松乃広美

エール外国人学校に教育実習生として赴任している大学院生。実習以外の時間は図書館で司書として勤務している。
笑顔を絶やさず誰にでも物腰柔らかに接する大人の女性ながら、ボブカットを失敗した髪型をまりなにいじられて凹むなど子供っぽい振る舞いや仕草を見せる一面も。

エルディア王位継承争いに一切関わらない学校関係者ということで、小次郎編・まりな編両方に良きサポート役として登場。
まりな編では真弥子付きの家庭教師として赴任したまりなに学園内を案内しており、真弥子の真面目さやストールマンの人柄を好意的に語っている。
一方の小次郎編ではイスラム文様絵画を調べに来た小次郎に協力。自身の専門分野である古美術関係の情報を調べ、原版やその作者に纏わる不吉なエピソードなどを紹介する。

彼女は本作より先にシーズウェアからリリースされた18禁作品『悦楽の学園』にメインヒロインとして登場していた人物。
同作に於いてその当時から教育監視機構のエージェントとして動いていた氷室恭子との面識が描かれており、本作での松乃と氷室は赴任先と任務先で偶然の再会を果たしたという設定。
氷室の素性を口外しないよう釘を刺されたり、学内の異変やディレクターの情報を提供するなどのシーンが描かれている。


CV:むたあきこ

御堂真弥子

駐日エルディア大使ロス=御堂の娘。彼女の日本滞在中の護衛任務をまりなが受けることになるところからまりな編がスタートする。
仕事柄各国を行き来する父に従って転校を繰り返しているため同年代の友人はおらず、性格は控え目で内向的。
自身の立場上普段の立ち振る舞いも目立たないように気を付けているが、本人はそれを政治家の娘として当然のことと受け容れており、
そのためか考え方や人との接し方がシニカルで他人と距離を置いて寄せ付けまいとする雰囲気も感じられる。
当初はまりなの護衛を煙たがっていたが、自身に降りかかる身の危険から全力で守ってくれるまりなに徐々に心を開き始め、次第に年頃の少女らしい可愛らしい一面を見せ始めるようになった。

しかし当初はいやがらせ程度であった彼女への妨害行為は次第にエスカレートしていき、遂には彼女を標的としたホテル内での銃撃戦や爆弾テロへと発展する。
その理由が、彼女がロス=御堂の実子ではなく養子であり、父親は先程亡くなったエルディア前国王であること、
つまり真弥子が現在水面下で繰り広げられているエルディア次期国王を巡っての王位継承争いの当事者であることが判明する。
真弥子自身は権力闘争の中で前国王の愛妾であった母を死に追いやった王権派に強い復讐心を抱いており、その感情を御堂やアクアらに半ば利用されて国王の座に就くことを考えていたが、
まりなとの出会いによって自分のような辛い想いをする人が現れないためにと国王就任への意志を次第に固めていく。

終盤、トリスタン号上で行われたレセプションにて王位継承の証である国璽を手に王位継承を宣言するも、直後にその王位をもう一人の王位継承者であるプリシアに禅譲した。
この直後トリスタン号は爆弾の爆発によって船体が損傷し、暗い海の底へと沈没。
数日後に新エルディア国王であるプリシアを含めた数人の生存者が救出され、彼女の身もエルディア政府によって引き取られた。


CV:岡本麻弥 / 堀江由衣

μ-101

「ミュー101」。有機生命体、即ち人造クローン人間の個体番号。
エルディア前国王が自分の記憶と人格を数値化し、死後も別の肉体にそれらを移植することで永遠にエルディア国王として君臨することを望んだ「C計画」の要となるクローン体のことである。

同研究の中心人物は科学局局長を勤めたドールマン=孔。
記憶や人格の数値化には最先端の生体クローニング技術やナノマシン技術が使われており、
倫理や資金の問題を度外視した極秘計画のもと小国の独裁国家エルディアには世界各国から各部門のエキスパートが集結して活発な研究が行われていた。

この研究の中で前国王の器として用意され、「御堂真弥子」と名付けられた個体がコードネーム「EVE」の名で呼ばれている。
クローン体の素となるDNAはプリシア・レム・クライムのものが使用されており、髪の色や瞳の色を合わせると容姿は完全に同一のものとなる。
クローン体は培養液の中で急速に成長を促されたため肉体的な外見は18歳の少女のものだが、実際の年齢は一歳前後であるという。
 
この架空の王位継承者である御堂真弥子を18歳の少女として社会的に作り上げるため、ロイド首相ことアクアの幼年期の記憶をベースにした人工的な記憶を移植。
エルディア王族に於いては側室の産んだ子は堕胎しなければならないという風習故に公に出来なかったアクアの出自を利用し、
前国王の落胤をロス=御堂が密かに自分の娘として育てていたというストーリーを仕立て上げた。

そうして前国王の記憶と人格を隠し通すための器として作られた御堂真弥子だったが、一つの肉体に二つの人格を安定して固着させることにはやはり無理があったようで、
エルディア王位継承争いの中で激しい記憶障害と人格破綻に見舞われながら殺人を犯すなどの暴走を引き起こしてゆく中で前国王の記憶は消失。
真弥子もまた度重なる精神的な負荷の影響で自我と人格を維持することが困難となり、μ-101は活動を停止してしまう。


CV:岡本麻弥 / 堀江由衣

ラストマ・グルリタ・ラシャール卿

エルディアの画家。生没年不詳。
印象派に影響を受けた独特の画風で知られ、エルディア共和国国璽でもあるシルクスクリーン絵画の作者でもある。
国璽の絵を書き上げた後、「我に触れし者よ、その罪は深く、神刃によって地獄の業火に焼かれん」の言葉を残して自身の首を刃物で切り裂いて自殺。
彼の作品でもある国璽を巡っての血生臭い政治闘争などの逸話に事欠かないことから「呪われた画家」とも言われており、
芸術方面よりはオカルト方面でその名が残されているらしい。

シルクスクリーン絵画について調べものをしていた小次郎が、エール校図書館の司書助手を勤めていた松乃広美と共に上記の内容について調べている。
作中中盤以降のナイフを用いた連続殺人と「神刃」というワードの符号がユーザーにも不気味さを感じさせたことだろう。

陸幕二部

陸上幕僚監部。防衛省の特別の機関であり、 外国軍の陸軍参謀本部に相当する。Ground Staff Office(略称GSO)。
防衛省に置かれている特別機関の一つであり、陸上自衛隊の任務に関する防衛大臣の幕僚機関として陸上自衛隊の部隊等の管理運営の調整や部隊の防衛力の整備等を掌る。

作品内では陸自内の諜報機関として描かれており、エルディアの機密であるμ-101研究成果の奪取を目論んでいた。
他のアニメやゲーム作品などでも警視庁公安部や内閣調査室のように実在する組織の分室、特務課といった形でよく登場するが、
大抵は軍事機密の奪取を目的とするためクローズドで不気味な集団のような扱いを受けていることが多い。

ロス=御堂

エルディア共和国駐日大使。真弥子が日本滞在中に通うエール外国人学校の名誉理事を兼任する。
政変後活発になり始めているテロの手から娘の真弥子を守るため日本政府に護衛を依頼し、内調捜査官であるまりなが護衛任務に就く。
母国エルディア発展のための民主化改革を望み、日本に於けるエルディアへの啓蒙活動などに従事する温厚な知識派。
娘の身を案じる温厚篤実な人物にも見える一方で、言動や表情による隙を見せることのほとんどない外交官特有のポーカーフェイスの持ち主でもある。

前身は前国王体制下に於けるエルディア情報部の局長であり、ディーブ、桂木源三郎らと共に謀略や暗殺などの非合法な手段で国家を陰から支えてきた。
頓挫したとされる「C計画」を秘密裏に進めており、クローン生命体「EVE」である真弥子には彼女が正統な王位継承者でありながら、
政治的に利用されることを避けるためにそれらを隠して御堂の娘として日本に身を寄せるというカバーストーリーを信じ込ませていた。
その真弥子を内調に護衛させておいて、テロリストを装った旧情報部の残党に襲撃させることで旧主の落胤が亡父の遺志を継いで王位に就くというシンデレラストーリーを作中でほぼ完璧に作り上げた。
一方で即位のキーアイテムとなる国璽(=シルクスクリーンの原版)を桂木探偵事務所の二階堂を密かに使うことで獲得。
世論を味方に付けて国璽を手中に収めた以上真弥子の即位は揺るぎの無い状況となっており、
御堂の任務であり、前国王の悲願でもあった「国王の再臨」は豪華客船トリスタン号上でまさに結実しようとしていた。

しかし真弥子が自分自身の正体に気付き始めたことで、即位直前になって王位をプリシアに託してしまうという土壇場の裏切りで状況は急転。
新たに即位したプリシアの国王権限で御堂は大使の任を解かれて不逮捕外交特権を剥奪されてしまう。
追い詰められた御堂は公海上へと逃れるためにプリシアを人質に取って船倉に逃亡するも、シリアと源三郎の介入で失敗。
最後は御堂の口から自らの正体を知らされたことで精神に異常を来し暴走した真弥子に殺害されることとなる。


CV:若本規夫

ワルサーP38

ドイツのカール・ワルサー社製の9mm軍用自動式拳銃。
ドイツ国防軍の制式拳銃に採用され、第二次世界大戦中はルガーP08と共にドイツ軍によって広く使用された。
シリアの襲撃を受けたまりなを助ける際に保険調査員の鈴木が使用した銃がこのワルサーP38。
当然だが保険調査員に銃の携帯が許可されるはずがないので銃の違法所持にになるのだが、まりなとしては危機を救ってくれたことでお目こぼししているようだ。

ワルサーP38と言えばルパン三世愛用の銃としても有名。
TVアニメ一期のエンディング曲でも歌われ、TVアニメスペシャル版では「ワルサーP38」というタイトルの話もあるくらいでルパン三世の代名詞とも言える銃だろう。
鈴木即ち桂木源三郎の初代声優が銭形警部役の納谷悟朗なのも印象深い設定。