アクア・スティル・ロイド

エルディア共和国首相。当初は小次郎とショットバーで出会う謎の女性として素性を隠したまま登場しており、
息抜きで訪れたバーで度々顔を合わせる小次郎とは首相という立場を忘れて会話を楽しんでいたようだ。
作品内でエルディア首相の存在に触れる際には「ロイド首相」と表記されており、バーで出会うアクアという女性がこのロイド首相であると判明するのは物語終盤になってから。

アクアはエルディア前国王と側室との間に生まれた娘。エルディアでは側室が懐妊した場合は堕胎する習わしがあったが、
アクアの母はこれを拒否して王宮から逃亡後にアクアを出産。後に彼女はロス=御堂と結婚したためアクアと御堂は義理の親子関係にあたる。
この母親は後にアクアの王位継承権を主張されることを疎んだ前国王の命で爆弾テロを装って暗殺されている。

アクアはこの後海外に留学しており、そこで先進的な政治学を学んでエルディア帰国後に政界に進出。
国政参画後は民主的な解放政治に辣腕を振るい遂には首相の地位にまで上り詰めた。これまでの専制的な王政を廃止することに政治生命を賭しており、
急速な民主化を危惧するプリシアやストールマンなどの穏健派・知識派層と敵対して来た。だが源三郎やシリアの功もあって、
物語終盤になってようやく反目していたプリシアとの会見に成功。プリシア王政を議会が承認する立憲君主政治を妥協点とするなどプリシアとの和解が成立した。
しかしその会見を前国王の人格が宿った状態の真弥子に目撃されてしまい、裏切り者として殺害されてしまう。
この時アクアの死体の傍らには血文字の「p」がダイイング・メッセージとして残されていたが、
直前まで政治的に対立していたプリシアを殺害犯に仕立てようとして前国王人格時の真弥子が残したものではないかという見解がユーザーの間では一般的。



CV:田中敦子

天城小次郎

本作主人公の一人。街の中心部から外れた港の倉庫街に居を構えるあまぎ探偵事務所の所長。
元は業界最大手の桂木探偵事務所のエースとして活躍していたが、所長であり恩師でもある桂木源三郎を政治家への贈賄容疑で警察に突き出したことで同事務所を辞し、
独立してあまぎ探偵事務所を設立することとなった。この時に恋人だった桂木弥生とも破局。
全てを失って独立したものの、持ち込まれる依頼の数も激減してその日の暮らしにも事欠くような無為の日々を過ごしている。

雑誌記者の柴田茜から持ち込まれた絵画捜索依頼と、倉庫街に迷い込んだプリンという少女を保護したことを機にエルディア共和国の王位継承争いの渦中に身を置き、
ストールマン=孔や二階堂進殺害の真相を探るべく調査を開始。事件の中で知り合った教育監視機構の氷室恭子と共にエルディア国家暗部の陰謀の存在に気付いた後は、
次期女王候補であるプリシア=レム=クライムを敵対勢力から身を挺して守るなどの活躍を見せ、陰謀渦巻くエルディア王位継承争いの中で独自の判断で動く存在となってゆく。
後に死んだと思われた桂木源三郎と再会。その際に託された国璽の片割れを手に、エルディア新国王即位式典が開かれる客船トリスタンに赴いた。
トリスタン船上では主に御堂真弥子のパートナー兼護衛として行動。
トリスタンが爆発炎上して海中に沈んでからは法条まりな、プリシアらと共に極限状態の中を生き抜き、御堂真弥子の最期を見届けた。

作中では凄腕ながら偽悪趣味の飄々とした皮肉屋の探偵、女性にはだらしない一方で何故か妙に女性にモテる男として描かれている。
元恋人・桂木弥生とは破局した後も同業者の良きライバルとしてお互いを認め合っているという関係。
二階堂の死と不正の発覚で桂木探偵事務所が窮地に陥った際は、自分に縋ろうとする弥生に厳しい言葉をかけて背中を押す優しさを見せている。



CV:子安武人

あまぎ探偵事務所

天城小次郎が所長を務める私立探偵事務所。街の中心街から外れた港の倉庫街の一角に倉庫を改造した事務所を構えている。
桂木探偵事務所を辞した際に二階堂の指金で小次郎は探偵ライセンスを停止されており、人気のない倉庫街にひっそりと事務所を構えるしかなかったようだ。
ただし現実には探偵業を営むにあたってライセンスのようなものは必要とされておらず、この設定は作中だけのフィクション。

依頼人が気軽に立ち寄れるような環境には無く、持ち込まれる仕事も少ないため小次郎も暇を持て余しているらしい。
ちなみに隣は空き倉庫で、たまり場を求める不良や寒さをしのぐ浮浪者がよく侵入しているとのこと。
元が倉庫なので居住空間としての快適さには難点も多く、海からの湿度で夏の蒸し暑さはかなりのものになるようだ。

後に事件中に知り合った氷室恭子が教育監視機構を辞してあまぎ探偵事務所に就職することになる。

一級捜査官

作中でのまりなの捜査官としてのグレード。捜査官、諜報員、情報官など様々な分野での能力やこれまでの閲歴、任務の達成率などを鑑みて国家から認定される。
その中でも一級捜査官はトップクラスの実力の持ち主にしか認められないグレードで日本には二十数名が存在するのみと言われている。
任務によっては警察との連携を図って捜査活動を行うこともあり、作中のまりなは警視待遇が認められていた。

このレベルの捜査官ともなると独自のコネクションやパイプを各々が有しており、
場合によっては国家に仇なす存在になりかねないため重用される一方で常に思想や行動を警戒される存在でもある。

インシュリン

インスリンは血糖値の恒常性維持に重要なホルモン。血糖値を低下させるため糖尿病の投薬治療に用いられている。逆にインスリンの分泌は血糖値の上昇に依存する。
従前は「インシュリン」という表記が正式なものとして採用されていたが、現在は「インスリン」との両方の表記が頻用されている。
ちなみに中高年以上の肥満既往による糖尿病はU型、先天的な遺伝因子によって小児期〜思春期に発症する糖尿病はT型に分類される。

真弥子は前国王の記憶を固着させるためにインスリンに似せた薬物を定期的に投与していたが、
注射器による投薬行為を目の当たりにしたまりなが違法ドラッグに類するものを快楽のために使用していると早とちりしてしまったようだ。


エール外国人学校

在日エルディア人子女のための高等学校。創立3年、全校生徒数195人。
主に日本とエルディアの間で貿易や外交に従事する人物の子息が在籍している、いわゆる「いいとこ向け」の学校。
様々な事情のもとに登校する生徒に合わせて授業が行われているため、一般的な高校とは異なって大学のような選択授業制を採用。個別に家庭教師や通訳を雇っている生徒もいるようだ。
民主国家として新生したエルディアと日本との文化的な交流の架け橋としての役割を期待されて多額の投資のもとに設立されているため、
図書館やカフェテラス、プールなどの最新の豪華な施設が一般にも開放されている。

作中では御堂真弥子が生徒として在籍。シリア・フラットがアラビア語講師として教職についている他松乃広美が臨時の美術講師を務める。
ストールマン=孔が同校の校長職にあり、在日エルディア大使のロス=御堂が理事の役に就くなど、今作に登場するエルディア出身者のほとんどがこの学校の関係者として登場している。

一方、教育監視機構の氷室恭子は校長の脱税疑惑を調べるため同校に潜入調査中。
真弥子の護衛を務める法条まりなは一時的に氷室と同じ教育監視機構に籍を置いて学内への立ち入りを許可された。


悦楽の学園

『EVE burst error』の前身とされるPC98時代のアダルト作品。
EVE開発当初は『悦楽2』の仮タイトルで呼ばれていたとも言われており、教育監視機構設定の引継ぎや作品序盤でエール外国人学校が舞台になるのはその時の名残という説も。

雨宮学園で起きた女生徒失踪事件を捜査するため、主人公の教育監視機構捜査官・佐久間裕一が教師として潜入。先に派遣されていた捜査官の氷室恭子、佐々木らと共に学園の捜査を行った。
図書館で助手として働いている松乃広美は同作のメインヒロインで、当時女生徒として同校に在籍。佐久間とは事件を通じて恋人同士の関係となる。
氷室と松乃はこの時の捜査で知己を得ており、エール外国人学校で再会した際、氷室は潜入捜査官であることを周囲に漏らさないよう松乃に釘を刺している。

エルディア共和国

本作に登場する架空の国家。国内に砂漠地域を持つ中東の小国として描かれている。
勤勉な国民性から生み出された高度な科学技術力、そして前国王時代に整備された情報部の優秀な諜報能力を背景に発展して来た。
長らく王族による独裁政治が敷かれていたが、近年ではロイド首相を筆頭に民主化を望む声も高まっており国家として政治的な過渡期を迎えつつある。
御堂真弥子、ロス=御堂、ストールマン=孔、アクア・スティル・ロイド、プリシア・レム・クライム、シリア・フラットなど登場人物の大半が同国の出身者。
ディーブや桂木源三郎はエルディア出身ではないが外国人として同国の発展を影から支えて来た。

前国王死亡後はそのロイド首相率いる改革派による様々な民主化政策が断行されるが、首相を始め複数の閣僚や主要人物が王位継承事件の最中に命を落としている。
混乱の後に前国王の姪にあたるプリシア・レム・クライムが新女王に即位した。

エルディア前国王

エルディアの先代国王。公式発表では一年前に後継者を定めぬままに病死。
作中では恐怖政治を敷いて悪政の限りを尽くした暴君として描かれており逆らう者は側近であろうと容赦なく排除してきた。
そのため良識派の政治家はおろか体制下の王権派の中にも次第に国王に反感を覚える者が現れており、
死亡する直前のエルディアは政変やクーデターが起きる寸前まで緊張が高まっていたとされる。

周囲に命を狙われているとの恐怖に囚われた国王は、かつて源三郎が提案した「C計画」に注目。クローン生命体である御堂真弥子、コードネーム「EVE」に自らの記憶を植え付けた後に自死。
計画遂行後に新しい肉体と共に再びエルディアに君臨しようと画策する。

王位継承権

各国の王族、皇族に於ける継承資格者が有する権利で、それぞれの国の法律でその継承順位が定められている。
デンマークやイギリスなどでは男子優先、ベルギーやオランダなどでは長子優先の制度に基いて決められており、
タイのように王が王族男子の中から次の王位継承者を直接任命する制度の国もある。
日本では皇室典範により直系男子への皇位継承優先が定められており、戦後の日本国憲法下に於いて「非嫡出子を皇族としない」規定が追加された。

エルディアに於ける王位継承順位については不明だが、基本的には現在の王位に近しい血縁者が優先されるのはどの国も変わらない。
ただしエルディアには他に類を見ない独自の即位条件があるとの噂もあり、それが前国王亡き後の政情の不安定にも繋がっていると言われている。

王権派

前エルディア国王死亡後に国内で対立した二派のうちの一つで、国王死後も従来通り王族による王政を支持して来たいわゆる体制派。
前国王の姪であったプリシア・レム・クライムはこの王権派による支持を受けていたが、
プリシアは王族の一員でありながらも王族による専制政治そのものには否定的であったため、思想的には対立する改革派と重なる部分も多かった。

前国王の専制政治から脱却するためのスキームとして、国王の下に議会を認めさせる現在の制度を維持しつつ国民の教育や政治制度の充実を図りながらの緩やかな民主化を目指していた。
エール校校長ストールマン=孔が中心人物の一人とされている。