姿勢
(1)姿勢が大事である。
まずまっすぐに立つこと。
まっすぐに立つことができなければ、相手を崩すことができない。子供が、まずは立つことができ、そして歩くことができるように。子供も立つ事ができなければまだ歩くこともできないのと同じ。
(後ろ足に体重がかかっているように立っているときは、手を取ることができそうに感じるが、前足にも体重が乗ってしっかりと立っているときは今にも出てきそうであり、手を取りにくい。手を取ってもものすごく重く感じる。)
(2)まっすぐ立って、まっすぐ前に出ること。
立っているときに横にぶれたり、動き出しても最初から相手の横に動いてはいけない。
無駄な動きをしないこと。
相手に手を取らせるときも、正面打ちのときも同じである。
(3)相手の懐に入って、相手のからだ全体を崩すこと。
相手のからだ全体を崩せば、どのような技でもかかる。
(4)相手を崩しても相手とのつながりが切れないように、動かなければならない。
動きが止まってしまえば、相手とのつながりもなくなり、そのままでは技がかからなくなる。
無理に動かしても同じ。
相手とのつながりが切れないように次々と技を出しながら動くことも大切。
(5)合気道の稽古では、相手が受けながら攻撃してこないから、どうしても相手を崩す場合に腕や上半身だけを崩すことが多い。
しかし、空手をやっている人には、これでは中途半端であり、上半身だけ崩れても蹴りを入れられてしまう。
相手を崩す場合には、からだ全体、つまり脚から崩さなければならない。
相手を小さく崩して満足するのではなく、腰砕けにしてしまわなければならない。
(6)第一教でも、昔は相手の側面に相手の腕を捌くように教えられたが、これでは確かに相手の腕を制することができるが、腕だけしか制することができず、蹴りを食らう恐れがある。
またその腕だけを制した状態からは、次の動作に移ることができないため、こちらから当て身や蹴り、逆関節を利かすなどの方法をとらなければならない。
昔はこんなこともしていた。
やはり第一教でも相手のからだ全体を制する、あるいは崩すことが必要である。
(7)首から下は、大体真っ直ぐ立てているが、首が少し下を向いている。そのような姿勢では、ホースに水を流したときに、ホースが折れていると水が流れないように、頭から下に気が流れない。
(8)力がぶつかるのは、中心があっていない。
ゆっくりと腰を回せば、相手がついて動いてくるところがある。
そこがお互いの中心があったところだ。
そこでなら軽く相手を倒すことができる。
(9)考えながら動いたのでは、相手に反応され、捕まってしまう。
考えながらでは、一つ一つのことしかできない。
その一つ一つのことに対しては、相手は反応できる。
姿勢を真っ直ぐにする。
真っ直ぐに入る。
力を入れない。
指先は伸ばす。
などを考えずに一度に行わなければならない。
一つ一つのことは説明できるが、全部一緒にとなると説明できない。
しかし、全部一緒にすると相手は自然に崩れる。
(10)手だけを動かしても、入り身にはならない。
体の中心ごと動かすこと。
体の中心を動かすためには、姿勢をきちんと(真っ直ぐ)しなければならない。
(11)体の中心を相手にぶつけるつもりで動けば、相手は自然と崩れる。
体ごと当て身を入れることになる場合もある。
(12)真っ直ぐに立って、肩の力を抜くこと。
きちんと姿勢ができていても、肩に力が入っていたのでは、相手に入ってこられてしまう。
肩の力を抜いて自然に体を動かすこと。
(13)自分ひとりでは非常にわかりにくい。
敏感に感じ取ってくれる人が相手の場合には、姿勢をきちんとして、肩の力を抜いて、自然に動けるような稽古をすること。
きちんとできておれば、相手がそれを感じ取ってくれるので、相手の動きを見ておれば、きちんとできたかどうかがわかる。
そのような動きを、常にできるようにならなければならない。
敏感に感じ取らない人と稽古するときでも、同じように動かなければならない。
そうすることによって、自然に動けるようになってくる。
また自然に動けるようになってくると、鈍感な人にでも、敏感な人にでも同じように技がかかるようになる。
(14)受けの動きを見ていれば、上手くできているかどうかよくわかる。
上手くできているときには、力もいらないので確かにわかりにくい。
また逆に、本人にもわからないので、相手もわからず倒されてしまうのだろう。
こちらも相手もわかるようなら、相手はそれなりの対応をした動きをするので、技が上手くかからないのではないか。