あまぎ探偵事務所

天城小次郎が所長を務める私立探偵事務所。所長以外の従業員は氷室恭子のみ。
街の中心街から外れた港の倉庫街の一角に倉庫を改造した事務所を構えている。
同場所に住んでいる小次郎にとっては住所兼職場になるが所員の氷室は別に部屋を借りている様子。
ただし『EVE The Lost One』、『ADAM the double factor』では時折氷室も事務所に寝泊まりしていることなどが語られている。

普段から人気のない倉庫街なので依頼人が気軽に立ち寄れるような環境には無く、明るく開放的な桂木探偵事務所とは色々と正反対。
元桂木探偵事務所のエースに元教育監視機構所属のエージェントと従業員の能力は超一流だが、
界隈へのネームバリューに乏しく、仕事は浮気調査やペット探しなどの雑多なものがほとんどで暇な時は暇らしい。
後の『EVE The Lost One』では氷室のハッキング能力を駆使してパスポート偽造などの非合法な仕事なども請け負っていることが判明する。

作中でも迷子のペット探しを度々受けるような現状に所長の小次郎は無聊を託つ想いだったようで、
音無橘花による美ノ神みなとの行方探しを依頼された時は久しぶりに探偵らしい依頼を受けることが出来たと内心喜んでいた節が見受けられる。


雨宮学園

「あまみやがくえん」。18禁ゲーム『悦楽の学園』の舞台となった私立の名門女子高。
教育監視機構時代の氷室恭子、佐久間裕一、佐々木恵らが同校生徒の失踪事件を追うべく潜入捜査を行った。
女生徒に強力な催淫剤を用いた後に調教や洗脳を施し、政財界の大物に売春を斡旋するなどの人身売買を行っていたとされる。
今作では当時以来再会した氷室と佐久間の間で学園の名前や佐々木のことが軽く触れられる程度。

『EVE burst error』に図書館の助手として登場する松乃広美が『悦楽の学園』作中に於けるヒロイン。
当時同校に在籍しており、佐久間に協力して事件を解決に導いている。後に恋人同士となり婚約。
今作でも佐久間負傷中のお見舞いのため、留学先のアメリカから戻って来たことなどが語られている。


アルメリック

イギリスのロンドンのみに流通している葉巻の銘柄。

迷子犬捜しを小次郎に依頼した黒河内夫人が最近タバコから葉巻に替えて吸い始めている。
一般には流通していないが、外務省次官である夫の伝手を使って入手していた。
黒河内から米原議員を経てリバーにも贈られたため、リバーもこの葉巻を吸っているようだ。

また、失踪していた美ノ神みなとが残したポーチにもこの葉巻の匂いが染みついており、作中中盤で小次郎編、まりな編両方にその名前が登場する。

エール外国人学校

エルディア共和国出資のもとに創立された私学校。
「多民族、多文化、多宗教の共生」をモットーにした自由な校風が特徴。
多様な文化、両親の仕事の都合など様々な事情を抱える生徒が在籍しているため、大学のような選択授業制を採用している模様。
また、図書館やプールなどの施設は一般にも開放されており、日本とエルディア共和国の文化的架け橋としての役割も担っている。

一年前、前校長だったストールマン=孔が殺害される事件の前後に不審者の目撃情報が相次いだことから、
現在は全校生徒にIDカードの所持を義務付け、校門前に警備員が常駐するなどセキュリティ体制が厳しくなった。
ちなみに現在の校長はエルディア国内の外交官が名誉職ポジションとして任命されているだけで、基本的に校長は不在の状態になっている。

今作では音無橘花、深浦麻世が生徒として、美ノ神みなと、市種悠馬が教師として在籍。
『EVE burst error』では御堂真弥子が生徒として、シリア・フラットが教師として在籍していた。
また『EVE burst error』ではストールマン=孔の横領疑惑の調査のため、当時教育監視機構に在籍していた氷室恭子が潜入捜査を行っていた。


エール国

エルディア共和国の通称。作中では主にエール国と呼ばれている。
この他エール外国人学校やエール総合病院など、エルディアが出資した施設にはこの「エール」を冠した名称がつけられている。

エール総合病院

市内中心部にある総合病院。近年、エルディア共和国出資のもとに改築がなされた際にエール総合病院に改名。
エール校と並んで日本とエルディアとの架け橋的存在としての役割を担っている。
女医として海原鉄子が在籍。また、ルポライターの柴田茜が田端あかりを名乗って看護婦として潜入している。

一年前のエルディア王位継承事件の際に活動を停止した「EVE」御堂真弥子を、美ノ神ミヤコの名前で同病院にて保護しており、その入院費用を内調経由で負担している。
その資金の流れが一見すると公金からの使途不明金の流用のように見えるため、茜が公金横領を疑って特ダネを掴むために潜入していた模様。
また、自殺サークル・ピリオドの中心人物である青山たけるは同病院の副院長の息子にあたる。

作中後半では内調襲撃事件およびエール校でのロイズとの衝突で負傷した天城小次郎、甲野三郎、桐野杏子が入院した。

エルディア共和国

EVEシリーズに登場する架空の国家。国内に砂漠地域を持つ中東の小国として描かれている。
勤勉な国民性から生み出された高度な科学技術力、そして前国王時代に整備された情報部の優秀な諜報能力を背景に発展して来た。
長らく王族による独裁政治が敷かれていたが、近年ではロイド首相を筆頭に民主化を望む声も高まっており、国家として政治的な過渡期を迎えつつある。

前国王死亡後はそのロイド首相率いる改革派による様々な民主化政策が断行されるが、首相を始め複数の閣僚や主要人物が王位継承事件の最中に命を落としている。
混乱の後に前国王の姪にあたるプリシア・レム・クライムが新女王に即位。
現在は新女王自らが政務を指揮しているが、その下に議会を承認する君主共和制へと政治体制は移行しつつある。

『EVE The Lost One』では中盤以降エルディアへと舞台を移しており、牧歌的な国民性やバスキーヤ派と呼ばれる国内宗派の台頭事情などが描かれている。

『EVE The Fatal Attraction』では同国の建国経緯についての説明が追加。
1961年の独立に際しては西側諸国による資金や技術の提供を受けており、混乱を極める中東情勢に於いて西側諸国の防波堤の役割を期待されて建国されたとされる。
その際に日本からも政治家や官僚などが派遣されており、ロス=御堂などはそれら東洋人の二世・三世に当たるとのこと。
まだ、近年の地質調査により石油資源の埋蔵が確認されており、安藤商事などが採掘ビジネスの先鋒として国内に支社を建てるようになった。

王権派

一年前に起きたエルディア王位継承争いの際に対立した二派のうちの一つで、前国王の姪であったプリシア・レム・クライムに王位を継承させようとした派閥。
プリシアは王族の一員でありながらも王族による専制政治そのものには否定的であったため、思想的には対立する改革派と重なる部分も多かった。

前国王の専制政治から脱却するためのスキームとして、国王の下に議会を認めさせる現在の制度を維持しつつ、
国民の教育や政治制度の充実を図りながらの緩やかな民主化を目指していた。
エール校前校長ストールマン=孔が中心人物の一人とされている。

当初ロイド首相を中心とする改革派と政治的に対立していたが、『EVE burst error』終盤のトリスタン船上の会談で和解。
しかしその直後にロイド首相が殺害されたことなどから、同事件への王権派の関与を噂する声は今でも燻り続けているようだ。

現在はそのプリシアが王位にあるため、議会でもこの王権派が主流とされている。
かつて対立していた改革派の人物を要職に起用するなどの懐柔策も行っているが、地下に潜ってテロ活動を続けている改革派の残党には厳しい処置を下している。