お酒は二十歳を過ぎてから
arc3後
軽く十畳はある床の間で仲良く食卓を囲む四人のうち、黙々と焼き魚の骨を取り分けていたアークの箸がぴくりと小さく反応したのをトッシュは視界の隅で捉えたが、口を挟む気は無いらしい。
「ば、馬鹿っ、あ、あああ朝っぱらから何言っ……!」
「そうですよ、トッシュさんっ。僕とエルクさんが付き合ってるだなんて、まだ正式に許可が下りた訳じゃないんですから!」
「って、お前がバラしてどうするんだっ!」
「あ」
はたと我に返るアレクを余所に、アークは無表情のまま食事の手を進めている。ほう、とトッシュの表情が俄かに動いた。
「ふぅん? まだ付き合う段階まで進んでねえのか、お前ら」
「うっ…」
「ど、どうしてトッシュさんがその事を…」
「あ? 何だアレク、お前自分が口走った言葉を覚えてないのか?」
「え…えっと…勢いのままトッシュさんを追いかけた事までは覚え――」
言いかけて言葉を切ったアレクの顔からさあっと血の気が引け、背中を伝う冷や汗を感じてアレクは慌ててトッシュに頭を下げた。
「す、すみません、トッシュさんっ。昨日はその、何と言うか自分の感情がストレートに出てしまって…っ」
「つまり、自分が何をしたかは覚えてるんだな?」
「はい…」
素直に項垂れるアレクを見て、トッシュがぷっと失笑を漏らしてアレクの肩を叩いた。
「ト、トッシュさんっ?」
「ああ、悪ィ。お前の気持ちは分かったから、もう気にすんな。良いな?」
「えっ、でも…」
「君が詫びる必要はない。昨夜のあれは、どう見てもトッシュに非がある」
声音に辛辣の響きを込めて言い放ったアークに、トッシュが肩を竦めて苦笑気にアークを見た。
「随分と手厳しいねぇ。やっぱりエルクが関わると、お前ほんと容赦ねえな」
「以前言った筈だ。例え遊びでも、エルクにちょっかいを掛けるのは止してくれ、と。その際、俺のエルクに手を出すようなら容赦しないとも告げた筈だが」
俺の、と一切隠さないアークの直球文句に反応し、エルクがぼっと赤面して顔を伏せる。
その隣でアレクが、相変わらず凄いなあ、と妙に感心した様子で手持ち無沙汰の手で頭を掻いた。彼が心の中で、いつか自分も、と新たに何かを誓ったかどうかは不明だが。
「ま、それは置いておくとしてだ。今度来る時は、そうだな、シュウの奴も連れて来いよ。それでまた、一緒に酒を飲もうぜ?」
「…ああ。考えておこう」
打って変わって穏やかな表情で、アークがエルクに目配せする。
アークに柔らかな眼差しで微笑まれて、エルクがどきりと頬を染めて眼を逸らすと、気付いたトッシュがすかさず突っ込んだ。
「おいそこ、二人っきりの世界を作るのは構わねえが、さっさと飯を食え。食ったら付き合って欲しい場所があるんだからよ」
「え? どこにですか?」
「それは後のお楽しみってやつだ」
聞き返したアレクにそう答えて、トッシュが小さく笑う。
「あ…ああ、付き合うのは別に構わねえけど…」
付き合って欲しい場所、と言うのは恐らく闇市場だろう。何となく想像付いたエルクが、照れ隠しのように小さく頷く。
「掘り出し物とかあると良いですね」
トッシュの誘いを断る理由もなく、ついでに闇市場を見て回る気でいるらしいアレクの言葉に、そうだな、とエルクが相槌を打ってトッシュの顔を盗み見る。
闇市場に居るらしい仲間の一人、チョンガラと会うには都合良かったが、どうやらトッシュ親分がエルク達を解放するには、今少しの時間が必要らしい。
三年もの間、音信不通だったツケ――しかも二人分だ――は、意外にも重かったらしいと思いながら。
「ば、馬鹿っ、あ、あああ朝っぱらから何言っ……!」
「そうですよ、トッシュさんっ。僕とエルクさんが付き合ってるだなんて、まだ正式に許可が下りた訳じゃないんですから!」
「って、お前がバラしてどうするんだっ!」
「あ」
はたと我に返るアレクを余所に、アークは無表情のまま食事の手を進めている。ほう、とトッシュの表情が俄かに動いた。
「ふぅん? まだ付き合う段階まで進んでねえのか、お前ら」
「うっ…」
「ど、どうしてトッシュさんがその事を…」
「あ? 何だアレク、お前自分が口走った言葉を覚えてないのか?」
「え…えっと…勢いのままトッシュさんを追いかけた事までは覚え――」
言いかけて言葉を切ったアレクの顔からさあっと血の気が引け、背中を伝う冷や汗を感じてアレクは慌ててトッシュに頭を下げた。
「す、すみません、トッシュさんっ。昨日はその、何と言うか自分の感情がストレートに出てしまって…っ」
「つまり、自分が何をしたかは覚えてるんだな?」
「はい…」
素直に項垂れるアレクを見て、トッシュがぷっと失笑を漏らしてアレクの肩を叩いた。
「ト、トッシュさんっ?」
「ああ、悪ィ。お前の気持ちは分かったから、もう気にすんな。良いな?」
「えっ、でも…」
「君が詫びる必要はない。昨夜のあれは、どう見てもトッシュに非がある」
声音に辛辣の響きを込めて言い放ったアークに、トッシュが肩を竦めて苦笑気にアークを見た。
「随分と手厳しいねぇ。やっぱりエルクが関わると、お前ほんと容赦ねえな」
「以前言った筈だ。例え遊びでも、エルクにちょっかいを掛けるのは止してくれ、と。その際、俺のエルクに手を出すようなら容赦しないとも告げた筈だが」
俺の、と一切隠さないアークの直球文句に反応し、エルクがぼっと赤面して顔を伏せる。
その隣でアレクが、相変わらず凄いなあ、と妙に感心した様子で手持ち無沙汰の手で頭を掻いた。彼が心の中で、いつか自分も、と新たに何かを誓ったかどうかは不明だが。
「ま、それは置いておくとしてだ。今度来る時は、そうだな、シュウの奴も連れて来いよ。それでまた、一緒に酒を飲もうぜ?」
「…ああ。考えておこう」
打って変わって穏やかな表情で、アークがエルクに目配せする。
アークに柔らかな眼差しで微笑まれて、エルクがどきりと頬を染めて眼を逸らすと、気付いたトッシュがすかさず突っ込んだ。
「おいそこ、二人っきりの世界を作るのは構わねえが、さっさと飯を食え。食ったら付き合って欲しい場所があるんだからよ」
「え? どこにですか?」
「それは後のお楽しみってやつだ」
聞き返したアレクにそう答えて、トッシュが小さく笑う。
「あ…ああ、付き合うのは別に構わねえけど…」
付き合って欲しい場所、と言うのは恐らく闇市場だろう。何となく想像付いたエルクが、照れ隠しのように小さく頷く。
「掘り出し物とかあると良いですね」
トッシュの誘いを断る理由もなく、ついでに闇市場を見て回る気でいるらしいアレクの言葉に、そうだな、とエルクが相槌を打ってトッシュの顔を盗み見る。
闇市場に居るらしい仲間の一人、チョンガラと会うには都合良かったが、どうやらトッシュ親分がエルク達を解放するには、今少しの時間が必要らしい。
三年もの間、音信不通だったツケ――しかも二人分だ――は、意外にも重かったらしいと思いながら。
私の大大だ〜い尊敬のサイトさまからのいただきものです。
まるでストーカーのごとく通い詰め、運良くキリ番を踏めた自分は凄い。
初めて、キリ番なるものを踏みました。
ホントに、嬉しくてドキドキしますねっ
ちなみに、リクエスト内容は「トッシュ親分に主人公ズ3人で会いに行く」でした。
もう、玲さまの書くエルクは可愛くて大好きです。
えへへ、理想ですw
玲さまのHPはコチラから。なんと相互なんです!もう幸せですよ(*´▽`*)
一緒にストーカーになりましょう(をい
まるでストーカーのごとく通い詰め、運良くキリ番を踏めた自分は凄い。
初めて、キリ番なるものを踏みました。
ホントに、嬉しくてドキドキしますねっ
ちなみに、リクエスト内容は「トッシュ親分に主人公ズ3人で会いに行く」でした。
もう、玲さまの書くエルクは可愛くて大好きです。
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