C計画

正式名称はNeo Cerebral Project。「新たなる頭脳の計画」の意。

改革派に命を狙われて身の危険を感じたエルディア前国王が、
数値化した自分の人格と記憶を人造人間に移植し、それまでと全く違う肉体になることで改革派から逃れる計画。
王権派、改革派の目を欺いて御堂真弥子が再び王位に就くことも計画に含まれていた。

『EVE burst error』作中に於いてエルディア旧情報部長のロス=御堂が計画を主導していた。計画の発案者は桂木源三郎とされる。
ナノマシン技術を駆使した記憶の数値化および人体クローニング技術開発の中心人物はエルディア旧科学局局長のドールマン=孔。

当初は御堂の目論見通りに計画が遂行されていたが、
情報部を裏切った源三郎の妨害工作や次長だったディーブらの独断専行などの不安要素にも見舞われている。
また、一つの肉体の中に真弥子と前国王の二つの別人格が同居したことで精神に限界が生じ、両者の記憶の融合に失敗。
深刻な人格破綻や記憶障害を伴う暴走が引き起こされ、前国王の記憶は消失してしまう。
加えて王位継承争いの中でロス=御堂を失ったことで計画は失敗に終わった。

御堂真弥子もまた活動を停止してしまうが、沈没したトリスタン号から引き上げられて後はエール総合病院に美ノ神ミヤコの名前で昏睡状態の重篤患者として入院している。

DEA

アメリカ麻薬取締局(Drug Enforcement Administration)の略称。
ラオスでの麻薬密売組織摘発の際、東南アジアの麻薬シンジゲートを潰せるということで桂木弥生がDEAをけしかけたとの描写がある。
弥生とまりなが知り合ったとされる渡米時代の人脈の一端のようだ。

D計画

前エルディア国王復活を目的として計画された「C計画」と並行して進められていた計画。
C計画と同じく科学局局長のドールマン=孔が中心人物。頭文字を取って「D計画」と呼ばれる。
元々は人体クローニング技術を利用して移植可能な臓器を入手することを目的とした資金調達用の計画だった。

しかしストールマン=孔による自身の暗殺計画を察知したドールマンは、自らの記憶と人格をクローニングされた肉体に移植させることによる逃亡を決意。
その際にD計画によって生成されていた5体のクローン体を利用した。ドールマン・リジェネシス・プロジェクトとも呼ばれている。
計画は成功し、ストールマンによる暗殺が実行された後にクローン人間の中にドールマンの人格が目覚めたが、
5体のクローン人間のうち2体は重篤な精神障害に見舞われて覚醒に失敗しており、残った3体がそれぞれ年齢の違う別の女性として覚醒している。
プリシア新女王即位後、エルディア国内の改革派残党への締め出しが厳しくなると、この5体のDシリーズは日本に渡った。

このD計画ではドールマン=孔という一人の人格と記憶を基にしているが、
年齢の違う個体に宿ったそれぞれの人格はベースこそ共通していても記憶の継承や個々人の性格・趣向に差異が生じており、
覚醒後の3人(D3、D4、D5)はそれぞれ別の思惑で行動を起こしていたとされる。

Dシリーズ

D計画によって生み出されたクローン人間。
ナノマシン技術によって数値化したドールマン=孔の記憶を、提供者であるアクア・スティル・ロイドのクローン体に移植したクローン人間。
15〜30歳、それぞれの年齢に応じて成長を施された肉体が器として用意された。
今作で登場が確認されたのは以下の5体になる。

D1...名称不明。校長室地下に放置されていたミイラ死体。予期せぬ複数人格が生じたことで精神に異常を来し、思考能力が著しく欠如したとされる。
    また重度の記憶障害が栄養を摂取する臓器の生理的反応を阻害したため、D1は衰弱死してしまった。

D2...名称不明。公園に遺棄された焼死体。D1とは正反対に人格そのものが生じず空の器だけの存在となっていた。D1と同じく栄養を摂取することが出来ず衰弱死。

D3...ヴィーネ・フラル。25歳程度にまで成長させた肉体に移植。ドールマンの記憶を最も色濃く受け継いだ個体。
    D4、D5とは距離を置いて、旧知の橘公彦らと共にOIF社でLose ONEの研究開発を続ける。

D4...深浦麻世。18歳程度に成長させた肉体に移植。「EVE」御堂真弥子と同様に人格分裂が生じ、深刻な精神崩壊と記憶障害に苛まれていた。
    自身の精神崩壊を防ぐためにD5および橘桜花と組んで自殺サークルピリオドにてNシステムの改良研究を行う。

D5...海原鉄子。30歳程度に成長させた肉体に移植。肉体や精神の異常は見られなかったが、代償としてドールマンの記憶継承に関しては最も薄くしか反映されなかった。
    D4深浦麻世に協力してNシステムの改良研究に従事。その後も麻世に病院の横流し品などを融通して協力していた。肉体の提供者であるアクアの面影を強く残す。

EVE

C計画によって生み出されたクローン体μ-101のコードネーム。
作中に於いては基本的に御堂真弥子のことを指すが、後の『EVE The Fatal Attraction』ではリリス研究所によって生み出されたクローン体の総称としても使われている。

JES

教育監視機構の略称。Japan Educational Superintendence-organizationの略。
略称自体は『悦楽の学園』作中でも用いられているが、EVEシリーズ内で用いられるのは今作が初。

Lose ONE

「ルーズワン」。Nシステムを基にして開発されたナノマシン技術の粋。
Nシステムより更に微細な極小ナノマシンが空気感染によって体内に侵入することで精神や記憶分野にまで作用する。
「失われた個人」の名が示す通り、個人であることを失い、集団の為に「女王アリ」と規定された人物にのみ従うようになる。
これを利用して国民を洗脳することも可能で、一人の人間を神のように敬うよう強制することも、投票によってエルディア国家を民主化に加速させることも可能とされた。
更には感染した者の臓器の活動を停止させて自死を強要することも可能とされ、作中では小次郎とまりなに「悪魔の研究」と評されている。

基本構想はエルディア科学局時代、ドールマン=孔、橘公彦、シャサ・ノバルティスらの研究によって構築されていたがC計画に反発した橘らの帰国によって研究は頓挫していた。
その後はエルディアに残った橘桜花によってナノマシン分野の研究が進められていたが、
ドールマンの殺害、科学局の解体などによってエルディアでの研究は中断を余儀なくされる。

この後のLose ONEは、ピリオドに身を寄せて深浦麻世らと共に研究を重ねる桜花と、
ヴィーネ・フラルとしてOIF社に所属し、旧知の橘公彦らと共に研究を続けるドールマンとがそれぞれ独自に開発を続けて来た。
作中終盤ではヴィーネがLose ONEの新たな出資者としてロイズとコンタクトを取るが、先に桜花と手を組んでいたロイズはヴィーネを切り捨ててこれを殺害。
完成したLose ONEは橘桜花の手に渡るも、桜花と同じDNAを持つ音無橘花による自死によって「女王アリ」の代替わりが行われLose ONEは無効化されることとなった。

ちなみにLose ONEは自殺サークル・ピリオドによって研究されたため、
自死後の遺体が腐乱することなく綺麗な状態であるよう、細胞の壊死は起こさないように改良されていた。
また、代替わりを行う際のキーとなる「女王アリ」の自死に関しては、
橘公彦の代替わりを止められなかったことを悔やむ溝口半蔵によって「心臓に負担はかかるが細胞の壊死は起こさない」よう組み替えられている。
これにより作中終盤で桜花が利用したLose ONEによる死者は出ておらず、感染者の体内に残ったLose ONEも数日後には尿と共に排泄されてしまったようだ。

LOST ONE

「ロストワン」。ナノマシン技術の粋でもある「EVE」御堂真弥子の遺伝子を基に作られた『EVE The LOST ONE』作中に登場する生物兵器。
今作には登場しないが、言うまでもなくLose ONEの元ネタで共通点も多い。

人体に入って来た異物を異物として認識せずに取り入れ、ウイルスの持つRNAを自分の遺伝情報と組み合わせるという行為を何度も繰り返し、ランダムに増殖する性質を持つ。
水を媒介とすることで驚異的な感染経路と感染スピードを有し、吐瀉、出血などの生理反応は起こらず薬物反応なども皆無。
ウイルスに感染した者は睡眠状態に陥り、昏睡状態を経て感染から三日〜五日後に死に至る。
同じく「EVE」の遺伝子から生まれた新薬ADDの無料開放が仇となり、『EVE The LOST ONE』終盤で日本とエルディア国内の各地で感染者が発生。
氷室恭子も感染してしまうが桐野杏子らがエルディアで精製した「EVE」の遺伝子を用いて作られたワクチンのおかげで一命は取り留めており、
一年後にあたる『ADAM the double factor』では「死にそうな目にあった」との氷室のセリフがある。

エルディア科学局の「EVE」研究チームの中にはアメリカからスカウトされた人物も在籍しており、
その中には密かにアメリカに研究データを持ち帰った者もいたようで、後に「Lost One」へと繋がるこのウイルス兵器の開発には米国防省も関与していたとされる。
その存在は米国防省の手によって秘匿されていたが、科学局の解体とエルディア政変の混乱に紛れて研究データがブラックマーケットに流出。アルタイル社の桜把浩二が密かに入手していた。

Nシステム

ガイギー製薬主任研究員シャサ・ノバルティスが開発したナノマシン技術の結晶。
彼の頭文字を取ってN(ノバルティス)システムと呼ばれている。

当時シャサはエルディアに渡って科学局でNシステムの研究に従事。
橘公彦の昆虫学、ドールマン=孔のクローニング技術と合わさり、後にこれがC計画の基礎となった。
しかしC計画の目的に気付いた橘公彦はこれに反発し帰国。
ほぼ同時期にシャサも日本に渡っており、残されたNシステムは橘公彦の娘・桜花によって研究が引き継がれている。

極小のナノマシンが傷口などから体内に侵入し、人間の精神や記憶に作用。
精神に異常を来す麻薬として使用されることもあれば、逆に記憶障害や人格分裂を治療する薬としても使用されている。

作中ではジェス・カスターがこのNシステムを基に人間の恐怖心を極限まで高める薬品を使用。
「テラー」と名付けて愛用のナイフに塗布して使用しており、切り付けた相手を恐怖によって支配していた。
一方でD4深浦麻世は自身の記憶障害と精神分裂を止めるため、集団自殺サークル・ピリオドでこのNシステムを基にした研究を行っている。

『EVE burst error』ではプリシアの中にプリンという別人格を作り出す際の薬品として使用されている。
また、小次郎がディーブ配下に捕らわれた時は恐怖を何倍もに増幅する幻覚剤として拷問時に投与された。

OIF社

オーガニック・インダストリアル・フーズ株式会社(Organic Industrial Foods)の略称。
ナノマシン技術を応用した酵素を用いてダイエット食品の研究開発を行っている。
作中ではヴィーネ・フラル、橘公彦、溝口半蔵、音無秀美らが所属。
OIF研究施設内で死亡した橘公彦の実況見分を、内調捜査官の法条まりなと桐野杏子が担当する。

作中終盤で人体クローニング研究を用いた移植用臓器の精製および臓器売買などの疑惑が生じ、
ヴィーネ・フラルとして蘇ったドールマン=孔と橘公彦を中心にして「Lose ONE」と呼ばれるナノマシン研究を行っていたことが判明。
「Lose ONE」を巡っての争奪戦がOIF社屋ビルにて繰り広げられる。

TRASH

「トラッシュ」。ラオスで摘発された麻薬シンジゲートが売り捌いていた合成麻薬。桂木弥生も協力した、大物議員の息子が関わっていた事件で証拠として摘発・押収された。
キド サクラと名乗る日本人女性が中心となっていたが、未成年であることを理由に捜査の手を免れている。後にこれが橘桜花であることが判明。

TRASHの意味は「ゴミ」。Nシステム開発のための資金調達として桜花が売り捌いていた。
自殺サークル・ピリオドに於いて「D4」深浦麻世らと共に開発していた新薬の研究段階で出来た失敗作などが流用されたと思われる。

5460

あまぎ探偵事務所の金庫の暗証番号。語呂合わせで「こ・じ・ろ・お」。

事務所の報酬や収入は氷室から小次郎に渡した上で金庫に入れていたが、
氷室が事務所に慣れて以降はやり取りが面倒になったのか氷室がそのまま金庫に入れるようになっていた。
金庫の暗証番号は教えられていなかったが、冗談で「こ・じ・ろ・お」と入れたら空いてしまったらしい。
小次郎も番号の変更を考えているようだが多分変えていないだろう。