改革派

エルディア前国王死亡後に国内で対立した二派のうちの一つで、国内の民主化政策に大きく舵を取ろうとした派閥。いわゆる反体制派。
中心人物はエルディア共和国首相のアクア・スティル・ロイド。前国王死後に暫定的な国内政治指導者の座に就き、様々な民主化政策を推し進めて来た。
現在のエルディアは政治指導者が反体制派の急先鋒という急進的な改革政府で、
旧情報部で部長の地位にあったロス=御堂も改革派として自身主導で情報部と科学局を解体するなどの改革を断行。
ただしこれは表向きの姿勢で、組織解体時に同局が秘密裏に行っていた「C計画」に纏わる情報を隠蔽したとされている。

プリシアを中心とした王権派とは長く対立状態にあったが、物語終盤のアクアとプリシアの会談によって和解が成立。
プリシアが国王に就任した暁には暫定的な今のエルディア議会政治制を正式に承認し、
アクアがそれを率いることによって国王による専制政治からの脱却、即ち民主政治への第一歩を図るというロードマップを描いていた。

香川美純

公安の内務監査官。任務遂行の際に強力な捜査権限が与えられているまりなのような一級捜査官の行動や権限行使の正統性をチェックする役目を負う。
当然ながら現場で生命を賭けて任務を行うまりなとの相性は最悪で、顔を合わせては悪口や嫌味の応酬に発展することも日常茶飯事。
一方、私生活に於いて甲野と不倫関係にある香川にとっては甲野の仕事上のパートナーであるまりなとの信頼関係に思うところも大いにあるようだ。

プリンセスホテル爆破事件が起きた後、ロス=御堂は真弥子護衛任務に於ける責任を追及。
まりなが護衛任務の際に取った行動の正統性を問うため、外務省からの要請で内務監査官である香川が派遣される。
査問の最中、御堂の口から詳細を知らせていないにも関わらず滞在先の「ホテル」というセンテンスが出て来たことに気付き、
護衛任務を依頼してきた御堂自身が一連の真弥子襲撃事件に関わっているのではという推測に辿り着いたまりなだったが、査問中の身である彼女は一時的に捜査権限を剥奪されていた。
そこで甲野を人質に取る芝居を打ち、香川を脅迫して内調オフィスからの脱出に成功する。
この時香川は警備員の追っ手を防ぐためにストリップを強要されるが、そのCGはサターン版パッケージ裏にも掲載されるなど『burst』を代表する名シーンとして非常に有名。


CV:渕崎ゆり子

桂木源三郎

桂木弥生の父親で桂木探偵事務所の前所長。小次郎に探偵のイロハを教え込んだ人物でもある。
常に憎まれ口を叩き合いながらも性格や探偵としての思考などがよく似ている二人は、良き師弟関係でありそして良き親子のようでもあった。
しかし本作開始の数ヶ月前、弟子である小次郎に政治家との癒着を暴かれて贈賄罪で逮捕される。そして収監先の刑務所で発生した火災に巻き込まれて獄中で焼死。
実際は死亡を偽装してエルディア軍に残してきたもう一人の娘シリア・フラットの手引きで刑務所から脱走しており、以降その身を隠しながらエルディア王位継承争いの中で暗躍を続けていた。

かつてエルディア情報部の東洋人幹部として、妨害工作や暗殺任務などの危険な汚れ仕事をこなす実行部隊の「テラー」を率いて来た源三郎だったが、
自らの発案で推し進められた「C計画」の存在に後悔の念を抱き、情報部を脱退。現在は御堂ら旧情報部と敵対しておりC計画に自らの手で幕を引くために行動している。
御堂が関与している改革派を妨害するため、王位継承争いに於いてはプリシアらの王権派に手を貸しているというスタンス。
プリンという別人格を利用してプリシアを逃がし旧知のストールマン=孔と合流させるよう手を打ったが、既に先回りしたディーブによってストールマンは殺害されていた。
日本での頼り先を失って途方に暮れるプリン(=プリシア)だったが不測の事態ある時には港にある探偵事務所を頼るよう源三郎から指示を受けており、これが小次郎とプリシアが出会うまでの経緯となる。

作中では主にまりな編に登場。偽名の鈴木源三郎を名乗っており、保険調査員としてまりなの行く先々で顔を合わせることになる。
訳知りな言動やまりなと遭遇する場所やタイミングが不自然なほど一致していることからまりなは常に彼の挙動に不審を感じていたが、
一度ならず共闘した経験などから強い信頼も感じており、別の目的ながら同じものを追う者同士としてその行動を黙殺する場面も幾つか見られる。
後半ではまりなと共に死地を潜り抜けた後に互いに惹かれ合った想いを告げて肉体関係を持っており、まりなとは結婚の約束まで交わしている。
一方の小次郎編では終盤付近で登場。ディーブに囚われていた小次郎を救出した後に、これまでの経緯や真相の幾つかを小次郎に告げて客船トリスタン号へと向かう。

こうして源三郎は御堂率いる旧エルディア情報部の目論見を阻止するためエルディア王位継承争いの裏で暗躍を続けるが、
御堂の死と同時に引き起こされた爆発に巻き込まれてシリアと共にトリスタン船内で死亡。最期の瞬間まで弥生の名を叫びながら深い海の底へと消えていった。


CV:納谷悟朗 / 大塚明夫

桂木探偵事務所

桂木弥生が所長を務める私立探偵事務所。
業界でもトップクラスの実績と知名度を誇る探偵事務所で、尾行や浮気調査といった探偵的な依頼は勿論、
企業相手の法律相談や公的機関の捜査活動の手助け、それらへの各種専門家の仲介など多種多様な業務内容を請け負うコンサルタント企業でもある。

先代所長は現所長・桂木弥生の父親であり、小次郎の探偵の師でもある人物。しかし小次郎が先代所長の政治家への贈賄を警察に告発したことで逮捕され事務所の名声は失墜した。
この件が原因で小次郎は事務所を去り独立。優秀な探偵を立て続けに失った桂木探偵事務所の経営は大きく傾いてしまう。
残された弥生は父の跡を継いで所長となり事務所を立て直すべく奔走しているが、状況はまだまだ厳しいようだ。

作中では桂木弥生、二階堂進が所属。その他にも数名の探偵と事務職員を抱えている。


桂木弥生

小次郎の元恋人で桂木探偵事務所所長。桂木源三郎逮捕後は所長代理として事務所を運営し、源三郎の訃報後に所長に就任する。
事件の約三ヶ月前、小次郎が父の源三郎を警察に突き出した事で事務所の信用は失墜。事務所の経営は一気に傾いてしまい、弥生は事務所を立て直すべく奔走して来た。
ストールマン=孔からの絵画捜索依頼では因縁のあまぎ探偵事務所と同時に依頼を受け、元恋人の小次郎と競い合うようなかたちとなる。

後に所員の二階堂進が「M氏」を通じた二重依頼の画策に失敗し、ストールマン殺害容疑をかけられた後に自殺との発表がなされると、
事務所の失墜は決定的なものとなり、残った所員のことごとくが事務所を見限ったことで桂木探偵事務所は崩壊寸前にまで追い込まれた。
この時事務所を畳んで小次郎に救いを求めるほどに弱りこんでいたが、小次郎からの厳しくも優しい後押しもあって何とか踏ん張ることに成功。
その後はまりな編で査問を抜け出した彼女を匿うなど、まりなをサポートする機会が増えるようになる。
物語終盤では旧情報部残党による襲撃から逃がれて来たプリシア・レム・クライムを保護したことが縁となりトリスタン号に乗船。小次郎・まりなとの再会を果たした。
トリスタン号が沈没する際、適切な指示で乗客の避難誘導に貢献したことが評価されてエルディア新女王のプリシアから感謝状を贈られたようで、
続編の『EVE rebirth terror』ではこの時の活躍で事務所の名誉を挽回し、再び業界最大手としての地位を取り戻すことに成功している。

勘と才能を発揮して動く小次郎や源三郎とは異なり、冷静沈着に物事を処理する事務タイプの探偵として描かれている。
男勝りな口調と切れ長の鋭い目、一日に煙草を何本も吸うヘビースモーカーであることなどから一見キツイ性格の持ち主のような印象だが、
私生活、特に小次郎の前では可愛らしい一面を見せる女性としても描かれており、氷室恭子と並んでEVEシリーズのヒロインとしてユーザーからの人気も高い。


CV:本多知恵子

旧科学局

旧情報部と共にエルディアの発展に貢献した部署。
ドールマン=孔を中心に様々な研究の開発で成功を収めたが、クローン人間の研究、生物兵器、麻薬に類するような薬品など、倫理観を埒外に置いた研究成果を危険視する声もあったという。
C計画に於ける前国王の記憶の受け皿として用意されたクローン人間のμ-101も科学局によって開発された。

その後局長のドールマンは息子であるストールマンによって殺害されており、
中心人物を失ったこととこれまでの研究成果の非人道性などを理由にロイド首相による民主化政策の一環として解体された。
解体にはロス=御堂が携わっており、C計画の機密保持と隠蔽のために解体されたとされる。

作中で所属してた人物はおらず、設定上で登場するドールマン=孔が中心人物とされるのみ。

旧情報部

前国王時代に整備された諜報組織。前国王の側近ロス=御堂が部長を務めていた。
情報収集、諜報活動、破壊工作などの裏仕事に長けたスパイ部隊でエルディアの発展を影から支えて来た。
東洋人三幹部を筆頭に国内外から優秀な人材をスカウトして作られており、小国エルディアに似つかわしくないほどの能力を有していたとされる。

情報部による監視の目は国内の不満分子にも向けられており、その検挙・弾圧を行うなど秘密警察のような側面もあったようだ。
そのため前国王死後に専制政治を象徴する部署と位置付けられ、ロイド首相による民主化政策の一環として解体されたが、
その後も水面下での活動を続け前国王復活を目論む「C計画」を遂行していた。
表向きは既に消滅した組織のため作品内では「旧」情報部と表記されている。

作中では解体前に部長だったロス=御堂が組織を掌握しているが、次長だったディーブも残党の一部を率いて行動していた。
桂木源三郎が実行部隊「テラー」を率いていたこと、その娘シリア・フラットがダブルスパイとしてディーブの傍に身を置いていることなども描かれている。

教育監視機構

外部からでは内情を窺いにくい学校内部の不正や事件を捜査する組織。
学校現場に於いて未成年の学生が法律違反を犯していた場合、警察による介入に自治権や世論など様々な制限がかかる。
そこで潜入捜査官を派遣し、教師や生徒のフリをして証拠を集めたり内情を探るのを主な任務とする極秘組織。
警視庁公安部の一部署として描かれているがその存在は非公開とされている。略称はJES(Japan Educational Superintendence-organization)。

現時点では任務の対象は学校、学園、大学などに限られているが、ゆくゆくは政治家の下への潜入や治外法権が適用される大使館への潜入なども視野に入れているとのことで、
日本の警察機構下では弱点とされている本格的なスパイ機構の雛型として発足された組織とも言えるだろう。  

作中ではエール外国人学校・校長ストールマン=孔の不正会計疑惑を捜査するため、捜査官の氷室恭子が同校に派遣されている。
また、真弥子の護衛任務に際してまりなが形式的に同組織に派遣された。
ただしまりなについてはその素性や経緯、任務内容が秘匿されていたため、氷室はまりなのことを同じ学校で別の任務に就いている新人の捜査官として捉えていたようだ。

グレン

小次郎が利用する裏世界の情報屋。がっちりとした体格の黒人だが、ドレッドヘアにニット帽、サングラスを着用した姿は年齢や国籍などの素性を探る要素に乏しい。
馴染みの小次郎からの電話であっても声紋チェックをクリアしてからでないと受けることはないなど情報屋らしい臆病さと慎重さを持つ人物である一方、
小次郎に対する口調や姿勢は卑屈なまでにへりくだっており、丁寧な言葉遣いの中にも相手を探ろうとする抜け目無さを光らせるなど裏世界の住人の中でも特にクセの強さが強調されている。
情報屋としての腕は確かで、小次郎も折に触れてこの胡散臭い情報屋を利用しているようだ。
また、非合法なルートからの銃器の取り寄せも行っており、小次郎愛用の銃・グロッグ22もこのグレンから仕入れている。

小次郎が捜索している絵画に関する情報を依頼されており、そこに関わるきな臭い情報などを小次郎にリークしていた。
しかし金髪オッドアイの少女(=プリン)捜索依頼を小次郎に持ちかけた際には、小次郎が少女を保護していると知るやその情報を対立する旧エルディア情報部残党のディーブに流し、
依頼人である小次郎を別の依頼人に売り飛ばすというタブーを犯してしまった。
金払いが良い組織と一探偵に過ぎない小次郎を秤にかけた上でのビジネスライクな判断であると小次郎に語るグレンだったが、その小次郎の目の前で口封じのために殺されてしまう。


CV:飯塚昭三

グロック22カスタム

小次郎が愛用する銃。オーストリアのグロック社製。グロック社は元々銃器メーカーではないため、その機構や設計思想はそれまでの軍用拳銃とは異なり、
スタイルフレームやトリガーとその周辺機構、弾倉外側がプラスチック製となっているのが特徴。
そこにレーザーポインターを装備し、重量を軽量化するなどのカスタムを加えている。

私立探偵という職業上トラブルに見舞われる機会も多い小次郎にとっては自分の身を守るために必要な銃だが、日本での銃の所持は勿論違法。
そのため銃弾の補充、銃の修理などは情報屋のグレンを通じてイリーガルに行っている。


公海

地球上の海洋から、いずれかの国の排他的経済水域、領海、内水または群島国家の群島水域に属する海域を除いた残りの部分を公海という。
公海はどこの国の領域でもないので、公海上にある船舶は、その所属する国家(旗国)の排他的管轄権のもとに置かれて、
その船舶には旗国の法令が適用され、また旗国の裁判権に服する。これを旗国主義という。

作中でプリシアがエルディア国王に即位した際に御堂は大使の任を解かれて外交特権を喪失している。
同時にプリシアは日本政府に御堂の身柄確保を要請しており、内調はこれを受けて任務を遂行している。罪状は日本国内における殺人罪および殺人教唆またはテロ幇助あたりか。
ただしこれは日本国内の事件についてであり、日本国の刑法が及ぶ範囲での話。
トリスタンがいったん公海上に出れば上記の旗国主義が適用されて、エルディア船籍であるトリスタン船内ではエルディア国内の事件と法律のみが適用されることとなり、
内調のまりなは御堂の身柄を確保する法的根拠を有していない、ということになる。まりなが御堂の身柄を抑えることが出来るのは日本領海内にトリスタンがいる間だけ。

甲野三郎

まりな直属の上司。一級捜査官であるまりなとの任務は様々な部署に身を置いて行われるため正式な階級や役職は定められていない。
「本部長」と呼ばれている呼び方も便宜上のものに過ぎないようだが、これが定着して今に至るらしい。

オネエ言葉を駆使する、自称「ダンディ中年」。
普段は温厚でとぼけた言動を取るのでまりなには良いように遊ばれるが、現場のまりなが動きやすいように指揮・サポートする良き上司として描かれている。
また、能力の高さゆえに扱いづらいまりなを唯一使いこなせる人物ということで「猛獣使い」の称号を拝領していたりも。

物語中盤からはロス=御堂による真弥子護衛任務そのものがエルディア王位継承争いのために仕組まれたものであるとのまりなの意見を支持。
そのまりなが内務監査によって身動きが取れなくなった際には立場上反対しながらも内調データベースへのハッキングを黙認するような言動を取り、
窮地のまりなを救い出すために内務監査官・香川の前で一芝居を打つなどの活躍(?)を見せる。

ちなみにその香川とはお互いにW不倫の関係にあるようで、そのことは作中で幾度もまりなにいじられてしまう。
これまでに国家レベルの重大な任務をまりなと共に幾度もこなして来ながらもそうした軽口を叩き合える二人の間には上司部下の関係を超えた信頼や絆があるのだが、
それこそが香川のまりな敵視の一因にもなっているようで、甲野は常に二人の間で板挟みを感じて胃を痛めている模様。


CV:野沢那智

国璽

国家の表徴として押す印章または印影。外交文書など国家の重要文書に押される。
日本や中国では金や翡翠を用いた四方の角印、西洋では平らかな円盤状のものとされることが多い。

エルディア共和国の国璽は縦5センチ、横10センチ程のシルクスクリーンの原盤。
国内外の政治文章に用いるだけでなく国璽の所有者こそが王位の正当な継承者であることの証とされており、二つに割られた国璽を巡っての争いが日本国内で繰り広げられることとなった。