大使館

大使館とは派遣先の首都または主要都市に置かれ、派遣元の国を代表して外交活動の拠点となる地。
その敷地は不可侵であり、設置された国家の官憲は特命全権大使の同意無しに立ち入ることが出来ない。
法律や租税などについても全て本国の領土と同じ扱いを受けるため、大使館の敷地内はその大使館設置国の領土と言っても過言ではない。

日本国内におけるエルディアの拠点となる大使館は、文化的な中心地でもあるエール外国人学校とはそれほど遠くない場所に位置している。
つまりエルディアの関連施設は各地に存在しているわけではなく、固まって用意されているということ。
日本に滞在しているエルディア人も数的には限られているだろうし、日本国内に於けるエルディアの活動範囲は決して広くはない。
それだけ日本での知名度も日本政府からの興味も低いという状況そのものが御堂率いる旧情報部が暗躍しやすい背景にもなっている。


ダブルブッキング

ダブルブッキングとは座席や部屋の予約などを二重に受けること。また、仕事の予定や遊びの約束などを二重に入れてしまうことを言う。
片方が優先されればもう片方は約束を反古にされてしまうため、信頼問題や料金の二重取りというトラブルに繋がる義理を欠く行為として社会常識的にタブー行為とされる。

二階堂はニセ孔による桂木探偵事務所への依頼とは別に「M氏」という人物からも絵画探しの依頼を受けていた。
同一依頼を別のクライアントから受けるダブルブッキングであり、露見すれば桂木探偵事務所の信頼を大いに損なう重大な背信行為である。
だが、「弥生を二重の意味で手に入れる」と豪語する二階堂は、孔と「M氏」との両者を天秤にかけることで絵画の価値、
引いては二階堂自身の価値を吊り上げ、所長の弥生をも黙らせる功績を立てようと画策していたようだ。

ディーブ

ゲーム序盤、ストールマン=孔の名を騙って小次郎と弥生にシルクスクリーン絵画捜索を依頼した人物。
その正体は解体されたエルディア情報部の次長。局長の御堂、実行部隊長の源三郎らと共に東洋人の三幹部として前国王政権下の情報部で中心的な役割を担っていた。
丁寧で柔らかい物腰の裏には冷酷で残虐な本性が隠されており、情報部時代の彼のことを源三郎は「人を傷付けることに悦びを覚える真性のサディスト」と評している。

前国王崩御の後、ディーブは局長である御堂の命令でストールマンを捕らえて国璽(=シルクスクリーン絵画の原版)の在処を吐かせようとするも決定的な情報は聞き出せずにいた。
そこで彼はストールマン=孔に成り済まし、小次郎と弥生の両探偵に絵画の捜索を依頼する。
結果、絵画の方は小次郎が発見するが、国璽でもある原版の方は二階堂が持ち出して行方は分からず仕舞いとなってしまう。
情報を聞き出すために再度ストールマンを拷問にかけるディーブだったが度重なる拷問の中で彼を殺害。どうやらこの辺りからディーブの立場は次第に雲行きが怪しくなっていったようだ。

焦りだしたディーブは二階堂と繋がっていた茜を捕らえて拷問にかけるなどの強硬手段を取り始め、ようやく原版の片割れを手中に収めることに成功する。
その後、小次郎を拉致して元局長の御堂と二階堂との間に裏取引があったことを知ると御堂の意を糾すべくプリンセスホテルにて彼と接触するが、
前国王の意思に従う御堂主導の下で「C計画」が極秘裏に遂行されていたことと、真弥子の中に前国王の人格が眠っている事実を知ると両者は対立。
この時ディーブは「C計画」遂行に関しても否定的または懐疑的な態度を取ったようで、それが前国王への反駁と見なされ、これまでの独断専行の罪も問われて前国王から「用済み」の判断を下されてしまう。

部下を失い窮地に陥ったディーブはそこに偶然現れたまりなを捕らえ、国璽の片割れを手にトリスタン号へと乗り込んで国外への脱出を図るが失敗。最期は御堂らに抑えられて殺害された。


CV:茶風林

ディレクター

エール外国人学校では校長職のことを「ディレクター」と呼称している。
ディレクターという響きからはテレビの監督、演出などを手掛けるディレクターの方を想像するだろうが、
「director」の訳にはちゃんと「(会社・法人の)重役、取締役、理事。(学校の)校長、主事、(施設の)所長、会長、(役所の)局長、部長」もあるため間違った呼称というわけではない。
ただ、一般的には「principal」とか「head(master)」と呼ばれる方が多い。

他民族・多言語の生徒が通うエール外国人学では海外風に「ディレクター」と呼ぶようにしているとのこと。
そのディレクターであるストールマン=孔はエルディア本国の知識層の一人でもあるため、純粋な教職員というよりは政治家寄りの人物に近い。
本国から直接派遣されて学校運営に直接携わっている事情も含めて、「ディレクター」の呼称が使われているのかもしれない。

テラー

terror。「恐怖」の意味。
エルディア前国王を暗殺したとされる殺し屋。
金で雇われる殺し屋であるという点と、殺しの際にナイフを用いるという点は判明しているが、それ以外の素性の一切が謎に包まれている。
作中で起きる殺人事件の全てがナイフによる首切り殺人であったため、テラーと呼ばれる殺し屋による犯行ではないかと考えられていた。

実態は情報部時代の桂木源三郎が率いていたエルディア情報部実行部隊のコードネーム。
暗殺や破壊工作などの裏仕事に長けた部隊で、近隣諸国を震え上がらせていた。
情報部の実態を隠蔽するため、数々の工作があたかも個人による犯行であるかのように錯覚させるため、
部隊名である「テラー」の名が広まって一人歩きするよう現場にナイフを置き去るなどの情報工作を行って架空の殺し屋を作り上げていた。

「C計画」に於いては前国王の意図的な自死を隠蔽するため、このテラーの名を使用していたことが判明する。

ドールマン=孔

解体されたエルディア科学局の局長。ストールマン=孔の父親。本作には登場せず設定のみの人物。

「C計画」の根幹でもある有機生命体の開発、またそれらに移植させるために必要な記憶の数値化と、移植した記憶や人格を固着させるための薬品の開発にも成功している。
他にもディーブが拷問の際に使用した自白剤や、プリシアにプリン人格を暗示させるために使用した薬品などはドールマンによって生み出されて来た。
数多くの成果をあげた優秀な科学者ではあったが、源三郎は「金と時間さえ貰えれば善悪の区別無くどんなものでも馬車馬のように制作する学者馬鹿」と揶揄している。
「C計画」の存在を知った息子のストールマンとはその非人道的な研究を止めるよう何度も口論を重ねていたようだが聞く耳を持たなかったようで、
最終的には計画を中止に追いやるために実の息子に殺害されてしまう。

東洋人三幹部

旧情報部を率いていた東洋人幹部。
即ち部長のロス=御堂、次長のディーブ、実行部隊「テラー」部隊長の桂木源三郎のこと。

情報部には主にエルディア軍部の人材が登用されていたが、ディーブや源三郎のように生粋のエルディア人ではない者が幹部として登用されていたように、
海外の傭兵や暗殺者、マフィアのような裏稼業の人物であっても優秀であれば情報部員として採用されていた。
素性を問わずに門戸を開き、国の発展のために能力を発揮出来る環境に、若い頃の源三郎は生き甲斐を覚えていたと語っている。

局長のロス=御堂はロイド首相政権下で自らが率いていた情報部と科学局の解体に従事し、その後駐日エルディア大使に任命されて外交部門に転任。
しかしその裏では解体後の情報部を率いながら「C計画」を遂行して来た。

次長であるディーブは拷問などの非合法な手腕に長ける性格を危惧され、ロイド政権には登用されずに下野。
その際に情報部に在籍していた各国のならず者、汚れ仕事に従事してきたがために新政権下での居場所を失った者など数名を直接率いたとされる。

実行部隊を率いていた桂木源三郎は前国王存命時に情報部から逃亡して日本に帰国。愛娘の弥生、弟子の小次郎と共に桂木事務所を運営して来た。
その後政治家への贈賄の罪で刑務所に収監されるが、発生した火災に巻き込まれて死亡。しかしこれは旧情報部に残して来たもう一人の娘・シリアによる偽装工作であり、
死を装って行方を晦ませながら国璽である原盤を回収するなど御堂らが遂行する「C計画」妨害のために行動していた。

特命全権大使

特命全権大使は、外交使節団の長で最上級の階級。接受国の元首に対して派遣され、外交交渉、全権代表としての条約の調印・署名、滞在する自国民の保護などの任務を行う。
一般的には大使または全権大使と呼ばれるか、「在○○大使」や「駐○○大使」、「駐○○××大使」と呼ばれる。
ロス=御堂は「駐日(在日)エルディア大使」で、「日本に派遣されている、エルディア共和国の特命全権大使」という意味。
特別職の国家公務員かつ外務公務員だが、国やポストによっては民間人が起用されるケースもある。

各国の大使館に勤務し、駐在する国との間に立って様々な折衝を行うのが主な仕事。
外交特権を有し、高度に政治的な問題の当事者となり得る立場であると同時に各国の顔として様々な行事やイベントの場にも顔を出す必要もあるため、
常に最高クラスの警備が敷かれる、真の意味でのVIPであるとも言える。

トリスタン号

エルディア船籍の豪華客船。本作終盤、船上にて新国王即位戴冠式が催された。名前の由来は「円卓の騎士」の一人であるトリスタンより。
戴冠式には各国のVIPが招待されており、乗船者数は数百人規模であったと推測され、その警備にはエルディア軍部が当たっていた。

エルディア政府からはロイド首相ことアクア、駐日大使ロス=御堂が乗船。その娘の御堂真弥子、前国王の姪であるプリシア・レム・クライムが戴冠式の壇上に上がった。
そのプリシアの護衛としてシリア・フラットも乗船。桂木源三郎も乗客に紛れて密かに乗船していたようだ。
法条まりなはプリシアからの招待を受ける形で乗船し、プリシア即位後に御堂の身柄を確保するよう任務を帯びていた。
天城小次郎は正式な招待客ではなく不正に乗船したため警備員に負われる破目になったが、船内で偶然再会した真弥子の助けで事なきを得ている。

戴冠式直後にロイド首相や駐日大使ロス=御堂などエルディア政権首脳の数人が船内で殺害されるなどの事件が相次ぎ、
船倉に仕掛けられた爆弾が爆発したことで海中に沈没。新国王に即位したプリシア女王ら数人が海底に閉じ込められるも、数日後に救出された。