お祝い大作戦
arc2|2007.12.25
「え?」
「え?って…封筒の中空っぽだっただろ?」
「いやまあそうなんだけど。ここまでの道のりが、十分俺にとってはプレゼントだったから…」
そう、珍しく言葉をにごらせるアークに、エルクは隠すことなく脱力する。
「あのなー、あんたじゃあるめーし、んな気障な演出するかよ…。つーか、あんたオレの話聞いてねーな。我が儘になれってさっき言ったばっかだっつーの」
やれやれとエルクに呆れられて、少々傷ついたアークだが(なにせ相手は天然ボケボケで通っているエルクである)それよりも、彼の言う他のプレゼントに気持ちが傾く。照れ屋で素直じゃなくてすっとぼけてヘタレな彼からプレゼント、これはもしかしなくても貴重じゃないだろうか。
「いろいろ悩んだんだぜ、オレの特技を活かしたものにしたいなーって考えたんだけど」
「たとえば?」
「んー、こうケーキの上にローソクさすだろ。それに『強風でも消えない炎』を灯す、とか」
よかった、案で終わって。アークは心から思った。
別にケーキにローソクを求めるような年齢でもないが、息を吹きかけて消えないとはどうしょうもなく虚しい。
「んで、副業にしてみた」
「副業?」
「そ」
手を出せと、何かを握りしめた左手を突き出され、両手を掬う形にしてその下に構える。
「まあ気に入らなくても、返さないでくれよな」
ぽつりぽつりと、重力に従って掌に落ちてきたしずくのようなものが2つ。薄暗い食料庫の光の中でも、輝くそれ。
球体で、上が透明、下にかけて青みがかっている。掌の上を軽く転がして、ようやくコレの名称を思い出した。
「トンボ玉…だったか?」
「ご名答」
「なるほど、硝子工芸か。たしかにお前にはもってこいの副業だな」
なんといっても彼の異名は炎使い。火を使うことにかけてはプロ、というより日常の延長。火傷と熱さに悩むその道の達人を尻目に、素手で手早く作ってしまえるのだろう。なんとも職人泣かせだ。
「綺麗だ、ありがとう」
「………まあ、怪我とかしてハンターやれないときに、ちょっと囓った程度だから。大したもんじゃなくて悪い」
どうやら照れくさくなってきたらしい、ちょっと視線を泳がしながら、エルクは呟く。
そして、アークがまだトンボ玉を掌で遊ばせているのを見て、困ったように頭を掻くと、缶の上から下りた。
「えーと…そんじゃ、行くか」
「?どこへ?」
トンボ玉を握りしめ、アークは扉の方へと歩くエルクに問いかける。
すると、キョトンとした表情で振り返ったエルクが、何かを理解したようにニッと口角をつりあげた。
「あんたまだ、ポコに会ってねーだろ?」
「…ああ、そういえば」
「あいつ、どこにいると思う?あと、オレが封筒にあんな面倒なコトしたの、なんでだと思う?」
考えてみなよ、勇者さん。
挑発的な台詞にしては、嬉しくてたまらないとエルクは笑う。
「今日のお前の問題は、俺には難しいものばかりだ」
大げさに肩をすくめながら、エルクの隣へと足をすすめる。
「そうか?単純だぜ?あんたが思いつく中で最も期待できるもの、それが答えだ」
「…じゃあ、」
ハズレなら恥ずかしすぎるけどと前置きして。
エルクに耳打ちすれば、満面の笑みが返ってきた。
「え?って…封筒の中空っぽだっただろ?」
「いやまあそうなんだけど。ここまでの道のりが、十分俺にとってはプレゼントだったから…」
そう、珍しく言葉をにごらせるアークに、エルクは隠すことなく脱力する。
「あのなー、あんたじゃあるめーし、んな気障な演出するかよ…。つーか、あんたオレの話聞いてねーな。我が儘になれってさっき言ったばっかだっつーの」
やれやれとエルクに呆れられて、少々傷ついたアークだが(なにせ相手は天然ボケボケで通っているエルクである)それよりも、彼の言う他のプレゼントに気持ちが傾く。照れ屋で素直じゃなくてすっとぼけてヘタレな彼からプレゼント、これはもしかしなくても貴重じゃないだろうか。
「いろいろ悩んだんだぜ、オレの特技を活かしたものにしたいなーって考えたんだけど」
「たとえば?」
「んー、こうケーキの上にローソクさすだろ。それに『強風でも消えない炎』を灯す、とか」
よかった、案で終わって。アークは心から思った。
別にケーキにローソクを求めるような年齢でもないが、息を吹きかけて消えないとはどうしょうもなく虚しい。
「んで、副業にしてみた」
「副業?」
「そ」
手を出せと、何かを握りしめた左手を突き出され、両手を掬う形にしてその下に構える。
「まあ気に入らなくても、返さないでくれよな」
ぽつりぽつりと、重力に従って掌に落ちてきたしずくのようなものが2つ。薄暗い食料庫の光の中でも、輝くそれ。
球体で、上が透明、下にかけて青みがかっている。掌の上を軽く転がして、ようやくコレの名称を思い出した。
「トンボ玉…だったか?」
「ご名答」
「なるほど、硝子工芸か。たしかにお前にはもってこいの副業だな」
なんといっても彼の異名は炎使い。火を使うことにかけてはプロ、というより日常の延長。火傷と熱さに悩むその道の達人を尻目に、素手で手早く作ってしまえるのだろう。なんとも職人泣かせだ。
「綺麗だ、ありがとう」
「………まあ、怪我とかしてハンターやれないときに、ちょっと囓った程度だから。大したもんじゃなくて悪い」
どうやら照れくさくなってきたらしい、ちょっと視線を泳がしながら、エルクは呟く。
そして、アークがまだトンボ玉を掌で遊ばせているのを見て、困ったように頭を掻くと、缶の上から下りた。
「えーと…そんじゃ、行くか」
「?どこへ?」
トンボ玉を握りしめ、アークは扉の方へと歩くエルクに問いかける。
すると、キョトンとした表情で振り返ったエルクが、何かを理解したようにニッと口角をつりあげた。
「あんたまだ、ポコに会ってねーだろ?」
「…ああ、そういえば」
「あいつ、どこにいると思う?あと、オレが封筒にあんな面倒なコトしたの、なんでだと思う?」
考えてみなよ、勇者さん。
挑発的な台詞にしては、嬉しくてたまらないとエルクは笑う。
「今日のお前の問題は、俺には難しいものばかりだ」
大げさに肩をすくめながら、エルクの隣へと足をすすめる。
「そうか?単純だぜ?あんたが思いつく中で最も期待できるもの、それが答えだ」
「…じゃあ、」
ハズレなら恥ずかしすぎるけどと前置きして。
エルクに耳打ちすれば、満面の笑みが返ってきた。
ということで、季節感ゼロでお届けしてみました、アーク生誕話。
私の誕生日にいただいた小説が嬉しすぎたので、祝いたい気持ちだけをふんだんに押し込んで、拙い文章を、こそっと捧げます^^お誕生日おめでとうございます!!(サイト再開したら、自慢させて貰おう!)
前から書いてみたいな〜と思っていた話だったのですが、予想以上に時間がかかってしまったのが誤算と言えばまさにそれですorz自分のバカヤロー
えーと、話の内容のこと。どうも最近、アーク視点が楽しすぎて(笑)トッシュ親分に対して、そっけなさすぎますが、我が家の勇者はこんな感じでいこうと思います。
あと今回、やけにポコが少なくなってしまいました。いやでもあの子が絡むと、ただでさえダラダラしがちな文章がいい感じに加速してしまうので。炎音好きも困っちゃいますね←
エルクがいつになく偽物くさいいえいえ、我が家はこんなのです(にこ)
誕生日の話、メンバー全員してみたいなー。とか、無謀なことを考えるソウでした。
本当に、お誕生日おめでとうございました!
私の誕生日にいただいた小説が嬉しすぎたので、祝いたい気持ちだけをふんだんに押し込んで、拙い文章を、こそっと捧げます^^お誕生日おめでとうございます!!(サイト再開したら、自慢させて貰おう!)
前から書いてみたいな〜と思っていた話だったのですが、予想以上に時間がかかってしまったのが誤算と言えばまさにそれですorz自分のバカヤロー
えーと、話の内容のこと。どうも最近、アーク視点が楽しすぎて(笑)トッシュ親分に対して、そっけなさすぎますが、我が家の勇者はこんな感じでいこうと思います。
あと今回、やけにポコが少なくなってしまいました。いやでもあの子が絡むと、ただでさえダラダラしがちな文章がいい感じに加速してしまうので。炎音好きも困っちゃいますね←
エルクがいつになく偽物くさいいえいえ、我が家はこんなのです(にこ)
誕生日の話、メンバー全員してみたいなー。とか、無謀なことを考えるソウでした。
本当に、お誕生日おめでとうございました!