)
アークは、封筒を綺麗に裂いた。展開図のように広げて確信する。
「あ、アーク!?」
「トッシュ、鉛筆持ってるか?」
「お?お、おう、そりゃあ紳士としては持っているが」
「貸してくれ」
言葉とは裏腹に、トッシュが答える前に問答無用で奪い取って、壁に封筒を押しつけると、軽く鉛筆を当て、そのまま全面を塗る。
すると、鉛筆の黒に映えるように、紙を凹ませて書かれた文字が、綺麗に浮かび上がった。
「おー、成る程。なんつー、ややこしい」
「………たしかに
若干くしゃくしゃになってはいるが、それは黄色の封筒で。頷きで促されて、アークは手に持ってみる。
その時に、同じ色の小さな紙が舞った。
が、それが何か分かる前に、これまた珍しいことに慌てたトッシュがそれを空中でキャッチし、背中に隠すと、うさんくさい笑いを向けたのだから、アークの眉間にしわがよる。
「トッシュ」
「や、これはちげーから!それよりも、な!その封筒!」
怪しすぎるが、ひとまずそれは置いておいて、アークは封筒を目の高さにまで上げる。裏返してみても、宛名も差出人もなく、不審に思うアークだが、それよりも今現在、にやにや笑ってこちらを見るトッシュが不審でたまらない。
兎にも角にも、なにごともひとつひとつ処理しなければ。アークは自分に言い聞かせ、一通り検分し終わると、うすっぺらいその封筒を、開けてみる。
そして、自分の顔がしかまるのを感じた。
「トッシュ」
「おう、どうした?」
「……空なんだが」
ほらこの通りと、口を下にしてトッシュへ見せる。
するとトッシュにとっても予想外なことだったらしい。アークから封筒を取り上げ、真剣な目で中を覗き込みだした。
「うそだろー?おっかしい…」
「トッシュ、ソレはなんなんだ?」
「んー?」
本当に何もないなと顔をしかめて、トッシュはアークの問いに顎へと手を当て、首を傾げた。
「うーっとだな…コレは、お前宛の誕生日プレゼントだった、はずだぜ?」
その言葉に、アークは驚いた。
「たん、じょうび…?」
まるで初めて聞く単語のように、普段冷静沈着な彼の姿からは考えつかないほど幼く、繰り返し、飲み込む。
「そう、誕生日おめでとうな、アーク」
「あ、ああ、ありがとう。それで、ソレは誰が…?」
「いや、それがよく分かんねーんだよ。メンバーの中の誰かってことぐらいしか」
「分からない?」
「おう。それにこれ以上は言えねー」
「何故?さっき隠した紙に関係あるのか?」
「そゆこと。なあ、アーク」
「なんだ?」
「これは、ミステリーだな」
「……とりあえず、もう一度見せてくれるか?その封筒」
トッシュがなにやら嬉しそうに言ったのを流すことにして、アークはもう一度中を覗き込み、気付く。
「…これは確か…」
「お?何か分かったかい、アーク探偵?」
どうやってもミステリーものにしたいらしいトッシュに、アークは若干こめかみのあたりが痛くなったが、考えることに集中することに決めた。
封筒の内側。よく見てみれば、表面が細かく凸凹としている。
(ああ、分かった)
アークは、封筒を綺麗に裂いた。展開図のように広げて確信する。
「あ、アーク!?」
「トッシュ、鉛筆持ってるか?」
「お?お、おう、そりゃあ紳士としては持っているが」
「貸してくれ」
言葉とは裏腹に、トッシュが答える前に問答無用で奪い取って、壁に封筒を押しつけると、軽く鉛筆を当て、そのまま全面を塗る。
すると、鉛筆の黒に映えるように、紙を凹ませて書かれた文字が、綺麗に浮かび上がった。
「おー、成る程。なんつー、ややこしい」
「………たしかに